JP5958433B2 - 鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列およびそれを用いた熱電発電方法 - Google Patents
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Description
近年、製鉄工場等の製造設備では、上記のような熱電発電素子を用いた発電により、これまで廃熱として棄ててきたエネルギー、例えば、熱間スラブなどの鋼材の輻射による熱エネルギーを利用する取組みが推進されている。
特許文献2には、廃熱として処理されている熱エネルギーに、熱電素子モジュールを接触させて電気エネルギーに変換し、回収する方法が記載されている。
特許文献3には、冷却床において冷却材料から大気中に放散される熱量を電力として回収する方法について記載されている。
特許文献4には、レイクの熱伝導によって高温材料の熱エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換することができる熱回収方法および冷却床について記載されている。
特許文献5には、熱間圧延ラインにおける金属材料の処理により発生する熱を回収して、電力として貯蔵する熱回収装置について記載されている。
また、特許文献2では、モジュールを、熱源に対して固定する必要があるため、鋳造および圧延を行う鋼板製造設備のように、移動する熱源に対しては、モジュールが設置できないという問題がある。
特許文献3には、中・高温部の材料温度が300℃以上あり、その輻射熱と材料を冷却した後の対流熱を用いるという記載はあるものの、実操業における高温材料の温度変化や、高温材料の変動による放出熱量(熱エネルギー)の変動など、操業条件の変動による熱源温度の変化については記載されていない。
特許文献4に記載の技術は、熱伝導による熱回収のみに特化したものであり、実操業における高温材料の温度変化や、高温材料の変動による放出熱量(熱エネルギー)の変動など、操業条件の変動による熱源温度の変化については考慮されていない。
特許文献5に記載の技術は、上記実操業上の考慮がないことに加え、同文献中に記載されている電力貯蔵手段は必ずしも必要ではない。
本発明は上記知見に立脚するものである
1.スラブ鋳造機、および圧延ラインを備える鋼板製造設備列において、
スラブおよび/または熱延板に対峙して配置された熱電発電ユニットと、該熱電発電ユニットの一体移動を行う移動手段とを具える熱電発電装置を、上記スラブ鋳造機のスラブ冷却装置およびスラブ切断装置における、スラブ冷却装置出側、スラブ切断装置内およびスラブ切断装置出側、並びに、上記圧延ラインの保持炉、誘導炉、圧延機およびローラーテーブルにおける、保持炉の前、保持炉の後、誘導炉の前、誘導炉の後、圧延機の前、圧延機の後、ローラーテーブル上およびローラーテーブル間、のうちから選ばれる少なくとも一の位置に備え、
かつ、
前記熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールが、対峙する前記スラブおよび/または熱延板の低温部と高温部とに配置されており、
前記熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、低温部に対して高温部を密に配置して、出力を高位に安定させることを特徴とする鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列。
図1は、本発明の熱電発電装置の一実施形態を説明する模式図である。図中、1は熱電発電ユニット、2は移動手段、3は熱電発電装置、4はテーブルローラーおよび5は熱源(鋼材)である。
本発明において、熱電発電装置3は、熱源5に対峙して配置された熱電発電ユニット1と、熱電発電ユニットの移動手段2とを具備している。なお、通常、熱源5はテーブルローラーの上面にある。
また、本発明の熱電発電装置は、スラブ等の幅方向および長手方向に少なくとも一つの、熱電発電ユニットを具備している。そして、その熱電発電ユニットは、図2に示すような、スラブ等に対峙する受熱手段10と、少なくとも一つの熱電発電モジュール8と、放熱手段11とを有する。
なお、アルミニウムは融点が低いため、熱源に応じた熱設計を行い、熱に耐えられる場合に使用することができる。また、セラミックスは、熱伝導率が小さいため、受熱手段の中で温度差がついてしまうが、スラブ等とスラブ等の間に熱源が無い状態が発生する箇所においては、蓄熱効果も期待できるので使用することが可能である。
また、熱電発電ユニットの低温側をスプレー冷却などで水冷しても、低温側は効率よく冷却される。特に、熱電発電ユニットを熱源より下方に設置する場合には、スプレー冷却を適用しても、スプレーを適切に配置すれば、残水はテーブル下に落下して、熱電発電ユニットの高温側を冷却することなく、熱電発電ユニットの低温側は効率よく冷却される。スプレー冷却を行う場合には、スプレー冷媒が接触して冷却される側が放熱手段となる。
受熱手段10および/または放熱手段11である冷却板自体が絶縁材であったり、表面に絶縁材が被覆されたりしている場合は、絶縁材9の代替としても良い。図中、1は熱電発電ユニット、6は熱電素子、7は電極、9は絶縁材および8は熱電発電モジュールであり、10は受熱手段および11は放熱手段である。
また、熱電発電ユニットの大きさは、1m2以下とすることが好ましい。ユニットを1m2以下とすることで熱電発電モジュールの相互間や、熱電発電ユニット自体の変形を抑制することができるからである。より好ましくは、2.5×10−1m2以下である。なお、本発明では、上記した熱電発電ユニットを複数個同時に用いることができる。
上記移動手段は、図1および3に示すように、熱電発電ユニットを一体で上下に昇降移動できるものが挙げられる。また、前後左右に移動できるものであっても、特に問題無く使用できる。
また、上記移動手段は、図4に示すようなスライド式や図5に示すような開閉式の移動を司る移動手段としても良い。なお、温度変動が少ないところでは、距離を制御する移動手段が、例えば、ボルトで熱電発電ユニットを固定したり、スライド式のボルトで熱電発電ユニットを固定したりしたものであって、当該ボルトを緩めて移動させ、再び締めることによって熱電発電ユニットを移動させるなどの手動移動手段であっても構わない。
さらに、前述したようなスプレー冷却を行う場合、スプレー冷却装置自体は、熱電発電ユニット等と一体として移動させても良いし、移動させなくても良い。
すなわち、生成される電力予測により、熱電発電ユニットを稼動させる電力が、発電電力より小さいと予測される場合は、熱電発電ユニットを動作させなくてよい。さらに、熱電素子の耐熱温度を超えることが予測される場合は、熱電発電ユニットを、少なくとも耐熱温度以下となるまで退避させる。
また、上記稼働判断手段は、熱電発電ユニットの出力に応じ、発電領域から非発電領域への移動の可否を判断することができる。
鋳造機の後に配置された保持炉は、通常のガスバーナー炉とすることができる。保持炉と誘導炉の配置は順序が入れ替わっていても良い。また、バッチ圧延の場合に使用する加熱炉を用いても良い。
また、鋳造機14と保持炉15の間にはシャー21が、そして粗圧延機17の後にはシャー22が配置され、仕上げ圧延機18の後ろにはストリップシャー23が配置されている。
なお、本発明における熱電発電装置(熱電発電ユニット)の設置は、スラブ等の熱源の上方に限らず下方にも設置することができ、設置箇所も1箇所に限らず、複数箇所でも良い。
上記のカバーに、本発明に従う熱電発電ユニットを取り付けることができる。
ここでの粗バーの温度は、おおよそ1100℃前後であるが、片側を冷却して発電に必要な温度差を確保するための放熱手段を設けることで熱電ユニットの発電効率は効果的に向上する。
そして、熱源の温度と、最も熱電発電の効率のよい距離との関係をあらかじめ求めておけば、上記の温度計の測定値に応じて、例えば、図1および3に示したように熱電発電ユニット1と熱源5との距離を、その温度変動に応じて適切に制御することができる。
上掲図7に示したような関係を求めることで、熱電発電ユニットの出力に応じて、鋼材と熱電発電ユニットの距離を調節することが可能である。本発明では、上記した鋼材の代わりに熱源をスラブ等とし、熱電発電ユニットの出力が大きくなるように熱電発電ユニットとスラブ等との距離を調整する。その際、実測出力を用いても良いし、スラブ等の温度などから予測される出力値を用いても良い。
なお、上面部分が熱電発電ユニットより大きく開いていても問題はない。
また、熱延板の温度が1000℃の場合は、熱電発電ユニットと熱延板との距離を280mmに、また熱延板の温度が950℃の場合は、上記距離を90mmに移動させ制御すると、最も効率の良い熱電発電を行うことができる。
スラブ等の幅方向(スラブ等の進行方向に直角な方向)の温度分布は、スラブ等の幅中央から見て、スラブ等の幅端よりスラブ等の板厚から板厚の2倍程度の位置で急激に低下する場合が多いので、上記したように距離を制御することが好ましい。というのは、スラブ等の幅端部であって、上記の位置に相当する部分は、当該部分を移動させる電力に対して、得られる電力が少ないという結果になる可能性が大きいためである。
この実施形態に対し、前述した熱電発電ユニットとスラブ等との距離を制御する手段をさらに付加することで、実操業における熱源の温度変動等があった場合でも、さらに効率良く対応することができる熱電発電装置とすることができる。
例えば、図9において、熱源がスラブや粗バーの場合、ユニット中央部分の熱電発電モジュールの配置を55mm間隔で、端部分は60mm間隔とし、また、熱源が熱延板の場合、ユニット中央部分の熱電発電モジュールの配置を60mm間隔で、端部分は63mm間隔とすると、効率良く熱電発電が行える。また、前掲図7に示した熱電発電ユニット中の熱電発電モジュール間隔をパラメータとして熱電発電ユニットの出力を調査し、調査した結果を、本発明の熱電発電モジュール間隔設定のためのデータとして用いても良い。
上記の実施形態は、ユニット中の熱電発電モジュールの配置を粗密にしても良いし、ユニット自体を粗密に設置しても良い。
熱反射材は、図10(a)に示したように、スラブ等(熱源5)の両脇(図中、スラブ等の進行方向は、図面奥から手前である。)に、設置するのが、集熱効率の点で好ましい。
この実施形態は、図10に示したように、熱電発電ユニットの任意の箇所に集熱をさせることができるので、以下に述べるように、熱電発電装置の設置裕度が一層向上するという利点がある。
本発明における熱電発電ユニットは、図11(A)および(B)に示したように、スラブ等(熱源5)の外周部を囲む形状とすることもできる。
本発明で、スラブ等の側面や下面に熱電発電ユニットを設置する場合は、スラブ等からの熱による対流影響から、熱電発電装置とスラブ等との距離:dsを、その上面の距離:duと比して、ds≦duの関係を満足するように設置することが好ましい。
従って、図中例示した、距離:aおよびcは、上述した距離:duに相当するものとすれば、距離:bおよびdは、上述した距離:dsに相当するものとなる。なお、図中同一の記号で表したbは、それぞれが異なる距離であっても良いが、それぞれの距離が上記duおよびdsの関係を満足していることが重要である。
このように、本発明では、特に、上述したような、スラブ等の外周部を囲む熱電発電ユニットの場合、スラブ等(熱源)と熱電発電ユニットとの距離を、同一装置内であっても、適宜変えることができる。
この開口部は、通常、熱電発電ユニットで覆われているが、操業開始時には、この開口部から熱電発電ユニットを移動し、熱電発電装置を損傷させることなく、スラブ等が安定搬送できるようにしている。なお、この実施形態は、複数の熱電発電装置を用いて、熱源を囲む形態としても良い。
移動距離が大きくなると設備費も増大するため、上下に移動する場合は、3000mm遠方まで移動可能であればよい。好ましくは退避距離が、10mmから1000mmである。
熱電発電装置の上流側および/または下流側に距離センサを取り付け、距離センサの値を利用して、熱電装置の位置をフィードフォワードおよび/またはフィードバック制御してもよい。
もちろん、本発明は、全ての実施形態を同時に備えることにしても良いのは言うまでもない。
なお、実施の際、前述した複数の実施形態にかかる熱電発電装置を併せて用いることもできる。
その結果、定格出力に対し、幅方向中央で75%の出力を得た。また、幅端部は62%の出力であった。
その結果、定格出力に対し、幅方向中央でほぼ定格出力どおり発電となったが、幅端部では83%の出力であった。
その結果、幅方向全体でほぼ定格出力が得られた。
その結果、幅方向でほぼ定格出力が得られた。
その結果、熱電発電ユニットはほぼ定格出力を得ることができた。
その結果、熱電発電ユニットの数が増え、発明例4と比較しても2.2倍の出力が得られた。
すなわち、スラブの通板開始時は、上面の開口部から、熱電発電ユニットを退避させておき、安定通板後は上面の熱電発電装置をスラブに近接させる試験を実施した。なお、スラブは上記発明例2と同じ大きさで同様の温度分布のものを用いた。
その結果、定格出力が得られるとともに、他の熱電発電ユニットは稼働させないため、当該熱電発電ユニットを稼働させる分の操業コストが低減できた。
その結果、定格出力の1%程度しか出力が得られなかった。
2 移動手段
3 熱電発電装置
4 テーブルローラー
5 鋼材
6 熱電素子
7 電極
8 熱電発電モジュール
9 絶縁材
10 受熱手段
11 放熱手段
12 タンディッシュ
13 鋳型
14 鋳造機
15 保持炉
16 誘導炉
17 粗圧延機
18 仕上げ圧延機
19 水冷装置
20 コイラー
21,22 シャー
23 ストリップシャー
24 熱反射材
Claims (10)
- スラブ鋳造機、および圧延ラインを備える鋼板製造設備列において、
スラブおよび/または熱延板に対峙して配置された熱電発電ユニットと、該熱電発電ユニットの一体移動を行う移動手段とを具える熱電発電装置を、上記スラブ鋳造機のスラブ冷却装置およびスラブ切断装置における、スラブ冷却装置出側、スラブ切断装置内およびスラブ切断装置出側、並びに、上記圧延ラインの保持炉、誘導炉、圧延機およびローラーテーブルにおける、保持炉の前、保持炉の後、誘導炉の前、誘導炉の後、圧延機の前、圧延機の後、ローラーテーブル上およびローラーテーブル間、のうちから選ばれる少なくとも一の位置に備え、
かつ、
前記熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールが、対峙する前記スラブおよび/または熱延板の低温部と高温部とに配置されており、
前記熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、低温部に対して高温部を密に配置して、出力を高位に安定させることを特徴とする鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列。 - 前記熱電発電装置が、さらに、前記熱電発電ユニットの出力に応じて、熱電発電ユニットの稼働非稼働を判断する稼動判断手段を具えることを特徴とする請求項1に記載の鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列。
- 前記熱電発電ユニットを、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じて設置することを特徴とする請求項1または2に記載の鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列。
- 前記熱電発電ユニットを、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、高温部に対して低温部では近接して、熱電素子の高温面側と低温面側の温度差を高位に維持し、出力を高位に安定させるよう設置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列。
- 前記移動手段が、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の温度および/または熱電発電ユニットの出力を測定して求めた温度および/または出力に応じて、該熱電発電ユニットと該スラブおよび熱延板のうち少なくとも一との距離の制御を司ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列。
- 前記熱電発電装置が、さらに熱反射材を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列。
- 前記熱電発電装置が、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の外周部を囲む形状になることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列。
- 前記熱電発電装置は、熱電発電装置を退避させるために、少なくとも1箇所の開口部を設けていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列を用い、スラブおよび熱延板のうち少なくとも一の熱を受熱して熱電発電を行うことを特徴とする熱電発電方法。
- 前記鋳造および圧延を行う鋼板製造設備列の稼動判断手段を用いて、熱電発電ユニットの稼働を制御することを特徴とする請求項9に記載の熱電発電方法。
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