JP5998983B2 - 連続鋳造設備列およびそれを用いた熱電発電方法 - Google Patents
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Description
近年、製鉄工場等の製造設備では、例えば、上記のような熱電発電素子を用いた発電により、これまで廃熱として棄ててきたエネルギー、例えば、熱間スラブなどの鋼材の輻射による熱エネルギーを利用する取組みが推進されている。
特許文献2には、廃熱として処理されている熱エネルギーに、熱電素子モジュールを接触させて電気エネルギーに変換し、回収する方法が記載されている。
また、特許文献2では、モジュールを、熱源に対して固定する必要があるため、連続鋳造設備のように、移動する熱源に対しては、当該技術を適用できないという問題がある。
さらに、従来の熱電発電方法では、熱間スラブの先端もしくは後端などが熱源になる非定常状態において、熱間スラブの高さ変動などに起因する装置の破損を防ぐため、熱電発電装置を熱間スラブの遠方にしか設置することができない。そして、熱間スラブの遠方に設置したのでは、高温物体の熱エネルギーをうまく熱電発電装置に伝えられずに、効率的な電気エネルギーの変換ができないという問題があった。
本発明は上記知見に立脚するものである
1.スラブ冷却装置とスラブ切断装置とを備えた熱間スラブを連続鋳造する連続鋳造設備列において、
熱間スラブに対峙して配置された熱電発電ユニットと、該熱電発電ユニットの一体移動を行う移動手段とを具える熱電発電装置を、スラブ冷却装置出側からスラブ切断装置の上流、スラブ切断装置の下面およびスラブ切断装置出側のいずれかの位置に備え、かつ、該熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを、スラブの温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じ、低温部より高温部で密に配置することを特徴とする連続鋳造設備列。
図1は、本発明の熱電発電装置の一実施形態を説明する模式図である。図中、1は熱電発電ユニット、2は移動手段、3は熱電発電装置、4はテーブルローラーおよび5は熱源である。
本発明において、熱電発電装置3は、熱源5に対峙して配置された熱電発電ユニット1と、熱電発電ユニットの移動手段2とを具備している。なお、通常、熱源5はテーブルローラーの上面にある。
また、本発明の熱電発電装置は、スラブの幅方向および長手方向に少なくとも一つの、熱電発電ユニットを具備している。そして、その熱電発電ユニットは、以下に示すような、スラブに対峙する受熱手段と、少なくとも一つの熱電発電モジュールと、放熱手段とを有する。
なお、アルミニウムは融点が低いため、熱源に応じた熱設計を行い、熱に耐えられる場合に使用することができる。また、セラミックスは、熱伝導率が小さいため、受熱手段の中で温度差がついてしまうが、スラブとスラブの間に熱源が無い状態が発生する箇所においては、蓄熱効果も期待できるので使用することが可能である。
また、熱電発電ユニットの低温側をスプレー冷却などで水冷しても、低温側は効率よく冷却される。特に、熱電発電ユニットを熱源より下方に設置する場合には、スプレー冷却を適用しても、スプレーを適切に配置すれば、残水はテーブル下に落下して、熱電発電ユニットの高温側を冷却することなく、熱電発電ユニットの低温側は効率よく冷却される。スプレー冷却を行う場合には、スプレー冷媒が接触して冷却される側が放熱手段となる。
受熱手段10および/または放熱手段11である冷却板自体が絶縁材であったり、表面に絶縁材が被覆されたりしている場合は、絶縁材9の代替としても良い。図中、1は熱電発電ユニット、6は熱電素子、7は電極、9は絶縁材および8は熱電発電モジュールであり、10は受熱手段および11は放熱手段である。
なお、本発明に従う熱電発電モジュールの大きさは、1×10−2m2以下とすることが好ましい。モジュールの大きさを上述程度とすることで熱電発電モジュールの変形を抑制することができるからである。より好ましくは、2.5×10−3m2以下である。
また、熱電発電ユニットの大きさは、1m2以下とすることが好ましい。ユニットを1m2以下とすることで熱電発電モジュールの相互間や、熱電発電ユニット自体の変形を抑制することができるからである。より好ましくは、2.5×10−1m2以下である。
また、本発明では、複数の熱電発電ユニットを有する熱電発電装置としても良く、このように複数の熱電発電ユニット有する場合は、少なくとも一つの熱電発電ユニットに移動手段を有していれば良い。なお、上記移動手段の可動範囲は、熱電発電装置が発電可能な発電領域外までとすることが望ましい。
上記移動手段は、図1および3に示すように、熱電発電ユニットを一体で上下に昇降移動できるものが挙げられる。また、前後左右に移動できるものであっても、特に問題無く使用できる。
また、上記移動手段は、図4に示すようなスライド式や図5に示すような開閉式の移動を司る移動手段としても良い。なお、温度変動が少ないところでは、距離を制御する手段が、例えば、ボルトで熱電発電ユニットを固定したり、スライド式のボルトで熱電発電ユニットを固定したりしたものであって、当該ボルトを緩めてから移動させ、再び締めることによって熱電発電ユニットを移動させるなどの手動移動手段であっても構わない。
さらに、前述したようなスプレー冷却を行う場合、スプレー冷却装置自体は、熱電発電ユニット等と一体として移動させても移動させなくても良い。
すなわち、生成される電力予測により、熱電発電ユニットを稼動させる電力が、発電電力より小さいと予測される場合は、熱電発電ユニットを動作させなくてよい。さらに、熱電素子の耐熱温度を超えることが予測される場合は、熱電発電ユニットを、少なくとも耐熱温度以下となるまで退避させるのが好ましい。
また、上記稼働判断手段は、熱電発電ユニットの出力に応じ、発電領域から非発電領域への移動の可否を判断することができる。
連続鋳造工程は、高炉で作られた溶鋼が二次精錬を経て取鍋に入れられ、連続鋳造機の最上部に運ばれるところから始まる。そして、最上部の取鍋からタンディッシュに溶鋼を注入する。その後、溶鋼はタンディッシュの底部から鋳型へと注がれ、鋳型に接触した溶鋼は、表面から凝固し、冷却工程を経てスラブとなる。そして、さらにスラブを切断する切断工程等から成っている。
なお、本発明における熱電発電装置(熱電発電ユニット)の設置は、スラブの熱源の上方に限らず下方にも設置することができ、設置箇所も1箇所に限らず、複数箇所でも良い。また、スラブ切断装置の上流側に昇降機能付きで設置することもまたスラブ切断装置の下面に設置することもできる。さらには、調整用スラブを回収する、いわゆるダミーバーテーブル下面に、取り付けることも、設備の構造を増やさないという点で好ましい。
一方、スラブ切断装置出側ではスラブ切断から次のスラブ切断までの間、熱源であるスラブが熱電発電ユニット近くを通過する割合が間欠的になり、熱電発電出力量が小さくなる。そのため、例えば、切断後のスラブ搬送を連続鋳造速度と同等とし、熱源であるスラブが熱電発電装置近傍に位置するようにし、熱電発電出力量を大きくすることが好ましい。スラブの搬送速度をV1、連続鋳造速度をV0とすれば、V1≧V0を満足すればよく、V0≦V1≦1.1×V0となる条件が更に好ましい。熱電発電装置近傍をスラブが抜けた後は、従来プロセス程度に、スラブの搬送速度を上げて搬送すると、物流への影響が無視できると同時に効率の良い熱電発電が行えるため、そのように搬送することが好ましい。なお、本発明で熱電発電装置近傍とは、熱電発電ユニットがスラブから受ける熱量で、スラブ切断装置の位置より90%程度減少するところまでを言う。熱量が90%未満では、効率的な熱電発電が行えないからである。
そして、熱源の温度と、最も熱電発電の効率のよい距離との関係をあらかじめ求めておけば、上記の温度計の測定値に応じて、例えば、図1および3に示したように熱電発電ユニット1と熱源5との距離を、その温度変動に応じて適切に制御することができる。
上掲図7に示したような関係を求めることで、熱電発電ユニットの出力に応じて、鋼材と熱電発電ユニットの距離を調節することが可能である。すなわち、本発明では、上記した鋼材の代わりに熱源をスラブとし、発電出力が大きくなるように熱電発電ユニットとスラブとの距離を調整することができる。その際、実測出力を用いても良いし、スラブの温度などから予測される出力値を用いても良い。
幅方向の温度分布は、スラブ端部より板厚から板厚の2倍程度の位置(以下、幅端部という)で急激に低下する場合が多いので、熱電発電ユニットを予め移動させて制御することが好ましい。というのは、上記幅端部では、熱電発電ユニットを移動させる電力に対して、得られる電力が少ないという結果になる可能性が大きいためである。
なお、この実施形態に対し、前述した熱電発電ユニットとスラブとの距離を制御する手段を付加することで、実操業における熱源の温度変動等があった場合でも、さらに効率良く対応することができる熱電発電装置とすることができる。
例えば、図9において、熱源が1000℃のスラブで、スラブと熱電発電ユニットとの距離が640mmの場合、ユニット中央部分の熱電発電モジュールの配置を55mm間隔で、端部分は60mm間隔とすると、効率良く熱電発電が行える。また、前掲図7に示した熱電発電ユニット中の熱電発電モジュール間隔をパラメータとして熱電発電出力を調査し、調査した結果を、本発明の熱電発電モジュール間隔設定のためのデータとして用いても良い。
上記の実施形態は、ユニット中の熱電発電モジュールの配置を粗密にしても良いし、ユニット自体を粗密に設置しても良い。
なお、熱反射材は、図10(a)に示したように、スラブ(熱源5)の両脇(図中、スラブの進行方向は、図面奥から手前である。)に、設置するのが、集熱効率の点で好ましい。
この実施形態は、図10に示したように、熱電発電ユニットの任意の箇所に集熱をさせることができるので、以下に述べるように、熱電発電装置の設置裕度が一層向上するという利点がある。
さらに、熱反射材21の設置場所は、上掲した図10(a)および(b)のようにスラブの両サイドが考えられるが、熱電発電ユニットの設置位置に応じて、スラブの下部や上部に設置することもできる。
本発明における熱電発電ユニットは、図11(A)および(B)に示したように、スラブ(熱源5)の外周部を囲む形状とすることもできる。
本発明で、スラブの側面や下面に熱電発電ユニットを設置する場合は、スラブからの熱による対流影響から、熱電発電装置とスラブとの距離:dsを上面の距離:duと比して、ds≦duの関係を満足するように設置することが好ましい。
従って、図中例示した、距離:aおよびcは、上述した距離:duに相当するものとすれば、距離:bおよびdは、上述した距離:dsに相当するものとなる。なお、図中同一の記号で表したbは、それぞれが異なる距離であっても良いが、それぞれの距離が上記duおよびdsの関係を満足していることが重要である。
このように、本発明では、特に、上述したような、スラブの外周部を囲む熱電発電ユニットの場合、スラブ(熱源)と熱電発電ユニットとの距離を、同一装置内であっても、適宜変えることができる。
この開口部は、通常、熱電発電ユニットで覆われているが、操業開始時には、この開口部から熱電発電ユニットを移動し、熱電発電装置を損傷させることなく、スラブが安定搬送できるようにしている。なお、この実施形態は、複数の熱電発電装置を用いて、熱源を囲むこととしても良い。
通板初期などでは、図1に示すように、スラブが熱電発電装置に衝突しないように、パスラインから1000mm以上上昇させた状態に位置させる。ついで、スラブの高さ変動が小さくなった際には、熱電発電装置を移動装置により、図3に示したように、スラブに近接させた状態とする。これにより、従来に比べ著しく効率的な熱電発電が可能となる。なお、比較的板厚が厚いものや、連続的に通材され、スラブの高さ変動が小さい場合は、熱電発電装置を、スラブに連続的に近接させた状態とする。スラブと熱電発電装置は10mm以上離すことが好ましい。
移動距離が大きくなると設備費も増大するため、上下に移動する場合は、3000mm遠方まで移動可能であればよい。好ましくは10mmから1000mmである。
熱電発電装置の上流側および/または下流側に距離センサを取り付け、距離センサの値を利用して、熱電装置の位置をフィードフォワードおよび/またはフィードバック制御してもよい。
もちろん、本発明は、全ての実施形態を同時に備えることにしても良いのは言うまでもない。
なお、実施の際、前述した複数の実施形態にかかる熱電発電装置を併せて用いることもできる。
その結果、定格出力に対し、75%の出力を得た。また、幅端は62%の出力であった。
その結果、定格出力に対し、幅方向ほぼ定格出力どおり発電となったが、幅端部では83%の出力であった。
その結果、幅方向全体でほぼ定格出力が得られた。
その結果、幅方向でほぼ定格出力が得られた。
その結果、熱電発電ユニットはほぼ定格出力を得ることができた。
その結果、熱電発電ユニットの数が増え、発明例4と比較しても2.2倍の出力が得られた。
すなわち、熱間スラブの通材開始時は上面を開口部とし、安定通材後は上面の熱電発電装置を熱間スラブに近接させる試験を実施した。なお、熱間スラブは上記発明例2同じ大きさで同様の温度分布のものを用いた。
その結果、定格出力が得られるとともに、他の熱電発電ユニットは可動させないため、当該熱電発電ユニットを可動させる分の操業コストが低減できた。
その結果、定格出力の1%程度しか出力が得られなかった。
2 移動手段
3 熱電発電装置
4 テーブルローラー
5 鋼材
6 熱電素子
7 電極
8 熱電発電モジュール
9 絶縁材
10 受熱手段
11 放熱手段
12 取鍋
13 タンディッシュ
14 鋳型
15 スラブ冷却装置
16 矯正ロール等ローラー群
17 スラブ切断装置
18 温度計
19 熱電発電装置
20 ダミーバーテーブル
21 熱反射材
Claims (10)
- スラブ冷却装置とスラブ切断装置とを備えた熱間スラブを連続鋳造する連続鋳造設備列において、
熱間スラブに対峙して配置された熱電発電ユニットと、該熱電発電ユニットの一体移動を行う移動手段とを具える熱電発電装置を、スラブ冷却装置出側からスラブ切断装置の上流、スラブ切断装置の下面およびスラブ切断装置出側のいずれかの位置に備え、かつ、該熱電発電ユニット中の熱電発電モジュールを、熱間スラブの幅方向温度分布に応じ、低温部より高温部で密に配置することを特徴とする連続鋳造設備列。 - 前記熱電発電装置が、さらに、前記熱電発電ユニットの出力に応じて、該熱電発電ユニットの稼働非稼働を判断する稼動判断手段を具えることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造設備列。
- 前記熱電発電ユニットを、熱間スラブの温度および/または熱電発電ユニットの出力に応じて設置することを特徴とする請求項1または2に記載の連続鋳造設備列。
- 前記熱電発電ユニットを、熱間スラブの幅方向温度分布に応じ、高温部に対して低温部では近接して設置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の連続鋳造設備列。
- 前記移動手段が、熱間スラブの温度および/または熱電発電ユニットの出力を測定して求めた温度および/または出力に応じて、該熱電発電ユニットと該熱間スラブとの距離の制御を司ることを特徴とする請求項1乃至4に記載の連続鋳造設備列。
- 前記熱電発電装置が、さらに熱反射材を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の連続鋳造設備列。
- 前記熱電発電装置が、熱間スラブの外周部を囲む形状になることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の連続鋳造設備列。
- 前記熱電発電装置は、少なくとも1箇所の開口部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の連続鋳造設備列。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の連続鋳造設備列を用い、熱間スラブの熱を受熱して熱電発電を行うことを特徴とする熱電発電方法。
- スラブ切断装置出側に熱電発電装置を備えた連続鋳造設備列を用い、前記熱電発電装置に対峙した熱間スラブの搬送速度を、連続鋳造速度以上、連続鋳造速度の1.1倍以下の速度にすることを特徴とする請求項9に記載の熱電発電方法。
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