JP6107251B2 - 部材、自動車用部材及びガスケット - Google Patents
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Description
部材(A):塩化ビニル樹脂(A−1)及び可塑剤(A−2)を含む軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる部材
部材(B):下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(B−1)からなる部材
[5] 前記部材(B)が、硬質構造部である、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の部材。
レージングである、[6]に記載の自動車用部材。
本発明の部材は、下記部材(A)及び部材(B)が隣接してなるものである。
部材(A):塩化ビニル樹脂(A−1)及び可塑剤(A−2)からなる軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる部材
部材(B):環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(B−1)からなる部材
部材(A)は、塩化ビニル樹脂(A−1)及び可塑剤(A−2)を含む軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる部材である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含有される塩化ビニル樹脂(A−1)としては、塩化ビニル又は塩化ビニルと塩化ビニルに共重合可能な単量体との混合物を懸濁重合法、塊状重合法、微細懸濁重合法又は乳化重合法等の通常の方法によって製造された重合体又は共重合体から、任意に選択して使用することができる。
可塑剤(A−2)は部材(A)に柔軟性を付与する成分である。部材(A)の軟質塩化ビニル樹脂組成物において可塑剤(A−2)の含有量は、塩化ビニル樹脂100重量部に対して15重量部〜180重量部の範囲であることが好ましい。可塑剤の含有量が15重量部以上であると、得られる部材(A)をウインドモール等に用いた場合に十分な密閉効果を得やすいために好ましく、また、180重量部以下であると混練、成形の観点から好ましい。これらの効果を高めるため、可塑剤(A−2)の含有量は、45重量部以上であることがより好ましく、60重量部以上であることが更に好ましく、一方、160重量部以下であることがより好ましく、120重量部以下であることが更に好ましい。
ポリエステル等のポリエステル系可塑剤;ジイソノニルアジペート(DINA)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−n−オクチルアジペート、ジ−n−デシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化綿実油、液状エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤;トリブチルホスフェート、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリフェニルホスフェート、トリキシリルホスフェート、トリオクチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロエチルホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−2,3−ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラヘプチルエステル等のビフェニルテトラカルボン酸テトラアルキルエステル系可塑剤;塩素化パラフィン、五塩化ステアリン酸アルキルエステル等の塩素化脂肪酸エステル等を挙げることができる。以上に挙げた可塑剤(A−2)はいずれも、1種のみで使用することも、2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で使用することもできる。なお、可塑剤(A−2)は、例えばジェイ・プラス社、ADEKA社等から市販品として入手することができる。
本発明における部材(A)の軟質塩化ビニル樹脂組成物において、塩化ビニル樹脂(A−1)は熱や光により脱塩酸し分解することがある為、塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)を含むことが好ましい。塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)の含有量は、塩化ビニル樹脂(A−1)100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましく、1〜15重量部であることがより好ましい。
本発明において、本発明の効果を著しく妨げない範囲で、部材(A)には塩化ビニル樹脂(A−1)、可塑剤(A−2)及び塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)の他、塩化ビニル樹脂(A−1)以外の樹脂や添加剤等、その他の成分を含んでいてもよい。塩化ビニル樹脂(A−1)以外の樹脂としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピ
レン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等のオレフィン系共重合体;アクリル系ゴム;ニトリルブタジエンゴム;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;メタクリル系樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂;ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂等を挙げることができる。また、添加剤等としては、各種の熱安定剤(ただし、塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)を除く。)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、光安定剤(ただし、塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)を除く。)、結晶核剤、衝撃改良剤、顔料、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、相溶化剤、粘着性付与剤等が挙げられる。これらの塩化ビニル樹脂(A−1)以外の樹脂や添加剤等は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で組み合わせて用いてもよい。なお、これらの塩化ビニル樹脂(A−1)以外の樹脂や添加剤等は通常、塩化ビニル樹脂(A−1)、可塑剤(A−2)及び塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)の合計100重量部に対し、通常、100重量部以下、好ましくは50重量部以下、より好ましくは15重量部以下で用いられる。
部材(B)は、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(B−1)からなる部材である。部材(B)において、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(B−1)を用いることにより、部材(A)中の可塑剤が移行しにくく、耐薬品性に優れた部材とすることができる。これは環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位により可塑剤との相溶性が低くなることによるものと推定される。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(α)」と称することがある。)と、炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。即ち、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、炭酸ジエステルに由来する構造単位とを含む。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(本発明において、「構造単位(a)」と称することがある。)を含むものである。環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物においては、環状構造が単環であっても多環であってもよいが、環状エーテル構造を複数有するものが好ましく、更には環状エーテル構造を2つ有するものが好ましく、特にはそれら2つの環状エーテル構造が同一構造のものであることが好ましい。より具体的には下記式(1)、(3)又は(4)で表される分子内に環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物が挙げられ、好ましくは下記式(1)又は(3)で表されるジヒドロキシ化合物であり、特に耐熱性の観点から環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物の中でも、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物が好ましい。
族炭化水素のジヒドロキシ化合物;1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール等のシクロヘキサンジオール類、4−シクロヘキセン−1,2−ジオール等のシクロへキセンジオール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のシクロへキサンジメタノール類、4−シクロヘキセン−1,2−ジオール等のシクロヘキセンジメタノール類、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール等のノルボルナンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール等の脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のオキシアルキレングリコール類;9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル等の芳香族ビスフェノール類等が挙げられる。以上に挙げたジヒドロキシ化合物は1種のみでも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
族環を有するものについては、耐薬品性の観点からはポリカーボネート樹脂(B−1)の分子構造内に芳香環構造を少なくすることが好ましい。このため、芳香族環を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位は全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対し、好ましくは20mol%以下、より好ましくは15mol%以下、更に好ましくは10mol%以下、特に好ましくは5mol%以下である。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は、上述した本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。即ち、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は、炭酸ジエステルに由来すル構造単位を含むものであり、また、用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(2)で表されるものが挙げられる。このような炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は、通常、上述のように本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(2)で表される炭酸ジエステルとをエステル交換反応させることにより製造することができる。より具体的には、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は、通常、エステル交換反応触媒の存在下でステル交換反応を行い、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得ることができる。ポリカーボネート樹脂(B−1)の製造方法については、特開2008−024919号公報、特開2009−161745号公報、特開2011−111614号公報等に詳細な記載があり、これらの方法に従って実施すればよい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上であり、0.35dL/g以上が好ましく、通常1.20dL/g以下であり、1.00dL/g以下が好ましく、0.80dL/g以下がより好ましい。ポリカーボネート樹脂(B−1)の還元粘度が上記下限値以上であ
ると、成形品の機械的強度が良好となる傾向にあり、一方、上記上限値以下であると、成形する際の流動性が良好となり、生産性や成形性が良好と傾向にある。なお、還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
本発明において、本発明の効果を著しく妨げない範囲で、部材(B)にはポリカーボネート樹脂(B−1)の他、ポリカーボネート樹脂(B−1)以外の樹脂や添加剤等、その他の成分を含んでいてもよい。ポリカーボネート樹脂(B−1)以外の樹脂としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等のオレフィン系共重合体;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂(B−1)以外のポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂等を挙げることができる。また、添加剤等としては、各種の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、可塑剤、光安定剤、結晶核剤、衝撃改良剤、顔料、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、相溶化剤、粘着性付与剤等が挙げられる。これらのポリカーボネート樹脂(B−1)以外の樹脂や添加剤等は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で組み合わせて用いてもよい。なお、これらのポリカーボネート樹脂(B−1)以外の樹脂や添加剤等は通常、ポリカーボネート樹脂(B−1)100重量部に対し、通常、100重量部未満で用いられる。
本発明において、「部材」とは、部材(A)と部材(B)とが単に接触している状態のみならず、接着している状態をも含む概念として用いられる。また、本発明の部材は部材(A)における可塑剤(A−2)が部材(B)にしにくいという効果を有するが、例えば、部材(A)と部材(B)との間に可塑剤が移行しやすいような他の材料からなる層が含まれていたとしてもよい。他の層としては例えば、接着層、バリア層等が挙げられる。
本発明の部材は、部材(A)における軟質塩化ビニル樹脂組成物に含まれる可塑剤の部材(B)への移行の影響を受けにくいので、軟質塩化ビニル樹脂組成物とポリカーボネート樹脂とが隣接することが想定される各種の用途に好適に用いることができる。このような適用用途の例としては、自動車用部材;建材;家電、医療機材等の産業資材等が例示さ
れ、これらの中でも自動車用部材、建材として好適である。特に、本発明における部材(A)をウインドモールとして用い、また、部材(B)をガラス代替の熱可塑性樹脂グレージングとした構成の自動車用部材、硬質構造部として部材(B)を用い、これに対してシール性を付与する目的で成形されるヒレとして部材(A)を用いるようなガスケットの建材等の用途に好適である。
以下の実施例および比較例において、熱可塑性樹脂組成物の製造に用いた原料および得られた熱可塑性樹脂組成物の評価方法は以下の通りである。
[塩化ビニル樹脂(A−1)]
A−1a:塩化ビニル樹脂(信越化学工業社製 平均重合度:2500)
A−2a:ポリエステル系可塑剤 アジピン酸系ポリエステル(ジェイ・プラス社製 D633)
A−2b:フタル酸エステル系可塑剤 ジイソデシルフタレート(ジェイ・プラス社製 DINP)
A−2c:フタル酸エステル系可塑剤 ジイソノニルフタレート(ジェイ・プラス社製 DIDP)
A−2d:脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤 ジイソノニルアジペート(ジェイ・プラス社製 DINA)
A−2e:トリメリット酸エステル系可塑剤 トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)(ジェイ・プラス社製 TOTM)
A−3a:Ca/Zn系複合安定剤(ADEKA社製)
[ポリカーボネート樹脂(B−1)]
B−1a:原料の仕込み組成モル比をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム=0.70/0.30/1.00/1.3×10−6として得られたポリカーボネート(イソソルビドとシクロヘキサンジメタノールの組成モル比7:3、還元粘度:0.41dL/g、ガラス転移温度122℃)
B−1b:原料の仕込み組成モル比をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム=0.50/0.50/1.00/1.3×10−6として得られたポリカーボネート(イソソルビドとシクロヘキサンジメタノールの組成モル比1:1、還元粘度:0.60dL/g、ガラス転移温度96℃)
なお、上記の略号の意味は以下の通りである。
・ISB:イソソルビド(ロケットフルーレ製 POLYSPRB)
・CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(新日本理化社製 SKY CHDM)
・DPC:ジフェニルカーボネート(三菱化学社製)
B−2a:ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(三菱化学エンジニアリングプラスチックス社製 ノバレックス(登録商標)7022IR)
<実施例1−1>
[ポリカーボネート樹脂プレートの製造]
ポリカーボネート樹脂のペレットを、熱風乾燥機を用いて、80℃で6時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート樹脂のペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、樹脂温度240℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒間の条件で射出成形し、ポリカーボネート樹脂プレート(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)を製造した。
表−1に示す軟質塩化ビニル系樹脂組成物の原料をビーカー中で攪拌後、150℃のミルロールで混練し、シート状に成形した。このシートをプレス成形機にて成形温度180℃、成形圧力200kg/cm2の条件で2mmの厚みに成形し、評価用テストピースを作成した。
図−1に示すように、ガラス板の上にポリカーボネート樹脂のシート(50mm×50mm)を置き、その上に軟質塩化ビニル樹脂組成物のテストピース(30mm×10mm)を2点設置し、さらにガラス板と重り(1kg)を乗せ、可塑剤移行試験用部材を作成した。
可塑剤移行試験用部材について可塑剤のポリカーボネート樹脂への移行を促進させる為、80℃のギヤオーブンにて200時間加熱した。その後、可塑剤移行試験用部材を取り出し、部材(B)の表面を観察して可塑剤の移行によるクラックの差を確認した。以下の基準で評価した。
○:表面に可塑剤が移行したことによる痕跡が殆ど無い。
△:表面に可塑剤が移行したことによる痕跡が認められる。
×:表面に可塑剤が移行したことによるクラックや膨潤が認められる。
塩化ビニル樹脂組成物の配合及び/又はポリカーボネート樹脂の種類を表−1に示すように変更した以外は実施例1−1と同様にして部材を製造した。また、得られた部材について実施例1−1と同様に移行性試験を行った。得られた結果を表−1に示す。
表−2に示すように可塑剤の配合量を変更した以外は、それぞれ実施例1−1〜1−10、比較例1〜1〜1−4のそれぞれと同様に実施した。結果を表−2に示す。
実施例1−1、1−2及び比較例1−1は、比較的移行しにくいことが知られている可塑剤である、ポリエステル系可塑剤(A−2a)を用いた例である。実施例1−1、1−2では可塑剤の移行によるクラックや膨潤は殆ど認められなかったが、比較例1−1では
表面に可塑剤が移行したことによるクラックや膨潤が認められた。また、ポリエステル系可塑剤と同様、移行しにくい可塑剤であることが知られているトリメリット酸エステル(A−2a)を用いた実施例1−9、1−10においても良好な結果が得られた。
Claims (8)
- 前記部材(A)において、前記塩化ビニル樹脂(A−1)100重量部に対し、前記可塑剤(A−2)を15〜180重量部含む、請求項1に記載の部材。
- 前記部材(A)において、前記可塑剤(A−2)がトリメリット酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤からなる群のうちの少なくとも1つである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部材。
- 前記部材(B)が、硬質構造部である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の部材。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の部材からなる自動車用部材。
- 前記部材(A)がウインドモールであり、かつ前記部材(B)が熱可塑性樹脂グレージングである、請求項6に記載の自動車用部材。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の部材からなるガスケット。
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