JP6107251B2 - 部材、自動車用部材及びガスケット - Google Patents

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Description

本発明は、軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる部材に含まれる可塑剤がポリカーボネート樹脂からなる部材に移行することによるクラック、機械強度や透明性の低下等が発生しにくい部材に関する。また、本発明は、この部材からなる自動車用部材及びガスケットに関する。
近年、自動車の軽量化やデザイン性向上を目的にサイドガラス、リアガラス、サンルーフ等の窓ガラスを熱可塑性樹脂グレージングに代替する試みがなされている。このような熱可塑性樹脂グレージングとしては、例えば、耐衝撃性や断熱性が優れることからポリカーボネート樹脂が使用されている。通常、ガラスとボディとの機密性を高めるためにガラスの回りのウインドモールにはゴム、軟質塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン系エラストマーが使用されることが考えられるが、コスト、成形性、意匠性、耐傷付き性、耐候性等を総合的に考えた場合、軟質塩化ビニル樹脂を使用することが望ましい。
このような熱可塑性樹脂グレージングを考えた場合、ポリカーボネート樹脂を成形後、更に軟質塩化ビニル樹脂をその外周部に積層、射出成形により合成樹脂製部材を得る方法が考えられる。しかしながら、通常のポリカーボネート樹脂を用いてこのように塩化ビニル樹脂と接触させた場合、ポリカーボネート樹脂の残存応力と塩化ビニル樹脂中の可塑剤の移行によりクラックが発生し、機械強度の低下や白化による透明性低下等の問題が起こりうる。このような問題点を解決するため、特許文献1〜3においては軟質塩化ビニル樹脂に使用される可塑剤に比較的分子量が大きく移行性が良好なトリメリット酸エステル、ビフェニルテトラカルボン酸アルキルエステルやポリエステル系可塑剤を用いることにより、移行の影響を少なくすることが記載されている。また、特許文献4や特許文献5ではポリカーボネート層とポリ塩化ビニル層の間に可塑剤移行防止層を設けることにより可塑剤の移行によるクラックの抑制を実施することが記載されている。
特開2005−230058号公報 特開平7−246667号公報 特開平11−199730号公報 特開平6−218761号公報 特開平10−030325号公報
前記特許文献1〜3においては比較的分子量が大きいことから可塑剤効率が低いという問題や、可塑剤として特定のものを用いなければならないことから、その用途によって材料設計の自由度が限られるという問題がある。また、特許文献4〜5においては可塑剤移行防止層を別途積層させるために工程数の増加やコストが高くなってしまうという問題がある。
本発明は上記のような問題点を解決することを目的とするものであり、軟質塩化ビニル樹脂組成物中の可塑剤がポリカーボネート樹脂に移行することによるクラック、機械強度や透明性の低下等の発生が起こりにくく、また、軟質塩化ビニル樹脂組成物に含まれる可塑剤の種類等、材料設計の自由度の高い部材を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明を完成させた。本発明の要旨は以下の[1]〜[8]に存する。
[1] 下記部材(A)と下記部材(B)が隣接してなる部材。
部材(A):塩化ビニル樹脂(A−1)及び可塑剤(A−2)を含む軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる部材
部材(B):下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(B−1)からなる部材
Figure 0006107251
[2] 前記部材(A)において、前記塩化ビニル樹脂(A−1)100重量部に対し、前記可塑剤(A−2)を15〜180重量部含む、[1]に記載の部材。
] 前記部材(B)において、前記ポリカーボネート樹脂(B−1)が下記式(2)で表される炭酸ジエステルに由来する構造単位を含む、[1]又は2]に記載の部材。
Figure 0006107251
(上記式(2)において、A及びAは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数18の脂肪族炭化水素基、又は、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基である。)
] 前記部材(A)において、前記可塑剤(A−2)がトリメリット酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤からなる群のうちの少なくとも1つである、[1]乃至[]のいずれか1つに記載の部材。
[5] 前記部材(B)が、硬質構造部である、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の部材。
[6] [1]乃至[5]のいずれか1つに記載の部材からなる自動車用部材。
[7] 前記部材(A)がウインドモールであり、かつ前記部材(B)が熱可塑性樹脂グ
レージングである、[6]に記載の自動車用部材。
[8] [1]乃至[5]のいずれか1つに記載の部材からなるガスケット。
本発明によれば、軟質塩化ビニル樹脂組成物中の可塑剤がポリカーボネート樹脂からなる部材に移行して発生するクラックによる機械強度の低下や透明性の低下等が起こりにくく、また、軟質塩化ビニル樹脂組成物に含まれる可塑剤の種類等、材料設計の自由度の高い部材が提供される。また、この部材からなる自動車用部材、ガスケットが提供される。
図−1は実施例、比較例において製造した可塑剤移行試験用部材の模式図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
〔部材〕
本発明の部材は、下記部材(A)及び部材(B)が隣接してなるものである。
部材(A):塩化ビニル樹脂(A−1)及び可塑剤(A−2)からなる軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる部材
部材(B):環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(B−1)からなる部材
[部材(A)]
部材(A)は、塩化ビニル樹脂(A−1)及び可塑剤(A−2)を含む軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる部材である。
<塩化ビニル樹脂(A−1)>
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含有される塩化ビニル樹脂(A−1)としては、塩化ビニル又は塩化ビニルと塩化ビニルに共重合可能な単量体との混合物を懸濁重合法、塊状重合法、微細懸濁重合法又は乳化重合法等の通常の方法によって製造された重合体又は共重合体から、任意に選択して使用することができる。
塩化ビニルに共重合可能な単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;ジブチルマレエート、ジエチルマレエート等のマレイン酸エステル類;ジブチルフマレート、ジエチルフマレート等のフマル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルオクチルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類;エチレン、プロピレン、スチレン等のα−オレフィン類;塩化ビニリデン、臭化ビニル等の塩化ビニル以外のハロゲン化ビニリデン又はハロゲン化ビニル類;ジアリルフタレート、エチレングリコールジメタクリレート等の多官能性単量体が挙げられるが、使用される単量体は、上述のものに限定されるものではない。これらの単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩化ビニル樹脂(A−1)の製造に、上記の単量体を用いる場合、該単量体は塩化ビニル樹脂(A−1)の構成成分中、30重量%以下の範囲となるように用いることが好ましく、20重量%以下の範囲となるように用いることがより好ましい。塩化ビニル樹脂(A−1)には、ポリエチレンを塩素化した塩素化ポリエチレンや、上述の方法によって製造されたものを後塩素化した後塩素化ポリ塩化ビニル等を含み、また重合時に架橋剤を添加することにより架橋させたテトラヒドロフラン(以下、THFと称することがある。)に不溶解の架橋ゲル分を含む架橋塩化ビニル樹脂も含まれる。なお、塩化ビニル樹脂(A−1)は信越化学工業社や大洋塩ビ社等から市販品として入手することもできる。
塩化ビニル樹脂(A−1)の平均重合度は、その加工性、成形性、物理特性から、JIS K6721に基づいた平均重合度が700〜3800の範囲であることが好ましく、より好ましくは1300〜3000の範囲である。平均重合度が上記下限値以上になると得られる塩素系熱可塑性樹脂組成物の物理特性がより良好となる傾向にあり、また上記上限値以下であると加工性、成形性がより良好となる傾向にある。
本発明において成形品の意匠面を制御する目的で塩化ビニル樹脂(A−1)として、先述の架橋ゲル分を含む架橋塩化ビニル樹脂を使用することができる。架橋塩化ビニル樹脂がTHF不溶解の架橋ゲル分を含むとき、架橋ゲル分は60重量%以下、好ましくは50重量%以下であるのが望ましく、かつTHFに溶解した部分の平均重合度が上述の範囲にあるのが望ましい。なお、架橋塩化ビニル樹脂は、前記架橋ゲル分のものをそのまま使用してもよいし、または上記ゲル分を超えるものを製造し、これを適宜塩化ビニル樹脂と配合して架橋ゲル分の含有率を調整してもよい。上記架橋ゲル分が上記上限値を超えると引張強さ等の機械的物性が低下する傾向がある。なお、本発明において、THF不溶解の架橋ゲル分は、塩化ビニル樹脂2gをTHF30mlに攪拌しながら投入し、25℃の温度で24時間放置する。その後テフロン(登録商標)製の濾紙(メッシュサイズ1μm)を用いて濾過し、この操作を3回繰り返した後の不溶解分重量を求めた百分率である。
なお、塩化ビニル樹脂(A−1)として、未架橋の塩化ビニル樹脂を使用すると、艶のある外観の成形体を得ることができる。また、塩化ビニル樹脂(A−1)として架橋塩化ビニル樹脂を使用すると、艶のない外観の成形体を得ることができる。これらは本発明の熱可塑性樹脂組成物を適用する用途に合わせて適宜選択して使用するとよい。
<可塑剤(A−2)>
可塑剤(A−2)は部材(A)に柔軟性を付与する成分である。部材(A)の軟質塩化ビニル樹脂組成物において可塑剤(A−2)の含有量は、塩化ビニル樹脂100重量部に対して15重量部〜180重量部の範囲であることが好ましい。可塑剤の含有量が15重量部以上であると、得られる部材(A)をウインドモール等に用いた場合に十分な密閉効果を得やすいために好ましく、また、180重量部以下であると混練、成形の観点から好ましい。これらの効果を高めるため、可塑剤(A−2)の含有量は、45重量部以上であることがより好ましく、60重量部以上であることが更に好ましく、一方、160重量部以下であることがより好ましく、120重量部以下であることが更に好ましい。
可塑剤(A−2)としては、例えば、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジウンデシルフタレート(DUP)、炭素原子数10〜13程度の高級アルコール又は混合アルコールのフタル酸エステル等のフタル酸エステル系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、ジ−n−オクチル−n−デシルトリメリレート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;テトラ−2−エチルヘキシルピロメリレート(TOPM)等のピロメリット酸エステル系可塑剤;アジピン酸系
ポリエステル等のポリエステル系可塑剤;ジイソノニルアジペート(DINA)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−n−オクチルアジペート、ジ−n−デシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化綿実油、液状エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤;トリブチルホスフェート、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリフェニルホスフェート、トリキシリルホスフェート、トリオクチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロエチルホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−2,3−ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラヘプチルエステル等のビフェニルテトラカルボン酸テトラアルキルエステル系可塑剤;塩素化パラフィン、五塩化ステアリン酸アルキルエステル等の塩素化脂肪酸エステル等を挙げることができる。以上に挙げた可塑剤(A−2)はいずれも、1種のみで使用することも、2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で使用することもできる。なお、可塑剤(A−2)は、例えばジェイ・プラス社、ADEKA社等から市販品として入手することができる。
以上で挙げた中でも、塩化ビニル樹脂との相溶性が良好であるという観点から極性基を有する可塑剤を用いることが好ましく、特に、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤等が可塑化効率と耐ブリード性が良好であり好ましい。可塑化効率やコストの観点からフタル酸エステル系可塑剤及び脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤が更に好ましいが、本発明においてはこれらの移行しやすい可塑剤においても好適に使用することができる。
<塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)>
本発明における部材(A)の軟質塩化ビニル樹脂組成物において、塩化ビニル樹脂(A−1)は熱や光により脱塩酸し分解することがある為、塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)を含むことが好ましい。塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)の含有量は、塩化ビニル樹脂(A−1)100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましく、1〜15重量部であることがより好ましい。
塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、ケイ酸鉛、塩基性炭酸鉛等の無機塩類;鉛、カドミウム、バリウムカルシウム、亜鉛等金属の有機酸塩を主体とする金属石ケン;Ba−Zn系複合安定剤、Ca−Zn系複合安定剤、Cd−Ba系複合安定剤等の複合系安定剤;脂肪酸(ホスファイト)系、カルボキシレート(ホスファイト)系の複合金属石ケン又は複合液状金属石ケン;有機スズ系化合物等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)は例えば、ADEKA社等から市販品として入手することができる。
<その他の成分>
本発明において、本発明の効果を著しく妨げない範囲で、部材(A)には塩化ビニル樹脂(A−1)、可塑剤(A−2)及び塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)の他、塩化ビニル樹脂(A−1)以外の樹脂や添加剤等、その他の成分を含んでいてもよい。塩化ビニル樹脂(A−1)以外の樹脂としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピ
レン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等のオレフィン系共重合体;アクリル系ゴム;ニトリルブタジエンゴム;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;メタクリル系樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂;ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂等を挙げることができる。また、添加剤等としては、各種の熱安定剤(ただし、塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)を除く。)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、光安定剤(ただし、塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)を除く。)、結晶核剤、衝撃改良剤、顔料、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、相溶化剤、粘着性付与剤等が挙げられる。これらの塩化ビニル樹脂(A−1)以外の樹脂や添加剤等は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で組み合わせて用いてもよい。なお、これらの塩化ビニル樹脂(A−1)以外の樹脂や添加剤等は通常、塩化ビニル樹脂(A−1)、可塑剤(A−2)及び塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)の合計100重量部に対し、通常、100重量部以下、好ましくは50重量部以下、より好ましくは15重量部以下で用いられる。
[部材(B)]
部材(B)は、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(B−1)からなる部材である。部材(B)において、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(B−1)を用いることにより、部材(A)中の可塑剤が移行しにくく、耐薬品性に優れた部材とすることができる。これは環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位により可塑剤との相溶性が低くなることによるものと推定される。
<ポリカーボネート樹脂(B−1)>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(α)」と称することがある。)と、炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。即ち、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、炭酸ジエステルに由来する構造単位とを含む。
(ジヒドロキシ化合物)
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(本発明において、「構造単位(a)」と称することがある。)を含むものである。環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物においては、環状構造が単環であっても多環であってもよいが、環状エーテル構造を複数有するものが好ましく、更には環状エーテル構造を2つ有するものが好ましく、特にはそれら2つの環状エーテル構造が同一構造のものであることが好ましい。より具体的には下記式(1)、(3)又は(4)で表される分子内に環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物が挙げられ、好ましくは下記式(1)又は(3)で表されるジヒドロキシ化合物であり、特に耐熱性の観点から環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物の中でも、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物が好ましい。
Figure 0006107251
前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂(B−1)中における全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対する構造単位(a)の割合は、10mol%以上であることが好ましく、20mol%以上であることがより好ましく、30mol%以上であることが更に好ましい。構造単位(a)を上記下限値以上とすることにより、本発明の部材に耐薬品性を付与することができる。一方、全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対する構造単位(a)の割合の上限は100mol%であるが、次に説明するような、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(以下、「構造単位(b)」と称することがある。)を導入することにより種々の物性改善の効果を得ることができる。このため、適宜、所望の物性に合わせて構造単位(a)の割合の上限を決定すればよい。
その他のジヒドロキシ化合物として、具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物;ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール等の直鎖分岐脂肪
族炭化水素のジヒドロキシ化合物;1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール等のシクロヘキサンジオール類、4−シクロヘキセン−1,2−ジオール等のシクロへキセンジオール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のシクロへキサンジメタノール類、4−シクロヘキセン−1,2−ジオール等のシクロヘキセンジメタノール類、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール等のノルボルナンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール等の脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のオキシアルキレングリコール類;9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル等の芳香族ビスフェノール類等が挙げられる。以上に挙げたジヒドロキシ化合物は1種のみでも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
これらの中でも、ハンドリングのしやすさ、重合時の反応性の高さ、色相をより良好なものにする等の観点から、オキシアルキレングリコール類、特にジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が好ましい。また、耐衝撃性の観点からは、脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物、特にシクロヘキサンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール等が好ましい。
ポリカーボネート樹脂(B−1)において構造単位(b)の割合を含むことで種々の物性を向上させることができる。このため、ポリカーボネート樹脂(B−1)にける構造単位(b)の割合は、前記構造単位(a)と前記構造単位(b)との合計100mol%に対し、好ましくは20mol%以上、より好ましくは40mol%以上であり、一方、ポリカーボネート樹脂組成物の耐光性や色相を良好なものとする観点から、構造単位(b)の割合は、構造単位(a)と前記構造単位(b)との合計100mol%に対し、好ましくは90mol%以下、より好ましくは80mol%以下である。更に、構造単位(b)を含む場合には、その他のジヒドロキシ化合物として、芳香族ビスフェノール類等の芳香
族環を有するものについては、耐薬品性の観点からはポリカーボネート樹脂(B−1)の分子構造内に芳香環構造を少なくすることが好ましい。このため、芳香族環を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位は全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対し、好ましくは20mol%以下、より好ましくは15mol%以下、更に好ましくは10mol%以下、特に好ましくは5mol%以下である。
(炭酸ジエステル)
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は、上述した本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。即ち、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は、炭酸ジエステルに由来すル構造単位を含むものであり、また、用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(2)で表されるものが挙げられる。このような炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
Figure 0006107251
(上記式(2)において、A及びAは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数18の脂肪族炭化水素基、又は、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基である。)
上記式(2)において、A及びAは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数18の脂肪族炭化水素基、又は、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基である。A及びAは、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基であることが好ましく、無置換の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
前記式(2)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジアリール、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等の置換ジアルキルが例示される。これらの中でも好ましくは置換ジアリールであり、置換ジアリールの中でもジフェニルカーボネートが好ましい。
(製造方法)
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は、通常、上述のように本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(2)で表される炭酸ジエステルとをエステル交換反応させることにより製造することができる。より具体的には、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)は、通常、エステル交換反応触媒の存在下でステル交換反応を行い、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得ることができる。ポリカーボネート樹脂(B−1)の製造方法については、特開2008−024919号公報、特開2009−161745号公報、特開2011−111614号公報等に詳細な記載があり、これらの方法に従って実施すればよい。
(物性)
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B−1)の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上であり、0.35dL/g以上が好ましく、通常1.20dL/g以下であり、1.00dL/g以下が好ましく、0.80dL/g以下がより好ましい。ポリカーボネート樹脂(B−1)の還元粘度が上記下限値以上であ
ると、成形品の機械的強度が良好となる傾向にあり、一方、上記上限値以下であると、成形する際の流動性が良好となり、生産性や成形性が良好と傾向にある。なお、還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
ポリカーボネート樹脂(B−1)は、部材(B)の耐衝撃性を向上させる観点から、ガラス転移温度(Tg)が170℃未満であることが好ましく、155℃未満であることがより好ましく、145℃未満であることが更に好ましく、140℃未満であることが特に好ましい。また、耐熱性を高める観点から、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上であることが好ましく、90℃以上であることが好ましく、110℃以上であることが更に好ましい。なお、ポリカーボネート樹脂(B−1)のガラス転移温度(Tg)は、前記構造単位(a)に加えて構造単位(b)を適宜選択して導入すること等により制御することができる。ポリカーボネート樹脂(B−1)のガラス転移温度は次の方法により測定される値である。まず、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製の「DSC220」)を用いて、ポリカーボネート樹脂約10mgを10℃/minの昇温速度で加熱してDSC曲線を測定する。次いで、JIS K7121(1987年)に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分における曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である補外ガラス転移開始温度を求め、これをガラス転移温度(Tg)とする。
<その他の成分>
本発明において、本発明の効果を著しく妨げない範囲で、部材(B)にはポリカーボネート樹脂(B−1)の他、ポリカーボネート樹脂(B−1)以外の樹脂や添加剤等、その他の成分を含んでいてもよい。ポリカーボネート樹脂(B−1)以外の樹脂としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等のオレフィン系共重合体;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂(B−1)以外のポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂等を挙げることができる。また、添加剤等としては、各種の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、可塑剤、光安定剤、結晶核剤、衝撃改良剤、顔料、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、相溶化剤、粘着性付与剤等が挙げられる。これらのポリカーボネート樹脂(B−1)以外の樹脂や添加剤等は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で組み合わせて用いてもよい。なお、これらのポリカーボネート樹脂(B−1)以外の樹脂や添加剤等は通常、ポリカーボネート樹脂(B−1)100重量部に対し、通常、100重量部未満で用いられる。
[部材の形態]
本発明において、「部材」とは、部材(A)と部材(B)とが単に接触している状態のみならず、接着している状態をも含む概念として用いられる。また、本発明の部材は部材(A)における可塑剤(A−2)が部材(B)にしにくいという効果を有するが、例えば、部材(A)と部材(B)との間に可塑剤が移行しやすいような他の材料からなる層が含まれていたとしてもよい。他の層としては例えば、接着層、バリア層等が挙げられる。
[部材の用途]
本発明の部材は、部材(A)における軟質塩化ビニル樹脂組成物に含まれる可塑剤の部材(B)への移行の影響を受けにくいので、軟質塩化ビニル樹脂組成物とポリカーボネート樹脂とが隣接することが想定される各種の用途に好適に用いることができる。このような適用用途の例としては、自動車用部材;建材;家電、医療機材等の産業資材等が例示さ
れ、これらの中でも自動車用部材、建材として好適である。特に、本発明における部材(A)をウインドモールとして用い、また、部材(B)をガラス代替の熱可塑性樹脂グレージングとした構成の自動車用部材、硬質構造部として部材(B)を用い、これに対してシール性を付与する目的で成形されるヒレとして部材(A)を用いるようなガスケットの建材等の用途に好適である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔原料〕
以下の実施例および比較例において、熱可塑性樹脂組成物の製造に用いた原料および得られた熱可塑性樹脂組成物の評価方法は以下の通りである。
<軟質塩化ビニル樹脂組成物>
[塩化ビニル樹脂(A−1)]
A−1a:塩化ビニル樹脂(信越化学工業社製 平均重合度:2500)
[可塑剤(A−2)]
A−2a:ポリエステル系可塑剤 アジピン酸系ポリエステル(ジェイ・プラス社製 D633)
A−2b:フタル酸エステル系可塑剤 ジイソデシルフタレート(ジェイ・プラス社製 DINP)
A−2c:フタル酸エステル系可塑剤 ジイソノニルフタレート(ジェイ・プラス社製 DIDP)
A−2d:脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤 ジイソノニルアジペート(ジェイ・プラス社製 DINA)
A−2e:トリメリット酸エステル系可塑剤 トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)(ジェイ・プラス社製 TOTM)
[塩化ビニル樹脂用安定剤(A−3)]
A−3a:Ca/Zn系複合安定剤(ADEKA社製)
<ポリカーボネート樹脂>
[ポリカーボネート樹脂(B−1)]
B−1a:原料の仕込み組成モル比をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム=0.70/0.30/1.00/1.3×10−6として得られたポリカーボネート(イソソルビドとシクロヘキサンジメタノールの組成モル比7:3、還元粘度:0.41dL/g、ガラス転移温度122℃)
B−1b:原料の仕込み組成モル比をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム=0.50/0.50/1.00/1.3×10−6として得られたポリカーボネート(イソソルビドとシクロヘキサンジメタノールの組成モル比1:1、還元粘度:0.60dL/g、ガラス転移温度96℃)
なお、上記の略号の意味は以下の通りである。
・ISB:イソソルビド(ロケットフルーレ製 POLYSPRB)
・CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(新日本理化社製 SKY CHDM)
・DPC:ジフェニルカーボネート(三菱化学社製)
[芳香族ポリカーボネート樹脂(B−2)〔比較例用〕]
B−2a:ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(三菱化学エンジニアリングプラスチックス社製 ノバレックス(登録商標)7022IR)
〔部材の製造・評価〕
<実施例1−1>
[ポリカーボネート樹脂プレートの製造]
ポリカーボネート樹脂のペレットを、熱風乾燥機を用いて、80℃で6時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート樹脂のペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、樹脂温度240℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒間の条件で射出成形し、ポリカーボネート樹脂プレート(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)を製造した。
[軟質塩化ビニル系樹脂組成物シートの製造]
表−1に示す軟質塩化ビニル系樹脂組成物の原料をビーカー中で攪拌後、150℃のミルロールで混練し、シート状に成形した。このシートをプレス成形機にて成形温度180℃、成形圧力200kg/cmの条件で2mmの厚みに成形し、評価用テストピースを作成した。
[可塑剤移行試験用部材の製造]
図−1に示すように、ガラス板の上にポリカーボネート樹脂のシート(50mm×50mm)を置き、その上に軟質塩化ビニル樹脂組成物のテストピース(30mm×10mm)を2点設置し、さらにガラス板と重り(1kg)を乗せ、可塑剤移行試験用部材を作成した。
[可塑剤移行試験]
可塑剤移行試験用部材について可塑剤のポリカーボネート樹脂への移行を促進させる為、80℃のギヤオーブンにて200時間加熱した。その後、可塑剤移行試験用部材を取り出し、部材(B)の表面を観察して可塑剤の移行によるクラックの差を確認した。以下の基準で評価した。
○:表面に可塑剤が移行したことによる痕跡が殆ど無い。
△:表面に可塑剤が移行したことによる痕跡が認められる。
×:表面に可塑剤が移行したことによるクラックや膨潤が認められる。
<実施例1−2〜1−10及び比較例1〜1〜1−4>
塩化ビニル樹脂組成物の配合及び/又はポリカーボネート樹脂の種類を表−1に示すように変更した以外は実施例1−1と同様にして部材を製造した。また、得られた部材について実施例1−1と同様に移行性試験を行った。得られた結果を表−1に示す。
<実施例2−1〜2−10及び比較例2−1〜2−4>
表−2に示すように可塑剤の配合量を変更した以外は、それぞれ実施例1−1〜1−10、比較例1〜1〜1−4のそれぞれと同様に実施した。結果を表−2に示す。
Figure 0006107251
Figure 0006107251
〔結果の評価〕
実施例1−1、1−2及び比較例1−1は、比較的移行しにくいことが知られている可塑剤である、ポリエステル系可塑剤(A−2a)を用いた例である。実施例1−1、1−2では可塑剤の移行によるクラックや膨潤は殆ど認められなかったが、比較例1−1では
表面に可塑剤が移行したことによるクラックや膨潤が認められた。また、ポリエステル系可塑剤と同様、移行しにくい可塑剤であることが知られているトリメリット酸エステル(A−2a)を用いた実施例1−9、1−10においても良好な結果が得られた。
実施例1−3〜1−8、及び比較例1−2〜1−4は、分子量が低いため移行しやすいフタル酸エステル系可塑剤(A−2b、A−2c)やアジピン酸エステル系可塑剤(A−2d)を用いた例である。実施例1−4、1−7及び1−8においても若干の可塑剤が移行した痕跡が認められたものの、比較例1−3〜1−4においては可塑剤が移行したことによるクラック状の明確な痕跡が認められており、実施例1−4、1−7及び1−8の方が良好な結果となったことがわかる。
また、実施例2−1〜2−10及び比較例2−1〜2−4は、実施例1−1〜1〜10及び比較例1−1〜1−4のそれぞれに対して、可塑剤量を増やして実施した例(表−2)であるが、可塑剤量が少ない例(表−1)と同様の移行性試験結果となった。以上より、本発明に該当する実施例1−1〜1−10及び2−1〜2−10では比較例1−1〜1−4及び2−1〜2−4と比べて、いずれも可塑剤移行によるクラック等が少ない部材であるといえる。
本発明の部材は、部材(A)における軟質塩化ビニル樹脂組成物に含まれる可塑剤の部材(B)への移行の影響を受けにくいので、軟質塩化ビニル樹脂組成物とポリカーボネート樹脂とが隣接することが想定される各種の用途に好適に用いることができる。このような適用用途の例としては、自動車用部材;建材;家電、医療機材等の産業資材等が例示され、これらの中でも自動車用部材、建材として好適である。特に、本発明における部材(A)をウインドモールとして用い、また、部材(B)をガラス代替の熱可塑性樹脂グレージングとした構成の自動車用部材、硬質構造部として部材(B)を用い、これに対してシール性を付与する目的で成形されるヒレとして部材(A)を用いるようなガスケットの建材等の用途に好適である。

Claims (8)

  1. 下記部材(A)と下記部材(B)が隣接してなる部材。
    部材(A):塩化ビニル樹脂(A−1)及び可塑剤(A−2)を含む軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる部材
    部材(B):下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(B−1)からなる部材
    Figure 0006107251
  2. 前記部材(A)において、前記塩化ビニル樹脂(A−1)100重量部に対し、前記可塑剤(A−2)を15〜180重量部含む、請求項1に記載の部材。
  3. 前記部材(B)において、前記ポリカーボネート樹脂(B−1)が下記式(2)で表される炭酸ジエステルに由来する構造単位を含む、請求項1又は2に記載の部材。
    Figure 0006107251
    (上記式(2)において、A及びAは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数18の脂肪族炭化水素基、又は、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基である。)
  4. 前記部材(A)において、前記可塑剤(A−2)がトリメリット酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤からなる群のうちの少なくとも1つである、請求項1乃至のいずれか1項に記載の部材。
  5. 前記部材(B)が、硬質構造部である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の部材。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の部材からなる自動車用部材。
  7. 前記部材(A)がウインドモールであり、かつ前記部材(B)が熱可塑性樹脂グレージングである、請求項6に記載の自動車用部材。
  8. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の部材からなるガスケット。
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