JP7221724B2 - 加飾成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂と熱硬化性樹脂とを積層した、加飾成形体に関する。
繊維と樹脂とを複合してなる繊維強化複合材料は、高度な機械物性、軽量性、易加工性などの優れた特徴を有し、自動車、航空機、パソコン、デジタルカメラ等の様々な産業用部材として利用されている。例えば、炭素繊維強化複合材料は、軽量でありながら、金属に匹敵する強度・弾性率を有するため、自動車や航空機の内外装材として採用が増加している。
繊維強化複合材料を表面材に用いる場合には、塗装によって表面を被覆する必要がある。しかし、繊維の織目の凹凸に起因する表面欠陥が生じやすく、生産性に劣るという問題がある。
このような中、樹脂フィルムを用いて、繊維強化複合材料を加飾成形する方法が開発されている。特許文献1には、アクリル系樹脂フィルムを未硬化の繊維強化熱硬化性樹脂に積層し、加飾成形する方法が公開されている。しかし、アクリル系樹脂フィルムは、熱硬化性樹脂に対する耐薬品性が悪く、密着性や外観に劣るという課題がある。前記のような繊維強化複合材料を加飾成形するためには、熱硬化性樹脂に対する耐薬品性と密着性を両立する樹脂フィルムを用いる必要がある。
特開平9-174547号公報
そこで、本発明の目的は、熱硬化性樹脂に対する良好な密着性を有し、表面硬度および外観に優れた加飾成形体を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、イソソルビドを含有するポリカーボネート樹脂を用いることで、熱硬化性樹脂に対する良好な密着性を有し、表面硬度および外観に優れた加飾成形体となることを究明し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、発明の課題は、下記により達成される。
1.下記式(1)で表される単位を含むポリカーボネート樹脂(A)からなる層と、熱硬化性樹脂(B)とを積層した、加飾成形体であって、前記ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度が90℃~160℃であり、前記熱硬化性樹脂(B)が、繊維強化熱硬化性樹脂であり、前記繊維強化熱硬化性樹脂が、強化繊維織布に未硬化または半硬化の熱硬化性樹脂が含侵した状態の樹脂シートである、加飾成形体
Figure 0007221724000001
.ポリカーボネート樹脂(A)の表面硬度がHB以上である前項に記載の加飾成形体。
.熱硬化性樹脂(B)が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂のいずれかである前項1~のいずれかに記載の加飾成形体。
本発明により、イソソルビドを含有するポリカーボネート樹脂を用いることで、熱硬化性樹脂に対する良好な密着性を有し、表面硬度および外観に優れた加飾成形体を提供することが可能となった。そのため、その奏する工業的効果は格別である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、前記式(1)で表される単位を含む。式(1)で表される繰り返し単位の含有割合は、全繰り返し単位中、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上、よりさらに好ましくは55モル%以上、特に好ましくは60モル%以上、もっとも好ましくは65モル%以上である。また、好ましくは100モル%以下、より好ましくは98モル%以下、さらに好ましくは95モル%以下、特に好ましくは90モル%以下である。このようなモル比とすることで、熱硬化性樹脂に対する良好な密着性を有し、表面硬度も高く、外観も良好となり好ましい。
さらに、式(1)で表される単位を多く含むことにより、耐薬品性が向上するため好ましい。耐薬品性は例えば文献(「2013年加飾フィルム関連市場の展望とメーカー戦略」 118~122ページ 富士経済)を参考に、一般的に市販されている日焼けクリーム(ロート製薬株式会社製 メンソレータムスキンアクア SPF45)を加飾成形体サンプル表面(第1層;ポリカーボネート樹脂(A)フィルム層側)に均一に塗布し、80℃4時間熱処理をした後、布でふき取った後の表面外観を目視で確認することにより、ふき取りの状況および白化の有無により判定することができる。
また、式(1)で表される単位のモル比が下限より小さい場合は表面硬度が低くなることがある。モル比は、日本電子社製JNM-AL400のプロトンNMRにて測定し算出することができる。
前記式(1)で表される繰り返し単位は、立体異性体の関係にある下記式で表される繰り返し単位(1-1)、(1-2)および(1-3)が例示される。
Figure 0007221724000002
Figure 0007221724000003
Figure 0007221724000004
これらは、糖質由来のエーテルジオールであり、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。繰り返し単位(1-1)、(1-2)および(1-3)は、それぞれイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドと呼ばれる。イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドのなかでも特に、イソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドローDーソルビトール)から誘導される繰り返し単位は、製造の容易さ、耐熱性に優れることから好ましい。
前記式(1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を誘導するジオール化合物(ジオールモノマー)としては、脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物のいずれでも良く、国際公開第2004/111106号パンフレット、国際公開第2011/021720号パンフレットに記載のジオール化合物やジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、または二種以上組み合わせて用いてもよい。以下にジオール成分の代表的具体例を示すが、それらによって限定されるものではない。
前記脂肪族ジオール化合物としては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1.9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサングリコール、1,2-オクチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,3-ジイソブチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジイソアミル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールなどが挙げられる。
前記脂環式ジオール化合物としては、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタンジオール、1,1’-スピロビインダン-6,6’-ジオール、デカリン-2,6-ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、シクロペンタン-1,3-ジメタノール、などが挙げられる。
前記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、ビフェノール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)-1,8-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)-2,7-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)-3,6-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ナフチル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)-4,5-ジフェニルフルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)-4,5-ジフェニルフルオレン、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-3,3’-ジフェニル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-6,6’-ジフェニル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-7,7’-ジフェニル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-3,3’-ジメチル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-6,6’-ジメチル-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-7,7’-ジメチル-1,1’-ビナフチル、1,1’-ビ-2-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
他の繰り返し単位の含有割合は、全繰り返し単位中、好ましくは70モル%以下、より好ましくは60モル%以下、よりさらに好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは45モル%以下、特に好ましくは40モル%以下、もっとも好ましくは35モル%以下である。また、好ましくは2モル%以上、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上である。
(製造方法)
ポリカーボネート樹脂(A)は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合のジオール成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120~300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、必要に応じて末端停止剤、酸化防止剤等を加えてもよい。
前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6~12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびm-クレジルカーボネート等が例示される。なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97~1.10モル、より好ましくは1.00~1.06モルである。
また溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が例示される。
アルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム、ステアリン酸バリウム等が例示される。
含窒素化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。また、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が例示される。
金属化合物としては亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が例示される。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10-9~1×10-2当量、好ましくは1×10-8~1×10-5当量、より好ましくは1×10-7~1×10-3当量の範囲で選ばれる。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5~50モルの割合で、より好ましくは0.5~10モルの割合で、更に好ましくは0.8~5モルの割合で使用することができる。
(比粘度:ηSP
ポリカーボネート樹脂(A)の比粘度(ηSP)は、0.2~1.5が好ましい。より好ましくは0.22~1.2であり、さらに好ましくは0.25~1.0であり、特に好ましくは0.28~0.5であり、もっとも好ましくは0.3~0.4である。比粘度が上記範囲では成形品の強度及び成形加工性が良好となる。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、具体的な比粘度の測定としては、例えば次の要領で行うことができる。まず、ポリカーボネート樹脂をその20~30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度を、オストワルド粘度計を用いて求める。
(ガラス転移温度:Tg)
ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは90~160℃、より好ましくは92~150℃であり、さらに好ましくは95~140℃であり、特に好ましくは100~130℃である。Tgが上記範囲内であると、耐熱安定性及び成形性が良好であり好ましい。
ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
(鉛筆硬度)
ポリカーボネート樹脂(A)からなる層は、鉛筆硬度がHB以上であることが好ましい。より耐傷付き性に優れるという点で、F以上であることがより好ましい。なお、鉛筆硬度は4H以下で充分な機能を有する。本発明において、鉛筆硬度とは、本発明の樹脂を特定の鉛筆硬度を有する鉛筆で樹脂を擦過した場合に擦過しても擦過痕が残らない硬さのことであり、JIS K-5600に従って測定できる塗膜の表面硬度試験に用いる鉛筆硬度を指標とすることが好ましい。鉛筆硬度は、9H、8H、7H、6H、5H、4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B、5B、6Bの順で柔らかくなり、最も硬いものが9H、最も軟らかいものが6Bである。
ポリカーボネート樹脂(A)からなる層は、本発明の効果を著しく損なわない限り、ポリカーボネート樹脂(A)以外にその他の成分を含有してもよい。その他の成分の例を挙げると、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、あるいは熱可塑性エラストマーが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、環状シクロオレフィン樹脂(COP樹脂)、環状シクロオレフィン共重合体(COP)樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂(PA樹脂);ポリイミド樹脂(PI樹脂);ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂);ポリウレタン樹脂(PU樹脂);ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂);ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂);ポリスルホン樹脂(PSU樹脂);ポリメタクリレート樹脂(PMMA樹脂);等が挙げられる。上記の中でも、ABS樹脂、PP樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、PPS樹脂、PMMA樹脂が好ましく、ABS樹脂、PET樹脂、PMMA樹脂がより好ましく、PMMA樹脂が特に好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、特に制限はないが、例えば、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素ポリマー系エラストマーなどが挙げられる。上記の中でもポリエステル系エラストマーが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)からなる層に占めるポリカーボネート樹脂(A)の割合は30重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上が特に好ましく、90重量%以上がもっとも好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)からなる層に占めるポリカーボネート樹脂(A)以外の他の成分の割合は、70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、20重量%以下が特に好ましく、10重量%以下がもっとも好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)以外の他の成分の割合が高すぎると、加飾成形体の密着性が低下する傾向にある。
(添加剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)には、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤、充填剤、相溶化剤等の添加剤を配合することができる。
(熱安定剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制するために、とくに熱安定剤を含有することが好ましい。熱安定剤としてはリン系熱安定剤、フェノール系熱安定剤、イオウ系熱安定剤が挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。特に、単位(a-1)のエーテルジオール残基が熱と酸素により劣化し、着色しやすいため、熱安定剤としてはリン系熱安定剤を含有することが好ましい。リン系安定剤としてはホスファイト化合物を配合することが好ましい。ホスファイト化合物としては、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物、その他の構造を有するホスファイト化合物が挙げられる。
上記のペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、中でも好適には、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
上記の二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイト化合物としては、例えば、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、6-tert-ブチル-4-[3-[(2,4,8,10)-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ]プロピル]-2-メチルフェノールなどを挙げることができる。
上記のその他の構造を有するホスファイト系化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-iso-プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-n-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、およびトリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
各種ホスファイト化合物以外には、例えば、ホスフェート化合物、ホスホナイト化合物、ホスホネイト化合物が挙げられる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記のリン系熱安定剤の中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく使用される。
上記のリン系熱安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。リン系熱安定剤はポリカーボネート樹脂(A)100重量部当たり、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.5重量部、さらに好ましくは0.01~0.3重量部配合される。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、押出・成形時の分子量低下や色相の悪化を抑制することを目的に、熱安定剤として、ヒンダードフェノール系熱安定剤またはイオウ系熱安定剤を、リン系熱安定剤と組み合わせて添加することもできる。
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、例えば、酸化防止機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス{メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、ジステアリル(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-t-ブチルベンジル)マロネート、トリエチレグリコール-ビス{3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6-ヘキサンジオール-ビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチル-テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2-チオジエチレンビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、2,4-ビス{(オクチルチオ)メチル}-o-クレゾール、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,5,7,8-テトラメチル-2(4’,8’,12’-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オール、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール等が挙げられる。
これらの中で、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル-テトラキス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、2,2-チオジエチレンビス{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}等が好ましい。
これらのヒンダードフェノール系熱安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
ヒンダードフェノール系熱安定剤はポリカーボネート樹脂(A)100重量部当たり、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.5重量部、さらに好ましくは0.01~0.3重量部配合される。
イオウ系熱安定剤としては、例えば、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2-メチル-4-(3-ラウリルチオプロピオニルオキシ)-5-tert-ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプト-6-メチルベンズイミダゾール、1,1’-チオビス(2-ナフトール)などを挙げることができる。上記のうち、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
これらのイオウ系熱安定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても用いても良い。
イオウ系熱安定剤はポリカーボネート樹脂(A)100重量部当たり、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.5重量部、さらに好ましくは0.01~0.3重量部配合される。
ホスファイト系熱安定剤、フェノール系熱安定剤、イオウ系熱安定剤を併用する場合、これらの合計でポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.3重量部配合される。
(離型剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1~20の一価または多価アルコールと炭素原子数10~30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ-ト、ソルビタンモノステアレート、2-エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、炭素原子数10~30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。かかる離型剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.01~5重量部が好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられ、なかでもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-ドデシル-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(3”,4”,5”,6”-テトラフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、メチル-3-[3-tert-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート-ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
かかる紫外線吸収剤の割合は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して好ましくは0.01~2重量部、より好ましくは0.1~1重量部、さらに好ましくは0.2~0.5重量部である。
(光安定剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、光安定剤を含むことができる。光安定剤を含むと耐候性の面で良好であり、成形品にクラックが入り難くなるという利点がある。
光安定剤としては、例えば1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ジデカン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-オクチルオキシ-4-ピペリジニル)エステル、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-2-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)サクシネ-ト、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-オクタノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ジフェニルメタン-p,p′-ジカ-バメート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ベンゼン-1,3-ジスルホネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカ-バメート等のニッケル錯体が挙げられる。これらの光安定剤は単独もしくは2種以上を併用してもよい。光安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.01~0.5重量部である。
(エポキシ系安定剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)には、加水分解性を改善するため、本願発明の目的を損なわない範囲で、エポキシ化合物を配合することが出来る。
エポキシ系安定剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4-(3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシル)ブチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6’-メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス-エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス-エポキシエチレングリコール、ビス-エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3,5-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3-メチル-5-t-ブチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、オクタデシル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル-2-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2-イソプロピル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2-エチルヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6-ジメチル-2,3-エポキシシクロヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3-t-ブチル-4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ-n-ブチル-3-t-ブチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレートなどが挙げられる。ビスフェノールAジグリシジルエーテルが相溶性などの点から好ましい。
このようなエポキシ系安定剤は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.0001~5重量部、好ましくは0.001~1重量部、さらに好ましくは0.005~0.5重量部の範囲で配合されることが望ましい。
(ブルーイング剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、重合体や紫外線吸収剤に基づくレンズの黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としては、ポリカーボネートに使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
具体的なブルーイング剤としては、例えば、一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725]、一般名Solvent Violet31[CA.No 68210、一般名Solvent Violet33[CA.No 60725]、一般名Solvent Blue94[CA.No 61500]、一般名Solvent Violet36[CA.No 68210]、一般名Solvent Blue97[バイエル社製「マクロレックスバイオレットRR」]および一般名Solvent Blue45[CA.No61110]が代表例として挙げられる。
これらのブルーイング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。これらブルーイング剤は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して好ましくは0.1×10-4~2×10-4重量部の割合で配合される。
(難燃剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)には、難燃剤を配合することもできる。難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、および塩素化ポリエチレンなどのハロゲン系難燃剤、モノホスフェート化合物およびホスフェートオリゴマー化合物などのリン酸エステル系難燃剤、ホスフィネート化合物、ホスホネート化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物などのリン酸エステル系難燃剤以外の有機リン系難燃剤、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤などの有機金属塩系難燃剤、並びにシリコーン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム系難燃剤、トリアジン系難燃剤等が挙げられる。また別途、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)や滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)等を配合し、難燃剤と併用してもよい。
上述の難燃剤の中でも、塩素原子および臭素原子を含有しない化合物は、焼却廃棄やサーマルリサイクルを行う際に好ましくないとされる要因が低減されることから、環境負荷の低減をも1つの特徴とする本発明の成形品における難燃剤としてより好適である。
難燃剤を配合する場合には、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部当たり0.05~50重量部の範囲が好ましい。上記範囲内では十分な難燃性が発現し、成形品の強度や耐熱性に優れる。
(弾性重合体)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)には、衝撃改良剤として弾性重合体を使用することができ、弾性重合体の例としては、天然ゴムまたは、ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらと共重合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種または2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げることができる。より好適な弾性重合体は、ゴム成分のコアに前記モノマーの1種または2種以上のシェルがグラフト共重合されたコア-シェル型のグラフト共重合体である。
またかかるゴム成分と上記モノマーのブロック共重合体も挙げられる。かかるブロック共重合体としては具体的にはスチレン・エチレンプロピレン・スチレンエラストマー(水添スチレン・イソプレン・スチレンエラストマー)、および水添スチレン・ブタジエン・スチレンエラストマーなどの熱可塑性エラストマーを挙げることができる。さらに他の熱可塑性エラストマーして知られている各種の弾性重合体、例えばポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー等を使用することも可能である。
衝撃改良剤としてより好適なのはコア-シェル型のグラフト共重合体である。コア-シェル型のグラフト共重合体において、そのコアの粒径は重量平均粒子径において0.05~0.8μmが好ましく、0.1~0.6μmがより好ましく、0.1~0.5μmがさらに好ましい。0.05~0.8μmの範囲であればより良好な耐衝撃性が達成される。弾性重合体は、ゴム成分を40%以上含有するものが好ましく、60%以上含有するものがさらに好ましい。
ゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン-アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコーン複合ゴム、イソブチレン-シリコーン複合ゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレン-アクリルゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水素が添加されたものを挙げることができるが、燃焼時の有害物質の発生懸念という点から、ハロゲン原子を含まないゴム成分が環境負荷の面において好ましい。
ゴム成分のガラス転移温度は好ましくは-10℃以下、より好ましくは-30℃以下であり、ゴム成分としては特にブタジエンゴム、ブタジエン-アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコーン複合ゴムが好ましい。複合ゴムとは、2種のゴム成分を共重合したゴムまたは分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造をとるように重合したゴムをいう。
ゴム成分に共重合するビニル化合物における芳香族ビニルとしては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができ、特にスチレンが好ましい。またアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタアクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸メチルが特に好ましい。これらの中でも特にメタクリル酸メチルなどのメタアクリル酸エステルを必須成分として含有することが好ましい。より具体的には、メタアクリル酸エステルはグラフト成分100重量%中(コア-シェル型重合体の場合にはシェル100重量%中)、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上含有される。
ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を含有する弾性重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであってもよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生するグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であってもよい。さらに重合法としては一般的な乳化重合法の他、過硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー重合法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げることができる。また懸濁重合法において、水相とモノマー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法、および連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数~数十μm径の細径オリフィスまたは多孔質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方法などを行ってもよい。コア-シェル型のグラフト重合体の場合、その反応はコアおよびシェル共に、1段であっても多段であってもよい。
かかる弾性重合体は市販されており容易に入手することが可能である。例えばゴム成分として、ブタジエンゴム、アクリルゴムまたはブタジエン-アクリル複合ゴムを主体とするものとしては、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシリーズ(例えばB-56など)、三菱レイヨン(株)のメタブレンCシリーズ(例えばC-223Aなど)、Wシリーズ(例えばW-450Aなど)、呉羽化学工業(株)のパラロイドEXLシリーズ(例えばEXL-2602など)、HIAシリーズ(例えばHIA-15など)、BTAシリーズ(例えばBTA-IIIなど)、KCAシリーズ、ローム・アンド・ハース社のパラロイドEXLシリーズ、KMシリーズ(例えばKM-336P、KM-357Pなど)、並びに宇部サイコン(株)のUCLモディファイヤーレジンシリーズ(ユーエムジー・エービーエス(株)のUMG AXSレジンシリーズ)などが挙げられ、ゴム成分としてアクリル-シリコーン複合ゴムを主体とするものとしては三菱レイヨン(株)よりメタブレンS-2001あるいはSRK-200という商品名で市販されているものが挙げられる。
衝撃改良剤の組成割合は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.2~50重量部が好ましく、1~30重量部が好ましく、1.5~20重量部がより好ましい。かかる組成範囲は、剛性の低下を抑制しつつ組成物に良好な耐衝撃性を与えることができる。
(充填剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)には、本発明の効果を発揮する範囲において、強化フィラーとして各種充填剤を配合することができる。例えば、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、グラファイト、気相成長法極細炭素繊維(繊維径が0.1μm未満)、カーボンナノチューブ(繊維径が0.1μm未満であり、中空状)、フラーレン、金属フレーク、金属繊維、金属コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガラスフレーク、シリカ、金属酸化物粒子、金属酸化物繊維、金属酸化物バルーン、並びに各種ウイスカー(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、および塩基性硫酸マグネシウムなど)が例示される。これらの強化フィラーは1種もしくは2種以上を併用して含むものであってもよい。
これらの充填剤の含有量はポリカーボネート樹脂(A)を含む層100重量部に対して、好ましくは0.1~100重量部、より好ましくは0.5~50重量部である。
<熱硬化性樹脂(B)>
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂(B)としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、エポキシエステル樹脂が挙げられる。中でも、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂が好ましく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂がさらに好ましく、エポキシ樹脂が特に好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂としては、例えば、2官能性エポキシ樹脂、3官能性以上の多官能性エポキシ樹脂が挙げられる。2官能性エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、これらを変性したエポキシ樹脂が挙げられる。3官能性以上の多官能性エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシメタン)等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、これらを変性したエポキシ樹脂、これらのエポキシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(硬化剤)
本発明で使用される熱硬化性樹脂(B)には、必要に応じて硬化性樹脂を硬化させる硬化剤を用いてもよい。硬化剤としては、例えば、アミン、カルボン酸無水物、フェノール、メルカプタン、ルイス酸アミン錯体、オニウム塩、イミダゾールが挙げられる。これらの中でも、アミン系、フェノール系の硬化剤が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(硬化促進剤)
本発明で使用される熱硬化性樹脂(B)には、硬化促進剤を用いてもよい。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール、ジメチルアミノピリジンなどの3級アミン化合物、トリフェニルホスフィンなどのリン系化合物、3フッ化ホウ素、2フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体などの3フッ化ホウ素アミン錯体、チオジプロピオン酸等の有機酸化合物、チオジフェノールベンズオキサジン、スルホニルベンズオキサジン等のベンズオキサジン化合物、スルホニル化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの硬化促進剤の添加量は、熱硬化性樹脂(B)100重量に対して、0.001~15重量部が好ましい。
(充填剤)
本発明で使用される熱硬化性樹脂(B)には、本発明の効果を発揮する範囲において、強化フィラーとして各種充填剤を配合することができる。例えば、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、グラファイト、気相成長法極細炭素繊維(繊維径が0.1μm未満)、カーボンナノチューブ(繊維径が0.1μm未満であり、中空状)、フラーレン、金属フレーク、金属繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、金属コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガラスフレーク、シリカ、金属酸化物粒子、金属酸化物繊維、金属酸化物バルーン、並びに各種ウイスカー(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、および塩基性硫酸マグネシウムなど)が例示される。中でも、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の強化繊維を用いることが好ましく、軽量性および強度の観点から炭素繊維がより好ましい。これらの強化フィラーは1種もしくは2種以上を併用して含むものであってもよい。
これらの充填剤の含有量は熱硬化性樹脂(B)100重量部に対して、好ましくは0.1~100重量部、より好ましくは0.5~80重量部である。
(強化繊維)
本発明で使用される熱硬化性樹脂(B)に配合する強化繊維は、シート状に形成して用いることが好ましい。強化繊維シートとしては、例えば、多数本の強化繊維を一方向に引きそろえたシートや、平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙などを挙げることができる。
熱硬化性樹脂(B)に強化繊維を配合する場合、熱硬化性樹脂中に40~80質量%の割合で含まれていることが好ましい。強化繊維を40質量%以上含むことにより、得られる成形品の力学特性を向上させることができる。一方、強化繊維を80質量%以下含むことにより、成形加工の際の流動性低下を抑制し、マトリクス樹脂成分を十分に含浸させることができ、結果的に力学特性を向上させることができる。
(プリプレグ)
熱硬化性樹脂(B)として、強化繊維織布に未硬化または半硬化の熱硬化性樹脂が含浸した状態の樹脂シート「プリプレグ」を用いることもできる。熱硬化性樹脂(B)は、1枚のプリプレグから構成されていてもよいが、通常は複数のプリプレグが積層した構造である。
<加飾成形体>
本発明における加飾成形体は、ポリカーボネート樹脂(A)と熱硬化性樹脂(B)とを積層し、一体成形したものである。
(成形方法)
成形方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、真空バッグ成形法等の加熱加圧成形法が採用できる。
加熱加圧成形における成形温度は、選択したマトリクス樹脂により適宜選択してよく、例えば、エポキシ樹脂の場合、含まれる硬化剤の種類などによるが、通常、80~180℃の温度が好ましい。かかる成形温度が低すぎると、十分な硬化性が得られない場合があり、逆に高すぎると、熱歪みによる反りが発生しやすい。
加熱加圧成形法で成形する圧力は、熱硬化性樹脂の厚みなどにより異なるが、通常0.1~5MPaの圧力が好ましい。かかる成形圧力が低すぎると、熱硬化性樹脂の内部まで十分に熱が伝わらず、局所的に未硬化となったり、反りが発生したりする場合がある。逆に高すぎると樹脂が硬化する前に周囲に流れて出してしまい、樹脂中にボイドが生じたり、外観不良が発生したりする場合がある。
(表面処理)
本発明の加飾成形体には、ポリカーボネート樹脂からなる層に各種の表面処理を行うことが可能である。ここでいう表面処理とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着など)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなど)、塗装、コーティング、印刷などの樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常のポリカーボネート樹脂に用いられる方法が適用できる。表面処理としては、具体的には、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジング(蒸着など)などの各種の表面処理が例示される。ハードコートは特に好ましくかつ必要とされる表面処理である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは「重量部」を意味する。実施例において使用した樹脂および評価方法は以下のとおりである。
(ポリカーボネート樹脂の評価)
1.ポリマー組成比(NMR)
日本電子社製JNM-AL400のプロトンNMRにて各繰り返し単位を測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
2.比粘度
20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
3.ガラス転移温度(Tg)
試料8mgを用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システム DSC-2910を使用して、JIS K7121に準拠して窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
(加飾成形体の評価)
1.外観
加飾成形体サンプルの外観を目視にて観察した。表面外観を以下に記載の基準に沿って判定した。
「〇」:表層のフィルム層に変色、白化、シワが確認されない。
「×」:表層のフィルム層に変色、白化、シワが確認される。
2.密着性
積層体サンプルの表面(第1層:フィルム層側)にカッターナイフを用いて、1mmのカット(碁盤目)が100個できるようにクロスカットを施した。次いで、作成した碁盤目の上にセロハン粘着テープを完全に付着させ、テープの一方の端を持ち上げて上方に剥がした。この剥離動作を同一箇所で3回実施した。その後、剥がれた碁盤目の数を、以下に記載の基準に沿って判定した。
「〇」:剥離なし。
「×」:剥離あり。
3.鉛筆硬度
JIS K5400に基づき、雰囲気温度23℃の恒温室内で積層体サンプルの第1層(フィルム層)の表面に対して、鉛筆を45度の角度を保ちつつ1kgの荷重をかけた状態で線を引き、表面状態を目視にて評価した。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
[参考例1]
ポリカーボネート樹脂(PC1)の製造
イソソルビド(以下ISSと略す)376部、1,6-ヘキサンジオール(以下HDと略す)101部,ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド3.0×10-2部と水酸化ナトリウム2.0×10-3部を窒素雰囲気下170℃に加熱し溶融させた。溶融したことを確認した後、EI反応工程を開始した。減圧開始後、70分かけて最終減圧度が13.4kPaになるように調整しながら減圧し、13.4kPa到達後はその減圧度を保持した。減圧開始と同時に、10℃/hrの速度で、最終樹脂温度が190℃になるまで昇温した。190℃到達後は、減圧度13.4kPa、樹脂温度190℃の状態で、フェノールが理論量の80%留去するまで10分間保持した。80%留去したことを確認した後、PA反応工程(前期工程)を開始した。最終樹脂温度が220℃になるように、0.5℃/minの速度で昇温させた。また、昇温と併行して、最終減圧度が3kPaとなるように60分かけて減圧させた。引き続いて、PA反応工程(後期工程)を開始した。後期工程では、最終樹脂温度が240℃になるように、1℃/minの速度で昇温させた。また、昇温と併行して、最終減圧度が134Paとなるまで20分かけて減圧させた。所定の攪拌電力値に到達したところで反応を終了し、触媒量の2倍モルのドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加し、触媒を失活した後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。得られたポリカーボネート共重合体の比粘度は0.32、ガラス転移温度は101℃であった。
[参考例2]
ポリカーボネート樹脂(PC2)の製造
ISS441部、1,9-ノナンジオール(以下NDと略す)66部、DPC750部を用いた他は、参考例1と全く同様の操作を行った。得られたポリカーボネート共重合体の比粘度は0.34、ガラス転移温度は121℃であった。
[参考例3]
ポリカーボネート樹脂(PC3)の製造
ISS358部、1,4-シクロヘキサンジメタノール(以下CHDMと略す)151部、DPC750部を原料として用いた他は、参考例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。得られたポリカーボネート共重合体の比粘度は0.35、ガラス転移温度は121℃であった。
[参考例4]
ポリカーボネート樹脂(PC4)の製造
ISS256部、CHDM252部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。得られたポリカーボネート共重合体の比粘度は0.31、ガラス転移温度は100℃であった。
[PCA]
帝人株式会社製パンライト「L-1225Y」Tg145℃、粘度平均分子量24,000
[PMMA]
三菱レイヨン社製アクリペット「VH001」
[熱硬化性樹脂(B)]
(エポキシ樹脂)三菱ケミカル株式会社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂「jER828」
(硬化剤)日本化薬株式会社製 アミン系硬化剤「KAYAHARD AA」
(炭素繊維強化プリプレグ)
帝人株式会社製炭素繊維強化プリプレグ「テナックス」(登録商標)W-3101/Q-195(未硬化のエポキシ樹脂を含侵させた炭素繊維)
[実施例1]
(フィルムの製造)
樹脂ペレット(PC1)をスクリュー径15mmの二軸押出機で溶融させ、設定温度230℃のT型ダイスを介して押出し、得られるシートを鏡面仕上げされたロールにて冷却し、フィルムを得た。また、厚みはフィルム=0.1(mm)となるよう溶融樹脂の吐出量を調整した。
(加飾成形体の製造)
エポキシ樹脂「jER828」100重量部、アミン系硬化剤「KAYAHARD AA」34重量部を混合し、均一な混合液とした。この混合液をテフロン板上に乗せ、さらにその上にPC1のフィルムを積層した。この積層体を、オーブンで硬化し(温度:110℃、圧力:常圧、時間:5時間)、加飾成形体を得た。得られた加飾成形体について、前記記載の評価方法により各種評価を実施した。評価結果を表1に記載した。
[実施例2]
樹脂ペレットとしてPC2を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。評価結果を表1に記載した。
[実施例3]
樹脂ペレットとしてPC3を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。評価結果を表1に記載した。
[実施例4]
樹脂ペレットとしてPC4を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。評価結果を表1に記載した。
[比較例1]
樹脂ペレットとしてPCAを用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。評価結果を表1に記載した。得られた積層体は外観、表面硬度が悪く、当初の目的を達成できるものではなかった。
[比較例2]
樹脂ペレットとしてPMMAを用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。評価結果を表1に記載した。得られた積層体は外観が悪く、当初の目的を達成できるものではなかった。
Figure 0007221724000005
[実施例5]
炭素繊維強化プリプレグ「テナックス」を5枚積層し、さらにPC1のフィルムを積層した。この積層体を、オートクレーブで硬化し(温度:130℃、圧力:0.5MPa、時間:2時間)、加飾成形体を得た。得られた加飾成形体について、前記記載の評価方法により各種評価を実施した。評価結果を表2に記載した。
[実施例6]
樹脂ペレットとしてPC2を用いた他は、実施例5と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。評価結果を表2に記載した。
[実施例7]
樹脂ペレットとしてPC3を用いた他は、実施例5と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。評価結果を表2に記載した。
[実施例8]
樹脂ペレットとしてPC4を用いた他は、実施例5と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。評価結果を表2に記載した。
[比較例3]
樹脂ペレットとしてPCAを用いた他は、実施例5と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。評価結果を表2に記載した。得られた積層体は外観、表面硬度が悪く、当初の目的を達成できるものではなかった。
[比較例4]
樹脂ペレットとしてPMMAを用いた他は、実施例5と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。評価結果を表2に記載した。得られた積層体は外観が悪く、当初の目的を達成できるものではなかった。
Figure 0007221724000006
本発明の加飾成形体は、高度な機械物性、軽量性、耐熱性に優れ、さらに表面硬度等の表面特性、外観に優れるため、スポーツ用具、自動車、船舶、航空機等の部材、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の筐体をはじめとする様々な用途に幅広く使用することができる。

Claims (3)

  1. 下記式(1)で表される単位を含むポリカーボネート樹脂(A)からなる層と、熱硬化性樹脂(B)とを積層した、加飾成形体であって、前記ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度が90℃~160℃であり、前記熱硬化性樹脂(B)が、繊維強化熱硬化性樹脂であり、前記繊維強化熱硬化性樹脂が、強化繊維織布に未硬化または半硬化の熱硬化性樹脂が含侵した状態の樹脂シートである、加飾成形体
    Figure 0007221724000007
  2. ポリカーボネート樹脂(A)からなる層の表面硬度がHB以上である請求項に記載の加飾成形体。
  3. 熱硬化性樹脂(B)が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂のいずれかである請求項1~のいずれかに記載の加飾成形体。
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