JP6107113B2 - ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法並びにポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法並びにポリエステルフィルム Download PDF

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Description

本発明はポリエステル樹脂組成物、さらに詳細には架橋高分子粒子を含有する外観の良いポリエステルフィルムを成形しうるポリエステル樹脂組成物及びその製造方法並びにポリエステルフィルムに関する。
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのフィルムは、優れた透明性、機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有するため近年、特に各種光学用フィルムに多く用いられ、液晶表示装置の部材のプリズムレンズシート、タッチパネル、バックライト等のベースフィルムや反射防止用フィルムのベースフィルム、プラズマディスプレイの電磁波シールドフィルム、有機ELディスプレイのベースフィルム、ディスプレイの防爆用ベースフィルム等の用途に用いられている。このような光学用フィルムに用いられるポリエステルフィルムは透明性を含めた良好な外観だけでなくフィルム取り扱い時の作業性改善すなわち摩擦係数の低減及び摩耗特性の向上が要求される。
フィルムの摩擦係数低減方法および摩耗特性向上方法としてはポリエステル中に不活性微粒子を配合させておく方法があり、重縮合中に系内で金属化合物微粒子を沈殿させる方法と、外部から炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、有機架橋高分子等の無機又は有機微粒子を添加する方法とに大別される。
これらの中でも透明性の高いポリエステルフィルムを得るため原料となるポリエステルと屈折率が近いこと及び比較的親和性に優れる架橋高分子粒子を用いる試みもなされている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、これら架橋高分子粒子はポリエステル中で必ずしも良好な分散性を示さず、透明性を損ねたり、しばしば凝集し粗大粒子となりフィルムに加工したとき凝集物がフィルムの外観を悪化させたりする原因となることがある。架橋高分子粒子のポリエステル中での凝集を防止する方法としては、平均粒径0.01〜3μmの架橋高分子粒子を含有するポリエステルを重縮合するに際し、重縮合段階以前の任意の時期に該架橋高分子粒子に対し0.1〜10倍量(質量比)の微粒子状の酸化アルミニウム微粒子及び/又はアルミン酸塩を添加することを特徴とするポリエステルの製造方法が示されている(例えば、特許文献2参照)。
然しながら、特許文献2で実施されている様に、架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリーと酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーを、それぞれ粉砕、分級、濾過等の処理を施した後、添加したとしても、エチレングリコールスラリーをそれぞれ別個に添加すると、架橋高分子粒子がポリエステル中で凝集し、該ポリエステルを原料として得られたポリエステルフィルムの外観は凝集した粒子により損なわれることがあるという問題があった。
さらに、特許文献3では、架橋高分子粒子の水スラリーと酸化アルミニウム微粒子の水スラリーとを調製し、各スラリーのζ電位を調整し、両者を混合攪拌し数時間保持して、架橋高分子粒子と酸化アルミニウム微粒子の複合粒子を形成させた後、エチレングリコールを加え、加熱減圧下で水を留去することで、前記複合粒子のエチレングリコールを製造しているが、この方法では水スラリー調製段階、水除去段階などで粒子の凝集を招きやすく、加えてチレングリコールを加えてから水を留去する方法は煩雑であり、水の除去に多大なエネルギーが必要であるため、必ずしも好ましい方法ではなかった。
特開2006−16422号公報 特開平3−100017号公報 特開平6−64034号公報
本発明の課題は、アルミニウム化合物を用いなくても、ポリエステル樹脂組成物中の架橋高分子粒子の分散が良好で透明で外観が良いポリエステルフィルムを得ることができる樹脂組成物及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題に鑑み、ポリエステルフィルムの原料となるポリエステル製造反応時に添加する架橋高分子粒子の凝集防止を検討した結果、ポリエステルフィルムの原料であるポリエステルを製造するに際し、特定の架橋高分子粒子を用いることにより、容易に、ポリエステル中での架橋高分子粒子の凝集を防止することができ、該ポリエステル樹脂組成物から外観が良好なポリエステルフィルムを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の要旨は下記に存する。
]テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを用い、エステル化反応及び/又はエステル交換反応を行ってポリエステル低重合体を得るエステル化工程、得られたポリエステル低重合体を重縮合してポリエステルを得る重縮合工程を有するポリエステル樹脂組成物の製造方法であって、
下記(a)〜(c)を満たす架橋高分子粒子をエチレングリコールスラリーとし、該スラリーを該ポリエステル樹脂組成物の製造工程の任意の段階に添加することを特徴とする(a)〜(c)を満たす架橋高分子粒子を含んでなり、アルミニウム化合物を含まないポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(a)該架橋高分子粒子の屈折率が1.35〜1.55である。
(b)該架橋高分子粒子の体積平均粒径が1.0〜5.0μmである。
(c)該架橋高分子粒子がフッ素を含む共重合アクリル樹脂である。
]架橋高分子のエチレングリコールスラリーをエステル化工程における反応槽又は重縮合反応開始前の重縮合反応槽に添加する[]に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
][]又は[]に記載の製造方法で得られたポリエステル樹脂組成物を成形してなるポリエステルフィルム。
]微分干渉顕微鏡を用いて160倍の倍率で0.7mm×0.825mmの視野を20視野観察した際に、全ての視野において20μm以上の架橋高分子粒子の凝集物が確認されない[]に記載のポリエステルフィルム。
本発明によれば、該架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリーをポリエステル製造工程の任意の時期に添加することにより、酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーを混合させることなく、架橋高分子粒子の凝集を抑制することができ、このポリエステル樹脂組成物から透明で外観が良く、摩擦係数が低減すると同時に磨耗特性が向上したポリエステルフィルムを得ることができる。
実施例1におけるポリエステルフィルム表面の微分干渉顕微鏡写真(160倍) 比較例3におけるポリエステルフィルム表面の微分干渉顕微鏡写真(160倍)
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
尚、本発明においてポリエステルとは繰り返し構造単位の80%以上がエチレンテレフタレート単位を有するポリエステルを指す。
又、本発明において、平均粒径とは、断りのない限り体積平均粒径を指す。
<ポリエステル樹脂組成物の性質>
本発明のポリエステル樹脂組成物は、架橋高分子粒子を含んでなり、該架橋高分子粒子が下記(a)〜(c)を満たすことを特徴とする。
(a)該架橋高分子粒子の屈折率が1.35〜1.55である。
(b)該架橋高分子粒子の体積平均粒径が1.0〜5.0μmである。
(c)該架橋高分子粒子がフッ素を含む共重合アクリル樹脂である。
本発明のポリエステル樹脂組成物に含まれる架橋高分子粒子の濃度は0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上が特に好ましい。また本発明のポリエステル樹脂組成物に含まれる架橋高分子粒子濃度は3.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が特に好ましい。濃度がかかる範囲内であると、得られるポリエステル樹脂組成物を成形してなるポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの走行性や耐摩耗性が良好となり、また凝集粒子が少なく外観が良好となる。
本発明のポリエステル樹脂組成物の固有粘度の下限値は0.50dL/g以上が好ましく、0.55dL/g以上がより好ましい。一方、固有粘度の上限値は0.90dL/g以下が好ましく、0.80dL/g以下がより好ましい。固有粘度がかかる範囲内であると、ポリエステルフィルムの成形性及びフィルム物性の観点から好ましい。
本発明で得られるポリエステル樹脂組成物は架橋高分子粒子のマスターバッチとしても使用することが出来る。即ちポリエステル製造において比較的高濃度の架橋高分子粒子含有ポリエステル樹脂組成物を製造し、この組成物をポリエステル樹脂で適宜希釈してフィルム原料とすることが出来る。
<ポリエステル樹脂組成物の原料>
(架橋高分子粒子)
本発明に用いる架橋高分子粒子は、フッ素を含む共重合アクリル樹脂である。
本発明において、架橋高分子粒子は形状、組成、製法に制限はなく、各種の方法から得た架橋高分子粒子を用いることができる。
本発明に用いる架橋高分子粒子の組成の典型的な例としては、フッ素含有エチレン性飽和単量体及び、他のエチレン性不飽和単量体を共重合させてなるものである。他のエチレン性不飽和単量体には、架橋性単量体と非架橋性単量体があり、これらを併用することが好ましい。架橋性単量体が有する架橋性を与えるための官能基としてはビニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、カルボキシル基、アルコキシル基等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明に用いる架橋高分子粒子は、ポリエステルの製造あるいは成型時の高温においても実質的に不溶、不融で耐熱性を有するものが望ましい。具体的には窒素ガス流通下300℃で30分加熱処理した後の質量減少率が30質量%以下、好ましくは20質量%以下であることが好ましい。
・架橋高分子粒子の共重合組成
共重合体の一成分であるフッ素含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのフッ素含有エチレン性不飽和単量体は、その一種を用いても良く、二種以上を併用しても良い。
架橋性単量体としては、例えばジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジメタクリレート等を挙げることができる。これらの架橋性単量体は、その一種を用いても良く、二種以上を併用しても良い。
非架橋性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系単量体が挙げられる。これらの非架橋性単量体は、その一種を用いても良く、二種以上を併用しても良い。
本発明に用いる架橋高分子粒子の典型的な例としては、トリフルオロエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、メチルメタクリレートの三元共重合体あるいはこれに更にエチレングリコール単位を導入したものを挙げることができる。
本発明に用いる架橋高分子粒子は、1〜30質量%のフッ素を含有することが好ましい。フッ素含有量は、より好ましくは5〜25質量%であり、さらに好ましくは10〜20質量%である。フッ素含有量がかかる範囲にあると、得られるポリエステルフィルムのヘーズが小さいため好ましい。
またジビニルベンゼン等の架橋成分は、本発明のポリエステル樹脂組成物をポリエステルフィルムに加工するときにフィルムの透明性を低下させるボイドの生成を抑制するために、架橋成分の添加量は架橋高分子粒子に対し1質量%より多く、3質量%以上が好ましい。一方、架橋成分の添加量は20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
・架橋高分子粒子の製造方法
本発明に用いる架橋高分子粒子の製造方法については特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、ソープフリー乳化重合等のいずれを用いても良い。その場合、重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸カリウム−チオ硫酸ナトリウム等を用いることができる。又、架橋高分子粒子の形状にも制限はなく、球状、紡錘状、不定形等のいずれを用いても良い。
本発明に用いる架橋高分子粒子は、ポリエステルとの親和性をさらに高めるため表面処理により各種官能基を導入することができる。官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミド基、スルホン酸基等を挙げることができる。官能基の導入方法は特に限定されないが、カルボキシル基にはメタクリル酸、水酸基にはアクリル系モノマー、アミド基にはメタクリルアミド、スルホン酸基にはスチレンスルホン酸を用いるのが好適である。
・架橋高分子粒子の屈折率
本発明に用いる架橋高分子粒子の屈折率は1.55以下であり、1.50以下が好ましく、1.47以下がより好ましい。また、屈折率は1.35以上であり、好ましくは1.40以上である。
一般的なポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレートの屈折率を例にとると、その屈折率は1.57〜1.60の範囲であり、本発明に用いる架橋高分子粒子の屈折率とは差があるにもかかわらず、本発明においては、架橋高分子粒子の屈折率が上記範囲内であると、本発明のポリエステル樹脂組成物を用いてフィルムにした場合、フィルム延伸時のヘーズ上昇が少なく透明性の良好なフィルムを得ることができる。
その理由はいまだ明らかになっていないが、本発明に用いる架橋高分子粒子を含むポリエステル樹脂組成物をフィルム成形して延伸しても、無機粒子等と異なり粒子が柔軟で延伸方向に追従してボイドが生じにくいことから、延伸後のフィルムヘーズが他の粒子を用いたときより低くなることが考えられる。
尚、架橋高分子粒子の屈折率は、架橋高分子粒子中のフッ素含有エチレン性不飽和単量体の組成比により制御でき、フッ素含有量を多くすると屈折率が低くなる傾向がある。
・架橋高分子粒子の体積平均粒径
本発明に用いる架橋高分子粒子の体積平均粒径の下限は、1.0μm以上であり、2.0μm以上が好ましく、2.5μm以上がさらに好ましい。一方、その上限は、5μm以下であり、3.5μm以下が好ましい。この場合の体積平均粒径は、体積分率で50%に達する時の粒径である。体積平均粒径がかかる範囲内であると、本発明のポリエステル樹脂組成物を成形してなるポリエステルフィルムは、その走行性や耐摩耗性が改善され、表面粗度が大きすぎることが無く、フィルム表面を傷つけることが無く、透明性を損ねることがなく、凝集粒子のない外観良好なフィルムを得ることができる。
(ポリエステル原料)
本発明において、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を経て重縮合反応を行い、繰り返し構造単位の80%以上がエチレンテレフタレート単位を有するポリエステルを得る。
・ジオール成分
本発明において、エチレングリコールを主成分とするとは、全ジオール成分に対し、エチレングリコールを80モル%以上用いることを言う。中でもエチレングリコールを90モル%以上用いることが好ましく、95モル%以上用いることがより好ましく、99モル%以上用いることが更に好ましい。エチレングリコールの使用量が下限値以上であると、強度が十分であり、実用性の高いポリエステルフィルムが得られる。
本発明で用いられるエチレングリコール以外のジオール成分としては、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール;1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール;キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール;2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。ジオール成分は上記の中から一種を単独で用いても良く、二種類以上を併用することもできる。
・ジカルボン酸成分
本発明において、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体(以下、「テレフタル酸成分」と称することがある)を主成分とするとは、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体(以下、「ジカルボン酸成分」と称することがある)全量に対し、テレフタル酸成分を80モル%以上用いることを言う。中でもテレフタル酸成分を90モル%以上用いることが好ましく、95モル%以上用いることがより好ましく、99モル%以上用いることが更に好ましい。
テレフタル酸成分の使用量が下限値以上であると、強度が十分であり、実用性の高いポリエステルフィルムが得られる。
本発明で用いられるテレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、炭素数1〜4のアルコールのジエステル、具体的には、好ましくはジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレートが挙げられる。
本発明で用いられるテレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。該ジカルボン酸成分は上記の中から一種を単独で用いても良く、二種類以上を併用することもできる。
(触媒、助剤)
本発明において、エステル化反応、エステル交換反応、重縮合反応における触媒を使用することができる。
・エステル化反応触媒
前記エステル化反応においては、重縮合時に使用される後述の触媒及び助剤を使用することができる。その際、例えば、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン;水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ-n-ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム;或いは、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性化合物等を少量添加しておくことにより、エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生を抑制することができる。
・エステル交換反応触媒
エステル交換反応触媒としては長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)(以下、単に「周期表」と呼ぶことがある。)第1A族の金属元素、周期表第2A族の元素、マンガン、鉄、及びコバルトからなる群より選択された少なくとも1種の元素の化合物が挙げられる。中でも周期表第2A族の元素の化合物、特にはカルシウム化合物又はマグネシウム化合物は、エステル交換反応活性が高く、得られるポリエステルの着色も少ないため好ましく用いられる。更にカルシウム又はマグネシウム化合物の酢酸塩及びその水和物は、反応系への溶解性が良いため好ましく用いられる。
・重縮合反応触媒
重縮合反応触媒としては、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、及びアンチモンからなる群より選択された少なくとも1種の元素の化合物、前記周期表第1A族の金属元素、周期表第2A族の元素、マンガン、鉄、及びコバルトからなる群より選択された少なくとも1種の元素の化合物;及び、前記周期表第4A族のチタン族元素からなる群より選択された少なくとも1種の元素の化合物が挙げられる。中でもゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物は、重縮合反応活性が高く好ましく用いられる。その中でも二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、チタンアルコキサイドが取り扱い性などの点で好ましく用いられる。尚、エステル化反応触媒は特に必要としないが、上記重縮合反応触媒を添加することができる。
・熱安定化助剤
本発明において、熱安定化助剤としてリン化合物を添加することができる。リン化合物としては、例えば正リン酸;ポリリン酸;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート等のリン酸エステル、エチルジエチルホスホノアセテート等の5価のリン化合物;亜リン酸、次亜リン酸、及び、トリメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト等の3価のリン化合物が挙げられる。中でも、重縮合速度制御性の面から、リン酸、リン酸エステル等の5価のリン化合物が好ましく、さらに具体的にはトリメチルホスフェート、エチルアシッドホスフェートが特に好ましい。
上記触媒助剤の反応系への添加は、前記各化合物をエチレングリコール等のアルコールや水等の溶液として行うのが好ましい。
なお、エステル交換反応においては、エステル交換反応速度を低下させることがあり、通常リン化合物はエステル交換反応終了後、重縮合反応の前に添加する。
<ポリエステル樹脂組成物の製造>
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法は、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを用い、エステル化反応及び/又はエステル交換反応を行ってポリエステル低重合体を得るエステル化工程、得られたポリエステル低重合体を重縮合してポリエステルを得る重縮合工程を有するポリエステル樹脂組成物の製造方法であって、
下記(a)〜(c)を満たす架橋高分子粒子をエチレングリコールスラリーとし、該スラリーを該ポリエステル樹脂組成物の製造工程の任意の段階において添加することを特徴とする。
(a)該架橋高分子粒子の屈折率が1.35〜1.55である。
(b)該架橋高分子粒子の体積平均粒径が1.0〜5.0μmである。
(c)該架橋高分子粒子がフッ素を含む共重合アクリル樹脂である。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、上記特定の架橋高分子粒子をエチレングリコールスラリーとして、該スラリーをポリエステル製造工程の任意の段階において添加すること以外は、基本的には公知のポリエステル樹脂の製造方法により製造することができ、その製造は回分法でも連続法でも行うことができる。
(架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリー)
本発明において、架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリーをポリエステル製造工程の任意の段階において添加する。
・架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリーの製造
本発明に用いる架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリーの濃度は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が特に好ましい。該濃度が下限値以上では、添加するエチレングリコールスラリーが少量で済み、大規模な設備が不要になることがある。一方、該濃度は30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が特に好ましい。該濃度が上限値以下では、エチレングリコールスラリーの粘度が高くなりすぎず、添加が容易になる傾向がある。
架橋高分子粒子を含むエチレングリコールスラリーは、エチレングリコールと架橋高分子粒子とをモーターを備えた攪拌翼を用いて撹拌混合することで得られる。さらに必要に応じ粉砕処理、分級処理、濾過処理等の処理を施してからポリエステル製造工程に添加することも出来る。又、混合にあたっては市販の界面活性剤や分散剤を使用することも出来る。
・架橋高分子粒子の添加
本発明において、架橋高分子粒子を含むエチレングリコールスラリーをポリエステル製造工程の任意の段階において添加することができるが、なかでも、エステル化及び/又はエステル交換反応を行ってポリエステル低重合体(以下、「オリゴマー」と称することがある)を得るエステル化工程における反応槽又は、重縮合工程における反応開始前の重縮合反応槽に添加することが好ましい。尚、複数の重縮合反応槽を有する場合は、第一段目の反応槽までに添加することが好ましい。ここで、「反応槽に添加する」ことは、反応液の移送配管を通じて該反応槽に添加することも含まれる。
(ポリエステルの製造方法)
以下にポリエステル原料のジオール成分としてエチレングリコールを主成分とし、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とするポリエチレンテレフタレートの製造方法を例にして本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法を説明する。
・原料調製工程
原料調製工程では、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、必要に応じて用いられるその他の共重合成分等と共に、スラリー調製槽に投入し、攪拌下に混合した後、必要に応じてろ過することによって原料スラリーとする。ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比は、1.02〜2.0が好ましく、1.03〜1.7が更に好ましい。前記モル比をかかる範囲内にすることにより、エチレングリコールからのジエチレングリコールの生成量を抑制しつつ十分なエステル化反応速度が得られる。
テレフタル酸成分が、ジメチルテレフタレートのように、融点を有するエステル形成性誘導体の場合は、該エステル形成性誘導体を溶融保存して原料とし、必要に応じてろ過してエチレングリコールとは別にエステル化工程に供給することができる。該エステル形成性誘導体に対するエチレングリコールのモル比は、好ましくは1.5〜2.5、更に好ましくは1.7〜2.3、特に好ましくは1.9〜2.1の範囲として混合することによりなされる。同モル比が前記範囲未満ではエステル交換反応性が低下することとなり、一方、前記範囲超過ではエチレングリコールからのジエチレングリコールの生成量が増加することとなる。
・エステル化工程
エステル化工程はテレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応及び/又はテレフタル酸エステル形成性誘導体とエチレングリコールとのエステル交換反応を行い、オリゴマーを得る工程である。
エステル化反応は、単一のエステル化反応槽、又は、複数のエステル化反応槽を直列に接続した多段反応装置を用いて、エチレングリコールの還流下、且つ、反応で生成する水と余剰のエチレングリコールを系外に除去しながら、エステル化率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)が、通常90%以上、好ましくは93%以上に達するまで行なう。又、エステル化反応生成物としてのオリゴマーの数平均分子量は500〜5,000であるのが好ましい。
エステル化反応における反応条件としては、複数のエステル化反応槽の場合、第1段目のエステル化反応槽における反応温度を、通常240〜270℃、好ましくは245〜265℃、圧力を、通常0〜300kPaG(Gは大気圧に対する相対圧力であることを示す)、好ましくは0〜200kPaGとし、最終段における反応温度を、通常250〜280℃、好ましくは255〜275℃、圧力は通常0〜180kPaG、好ましくは0〜150kPaGとする。尚、単一のエステル化反応槽による場合には、反応温度を200〜280℃、好ましくは210℃〜270℃、圧力を0〜180kPaG、好ましくは0〜150kPaGとする。
エステル交換反応は、単一のエステル交換反応槽、又は、複数のエステル交換反応槽を直列に接続した多段反応装置を用いて、エチレングリコールの還流下、且つ、反応で生成するエステル由来のアルコール成分と余剰のエチレングリコールを系外に除去しながら、一般的なポリエステル製造条件で反応を行う。又、得られるエステル交換反応生成物としてのポリエステル低分子量体の数平均分子量は500〜5,000であるのが好ましい。
エステル交換反応における反応条件としては、複数のエステル交換反応槽の場合、第1段目のエステル交換反応槽における反応温度を、通常180℃〜230℃、好ましくは180℃〜220℃、圧力を、通常0kPaG〜300kPaG、好ましくは0kPaG〜200kPaGとし、最終段における反応温度を、通常220℃〜260℃、好ましくは225℃〜240℃、圧力を、通常0kPaG〜200kPaG、好ましくは0kPaG〜150kPaGとする。尚、単一のエステル交換反応槽で行う場合には、エステル交換反応槽の反応温度を150℃〜280℃、好ましくは150℃〜250℃、圧力を、0kPaG〜200kPaG、好ましくは0kPaG〜150kPaGとする。
・重縮合工程
本発明において、エステル化工程に続き、オリゴマーを溶融重縮合する重縮合工程を行う。溶融重縮合は、連続式、回分式のいずれの方法でもかまわないが、連続式の場合は複数の重縮合反応槽を直列に接続した、例えば、第1段目が攪拌翼を備えた完全混合型の反応器、第2段及び第3段目が攪拌翼を備えた横型プラグフロー型の反応器からなる多段反応装置を用いて、減圧下に、副生するエチレングリコールを系外に留出させながら行なう。
連続式の溶融重縮合における反応条件としては、複数の重縮合反応槽の場合、第1段目の重縮合反応槽における反応温度を、通常250℃〜290℃、好ましくは260℃〜280℃、絶対圧力を、通常65kPa〜1.3kPa、好ましくは26kPa〜2kPaとし、最終段における反応温度を、通常265℃〜300℃、好ましくは270℃〜295℃、絶対圧力を、通常1.3kPa〜0.013kPa、好ましくは0.65kPa〜0.065kPaとする。中間段の重縮合反応槽における反応条件としては、それらの中間の条件が選択され、例えば、3段反応装置においては、第2段における反応温度を、通常265℃〜295℃、好ましくは270℃〜285℃、絶対圧力を、通常6.5kPa〜0.13kPa、好ましくは4kPa〜0.26kPaとする。
一方、回分式の場合は、通常、エステル化又はエステル交換反応槽とそれに直列に接続された重縮合反応槽からなる反応装置を用いて、減圧下に、副生するエチレングリコールを系外に留出させながら行なう。
回分式の溶融重縮合における反応条件としては、重縮合反応槽における反応温度を、通常220℃〜300℃、好ましくは220℃〜295℃の範囲で漸次昇温し、漸次減圧し通常最終圧力を1.3kPa〜0.013kPa、好ましくは0.65kPa〜0.065kPaとする。
・ペレット化、固相重縮合
溶融重縮合により得られた樹脂は、通常、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断してペレット状、チップ状等の粒子状体とされ、本発明のポリエステル樹脂組成物が得られる。得られたポリエステル樹脂組成物は必要に応じて融点以下で不活性ガス雰囲気下又は減圧下で固相重縮合を行ってもよい。
<ポリエステルフィルム>
本発明のポリエステルフィルムは、上記のポリエステル樹脂組成物を成形してなるものである。本発明におけるフィルムとは1μm〜500μmの厚さのものを指す。フィルム成形の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ポリエステルの融点以上の温度で溶融した後、押出成型によりポリエステルシートを得、次いで得られたポリエステルシートを二軸延伸によりポリエステルフィルムを得ることができる。上記ポリエステルを250〜320℃でフィルム状に溶融押出した後、固化し、無定型シートとし、次いで70℃〜140℃で縦、横に逐次または同時二軸延伸し、160〜240℃で熱処理する方法が挙げられる。通常、延伸温度は80〜140℃であり、延伸倍率は縦、横各々2〜7倍の範囲から選択される。
・ポリエステルフィルムの性質
上記方法によって得られたポリエステルフィルムに含まれる架橋高分子粒子の含有量は0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が特に好ましい。含有量が下限値未満だとポリエステルフィルムに含まれる架橋高分子粒子量が少なすぎてその走行性や耐摩耗性が改善されないことがある。また架橋高分子粒子の含有量が1.0質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましく、0.6質量%以下が特に好ましい。架橋高分子粒子の含有量がかかる範囲内であると、ポリエステルフィルム中の架橋高分子粒子が分散しやすく、透明性が高く外観が良好なポリエステルフィルムが得られる。
本発明のポリエステルフィルムの表面粗さRaは0.01〜0.3μmが好ましく、0.04〜0.1μmがさらに好ましい。表面粗さRaがかかる範囲内にあると、適度な走行性、耐摩耗性が得られやすい傾向がある。又、フィルムの透明性の観点から、そのヘーズの上限は、10%以下が好ましく、6%以下がさらに好ましい。一方、そのヘーズの下限は測定可能下限であり、通常0.1%である。
本発明のポリエステルフィルム中に含まれる架橋高分子粒子の分散性は、該ポリエステルフィルムを、微分干渉顕微鏡を用いて160倍の倍率で0.7mm×0.825mmの視野を20視野観察した際に、全ての視野において20μm以上の架橋高分子粒子の凝集物が確認されない場合は、分散性が良好であるものとする。
尚、微分干渉顕微鏡を用いることは、一般的な光学顕微鏡を用いるよりも、フィルム中のポリエステルと架橋高分子粒子との境界における屈折率差が観察しやすいため、前記分散性の確認に有用である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、実施例及び比較例中「部」とある場合は有効成分の「質量部」を示す。又、「ポリエステル樹脂分」とある場合は、ポリエステル樹脂組成物に含まれるポリエステルの質量を示す。
本発明で用いた架橋高分子粒子、ポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルムの各特性値の測定は次の方法に従って行なった。
(架橋高分子粒子の屈折率の測定)
100ccのフラスコに粒子0.5gを秤量し、二硫化炭素40gを加えた後、マグネチックスターラーにより室温で十分に攪拌し、混合溶液を作成した。この混合溶液に、ピペットにてエタノールを滴下していくと、最初白濁していた液が徐々に透明になった。目視で透明と判断した点を終点とした。終点時点での粒子分散液における二硫化炭素とエタノールの質量比に相当する混合溶剤を別途作製し、アッベ屈折率計(アタゴ社製、「DR−A1」)にて混合溶剤の屈折率を測定し、この屈折率を粒子の屈折率とした。
(架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリーに含まれる架橋高分子粒子の平均粒径の測定[μm])
架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリー0.03〜0.10gをポリアクリル酸系分散剤(東亜合成社製、「アロンT−50」)の水溶液200mlに混合し超音波分散装置内蔵試料供給装置(日機装社製、「MICROTRAC SDC」)で処理し、レーザー回折型粒度分布計(日機装社製、「MT−3000II」)を用いて平均粒径を測定した。この場合の平均粒径とは体積分率で50%に達するときの粒径である。また、ポリアクリル酸系分散剤の水溶液は水100部に対しアロンT−50(濃度43%)を固形分で0.01部加え充分に混合することで得た。
(酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーに含まれる酸化アルミニウム微粒子の平均粒径の測定[μm])
酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリー1gを純水50gに混合して、遠心沈降型粒度分布計(島津製作所社製、「SACP−4L」)を用いて平均粒径を測定した。この場合の平均粒径とは体積分率で50%に達するときの粒径である。
(ポリエステルの固有粘度(IV)[dL/g])
ポリエステル樹脂試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00g/dLとなるように溶解させた後、30℃まで冷却し、30℃において全自動溶液粘度計(センテック社製、「DT553」)にて、試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式により、固有粘度(IV)を算出した。
IV=((1+4KHηsp)0.5−1)/(2KHC)
ここで、 ηsp=η/η0−1 であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒のみの落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。なお試料の溶解条件は、110℃で30分間である。
(平均エステル化率(E)[%])
ポリエステル樹脂試料を重水素化クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(質量比7/3)の混合溶媒に濃度3質量%で溶解させた溶液について、核磁気共鳴装置(日本電子社製「JNM−EX270型」)にて、1H−NMRを測定して各ピークを帰属し、末端カルボキシル基量(Aモル/試料トン)をピークの積分値から計算し、以下の式により、テレフタル酸単位の全カルボキシル基のうちエステル化されているものの割合としての平均エステル化率(E)[%]を算出した。
平均エステル化率(E)=〔1−A/{(1000000/192.2)×2}〕×100
(フィルム表面粗さRa[μm])
実施例で得られた厚さ15μmのポリエステルフィルムを30mm×40mmの大きさに切り出し、触針式粗度装置(小坂研究所社製、「SP−61D」)を使用してフィルム表面粗さを測定した。12点測定し、最大値と最小値を除いた10点の測定値の平均をRa[μm]とした。
(フィルムヘーズ)
実施例で得られた厚さ15μmのポリエステルフィルムを75mm×30mmの大きさに切り出し、積分球式ヘーズメーター(日本電色工業社製、「NDH−1001DP型」)を使用してヘーズを測定した。5点測定し、その平均値をフィルムヘーズとした。
(フィルム外観の評価)
フィルムの外観評価は目視で実施した。目視で凝集物が確認できない場合は「良」、目視で凝集物が確認できる場合は「不良」とした。
(ポリエステルフィルムに含まれる架橋高分子粒子凝集物の確認)
実施例で得られた厚さ15μmのポリエステルフィルムを1.5cm×0.8cmの大きさに切り出した後、アルミニウムを蒸着させ、微分干渉顕微鏡(ニコン社製、「OPTIPHOT」)を用いて、160倍の倍率(接眼レンズ倍率は16倍、対物レンズ倍率は10倍)で、0.7mm×0.825mmの視野を20個観察し、全20視野中におけるフィルム平面方向の大きさが20μm以上の架橋高分子粒子の凝集物の有無を確認した。
尚、本実施例及び比較例で使用する架橋高分子粒子及びそのスラリーは下記のとおりに製造した。
(フッ素含有架橋アクリル粒子の製造)
脱塩水1500質量部に水溶性重合開始剤の過硫酸カリウム3.2部と分散安定剤としてラウリル硫酸ナトリウムを添加し均一に溶解させた後、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート54質量部、メチルメタクリレート32質量部、エチレングリコールジメタクリレート14質量部の混合溶液を加えた。窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら70℃−24時間ラジカル重合反応を行った。重合反応後のスラリーをスプレードライして粉末状のフッ素含有架橋アクリル粒子を得た。得られた粒子は体積平均粒子径が3.0μm、屈折率1.45であった。
(フッ素含有架橋アクリル粒子のエチレングリコールスラリーの製造)
上記で得られたフッ素含有架橋アクリル粒子10質量部とエチレングリコール90質量部とを計量し攪拌機(特殊機化工業社製、「T.K.HOMOJETTOR」)で混合した後、カートリッジフィルター(アドバンテック社製、「TC−30」)でろ過してフッ素含有架橋アクリル粒子のエチレングリコールスラリーを得た。レーザー回折型粒度分布計で測定したスラリー中の架橋ポリスチレン粒子の平均粒径は3.0μmであり、粒子濃度は10質量%であった。
(酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーの製造)
エチレングリコール100質量部、高分子型分散剤(ポリエチレンイミンアルキレンオキシド付加物、第一工業製薬社製、「ディスコールE420」)0.003部、純水0.02質量部を計量し、酸化アルミニウム微粒子(親水性フュームドアルミナ、一次粒径:13nm、日本アエロジル社製、「Aluminium Oxide C」)22質量部を加え攪拌機で混合して酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーを得た。次いで酸化アルミニウム微粒子の平均粒径が0.07μmになるように横型連続式湿式媒体攪拌ミル(シンマルエンタープライゼス社製、「ダイノーミルKDL型」)で粉砕処理を実施した。尚、酸化アルミニウム微粒子の平均粒径は遠心沈降式粒度分布計(島津製作所社製、「SACP−4L」)で測定した。次いで円筒型遠心分離機(巴工業社製、「ASM160」)で遠心分離処理を施した後、カートリッジフィルター(ロキテクノ社製、「SL−030」)でろ過することで平均粒径が0.07μmの酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーを得た。
(架橋スチレン−アクリル粒子の製造)
脱塩水1500質量部に水溶性重合開始剤の過硫酸カリウム3.2質量部と分散安定剤としてラウリル硫酸ナトリウムを添加し均一に溶解させた後、スチレン90質量部、アクリル酸2質量部、ジビニルベンゼン8質量部の混合溶液を加えた。窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら70℃−24時間ラジカル重合反応を行った。重合反応後のスラリーをスプレードライして粉末状の架橋スチレン−アクリル粒子を得た。得られた粒子は体積平均粒子径が3.0μm、屈折率1.57であった。
(架橋スチレン−アクリル粒子エチレングリコールスラリーの製造)
上記で得られた架橋スチレン−アクリル粒子10質量部とエチレングリコール90質量部とを計量し攪拌機(特殊機化工業社製、「T.K.HOMOJETTOR」)で混合し、架橋スチレン−アクリル粒子のエチレングリコールスラリーを得た。レーザー回折型粒度分布計で測定したスラリー中の架橋スチレン−アクリル粒子の平均粒径は3.0μmであり、粒子濃度は10質量%であった。
(架橋ポリスチレン粒子の製造)
脱塩水1500質量部に水溶性重合開始剤の過硫酸カリウム3.2質量部と分散安定剤としてラウリル硫酸ナトリウムを添加し均一に溶解させた後、スチレン92質量部とジビニルベンゼン8質量部の混合溶液を加えた。窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら70℃−24時間ラジカル重合反応を行った。得られた粒子を電子顕微鏡で観察したところ、平均粒径1.0μmのほぼ球状のものであった。重合反応後のスラリーをスプレードライして粉末状の架橋ポリスチレン粒子を得た。得られた粒子は屈折率1.60であった。
(架橋ポリスチレン粒子エチレングリコールスラリーの製造)
上記で得られた架橋ポリスチレン粒子10質量部とエチレングリコール90質量部とを計量し攪拌機で混合した後、カートリッジフィルター(ロキテクノ社製、「SLS−150」)でろ過して架橋ポリスチレンの粒子のエチレングリコールスラリーを得た。レーザー回折型粒度分布計で測定したスラリー中の架橋ポリスチレン粒子の平均粒径は1.0μmであり、粒子濃度は10質量%であった。
(架橋ポリスチレン粒子及び酸化アルミニウム微粒子の各エチレングリコールスラリーの混合)
架橋ポリスチレン粒子のエチレングリコールスラリーと粉砕処理を施した酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーとを攪拌翼とモーターを使用して120分間混合した。
[参考例]
(架橋高分子粒子を含まないポリエチレンテレフタレート樹脂の製造)
スラリー調製槽、及びそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、及び2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の重縮合反応槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを質量比で865:485の割合で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3質量%エチレングリコール溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してリン原子(P)としての含有量が23質量ppmとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製し、このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃、圧力50kPaG、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、5kPaG、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。
引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を重縮合反応槽に移送する際、その移送配管に、酢酸マグネシウム四水塩の0.2質量%エチレングリコール溶液を、生成ポリエステルに対してマグネシウム原子(Mg)としての含有量が31質量ppmとなる量で連続的に添加した後、三酸化アンチモンの0.3質量%エチレングリコール溶液を生成ポリエステル樹脂に対してアンチモン原子(Sb)としての含有量が233質量ppmとなる量で連続的に添加した。次いで、270℃、圧力2.6kPa、平均滞留時間1.2時間に設定された第1段目の重縮合反応槽、次いで、278℃、0.5kPa、平均滞留時間1.2時間に設定された第2段目の重縮合反応槽、次いで、280℃、圧力0.3kPa、平均滞留時間1.2時間に設定された第3段目の重縮合反応槽に連続的に移送して、溶融重縮合させ、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断して、数平均粒重が24mgのチップ状粒状体としたポリエステル樹脂を製造した。得られた樹脂の固有粘度は0.60dL/gであった。
以下の実施例及び比較例において、架橋高分子粒子及び酸化アルミニウム微粒子は、エチレングリコールスラリーとして添加したが、記載されている添加量は該化合物の固形分としての添加量である。
ジメチルテレフタレート100質量部、エチレングリコール65質量部を、攪拌装置、昇温装置および留出液分離塔を備えたエステル交換反応槽に仕込み、150℃に加熱してジメチルテレフタレートを溶融させた。次いで、酢酸マグネシウムを、得られるポリエステル樹脂分に対し0.09質量部添加されるように酢酸マグネシウム四水塩のエチレングリコール溶液を添加した後、常圧下で3時間かけて225℃まで昇温させ、さらに225℃で1時間15分攪拌保持すると共にメタノールを留去しながらエステル交換反応を行ない、実質的にエステル交換反応を終了してポリエステル低重合体(オリゴマー)を得た。
次に、該オリゴマーを攪拌装置、昇温装置および減圧装置を備えた重縮合反応槽へ移送した後、攪拌下フッ素含有架橋アクリル粒子を、得られるポリエステル樹脂分に対して1.0質量%を前記オリゴマーに添加した。
次いで熱安定剤としてリン酸のエチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂分に対しリン酸添加量が0.03質量部となるように、又、重縮合触媒として三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂分に対し三酸化アンチモン添加量が0.04質量部となるように、前記オリゴマーに添加した後、101.3kPaから0.4kPaまで85分間で減圧し0.4kPaに保持するとともに、225℃から280℃まで2時間かけて昇温させ280℃で1.5時間保持して溶融重縮合反応を行い、固有粘度0.62dL/gのポリエステル樹脂組成物を得た。
次いで該ポリエステル樹脂組成物と、参考例で得たフッ素含有架橋アクリル粒子を含まないポリエチレンテレフタレート樹脂とをポリエステルフィルム中に含まれるフッ素含有架橋アクリル粒子量が0.3質量%になるように、ポリエステルフィルム成形機のホッパー内で混合した後、押出機(新三菱重工業社製「MX40667」)を使い285℃で溶融押出成型することで未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを二軸延伸機(米国T.M LONG社製「Film Stretcher」)を使い90℃で縦方向に4.0倍、次いで横方向に3.5倍逐次二軸延伸し、次いで180℃3分間で熱固定することで厚さ15μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムを微分干渉顕微鏡で観察したところ、図1に示すとおり20μm以上の架橋高分子粒子の凝集物は0個であることを確認した。また、架橋高分子粒子が分散し、フィルム表面に凹凸を生じている様子も確認できた。ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。目視で確認できる架橋高分子粒子の凝集物は存在せず、ポリエステルフィルムの外観は良好であった。
実施例1において、得られるポリエステル樹脂分に対するフッ素含有架橋アクリル粒子の添加量を0.6質量%に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、20μm以上の架橋高分子粒子の凝集物は0個であった。又、目視で確認できる架橋高分子粒子の凝集物は存在せず、ポリエステルフィルムの外観は良好であった。
[比較例1]
実施例1において、フッ素含有架橋アクリル粒子に代えて、体積平均粒径が3.0μmの架橋スチレン−アクリル粒子をポリエステル樹脂分に対して0.6質量%添加したこと以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、20μm以上の架橋高分子粒子の凝集物の個数は0個であった。又、目視で確認できる架橋高分子粒子の凝集物は存在せず、ポリエステルフィルムの外観は良好であった。しかし、フィルムヘーズは10.6%と高かった。
[比較例2]
実施例1において、フッ素含有架橋アクリル粒子に代えて、体積平均粒径1.0μmの架橋ポリスチレン粒子0.6質量%および酸化アルミニウム微粒子をポリエステル樹脂分に対して0.3質量%添加したこと以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、20μm以上の架橋高分子粒子の凝集物の個数は0個であった。又、目視で確認できる架橋高分子粒子の凝集物は存在せず、外観は良好であった。しかし、フィルム表面粗さRaは0.030μmであり、フィルムの滑り性を有するに十分な突起形成を期待できる値ではなかった。
[比較例3]
比較例2において、酸化アルミニウム微粒子を添加しなかったこと以外は比較例2と同様にしてポリエステル樹脂組成物およびポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、図2に示すとおりポリスチレン粒子の凝集物が多数確認され、20μm以上の凝集物を多数確認した。100μmの大きさを有する凝集物も多数確認された。得られたポリエステルフィルムの特性を表1に示す。該フィルムは、目視で確認できる架橋高分子粒子の凝集物が多数存在するため外観は不良であった。
表1に示すとおり、請求項1の(a)〜(c)を満たす架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリーをポリエステルオリゴマーに添加して重縮合反応することにより得られた樹脂組成物を成形してなる実施例1および2のポリエステルフィルムは、微分干渉顕微鏡を用いて160倍の倍率で0.7mm×0.825mmの視野を20視野観察した際に、20μm以上の凝集物が確認されず架橋高分子粒子の分散性が良好であった。又、該ポリエステルフィルムは、目視で確認できる架橋高分子粒子の凝集物が無く、外観良好であった。
一方、体積平均粒径が(b)を満たすが、屈折率が(a)の上限値を越えポリエステルに近く、フッ素を含有しないため(c)を満たさない架橋ポリスチレン粒子を使用して製造した比較例1のポリエステルフィルムは、架橋高分子粒子の分散性及び表面粗さRaは良好であったが、フィルムヘーズが高くなった。比較例1では、実施例1および2に対し、架橋高分子粒子の屈折率はポリエステルに近いが、得られるフィルムのヘーズは高くなった。
又、屈折率およびフッ素を含有しないことが比較例1と同様(即ち(a)および(c)を満たさない)であるが、体積平均粒径が(b)の下限値付近の架橋ポリスチレン粒子を使用した比較例3のポリエステル樹脂組成物は、20μm以上の凝集物が多数観察され、架橋高分子粒子の分散性が不良であった。
該架橋ポリスチレン粒子と酸化アルミニウム微粒子とを併用する方法で得られた比較例2のポリエステル樹脂組成物は、20μm以上の凝集物が観察されず、体積平均粒径を小さくしたことによりフィルムヘーズも低くなったが、フィルム表面粗さRaが小さくなり、フィルムの滑り性が期待できる値ではなかった。
本発明の方法によれば、(a)〜(c)を満たす架橋高分子粒子を使用することで、煩雑な操作を必要とせずに該架橋高分子粒子の分散性が良好なポリエステル樹脂組成物が得られ、該樹脂組成物を成形してなるフィルムは、ヘーズが小さいことから透明性が高く、フィルム表面粗さRaが大きいことからフィルムの滑り性及び走行性が高く、添加した架橋高分子粒子の凝集物がないことから外観が良好である。
本発明の製造方法で得られたポリエステル樹脂組成物を成形してなるポリエステルフィルムは、透明性や外観が良好であり、適度な大きさの架橋高分子粒子が良好に分散したことにより、ポリエステルフィルムのヘーズを抑制したまま摩擦係数が低減すると同時に磨耗特性が向上するため、透明フィルムを用いるあらゆる分野に適用することができ、特に光学用フィルムとして利用できる。

Claims (4)

  1. テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを用い、エステル化反応及び/又はエステル交換反応を行ってポリエステル低重合体を得るエステル化工程、得られたポリエステル
    低重合体を重縮合してポリエステルを得る重縮合工程を有するポリエステル樹脂組成物の製造方法であって、
    下記(a)〜(c)を満たす架橋高分子粒子をエチレングリコールスラリーとし、該スラリーを該ポリエステル樹脂組成物の製造工程の任意の段階に添加することを特徴とする、(a)〜(c)を満たす架橋高分子粒子を含んでなり、アルミニウム化合物を含まないポリエステル樹脂組成物の製造方法。
    (a)該架橋高分子粒子の屈折率が1.35〜1.55である。
    (b)該架橋高分子粒子の体積平均粒径が1.0〜5.0μmである。
    (c)該架橋高分子粒子がフッ素を含む共重合アクリル樹脂である。
  2. 架橋高分子のエチレングリコールスラリーをエステル化工程における反応槽又は重縮合反応開始前の重縮合反応槽に添加する請求項に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  3. 請求項又はに記載の製造方法で得られたポリエステル樹脂組成物を成形してなるポリエステルフィルム。
  4. 微分干渉顕微鏡を用いて160倍の倍率で0.7mm×0.825mmの視野を20視野観察した際に、全ての視野において20μm以上の架橋高分子粒子の凝集物が確認されない請求項に記載のポリエステルフィルム。
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