JP6106414B2 - 建具 - Google Patents
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Description
この連動式引き戸として、枠体にガイドレールを設け、このガイドレールで内扉および外扉を移動自在に案内し、ガイドレールと外扉とに当接する連動ローラーを内扉に設けた従来例がある(特許文献1)。
この特許文献1の従来例では、外扉を移動させると、外扉に当接した連動ローラーが回転して内扉を同じ方向へ移動させる。外扉を開閉操作するために、外扉の戸先側に縦長な引手が設けられている。
つまり、車いす利用者は、外扉を開閉するために、引手に手がかかる位置まで車いすを移動することになるが、引き戸の縦枠の近傍には内壁が設けられていることがあるため、この内壁が車いすの進行の妨げとなって、開閉操作がしにくいものとなる。
また、車いすを利用していない者であっても、枠体の戸先側縦枠の近傍に荷物等が置かれると、引手に手が届きにくくなるため、外扉の開閉操作がしにくい。
本発明では、第1の障子の戸先側縦框側ではなく召合框に開閉ハンドルが設けられているので、戸先側縦枠から離れた位置にいる者が開閉ハンドルを握りやすくなり、障子の開閉操作を容易に行うことができる。また、開閉ハンドルを取り付けるための部分を召合框の長さ方向に沿って適宜設定することができるので、開閉ハンドルの取付構造を強固なものにできる。
さらに、ハンドル本体の先端側が戸尻側縦枠に向けて移動し、かつ召合框の見付け面に近接する方向にハンドル本体を回動することで、当接部材が受部材に向けて前進する。すると、当接部材は上枠に設けられた受部材に当接することになり、その反動で、第1の障子の移動し始めがスムースになる。つまり、ハンドル本体を握る部分と回動中心との距離を大きくすることにより、いわゆる梃子の原理によって、第1の障子を移動しやすくすることができる。
そのため、車いす利用者のように、車いすと開閉ハンドルの位置関係によって手の可動範囲に制限があっても、アシスト機構により、障子を初動時の開放に引き続いて十分に移動させることが容易となり、使い勝手が良いものとなる。
図1は、本発明の一実施形態にかかる建具の全体を示す。図2は、建具の横断面を示す。図3は、建具の縦断面を示す。各図においては、図面を見やすくするために、主要な構成部材については、その断面部分のハッチングを省略することがある。
建具枠2は、それぞれアルミ押出形材製の上枠3、戸先側縦枠4A、この戸先側縦枠4Aに対向される戸尻側縦枠4B、および下枠5を有し、これらの上枠3、戸先側縦枠4A、戸尻側縦枠4Bおよび下枠5から開口部が形成される。
上枠3は、第1の障子10を案内する上レール3Aと、第2の障子20を案内する上レール3Bと、第3の障子30を案内する上レール3Cとを備えている。
戸先側縦枠4Aに近接して内壁Wが設けられている。
下枠5は、第1の障子10を支持する下レール5Aと、第2の障子20を支持する下レール5Bと、第3の障子30を支持する下レール5Cとを備えている。
第1の障子10は、それぞれアルミ押出形材製の上框11、下框12、戸先側縦框13および召合框14と、ガラス製や樹脂製の面材15とを備える。
下框12には下レール5Aの上で移動する戸車18が回動自在に設けられている。召合框14は、第2の障子20との召合せ部における縦框である。
下框22には下レール5Bの上で移動する戸車18が回動自在に設けられている。
戸先側縦框23は第1の障子10との召合せ部の外召合せ框となるものであり、その見込み面部230の上部には連動装置40が取り付けられている。
第3の障子30は、上框31、下框32、戸先側縦框33、戸先側縦枠34、および面材35を備えて構成されている。なお、図3では、第3の障子30を可動式にするために戸車18が設けられているが、本実施形態では、第3の障子30を固定障子としてもよい。
ローラー42は、ゴム等の弾性材料から形成された円柱状部材であり、その周面は第1の障子10の上框21の側面と上枠3の案内部(図示せず)とに当接される。なお、ローラー42と当接する上框21の側面および上枠3の案内部には、ゴムシート等の所定の摩擦係数を有する直線状の被当接部材(図示せず)が設けられるものであってもよい。
2つのアシスト機構本体50Aのうち第1の障子10の戸先側縦框13の上部に設けられたものは、第1の障子10を開操作する際のスライドの補助を行うものであり、召合框14の上部に設けられたアシスト機構本体50Aは、第1の障子10を閉操作する際のスライドの補助を行うものである。
いずれのアシスト機構本体50Aは、それぞれ、戸先側縦框13の上部および上框11に取付部510を介して取り付けられたケーシング51と、このケーシング51の内部にそれぞれ設けられた第一歯車部521および第二歯車部522と、ケーシング51の外部に回動自在に取り付けられた案内ローラー53とを備えて構成されている。
レール部材55は、取付部材54に当接される側壁部551と、側壁部551と対向配置される側壁部552と、これらの側壁部551,552の上端部に設けられる上壁部553とを備えた断面コ字状の長尺部材であり、その内部は、アシスト機構本体50Aが上枠3の長手方向に沿って移動するための空間とされる。
側壁部551の内側部下方には、案内ローラー53を案内する案内レール部541が形成されている。
図4において、第一歯車部521と第二歯車部522とには、ゼンマイばねからなるばね部56と歯車列57とが連結されている。
第一歯車部521は、巻き取りギヤとして機能するものであり、第二歯車部522は走行ギヤとして機能するものである。
開閉ハンドル60は、第1の障子10の召合框14の室内側見付け面の上、中、下の3箇所に取り付けられた基部61と、これらの基部61に回動自在に設けられたハンドル本体62と、ハンドル本体62を所定位置に戻すように付勢する図示しない付勢機構とを備えて構成される。ハンドル本体62は円柱部材の周面から脚部が設けられた構造である。付勢機構は、ばね等の適宜な手段から構成される。ハンドル本体62の長さ寸法は第1の障子10の高さ寸法とほぼ同じである。
なお、第1の障子10の戸先側縦框13の室外側見付け面には室外側から第1の障子10を開閉操作するための取手部65が設けられている。
図5において、施錠機構70は、召合框14の内部に設けられたケース700と、このケース700にそれぞれ上下に延びて配置された第一長尺部材71および第二長尺部材72を備えている。第一長尺部材71は、その下端から中央部分にかけて第一ラック71Lが形成され、第二長尺部材72は、その上端から中央部分にかけて第二ラック72Lが形成されている。
化粧部材76は召合框14の室内側見付け面部に設けられている。
第二長尺部材72の下端部には第二係止片72Tが設けられている。この第二係止片72Tは、下枠5に形成された第二係合部5Fに係合可能とされている。第二係合部5Fは下枠5に設けられた金具5Gの係合孔から構成されている。
なお、図5に示される通り、施錠機構70には鎌錠77が連結されている。この鎌錠77は、摘み部75で施錠操作することにより、第1の障子10の召合框14の見付け面から突出して第2の障子20の戸先側縦框23に係止される。
第1の障子10がスライドすると、連動装置40が作動して第2の障子20が第1の障子10に連動し、建具の開口部が開放される。
第1の障子10が戸尻側縦枠4Bに近接すると、戸尻側に配置されたアシスト機構50の第一歯車部521が第一ラック部561の上を転動するが、第一歯車部521は逆方向に空転することになり、第1の障子10のスライドに負荷をかけることがない。
建具1の開口部が閉じられたら、第1の障子10の施錠機構70を操作して解錠する。そのため、摘み部75を押し下げ、第二長尺部材72を下方に向けて移動させ、第一長尺部材71を、ピニオン部材73を介して上方に向けて移動させる。これにより、第一長尺部材71の先端部に設けられた第一係止片71Tが上枠3の第一係合部3Fに係合され、第二長尺部材72の先端部に設けられた第二係止片72Tが下枠5の第二係合部5Fに係合されて第1の障子10のスライドが規制される。
(1)建具枠2にそれぞれスライド開閉自在に支持された第1の障子10、第2の障子20および第3の障子30と、第1の障子10の開閉に伴って第2の障子20を連動させる連動装置40と、第1の障子10を開閉する開閉ハンドル60とを備えた建具1において、開閉ハンドル60を、第1の障子10の召合框14の室内側見付け位置に設けたから、建具枠2の戸先側縦枠4Aから離れた位置にいる者、例えば、内壁Wがあることで、戸先側縦枠4Aに近づけない車いす利用者が開閉ハンドル60を握りやすくなり、障子の開閉操作を容易に行うことができる。しかも、開閉ハンドル60を取り付ける位置を召合框14の複数位置に設定することができるので、開閉ハンドル60の取付構造を強固なものにできる。
特に、本実施形態では、ハンドル本体62の回動に伴って基部61から当接部材64が出没する開閉ハンドル60と、アシスト機構50とを組み合わせる構成であるため、ハンドル本体62を戸尻側縦枠4Bに向けて押すだけで、大きな力をかけることなく、第1の障子10が円滑にスライドして開口部が開放されることになる。
例えば、前記実施形態では、開閉ハンドル60を第1の障子10の召合框14の見付け面に設けたが、本発明の開閉ハンドル60の取付位置はこれに限定されるものではなく、第1の障子10の戸先側縦框13より召合框側であるのであれば具体的な位置は限定されるものではなく、例えば、第1の障子10の見付け面方向の中央部分において上框11および下框12を架け渡す位置に設けるものであってもよい。さらに、開閉ハンドル60の長さは第1の障子10の高さ寸法より小さいもの、例えば、半分であってもよく、この場合、開閉ハンドル60を召合框14の高さ方向の中心部分に設置するものでもよい。
また、本発明では、施錠装置を召合框14の上下にそれぞれ設けるものであってもよく、さらには、召合框14ではなく戸先側縦框13に設けるものでもよい。
また、当接部材64はブロック状のものに限定されるものではなく、先端にローラを設けた構造でもよい。当接部材64が受部材3Eに当接する場所は先端に限定されるものではない。さらに、当接部材64は、基部61に出没自在に設けられた構造に限定されるものではなく、他の構造、例えば、ハンドル本体62の回動により基端が回動するアーム部材を備え、ハンドル本体62の回動に伴ってアーム部材が回動し、アーム部材の先端部で受部材3Eを蹴り出す構成としてもよい。
Claims (4)
- 戸先側縦枠、この戸先側縦枠に対向する戸尻側縦枠、上枠および下枠を有し開口部が形成された枠体と、この枠体にそれぞれスライド開閉自在に支持された第1の障子、第2の障子および第3の障子の少なくとも3枚の障子と、
前記第1の障子の開閉に伴って前記第2の障子を連動させる連動装置と、
前記第1の障子に設けられ前記第1の障子を開閉する開閉ハンドルと、を備え、
前記第1の障子は、戸先側縦框と、前記戸先側縦框と対向する召合框と、これらの戸先側框と召合框とに接続される上框および下框とを有し、
前記開閉ハンドルは、前記第1の障子の前記召合框に取り付けられた基部と、この基部に回動自在に設けられたハンドル本体と、このハンドル本体の先端側が前記戸尻側縦枠に向けて移動し、かつ前記召合框の見付け面に近接する方向への回動に伴って前記戸先側縦框に向けて前進し、前記近接する方向とは逆方向への回動に伴って後退し、かつ前進時に前記上枠に設けられた受部材に当接する当接部材と、を備える建具。 - 前記第1の障子の召合框には施錠機構が設けられ、
この施錠機構は、上端部が前記上枠に形成された第一係合部に係合可能とされ第一ラックが形成された第一長尺部材と、下端部が前記下枠に形成された第二係合部に係合可能とされ第二ラックが形成された第二長尺部材と、これらの第一長尺部材と第二長尺部材との一方に設けられ上下動自在とされた摘み部と、前記第一ラックと前記第二ラックとにそれぞれ噛合されるピニオン部材と、を備えた請求項1に記載の建具。 - 前記開閉ハンドルの長さは前記第1の障子の高さ寸法とほぼ同じである請求項1または請求項2に記載の建具。
- 前記第1の障子のスライドを補助するアシスト機構を備え、
このアシスト機構は、前記上枠にそれぞれ設けられた第一ラック部および第二ラック部と、前記第一ラック部に噛合する第一歯車部と、この第一歯車部の回転に伴って巻き上げられるばね部と、このばね部のばね力を前記第二ラック部に伝達する第二歯車部とを備えた請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の建具。
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