JP6102911B2 - リチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法、リチウムイオン二次電池負極用合剤、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法、リチウムイオン二次電池負極用合剤、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法、リチウムイオン二次電池負極用合剤、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池に関するものである。
従来より、リチウムイオン二次電池の負極には、炭素粒子で構成される炭素材が使用されている。これは、リチウムイオン二次電池に対する充放電サイクルを繰り返し行っても、炭素粒子を使用した負極上にはデンドライト状リチウムが析出されにくく、安全性が保証されるためである。
ところで、このようなリチウムイオン二次電池の負極に用いられる炭素粒子は、一般に、樹脂を合成する樹脂合成工程と、合成された樹脂を炭化して炭化物の塊を得る炭化処理工程と、炭化物の塊を粉砕して炭素粒子を得る粉砕工程とを経て製造されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、従来の製造方法では、炭素粒子の製造に長時間を要し、その生産性が不十分であり、また、炭素粒子の製造に大規模な設備を要し、高コスト化するという問題がある。また、炭素粒子を樹脂の炭化物の塊を粉砕することによって得るため、炭素粒子の粒径が不揃いとなり易く、電池としての性能にばらつきが生じる等の問題がある。
特開平7−69611号公報
本発明の目的は、リチウムイオン二次電池負極用炭素材を、短時間で、安定的に、また簡便に製造可能な製造方法を提供すること、かかる製造方法を用いて得られたリチウムイオン二次電池負極用炭素材、これを含むリチウムイオン二次電池負極用合剤、およびこのリチウムイオン二次電池負極用合剤を用いてなるリチウムイオン二次電池負極を提供すること、安定した出力、容量等の特性を備えたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(14)の本発明により達成される。
(1) リチウムイオン二次電池用負極に用いられ、複数の炭素粒子を含むリチウムイオン二次電池用炭素材の製造方法であって、
分散媒と、該分散媒に実質的に不溶である複数の樹脂粒子とを含む樹脂分散材を用意する工程と、
液滴吐出法により、前記樹脂分散材を、前記分散媒と少なくとも1つの前記樹脂粒子とを含む複数の液滴として吐出する工程と、
前記複数の液滴を熱処理することにより、各前記液滴から前記分散媒を除去するとともに、各前記液滴の前記樹脂粒子を炭化することにより少なくとも1つの前記炭素粒子を得る工程とを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
(2) 前記樹脂分散材を複数の液滴として吐出する工程と前記炭素粒子を得る工程とが連続して行われる(1)に記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
(3) 前記樹脂分散材を複数の液滴として吐出する工程と前記炭素粒子を得る工程との時間間隔が、30秒以下である(2)に記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
(4) 前記炭素粒子を得る工程において、前記複数の液滴を搬送ガスの気流によって搬送しつつ熱処理する(1)〜(3)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
(5) 前記炭素粒子を得る工程において、前記複数の液滴を、前記搬送ガスの気流によって鉛直下方から上方に向かって搬送する(4)に記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
(6) 前記炭素粒子を得る工程において、前記複数の液滴を温度の異なる少なくとも2つの領域を通過させる(1)〜(5)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
(7) 前記2つの領域の温度差が、50〜500℃である(6)に記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
(8) 前記炭素粒子を得る工程の後に、さらに、該炭素粒子を得る工程における熱処理の温度よりも高い温度で前記炭素粒子を熱処理する工程を有する(1)〜(7)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
(9) 前記少なくとも1つの樹脂粒子は、複数の前記樹脂粒子を含み、
前記熱処理工程において、各前記液滴の前記複数の樹脂粒子が互いに溶融および一体化して1つの溶融粒子が形成され、該溶融粒子が炭化されることにより前記炭素粒子が得られる(1)〜(8)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
(10) 前記樹脂分散材を用意する工程において、前記樹脂粒子を前記分散媒に分散させることにより前記樹脂分散材を得る(1)〜(9)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
(11) 前記樹脂粒子の平均粒径が、0.01μm以上10μm以下である(1)〜(10)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
(12) 前記樹脂粒子がベンゼン骨格を有する樹脂重縮合物を含む(1)〜(11)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
(13) 前記分散媒が、水を含む(1)〜(12)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
(14) 前記複数の液滴の平均粒径が、1μm以上100μm以下である(1)〜(13)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法
本発明によれば、リチウムイオン二次電池負極用炭素材を、短時間で、安定的に、また簡便に製造可能な製造方法を提供すること、かかる製造方法を用いて得られたリチウムイオン二次電池負極用炭素材、これを含むリチウムイオン二次電池負極用合剤、およびこのリチウムイオン二次電池負極用合剤を用いたリチウムイオン二次電池負極を提供すること、安定した出力、容量等の特性を備えたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
図1(a)は、樹脂分散材を模式的に示す図、図1(b)は、樹脂分散材の液滴を模式的に示す図、図1(c)は、樹脂粒子が溶融および一体化して形成された溶融粒子を模式的に示す図、図1(d)は、溶融粒子が炭化されることにより形成された炭素粒子を模式的に示す図である。 図2は、本発明において用いられるリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造装置の一例を示す部分断面図である。
本発明のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法は、分散媒と、該分散媒に実質的に不溶な複数の樹脂粒子とを含む樹脂分散材を用意する工程と、液滴吐出法により、前記樹脂分散材を複数の液滴として吐出する工程と、前記複数の液滴を熱処理することにより、前記樹脂粒子の炭化により炭素粒子を得る工程と、を含むことを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池負極用炭素材(以下、単に「負極用炭素材」、または「炭素材」とも言う。)の製造方法は、上記のような構成をとることで、以下の効果を発現することができる。
つまり、本発明では、液滴吐出法を用いて樹脂分散材を複数の液滴として吐出し、この複数の液滴を熱処理することにより、炭素粒子を得ることができる。これにより、従来の炭素粒子の製造工程で行われていた、樹脂の炭化物の塊を粉砕する粉砕工程に要する時間を省略することができる。このため、炭素粒子の製造工程の数を大幅に短縮し、短時間で簡便に炭素粒子を得ることができる。また、炭素粒子の製造に大型の粉砕設備を必要としないため、炭素粒子を低コストで製造することができる。さらに、従来のように粉砕工程を経た場合、得られる炭素粒子の形状や、サイズが不安定となるが、本発明では、樹脂粒子の粒子径、樹脂分散材における樹脂粒子の配合量、樹脂分散材の液滴の粒径を調節することで、設計した通りの形状、サイズを有する炭素粒子を安定的に得ることができる。これにより、かかる炭素粒子の生産性が向上し、さらに、安定した出力、容量等の特性を備えたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
また、本発明では、樹脂粒子を含む液滴を直接熱処理して炭素粒子を得る。そのため、スプレードライ法等を用いて樹脂材料を含む液体から乾燥粒子(乾燥した樹脂粒子)を形成し、形成された乾燥粒子を一旦回収して、この乾燥粒子に対して炭化処理を行う方法に比べ、樹脂粒子の炭化処理を短時間で行うことができる。さらに、液滴を連続的に炭化処理に供することも可能となるため、炭素粒子(炭素材)の生産性が大きく向上する。また、従来の炭化処理に用いられる大型の炉を必要としないため、炭素粒子を低コストで製造することができる。
さらに、本発明は、分散媒に実質的に不溶の樹脂粒子を分散媒に分散させた樹脂分散材を用いることで、溶融した樹脂や、溶媒に樹脂が溶解した樹脂溶液を、液滴吐出法を用いて吐出する場合では得られない、安定的な液滴吐出を実現することができる。
溶融した樹脂を吐出する場合、樹脂の溶融粘度を低くするために、樹脂を非常に高温に加熱して低粘度の液体とするか、または、樹脂の分子量を低くして、比較的低い温度で低粘度の液体とする必要がある。前者の場合、樹脂を非常に高温に熱するため、液滴吐出装置のノズル等への負担が大きい。また、樹脂の温度を高温に維持しないと、樹脂の溶融粘度が急激に高くなり、安定的に吐出することが困難である。一方、後者の場合、樹脂の分子量が小さいため、熱処理の際に、樹脂が容易にガス化して、十分な量の炭化物(炭素粒子)を得るのに長時間を要するか、あるいは得ることができない。
また、溶媒に樹脂が溶解した樹脂溶液を吐出する場合、かかる樹脂溶液を調整するのに用い得る樹脂と溶媒との組み合わせが制限されてしまう。また、安定した液滴吐出が可能となるように、樹脂溶液の粘度を低く設定するためには、樹脂の分子量を十分に低くしたり、樹脂溶液中の樹脂の含有量を十分に少なくしなければならない。このような樹脂溶液を用いても、十分な量の炭化物(炭素粒子)を得るのに長時間を要するか、あるいは得ることができない。
このように、溶融した樹脂、または溶媒に樹脂が溶解した樹脂溶液を用いて安定的に液滴を吐出しようとすると、使用する樹脂、または、樹脂と溶媒との組み合わせに制限があったり、液滴を吐出したとしても十分な量の炭化物を得ることが極めて困難である。一方、十分な量の炭化物を得るために、樹脂の分子量を高める等すると、溶融した樹脂や樹脂溶液は、粘度が高く、粘稠となるため、これらを吐出するときに、液滴吐出装置のノズルに詰まりが発生することや、液滴吐出装置が汚染されることがある。
これに対して、本発明では、樹脂粒子を溶融または溶解することなく、分散媒に分散するだけであるので、安定的な液滴吐出が可能となるような樹脂と分散媒との組み合わせの選択の幅が比較的広い。また、樹脂分散材の粘度は、分散媒の粘度にほぼ依存するため、樹脂粒子を構成する樹脂の分子量を高くしたり、その含有量を多くすることができる。そのため、本発明では、安定的な液滴吐出を実現することができるとともに、熱処理工程において十分な量の炭素粒子を効率良く得ることができる。これにより、炭素粒子を含む炭素材の生産性をより向上させることができる。
また、本発明のリチウムイオン二次電池負極用合剤は、前記リチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法により得られた炭素粒子を含む炭素材を含有する。
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池用負極用合剤(以下、単に「負極用合剤」とも言う。)は、前記負極用炭素材の製造方法により得られた、形状や粒径(サイズ)等が安定した炭素粒子を含む炭素材を含有する。負極用合剤がこのような炭素粒子を含むことにより、負極用炭素合剤中において炭素粒子が負極用炭素合剤中に含まれるバインダー樹脂や分散媒等の他の構成成分から分離したり、偏析するのを抑制すること、すなわち、負極用炭素合剤中における炭素粒子の均一な分散を可能とすることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、前記負極用合剤を用いてなる。
前記負極用合剤を用いることにより、安定した出力、容量等の特性を備えたリチウムイオン二次電池用負極を提供することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、前記リチウムイオン二次電池用負極を含む。
前記リチウムイオン二次電池用負極を用いることにより、安定した出力、容量等の特性を備えたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以下、本発明の負極用炭素材の製造方法について詳細に説明する。
本発明の負極用炭素材の製造方法は、分散媒と、分散媒に実質的に不溶な複数の樹脂粒子とを含む樹脂分散材を用意する工程(樹脂分散材準備工程)と、液滴吐出法により、樹脂分散材を分散媒と樹脂粒子とを含む複数の液滴として吐出する工程(液滴吐出工程)と、樹脂分散材の複数の液滴を熱処理することにより、各液滴から分散媒を除去するとともに、各液滴中の樹脂粒子を炭化して炭素粒子を得る工程(熱処理工程)と、を含む。
図1(a)は、樹脂分散材を模式的に示す図、図1(b)は、樹脂分散材の液滴を模式的に示す図、図1(c)は、樹脂粒子が溶融および一体化して形成された溶融粒子を模式的に示す図、図1(d)は、溶融粒子が炭化されることにより形成された炭素粒子を模式的に示す図である。
<樹脂分散材準備工程>
分散媒2と、分散媒2に実質的に不溶な複数の樹脂粒子1とを含む樹脂分散材を、以下のようにして調製する。
かかる樹脂分散材は、例えば、図1(a)に示すように、複数の樹脂粒子を分散媒2に分散させることにより得ることができる。このような樹脂分散材は、上述したような理由から、低粘度であるため、液滴吐出工程において、樹脂粒子が分散媒中に均一に分散された樹脂分散材の液滴10を安定的に得ることができる。これにより、液滴吐出工程後の熱処理工程において、樹脂分散材の液滴10に対する熱処理を安定的に行うことが可能となり、炭素粒子30の生産性が向上する。
樹脂粒子1の分散媒2への分散方法は、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂粒子と分散媒とを混合し撹拌することにより行われる。樹脂粒子の分散媒に対する分散性をより向上させるために、樹脂粒子と分散媒との撹拌には、ビーズミル等の強力な撹拌エネルギーを有する撹拌装置を用いることもできる。また、溶媒中でモノマーを重合させて、分子量の増大により溶媒に不溶化した樹脂による樹脂粒子を作製する場合、得られた樹脂粒子を回収することなく、樹脂の合成に用いた溶媒(樹脂粒子を溶解しない成分)中で、樹脂粒子を撹拌等によりエマルジョン化して樹脂粒子が分散した樹脂分散材を得る方法を用いることも可能である。この場合、界面活性剤等を必要に応じて分散媒に添加することが好ましい。樹脂粒子の構成材料としてフェノール樹脂系の樹脂を用いる場合には、ポリビニルアルコール(PVA)等を界面活性剤として好適に用いることができる。また、この場合、界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂粒子100重量部に対して、0.1重量部以上、15重量部以下であるのが好ましく、1.0重量部以上、10重量部以下であるのがより好ましい。樹脂分散材中の界面活性剤の含有量が上記範囲内であれば、樹脂粒子の樹脂分散材中での分散性がより向上し、樹脂分散材の粘度をより下げることができる。そのため、液滴吐出工程において、樹脂分散材の吐出性が向上し、より安定的に樹脂分散材の液滴を形成することができる。
<液滴吐出工程>
上記のようにして用意した樹脂分散材を、液滴吐出法を用いて吐出して、分散媒2と複数の樹脂粒子1とを含む複数の液滴10を形成する。各液滴10には、図1(b)に示すように、複数の樹脂粒子1が含まれるが、1つの樹脂粒子1のみが含まれてもよい。すなわち、各液滴10には、分散媒2と少なくとも1つの樹脂粒子1とが含まれていればよい。
樹脂分散材の液滴10を形成するための液滴吐出法としては、特に限定されないが、スプレー法、インクジェット法、バブルジェット(登録商標)法等を用いることができ、特に、スプレー法を用いるのが好ましい。スプレー法では、樹脂分散材を霧状にして噴出する(噴霧する)ため、粒径のバラつきの小さい液滴10を形成することができる。粒径のバラつきの小さい液滴10は、熱処理工程における熱処理後に得られる炭素粒子30の粒径も安定化させる。このような炭素粒子30を用いることで、リチウムイオン二次電池の出力、容量等の特性を安定化させることができる。さらに、スプレー法では、一回の噴霧で多量の液滴を形成することができるため、樹脂分散材の液滴10を短時間で大量に形成することができる。
スプレー法としては、静電噴霧、超音波噴霧や、二流体ノズル、加圧二流体ノズル、加圧ノズル、ディスクアトマイザー等を用いた噴霧等の手法を用いることができる。炭素粒子の量産性の観点から、超音波噴霧や二流体ノズル、加圧二流体ノズル、加圧ノズル、ディスクアトマイザーを用いた噴霧が好ましく、二流体ノズル、加圧二流体ノズル、加圧ノズル、ディスクアトマイザーを用いた噴霧がより好ましい。これらのノズルを用いて噴霧することにより粒径のバラつきがより小さい液滴を多量に生成することができる。中でも、二流体ノズルで噴霧した液滴同士をさらに衝突させ得る構造を有するノズルが好ましい。このような構造を有するノズルを用いることにより、各二流体ノズルから噴霧した液滴の粒径よりも、液滴同士が衝突して形成された液滴の方が、粒径がより小さくなる。また、複数の二流体ノズルから液滴を噴霧するため、短時間で多量の液滴を形成することができる。これらの理由から、液滴の微粒化と量産性をより高いレベルで両立させることができる。
超音波噴霧は、例えば、超音波霧化ユニット(「HM−2412」または「HM−1630」、本多電子株式会社製)を、プラスチック容器の底に接続し、そのプラスチック容器の中に所定量の樹脂分散材を投入した後、超音波霧化ユニットを動作させることに行うことができる。超音波霧化ユニットを作動させると、超音波振動がプラスチック容器中の樹脂分散材に付与される。これにより、樹脂分散材が霧化され、樹脂分散材の微細な液滴が形成される。
また、二流体ノズルを用いた噴霧は、例えば、ミニスプレードライヤー(「B−290」、ビュッヒ社製)などに用いられている二流体ノズルを用いて、樹脂分散材を霧化することにより行われる。
これらの方法により噴霧された液滴10の平均粒径は、1μm以上、100μm以下が好ましく、5μm以上、50μm以下がより好ましい。液滴10の平均粒径が前記下限値以上であることにより、各液滴10内の成分比バラつきが低減される。また、液滴10の平均粒径が前記上限値以下であることで、熱処理工程での熱処理により、液滴10が十分かつ均一に加熱される。また、液滴10の平均粒径が前記下限値以上であることにより、リチウムイオン電池を作製した際の初期不可逆容量の増加が抑制され、また、液滴10の平均粒径が前記上限値以下であることで、リチウムイオン電池電極作製時に、炭素粒子30を含む負極用合剤を、金属箔等の集電体に凹凸なく塗布することができ、電極密度を向上できると同時に電極薄膜化が可能となる。
液滴吐出工程は、高温で行うこともできる。高温で行うことにより、樹脂分散材の粘度を低下させることで、吐出をより安定化させることができる。このような液滴吐出工程の温度は、特に限定されないが、例えば、分散媒に水を用いた場合は、0℃以上100℃以下が好ましく、10℃以上50℃以下がより好ましい。前記下限値以上であることで、樹脂分散材がより低粘度になり、液滴吐出がより安定化し、前記上限値以下であることで、分散媒が揮発することにより、粘度が上昇することを防ぐことができる。
<熱処理工程>
次に、液滴吐出工程で形成された樹脂分散材の液滴10に熱処理を施して、炭素粒子30を得る(熱処理工程)。より具体的には、樹脂分散材の複数の液滴10を熱処理することにより、各液滴10から分散媒2を除去するとともに、樹脂粒子1を炭化して炭素粒子30を得る。
熱処理工程では、液滴吐出工程で得られた液滴10に対して直接熱処理を行うことにより、各液滴10の複数の樹脂粒子1が互いに溶融および一体化して、図1(c)に示すように、各液滴10単位で1つの溶融粒子20が形成される。その後、各溶融粒子20が熱分解、炭化されることにより、図1(d)に示すように、炭素粒子30が形成される。
このように、本発明では、熱処理工程において、各液滴10単位で樹脂粒子1(溶融粒子20)が熱分解、炭化されて炭素粒子30が形成される。上述したように、液滴吐出工程で形成された液滴10は、粒径のバラつきが小さいため、各液滴10における樹脂粒子1の含有量はほぼ等しい。そのため、各液滴10の樹脂粒子1から形成される溶融粒子20の粒径もほぼ等しい。このような溶融粒子20が同条件で熱処理されているため、各溶融粒子20が炭化されてなる炭素粒子30の粒径のバラつきも小さくすることができる。このような粒径のバラつきが小さい炭素粒子30を負極用材料として用いたリチウムイオン二次電池では、その出力、容量等の特性を安定化させることができる。
また、粒径のバラつきが小さい液滴10を熱処理するため、各液滴10の樹脂粒子1を、ムラなく、均一に熱処理することができる。これにより、炭化の程度にムラがなく、安定した特性を有する炭素粒子30を効率良く得ることができる。
また、本発明では、液滴吐出工程で形成された樹脂分散材の液滴10に対して直接熱処理を行うことにより炭素粒子30を得ることができるため、樹脂粒子1の炭化処理時間を短くすることができる。例えば、スプレードライ法等を用いて樹脂材料を含む液体から乾燥粒子(乾燥した樹脂粒子)を形成し、形成された乾燥粒子を一旦回収して、この乾燥粒子に対して炭化処理を行う方法に比べ、樹脂粒子1の炭化処理を短時間で行うことができる。これにより、炭素粒子の生産性を大きく向上させることができる。
このような熱処理工程は、液滴吐出工程と連続して行われるのが好ましい。すなわち、液滴吐出工程で形成された液滴10を、乾燥させて乾燥粒子(乾燥した樹脂粒子)として回収することなく、連続的に熱処理するのが好ましい。
液滴を乾燥させて得られた樹脂粒子は、互いに凝集し易い。このため、かかる乾燥粒子を一旦回収すると、凝集して様々な粒径を有する乾燥粒子の凝集体が形成されてしまう。このような異なる粒径を有する乾燥粒子の凝集体を熱処理すると、その凝集体の溶融および一体化により形成される溶融粒子の粒径は、バラつきが大きくなってしまう。その結果、最終的に得られる炭素粒子の粒径のバラつきも大きくなってしまう。このような粒径のバラつきが大きい炭素粒子をリチウムイオン二次電池の負極用材料として用いると、リチウムイオン二次電池の出力、容量等の特性を十分に高くすることができない。また、乾燥粒子を一旦回収する工程が加わるため、炭素粒子の生産性を高くすることができない。
したがって、液滴吐出工程と熱処理工程とを連続して行うことにより、上述したようなデメリットを解消することができ、リチウムイオン電池の負極用炭素粒子として優れた特性を有する炭素材を効率良く得ることができる。
上述したような理由から、分散媒2が極力蒸発しない状態で液滴10を熱処理工程に移行させるのが好ましい。これにより、液滴10の粒径が変化するのを確実に防止することができる。かかる観点から、液滴吐出工程と熱処理工程との時間間隔は、なるべく短い方がよく、具体的には、30秒以下が好ましく、15秒以下がより好ましく、5秒以下がさらに好ましい。これにより、上記の効果をより顕著に得ることができる。
なお、熱処理工程では、液滴吐出工程で形成された樹脂分散材の液滴10を、空気や窒素等の搬送ガスの気流によって搬送しつつ、熱処理するのが好ましい。これにより、液滴10を崩すことなく、また液滴10同士が連結してしまうことなく、各液滴10に対して熱処理を実施することができる。その結果、粒径のバラつきがより抑えられた炭素粒子30を安定的に得ることができる。なお、搬送ガスとしては、窒素等の不活性ガスが好ましい。これにより、最終的に得られる炭素粒子30の純度を高くすることができる。
熱処理工程は、特に限定されないが、例えば、液滴吐出工程で形成された液滴10を一定の温度で加熱したセラミック管中に通すことにより達成される。このようなセラミック管の温度は、500℃以上1500℃以下が好ましく、700℃以上1300℃以下がより好ましく、800℃以上1200℃以下がさらに好ましい。前記下限値以上であることで、液滴10への加熱が十分となり、樹脂粒子1の炭化が確実に進行した炭素粒子30を得ることができる。また、上限値以下であることで、樹脂粒子1(溶融粒子20)の熱分解が一気に進むことにより、ガス化した有機成分が炭化され、カーボンブラックなどのナノオーダーの炭素粒子が生成してしまうのを確実に防止することができる。さらに、熱処理中に液滴10が破裂することによって、目的とする形状、サイズから大きく異なった炭素粒子が生成することを確実に防止することができる。
耐熱性のあるセラミック管の代わりに、安価で耐熱性の低い金属管やガラス管を用いる場合には、これらの金属管やガラス管から樹脂分散材の液滴10を十分に加熱できない場合がある。その場合、マイクロケーブルエアヒーターなどを用い、樹脂分散材の液滴10を搬送するガス気流の温度(ガス温度)を上述したセラミック管の温度と同様に500℃以上1500℃以下に調整することが好ましい。この場合の、ガス温度も、上記と同様に、700℃以上1300℃以下がより好ましく、800℃以上1200℃以下がさらに好ましい。前記下限値以上であることで、液滴10への加熱が十分となり、樹脂粒子1の炭化が確実に進行して炭素粒子30を得ることができる。また、上限値以下であることで、樹脂粒子1(溶融粒子20)の熱分解が一気に進むことにより、ガス化した有機成分が炭化され、カーボンブラックなどのナノオーダーの炭素粒子が生成してしまうのを確実に防止することができる。さらに、熱処理中に液滴10が破裂することによって、目的とする形状、サイズから大きく異なった炭素粒子が生成することを確実に防止することができる。
また、熱処理工程は、バッチ式加熱炉や連続式加熱炉を使用して熱処理を実施することも可能である。この場合も、炉内の温度は、上記と同様、500℃以上1500℃以下が好ましく、700℃以上1300℃以下がより好ましく、800℃以上1200℃以下がさらに好ましい。前記下限値以上であることで、液滴10への加熱が十分となり、樹脂粒子1の炭化が確実に進行して炭素粒子30を得ることができる。また、上限値以下であることで、樹脂粒子1(溶融粒子20)の熱分解が一気に進むことにより、ガス化した有機成分が炭化され、カーボンブラックなどのナノオーダーの炭素粒子が生成してしまうのを確実に防止することができる。さらに、熱処理中に液滴10が破裂することによって、目的とする形状、サイズから大きく異なった炭素粒子が生成することを確実に防止することができる。
熱処理工程における熱処理時間は、0.1秒以上、10分以下が好ましく、1秒以上、3分以下がより好ましい。前記下限値以上であることで、樹脂粒子1を十分に炭化することができる。このようにして得られた炭素粒子30を負極用材料として用いることにより、高い充放電容量密度を示すリチウムイオン二次電池を得ることができる。また、前記上限値以下であることで、熱処理工程にかかる時間が短くなり、炭素粒子30の生産性を十分に高くすることができる。
また、熱処理工程は、所定の熱履歴を樹脂分散材の液滴10に与えることにより行ってもよい。
熱履歴を与える方法は、特に限定されないが、例えば、所定の温度プロファイルを実現させる加熱炉内に樹脂分散材の液滴10を用意し、一定の温度で熱処理を開始し、その後、熱処理開始温度より高い温度で熱処理を行う方法が挙げられる。また、別の方法としては、樹脂分散材の液滴が導入される側から排出される側へと温度が高くなるように温度傾斜がかけられたセラミック管もしくはガラス管内に、樹脂分散材の液滴10を一定速度で通過させる方法が挙げられる。ここで、「温度傾斜がかけられた」とは、樹脂分散材の液滴10が通過するセラミック管またはガラス管が、温度の異なる少なくとも2つの領域を有することを意味する。
上述した中でも、樹脂分散材の液滴10に熱履歴を与える方法としては、温度傾斜がかけられたセラミック管等に液滴10を通過させる方法を用いるのが好ましい。これにより、セラミック管等を通過する液滴10は、急激に熱せられることがないため、熱処理中に樹脂粒子1の揮発や分散媒2の沸騰が抑えられ、液滴10が破裂するのをより確実に防止することができる。その結果、粒径のバラつきがより抑えられた炭素粒子30を安定的に得ることができる。
このように温度傾斜がかけられたセラミック管等は、隣り合う温度の異なる領域の温度差が、50〜600℃であるのが好ましく、100〜500℃であるのがより好ましく、150〜450℃であるのがさらに好ましい。これにより、上記の効果を顕著に得ることができる。
また、このとき樹脂分散材の液滴10にかけられる熱処理は、特に限定されないが、最も高い温度が、500℃以上1500℃以下であるのが好ましく、700℃以上1300℃以下であるのがより好ましく、800℃以上1200℃以下であるのがさらに好ましい。また、昇温速度は、1℃/s以上、100℃/s以下が好ましく、5℃/s以上、80℃/s以下がより好ましい。また、熱処理時間は、0.1秒以上、10分以下が好ましく、1秒以上、3分以下がより好ましい。これらの条件は、下限値以上であることで、液滴10への加熱が十分となり、樹脂粒子1の炭化が確実に進行して炭素粒子30を得ることができる。また、上限値以下であることで、樹脂粒子1(溶融粒子20)の熱分解が一気に進むことにより、ガス化した有機成分が炭化され、カーボンブラックなどのナノオーダーの炭素粒子が生成してしまうのを確実に防止することができる。さらに、熱処理中に液滴10が破裂することによって、目的とする形状、サイズから大きく異なった炭素粒子が生成することを確実に防止することができる。
上述したような炭素材(炭素粒子)は、例えば、図2に示すような製造装置を用いて製造することができる。
図2は、本発明において用いられるリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造装置の一例を示す部分断面図である。なお、図2中の上側を「上」または「上方」と言い、下側を「下」または「下方」と言う。
図2に示すリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造装置100は、樹脂分散材を液滴10として噴霧する噴霧装置40と、噴霧装置40の鉛直上方に設けられ、噴霧装置40から噴霧された液滴10を熱処理することにより樹脂粒子1を熱分解、炭化させて炭素粒子30を形成するための熱処理装置50と、熱処理装置50で得られた炭素粒子30を回収する捕集器60と、熱処理装置50で樹脂粒子1から炭素粒子30を形成する際に、樹脂粒子1の熱分解により発生した副生成物を回収する回収部70とを有する。以下、製造装置100について詳細に説明する。
噴霧装置40は、樹脂分散材を貯留するタンク41と、下端部がタンク41内に位置し、タンク41内部と連通した流路を備えるスプレーノズル42と、タンク41に搬送ガスを導入する搬送ガス導入手段43とを有する。このようなスプレーノズル42は、タンク41の上部から鉛直上方に延在している。そのため、スプレーノズル42の先端部から噴霧される液滴10は、鉛直上方向に噴霧される。
タンク41内には、樹脂分散材が貯留されている。このタンク41内に、搬送ガス導入手段43から、例えば、窒素ガス等の搬送ガスを導入すると、タンク41内の内圧が高まる。これにより、樹脂分散材3がスプレーノズル42の流路内を通過し、その上端部から噴霧されることにより液滴10が形成される。スプレーノズル42としては、上述したような各種ノズルを用いることができる。
このような液滴10は、この噴霧装置40の鉛直上方に設けられた熱処理装置50に導入される。
熱処理装置50は、スプレーノズル42の上端部に接続され、鉛直上方に延在する炉心管51と、炉心管51の外周側に、炉心管51と同心的に設けられた略円筒状の炉体52と、炉体52の外周を覆う断熱材53とを有している。
炉心管51は、その内腔部が、下端側においてスプレーノズル42の上端と連通するとともに、上端側において得られた炭素粒子30を回収するための捕集器60の内部と連通している。スプレーノズル42の上端部から鉛直上方に噴霧された液滴10は、スプレーノズル42から液滴10とともに炉心管51の内腔部内に流出する搬送ガスの気流によって炉心管51の上方(鉛直上方)へと搬送される。その際、液滴10は、炉体52により熱せられた炉心管51の内腔内を通過することにより、熱処理され、樹脂粒子1が炭化されて炭素粒子30が形成する。
このように、製造装置100では、炉心管51内において、液滴10が、搬送ガスの気流によって、鉛直下方から鉛直上方に向かって搬送されながら熱処理される。ここで液滴10を、落下させながら熱処理する場合には、液滴10は、重力の影響によって涙形状になるが、製造装置100では、重力に逆らう方向に液滴10が搬送されるため、液滴10は真球に近い球形状となる。このような球形状の液滴10に対して熱処理を行うことにより、液滴10内の各樹脂粒子1に対してより均一な熱処理が可能となる。このため、樹脂粒子1の炭化の程度にムラが生じにくくなり、安定した特性を有する炭素粒子30を得ることができる。さらに、このような構成では、鉛直下方に落下しようとする液滴10を鉛直上方に吹き上げるため、液滴10を、炉心管51の内腔部を通過させる時間を長くすることができる。これにより、液滴10に対して十分に熱処理を行うことができ、得られる炭素粒子30の結晶構造を安定化させることができる。その結果、炭素粒子の特性をより安定化させることができる。
なお、炉心管51としては、特に限定されないが、例えば、内径5〜20mm、長さ1.0〜2.0mのセラミック管等を用いるのが好ましい。
炉体52は、炉心管51の上端部および下端部を除く領域(熱処理領域)を覆うように配設されている。この炉体52は、炉心管51の周方向に電熱材を巻回してなる複数のコイルで構成されている。このコイルの巻数および印加する電圧を調整することにより、各コイルの温度を調整することができる。この炉体52では、図2に示すように、下側から上側に向かって、第1のコイル521、第2のコイル522、第3のコイル523、第4のコイル524が設けられている。
このような炉体52は、下側から上側に向かって、コイル521〜524の温度が段階的に高くなるように設定されている。これにより、炉心管51を通過する樹脂分散材の液滴10は、急激に熱せられることがないため、熱処理中に、樹脂粒子1の揮発や分散媒2の沸騰が抑えられ、液滴10が破裂するのをより確実に防止することができる。その結果、粒径のバラつきがより抑えられた炭素粒子30を安定的に得ることができる。
各コイル521〜524の温度は、炉体52の下側から上側に向かって段階的に高くなるように設定されていればよい。例えば、炉心管51の熱処理領域の下端位置(第1の位置)、上端位置(第2の位置)およびそれらの間をほぼ3等分する3つの位置における温度が以下の温度範囲となるように設定される。
すなわち、熱処理領域の下端(第1の位置)における炉心管51の温度(STEP1)は、50℃〜400℃であるのが好ましく、100℃〜200℃であるのがより好ましい。
また、上記第1の位置の1つ上の位置における炉心管51の温度(STEP2)は、450℃〜650℃であるのが好ましく、500℃〜600℃であるのがより好ましい。
また、上記第1の位置の2つ上の位置における炉心管51の温度(STEP3)は、600℃〜800℃であるのが好ましく、650℃〜750℃であるのがより好ましい。
また、上記第1の位置の3つ上の位置における炉心管51の温度(STEP4)は、700℃〜900℃であるのが好ましく、750℃〜850℃であるのがより好ましい。
また、上記第1の位置の4つ上の位置、すなわち、熱処理領域の上端(第2の位置)における炉心管51の温度(STEP5)は、800℃〜1000℃であるのが好ましく、850℃〜950℃であるのがより好ましい。
炉心管51の各位置における温度が上記範囲内であると、上記の効果を顕著に得ることができる。また、第1の位置における炉心管51の温度(STEP1)が、前記上限値以下であると、炉心管51の熱によってスプレーノズル42が熱せられるのを抑制することができる。これにより、スプレーノズル42からの液滴吐出が不安定となるのを確実に防止することができる。また、前記下限値以上であれば、STEP2との温度差がそれほど大きくないため、液滴10が急激に加熱されることがなく、液滴10が破裂するのをより確実に防止することができる。
断熱材53は、炉体52の周囲を覆うことにより、炉体52の各コイル521〜524から発せられた熱が外部へと逃げるのを防止する機能を有している。断熱材53を構成する材料は、特に限定されず、公知の断熱材料を用いることができる。
搬送ガスによって炉心管51の上端部まで搬送された炭素粒子30は、静電気の吸着作用によって捕集器60に回収される。また、炉心管51内で生成した副生成物(例えば、タール等)は、回収部70に回収される。
なお、上記の説明では、液滴10を、搬送ガスの気流によって、鉛直下方から鉛直上方に向かって搬送しながら熱処理する方法について説明したが、液滴10を鉛直上方から鉛直下方に向かって搬送しながら熱処理してもよいし、液滴10を横方向に搬送しながら熱処理してもよい。
このような熱処理工程は、複数回行うこともできる。つまり、第1の熱処理工程と、第2の熱処理工程とを含む複数回の熱処理工程を含む熱処理工程とすることができる。このように熱処理を複数回行う場合としては、上述した熱処理工程により、炭素粒子30を得た後、熱処理工程の温度(樹脂分散材の液滴10に熱履歴を与えるために、段階的に温度を上げる場合には、その最大温度)よりも高い温度で、さらに炭素粒子30を熱処理することが好ましい。これにより、炭素粒子1中の未炭化の部分(樹脂粒子1の官能基が残存した部分)や、不純物を完全に除去することができるとともに、炭素粒子30の結晶構造を安定化させることができる。その結果、炭素粒子30の特性をより安定化させることができる。また、第1の熱処理工程をセラミック管等で行い、第2の熱処理工程をバッチ式加熱炉で行う等、加熱処理方法を複数種類組合せて用いることもできる。
次に、樹脂分散材中に含まれる各種成分について具体的に説明する。
(樹脂粒子)
樹脂粒子1は、上述した熱処理工程において、炭化されて炭素粒子30となるものであれば、特に限定されない。
このような樹脂粒子1の構成材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。なかでも、ベンゼン骨格を有する樹脂重縮合物が好ましい。ベンゼン骨格を有する樹脂重縮合物として、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、シアネート樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の重縮合物が挙げられ、これらの樹脂を複数種類併用してもよい。
また、前記フェノール樹脂に用いられるフェノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール類、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類およびビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類などが挙げられる。これらを単独で使用、あるいは、二種以上を混合して使用することができる。
樹脂粒子1は、含窒素樹脂類を主成分として含んでいてもよい。また、樹脂粒子1の主成分が含窒素樹脂類以外の樹脂類の場合には、主成分の樹脂類以外の成分として、あるいは、後述する樹脂分散材に含むその他の成分として、少なくとも1種以上の含窒素化合物を樹脂分散材に含んでいてもよい。さらに、樹脂粒子1の主成分として含窒素樹脂類を含むとともに、含窒素化合物をその他の成分として樹脂分散材に含んでいてもよい。このような樹脂分散材を用いることにより、窒素を含有する炭化物を得ることができる。炭化物中に窒素が含まれると、窒素の有する電気陰性度により、炭化物に好適な電気的特性を付与することができる。これにより、リチウムイオンの吸蔵・放出を促進させ、高い充放電特性を付与することができる。
ここで、含窒素樹脂類としては、以下のものが好ましい。
具体的には、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、シアネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフタルアミドのほか、アミンなどの含窒素成分で変性されたフェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
樹脂粒子1の平均粒径は、特に制限されないが、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下がより好ましい。前記下限値以上であることで、各樹脂粒子1は十分な分子量を有する樹脂化が進んだ粒子となるため、熱処理工程において樹脂粒子1の炭化をより促進することができるという効果を有する。また、前記上限値以下であることで、液滴吐出工程においてノズル詰まりなどが減少し、より安定した液滴吐出が可能となるという効果を有する。
ここで、樹脂粒子1の平均粒径は、平均粒径が100nm未満の場合は、動的光散乱装置(例えば、「ゼータサイザーナノZS」、マルバーン社製)を用いて測定することができる。また、平均粒径が100nm以上の場合は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、「LA−920」、堀場製作所製)を用いて測定することができる。それぞれ、体積換算で頻度が50%となる粒子径を平均粒子径D50%として定めることができる。
前記樹脂粒子1の形状は、特に限定されないが、塊状、鱗片状、球形状、繊維状等の形状を取り得る。これらのなかでも、球形状であることが好ましい。球形状であることにより、分散が容易となり、液滴吐出工程における液滴吐出がより安定化するという効果を有する。
(分散媒)
分散媒2は、上述した樹脂粒子1が実質的に不溶である分散媒であれば、特に限定されないが、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等の有機溶媒や水が挙げられる。これらの中でも水が好ましい。水を用いることで、ノズルの冷却が可能となり、液滴吐出工程における液滴吐出を安定化することができるほか、有機溶媒の燃焼の危険が無くなり安全性が向上するという効果を有する。また、熱処理工程における有機溶剤の燃焼に要する熱量損失もなくなり、水の再利用が可能となることから、コスト低減にもつながる。ここで、実質的に不溶であるとは、樹脂粒子1の分散媒2に対する溶解性が低いことであって、これにより樹脂粒子1を安定的に分散媒2に分散し得る。これにより、樹脂分散材を安定的に供給、吐出することができる。つまり、樹脂粒子1が樹脂分散材として安定的に保管、吐出ができる程度に、樹脂粒子1が安定的に分散媒2に分散され、溶解しない状態であればよい。そのような樹脂粒子1と分散媒2との組合せは特に限定されないが、例えば分散媒100gに対し、常温で溶け得る樹脂粒子が1g以下である樹脂粒子1と分散媒2とを用いることが好ましい。
(その他の成分)
樹脂分散材は、樹脂粒子1と分散媒2の他に、特性を損なわない範囲で、その他の成分を含むことができる。その他の成分として、例えば、分散剤、カップリング剤、添加剤、界面活性剤等を含むことができる。
(樹脂分散材)
樹脂分散材の配合比は、特に限定されないが、樹脂粒子1を10重量%以上90重量%以下含むことが好ましく、30重量%以上60重量%以下含むことがより好ましい。前記下限値以上であることで、液滴10から溶媒2を蒸発するのに必要な熱量を少なくすることができるため、低コストで炭素粒子30を作製することができる。また、前記上限値以下であることで、分散媒によるノズル冷却効果により液滴吐出が安定化するという効果を有する。
樹脂分散材の粘度は、液滴吐出工程の温度にもよるが、液滴吐出工程において、樹脂分散材の動粘度が50cSt以下が好ましく、1cSt以上20cSt以下がより好ましい。前記好ましい範囲内であることにより、液滴吐出がより安定化する。
(炭素粒子)
本発明で得られる炭素粒子30の平均粒径は、特に限定されないが、1〜50μmであるのが好ましく、1.2〜30μmであるのがより好ましい。炭素粒子30の平均粒径が上記範囲内であると、負極用合剤としたときに、負極用炭素合剤中で炭素粒子30が後述するバインダー樹脂や分散媒等の他の構成成分から分離したり、偏析するのを抑制する効果を向上することができる。また、リチウムイオン二次電池としたときに、安定した出力、容量等の特性を備えることができる。ここで、炭素粒子30の平均粒径は、粒子形状とMie理論を用いて測定量を粒子径に算出した値とし、有効径と称されるものである。炭素粒子30の粒径は、例えば分散媒として水を、分散剤として市販の界面活性剤を使用して、超音波処理によって炭素粒子30を水中に分散させたものを用いて、レーザー回折式粒度分布測定法により測定される体積換算で頻度が50%となる粒子径を平均粒径D50%として求めることができる。
また、本発明で得られる炭素粒子30は、上記レーザー回折式粒度分布測定法により測定される体積換算で頻度が50%となる粒径を粒径D50%(D(50))、体積換算で頻度が10%となる粒径を粒径D10%(D(10))および体積換算で頻度が90%となる粒径を粒径D90%(D(90))とした際に、下記式(I)で表される炭素粒子30の粒度分布の幅Sは、2.0以下であるのが好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましい。
S=〔D(90)−D(10)〕/D(50)・・・(I)
上記条件を満足する炭素粒子30は、粒度分布の幅が十分に狭い、言い換えれば、粒径のバラつきが非常に小さい。このような炭素粒子30を負極用材料として用いたリチウムイオン二次電池では、その出力、容量等の特性をより安定化させることができる。
(負極用合剤)
本発明のリチウムイオン二次電池負極用合剤は、上記炭素粒子30とバインダーとを含むリチウムイオン二次電池負極用合剤である。
本発明のリチウムイオン二次電池負極用合剤は、上述のようにして得られた本発明のリチウムイオン二次電池用炭素材(炭素粒子30)を負極活物質として用いることにより、作製することができる。このようなリチウムイオン二次電池用負極用合剤は、従来公知の方法を用いて調整することができ、負極活物質としての炭素粒子30に、バインダーを加えて適当な溶媒又は分散媒で所定粘度としたスラリーとして調製することができる。このとき、スラリーに必要により導電剤等を加えてもよい。
リチウムイオン二次電池用負極合剤の作製に用いられるバインダーは、従来公知の材料であればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエン共重合体、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を使用することができる。また、導電剤は、導電補助材として通常使用されている材料であればよく、例として、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。さらに、本発明における負極の作製に用いられる溶媒又は分散媒は、負極活物質、バインダー、導電剤等を均一に混合できる材料であればよく、例として、水、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、アセトニトリル等が挙げられる。
(リチウムイオン二次電池用負極)
次に、本発明のリチウムイオン二次電池用負極について説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、上記リチウムイオン二次電池負極用合剤を含むリチウムイオン二次電池用負極である。
リチウムイオン二次電池用負極は、特に限定されないが、アルミや銅等の金属箔等による集電体に、負極活物質が積層された構造を有するものが好ましい。本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、上述のようにして得られた本発明のリチウムイオン二次電池負極用合剤を用いることにより、作製することができる。このようなリチウムイオン二次電池用負極は、具体的には、リチウムイオン二次電池負極用合剤を金属箔等の集電体に塗工して、厚さ数μm〜数百μmのコーティング層を形成させ、そのコーティング層を50〜200℃程度で熱処理して溶媒又は分散媒を除去することにより作製することができる。
(リチウムイオン二次電池)
次に、本発明のリチウムイオン二次電池について説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池用負極を含むリチウムイオン二次電池である。
上記リチウムイオン二次電池用負極を用いることにより、本発明のリチウムイオン二次電池を作製することができる。このようなリチウムイオン二次電池は、従来公知の方法で作製することができ、一般に、リチウムイオン二次電池用負極と、正極と、電解質とを含み、さらにこれらの負極と正極とが短絡しないようにするセパレータを含む。電解質がポリマーと複合化された固体電解質であってセパレータの機能を併せ持つものである場合には、独立したセパレータは不要である。
リチウムイオン二次電池の作製に用いられる正極は、従来公知の方法で作製することができる。例えば、正極活物質に、バインダー、導電剤等を加えて適当な溶媒又は分散媒で所定粘度としたスラリーを調製し、これを金属箔等の集電体に塗工して、厚さ数μm〜数百μmのコーティング層を形成させ、そのコーティング層を50〜200℃程度で熱処理して溶媒又は分散媒を除去すればよい。
正極活物質は、従来公知の材料であればよく、例えば、LiCoO2等のコバルト複合酸化物、LiMn24等のマンガン複合酸化物、LiNiO2等のニッケル複合酸化物、これら酸化物の混合物、LiNiO2のニッケルの一部をコバルトやマンガンに置換したもの、LiFeVO4、LiFePO4等の鉄複合酸化物等を使用することができる。
電解質としては、公知の電解液、常温溶融塩(イオン液体)および有機系若しくは無機系の固体電解質などを用いることができる。
公知の電解液としては、例えば、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネート等の環状炭酸エステル、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル等が挙げられる。また、常温溶融塩(イオン液体)としては、例えば、イミダゾリウム系塩、ピロリジニウム系塩、ピリジニウム系塩、アンモニウム系塩、ホスホニウム系塩、スルホニウム系塩等が挙げられる。前記固体電解質としては、例えば、ポリエーテル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリイミン系ポリマー、ポリビニルアセタール系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリフッ化アルケン系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリ(塩化ビニル−フッ化ビニリデン)系ポリマー、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)系ポリマーおよびニトリルゴムなどの直鎖型ポリマー等に代表される有機系ポリマーゲル、ジルコニア等の無機セラミックス、ヨウ化銀、ヨウ化銀硫黄化合物、ヨウ化銀ルビジウム化合物等の無機系電解質等が挙げられる。また、前記電解質にリチウム塩を溶解したものを二次電池用の電解質として用いることができる。また、電解質に難燃性を付与するために難燃性電解質溶解剤を加えることもできる。また、電解質の粘度を低下させるために可塑剤を加えることもできる。
電解質に溶解させるリチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiBF4、LiAsF6、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22およびLiC(CF3SO23等が挙げられる。このようなリチウム塩は、単独で用いても、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リチウム塩は、電解質全体に対して、一般に0.1重量%〜89.9重量%の含有量で用いられ、好ましくは1.0重量%〜79.0重量%の含有量で用いられる。電解質のリチウム塩以外の成分は、リチウム塩の含有量が上記範囲内にあることを条件に、添加することができる。
電解質に用いられるポリマーとしては、電気化学的に安定であり、イオン伝導度が高いものであれば特に制限はなく、例えば、アクリレート系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン等を使用することができる。また、重合性官能基を有するオニウムカチオンと重合性官能基を有する有機アニオンとから構成される塩モノマーを含む成分から合成されたポリマーは、特にイオン伝導度が高く、充放電特性のさらなる向上に寄与し得る点でより好ましい。電解質中のポリマー含有量は、好ましくは0.1重量%〜50重量%、より好ましくは1重量%〜40重量%の範囲内である。
難燃性電解質溶解剤としては、自己消火性を示し、かつ、電解質塩が共存した状態で電解質塩を溶解させることができる化合物であれば特に制限はなく、例えば、リン酸エステル、ハロゲン化合物、フォスファゼン等を使用することができる。
可塑剤としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状炭酸エステル、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル等が挙げられる。可塑剤は、単独で用いても、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池にセパレータを用いる場合には、セパレータの構成材料として、正極と負極との間の短絡を防止することができ、電気化学的に安定である従来公知の材料を使用すればよい。セパレータの例としては、ポリエチレン製セパレータ、ポリプロピレン製セパレータ、セルロース製セパレータ、不織布、無機系セパレータ、グラスフィルター等が挙げられる。電解質にポリマーを含める場合には、その電解質がセパレータの機能を兼ね備える場合もあり、その場合、独立したセパレータは不要である。
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法としては、公知の方法を適用できる。例えば、まず、上記のようにして得た正極および負極を、所定の形、大きさに切断して用意し、次いで、正極と負極とを直接接触しないように、セパレータを介して貼りあわせ、それを単層セルとする。次いで、この単層セルの電極間に、注液等の方法により、電解質を注入する。このようにして得られたセルを、例えば、ポリエステルフィルム/アルミニウムフィルム/変性ポリオレフィンフィルムの三層構造のラミネートフィルムからなる外装体に挿入、封止することにより、二次電池が得られる。得られた二次電池は、用途により、単セルとして用いても、複数のセルを繋いだモジュールとして用いてもよい。
以下、本発明をより具体的に説明するための実施例を提供する。なお、本発明は、その目的及び主旨を逸脱しない範囲で以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
1)樹脂分散材準備工程
3Lの三口フラスコ中に、フェノール700部、35%ホルムアルデヒド水溶液1000部、水350部、トリエチルアミン20部およびポリビニルアルコール(クラレポバールPVA117、けん化度98%、重合度1700)0.7部を入れ100℃まで加熱した後に冷却し、水中において樹脂粒子が分散した分散液を得た。この分散液に対して撹拌を加えて充分に樹脂粒子を分散させることにより、樹脂分散材2070.7部を得た。
レーザー回折式粒度分布測定装置(「LA−920」、堀場製作所製)による平均粒径D50%は、2.8μmであった。
2)液滴吐出工程
2流体ノズル(「BIMシリーズ微霧発生ノズル」、株式会社いけうち製 を用いて自作)を用いて樹脂分散材を噴霧し、液滴を発生させた。スプレー粒度分布測定装置(Malvern Instruments Ltd.製Spraytec)を用いて、液滴サイズを測定した結果、平均粒径は19μmであった。
3)第一の熱処理工程
1.2L/分の窒素気流下、最高温度900℃の炉に液滴を搬送し、約10秒間第一の熱処理工程を行った。炉は、内径12mm、長さ1.2mセラミック管状炉を用いた。炉の温調は、長さ方向に炉を5分割し、窒素導入口方向から、150℃、550℃、700℃、800℃、900℃に設定した。これにより、液滴内の水を主成分とする分散媒を除去するとともに、樹脂粒子を溶融、熱分解させ、150℃、−10kVに調整した静電捕集器(高圧電源:「HARb−15N2」、松定プレシジョン株式会社製 を用いて作製したもの)により、炭素粒子を捕集した。液滴吐出工程、第一の熱処理工程は、約3時間連続して実施したが、噴霧安定性が良好で、安定して炭素粒子を回収できることを確認した。
4)第二の熱処理工程
捕集した炭素粒子を、セラミック管に入れ、さらに、窒素気流下、1000℃の炉内で1時間熱処理し、リチウムイオン二次電池負極用炭素粒子を得た。
5)リチウムイオン二次電池負極用炭素粒子の評価
レーザー回折式粒度分布測定装置(「LA−920」、堀場製作所製)により、得られた炭素粒子を確認し、炭素粒子の平均粒径を測定した。その結果、平均粒径D50%は、11μmであり、下記式(I)で表されるSの値は、1.07であった。
S=〔D(90)−D(10)〕/D(50)・・・(I)
(ただし、D(10)は、体積換算で頻度が10%となる粒径、D(50)は、体積換算で頻度が50%となる粒径、D(90)は、体積換算で頻度が90%となる粒径を示す。)
6)リチウムイオン二次電池負極用合剤の作製
上記の炭素粒子、市販のバインダーであるカルボキシメチルセルロース(CMC)(ダイセルファインケム株式会社製CMCダイセル2200)、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業製デンカブラック)を質量比100:7:4で混合し、必要に応じて濃縮し、粘度を調整して、リチウムイオン二次電池負極用合剤を得た。具体的には、まずCMCを所定量の水に溶解して2質量%水溶液を調製した。次いで、そのCMC水溶液に、炭素複合材、導電助剤を上記質量比になるように所定量添加し、自転・公転ミキサーで攪拌混合した。必要に応じ、攪拌混合に際して、最終粘度が5000mPa・secとなるように、自転・公転ミキサーに水を少量ずつ添加した。
7)リチウムイオン二次電池用電極(負極)の作製
上記のリチウムイオン二次電池用電極合剤を20μm厚の銅箔に塗布し、その後、110℃で1時間真空乾燥した。真空乾燥後、ロールプレスによって加圧成形し、内径13mmの径で打ち抜き、リチウムイオン二次電池用電極を得た。
8)リチウムイオン二次電池の作製
上記で作製したリチウムイオン二次電池用電極(負極)、セパレータ(ポリプロピレン製多孔質フィルム:直径16mm、厚さ25μm)、作用極としてのリチウム金属(直径12mm、厚さ1mm)の順で、宝泉製2032型コインセル内の所定の位置に配置してハーフセルを作製した。さらに、電解液としてエチレンカーボネートとジエチレンカーボネートの混合液(体積比が1:1)に、過塩素酸リチウムを1mol/L(モル/リットル)の濃度で溶解させたものを注液し、リチウムイオン二次電池を作製した。
[実施例2]
樹脂分散材を以下のようにして得た以外は、実施例1と同様に負極用炭素粒子、負極用合剤、リチウムイオン二次電池用電極(負極)およびリチウムイオン二次電池を作製した。
3Lの三口フラスコ中に、フェノール700部、35%ホルムアルデヒド水溶液1000部、水350部、トリエチルアミン20部およびポリビニルアルコール(クラレポバールPVA117、けん化度98%、重合度1700)70部を入れ100℃まで加熱した後に冷却し、水中において樹脂粒子が分散した分散液を得た。この分散液に対して撹拌を加えて充分に樹脂粒子を分散させることにより、樹脂分散材2140部を得た。
[実施例3]
樹脂分散材として、フェノール樹脂が水中に乳化したフェノール樹脂エマルジョン(「PR−51464」、住友ベークライト株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様に負極用炭素粒子、負極用合剤、リチウムイオン二次電池用電極(負極)およびリチウムイオン二次電池を作製した。
[実施例4]
液滴吐出工程で使用する2流体ノズルを、シリンジタイプのノズル(「AM6S+ASV−1−MH」、株式会社アトマックス製)に変更した以外は、実施例1と同様に負極用炭素粒子、負極用合剤、リチウムイオン二次電池用電極(負極)およびリチウムイオン二次電池を作製した。
[実施例5]
樹脂分散材を以下のようにして得た以外は、実施例1と同様に負極用炭素粒子、負極用合剤、リチウムイオン二次電池用電極(負極)およびリチウムイオン二次電池を作製した。
撹拌装置および冷却管を備えた3口フラスコ中に、アニリン100部、37%ホルムアルデヒド水溶液697部およびシュウ酸5部を入れ、100℃で3時間反応させた後、脱水してアニリン樹脂110部を得た。なお、得られたアニリン樹脂の重量平均分子量は約800であった。
次に、3口フラスコ中において、得られたアニリン樹脂110部にエタノール110部を加え、十分に撹拌することにより、アニリン樹脂の樹脂粒子が分散した樹脂分散材220部を得た。
[実施例6]
三口フラスコ中に添加する水の添加量を500部とした以外は、実施例1と同様に負極用炭素粒子、負極用合剤、リチウムイオン二次電池用電極(負極)およびリチウムイオン二次電池を作製した。
[実施例7]
樹脂分散材を以下のようにして得た以外は、実施例1と同様に負極用炭素粒子、負極用合剤、リチウムイオン二次電池用電極(負極)およびリチウムイオン二次電池を作製した。
3Lの3口フラスコ中に、フェノール700部、35%ホルムアルデヒド水溶液1000部、水500部およびトリエチルアミン20部を入れ、これらを十分に撹拌しながら常温(25℃)で3時間反応させることにより、樹脂分散材2220部を得た。
[実施例8]
第1の熱処理工程の炉の温度を、窒素導入口方向から、150℃、500℃、700℃、800℃、800℃に設定した以外は、実施例1と同様に負極用炭素粒子、負極用合剤、リチウムイオン二次電池用電極(負極)およびリチウムイオン二次電池を作製した。
[実施例9]
第1の熱処理工程の炉の温度を、窒素導入口方向から、150℃、600℃、700℃、900℃、900℃に設定した以外は、実施例1と同様に負極用炭素粒子、負極用合剤、リチウムイオン二次電池用電極(負極)およびリチウムイオン二次電池を作製した。
[実施例10]
第1の熱処理工程の炉の温度を、窒素導入口方向から、150℃、500℃、900℃、900℃、900℃に設定した以外は、実施例1と同様に負極用炭素粒子、負極用合剤、リチウムイオン二次電池用電極(負極)およびリチウムイオン二次電池を作製した。
[比較例]
第1の熱処理工程において、液滴の代わりに、液滴吐出工程で形成させた液滴を100℃で1時間乾燥させて一旦回収した乾燥粒子を炉に搬送した以外は、実施例1と同様に負極用炭素粒子、負極用合剤、リチウムイオン二次電池用電極(負極)およびリチウムイオン二次電池を作製した。
9)リチウムイオン二次電池の評価
(初期充放電特性評価)
各実施例のリチウムイオン二次電池の充電容量および放電容量を以下の条件で測定し、充電後の放電容量から算出した放電容量密度を評価した。なお、充放電容量の測定は、充放電特性評価装置(「HJR−1010mSM8」、北斗電工(株)製)を用いて行った。
充電容量については、充電時の電流密度を25mA/gとして定電流充電を行い、電位が0Vに達した時点から、0Vで定電圧充電を行い、電流密度が1.25mA/gになるまでに充電した電気量を充電容量とした。一方、放電容量については、放電時の電流密度を25mA/gとして定電流放電を行い、電位が2.5Vになるまでに放電した電気量を放電容量とした。
(充放電サイクル特性評価)
放電条件のカットオフ電位を1.5Vとした以外は初期充放電特性評価の条件と同様の条件で、各実施例のリチウムイオン二次電池の充放電容量を50回繰り返し測定した。この測定結果から算出した1サイクル目の放電容量密度(初回放電容量密度)と50サイクル目の放電容量密度を用いて、以下の式により定義される充放電サイクル特性(50サイクル容量維持率)を評価した。
サイクル性(%、50サイクル容量維持率)=50サイクル目の放電容量密度(mAh/g)/初回放電容量密度(mAh/g)×100
上記のようにして得られた評価結果を表1および表2に示す。
Figure 0006102911
Figure 0006102911
表1および表2の結果より、各実施例で得られたリチウムイオン二次電池は、高い充放電容量(充放電容量密度)と優れた充放電サイクル特性を有していた。一方、比較例で得られたリチウムイオン二次電池に対し、各実施例と同じ評価を行ったところ、いずれの実施例よりも充放電容量が低く、また、50サイクル容量維持率も低かった。これにより、各実施例のリチウムイオン二次電池が、比較例に比べて、優れた充放電容量密度および充放電サイクル特性を有していることが確認された。
以上のことから、本発明の製造方法を用いることにより、優れた充放電容量密度および充放電サイクル特性を有するリチウムイオン電池負極用炭素材を安定して提供し得ること、また、リチウムイオン二次電池負極用炭素材、リチウムイオン二次電池負極用合剤、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池を提供し得ることが確認された。
本発明のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法によれば、液滴吐出法を用いて、分散媒と分散媒に実質的に不溶な複数の樹脂粒子とを含む樹脂分散材を複数の液滴として吐出し、この複数の液滴を熱処理することにより、炭素粒子を得ることができる。
これにより、従来の炭素粒子の製造工程で行われていた、樹脂の炭化物の塊を粉砕する粉砕工程に要する時間を省略することができる。このため、炭素粒子の製造工程の数を大幅に短縮し、短時間で簡便に炭素粒子を得ることができる。また、炭素粒子の製造に大型の粉砕設備を必要としないため、炭素粒子を低コストで製造することができる。さらに、従来のように粉砕工程を経た場合、得られる炭素粒子の形状や、サイズが不安定となるが、本発明では、樹脂粒子の粒子径、樹脂分散材における樹脂粒子の配合量、樹脂分散材の液滴の粒径を調節することで、設計した通りの形状、サイズを有する炭素粒子を安定的に得ることができる。これにより、かかる炭素粒子の生産性が向上し、さらに、安定した出力、容量等の特性を備えたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有する。

Claims (14)

  1. リチウムイオン二次電池用負極に用いられ、複数の炭素粒子を含むリチウムイオン二次電池用炭素材の製造方法であって、
    分散媒と、該分散媒に実質的に不溶である複数の樹脂粒子とを含む樹脂分散材を用意する工程と、
    液滴吐出法により、前記樹脂分散材を、前記分散媒と少なくとも1つの前記樹脂粒子とを含む複数の液滴として吐出する工程と、
    前記複数の液滴を熱処理することにより、各前記液滴から前記分散媒を除去するとともに、各前記液滴の前記樹脂粒子を炭化することにより少なくとも1つの前記炭素粒子を得る工程とを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
  2. 前記樹脂分散材を複数の液滴として吐出する工程と前記炭素粒子を得る工程とが連続して行われる請求項1に記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
  3. 前記樹脂分散材を複数の液滴として吐出する工程と前記炭素粒子を得る工程との時間間隔が、30秒以下である請求項2に記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
  4. 前記炭素粒子を得る工程において、前記複数の液滴を搬送ガスの気流によって搬送しつつ熱処理する請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
  5. 前記炭素粒子を得る工程において、前記複数の液滴を、前記搬送ガスの気流によって鉛直下方から上方に向かって搬送する請求項4に記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
  6. 前記炭素粒子を得る工程において、前記複数の液滴を温度の異なる少なくとも2つの領域を通過させる請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
  7. 前記2つの領域の温度差が、50〜500℃である請求項6に記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
  8. 前記炭素粒子を得る工程の後に、さらに、該炭素粒子を得る工程における熱処理の温度よりも高い温度で前記炭素粒子を熱処理する工程を有する請求項1〜7のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
  9. 前記少なくとも1つの樹脂粒子は、複数の前記樹脂粒子を含み、
    前記熱処理工程において、各前記液滴の前記複数の樹脂粒子が互いに溶融および一体化して1つの溶融粒子が形成され、該溶融粒子が炭化されることにより前記炭素粒子が得られる請求項1〜8のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
  10. 前記樹脂分散材を用意する工程において、前記樹脂粒子を前記分散媒に分散させることにより前記樹脂分散材を得る請求項1〜9のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
  11. 前記樹脂粒子の平均粒径が、0.01μm以上10μm以下である請求項1〜10のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
  12. 前記樹脂粒子がベンゼン骨格を有する樹脂重縮合物を含む請求項1〜11のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
  13. 前記分散媒が、水を含む請求項1〜12のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法。
  14. 前記複数の液滴の平均粒径が、1μm以上100μm以下である請求項1〜13のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材の製造方法
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