JPH09188565A - 均一微細孔を持つ多孔質炭素成型体およびその製造方法 - Google Patents

均一微細孔を持つ多孔質炭素成型体およびその製造方法

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JPH09188565A
JPH09188565A JP8018327A JP1832796A JPH09188565A JP H09188565 A JPH09188565 A JP H09188565A JP 8018327 A JP8018327 A JP 8018327A JP 1832796 A JP1832796 A JP 1832796A JP H09188565 A JPH09188565 A JP H09188565A
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softening point
molded body
pitch
high softening
porous carbon
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JP8018327A
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English (en)
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Masatoshi Tsuchitani
正俊 槌谷
Ryoichi Nakajima
亮一 中島
Seiki Suzuki
清貴 鈴木
Hitoshi Shigematsu
等 重松
Katsutoshi Nishitani
勝利 西谷
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Maruzen Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Maruzen Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均質な炭素で構成された均一微細孔を持つ多
孔質炭素成型体、ならびに重質油またはそれから得られ
る低軟化点ピッチ等の安価な原料を使用し、簡便な手段
で上記成型体を得る方法を与える。 【解決手段】 特定性状の重質油またはそれから得られ
る低軟化点ピッチを原料とし、これを粒子、粉末または
繊維状に賦形した後、特定の溶剤で軽質成分を抽出して
高軟化点ピッチを得、これを酸素を含む雰囲気下で不融
化したものをフィラーとし、不融化処理前の高軟化点ピ
ッチをバインダーとして使用し、フィラーとバインダー
との均一混合物である成型原料を得、これを成型後、酸
素を含む雰囲気下で不融化し、さらに不活性雰囲気下で
焼成、炭化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は分子吸着剤、触媒、
電極炭素等に用いられる均一微細孔を持つ多孔質炭素成
型体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、10Å以下という非常に微細な気
孔を持つ炭素材料を、空気中の窒素あるいは炭酸ガスの
分離回収に利用する方法が注目されており、圧力差によ
ってガスの吸着脱着を行なうPSA (Pressure Swing A
dsorption)法、およびこの用途で使用されるMSC (Mo
lecular Sieving Carbon) あるいはCMS (Carbon Mol
ecular Sieve) と呼ばれる多孔質炭素材料の開発が盛ん
である。
【0003】また、最近、急速に技術、市場が広がって
いるリチウムイオン電池用負極炭素についても、炭素の
細孔構造が電池容量に関係しているとの報告(例えば
「炭素の細孔構造と電池性能」1994年炭素材料学会
要旨集、p190-191)があり、さらに、電気二重層キャパ
シターに使用される電極炭素でも微細孔を持つ多孔質炭
素が利用されている。
【0004】このように、多孔質炭素材料は従来の吸着
剤や触媒以外にも新しい用途への展開が広がりつつあ
り、さらには粒状、板状またはペレット状等の成型体と
して使用されるケースも増えてきている。このため、微
細な粒子、粉末または繊維状の炭素材料の場合には、炭
素材料そのものの細孔構造、細孔分布をコントロールす
る方法の開発に加えて、多孔質成型体の製造方法の開発
も行われている。
【0005】例えば、塩化ビニリデン系共重合体廃棄物
を脱塩酸処理した後、粉砕し、これにコールタールピッ
チ、アスファルト、粘結炭等の焼結剤とアピセル、廃糖
蜜、亜硫酸パルプ等の造粒剤を配合して造粒し、不活性
雰囲気中で炭化する方法(特開昭50−161485
号)、塩化ビニリデン系高分子を脱塩酸処理した後、粉
砕し、これに軟化点が50〜150℃のピッチとセルロ
ース微結晶集合物、水溶性セルロース誘導体または糖類
を配合して造粒し、不活性雰囲気中で炭化する方法(特
開昭52−75691号、特開昭52−77017
号)、ヤシ殻炭粉末にコールタールまたはコールタール
ピッチをバインダーとして配合、造粒し、乾留した後、
これにクレオソート油を含浸させ、さらに不活性雰囲気
中で炭化する方法(特開昭62−176908号)、フ
ェノール樹脂、メラミン樹脂等の粉末にコールタール、
ピッチ、クレオソート油等をバインダーとして配合し、
造粒した後、不活性雰囲気中で炭化する方法(特開平4
−280810号)、高軟化点ピッチを紡糸して繊維状
とし、不融化した後に粒状または球状に塊状化し、この
塊状物から、ポリビニルアルコール、でんぷん、フェノ
ール樹脂、ピッチ等の溶液または分散液をバインダーと
して用いて、塊状物同士を接着した三次元繊維網状体を
得、これを不活性雰囲気中で炭化する方法(特開平6−
157018号)、高軟化点ピッチを紡糸して繊維状と
し、不融化した後、軟化点が80〜150℃のピッチ、
フェノール樹脂、フラン樹脂等をバインダーとして用い
て板状に成型し、不活性雰囲気中で炭化する方法(特開
平7−81915号)等が開示されている。しかしなが
ら、上記の方法では、バインダーまたは粘結剤として用
いた有機物が、炭化により必ずしも微細孔を形成すると
は限らず、これらの炭化物の気孔生成が少ない場合には
成型体全体としての気孔率の低下を招くという問題点が
ある。このことは、特開平6−157018号、特開平
7−81915号にも、バインダー使用量が多くなると
「空隙率の低下、および分子ふるい性能の劣化を招いて
好ましくない」と記載されていることからも明らかであ
る。
【0006】そこで、バインダー部分にも意識的に気孔
を持たせようとする方法として、例えば、高軟化点ピッ
チを紡糸して繊維状とし、不融化した後、軟化点が80
〜150℃のピッチ、フェノール樹脂、フラン樹脂等を
バインダーとして球状不融化繊維塊に成型し、これを再
度不融化処理した後に不活性雰囲気中で炭化する方法
(特開平6−142503号)、高軟化点ピッチを粉砕
して粉末状とし、不融化した後、軟化点が80〜150
℃のピッチ、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹
脂等をバインダーとして造粒し、これを再度不融化処理
した後に不活性雰囲気中で炭化する方法(特開平6−1
44818号)等が開示されている。しかしながら、こ
のようなバインダーまたは粘結剤を炭化した炭化物が微
細孔を形成する方法においても、フィラーである炭素と
バインダーまたは粘結剤から生成する炭素とは全く異質
なものであり、従って細孔構造が不均一な多孔質炭素成
型体とならざるを得ない。
【0007】以上のように、均一微細孔を持つ多孔質炭
素成型体の効率的、経済的な製造方法の開発は未だ十分
であるとはいえず、さらには、均質な炭素で構成された
多孔質炭素成型体およびその製造方法については従来殆
ど知られていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、均質
な炭素で構成され、かつ均一な微細孔を持つ多孔質炭素
成型体と、これを工業的に簡便に効率良く、しかも経済
的に製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは先に、特定
の性状を持つ重質油類を出発原料とし、これをまず粒子
状、粉末状または繊維状に賦形し、次いでこの賦形体か
ら軽質成分を有機溶剤で抽出除去する方法により得られ
る高軟化点ピッチを、酸素を含む雰囲気下で酸化して不
融化物とし、さらに不活性雰囲気下で炭化処理すると、
得られる炭化物は均一微細孔を形成することを見出した
(平成7年11月24日出願)。今回、上記目的を達成
するため鋭意検討を重ねた結果、さらに、上記の高軟化
点ピッチはそれ自体に成型性および自己焼結性を持ち、
この高軟化点ピッチの不融化物をフィラーとし、高軟化
点ピッチをバインダーとして両者を混合することによ
り、高軟化点ピッチがフィラーの周囲に付着した成型体
が容易に得られること、および、この成型体を上記と同
様に不融化、炭化処理すると、バインダー部分とフィラ
ー部分が同じ均一な微細孔を形成することを見出し本発
明を完成するに至った。
【0010】すなわち、第一の発明の要旨は、H/C原
子比が0.8〜1.2の範囲にある重質油から得られる
温度勾配法軟化点が180℃以上、300℃までの加熱
減量が5重量%以下であって、BTX溶剤不溶分を実質
的に含まない高軟化点ピッチを不融化した不融化物をフ
ィラーとし、H/C原子比が0.8〜1.2の範囲にあ
る重質油から得られる温度勾配法軟化点が180℃以
上、300℃までの加熱減量が5重量%以下であって、
BTX溶剤不溶分を実質的に含まない高軟化点ピッチを
バインダーとして使用し、成型して成型体とし、これを
不融化、炭化することにより得られる、窒素吸着を用い
たBET法による比表面積が300m2/g以上であ
り、かつ、中心細孔径が10Å以下の均質な炭素で構成
された均一微細孔を持つ多孔質炭素成型体に存し、そし
て第二の発明の要旨は、H/C原子比が0.8〜1.2
の範囲にあり、BTX溶剤不溶分を実質的に含まない重
質油、または該重質油から軽質成分を留去して得られる
温度勾配法軟化点が150℃以下であって、BTX溶剤
不溶分を実質的に含まない低軟化点ピッチを出発原料と
し、該出発原料を径100μ以下の粒子状、粉末状また
は繊維状に賦形して賦形体とする第1工程と、この賦形
体をその少なくとも10重量%は不溶分として残存せし
め得る有機溶剤と接触させることにより軽質成分を抽出
し、温度勾配法軟化点が180℃以上で、かつ300℃
までの加熱減量が5重量%以下であり、BTX溶剤不溶
分を実質的に含まない賦形された高軟化点ピッチとする
第2工程と、この賦形された高軟化点ピッチを、酸素を
含む雰囲気中で不融化処理して不融化物フィラーを得る
第3工程と、この不融化物フィラーに、第2工程で得ら
れた高軟化点ピッチと同様にして製造された高軟化点ピ
ッチを、不融化物フィラーと高軟化点ピッチの混合総重
量に対する高軟化点ピッチの量が20〜70重量%とな
るように混合した後、必要に応じて粉砕して、高軟化点
ピッチをバインダーとする成型原料を得る第4工程と、
この成型原料を成型し、中心部から外表面までの最短距
離が5mm以下の成型体を得る第5工程と、この成型体
を、酸素を含む雰囲気中で不融化処理して、フィラー部
分、バインダー部分のいずれをも不融化状態とする第6
工程と、この不融化された成型体を不活性雰囲気中で焼
成、炭化する第7工程からなることを特徴とする均一微
細孔を持つ多孔質炭素成型体の製造方法に存する。
【0011】なお、本発明でいうBTX溶剤とはベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンのような芳香
族系溶剤を示す。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。 (出発原料)本発明の出発原料においては、H/C原子
比が0.8〜1.2の範囲であることが必要である。H
/C原子比が0.8より小さいもの、すなわち芳香族性
が高く、脂肪族側鎖が非常に少ないものでは、第3工程
および第6工程の不融化時に酸素の取り込み速度が遅い
ため、賦形体および成型体の内部までの十分な不融化、
さらには後述するような不融化物中の酸素濃度がほぼ飽
和する程度までの過不融化を行おうとする場合には、表
面ではすでに酸化消耗が著しく速い状態になり目的物の
回収率が下がるので非効率的であり、また酸素の取り込
み量が少ない場合には、第7工程の炭化時に成型体内部
での溶融が起こったり、また大きな比表面積の生成、す
なわち多数の気孔生成が困難になる。逆に、H/C原子
比が1.2より大きいもの、すなわち芳香族性が低く、
脂肪族性の非常に高いものでは、第2工程の軽質成分の
抽出時に回収率が著しく低くなる上、第3工程および第
6工程の不融化においても酸素の取り込みよりも分解に
よる脱離が多くなるため、やはり目的物の回収率が低く
なる。
【0013】また、出発原料はBTX溶剤に不溶の成分
を実質的に含まない、すなわち、JISに規定されてい
るような一般的な不溶分測定法で測定したときの不溶分
の値が1重量%以下であることが重要である。これは、
BTX溶剤に不溶な成分が存在すると、出発原料をミク
ロンオーダーの粒子状、粉末状または繊維状に賦形する
際の障害になるばかりでなく、これらBTX溶剤に不溶
な成分は熱重合等によって生成した分子量の大きい、す
なわち縮合芳香族環数の大きい成分であるため、これが
多量に含まれていると、不融化時に取り込まれる酸素の
量が低下し、ひいては気孔生成の低下、または収率の低
下を招くことになる。これは、重質油やピッチ類の不融
化では、酸化反応が分子のエッジ部分から起こり内部は
酸化され難いため、縮合芳香族環数が大きいと当然分子
のエッジ部分に相当する酸素の量は分子全体から見ると
小さな値になるからである。
【0014】さらに、本発明の方法では、第1、第2工
程を経て得られる高軟化点ピッチをバインダーとして使
用するため、出発原料に多量のBTX溶剤不溶分が含ま
れていると、これから得た高軟化点ピッチも当然BTX
溶剤不溶分を含み、このことから、バインダーが均一に
混合されない、または不融化物に均一に付着しない等の
問題が起こることになる。
【0015】このような本発明の条件を満たす重質油と
しては、ナフサを分解してオレフィン類を製造する際に
副生する重質油(ナフサ分解副生油)、ガスオイル(軽
油留分)を分解してオレフィン類を製造する際に副生す
る重質油(パイロリシスタール)、石油類の流動接触分
解(FCC)時に副生する重質油(デカント油あるいは
FCCスラリー油)等の石油系分解重質油がある。中で
も、ナフサ分解副生油はそもそも原料がナフサであるた
め、硫黄、窒素、酸素等のヘテロ元素含有量が非常に少
なく、炭化時の排ガス処理の面からも好適である。
【0016】なお、コールタールのような石炭系重質油
の場合、通常は芳香族性がかなり高く(H/Cが小さ
い)、多量のBTX溶剤不溶分を含むため、そのまま用
いることは好ましくないが、BTX溶剤不溶分の分離、
除去、あるいは水素化分解等の処理によって本発明の条
件に適合するように改質操作を行なえば本発明の出発原
料として使用可能である。ただしこの場合、改質操作に
伴うコストが掛かるので、上記石油系重質油に比較すれ
ば好ましい原料とはいい難い。
【0017】本発明の出発原料にはこのような重質油を
そのまま使用することもでき、また蒸留操作により軽質
成分を除去して得た温度勾配法軟化点が150℃以下の
低軟化点ピッチも使用することができる。ここでいう温
度勾配法軟化点とは温度勾配のついたアルミ板上に試料
ピッチ粉末を置き、これをハケで払い落とし、試料が溶
け始めてアルミ板表面に付着する位置を求め、この点の
アルミ板の表面温度を軟化点とする方法(測定器:アジ
ア理化器(株)社製、AMK−B2CEFH−3)であ
り、ピッチの種類、性質によっても異なるが、おおよ
そ、この温度勾配法軟化点は、JISに規定されたR&
B法(リング&ボール法)軟化点よりも15〜20℃低
い値となり、また、ASTMに規定されたメトラー法軟
化点よりも25〜50℃低い値となる。
【0018】また、後述する第1工程の方法としてエマ
ルション化を採用する場合には、上記の重質油をそのま
まあるいは必要に応じて粘度調整したもの、また低軟化
点ピッチの場合には有機溶剤に溶解して溶液状とするこ
とにより粘度を低くしたものを使用することもできる。
このエマルション化による方法では、エマルション化温
度における粘度が1,000ポイズ以下であることが好
ましい。この場合、本発明で使用されるこれら出発原料
はBTX溶剤に不溶の成分を含まないものであるため、
溶液とするために用いる有機溶剤にはBTX溶剤が好適
であることは言うまでもないが、少なくともこの原料の
90重量%以上を溶解することのできる有機溶剤であれ
ば使用可能となる。
【0019】(第1工程)本発明の第1工程は、上記の
ような特定の原料を径100μ以下の粒子状、粉末状ま
たは繊維状に賦形する工程である。
【0020】径を100μ以下にする理由の一つは、次
の軽質成分の抽出工程において、抽出が速やかに、かつ
均一に起こるようにするためである。径が例えばmmオー
ダー以上に大きいと、外表面の抽出は速やかに起こるが
内部までの抽出に時間がかかるため、抽出時間が不十分
であると抽出状態が不均一となる。また一つの理由は、
抽出後の不融化工程でも内部まで均一に不融化状態とす
るためである。径が大きい場合、外表面が不融化状態と
なっても、内部への酸素拡散が遅くなり不均一となる。
内部の不融化が不十分であるとその後の加熱により溶
融、融着を起こしたり、内部まで十分不融化しようとす
ると、表面部分はすでに酸化消耗を起こす状態となり、
結果として回収率が著しく低下する。
【0021】賦形の方法は粉砕、紡糸またはエマルショ
ン化等種々の方法を採用し得る。粉砕による場合、本発
明の出発原料は温度勾配法軟化点が150℃以下と低い
ために、粉砕時に発生する熱によって粒子同士が融着す
ることがあるので、冷却しながら粉砕するか、または多
量のガスと混合しながら粉砕することが好ましい。
【0022】また、出発原料の温度勾配法軟化点が室温
より十分高い、例えば45℃以上である場合には、紡糸
によることもできる。本発明で使用する出発原料はBT
X溶剤不溶分を実質的に含まないものであるため、その
粘度が数百〜数千ポイズとなるように加熱すれば、容易
に溶融紡糸が可能である。紡糸の方法はノズルから押し
出しこれを牽引して細繊化する長繊維製造法、ノズルか
ら押し出したピッチを遠心力によって細繊化する遠心紡
糸法、ノズルの直下に高速のガスを流しておきその力で
細繊化するメルトブロー法あるいは渦流法等の方法を採
用し得る。紡糸温度は使用する原料の温度勾配法軟化点
より50〜70℃程高い温度であればよく、従って温度
勾配法軟化点が45〜150℃の本発明の低軟化点ピッ
チの紡糸温度は95〜220℃の範囲が好ましい。この
温度域は不活性ガス中で一般の有機物が分解、変質する
温度域より十分低いため、通常の高軟化点ピッチを原料
として製造されるピッチ系炭素繊維の紡糸工程で問題と
なるような紡糸機内での分解、変質、コーキングという
現象が起こらす、安定して紡糸をすることができる。な
お、温度勾配法軟化点が比較的低い場合には、ノズル孔
から出たピッチ繊維が十分冷却されていないと繊維同士
が融着する場合があるが、このような場合にはノズル孔
から出て、細繊化されたピッチ繊維を直接第2工程で使
用する有機溶剤中に落とすことにより繊維同士の融着を
防止することができる。
【0023】さらに、軟化点が45℃より低いかまたは
常温で液状の場合は、賦形の方法としてこのような粉砕
や紡糸という手段を採用することはできず、エマルショ
ン化により行う。エマルション化の方法については本発
明者等は先に特願平6−331132号において開示し
ている。すなわち、「原料重質油類を、1,000ポイ
ズ以下の粘度の液状の状態において、ただし該原料重質
油類が当該状態でない場合は、加熱する手段、または水
と相溶せず、かつ原料重質油類を90重量%以上溶解す
る有機溶剤にて希釈ないし溶解する手段、またはこの両
手段の併用によって該原料重質油類の状態を当該状態に
調製して、剪断力が付与される撹拌方法により界面活性
剤の存在下に水と共に撹拌して、該原料重質油類が直径
100μ以下の微細球状粒子として水中に分散されたエ
マルションとする方法」により賦形することができる。
【0024】この方法の特徴は重質油類、ピッチ類を一
旦水中でエマルション状態とすることであり、エマルシ
ョン状態にある重質油類がその表面張力で球状になるこ
とを利用した賦形方法である。なお、上記エマルション
化には、上記の「剪断力が付与される撹拌」という方法
以外に、最近開発された膜乳化法をも採用し得る。この
方法は、均一なミクロンオーダーの細孔を持つガラスま
たはセラミックスを乳化膜メディアとし、この乳化膜メ
ディアの一方に分散媒である界面活性剤を含む水を入れ
循環あるいは撹拌しておき、乳化膜メディアの反対側か
ら分散質である重質油類、ピッチ類、またはピッチを有
機溶剤に溶解、希釈した溶液を圧力差により水中に押し
出す方法である。押し出される際に分散質は乳化膜メデ
ィアの均一な細孔を通過してくるため、その細孔の大き
さに比例した粒子として水中に分散され、従って極めて
粒子径分布のシャープなエマルション粒子を得ることが
できる。
【0025】以上のようにして、径100μ以下の粒
子、粉末または繊維状の賦形体を容易に得ることができ
る。なお、賦形体の径が小さすぎて、例えば0.1μに
満たない微細粒子が多量に含まれるような状態は、後の
不融化、炭化時のハンドリングを考えるとむしろ好まし
くないが、上記の方法で得られる賦形体の径は、通常は
0.1μ以上である。
【0026】(第2工程)本発明の第2工程は、次の不
融化工程において支障無く不融化が進行するために必要
な性状を有する粒子、粉末または繊維状に賦形された高
軟化点ピッチを得る工程である。すなわち、通常、石油
系分解重質油から製造されるピッチの空気雰囲気下にお
ける酸化開始温度は140〜160℃程度であることか
ら、ピッチの軟化点がこの温度より低いと、ピッチの溶
融、融着が起こり不融化が困難となる。従って不融化前
のピッチの軟化点はこの値より十分高いこと、少なくと
も180℃以上、好ましくは200℃以上が必要であ
る。また、ピッチの300℃までの加熱減量が5重量%
を越えるようなものでは、不融化工程において同じく溶
融、融着の問題が起こると同時に、ピッチから有機物が
多量に揮発してくる恐れがあり安全面からも好ましいこ
とではない。従って不融化前のピッチの300℃までの
加熱減量は5重量%以下、好ましくは3重量%以下が必
要である。
【0027】このような目的で第2工程では、第1工程
で賦形されたものから有機溶剤で軽質成分を抽出する
が、使用する有機溶剤は出発原料の少なくとも10重量
%は不溶分として残存せしめ得るものであることが必要
である。これ以上に溶解性の高い有機溶剤を使用する
と、得られる高軟化点ピッチの回収率が低下し、効率が
悪くなるばかりでなく、第1工程で賦形した形状が崩れ
る場合があるため好ましくない。
【0028】以上の条件を満足する有機溶剤にはパラフ
ィン系炭化水素類、ケトン類またはアルコール類が挙げ
られる。パラフィン系炭化水素類としては例えば、n−
ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサ
ン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等、
ケトン類としては例えば、アセトン、メチルエチルケト
ン(MEK)、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケ
トン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等、アルコ
ール類としては例えば、メタノール、エタノール、n−
プロパノール、イソプロパノール(IPA)、n−ブタ
ノール、sec−ブタノール(SBA)、n−ペンタノ
ール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等が挙げ
られ、これらは単独で、または混合して適当な溶解性に
調整した混合溶剤として使用される。
【0029】なお、第1工程でエマルション化した場合
は、水と相溶しない例えばパラフィン系炭化水素溶剤を
単独で用いると、スカム状物が生じ分離が困難となるの
で、この場合には上記有機溶剤の中の水と均一層を形成
するアルコール類、ケトン類の使用が好ましい。
【0030】軽質成分の抽出の方法は特に限定されるも
のではなく、通常知られている方法を採用すればよい。
本発明の場合、原料がすでに100μ以下に賦形されて
いるため、例えば賦形された原料を有機溶剤と共に撹拌
し、これを濾過、遠心分離して不溶分を回収するという
方法で速やかに抽出される。このとき使用する溶剤量は
原料の数倍量から数十倍量の範囲で選択すれば良いが、
溶剤の使用量が少ないと抽出される量が限定され十分軟
化点が高くならないことがあったり、賦形された粒子の
径が小さい場合には混合後の流動性が悪くなり抽出操作
に支障をきたすことがあるため、通常は3〜30倍量程
度の溶剤を使用することが望ましい。また、抽出時の温
度は室温付近で十分であるが、溶解性を高くするため加
温することも可能である。抽出時間も特に限定されない
が、通常は数時間以下で十分である。また、沸点の高い
溶剤を使用した場合、溶剤の除去およびピッチの乾燥に
は時間がかかるので、この場合には使用した溶剤を濾過
等の方法で十分除去した後、その溶剤よりも溶解性が低
く、沸点の低い溶剤で洗浄して、沸点の高い溶剤を除い
てから乾燥することも好ましい方法である。なお、抽出
操作は1回に限定されるものではなく、抽出、分離とい
う操作を繰り返して行っても良い。
【0031】以上のようにして温度勾配法軟化点が18
0℃以上、好ましくは200℃以上で、かつ300℃ま
での加熱減量が5重量%以下、好ましくは3重量%以下
の高軟化点ピッチを容易に得ることができる。
【0032】本発明の第1工程および第2工程を経て得
られる賦形された高軟化点ピッチは、温度勾配法軟化点
が180℃以上であり、軟化点という点では炭素繊維用
紡糸ピッチと同程度であるにもかかわらず、BTX溶剤
に不溶な成分を含まず加熱減量も少ないという点で炭素
繊維用紡糸ピッチと異なっており、このことから、分子
量は比較的小さくかつその分布はシャープなものである
ということができる。また、本発明では従来の高軟化点
化後に賦形するという発想から脱却して、先に賦形しそ
の後高軟化点化するという手法を採用しているので、本
発明の第1工程、第2工程を通じて従来の高軟化点ピッ
チの製造において必要であった350℃以上というよう
な高温の加熱処理(熱重合)、あるいは触媒による重合
反応を全く使用しないため、経済的に容易に全面光学的
に等方性の高軟化点ピッチを得ることができる。軟化点
が著しく高く、分子量が小さく、かつBTX溶剤不溶分
を含まない等方性ピッチという意味では、第2工程で得
られるピッチそのものが極めて特異なものであると言う
ことができ、この特性が後の工程で均一微細孔が容易
に、ドラスティックに生成する大きな要因となっている
と考えられる。
【0033】(第3工程)本発明の第3工程は、この賦
形された高軟化点ピッチを酸素を含む雰囲気下で加熱し
て酸化し、少なくともその後の加熱で溶融、融着を起こ
さない程度に不融化された不融化物フィラーを得る工程
である。
【0034】本発明の第2工程で得られる賦形された高
軟化点ピッチはそもそもBTX溶剤不溶分を含まないも
のであるが、これを酸素を含む雰囲気、例えば空気中で
徐々に加熱すると、140〜160℃程度から酸化反応
による重量増加が観測されるようになり、それと共にB
TX溶剤に不溶な成分およびキノリンに不溶な成分が生
成してくる。このとき、BTX溶剤不溶成分が100重
量%となっても、キノリン不溶分がまだ100重量%に
なっていないものは、後の加熱を伴う工程においてピッ
チの溶融、融着が発生し、形状変化を起こしたり、気孔
の生成に支障をきたす場合がある。本発明者等の知見に
よれば、後の炭化工程において溶融による形状変化や融
着が起こらなくなる点と、不融化物中のキノリン不溶分
が100重量%に到達する点がほぼ一致しており、すな
わち、溶融も融着も起こさないための不融化に必要な最
低条件がほぼこの点に相当し、炭化後の収率もこの点が
最も高くなる(以降、この不融化条件を最適不融化条件
と言う)。
【0035】従って、第3工程ではBTX溶剤不溶分お
よびキノリン不溶分が実質的に100重量%に達する条
件、すなわち最適不融化条件より厳しい条件で処理すれ
ばよい。その不融化方法は酸素を含む雰囲気下で加熱し
て酸素を取り込ませることができれば特に限定されない
が、雰囲気中の酸素濃度によって当然処理条件は異な
り、例えば空気雰囲気下の場合には、昇温速度0.1〜
10℃/min 、保持温度250〜400℃、保持時間
0.1〜10時間程度が採用される。
【0036】以上の条件をもって処理すれば、後の加熱
で溶融、融着を起こさない程度に不融化された粒子、粉
末または繊維状の不融化物フィラーを得ることができ
る。
【0037】なお、本発明の目的物である成型体とはせ
ずに、粒子、粉末または繊維をそのまま多孔質炭素材料
とする場合には、この第3工程で得られる不融化物をそ
のまま後述する第7工程と同様の条件下で焼成、炭化す
るか、もしくは後述する過不融化処理を行ない過不融化
物とした後に焼成、炭化すればよいが、これらの処理を
行なった過不融化物ならびに炭化物を本発明のフィラー
として使用することも可能であることはいうまでもな
い。ただし、不融化物を使用した場合でも、過不融化物
または炭化物を使用した場合でも、成型体を第6工程で
過不融化状態とすれば気孔の生成状況には大きな差異は
ないため、エネルギーコスト的には不融化物を使用する
ことが有利である。
【0038】(第4工程)本発明の第4工程は、この不
融化物フィラーに、本発明の第2工程までと同様にして
得られた高軟化点ピッチをバインダーとして、不融化物
フィラーと高軟化点ピッチの混合総重量に対する高軟化
点ピッチの量が20〜70重量%となるように配合し成
型原料を得る工程である。
【0039】配合の方法は、不融化物フィラーに高軟化
点ピッチを混合し、この混合物にBTX溶剤を添加して
高軟化点ピッチを溶解、混練した後、この溶剤を含む混
合物からBTX溶剤を除去、乾燥する方法、または、高
軟化点ピッチをあらかじめBTX溶剤に溶解して溶液と
したものを不融化物フィラーに添加、混練し、この溶剤
を含む混合物からBTX溶剤を除去、乾燥する方法によ
り実施するのが好ましい。
【0040】不融化物フィラーと高軟化点ピッチを乾式
で混合することもできるが、両者共径が100μ以下と
いう微細な粉末状であるため、フィラーの周囲に十分バ
インダーを付着させることが難しく、混合が不均一な場
合、成型体のムラが生じ、その後の加熱でクラックや変
形が発生することがあるため十分な注意が必要である。
一方、BTX溶剤を用いて高軟化点ピッチを溶解し混合
すれば、混合は極めて容易であり、これを乾燥してBT
X溶剤を除くことで、不融化物フィラーの周囲にバイン
ダーである高軟化点ピッチが付着した成型原料を容易に
得ることができる。
【0041】BTX溶剤による高軟化点ピッチの溶解、
フィラーとバインダーの混合、BTX溶剤の除去、乾燥
のための設備はいずれも市販の混合機、乾燥機等を採用
すれば良く、特別な設備や装置は必要ではない。
【0042】また、高軟化点ピッチを溶解するために添
加されるBTX溶剤の量は、高軟化点ピッチ1重量部に
対して0.3〜10重量部が好ましい。この量よりBT
X溶剤が少ないと、高軟化点ピッチのBTX溶剤溶液の
粘度が高くなり、混合時に大きな機械力が必要であった
り、混合が不均一となる場合がある。逆に、BTX溶剤
が多すぎても、フィラーがバインダー溶液中に沈降した
状態となるため混合が不均一となったり、また、BTX
溶剤の除去、乾燥時に多量の熱エネルギーを必要とする
ため好ましくない。
【0043】不融化物フィラーに配合する高軟化点ピッ
チの量は、不融化物フィラーと高軟化点ピッチの混合総
重量の20〜70重量%、好ましくは30〜60重量%
である。高軟化点ピッチの配合量が20重量%より少な
いと、成型後および不融化、炭化後の強度が低くなるた
め、取り扱い時の破壊等の問題が起こることがあり好ま
しくない。逆に、高軟化点ピッチの配合量が70重量%
よりも多いと成型体の不融化時に内部が溶融、膨張し成
型体が変形することがあるためやはり好ましくない。
【0044】なお、高軟化点ピッチの配合量、BTX溶
剤の使用量、さらには混合、混練機、乾燥機の種類等に
よっては、混合物に一部塊状部分ができることがある
が、これらは成型時の金型への充填操作や充填物の均一
性の障害になることがあるため、成型前にこれらの塊状
部分を粉砕、解砕しておくことが好ましい。
【0045】(第5工程)本発明の第5工程は、第4工
程で得られた成型原料を成型し、径または厚さが10mm
以下のペレット状、粒状、または板状等の成型体を得る
工程である。成型の方法は、加圧成型法、またはBTX
溶剤を添加しながら造粒した後に乾燥する方法、もしく
は押し出し成型等が採用できる。
【0046】加圧成型による場合、本発明の第4工程で
得られた成型原料はフィラーの周囲にバインダーが付着
したものであるため、そのまま加圧することで容易に成
型体とすることができる。成型の方法は通常知られてい
る方法を採用すればよく、たとえば、径が10mm以下の
金型に所定量の成型原料を入れ、ピストンまたはパンチ
で加圧する方法が採用される。この時の成型圧力は、
0.1〜数t/cm2 程度であるが、フィラーの周囲には
十分バインダーが付着しているため、それほど大きな圧
力は必要とせず、1.0t/cm2 以下で十分である。ま
た、成型時の温度は常温付近でよい。加熱することもで
きるが、バインダーの軟化点は180℃以上であるた
め、この軟化点より低い温度ではバインダーを流動化さ
せることはできず、あまり効果はない。
【0047】また、金型を使わず造粒法によって粒状物
を得ることも可能である。本発明の場合、バインダーで
ある高軟化点ピッチがBTX溶剤に可溶であるため、B
TX溶剤を造粒用液体として用いることができ、たとえ
ば、不融化物フィラーと高軟化点ピッチを回転パン型造
粒機に入れ、これを回転しながらBTX溶剤を徐々に加
えるという方法により粒状化できる。この方法では高軟
化点ピッチが、造粒操作中には造粒用バインダーとして
作用し、得られた粒状物を乾燥してBTX溶剤を除いた
場合には粒状物のバインダーとして、さらには、不融
化、炭化時のバインダーとして作用するため、特に別の
造粒用バインダーを用いる必要はない。さらに、不融化
物フィラーと高軟化点ピッチにBTX溶剤を加えてペー
スト状とし、押し出し成型法により成型することも可能
である。なお、これらBTX溶剤を使用して成型する造
粒法または押し出し成型法の場合には、本発明の第4工
程と第5工程とを同時に行うこともできる。
【0048】また、この第5工程で得られる成型体の径
または厚さは10mm以下であること、すなわち成型体の
中心部から外表面までの最短距離は5mm以下であること
が必要である。成型体の径または厚さがこれより大きい
と、次の成型体の不融化工程において成型体内部までの
不融化が困難となり、内部が十分不融化されていない
と、炭化時に溶融、変形が起こったり、内部に気孔が生
成しない部分が残り、気孔の不均一な成型体となるため
好ましくない。これら、粒状物の粒子の大きさや強度は
用いる高軟化点ピッチの配合量と、BTX溶剤の使用量
を選択することにより調整可能である。
【0049】(第6工程)本発明の第6工程は、第5工
程で得られた成型体を酸素を含む雰囲気中で不融化処理
して、フィラー部分およびバインダー部分のいずれをも
不融化状態、好ましくは過不融化状態とする工程であ
る。
【0050】一般に、強度に注目して製造されるピッチ
系炭素繊維の不融化条件は、不融化物中のBTX溶剤不
溶分およびキノリン不溶分が実質的に100重量%に達
する条件、すなわち第3工程で記載した最適不融化条件
が好ましいといわれている。しかしながら、本発明の場
合、最適不融化条件による不融化物を次の第7工程で炭
化すると、炭化温度が600〜800℃という狭い温度
範囲ではある程度大きな比表面積を有する炭化物が得ら
れるが、これよりも炭化温度が低い場合や逆に高い場合
には、得られる炭化物の比表面積が急激に小さくなる。
一方、最適不融化条件よりも過酷な条件で処理した場
合、すなわち、最適不融化条件では不融化物中の酸素濃
度がまだ増加途中であるが、最適不融化条件よりも高
温、長時間の条件を採用し過不融化すると、不融化物の
収率は徐々に低下するものの、ある条件以上では不融化
物中の酸素濃度がほぼ一定になる。この酸素濃度が飽和
した状態の過不融化物を炭化した場合には、500℃以
上から、取り込まれた酸素が脱離するとともに多数の気
孔が生成し、炭化物は十分大きな比表面積を有するよう
になり、この比表面積は1,100℃という高温まで維
持されるようになる。
【0051】従って、広い炭化温度範囲で十分大きな比
表面積を持つ成型体を得るには、この第6工程では、単
に最適不融化条件で不融化するよりも、BTX溶剤不溶
分およびキノリン不溶分が実質的に100重量%に達す
るよりも厳しく、かつ、該処理物中の酸素濃度が飽和す
る以上の条件で処理し、フィラー部分およびバインダー
部分のいずれをも過不融化状態とすることが好ましい。
【0052】この不融化の方法は特に限定されるもので
はなく、操作上は本発明の第3工程において高軟化点ピ
ッチの賦形体を不融化物とする際に採用される条件とほ
ぼ同じ範囲、すなわち空気雰囲気下、昇温速度0.1〜
10℃/min、保持温度250〜400℃、保持時間
0.1〜10時間程度が採用され、この際、過不融化状
態とするには、保持温度や保持時間を調節することによ
り実施できる。
【0053】また、本発明の第6工程を経て得られる不
融化物あるいは過不融化物成型体の比表面積は、処理条
件の如何にかかわらず、粒子、粉末または繊維の外表面
積に相当する面積しか観測されない。このことは、この
不融化段階で気孔が生成しているわけではないことを示
している。
【0054】(第7工程)本発明の第7工程は、第6工
程で不融化された成型体を不活性雰囲気中で焼成し、炭
化する工程である。
【0055】炭化方法は不活性雰囲気中で加熱するとい
う通常の方法で良いが、炭化温度は前記の通り第6工程
における不融化条件によって異なり、最適不融化条件で
不融化した場合の炭化温度は600〜800℃、最適不
融化条件以上で十分に過不融化した場合の炭化温度は5
00〜1,100℃の範囲が選択される。本発明の方法
ではこの温度範囲の時に大きな比表面積、すなわち多量
の微細孔が得られる。
【0056】例えば、ナフサ分解副生油を出発原料とし
て第1〜6工程を経て得られた過不融化物の成型体を窒
素雰囲気中、10℃/minで昇温し、所定温度で1時間
保持する方法により炭化したものについて、液体窒素温
度での窒素吸着によるBET法比表面積を測定してみる
と、炭化温度400℃では小さな比表面積しか観測され
ないが、温度をわずか100℃高くして500℃とする
と非常に大きな比表面積が観測されるようになる。ま
た、炭化温度1,100℃ではやはり大きな比表面積が
観測されるが、さらにわずか100℃高い1,200℃
で炭化すると小さな比表面積しか観測されなくなる。ま
た、酸素濃度が飽和していない不融化物を炭化した場合
でも、同様に、炭化温度600〜800℃の範囲におい
て大きな比表面積が観測される。すなわち、本発明の方
法では気孔の生成、消滅がきわめてドラスティックであ
り、炭化条件のわずかな変化で比表面積が大きく変化す
る。このことは、本発明の多孔質炭素成型体中の気孔が
極めて均一であることを裏付けるものであると考えられ
る。
【0057】なお、本発明でいう気孔の生成、消滅と
は、液体窒素温度で窒素の吸着が起こるかどうかによっ
て判定するものであり、窒素分子が入り込めないような
極めて微細な気孔の存在を否定するものではない。例え
ば、上記の炭化温度による比表面積のドラスティックな
変化は、炭化温度を1,100℃から1,200℃へと
高くした時、1,100℃で存在していた”窒素分子が
入り込めるような気孔”のほとんどが、一挙に”窒素分
子が入り込めないような極めて微細な気孔”に変化した
結果であると解釈することもできる。
【0058】本発明の第7工程における炭化温度以外の
他の条件、すなわち昇温速度、保持時間等は通常用いら
れる範囲で十分である。ただし、一般的に知られている
ように、昇温速度は使用する炭化炉の形式によって実現
できる範囲が異なるため、バッチ式の炭化炉を使用する
場合には1℃/min〜100℃/min程度が、また連続式
の炭化炉を使用する場合には10℃/min〜1,000
℃/min程度の昇温速度が採用され、保持時間は1分〜
10時間程度が採用される。
【0059】本発明の方法で得られる多孔質炭素成型体
は液体窒素温度下の窒素吸着によるBET法比表面積が
300m2/g以上であり、窒素の吸着等温線からHK
法(Horvath-Kawazoe法)で解析した細孔径はその殆ど
が10Å以下に集中している。
【0060】なお、本発明の方法で生成する気孔のよう
に微細な分子サイズの気孔についてはまだ細孔径、細孔
分布、細孔容積を正確に測定する方法が確立されておら
ず、測定の方法、解析の手法等によってその値が相当大
きく変わる場合が多い。従って、分子サイズレベルの気
孔の評価はそれぞれの用途毎に実用特性を評価すべきで
あるが、現実には通常窒素(分子サイズ、長径=4.1
Å、短径=3.0Å、特開平4−13288号に記載さ
れた値)等の吸着特性から特定解析手法に従って気孔を
評価する方法が採用されており、材料の基本特性、ある
いは製造法や条件による基本特性の変化等を知る上では
こうした評価方法で十分であると考えられている。
【0061】以上のような方法と条件を採用して本発明
の方法を実施すれば、均質な炭素で構成され、かつ、均
一な微細孔を持つ多孔質炭素成型体を容易に効率よく製
造することができる。
【0062】また、本発明の方法によれば、全く気孔の
存在しない炭素材料またはその成型体をも製造すること
が可能であり、この意味では本発明は均一微細孔の生成
を意図的にコントロールする一つの“ポロシティーコン
トロール法”を提供するものであると言うこともでき
る。
【0063】
【実施例】以下、参考例、実施例、比較例によりさらに
詳細に本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実
施例によって限定されるものではない。なお、参考例、
実施例、比較例中の%は特に指定がない限り重量%を示
す。
【0064】参考例1 ナフサを分解してオレフィン類を製造する際に副生する
重質油(ナフサ分解副生油)を減圧蒸留して温度勾配法
軟化点71℃の低軟化点ピッチを得た。このもののナフ
サ分解副生油に対する収率は73%であった。またこの
ピッチの性状はキシレン不溶分0%、キノリン不溶分0
%、熱天秤で測定した300℃までの加熱減量17.9
%、元素分析値はC92.9%、H7.0%、S0.0
2%、H/C原子比0.90であった。
【0065】このピッチを径(D)0.25mm、長さ
(L)0.75mm(L/D比=3)のノズルを装着した
溶融紡糸機に入れ、紡糸温度135℃、吐出圧力5Kg/
cm2・Gで吐出し、ノズル下部に設置したエアーサッカー
で引き取り、繊維径20μの低軟化点ピッチ繊維を得
た。
【0066】次にこの低軟化点ピッチ繊維200gをア
セトンとSBAの混合溶剤(アセトン/SBA容量比=
20/80)4,000mlの中に入れマグネティックス
ターラーで1時間撹拌した。その後、この混合物をG−
4グラスフィルターで濾過して溶剤可溶分を除き、得ら
れた不溶分を再度新しい混合溶剤4,000mlの中に入
れて1時間撹拌した。これを同じグラスフィルターで濾
過し、メタノールで3回洗浄した後、固形物を減圧乾燥
機に入れ、30℃で5時間乾燥し、軽質成分を除去した
高軟化点ピッチを得た。
【0067】得られた高軟化点ピッチの収率は低軟化点
ピッチ繊維に対して58%であり、その性状は温度勾配
法軟化点216℃、キシレン不溶分0%、キノリン不溶
分0%、300℃までの加熱減量2.1%、元素分析値
はC92.8%、H7.1%、S0.03%、H/C原
子比0.91であった。このものを走査型電子顕微鏡
(SEM)で観察したところ、繊維径は抽出前とほぼ同
じであるが、長さが数十μに切断された繊維状粉末であ
った。
【0068】ついで、この高軟化点ピッチ繊維の粉末を
空気中、昇温速度0.5℃/minで加熱し、195〜3
55℃の所定温度で1時間保持するこにより不融化処理
し、さらにこの不融化物を窒素気流中、昇温速度10℃
/minで加熱し、1,000℃で1時間保持することに
より炭化した。不融化物の収率と性状ならびに炭化物の
収率と外観を表1に示す。なお、収率は軽質成分抽出後
の高軟化点ピッチ繊維を基準とした。
【0069】表1より不融化温度215℃以下のもので
は炭化時に溶融して繊維形状を維持できず、また、不融
化温度235℃の場合は繊維形状はとどめているものの
繊維同士が融着を起こし塊状になるので、繊維が融着す
ることなく炭化できる最低の不融化温度は255℃であ
り、繊維強度を目的とする場合にはこの条件が最適不融
化条件となることがわかる。
【0070】また、不融化物の性状変化を見ると、最適
不融化条件の時に丁度キノリン不溶分が100%に到達
しているが、酸素濃度はまだ増加の途中であり、不融化
温度300℃程度まで増加し、300℃以上でほぼ飽和
することがわかる。
【0071】次に、得られた炭化物について直読式表面
積測定装置、MONOSORB(MS−8型、QUAN
TACHROME社製)を用い、ASTM法(Draft Pr
oposal 7-18-76、Revision 2 4-6-81)に従って液体窒
素温度における窒素吸着量からBET法比表面積(SA
(BET))を測定した。その結果も表1に示す。同表か
ら、最適不融化条件(255℃)では非常に小さな比表
面積しか観測されず、窒素が吸着するような気孔は殆ど
存在しないが、不融化温度を高くして過不融化状態にし
たもの、すなわち不融化物中の酸素濃度がほぼ飽和する
条件(295℃)以上では大きな比表面積が観測され、
微細な気孔が生成していることがわかる。
【0072】また、不融化温度255℃および355℃
で得た炭化物について、吸着等温線測定装置BELSO
RP−28SA型(日本ベル(株)製)を用いて液体窒
素温度での吸着等温線を測定し、このデータからLangmu
ir法による比表面積(SA(Lang))を求めた。その結
果を表1に合わせて示す。吸着等温線から求めた比表面
積は不融化温度255℃ではやはり1m2/g以下であ
り、窒素が吸着するような気孔は生成していないことが
再確認された。また、不融化温度355℃のものでは6
88m2/gという大きな値が確認された。
【0073】これらのLangmuir法による比表面積の値は
MONOSORBを用いたBET法とは異なる値となっ
たが、微細な気孔の比表面積測定の場合、測定法の違
い、比表面積の計算を行う際に使用する理論計算式の違
いが得られる値に大きく影響することは周知のことであ
る。本発明の効果を検証するにはいずれの方法でも良い
と判断されたが、実施例では主にBET法により測定
し、部分的にLangmuir法により測定した。
【0074】なお、上記のような炭化処理をする前の不
融化物の比表面積は、いずれの不融化条件を採用したと
きも0.2〜0.4m2/g程度であり、これは繊維径
と長さから計算される外表面積とほぼ同等の値であっ
た。従って不融化時点では気孔は生成していなかったと
考えられる。
【0075】また、不融化温度を355℃として得た炭
化物の液体窒素温度における窒素の吸着脱着等温線を図
1に示す。同図から、相対圧(P/Ps、P:測定温度
における窒素の吸着平衡圧、Ps:測定温度における窒
素の飽和蒸気圧)が非常に小さい領域で殆どの吸着が起
こっていること、すなわち同炭化物には分布のシャープ
な非常に微細な気孔が存在することがわかる。なお、図
1では吸着時の等温線(丸)と脱着時の等温線(点)に
若干のヒステリシスが認められる。このようなヒステリ
シスは非常に微細な気孔の測定においてしばしば観測さ
れるものであり、その原因については明確にされていな
いが、このことが均一微細孔の生成を否定するものでは
ない。
【0076】また、このデータからHK法(Horvath-Ka
wazoe法)に従って細孔分布を計算したところ、この炭
素材料の気孔は中心細孔径が約6Åであり、シャープな
分布をした均一微細孔であることが確認された。
【0077】
【表1】
【0078】実施例1 参考例1で不融化温度を355℃として得た不融化物
に、同じく参考例1で溶剤抽出によって得た高軟化点ピ
ッチの繊維状粉末を、不融化物と高軟化点ピッチの混合
総重量に対する高軟化点ピッチの量が、0、20、3
0、40、60、80、および100%となるように混
合し、合計量を10gとした。十分混合した後、これに
キシレン6mlを加え高軟化点ピッチを溶解、混練し、次
いで、60℃で減圧乾燥して混合物からキシレンを除去
した後、乳鉢で軽く粉砕して全量が35メッシュ以下の
成型原料を得た。
【0079】この成型原料を径3mmの金型を備えたペレ
タイザー(岡田精工(株)N−30型)で成型し、径3
mm、長さ約3mmの円柱状ペレットの成型体を得た。
【0080】次いで、この成型体を空気中、昇温速度
0.5℃/minで355℃まで昇温し、この温度で1時
間保持することにより不融化した。この不融化条件は、
参考例1から明らかなように、高軟化点ピッチが十分酸
素を取り込んで過不融化状態となる条件である。
【0081】次に、この成型体の過不融化物を窒素気流
中、昇温速度10℃/minで昇温し、1,000℃で1
時間保持することにより炭化した。得られた炭化物の外
観、収率ならびに参考例1と同様にして測定したBET
法比表面積(SA(BET))を表2に示す。
【0082】同表より、不融化物単独では成型不能であ
ること、高軟化点ピッチの配合比が80%以上では不融
化時に内部が溶融して膨れ、成型体の形状を維持できな
かったこと、また、内部の溶融が発生した物では比表面
積の値が著しく小さくなることがわかる。さらには、高
軟化点ピッチの配合比が20〜60%の範囲で得た炭化
物の場合には、参考例1と同様に大きな比表面積が得ら
れることがわかる。
【0083】
【表2】
【0084】比較例1 実施例1で得た高軟化点ピッチの配合比が20〜60%
の成型体を、不融化せずそのまま実施例1と同じ条件で
炭化して、炭化物を得た。得られた炭化物の外観、収率
ならびに参考例1と同様にして測定したBET法比表面
積(SA(BET))を表3に示す。
【0085】同表より、成型後に不融化しなかった場合
の炭化物の比表面積は著しく小さい値となることがわか
る。
【0086】
【表3】
【0087】参考例2 参考例1で得た径20μの低軟化点ピッチ繊維から、抽
出溶剤としてn−ペンタノールを用いる以外は参考例1
と同じ方法で抽出、メタノール洗浄、乾燥して高軟化点
ピッチの繊維状粉末を得た。このものの収率は低軟化点
ピッチ繊維に対して51%であり、その性状は温度勾配
法軟化点232℃、キシレン不溶分0%、キノリン不溶
分0%、300℃までの加熱減量1.8%、元素分析値
はC92.8%、H7.1%、S0.02%、H/C原
子比0.91であった。
【0088】ついで、この高軟化点ピッチの繊維状粉末
を空気中、昇温速度0.5℃/minで加熱し、255
℃、305℃、355℃、395℃の所定温度で1時間
保持することにより不融化処理し、さらにこの不融化物
を窒素気流中、昇温速度10℃/minで加熱し、1,0
00℃で1時間保持することにより炭化した。不融化物
の収率と性状ならびに炭化物の収率と性状を表4に示
す。得られた炭化物の比表面積については参考例1と同
様にBET法比表面積(SA(BET))およびLangmuir
法比表面積(SA(Lang))を測定した。
【0089】不融化温度を255℃としたものを1,0
00℃で炭化すると、比表面積は小さく気孔の生成は殆
ど認められないが、不融化温度を305℃、355℃、
395℃と高くしたものでは大きな比表面積が観測さ
れ、微細な気孔が生成していることがわかる。
【0090】なお、不融化温度305℃および355℃
の吸着等温線は図1と同様、相対圧(P/Ps)の低い
ところで殆どの吸着が起こっているものであり、また、
そのデータからHK法によって細孔分布を計算すると、
いずれも細孔径の中心が約6Åにあるシャープな分布を
した気孔であることが確認された。
【0091】
【表4】
【0092】実施例2 参考例2で不融化温度を355℃として得た不融化物7
gに同じく参考例2で得た高軟化点ピッチ3gを混合
し、これにキシレン3mlを加えて高軟化点ピッチを溶
解、混練した。これを実施例1と同様に60℃で減圧乾
燥後、乳鉢で粉砕して35メッシュ以下の粉末状の成型
原料を得た。さらに、このものを実施例1と同じペレタ
イザーで成型して径3mm、長さ約3mmの円柱状ペレット
の成型体を得た。
【0093】次いで、この成型体を空気中、昇温速度
0.5℃/minで昇温し、255℃、305℃および3
55℃の所定温度で1時間保持することにより不融化
し、この不融化された成型体を実施例1と同様に炭化温
度1,000℃で炭化して、炭化物を得た。得られた炭
化物の外観、収率ならびに参考例1と同様に測定したB
ET法比表面積(SA(BET))を表5に示す。
【0094】同表より、成型体の不融化温度を255℃
としたものを1,000℃で炭化すると、成型体全体と
しての比表面積が小さくなること、過不融化状態とした
場合には、その比表面積は参考例2に示した繊維状炭素
粉末の比表面積とほぼ同等になることがわかる。なお、
不融化温度355℃で得た炭化物については、参考例1
と同様にしてLangmuir法による比表面積(SA(Lan
g))を測定したところ650m2/gであった。
【0095】また、同炭化物の液体窒素温度における窒
素の吸着脱着等温線を図2に示す。同図から、得られた
成型体は、相対圧(P/Ps)が非常に小さい領域で殆
どの吸着が起こっていること、すなわち分布のシャープ
な非常に微細な気孔が生成していることがわかる。な
お、図2は参考例1の図1と殆ど同様の吸着脱着等温線
を示しており、このことから粉末状態でも本発明の方法
に従って得た成型体の場合でも殆ど同様の気孔が生成し
ていることがわかる。このデータから参考例1と同様に
してHK法によって細孔分布を計算したところ約6Åに
細孔径の中心があるシャープな分布をした気孔であるこ
とが確認された。
【0096】
【表5】
【0097】実施例3 参考例2で不融化温度を255℃として得た不融化物7
gに同じく参考例2で得た高軟化点ピッチ3gを混合
し、これにキシレン3mlを加え高軟化点ピッチを溶解、
混練した。これを実施例1と同様に60℃で減圧乾燥
後、乳鉢で粉砕して35メッシュ以下の粉末状の成型原
料を得た。さらに、実施例1と同じペレタイザーで成型
して径3mm、長さ約3mmの円柱状ペレットの成型体を得
た。次いで、この成型体を空気中、昇温速度0.5℃/
minで昇温し、355℃で1時間保持することにより不
融化し、この不融化された成型体を実施例1と同様に
1,000℃で炭化して、炭化物を得た。得られた炭化
物の外観は良好であり、成型体に対する炭化物収率は3
9%、BET法比表面積(SA(BET))は393m2
g、Langmuir法比表面積(SA(Lang))は688m2
/gであった。
【0098】また、同炭化物の液体窒素温度における窒
素の吸着脱着等温線を図3に示す。同図から、得られた
成型体は、相対圧(P/Ps)が非常に小さい領域で殆
どの吸着が起こっていること、すなわち分布のシャープ
な非常に微細な気孔が生成していることがわかる。な
お、図3は参考例1の図1ならびに実施例2の図2と殆
ど同様の吸着脱着等温線を示しており、このことから同
炭化物には分布のシャープな微細孔が生成していること
がわかる。
【0099】また、このデータから参考例1と同様にし
てHK法によって細孔分布を計算したところ約6Åに細
孔径の中心があるシャープな分布をした気孔であること
が確認された。
【0100】実施例4 参考例1で不融化温度を355℃として得た過不融化物
に同じく参考例1で溶剤抽出によって得た高軟化点ピッ
チの繊維状粉末を所定の比率で加え、合計量を10gと
した。十分混合した後、これにキシレン6mlを加え高軟
化点ピッチを溶解し、混練した。次いで、60℃で減圧
乾燥して混合物からキシレンを除去した後、乳鉢で軽く
粉砕して全量が60メッシュ以下の成型原料を得た。こ
の成型原料を内径6mmの金型を用い、総荷重133kgで
成型し、径6mm、長さ約6mmの円柱状ペレットの成型体
を得た。次いで、この成型体を空気中、昇温速度0.5
℃/minで355℃まで昇温し、この温度で1時間保持
することにより不融化した。この不融化条件は参考例1
から明らかなように、高軟化点ピッチが十分酸素を取り
込んで過不融化状態となる条件である。
【0101】次に、この成型体の過不融化物を窒素気流
中、昇温速度10℃/minで昇温し、1,000℃で1
時間保持することにより炭化した。得られた炭化物の外
観、収率ならびにBET法比表面積(SA(BET))を
表6に示す。加圧成型による成型体でも実施例1と同様
に大きな比表面積が得られることがわかる。
【0102】
【表6】
【0103】参考例3 参考例2でn−ペンタノールで抽出して得た高軟化点ピ
ッチ繊維を空気中、昇温速度0.5℃/min で355℃
まで加熱し、355℃で1時間保持することにより不融
化し、さらにこの不融化物を窒素気流中、昇温速度10
℃/minで加熱し、400〜1,500℃で1時間保持
することにより炭化した。得られた炭化物の元素分析、
BET法比表面積(SA(BET))およびLangmuir法比
表面積(SA(Lang))を表7に示す。
【0104】同表の結果から、窒素吸着で測定される気
孔は炭化温度が400℃を越えた時点から急激に生成
し、1,100℃を越えた時点で急激に消滅することが
わかる。また、BELSORP−28SA型により測定
した吸着等温線の結果から、炭化温度600〜1,10
0℃のものはいずれも中心径が約6Åのシャープな分布
の微細孔をもつ多孔質炭素材料であることが確認され
た。
【0105】
【表7】
【0106】実施例5 参考例2で不融化温度を355℃として得た不融化物7
gに同じく参考例2で得た高軟化点ピッチ3gを混合
し、これにキシレン3mlを加えて高軟化点ピッチを溶
解、混練した。これを実施例1と同様に60℃で減圧乾
燥後、乳鉢で粉砕して35メッシュ以下の粉末状の成型
原料を得た。このものを実施例1と同じペレタイザーで
成型して径3mm、長さ約3mmの円柱状ペレットの成型体
を得た。次いで、この成型体を空気中、昇温速度0.5
℃/minで昇温し、355℃で1時間保持することによ
り不融化した。さらに、この不融化された成型体を窒素
気流中、昇温速度10℃/minで、400〜1,300
℃の所定の温度で1時間保持し、炭化物を得た。得られ
た炭化物の外観、収率ならびにBET法比表面積(SA
(BET))を表8に示す。
【0107】同表より、炭化温度が低い場合(400
℃)や高すぎる場合(1,150℃、1,300℃)に
は比表面積が小さくなること、および、炭化温度が60
0、800、1,000℃で得られた炭化物の比表面積
は、参考例3で示した炭化物とほぼ同等に大きなものと
なることがわかる。
【0108】
【表8】
【0109】参考例4 参考例1と同じナフサ分解副生油を蒸留して温度勾配法
軟化点49℃の低軟化点ピッチを得た。この低軟化点ピ
ッチ70重量部にキシレン30重量部を添加して溶解
し、低軟化点ピッチの溶液を調製した。次に、非イオン
系界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テル、花王製エマルゲン985)2%を含む水を分散媒
とし、膜乳化試験装置(伊勢化学製)を用い、細孔径4
μのミクロポーラスグラスを分散メディアとして、上記
低軟化点ピッチの溶液をこの分散メディアを通して分散
媒中に押し出すことにより、低軟化点ピッチ溶液が水中
に11容量%分散したいわゆるO/W型エマルションを
調製した。
【0110】次に、このエマルションを10倍量のSB
A中に撹拌しながら徐々に滴下して、低軟化点ピッチ中
の可溶成分と溶解のために用いたキシレンを抽出した。
この混合液を遠心分離して固形分を得、メタノールで洗
浄後、乾燥した。さらに、この固形分を20倍量のn−
ペンタノール中に入れて撹拌し、濾過後にメタノールで
洗浄して、乾燥し、高軟化点ピッチの球状粒子を得た。
このものの低軟化点ピッチに対する収率は48%であっ
た。得られた高軟化点ピッチは平均粒子径が16μであ
り、その性状は温度勾配法軟化点243℃、キシレン不
溶分0%、キノリン不溶分0%、300℃までの加熱減
量1.7%、元素分析値はC92.7%、H7.1%、
S0.02%、H/C原子比0.92であった。
【0111】このものを、参考例1と同様に355℃で
1時間不融化し、さらに1,000℃で1時間炭化して
球状炭素粒子を得た。不融化、炭化時の収率はn−ペン
タノール抽出後の高軟化点ピッチ粒子を基準にしてそれ
ぞれ72%、40%であり、得られた炭素粒子のBET
法比表面積(SA(BET))は375m2/gであった。
【0112】実施例6 参考例4でエマルション化により得た球状粒子の不融化
物6gに、同じく参考例4で得た高軟化点ピッチの球状
粒子4gを混合し、これにベンゼン4mlを加えて高軟化
点ピッチを溶解、混練した。その後、実施例1と同様に
して60℃で減圧乾燥後、粉砕して35メッシュ以下の
成型原料を得た。このものを実施例1と同じペレタイザ
ーで成型して径3mm、長さ約3mmの円柱状ペレットの成
型体を得た。
【0113】次いで、この成型体を空気中、昇温速度
0.5℃/min で昇温し、355℃で1時間保持するこ
とにより不融化し、さらに、実施例1と同様に1,00
0℃で炭化して、炭化物を得た。得られた炭化物の外観
は良好であり、成型体に対する炭化物収率は38%、B
ET法比表面積(SA(BET))は383m2/gであっ
た。
【0114】実施例7 参考例2で不融化温度を355℃として、1,000℃
で炭化して得た炭化物7gに同じく参考例2で得た高軟
化点ピッチ3gを混合し、これにキシレン3mlを加えて
高軟化点ピッチを溶解、混練した。これを実施例1と同
様に60℃で減圧乾燥後、乳鉢で粉砕して35メッシュ
以下の粉末状の成型原料を得た。このものを実施例1と
同じペレタイザーで成型して径3mm、長さ約3mmの円柱
状ペレットの成型体を得た。次いで、この成型体を空気
中、昇温速度0.5℃/minで昇温し、355℃で1時
間保持することにより不融化し、さらに、実施例1と同
様に1,000℃で炭化して、炭化物を得た。
【0115】得られた炭化物の外観は良好であり、成型
体に対する収率は72%、BET法比表面積(SA(BE
T))は409m2/g、Langmuir法比表面積(SA(La
ng))は848m2/gであった。また、このデータか
ら参考例1と同様にしてHK法によって細孔分布を計算
したところ約6Åに細孔径の中心があるシャープな分布
をした気孔であることが確認された。
【0116】比較例2 実施例7で得た円柱状ペレットの成型体を不融化するこ
となく、そのまま実施例1と同じ条件で1,000で炭
化して、炭化物を得た。炭化物の成型体に対する収率は
72%であり、その形状は良好であったが、BET法比
表面積(SA(BET))は42m2/gと小さなものであ
った。
【0117】参考例5 参考例2で不融化温度255℃で処理して得た不融化物
を参考例3と同様にして窒素気流中、昇温速度10℃/
min で加熱し、500〜1,000℃の所定温度で1時
間保持することにより炭化した。この不融化物の炭化処
理では、炭化炉から出てくる排ガスが300℃付近から
白く濁ってくると同時に、炉心管出口部分の内部に茶色
から黒褐色のタール状物が付着してくることが観測され
た。また、得られた炭化物の繊維状高軟化点ピッチに対
する収率およびBET法比表面積(SA(BET))を表
9に示す。同表の結果から、酸素濃度の飽和していない
不融化物を炭化した場合、600〜800℃という狭い
炭化温度範囲では比較的大きな比表面積が観測される
が、それ以下、もしくはそれ以上の温度では比表面積が
急激に小さくなっていることがわかる。
【0118】
【表9】
【0119】実施例8 参考例2で不融化温度255℃で処理して得た不融化物
14gに、同じく参考例2で得た高軟化点ピッチの繊維
状粉末6gを混合し、これにキシレン6mlを加えて高軟
化点ピッチを溶解、混練した。これを実施例1と同様に
60℃で減圧乾燥後、乳鉢で粉砕して20メッシュ以下
の粉末状の成型原料を得た。さらに、このものを実施例
1と同じペレタイザーで成型して径3mm、長さ約3mmの
円柱状ペレットの成型体を得た。次いで、この成型体を
空気中、昇温速度0.5℃/minで昇温し、255℃で
1時間保持することにより不融化し、さらにこの不融化
物を窒素気流中、昇温速度10℃/minで昇温し、60
0℃、800℃および1,000℃の各温度で1時間保
持することにより炭化した。
【0120】得られた炭化物の成型体に対する収率およ
びBET法比表面積を表10に示す。同表から、フィラ
ーの不融化、成型体の不融化をいずれも255℃で行い
酸素濃度の飽和していない不融化物を炭化した場合、炭
化温度600〜800℃では大きな比表面積が観測され
るが、炭化温度1,000℃では比表面積が減少するこ
とがわかる。従って、より広い炭化温度範囲で大きな比
表面積を持つ炭化物を得るには、成型体を過不融化状態
とする方が好ましいことがわかる。
【0121】
【表10】
【0122】
【発明の効果】本発明の方法によれば、安価な重質油ま
たはそれから得られる低軟化点ピッチ等を出発原料と
し、また、まず出発原料の重質油等を賦形した後、溶剤
抽出により高軟化点化を図るという方法を採用するた
め、従来高軟化点ピッチを製造する際に問題となってい
た例えば原料の高価さや、高温の加熱処理に伴う経済
的、技術的問題を回避することができ、さらに、同一の
出発原料から得られるフィラーおよびバインダーを使用
するため、従来の方法では得られなかった均質な炭素で
構成され、かつ、均一な微細孔を持つ多孔質炭素成型体
を工業的に簡便で効率よく得ることができる。また、本
発明方法により得られる成型体は均質でかつ均一な微細
孔を持つため分子吸着剤、触媒、電極炭素等として有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1において、不融化温度を355℃とし
た場合の多孔質炭素材料の液体窒素温度における窒素の
吸着脱着等温線である。
【図2】実施例2において、第6工程の不融化温度を3
55℃として得た多孔質炭素成型体の液体窒素温度にお
ける窒素の吸着脱着等温線である。
【図3】実施例3で得た多孔質炭素成型体の液体窒素温
度における窒素の吸着脱着等温線である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 H/C原子比が0.8〜1.2の範囲に
    ある重質油から得られる温度勾配法軟化点が180℃以
    上、300℃までの加熱減量が5重量%以下であって、
    BTX溶剤不溶分を実質的に含まない高軟化点ピッチを
    不融化した不融化物をフィラーとし、H/C原子比が
    0.8〜1.2の範囲にある重質油から得られる温度勾
    配法軟化点が180℃以上、300℃までの加熱減量が
    5重量%以下であって、BTX溶剤不溶分を実質的に含
    まない高軟化点ピッチをバインダーとして使用し、成型
    して成型体とし、これを不融化、炭化することにより得
    られる、窒素吸着を用いたBET法による比表面積が3
    00m2/g以上であり、かつ、中心細孔径が10Å以
    下の均質な炭素で構成された均一微細孔を持つ多孔質炭
    素成型体。
  2. 【請求項2】(出発原料)H/C原子比が0.8〜1.
    2の範囲にあり、BTX溶剤不溶分を実質的に含まない
    重質油、または該重質油から軽質成分を留去して得られ
    る温度勾配法軟化点が150℃以下であって、BTX溶
    剤不溶分を実質的に含まない低軟化点ピッチを出発原料
    とし、 (第1工程)該出発原料を径100μ以下の粒子状、粉
    末状または繊維状に賦形して賦形体とする第1工程と、 (第2工程)この賦形体をその少なくとも10重量%は
    不溶分として残存せしめ得る有機溶剤と接触させること
    により軽質成分を抽出し、温度勾配法軟化点が180℃
    以上で、かつ300℃までの加熱減量が5重量%以下で
    あり、BTX溶剤不溶分を実質的に含まない賦形された
    高軟化点ピッチとする第2工程と、 (第3工程)この賦形された高軟化点ピッチを、酸素を
    含む雰囲気中で不融化処理して不融化物フィラーを得る
    第3工程と、 (第4工程)この不融化物フィラーに、第2工程で得ら
    れた高軟化点ピッチと同様にして製造された高軟化点ピ
    ッチを、不融化物フィラーと高軟化点ピッチの混合総重
    量に対する高軟化点ピッチの量が20〜70重量%とな
    るように混合した後、必要に応じて粉砕して、高軟化点
    ピッチをバインダーとする成型原料を得る第4工程と、 (第5工程)この成型原料を成型し、中心部から外表面
    までの最短距離が5mm以下の成型体を得る第5工程と、 (第6工程)この成型体を、酸素を含む雰囲気中で不融
    化処理して、フィラー部分、バインダー部分のいずれを
    も不融化状態とする第6工程と、 (第7工程)この不融化された成型体を不活性雰囲気中
    で焼成、炭化する第7工程からなることを特徴とする均
    一微細孔を持つ多孔質炭素成型体の製造方法。
  3. 【請求項3】 第6工程の不融化条件が、該不融化物中
    の酸素濃度が飽和する条件よりも厳しい条件であり、か
    つ、第7工程の炭化温度が500〜1,100℃の温度
    範囲である請求項2に記載の均一微細孔を持つ多孔質炭
    素成型体の製造方法。
  4. 【請求項4】 出発原料の重質油がナフサもしくはガス
    オイルを熱分解してオレフィン類を製造する際に副生す
    る重質油、または石油類を流動接触分解して改質する際
    に副生する重質油から選ばれた少なくとも1種類の石油
    系分解重質油である請求項2または3に記載の均一微細
    孔を持つ多孔質炭素成型体の製造方法。
  5. 【請求項5】 第1工程の賦形する方法が、出発原料の
    粉砕、溶融紡糸またはエマルション化である請求項2な
    いし4のいずれかに記載の均一微細孔を持つ多孔質炭素
    成型体の製造方法。
  6. 【請求項6】 第2工程の有機溶剤が、パラフィン系炭
    化水素類、アルコール類、ケトン類、あるいはこれらを
    混合してなる混合溶剤である請求項2ないし5のいずれ
    かに記載の均一微細孔を持つ多孔質炭素成型体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 該有機溶剤が、n−ペンタン、シクロペ
    ンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサ
    ン、n−ヘプタン、イソオクタン、メタノール、エタノ
    ール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタ
    ノール、sec−ブタノール、n−ペンタノール、n−
    ヘキサノール、シクロヘキサノール、アセトン、メチル
    エチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケ
    トンおよびメチルイソブチルケトンから選ばれる少なく
    とも1種である請求項6に記載の均一微細孔を持つ多孔
    質炭素成型体の製造方法。
  8. 【請求項8】 第1工程の賦形する方法が、エマルショ
    ン化であり、第2工程の有機溶剤が、アルコール類、ケ
    トン類、あるいはこれらを混合してなる混合溶剤である
    請求項2ないし4のいずれかに記載の均一微細孔を持つ
    多孔質炭素成型体の製造方法。
  9. 【請求項9】 該有機溶剤が、メタノール、エタノー
    ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノ
    ール、sec−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘ
    キサノール、シクロヘキサノール、アセトン、メチルエ
    チルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケト
    ンおよびメチルイソブチルケトンから選ばれる少なくと
    も1種である請求項8に記載の均一微細孔を持つ多孔質
    炭素成型体の製造方法。
  10. 【請求項10】 均一微細孔を持つ多孔質炭素成型体
    が、窒素吸着を用いたBET法による比表面積が300
    2/g以上であり、かつ中心細孔径が10Å以下であ
    る請求項2ないし9のいずれかに記載の均一微細孔を持
    つ多孔質炭素成型体の製造方法。
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WO2003106565A1 (ja) * 2002-06-03 2003-12-24 三洋化成工業株式会社 ミセル含有有機ポリマー、有機ポリマー多孔体及び多孔炭素材料
CN104115314A (zh) * 2012-02-27 2014-10-22 住友电木株式会社 锂离子二次电池负极用碳材料的制造方法、锂离子二次电池负极用合剂、锂离子二次电池用负极以及锂离子二次电池

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