JP4349627B2 - 球状活性炭の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔性球状ピッチを経由する新規な球状活性炭の製造方法に関するものである。
これまで球状活性炭の製造方法としては、原油を2000℃の水蒸気中に噴霧して得られたタール状物質の軽質分を除去して得られるピッチ(「原油分解ピッチ」と以後記載)を原料とする方法(特許文献1)、あるいはエチレンなどの製造時に生成するボトム油の軽質分を減圧留去して得られるピッチ(EBピッチ)を原料とする方法(特許文献2)、が提案されている。これら原料ピッチは、それらと相溶性を有する粘度調整用添加剤、好ましくは沸点が200℃以上の2乃至3環の芳香族化合物を加えて加熱溶融して得られたピッチ混合物を、該ピッチ混合物の軟化点以上の熱水中に投入して球状化し、得られた球状化物中の添加剤を溶剤にて抽出除去し、残存する球状ピッチ成形体を不融化後、炭化および賦活することにより、球状活性炭が製造される(特許文献1および2)。
上述した従来の球状活性炭の製造方法のうち、原油分解ピッチを用いる方法は、形状および吸着特性を含め良好な物性を示す球状活性炭を与えるが、原油を2000℃で直接分解するという非常に高度で複雑なプロセスが必要であり、現在上記プロセスが稼動していないためピッチを新たに製造して大量に得ることが困難であるという問題点がある。また、原油の直接分解により得られるタールを原料としているため、原油の産地により組成や不純物の種類および量が異なるという品質上の問題もあった。これに対し、EBピッチを用いる方法は石油の低沸点成分であるナフサを分解しエチレンを製造するプロセスから得られるエチレンボトムタールを原料としているため、タールとしては極めて不純物が少ない、更に品質が安定している、容易に入手可能である等の利点がある。しかしながら、エチレンボトムタールを重質化し、軽質分を除去し得られるピッチは、多孔性にするために添加する芳香族化合物添加剤との親和性が良いため、溶剤による添加剤の抽出が不十分となり、得られる球状多孔性ピッチの細孔の生成が不十分となりがちである。その結果、不融性の球状ピッチ多孔体とするための酸化反応において、酸化剤がピッチの内部まで十分に拡散することができず、酸化反応が不均一になり易いため、不融化処理に長時間が必要となり、生産性が低下するという欠点があった。さらに、EBピッチからの炭素化収率が低いという欠点も有していた。
これら先行技術とは別に、軟化点の低い、一般の石炭系ピッチ若しくは石油系ピッチ又は重質油に、粘度調節剤およびメタジニトロベンゼン等の軟化点上昇剤を混合してから、混合物を球状に溶融成形した後、ピッチに対して低溶解度を有し、且つ粘度調節剤に対し高溶解度を有する溶剤で粘度調節剤を抽出し、次いで不融化後、炭化および賦活する球状活性炭の製造方法も提案されている(特許文献3)。しかし、この方法では、おそらくは軟化点上昇剤が不融化反応温度まで昇温する過程で揮発してしまうために、ピッチ球形化物が軟化・融着して、所望の球状活性炭を得難い。
特公昭51−76号公報 特公昭59−10930号公報 特開昭55−27817号公報
上記した従来技術に鑑み、本発明は、石油タールあるいは石炭タール等の重質炭化水素油を原料として得られた適切な性状のピッチを用いることにより、球状活性炭を高収率で得ることのできる新規な製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、軟化点が150℃以上、トルエン不溶分が40%以上であり且つ430℃で1時間熱処理後も等方性を維持する原料ピッチを球状に成形および多孔化して、得られた多孔性球状ピッチを、不融化後、炭化および賦活することを特徴とする球状活性炭の製造方法が提供される。本発明においては、特に上述した性状の多孔性球状ピッチは、石油タール、石炭タール等の重質炭化水素油を加圧下で酸化性ガス単独又は非酸化性ガスとの混合物により架橋・重質化して得られた、軟化点が150℃以上、トルエン不溶分が40%以上であり且つ430℃で1時間熱処理後も等方性を維持する原料ピッチに対し、添加剤として沸点200℃以上の2乃至3環の芳香族化合物を加えた混合物を熱水中に溶融懸濁分散させ、得られた球形ピッチ成形体から添加剤を抽出することにより得られる。
先に挙げた特許文献1および2に記載の従来法と、本発明の球状活性炭の製造方法とを対比すると、従来法において用いられていた原油分解ピッチおよびEBピッチは、いずれも430℃、1時間の熱処理により異方性を示す特徴を示すものである。但し、EBピッチが、その多孔化のために用いる芳香族化合物からなる粘度調整用添加剤に対し過度の溶解性を有するのに対し、原油分解ピッチは適度の非相溶性を示すために、その後に溶剤により粘度調整用添加剤を選択的抽出除去することが可能になる。但し、この原油分解ピッチはその製造に際し、約2000℃の高温での熱分解が必要であるというプロセス上の問題を包含していたのは上述の通りである。これに対し、本発明者らの研究によれば、EBタールを含む石油タールあるいは石炭タール等の重質炭化水素油を適度に架橋・重質化処理して得られる軟化点が150℃以上、トルエン不溶分が40%以上であり且つ430℃で1時間熱処理後も等方性を維持する性状(この性状はその多孔化後に得られる多孔性球状ピッチのそれとほぼ同等である)を有する原料ピッチ(架橋ピッチ)は、原油分解ピッチとは異なり、430℃、1時間の熱処理によっても異方性を示さないものであるが、原油分解ピッチと同様に芳香族化合物からなる粘度調整用添加剤に対し良好な相溶性−非相溶性のバランスを示すために、粘度調整用添加剤との混合により球状化のために必要な粘度あるいは軟化点の低下を起こすとともに、その後の溶剤による粘度調整用添加剤の選択的抽出・除去により、球状活性炭原料として好適な多孔性球状ピッチを与えるものであることが見出された。したがって、これを不融化後、炭化および賦活することにより高収率で球状活性炭が得られる。特に水蒸気等の賦活剤による処理の対象となる不融化多孔質ピッチないし炭素質材料は等方性で均質であるため、賦活剤が均一に浸透して賦活反応が進行し、均一な細孔構造が発達し易い利点を有する。
本発明の球状活性炭の製造方法は、同様な性状を有する原料ピッチから得られた、軟化点が150℃以上、トルエン不溶分が40%以上であり且つ430℃で1時間熱処理後も等方性を維持する多孔性球状ピッチを不融化後、炭化および賦活することを特徴とするものである。軟化点が150℃以上であることは、その後の不融化を円滑に進行するために必要であり、トルエン不溶分が40%以上であることは、炭化収率、従って活性炭収率を高めるために必要である。430℃以上で、1時間熱処理後も等方性を維持する性質は、前述したように、芳香族化合物からなる粘度調整用添加剤との適度の非相溶性を確保し、好ましい難黒化性の球状活性炭構造を与えるために必要である。
以下、上述した多孔性球状ピッチの好ましい製造方法を含めて、本発明球状活性炭の製造方法の好ましい態様について説明する。
上述した多孔性球状ピッチは、好ましくは、石油あるいは石炭タールあるいは低軟化ピッチ、ナフサ等を分解してエチレンを製造する際に副生する残渣油(EB油)などを含む、重質炭化水素油を架橋処理し、熱処理しても異方性成分が発生しにくい構造とした後、熱処理による重質化および軽質分の除去により軟化点およびトルエン不溶分を制御することにより得た架橋・重質化ピッチ(crosslinked & condensed pitch)を、多孔質化することにより得ることができる。架橋・重質化ピッチ中の不純物はできる限り少ない方が好ましい。架橋・重質化ピッチ中の好ましい金属不純物量は500ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である。石油精製や石炭乾留時に生成するタールには、原料由来の不純物や精製時の触媒など多くの金属不純物が含まれるため、金属不純物を除去するのが好ましい。一方、エチレン生成のためのナフサ分解工程で生成するボトム油などに由来するタール中には、不純物がきわめて少ないため好ましく使用することができる。また、これらのタールの2種以上を混合して使用してもよい。
重質炭化水素油に対する架橋・重質化処理は、重質炭化水素油に酸化性ガス単独又は非酸化性ガスとの混合物を作用させる方法によって行うことができる。酸化性ガスの好適例としては、O、O、NO、空気等が挙げられ、これらの二種以上の混合物であってもよい。非酸化性ガスの好適例としては、窒素、水蒸気、炭酸ガス等が挙げられる。
酸化性気体による重質炭化水素油の架橋・重質化処理の方法としては、空気などの酸化性ガスを吹き込みつつ重質炭化水素油を加熱するエアーブローイング法がある。エアーブローイング反応では、酸素による重質炭化水素油への酸化反応と空気吹込みによる蒸留効果が同時に起こるため反応が複雑であり詳細は明らかではないが、酸化性ガスによるエアーブローイング処理をすることにより異方性組織の発生することなく、軟化点上昇およびトルエン不溶分を増加させる事ができる。エアーブローイングのための温度は、低すぎると重質炭化水素油の粘度が高く、均一な反応ができないので好ましくない。また、高すぎると重質炭化水素油の蒸気圧が高くなり収率が低下する、また、急激な反応により反応の暴走、あるいは重質炭化水素油の重質化が進行し反応系内でこれらが固化反応をきたすので好ましくない。エアーブローイングの温度として好ましくは、150℃〜350℃、更に好ましくは200℃〜300℃である。エアーブローイング反応は、気液反応であるため反応を効率良く進めるには、重質炭化水素油への空気などの酸化性ガスの溶け込みを促進させることが好ましく、加圧下で反応を進める事が好ましい。圧力はより高いほうが好ましいが、装置上および安全性を考慮し、0.2〜2MPaG(ゲージ圧)、特に0.3〜1MPaGの圧力下で行うのが好ましい。重質炭化水素油と酸化性気体との量比は特に限定されないが、酸化性ガスが空気の場合、重質化水素油の仕込み量1kg当り、好ましくは10〜50リットル(NTP)、より好ましくは20〜40リットル(NTP)の範囲が用いられる。
重質炭化水素油の架橋重質化処理に際しては、必要に応じて熱処理および軽質分の除去を進めることにより、軟化点が150℃、好ましくは200℃以上であり、且つトルエン不溶分量が40%以上、好ましくは50%以上に制御された架橋重質化ピッチとすることができる。
架橋ピッチに対し、粘度調整用添加剤(すなわち、沸点200℃以上の2乃至3環の芳香族化合物又はその混合物)を加えて加熱混合した後、成形し球状ピッチ成形体を得る。次にピッチに対し低溶解度を有しかつ添加剤に対して高溶解度を有する溶剤で、球状ピッチ成形体から添加剤を抽出除去し、多孔性球状ピッチとする。
上記した芳香族添加剤の目的は、成形後の球状ピッチ成形体から該添加剤を抽出除去せしめて成形体を多孔質となし、酸化による架橋処理を容易にすることにある。このような添加剤は、例えばナフタレン、メチルナフタレン、フェニルナフタレン、ベンジルナフタレン、メチルアントラセン、フェナンスレン、ビフェニル等の1種又は2種以上の混合物から選択される。ピッチに対する添加量は、ピッチと添加剤の合計量に対し、10〜50重量%、特に20〜40重量%の範囲が好ましい。
ピッチと添加剤の混合は、均一な混合を達成するため、加熱し溶融状態で行う。ピッチと添加剤の混合物は、添加剤を混合物から容易に抽出できるようにするため、粒径2.0mm以下の粒子に成形することが好ましい。球状ピッチへの成形は溶融状態で行ってもよく、また混合物を冷却後粉砕し、熱水中で撹拌する等の方法によってもよい。その中でも好適な方法は特公昭50−18879号公報、特公昭51−76号公報等において開示された方法を援用し、懸濁剤を含む水を分散媒とし、常圧又は加圧下に、架橋・重質化ピッチと粘度調整用添加剤の均一混合物を、溶融分散し、球状ピッチを得る方法である。更に好適な方法は、特公昭59−10930号公報において開示された方法を援用し、架橋・重質化ピッチと粘度調整用添加剤との混合物を溶融状態で押出して紐状としたもの、若しくはそれを延伸したものを冷却固化せしめ、得られる紐状ピッチを破砕し、長さ/直径の比が5以下の棒状ピッチとなした後、棒状ピッチの軟化点以上の温度で、懸濁剤含有熱水中に撹拌混合させて球状に成形する方法である。
ピッチと添加剤の混合物から添加剤を抽出除去するための溶剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ナフサ、ケロシン等の脂肪族炭化水素主体の混合物、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール類等が好適である。
このような溶剤でピッチと添加剤の混合物成形体から添加剤を抽出することによって、成形体の形状を維持したまま添加剤を成形体から除去することができる。この際に成形体中に添加剤の抜け穴が形成され、均一な多孔性を有する多孔性球状ピッチが得られる。多孔性球状ピッチの軟化点は、原料ピッチの軟化点に大きく影響される。軟化点が低すぎると不融化のための、熱処理時に多孔性球状ピッチが軟化或いは溶融するので好ましくない。多孔性球状ピッチとしての軟化点は高いほど好ましいが、多孔性球状ピッチの軟化点を高くするには、原料ピッチの重質化を進める必要があり、その際ピッチ中に異方性成分が生成し、ピッチの球状化、添加物の抽出、均一な賦活処理等が難しくなるため、軟化点が高すぎるのは好ましくない。多孔性球状ピッチの軟化点は、好ましくは150℃〜350℃、更に好ましくは200℃〜300℃である。トルエン不溶分はピッチからの炭化収率と良い相関関係があり、トルエン不溶分が高いほど炭素化収率が高くなる傾向がある。したがって、トルエン不溶分は、好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上である。
本発明の球状活性炭の製造方法では、架橋処理を施した等方性ピッチを原料として用いる事により、ピッチ/添加剤混合物からの添加剤の抽出を容易にし、更に、これにより得られた多孔性球状ピッチが熱処理しても異方性組織が発現し難いことから、等方性組織を維持した状態での不融化処理を容易にする効果がある。原料として用いる架橋ピッチの架橋構造がそれから得られる多孔性球状ピッチの構造として引き継がれるため、多孔性球状ピッチの架橋構造を評価することが、原料として用いた架橋ピッチの構造を合わせて評価することとなる。ピッチの架橋度が高いほど、熱処理時に異方性組織が現れる温度が高くなる傾向にある。したがって、異方性組織が現れる温度がピッチの架橋度を表す指標と成りうる。このような観点から多孔性球状ピッチは、窒素ガスなどの非酸化性ガス雰囲気下430℃で1時間熱処理し、偏光顕微鏡観察による観察において、メソフェーズ小球体などの異方性成分が観察されないことが好ましく、そのような性質を有することが本発明で用いる多孔性球状ピッチの必須条件である。
また、多孔性球状ピッチを不融化処理するには、酸化性ガス雰囲気中で熱処理する方法が通常行われる。比較的大きな粒子を均一に不融化するためには、酸化性ガスを粒子の内部まで均一に行き渡らせる必要があり、そのためには適切な細孔構造が必要である。細孔構造の発達が充分でない場合、酸化性ガスの拡散に時間がかかるため、不融化時間を長くする必要があり、生産効率が著しく低下する問題がある。さらに、不融化時間を長くしても粒子の内部への酸化性ガスの拡散が不十分な場合、粒子の内部の不融化処理が不十分となり、賦活のための熱処理時に粒子内部が溶融し粒子の変形や割れをきたすので好ましくない。逆に粒子の細孔構造が多すぎると、添加剤の抽出による得られる細孔が直径10nm以上の比較的大きな細孔径のものであるため、粒子強度の低下や粒子の充填密度の低下などをきたすので好ましくない。多孔性球状ピッチの細孔として好ましくは、細孔直径3.0〜10000nmの細孔容積が0.06〜0.20ml/g、さらに好ましくは細孔直径3.0〜10000nmの細孔容積が0.08〜0.15ml/g、である。
このようにして得られた多孔性球状ピッチを、下記の酸化剤を用いて酸化し、架橋処理を施す。酸化剤としては、O、O、SO、NO、空気等の酸化性ガス、あるいはこれら酸化性ガスを窒素、炭酸ガス、水蒸気等の不活性気体で希釈した混合ガスを用いて、120℃〜350℃で架橋処理を行うことが簡便であり、経済的にも有利である。
架橋処理の程度は目安として元素分析により求めた酸化処理後の多孔性ピッチの元素分析による酸素含有量が8〜25重量%となるように酸化することが好ましい。
上記の方法により得られた多孔性球状不融化ピッチを、非酸化性雰囲気ガス中600℃以上で熱処理することにより球状炭素成形体を得ることが出来る。次いで、常法により、炭化、賦活化する。の際、多孔性球状不融化ピッチおよび球状炭素成形体に対し二酸化炭素及び水蒸気など穏和な酸化性ガスを主成分とする賦活性ガス雰囲気中、賦活処理することにより球状活性炭をえることが出来る。すなわち、不融化後の多孔性球状ピッチに対し、600℃以上で賦活性ガスを作用させることにより、炭素化と賦活を同時に進行させることもでき、工程経済の観点で好ましい。
かくして、本発明法によれば、好ましくは、平均粒子径が0.1〜1.5mm、BET法により求められる比表面積が500〜2500m/g、充填密度0.8〜0.3g/mlの球状活性炭が得られる。
以下、実施例および比較例により、本発明を更に具体的に説明する。以下の例を含めて、本明細書中に記載する物性値は、以下の方法により求めた値に基づく。
「軟化点」 : (多孔性球状)ピッチを粉砕し目開き150μmの篩を通過した粉末状ピッチを測定用試料粉末とした。フローテスター(株式会社島津製作所製 CFT−500D型)を用い、軟化点の測定を行った。フローテスターのシリンダー温度が、120℃に達した後、試料粉末1.00gをシリンダー内に入れ、180秒間予熱する。試料粉末の空隙に空気が入っているので、予熱途中で空気抜きを行い、予熱終了後測定を開始する。測定開始温度:120℃、昇温速度:6℃/分、シリンダー圧力:0.98MPaG、ダイ穴径:1.0mm、ダイ長さ1.0mmである。温度の上昇に伴い試料粉末が軟化し充填率が上昇し、試料粉末の体積は減少するが、ある温度以上では体積の減少が停止する。さらに昇温を続けるとシリンダー下部のノズルより試料が溶融して流出する。ここでは、試料粉末の体積減少が停止する温度をその試料の軟化点と定義する。
「トルエン不溶分」 : (多孔性球状)ピッチを粉砕し目開き150μmの篩を通過した粉末状ピッチ1.000gを100mlのねじ付き三角フラスコに入れ、これにトルエン100mlを入れキャップを閉め、よく振り混ぜる。つぎにこれを40±5℃に設定された恒温機にいれ、16時間保持したのち、ろ過し、トルエン不溶分を110±5℃で1時間乾燥後、放冷し、重量を測定することによりトルエン不溶分を求めた。
「異方性組織の観察」 : (多孔性球状)ピッチを横型管状炉に入れ、窒素ガスで置換した後、1時間で430℃まで昇温後、430℃で1時間熱処理したのち冷却し、偏光顕微鏡観察用試料(以後、観察用試料と呼ぶ)を得た。つぎに、シリコンゴム製の型枠(直径25mm)に液状エポキシ樹脂を充填したのち、観察用試料をこれに埋め込み、120℃で24時間保持してエポキシ樹脂を硬化させたのち、観察用試料が表面に出るように硬化エポキシ樹脂を研磨し、直交ニコル下500倍で偏光顕微鏡観察を行った。この状態で異方性成分が観察されないことをもって等方性と判断した。
「比表面積」:比表面積連続流通式のガス吸着法による比表面積測定器(例えば、MICROMERITICS社製「Flow Sorb II 2300」)を用いて、試料(炭素質材料)のガス吸着量を測定し、BETの式により比表面積を計算することができる。具体的には、試料を試料管に充填し、その試料管に窒素30vol%を含有するヘリウムガスを流しながら以下の操作を行い、試料への窒素吸着量を求める。すなわち、試料管を−196℃に冷却し、試料に窒素を吸着させる。次に、試料管を室温に戻す。このとき多孔性球状炭素質物質試料から脱離してくる窒素量を熱伝導度型検出器で測定し、吸着ガス量(v)とする。BETの式から誘導された
[数1]
近似式:
=1/(v・(1−x))
を用いて液体窒素温度における、窒素吸着による1点法(相対圧力x=0.3)によりvを求め、
[数2]
次式:
比表面積=4.35×v(m/g)
により試料の比表面積を計算する。前記の各計算式で、vは実測される吸着量(cm/g)であり、xは相対圧力である。
「充填密度」:JIS K1474−1991法に準じ、充填密度を測定した。
「平均粒子径」:レーザ回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製:SALD−3000S)を用い、体積基準の累積50%時の粒子径を平均粒子径とした。
「水銀ポロシメーター」 : 水銀圧入法による細孔容積水銀ポロシメーター(例えば、MICROMERITICS社製「AUTOPORE 9200」)を用いて細孔容積を測定することができる。試料である多孔性炭素質材料を試料容器に入れ、2.67Pa以下の圧力で30分間脱気する。次いで、水銀を試料容器内に導入し、徐々に加圧して水銀を多孔性炭素質試料の細孔へ圧入する(最高圧力=414MPa)。このときの圧力と水銀の圧入量との関係から以下の各計算式を用いて多孔性試料の細孔容積分布を測定する。具体的には、細孔直径15μmに相当する圧力(0.08MPa)から最高圧力(414MPa:細孔直径3nm相当)までに多孔性試料に圧入された水銀の体積を測定する。細孔直径の算出は、直径(D)の円筒形の細孔に水銀を圧力(P)で圧入する場合、水銀の表面張力を「γ」とし、水銀と細孔壁との接触角を「θ」とすると、表面張力と細孔断面に働く圧力の釣り合いから、
[数3]
次式:
−πDγcosθ=π(D/2)・P
が成り立つ。従って
[数4]
D=(−4γcosθ)/P
となる。本明細書においては、水銀の表面張力を484dyne/cmとし、水銀と炭素との接触角を130度とし、圧力PをMPaとし、そして細孔直径Dをμmで表示し、下記式:
[数5]
D=1.27/P
により圧力Pと細孔直径Dの関係を求める。本発明における細孔直径3〜10000nmの範囲の細孔容積とは、水銀圧入圧0.127MPaから414MPaまでに圧入された水銀の体積に相当する。
「酸素元素の含有量」 : 元素分析により水素、炭素、窒素の含有量(重量%)を求め、下記式により酸素元素の含有率を求めた。
[数6]
酸素元素の含有率(重量%)=100―(水素元素含有率+炭素元素含有率+窒素元素含有率)
「炭化収率(%)」:後記表1に記載する炭化収率は、参考例(ピッチを原料とする)を除き、原料重質油からピッチを経由し、窒素中800℃で30分間熱処理して得られる炭化物重量の、原料重質油重量に対する比(%)である。参考例においては、炭化物重量/原料ピッチ重量×100%。
「原料ピッチ中の金属不純物量」:ピッチ100gを石英製容器に入れ、空気中で燃焼させ、残った灰分の重量を測定して、金属不純物量(重量基準ppm)とした。
[実施例1]
内容積9リットルのステンレス製耐圧容器に比重(15℃における試料の質量と4℃における等体積の純水の質量との比)1.08のエチレンの製造時に生成するボトム油(エチレンボトム油)6.5kgを仕込み、反応容器の下部より2.0〜2.5リットル/minで空気を吹き込み0.4MPaGの加圧下、230〜250℃で、エアーブローイング反応を8時間行う事により、5.5kgのエアーブローイングタールを得た。得られたエアーブローイングタール5.0kgを395℃で熱重質化したのち、さらに軽質分を減圧留去することによりエアーブローイングピッチ2.5kgを得た。得られたピッチは、軟化点が208℃、トルエン不溶分が58%、金属不純物量が70ppmで、光学的に等方性であり、430℃で1時間熱処理後も等方性を維持していた。得られたエアーブローイングピッチ2.00kgと、ナフタレン0.95kgとを、攪拌翼のついた内容積5Lの耐圧容器に仕込み、200℃で溶融混合を行った後、140〜160℃に冷却して押し出し、紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を長さ/直径の比が約1〜2になるように破砕した。0.23重量%のポリビニルアルコール(ケン化度=88%)を溶解して93℃に加熱した水溶液中に、前記の破砕物を投入し、攪拌分散により球状化した後、冷却し、前記のポリビニルアルコール水溶液を水で置換することにより球状ピッチ成形体スラリーを得た。大部分の水をろ過により除去した後、球状ピッチスラリーの約6倍重量のn−ヘキサンで球状ピッチスラリー中のナフタレンを抽出除去し、多孔性球状ピッチを得た。得られた多孔性球状ピッチは、等方性であり、430℃で1時間熱処理後も等方性を維持していた。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、室温から150℃まで1時間で昇温したのち、150℃から20℃/hの昇温速度で260℃まで昇温した後、260℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状不融化ピッチを得た。続いて、多孔性球状不融化ピッチを、流動床を用い、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中850℃で150分間賦活処理して球状活性炭を得た。
多孔性球状ピッチ、多孔性球状不融化ピッチ、および得られた炭素質材料の特性を、以下の実施例等の結果とともに、後記表1にまとめて示す。
[実施例2]
内容積9リットルのステンレス製耐圧容器にエチレンの製造時に生成するボトム油(比重1.08)6.5kgを仕込み、反応容器の下部より2.0〜2.5L/minで空気を吹き込み0.25MPaGの加圧下、230〜250℃で、エアーブローイング反応を8時間行う事により、5.3kgのエアーブローイングタールを得た。得られたエアーブローイングタール5.0kgを395℃で熱重質化したのち、さらに軽質分を減圧留去することによりエアーブローイングピッチ2.3kgを得た。得られたピッチは軟化点が203℃、トルエン不溶分が56%で光学的に等方性であり、430℃で1時間熱処理後も等方性を維持していた。エアーブローイングピッチ2.00kgと、ナフタレン0.95kgとを、攪拌翼のついた内容積5リットルの耐圧容器に仕込み、200℃で溶融混合を行った後、140〜160℃に冷却して押し出し、紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を長さ/直径の比が約1〜2になるように破砕した。0.23重量%のポリビニルアルコール(ケン化度=88%)を溶解して93℃に加熱した水溶液中に、前記の破砕物を投入し、攪拌分散により球状化した後、冷却し、前記のポリビニルアルコール水溶液を水で置換することにより球状ピッチ成形体スラリーを得た。大部分の水をろ過により除去した後、球状ピッチスラリーの約6倍重量のn−ヘキサンで球状ピッチスラリー中のナフタレンを抽出除去し、多孔性球状ピッチを得た。得られた多孔性球状ピッチは、等方性であり、430℃で1時間熱処理後も等方性を維持していた。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、室温から150℃まで1時間で昇温したのち、20℃/hの昇温速度で240℃まで昇温した後、240℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状不融化ピッチを得た。続いて、多孔性球状不融化ピッチを流動床を用い、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中850℃で220分間賦活処理して球状活性炭を得た。
[例3](参考例)
撹拌機付の内容積20リットルの反応容器に、比重1.08のエチレンボトム油15kgを仕込み、撹拌しながら冷却し温度を40℃以下に保ち61%硝酸2kgを添加し2時間反応させた。次に80℃で1時間保った後、395℃で熱重質化したのち、さらに軽質分を減圧留去することにより36.1%の収率で硝酸酸化ピッチを得た。得られたピッチは軟化点が215℃、トルエン不溶分が59%で光学的に等方性であり、430℃で1時間熱処理後も等方性を維持していた。硝酸酸化ピッチ68kgと、ナフタレン32kgとを、攪拌翼のついた内容積300リットルの耐圧容器に仕込み、200℃で溶融混合を行った後、140〜160℃に冷却して押し出し、紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を長さ/直径の比が約1〜2になるように破砕した。0.23重量%のポリビニルアルコール(ケン化度=88%)を溶解して93℃に加熱した水溶液中に、前記の破砕物を投入し、攪拌分散により球状化した後、冷却し、前記のポリビニルアルコール水溶液を水で置換することにより球状ピッチ成形体スラリーを得た。大部分の水をろ過により除いた後、球状ピッチスラリーの約6倍重量のn−ヘキサンで球状ピッチスラリー中のナフタレンを抽出除去した。得られた多孔性球状ピッチは、等方性であり、430℃で1時間熱処理後も等方性を維持していた。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、室温から150℃まで1時間で昇温したのち、150℃から20℃/hの昇温速度で260℃まで昇温した後、260℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状不融化ピッチを得た。続いて、多孔性球状不融化ピッチを、流動床を用い、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中850℃で300分間賦活処理して球状活性炭を得た。
[実施例4]
コールタールを120℃に加熱し、遠心分離機により固形分を分離した後、更に120℃に加熱したコールタールを加圧濾過し、コールタールを精製した。得られた精製コールタール(比重1.13)6.5kgを内容積9Lのステンレス製耐圧容器に仕込み、反応容器の下部より2.0〜2.5L/minで空気を吹き込み0.5MPaGの加圧下、230〜250℃で、エアーブローイング反応を8時間行う事により、5.4kgのエアーブローイングタールを得た。得られたエアーブローイングタール5.0kgを395℃で熱重質化したのち、さらに軽質分を減圧留去することによりエアーブローイングピッチ1.6kgを得た。得られたピッチは、軟化点が240℃、トルエン不溶分が70%、金属不純物量が90ppmで、光学的に等方性であり、430℃で1時間熱処理後も等方性を維持していた。エアーブローイングピッチ2.00kgと、ナフタレン1.08kgとを、攪拌翼のついた内容積5Lの耐圧容器に仕込み、200℃で溶融混合を行った後、140〜160℃に冷却して押し出し、紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を長さ/直径の比が約1〜2になるように破砕した。0.23重量%のポリビニルアルコール(ケン化度=88%)を溶解して93℃に加熱した水溶液中に、前記の破砕物を投入し、攪拌分散により球状化した後、冷却し、前記のポリビニルアルコール水溶液を水で置換することにより球状ピッチ成形体スラリーを得た。大部分の水をろ過により除いた後、球状ピッチスラリーの約6倍重量のn−ヘキサンで球状ピッチスラリー中のナフタレンを抽出除去し、多孔性球状ピッチを得た。得られた多孔性球状ピッチは、等方性であり、430℃で1時間熱処理後も等方性を維持していた。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、室温から150℃まで1時間で昇温したのち、150℃から20℃/hの昇温速度で260℃まで昇温した後、260℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状不融化ピッチを得た。続いて、多孔性球状不融化ピッチを流動床により、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中850℃で160分間賦活処理して球状活性炭を得た。
[比較例1]
比重1.08のエチレンボトム油5.00kgを395℃で熱重質化したのち、さらに軽質分を減圧留去することによりEB(エチレンボトム)ピッチ1.03kg(収率20.5%)を得た。得られたEBピッチは軟化点が178℃、トルエン不溶分が30.1%で、光学的に等方性であったが、430℃で1時間の熱処理の結果、偏光顕微鏡観察により、直径20μm程度のメソフェーズ小球体が観察された。EBピッチ68kgと、ナフタレン32kgとを、攪拌翼のついた内容積300リットルの耐圧容器に仕込み、200℃で溶融混合を行った後、140〜160℃に冷却して押し出し、紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を長さ/直径の比が約1〜2になるように破砕した。0.23重量%のポリビニルアルコール(ケン化度=88%)を溶解して93℃に加熱した水溶液中に、前記の破砕物を投入し、攪拌分散により球状化した後、冷却し、前記のポリビニルアルコール水溶液を水で置換することにより球状ピッチ成形体スラリーを得た。大部分の水をろ過により除いた後、球状ピッチスラリーの約6倍重量のn−ヘキサンで球状ピッチスラリー中のナフタレンを抽出除去した。得られた多孔性球状ピッチは光学的に等方性であったが、原料ピッチと同様に430℃で1時間の熱処理後は異方性を示した。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、室温から150℃まで1時間で昇温したのち、150℃から20℃/hの昇温速度で260℃まで昇温した後、260℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状不融化ピッチを得た。続いて、多孔性球状不融化ピッチを、流動床を用い、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中850℃で150分間賦活処理して球状活性炭の調製を試みたが、多孔性球状ピッチの細孔構造の発達が不十分であり、不融化が均一に進行しなかったため、賦活工程で高温熱処理した際、粒子内部の不融化が不十分であった部分が発泡し、良好な形状を有する球状活性炭が得られなかった。
[比較例2]
比較例1記載の多孔性球状ピッチを流動床により、加熱空気を通じながら、室温から150℃まで1時間で昇温したのち、150℃から1℃/hの昇温速度で260℃まで昇温した後、260℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状不融化ピッチを得た。続いて、多孔性球状不融化ピッチを、流動床を用い、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中850℃で150分間賦活処理して球状活性炭を得た。
[比較例3]
比重1.08のエチレンボトム油5.00kgを415℃で時間熱重質化した後、さらに軽質分を減圧留去することによりEB(エチレンボトム)ピッチ0.95kg(収率19%)を得た。得られたEBピッチは軟化点が215℃、トルエン不溶分が43%で光学的に異方性であった。EBピッチ68kgと、ナフタレン32kgとを、撹拌翼のついた内容積300リットルの耐圧容器に仕込み、200℃で溶融混合を行ったが、異方性ピッチとナフタレンの相溶性が悪くピッチに対し均一に混合することができなかったため、ピッチの軟化点等の制御等が行えずその後の工程に進むことができなかった。
[参考例]
原油を2000℃の水蒸気で熱分解して得られた原油分解ピッチは軟化点が192℃、トルエン不溶分が68.2%で光学的に等方性であったが、430℃で1時間の熱処理の結果、偏光顕微鏡観察により、直径50μm程度のメソフェーズ小球体と流れ状の異方性組織の両方が観察された。この原油分解ピッチ60kgと、ナフタレン20kgとを、撹拌翼のついた内容積300リットルの耐圧容器に仕込み、200℃で溶融混合を行った後、140〜160℃に冷却して押し出し、紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を長さ/直径の比が約1〜2になるように破砕した。0.23重量%のポリビニルアルコール(ケン化度=88%)を溶解して93℃に加熱した水溶液中に、前記の破砕物を投入し、撹拌分散により球状化した後、冷却し、前記のポリビニルアルコール水溶液を水で置換することにより球状ピッチ成形体スラリーを得た。大部分の水をろ過により除いた後、球状ピッチスラリーの約6倍重量のn−ヘキサンで球状ピッチスラリー中のナフタレンを抽出除去した。得られた多孔性球状ピッチは光学的に等方性であったが、原料ピッチと同様に430℃で1時間の熱処理後は、異方性組織を示した。このようにして得た多孔質球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、室温から150℃まで1時間で昇温した後、150℃から20℃/hの昇温速度で300℃まで昇温した後、300℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状不融化ピッチを得た。続いて、多孔性球状不融化ピッチを、流動床を用い、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中850℃で150分間賦活処理して球状活性炭を得た。多孔性球状ピッチ、多孔性球状不融化ピッチ、および得られた炭素質材料の特性を表1に示す。
Figure 0004349627
上述したように本発明の球状活性炭の製造方法によれば、石油タール、石炭タール、エチレンボトム油等の重質炭化水素油を原料として緩和なプロセスにより得られた等方性の多孔性球状ピッチを、不融化後、炭化および賦活することにより、良好な性状の球状活性炭を高収率で得ることができる。

Claims (7)

  1. 重質炭化水素油を加圧下で酸化性ガス単独又は非酸化性ガスとの混合物により架橋重質化処理することにより得られた、軟化点が150℃以上、トルエン不溶分が40%以上であり且つ430℃で1時間熱処理後も等方性を維持する原料ピッチに対し、添加剤として沸点200℃以上の2乃至3環の芳香族化合物を加えた混合物を熱水中に溶融懸濁分散させ、得られた球形ピッチ成形体から添加剤を抽出することにより、該原料ピッチを、球状に成形および多孔化して多孔性球状ピッチとし、得られた多孔性球状ピッチを、不融化後、炭化および賦活することを特徴とする球状活性炭の製造方法。
  2. 多孔性球状ピッチの軟化点が150〜350℃である請求項1に記載の製造方法。
  3. 重質炭化水素油の酸化性ガス単独又は非酸化性ガスとの混合物による架橋重質化処理がゲージ圧として0.2〜2MPaの加圧下で行われる請求項1または2に記載の製造方法。
    請求項1に記載の製造方法。
  4. ナフサ分解を経て得られる重質炭化水素油を用いる請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 原料ピッチ中の金属不純物量が500ppm以下である請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 多孔性球状ピッチは、平均粒子径が0.1〜2.0mmの球形であり、水銀ポロシメーターにより求められる細孔直径3〜10000nmの細孔容積が0.06〜0.20ml/gである請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 不融化後の多孔性球状ピッチは、平均粒子径が0.1〜2.0mmの球形であり、元素分析により求められる酸素原子の含有量が8〜25重量%である請求項1乃至6のいずれかに記載の製造方法。
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