JP4517563B2 - 炭素フォームおよび黒鉛フォームの製造法 - Google Patents

炭素フォームおよび黒鉛フォームの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メソフェーズピッチを原料とした、耐熱性や化学的安定性に優れ、均一なセル構造を有する炭素質あるいは黒鉛質炭素材料の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐熱性、熱伝導性、化学安定性、電気伝導性、強度、ガス拡散性など、これまでにない様々な特性を有する炭素フォームが検討されている。従来の熱硬化性樹脂ベースのフォームは難黒鉛化性炭素を形成するため、高温での耐酸化性や化学反応に対する耐食性が低く、熱伝導性も十分ではない。
【0003】
これらに応える材料として、メソフェーズピッチを不活性ガスによる加圧下に熱処理することによって製造される、高い化学安定性、耐熱性、耐酸化性を有する新規なフォーム材料が提案されている(Preparation, structure and application of mesophase pitches prepared from aromatic hydrocarbons using HF/BF3 as catalysts" TANSO 1992 [155] 370-378, I. Mochida, Y. Korai, K. Shimizu, S-H. Yoon, R. Fujiura.)。
さらに本発明者らは特願2001−13987において、特定のメソフェーズピッチを不活性ガスによる0.1MPa以上での加圧下に400℃〜500℃の温度で熱処理することによって、均一かつ連続気泡のセル構造を有する特定の炭素フォームが工業的により安定して製造できることを提案している。
【0004】
また、USP6033506号明細書にも、メソフェーズピッチピッチを不活性ガスによる1000psi(約6.8MPa)での加圧下で熱処理してカーボンフォームを製造する手法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、メソフェーズピッチを不活性ガスの加圧下に熱処理することで、フォーム材料が製造できることは見出されていた。また、フォームの嵩密度やセルの大きさを制御するための操作条件として、熱処理を行うときの加圧圧力が支配的であることが、例えば特願2001−13987において明らかにされている。即ち、フォームの嵩密度を高くするためには加圧圧力を非常に高くする必要があった。
【0006】
しかしながら、500℃以上の高温下に、例えば6MPa以上の高圧条件で熱処理を行うためには、高温高圧に耐え得る特別な反応器が必要となることから、フォームを工業的に安価に製造することが難しく、低圧条件下で炭素フォームの嵩密度等の性状を制御したいという要求がある。
【0007】
本発明の目的は、均一なセル構造を有し、耐熱性、熱伝導性、化学安定性、電気伝導性、強度、ガス拡散性などの特性を有する炭素フォームを低圧条件下で制御できる炭素フォームの製造方法を提供するにある。本発明の更なる目的は、該炭素フォームを2000℃以上で黒鉛化することで、均一かつ連続気泡のセル構造を有すると同時に高い黒鉛化度を持った黒鉛フォームを工業的に安定して提供できる黒鉛フォームの製造方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、縮合多環式炭化水素またはこれを含有する物質から弗化水素・三弗化硼素を触媒として重合して得られるピッチから調製した特定のメソフェーズピッチを原料とすることで、400℃以上の温度で熱処理して炭素フォームを製造する際の不活性ガスの加圧圧力が5MPa以下、好ましくは4MPa以下、さらには3MPa以下でも嵩密度が0.20g/cm以上である良好な炭素フォームが製造できることを見出した。
さらに、この炭素フォームを2000℃以上の温度で熱処理することによって、嵩密度が0.30g/cm以上である黒鉛フォームが安定して製造できることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち本発明において使用されるメソフェーズピッチは、(1)縮合多環式炭化水素またはこれを有する物質を弗化水素・三弗化硼素を触媒として重合して得られ、該触媒を除去した後に、最高処理温度300℃〜500℃の温度範囲で熱処理して得られる、芳香族炭素指数fa値が0.90〜0.97であるメソフェーズピッチ、(2) 縮合多環式炭化水素またはこれを有する物質を、弗化水素・三弗化硼素を触媒として重合する際の触媒モル比(縮合多環式炭化水素/弗化水素/三弗化硼素)が、弗化水素/縮合多環式炭化水素=0.2〜1.0、三弗化硼素/縮合多環式炭化水素=0.01〜0.1、反応温度100〜350℃の条件で重合して得られ、該触媒を除去した後に、最高処理温度300℃〜500℃の温度範囲で熱処理して得られるメソフェーズピッチ、(3)縮合多環式炭化水素またはこれを有する物質を上記(2)に記載の反応条件で重合し、触媒を除去した後に、最高処理温度400℃〜500℃の温度範囲で熱処理して得られる、fa値が0.90〜0.97、フローテスターにより求めた軟化点が300℃以下であるメソフェーズピッチ、(4) 縮合多環炭化水素またはこれを含有する物質から弗化水素・三弗化硼素を触媒として合成したピッチを溶媒抽出した際の残渣として得られ、フローテスターによる軟化点が250℃以上のメソフェーズピッチである。
【0010】
本発明は、上記のメソフェーズピッチを、粉砕し、室温あるいは加熱下に成形した後に、それぞれ不活性ガスによる0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜4MPa、さらに好ましくは0.1〜3MPaの加圧下に400℃〜800℃の温度で熱処理して得られる炭素フォームの製造方法、及び該炭素フォームを2000℃以上の温度で熱処理して得られる黒鉛フォームの製造方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、縮合多環式炭化水素またはこれを含有する物質を弗化水素・三弗化硼素の存在下で重合させて得られた合成系メソフェーズピッチが原料として用いられる。以前から知られている石油系や石炭系メソフェーズピッチは副生物を原料としているために、本発明で実施しようとするメソフェーズピッチ物性の精密な制御は困難で、性状安定性に劣り、さらには金属分等の不純物が多いことから好ましくない。
【0012】
0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜4MPa、さらに好ましくは0.1〜3MPaの不活性ガスによる加圧下に熱処理して得られる、炭素フォームを得るために用いられる特定のピッチは、(1)縮合多環式炭化水素またはこれを含有する物質を弗化水素・三弗化硼素を触媒として重合し、該触媒を除去した後に、通常行われる後処理温度条件よりも高い最高処理温度300℃〜500℃の温度範囲で熱処理する方法、(2)縮合多環式炭化水素またはこれを含有する物質を弗化水素・三弗化硼素を触媒として重合する際の反応条件(温度、触媒モル比)を変更し、最高処理温度300℃〜500℃で熱処理する方法、(3)縮合多環式炭化水素またはこれを有する物質を上記(2)に記載の反応条件で重合し、触媒を除去した後に、最高処理温度400℃〜500℃の温度範囲で熱処理する、fa値が0.90〜0.97、フローテスターにより求めた軟化点が300℃以下であるメソフェーズピッチを得る方法、(4)縮合多環式炭化水素またはこれを含有する物質から弗化水素・三弗化硼素を触媒として重合して得られたピッチの溶媒抽出残渣を原料とする方法のいずれかによって製造できる。上記メソフェーズピッチは、嵩密度0.20g/cm以上を有する炭素フォームの製造に適している。
【0013】
上記(1)で述べた反応後に熱処理してメソフェーズピッチを得る方法は、縮合多環式炭化水素を触媒によって自生圧下に重合させた後に落圧して触媒を回収し、最高処理温度300℃以上で熱処理することによって行われる。この際に通常の軽質分除去操作と同様に窒素などの不活性ガスを吹き込んでもよい。また、軽質分を除去し、得られたピッチをいったん取り出し、不活性雰囲気下最高処理温度300〜500℃で熱処理を行ってもよい。得られた芳香族炭素指数fa値が0.90〜0.97であるメソフェーズピッチを、不活性ガスによる0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜4MPa、さらに好ましくは0.1〜3MPaの加圧下に400℃〜800℃の温度で熱処理することにより、嵩密度0.20g/cm以上の炭素フォームが得られる。ピッチの芳香族炭素指数faが0.97より大きいピッチでは、発泡剤として有効な脂肪族水素の保持量が少ないと推測され、良好なセル構造が形成できない。一方、後述する特定の触媒条件で重合したピッチを用いた場合以外は、ピッチの芳香族炭素指数faが0.90より小さいピッチでは不活性ガスによる3MPa以下の加圧下では嵩密度0.20g/cm以上の炭素フォームを製造することは困難である。
上記(2)の反応条件(温度、触媒モル比)を変更する方法は反応器の大きさや仕込み量にもよるが、触媒のうち三弗化硼素の比率をナフタレンに対するモル比を0.1以下に減らす方法が有効であり、重合する際の触媒モル比(縮合多環式炭化水素/弗化水素/三弗化硼素)が、弗化水素/縮合多環式炭化水素=0.2〜1.0、三弗化硼素/縮合多環式炭化水素=0.01〜0.1、反応温度100〜350℃の条件下で重合し、該触媒を除去した後に、最高処理温度300℃〜500℃の温度範囲で熱処理することによって行われる。本反応条件では、芳香族炭素指数0.90〜0.97であるメソフェーズピッチが得られない場合もあるが、不活性ガスによる3MPaの加圧下でも嵩密度0.20g/cm以上の炭素フォームを製造することができる。
また上記(3)の方法では、上記触媒条件で重合し、触媒を除去した後の熱処理を最高処理温度400℃〜500℃のより高温で行い、フォーム嵩密度の向上に有利なfa値が0.90〜0.97のメソフェーズピッチを製造した場合でも、フローテスターにより求めた軟化点は300℃以下であり、溶融性を維持でき、型を用いて任意の形状の炭素フォームを製造するに好適である。また、200℃以下の反応温度で重合を行った後に触媒の大部分を除去して触媒比率を下げ、反応温度200℃以上でさらに反応を継続して合成ピッチを得る方法などもある。
【0014】
上記(4)の合成ピッチの溶媒抽出残渣を用いる方法では、抽出溶媒にヘキサン、ベンゼン、トルエン、ピリジン、キノリン、クロロホルムなどの各種溶媒やタール洗浄油などが用いられる。抽出残渣から得られたメソフェーズピッチを0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜4MPa、さらに好ましくは0.1〜3MPaの不活性ガスによる加圧下に400℃〜800℃の温度で熱処理することによって嵩密度0.20g/cm以上の炭素フォームを製造することができる。
【0015】
圧力容器中にメソフェーズピッチを仕込む方法としては、(A)粉末、ペレットあるいは塊状のメソフェーズピッチをフォームを形成させるためのアルミ製やステンレス製などの金属容器に仕込む方法、(B)メソフェーズピッチをアルミ製やステンレス製などの金属容器に入れて加熱炉に仕込み、窒素気流の非酸化性雰囲気下に、軟化点プラス約100℃の温度で約10時間保持することで、該メソフェーズピッチを金属容器内でほぼ気泡を含まない均一な固まりとする方法、(C)ピッチを粉砕した後に室温あるいは加熱下に成型し、ついでアルミ製やステンレス製などの容器に仕込む方法などが挙げられる。
【0016】
この中で(C)のピッチ粉砕後に室温あるいは加熱下に成型した後容器に仕込む方法は、本発明のパラメータを満たす原料メソフェーズピッチの軟化点が高くなり金属容器内でほぼ気泡を含まない均一な固まりとするのが困難な場合に、均一な炭素フォームを得るために有効である。
【0017】
上述した特定のピッチを0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜4MPa、さらに好ましくは0.1〜3MPaの不活性ガスによる加圧下に400℃〜800℃の温度で熱処理する方法は特に限定されないが、例えば以下のような手順を採用してもよい。
【0018】
メソフェーズピッチが入った金属容器を加熱可能な圧力容器に仕込み、真空置換によって内部を窒素雰囲気に変更した後、大気圧のまま3℃/分の速度で350℃まで昇温し、一時間保持する。続いて、350℃に保ったままで窒素により3.0MPaに加圧し、2℃/分の速度で550℃まで昇温する。そのまま1時間保持した後、ヒーターを切り、炉内で自然放冷した後、サンプルを取り出すと、金属容器中で上述したような均一なセル構造を有する嵩密度0.20g/cm以上の炭素フォームが生成している。なお、不活性ガスによる加圧は室温より開始しても良い。
【0019】
用途によっては、得られた該炭素フォームを引き続いて600℃以上2000℃未満の温度で熱処理することもできる。この時の圧力は、常圧でも加圧でもよい。上記熱処理を加えることにより、密度、電気的物性あるいは熱的物性を適宜の範囲に制御することができる。
【0020】
さらに、該炭素フォームを2000℃以上の温度で熱処理し、黒鉛化することによって嵩密度が0.3g/cm以上の黒鉛フォームが製造される。黒鉛化に際して、予め800℃以上2000℃未満の温度で熱処理(仮焼)するとより好ましい。このような特定の物性値を有する黒鉛フォームは、高い強度と高い熱伝導性を有するフォームとなり得る。
【0021】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例により、なんら制限されるものではない。また、本実施例でのピッチの分析方法及び分析条件を以下に記載する。
【0022】
(元素分析)
炭素に対する水素の原子比(以下、単に(H/C)と記す)を算出するには、炭素、窒素、水素の同時分析を、分析装置としてパーキンエルマー(PERKINELMER)社製2400CHN型元素分析計を使用して行った。試料のピッチを錫製の容器に1.5±0.2mg秤量し、装置にセットした後、975℃の温度で5分間燃焼し、HeガスキャリヤーによりTCDで検出し測定した。なお、試料の測定にあたって、予め、標準物質のアセトアニリド(2.0±0.1mg)により補正した。
【0023】
(FT−IR)
KBr粉末100部に対して、改質ピッチ粉末1部を加えて、めのう乳鉢上で混合し、ついで、これを日本分光(株)製FT/IR−410、拡散反射法測定装置DR−81にセットし測定を行った。得られた拡散反射スペクトルを、Kubelka−Munk変換して得られたスペクトル上の、3050cm−1付近のピーク強度(芳香族C−H伸縮振動の吸収強度=Daromatic)の、2930cm−1付近のピーク強度(脂肪族C−H伸縮振動の吸収強度=Daliphatic)に対する比(Daromatic/Daliphatic)を求めた。
【0024】
実施例1
超強酸触媒HF−BF(触媒モル比:ナフタレン/HF/BF=1/0.35/0.15)の存在下にナフタレンを反応温度270℃で自生圧下に重合させた後、落圧して触媒を回収し、さらに350℃で窒素を10時間吹き込み軽質分を除去してフローテスターによる軟化点が230℃のメソフェーズピッチを得た。該メソフェーズピッチをさらに470℃で0.5時間熱処理することにより、フローテスターによる軟化点が295℃、(H/C)が0.526、(Daromatic/Daliphatic)が1.341、芳香族炭素指数fa値が0.929である熱処理メソフェーズピッチを得た。
【0025】
該熱処理メソフェーズピッチ8gを内径31mm、深さ40mmである円柱状のアルミ製容器(内容積30.175cm)に入れて、外径50mm、内径35mm、長さ450mmのSUS製密閉容器の中に仕込んだ。このSUS製密閉容器を内径55mmの温度調節器付きルツボ炉の中央に設置し、真空置換によって内部を窒素雰囲気に変更した。ついで、大気圧のまま3℃/分の速度で350℃まで昇温して一時間保持した後、3.0MPaに加圧した。3MPaを維持したまま2℃/分の速度で550℃まで昇温して1時間保持した後、ヒーターを切り、SUS製密閉容器を炉内で自然放冷した後、サンプルを取り出した。アルミ容器中でピッチは発泡、炭化して炭素フォームを生成していた。アルミ容器中の炭素フォームの嵩密度は、0.36g/cmであった。
【0026】
該炭素フォームを窒素雰囲気下10℃/時で昇温して1000℃に到達後2時間保持して仮焼を行った。引き続き、アルゴン雰囲気下500℃/時で昇温して2800℃で1時間黒鉛化処理を行い、黒鉛フォームを調製した。該黒鉛フォームの嵩密度は0.47g/cmであった。結果を表1に示す。
【0027】
実施例2
実施例1で使用したものと同じメソフェーズピッチを475℃で0.5時間熱処理することにより、フローテスターによる軟化点が300℃以上、(H/C)が0.492、(Daromatic/Daliphatic)が1.806、芳香族炭素指数fa値が0.947である熱処理メソフェーズピッチを得た。
【0028】
該熱処理メソフェーズピッチをコーヒーミルで粉砕し、8gを直径28mm、厚さ13mmのディスク状に3MPaで加圧成形して嵩密度約1.1g/cmのピッチ成形体を調製した。該ピッチ成形体を内径31mm、深さ40mmである円柱状のアルミ製容器(内容積30.175cm)に入れて、実施例1で使用したSUS製密閉容器に仕込み、真空置換によって内部を窒素雰囲気に変更した上で、室温で3.0MPaに加圧した。3MPaを維持したまま2℃/分の速度で550℃まで昇温して1時間保持して炭素フォームを製造した。炭素フォームの嵩密度は0.50g/cmであった。結果を表1に示す。
【0029】
該炭素フォームを窒素雰囲気下10℃/時で昇温して1000℃に到達後2時間保持して仮焼を行った。引き続き、アルゴン雰囲気下500℃/時で昇温して2800℃で1時間黒鉛化処理を行い、黒鉛フォームを調製した。該黒鉛フォームの嵩密度は0.62g/cmであった。結果を表1に示す。
【0030】
実施例3
超強酸触媒HF−BF(触媒モル比:ナフタレン/HF/BF=1/0.32/0.074)を用いてナフタレンを反応温度245℃で自生圧下に重合させた後、落圧して触媒を回収し、さらに350℃で窒素を20時間吹き込み軽質分を除去してメソフェーズピッチを得た。該メソフェーズピッチのフローテスターによる軟化点は220℃、(H/C)は0.590、(Daromatic/Daliphatic)は0.576、芳香族炭素指数fa値は0.863であった。
【0031】
実施例1と同様の条件で炭素フォームを製造したところ、得られた炭素フォームの嵩密度は0.25g/cmであった。
【0032】
該炭素フォームを窒素雰囲気下10℃/時で昇温して1000℃に到達後2時間保持して仮焼を行った。引き続き、アルゴン雰囲気下500℃/時で昇温して2800℃で1時間黒鉛化処理を行い、黒鉛フォームを調製した。該黒鉛フォームの嵩密度は0.35g/cmであった。結果を表1に示す。
【0033】
実施例4
実施例3と同じ条件でナフタレンを重合させた後、落圧して触媒を回収し、さらに350℃で窒素を2時間吹き込きこんで異方性含有率70%のメソフェーズピッチを得た。該ピッチを450℃で1時間熱処理することにより、フローテスターによる軟化点が234℃、(H/C)が0.550、(Daromatic/Daliphatic)が1.68、芳香族炭素指数fa値が0.937である熱処理メソフェーズピッチを得た。実施例1と同様の条件で炭素フォームを製造したところ、嵩密度が0.28g/cmの炭素フォームが得られた。
【0034】
該炭素フォームを窒素雰囲気下10℃/時で昇温して1000℃に到達後2時間保持して仮焼を行った。引き続き、アルゴン雰囲気下500℃/時で昇温して2800℃で1時間黒鉛化処理を行い、黒鉛フォームを調製した。該黒鉛フォームの嵩密度は0.36g/cmであった。結果を表2に示す。
【0035】
実施例5
実施例1で使用したものと同じメソフェーズピッチをコーヒーミルで粉砕し、トルエン溶媒でソックスレー抽出器を用いて溶媒抽出した。抽出残渣はフローテスターによる軟化点が300℃以上、(H/C)が0.621、(Daromatic/Daliphatic)が0.596、芳香族炭素指数fa値が0.858である抽出メソフェーズピッチであった。
【0036】
該抽出メソフェーズピッチ粉末を内径31mm、深さ40mmである円柱状のアルミ製容器(内容積30.175cm)に入れて、実施例1で使用したSUS製密閉容器に仕込み、真空置換によって内部を窒素雰囲気に変更した上で、室温で3.0MPaに加圧した。3MPaを維持したまま2℃/分の速度で550℃まで昇温して1時間保持して炭素フォームを製造したところ、該炭素フォームの嵩密度は0.26g/cmであった。該炭素フォームを窒素雰囲気下10℃/時で昇温して1000℃に到達後2時間保持して仮焼を行った。引き続き、アルゴン雰囲気下500℃/時で昇温して2800℃で1時間黒鉛化処理を行い、黒鉛フォームを調製した。該黒鉛フォームの嵩密度は0.34g/cmであった。結果を表2に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0004517563
【0038】
【表2】
Figure 0004517563
【0039】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明に基づいた原料ピッチを使用することによって、5MPa以下の工業的に安定して運転可能な範囲の圧力で、均一かつ連続気泡のセル構造を有する炭素フォームが製造できる。さらに、該炭素フォームを2000℃以上で黒鉛化することで、均一かつ連続気泡のセル構造を有すると同時に高い黒鉛化度を持った黒鉛フォームが工業的に安定して製造できる。

Claims (6)

  1. 縮合多環式炭化水素またはこれを有する物質を弗化水素・三弗化硼素を触媒として重合し、触媒を除去した後に、 最高処理温度300℃〜500℃の温度範囲で熱処理して得られる芳香族炭素指数fa値が0.90〜0.97であるメソフェーズピッチを、粉砕し、室温あるいは加熱下に成形した後に、不活性ガスによる0.1〜5MPaの加圧下に400℃〜800℃の温度で熱処理することを特徴とする炭素フォームの製造法
    (芳香族炭素指数faは下記(1)式から求めたものである。
    fa=1−(H/C)/x(1+(Daromatic/Daliphatic)×(εaliphatic/εaromatic)) (1)
    式中、(H/C)はピッチ中の炭素に対する水素の原子比、xは芳香族炭素以外に結合する水素の平均個数(=2とする)、(Daromatic/Daliphatic)はFT−IRで測定した芳香族C−H伸縮振動の吸収強度(Daromatic)と脂肪族C−H伸縮振動の吸収強度(Daliphatic)の比、εaliphatic/εaromaticは比吸光係数(=2とする)である。)
  2. 縮合多環式炭化水素またはこれを有する物質を弗化水素・三弗化硼素を触媒として重合する際に、触媒モル比(縮合多環式炭化水素/弗化水素/三弗化硼素)が、弗化水素/縮合多環式炭化水素=0.2〜1.0、三弗化硼素/縮合多環式炭化水素=0.01〜0.1であって、反応温度100〜350℃の条件で重合し、触媒を除去した後に、 最高処理温度300℃〜500℃の温度範囲で熱処理して得られるメソフェーズピッチを、粉砕し、室温あるいは加熱下に成形した後に、不活性ガスによる0.1〜5MPaの加圧下に400℃〜800℃の温度で熱処理することを特徴とする炭素フォームの製造法
  3. 縮合多環式炭化水素またはこれを有する物質を請求項2に記載の反応条件で重合し、触媒を除去した後に、最高処理温度400℃〜500℃の温度範囲で熱処理して得られ、fa値が0.90〜0.97、フローテスターにより求めた軟化点が300℃以下であるメソフェーズピッチを、粉砕し、室温あるいは加熱下に成形した後に、
    不活性ガスによる0.1〜5MPaの加圧下に400℃〜800℃の温度で熱処理することを特徴とする炭素フォームの製造法
  4. 縮合多環炭化水素またはこれを含有する物質から弗化水素・三弗化硼素を触媒として合成したピッチを溶媒抽出した際の残渣として得られるメソフェーズピッチを、粉砕し、室温あるいは加熱下に成形した後に、不活性ガスによる0.1〜5MPaの加圧下に最高処理温度400℃〜800℃の温度で熱処理することを特徴とする炭素フォームの製造法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造法により得られた炭素フォームを更に600℃以上2000℃未満の温度で熱処理することを特徴とする炭素フォームの製造法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造法により得られた炭素フォームを2000℃以上の温度で熱処理することを特徴とする黒鉛フォームの製造法。
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