JP2002220217A - 炭素フォームおよび該炭素フォームから得られる黒鉛フォーム - Google Patents

炭素フォームおよび該炭素フォームから得られる黒鉛フォーム

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JP2002220217A
JP2002220217A JP2001013987A JP2001013987A JP2002220217A JP 2002220217 A JP2002220217 A JP 2002220217A JP 2001013987 A JP2001013987 A JP 2001013987A JP 2001013987 A JP2001013987 A JP 2001013987A JP 2002220217 A JP2002220217 A JP 2002220217A
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less
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pitch
carbon foam
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JP2001013987A
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Koichi Sugano
公一 菅野
Hirotaka Tsuruya
浩隆 鶴谷
Takatsugu Fujiura
隆次 藤浦
Takeshi Koshikawa
健 越川
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】均一なセル構造を有し、耐熱性、熱伝導性、化
学安定性、電気伝導性、強度、ガス拡散性などの特性を
有する炭素フォーム、および該炭素フォームから得られ
る黒鉛フォームを提供する。 【解決手段】特定のメソフェーズピッチを0.1MPa
以上の不活性ガスの加圧下に400℃以上800℃以下
の温度で熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メソフェーズピッ
チを原料とした、耐熱性や化学的安定性に優れ、均一か
つ連続気泡のセル構造を有する炭素質あるいは黒鉛質炭
素材料に関する。
【0002】
【従来の技術】発泡プラスチックなどの樹脂を原料とし
た様々なフォーム材料が、断熱材や緩衝材などに広く応
用されている。しかし最近では、耐熱性、熱伝導性、化
学安定性、電気伝導性、強度、ガス拡散性など、これま
でにない様々な特性が要求される分野、例えば、燃料電
池のガス拡散電極、バイポーラープレートなどへの応用
が考えられているが、これまでの熱可塑性樹脂製のフォ
ームは使用できない。そこで、熱硬化性樹脂フォームや
それを炭化した炭素フォーム、あるいはセラミック製フ
ォームの使用が検討されているが、熱硬化性樹脂ベース
のフォームは難黒鉛化性炭素を形成するため、高温での
耐酸化性や化学反応に対する耐食性が低く、熱伝導性も
十分ではない。また、セラミック製フォームは耐酸化性
には優れるが、熱伝導性や電気伝導性は非常に小さい。
【0003】そこで、これに応える可能性のある材料を
提供する手段として、メソフェーズピッチをイナートガ
スの加圧下に熱処理することによって、密度が制御さ
れ、高い化学安定性、耐熱性、耐酸化性といった優れた
特性を備えた新規なフォーム材料が製造できることが、
本発明者のうちの一名によって新規に見出され、論文と
して発表されている(Preparation, structure and app
lication of mesophasepitches prepared from aromati
c hydrocarbons using HF/BF3 as catalysts"TANSO 199
2 [155] 370-378, I. Mochida, Y. Korai, K. Shimizu,
S-H. Yoon, R. Fujiura.)。この論文中では、発泡過
程における圧力や昇温速度により、その密度やポアサイ
ズが制御可能であり、キュアリングや発泡剤は必要ない
こと、この炭素質フォームを熱処理することで黒鉛フォ
ームが製造できることが述べられている。また、USP603
3506にも、ピッチを1000psiまでの不活性ガスの加圧下
で熱処理してカーボンフォームを製造するという、上述
した論文と同様の手法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、メソ
フェーズピッチ等のピッチをイナートガスの加圧下に熱
処理することで、フォーム材料が製造できることが見出
されていた。しかしながら、セルの形状や大きさが均一
に制御され、化学安定性、耐熱性、耐酸化性といった優
れた特性を有するフォームを工業的に安定して製造する
ために必要な原料ピッチの性状が不明であったため、フ
ォーム原料用として設計されたピッチがこれまでなく、
フォームの物性を制御することが困難であった。また、
フォームの製造時において、生成したフォーム中に不均
一な部分が多く存在し、製品の歩留まりを低下させるな
どの問題点があった。すなわち、これまでに一般的に使
用されてきたピッチでは、均一なセル構造を有し、耐熱
性、熱伝導性、化学安定性、電気伝導性、強度、ガス拡
散性など、これまでにない様々な特性を持ったフォーム
の物性を制御すると共に、工業的に安定して製造するこ
とが困難であった。本発明の目的は、均一なセル構造を
有し、耐熱性、熱伝導性、化学安定性、電気伝導性、強
度、ガス拡散性などの特性を有する炭素フォーム、およ
び該炭素フォームから得られる黒鉛フォームを提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、特定のメソフェーズピッチ
を0.1MPa以上の不活性ガスの加圧下に400℃以
上800℃以下の温度で熱処理することによって、均一
かつ連続気泡のセル構造を有する特定の炭素フォームが
工業的に安定して製造できることを見出した。さらに、
この炭素フォームを2000℃以上の温度で熱処理する
ことによって、均一かつ連続気泡のセル構造を有する特
定の黒鉛フォームが安定して製造できることを見出し、
本発明に至った。
【0006】すなわち本発明は、(1)高架式フローテ
スターで測定した軟化点が300℃以下、FT−IRで
測定した芳香族C−H伸縮振動の吸収強度(Daromati
c)と脂肪族C−H伸縮振動の吸収強度(Daliphatic)
の比(Daromatic/Daliphatic)が4.0以下であ
り、光学的異方性含有率が80%以上のピッチを熱処理
して得られる炭素フォーム、および(2)該炭素フォー
ムを2000℃以上の温度で熱処理して得られる黒鉛フ
ォーム、に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる原料メ
ソフェーズピッチは、石油系、石炭系、合成系のいずれ
のメソフェーズピッチでもよいが、高架式フローテスタ
ーによる軟化点が300℃以下、FT−IRで測定した
芳香族C−H伸縮振動の吸収強度(Daromatic)と脂肪
族C−H伸縮振動の吸収強度(Daliphatic)の比(Da
romatic/Daliphatic)が4.0以下であり、光学的異
方性含有率が80%以上のメソフェーズピッチを使用す
るのが好ましい。
【0008】ピッチの軟化点が300℃を超える非常に
高い温度の場合は、後述するフォーム製造時において、
溶融時の流動性が悪いために、発泡体形成に先立ち、型
内で気泡を含まない均一な固まりにすることが困難であ
るため、製品である発泡体内部に強度低下の原因になる
ボイドが発生しやすくなり、工業的に好ましくない。
【0009】また、光学的異方性含有率が80%未満で
あると、生成したフォームのセルが不均一化し、10%
以下の実質的に等方性ピッチになると、石油系、石炭
系、合成系のいずれの場合でも、良好なフォームが製造
できない。
【0010】また、ピッチの(Daromatic/Daliphati
c)が4.0より大きいピッチでは、発泡剤として有効
な脂肪族水素の保持量が少ないと推測され、良好なセル
構造が形成できない。
【0011】さらに、上述した特性を有するとともに、
(1)式で計算した芳香族炭素指数fa値が0.80以
上0.97以下であるピッチを使用するのがより好まし
い。 fa=1−(H/C)/x(1+(Daromatic/Daliphatic)×(εaliphatic /εaromatic)) (1) 式中、(H/C)はピッチ中の炭素に対する水素の原子
比、xは芳香族炭素以外に結合する水素の平均個数(=
2とする)、εaliphatic/εaromaticは比吸光係数
(=2とする)である。
【0012】芳香族炭素指数fa値が0.97より大き
いピッチでは、発泡剤として有効な脂肪族水素の保持量
が少ないと推測され、良好なセル構造が形成できない。
一方、芳香族炭素指数fa値が0.80より小さいピッ
チでは、やはり良好なセル構造が形成できないと同時
に、炭素化によってカーボンとしてフォーム中に残る炭
素収率が小さく、工業的に好ましくない。
【0013】上述したピッチの中でも、フローテスター
法による軟化点が180℃以上270℃以下、(Darom
atic/Daliphatic)が0.4以上2.0以下、芳香族
炭素指数fa値が0.83以上0.93以下であり、光
学的異方性含有率がほぼ100%であるメソフェーズピ
ッチを使用するのが、炭素フォームのセル構造の均一性
を得ると同時に、フォーム製造の生産性を向上させるた
めに望ましい。
【0014】このようなピッチの中でも、縮合多環式炭
化水素またはこれを含有する物質を弗化水素・三弗化硼
素の存在下で重合させて得られた合成系メソフェーズピ
ッチは、良好なセル構造を有する炭素フォームを得るた
めに必要な上述の条件をすべて満たすと同時に、高い化
学純度を示し、黒鉛化性に優れ、炭素化収量もきわめて
高く好適に使用される。
【0015】上述した特定のピッチを0.1MPa以上
の不活性ガスの加圧下に400℃以上800℃以下の温
度で熱処理することによって炭素フォームが製造され
る。上述した特定のピッチから、均一かつ連続気泡のセ
ル構造を有する炭素フォームが形成される機構は必ずし
も明らかではないが、以下のように推察される。ピッチ
は400℃以上の高温で縮合反応によって高粘度化し、
最終的には固化に至る。これに並行して発生する分解ガ
スが発泡剤として作用して、フォームが形成される。さ
らに、この反応を不活性ガスの加圧下で行うことで、一
定以上の嵩密度を有する実用的なフォームを製造するこ
とができると考えられる。
【0016】上述した特定のピッチを0.1MPa以上
の不活性ガスの加圧下に400℃以上800℃以下の温
度で熱処理する方法は特に限定されないが、本発明のメ
ソフェーズピッチを使用することで、比較的容易に均一
かつ連続気泡のセル構造を有する炭素フォームが製造で
きる。また、不活性ガスによる圧力や昇温速度だけでな
く、ピッチの選択をこれら製造条件と組み合わせること
によって、セル構造や嵩密度等のフォームの物性が制御
可能である。
【0017】例えば、本発明のメソフェーズピッチをア
ルミ製やステンレス製などの金属容器に入れて加熱炉に
仕込み、窒素気流の非酸化雰囲気において、軟化点+1
00℃の温度で10時間保持する。該メソフェーズピッ
チは、加熱により溶融し、金属容器内でほぼ気泡を含ま
ない均一な固まりとなる。次に、ピッチが入った該金属
容器を、加熱可能な圧力容器に仕込み、真空置換によっ
て内部を窒素雰囲気に変更した後、大気圧のまま3℃/
分の速度で350℃まで昇温、一時間保持する。続い
て、350℃に保ったままで窒素により6.5MPaに
加圧し、2℃/分の速度で550℃まで昇温する。その
まま1時間保持した後、ヒーターを切り、炉内で自然放
冷した後、サンプルを取り出すと、金属容器中で上述し
たような均一かつ連続気泡のセル構造を有する炭素フォ
ームが生成している。
【0018】上述した特定のピッチを0.1MPa以上
の不活性ガスの加圧下に400℃以上800℃以下の温
度で熱処理することによって、嵩密度dが0.20g/
cm 3以上0.65g/cm3以下、ヘリウムを置換媒体
として用いて測定した密度Dが1.3g/cm3以上
1.5g/cm3以下、気孔率pが50%以上90%以
下、連続気泡率が90%以上100%以下、フォームを
構成する炭素の光学組織が実質100%異方性である炭
素フォームが製造される。ここで、気孔率pは(2)式
で、連続気孔率φは(3)式で計算される。 p=(1−d/Dr)×100 (2) φ=D/Dr×100 (3) 式中、Drはフォームを150ミクロン以下に粉砕した
のちにヘリウムを置換媒体として用いて測定した密度で
ある。
【0019】用途によっては、0.1MPa以上の不活
性ガスの加圧下に400℃以上800℃以下の温度で熱
処理して得られた炭素フォームを引き続いて600℃以
上2000℃未満の温度で熱処理することもできる。こ
の時の圧力は、常圧でも加圧でもよい。
【0020】このような特定の物性値を有する炭素フォ
ームは、均一かつ連続気泡のセル構造を有しており、耐
熱性、化学安定性、電気伝導性、強度などの特性に加え
て、フォーム中への均一なガス拡散性などを備えた、こ
れまでにない新規な炭素フォームを提供できる。
【0021】さらに、該炭素フォームを2000℃以上
の温度で熱処理し、黒鉛化することによって、嵩密度が
0.3g/cm3以上1.0g/cm3以下、ヘリウムを
置換媒体として用いて測定した密度が2.0g/cm3
以上、気孔率が50%以上90%以下、連続気泡率が9
0%以上100%以下である黒鉛フォームが製造され
る。黒鉛化に際して、予め800℃以上2000℃未満
の温度で熱処理(仮焼)するとより好ましい。
【0022】このような特定の物性値を有する黒鉛フォ
ームは、本発明の炭素フォームが有する均一かつ連続気
泡のセル構造、耐熱性、化学安定性、電気伝導性、強
度、ガス拡散性などに加えて、優れた易黒鉛化性炭素由
来の黒鉛であることから高い熱伝導性を有するフォーム
となる。
【0023】
【実施例】以下、実施例ならびに比較例により、本発明
をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施
例により、なんら制限されるものではない。また、本実
施例でのピッチおよびフォームの分析方法及び分析条件
を以下に記載する。 (軟化点)軟化点の測定には、島津製作所製高架式フロ
ーテスターを用い、300ミクロン以下に粉砕された試
料2gを直径1mmのノズルを底部に有する断面積1c
2のシリンダーに充填し、9.8N/cm2(10kg
/cm2)の加重を加えながら5℃/分の速度で昇温し
た。温度上昇と共に粉体粒子が軟化して充填率が向上
し、試料粉体の体積は減少するが、ある温度以上では体
積の減少は停止する。さらに昇温を続けるとノズルより
試料が溶融して流出する。このときの試料粉体の体積減
少が停止する温度を軟化点と定義した。 (元素分析)炭素に対する水素の原子比(以下、単に
(H/C)と記す)を算出するには、炭素、窒素、水素
の同時分析を、分析装置としてパーキンエルマー(PERK
INELMER)社製2400CHN型元素分析計を使用して行った。
測定は、試料のピッチを錫製の容器に1.5±0.2mgを秤量
し、装置にセット後、975℃の温度で5分間燃焼し、He
ガスキャリヤーによりTCDで検出し測定した。なお、
試料の測定にあたって、予め、標準物質のアセトアニリ
ド(2.0±0.1mg)により補正した。(FT−IR)KB
r粉末100部に対して、改質ピッチ粉末1部を加え
て、めのう乳鉢上で混合し、ついで、これを日本分光
(株)製FT/IR−410、拡散反射法測定装置DR
−81にセットし測定を行った。得られた拡散反射スペ
クトルを、Kubelka−Munk変換して得られた
スペクトル上の、3050cm-1付近のピーク強度(芳
香族C−H伸縮振動の吸収強度=Daromatic)の、29
30cm -1付近のピーク強度(脂肪族C−H伸縮振動の
吸収強度=Daliphatic)に対する比(Daromatic/Da
liphatic)を求めた。 (密度測定)ヘリウムを置換媒体として用いた密度の測
定は、マイクロピクノメーター(Quantachro
me社製)を用いた。サンプルは120℃で2時間乾燥
した。
【0024】実施例1 超強酸触媒HF−BF3存在下、ナフタレンを重合させ
て原料ピッチ(触媒モル比:ナフタレン/HF/BF3
=1/0.35/0.15、反応温度265℃)を得
た。該ピッチのフローテスターによる軟化点は227
℃、(H/C)は0.606、(Daromatic/Dalipha
tic)は0.507、芳香族炭素指数fa値は0.85
であって、偏光顕微鏡観察に基づく光学的異方性含有率
が100%であるメソフェーズピッチであった。該メソ
フェーズピッチ2gを、内径13mm、深さ29.15
mmである円柱状の重量既知のアルミ製容器(内容積
4.17cm3)に入れて加熱炉に仕込み、窒素気流の
非酸化雰囲気において、軟化点+100℃(本実施例で
は327℃)の温度で10時間保持した。該メソフェー
ズピッチは、加熱により溶融し、アルミ容器内でほぼ気
泡を含まない均一な固まりとなっていた。次に、ピッチ
が入ったアルミ製容器を、外径25mm、内径20m
m、長さ160mmのSUS製密閉容器の中に仕込ん
だ。このSUS製密閉容器を内径105mmの温度調節
器付きルツボ炉の中央に設置し、真空置換によって内部
を窒素雰囲気に変更した後、大気圧のまま3℃/分の速
度で350℃まで昇温し、一時間保持した。続いて、3
50℃に保ったままで窒素により6.5MPaに加圧
し、2℃/分の速度で550℃まで昇温した。550℃
での圧力は8.6MPaであった。そのまま1時間保持
した後、ヒーターを切り、SUS製密閉容器を炉内で自
然放冷した後、サンプルを取り出したところ、アルミ容
器中でピッチが発泡、炭化して炭素フォームが生成して
いた。アルミ容器中の炭素フォームの嵩密度を評価した
後、ダイヤモンドカッターを用いてサンプルを切り出し
て、ヘリウムを用いた密度測定を行った。その結果、嵩
密度が0.43g/cm3、ヘリウムを置換媒体として
用いて測定した密度は1.40g/cm3であった。ま
た、同条件で別途調製したフォームを150ミクロン以
下に粉砕したのちにヘリウムを置換媒体として用いて測
定した密度Dr=1.44であったので、気孔率が70
%、連続気泡率が97%と計算された。また、定法によ
り炭素フォームを偏光顕微鏡で観察したところ、フォー
ムを構成する炭素の光学組織は100%異方性であっ
た。さらに、フォームの断面をSEMで観察したとこ
ろ、図1に示したように非常に均一なセルを有する良好
な炭素フォームであった。該炭素フォームを窒素雰囲気
下10℃/時で昇温し、1000℃に到達後2時間保持
して仮焼を行った。引き続き、アルゴン雰囲気下500
℃/時で昇温し、2800℃で1時間黒鉛化処理を行
い、黒鉛フォームを調製した。該黒鉛フォームの嵩密度
は0.55g/cm3、ヘリウムを置換媒体として用い
て測定した密度は2.185g/cm3であった。ま
た、同条件で別途調製したフォームを150ミクロン以
下に粉砕したのちにヘリウムを置換媒体として用いて測
定した密度Dr=2.230g/cm3であったので、
気孔率が75%、連続気泡率が98%と計算された。X
線回折法(学振法)によって該黒鉛粉末の結晶構造を解
析した結果、(002)面の結晶子の面間隔d002は
0.3359nm、結晶子の大きさLcは、120nm
であり、高い黒鉛化度を有していた。結果を表1に示
す。
【0025】実施例2 実施例1で使用した物と同じ原料ピッチを用い、350
℃に保ったままで窒素により3.5MPaに加圧し、2
℃/分の速度で550℃まで昇温した以外は、実施例1
と同様とした。結果を表1および図2に示す。
【0026】実施例3 原料ピッチの合成を、合成温度245℃、触媒比:ナフ
タレン/HF/BF3=1/0.32/0.074の条
件で行った以外は、実施例1と同様とした。結果を表1
に示す。
【0027】実施例4 原料ピッチの合成を、合成温度245℃、触媒比:ナフ
タレン/HF/BF3=1/0.32/0.074の条
件で行った以外は、実施例2と同様とした。結果を表1
に示す。
【0028】実施例5 原料ピッチの合成を、合成温度285℃、触媒比:ナフ
タレン/HF/BF3=1/0.70/0.20の条件
で行った以外は、実施例1と同様とした。結果を表1に
示す。
【0029】
【表1】
【0030】実施例6 原料ピッチの合成を、原料が混合メチルナフタレン、合
成温度253℃、触媒比:ナフタレン/HF/BF3
1/0.45/0.15の条件で行った以外は、実施例
1と同様とした。結果を表2に示す。
【0031】実施例7 実施例1で合成したピッチ10gを100ccビーカー
に入れ、非酸化性雰囲気に保ったマッフル炉中に、25
0℃/時の昇温速度で425℃まで昇温した後、一時間
保持した。100℃以下に冷却した後取り出したところ、
収率は95.5%であった。得られたピッチを原料として、
実施例1と同様のフォーム製造を行った。結果を表2に
示す。
【0032】実施例8 原料ピッチを表2に記載した物性を有する石油系メソフ
ェーズピッチに変えた以外は、実施例1と同様とした。
結果を表2に示す。
【0033】実施例9 原料ピッチを表2に記載した物性を有する石炭系メソフ
ェーズピッチ1に変えた以外は、実施例2と同様とし
た。結果を表2に示す。
【0034】実施例10 原料ピッチを表2に記載した物性を有する石炭系メソフ
ェーズピッチ2に変えた以外は、実施例2と同様とし
た。結果を表2に示す。
【表2】
【0035】比較例1 原料ピッチ(コールタール系メソフェーズピッチ)のフ
ローテスターによる軟化点は176℃、(H/C)は
0.424、(Daromatic/Daliphatic)は5.8
0、芳香族炭素指数fa値は0.983であって、偏光
顕微鏡観察に基づく光学的異方性含有率は80%であっ
た。該メソフェーズピッチを原料として、実施例1と同
様に炭素フォームを製造したところ、嵩密度は0.50
g/cm3、ヘリウムを置換媒体として用いて測定した
密度は1.32g/cm3であった。また、同条件で別
途調製したフォームを150ミクロン以下に粉砕したの
ちにヘリウムを置換媒体として用いて測定した密度Dr
=1.48であったので、気孔率は66%であったが、
連続気泡率が89%と低かった。また、定法により炭素
フォームを偏光顕微鏡で観察したところフォームを構成
する炭素の光学組織は100%異方性であったが、フォ
ームの断面をSEMで観察したところ、図3に示したよ
うに不均一なセルを有していた。結果を表3に示す。
【0036】比較例2 超強酸触媒HF−BF3存在下、ナフタレンを重合させ
て原料ピッチ(触媒モル比:ナフタレン/HF/BF3
=1/0.70/0.20、反応温度120℃)を得
た。該ピッチのフローテスターによる軟化点は93℃、
(H/C)は0.75、(Daromatic/Daliphatic)
は0.256、芳香族炭素指数fa値は0.752であ
って、偏光顕微鏡観察に基づく光学的異方性含有率は0
%である等方性ピッチであった。該ピッチを原料とし
て、実施例1と同様に炭素フォームを製造したところ、
嵩密度は0.48g/cm3、ヘリウムを置換媒体とし
て用いて測定した密度は1.33g/cm3であった。
また、同条件で別途調製したフォームを150ミクロン
以下に粉砕したのちにヘリウムを置換媒体として用いて
測定した密度Dr=1.43であったので、気孔率は6
6%、連続気泡率が93%であった。また、定法により
炭素フォームを偏光顕微鏡で観察したところフォームを
構成する炭素の光学組織は100%異方性であったが、
フォームの断面をSEMで観察したところ、図4に示し
たように不均一なセルを有していた。結果を表3に示
す。
【0037】比較例3 原料ピッチを表3に記載した物性を有する石油系ピッチ
に変えた以外は、実施例1と同様とした。結果を表3に
示す。
【0038】比較例4 原料ピッチを表3に記載した物性を有するコールタール
ピッチに変えた以外は、実施例1と同様とした。結果を
表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明に基づい
た原料ピッチを使用することによって、均一かつ連続気
泡のセル構造を有する炭素フォームが工業的に安定して
製造できる。さらに、該炭素フォームを2000℃以上
で黒鉛化することで、均一かつ連続気泡のセル構造を有
すると同時に高い黒鉛化度を持った黒鉛フォームが工業
的に安定して製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1の炭素フォーム断面をSEMで
撮影した写真である。
【図2】図2は実施例2の炭素フォーム断面をSEMで
撮影した写真である。
【図3】図3は比較例1の炭素フォーム断面をSEMで
撮影した写真である。
【図4】図4は比較例2の炭素フォーム断面をSEMで
撮影した写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 越川 健 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4G032 AA04 AA09 BA05 GA12 4G046 CA07 CB01 CB05 CB10 CC02 CC03 EA02 EB02 EC01 EC05 4H058 DA02 DA03 DA17 DA39 DA49 EA03 EA12 EA16 EA45 EA46 FA06 FA12 FA13 FA26 FA27 FA40 GA02 GA06 GA08 GA40

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高架式フローテスターで測定した軟化点が
    300℃以下、FT−IRで測定した芳香族C−H伸縮
    振動の吸収強度(Daromatic)と脂肪族C−H伸縮振動
    の吸収強度(Daliphatic)の比(Daromatic/Daliph
    atic)が4.0以下であり、光学的異方性含有率が80
    %以上のピッチを熱処理して得られる炭素フォーム。
  2. 【請求項2】ピッチが、(1)式で示される芳香族炭素
    指数fa値が0.80以上0.97以下のものである請
    求項1に記載の炭素フォーム。 fa=1−(H/C)/x(1+(Daromatic/Daliphatic)×(εaliphatic /εaromatic)) (1) 式中、(H/C)はピッチ中の炭素に対する水素の原子
    比、xは芳香族炭素以外に結合する水素の平均個数(=
    2とする)、εaliphatic/εaromaticは比吸光係数
    (=2とする)である。
  3. 【請求項3】ピッチが、縮合多環式炭化水素またはこれ
    を含有する物質を弗化水素・三弗化硼素の存在下で重合
    させて得られたものである請求項1または2に記載の炭
    素フォーム。
  4. 【請求項4】ピッチを0.1MPa以上の不活性ガスの
    加圧下に400℃以上800℃以下の温度で熱処理して
    得たものである請求項1〜3のいずれかに記載の炭素フ
    ォーム。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の炭素フォームを更に60
    0℃以上2000℃未満の温度で熱処理して得られる炭
    素フォーム。
  6. 【請求項6】嵩密度dが0.20g/cm3以上0.6
    5g/cm3以下であり、ヘリウムを置換媒体として用
    いて測定した密度Dが1.3g/cm3以上1.5g/
    cm3以下である請求項1〜5のいずれかに記載の炭素
    フォーム。
  7. 【請求項7】(2)式で示される気孔率pが50%以上
    90%以下であり、(3)式で示される連続気泡率φが
    90%以上100%以下である請求項1〜6のいずれか
    に記載の炭素フォーム。 p=(1−d/Dr)×100 (2) φ=D/Dr×100 (3) 式中、Drはフォームを150ミクロン以下に粉砕した
    のちにヘリウムを置換媒体として用いて測定した密度で
    ある。
  8. 【請求項8】フォームを構成する炭素の光学組織が実質
    100%異方性である請求項1〜7のいずれかに記載の
    炭素フォーム。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の炭素フォ
    ームを2000℃以上の温度で熱処理して得られる黒鉛
    フォーム。
  10. 【請求項10】嵩密度が0.3g/cm3以上1.0g
    /cm3以下、ヘリウムを置換媒体として用いて測定し
    た密度が2.0g/cm3以上である請求項9記載の黒
    鉛フォーム。
  11. 【請求項11】気孔率が50%以上90%以下、連続気
    泡率が90%以上100%以下である請求項9または1
    0記載の黒鉛フォーム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003206119A (ja) * 2002-01-07 2003-07-22 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 炭素フォームおよび黒鉛フォームおよびその製造法
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