図1は、本発明の一実施形態に係る画像送信システム1の概要を示す図である。画像送信システム1は、画像形成装置10(画像送信装置の一例)と画像形成装置20とを有する。画像形成装置10および画像形成装置20は、複写機、プリンタ、スキャナ、およびファクシミリなどとして機能する装置である。画像形成装置10および画像形成装置20は、電話回線等の外部通信回線30を介して接続されている。画像送信システム1において、画像形成装置10はファクシミリの送信側の装置であり、画像形成装置20はファクシミリの受信側の装置である。画像形成装置10は、自らのスキャナで読み込まれた画像データを画像形成装置20にファクシミリ送信する(図1(a))。画像形成装置10は、また、ファクシミリ送信した画像データを識別する識別子の一覧を示すデータ(以下、「一覧データ」という)を、予め決められたタイミングで、画像形成装置20にファクシミリ送信する(図1(b))。一覧データは、送信側の装置によるファクシミリ送信の履歴を、受信側の装置のユーザに通知するために送信される。画像形成装置20のユーザは、一覧データが示す一覧を見ることにより、再度のファクシミリ送信(以下、「再送信」という)を希望する画像データがあるか否かを確認する。再送信を希望する画像データがある場合、ユーザは、画像形成装置10に再送信をさせるための要求(以下、「再送要求」という)を、画像形成装置20に入力する。画像形成装置20は、ユーザにより再送要求が入力されると、これを画像形成装置10に送信する(図1(c))。画像形成装置10は、再送要求を取得すると、再送要求により指定された画像データを、画像形成装置20に再送信する(図1(d))。これにより画像形成装置20は、再送信された画像データをポーリング受信(送信要求)する。
図2は、画像送信システム1の機能的構成を示すブロック図である。画像形成装置10は、画像データ取得部11と、画像データ送信部12と、画像データ記憶部13と、一覧生成部14と、一覧送信部15と、要求取得部16と、画像データ再送信部17とを有する。画像データ取得部11(取得手段の一例)は、画像データを取得する。画像データ送信部12(第1送信手段の一例)は、画像データ取得部11が取得した画像データを、指定された送信先(この例では、画像形成装置20)にファクシミリ送信する。画像データ記憶部13(記憶手段の一例)は、画像データ送信部12によりファクシミリ送信された画像データと送信先とを、当該画像データを識別する識別子と対応付けて記憶する。一覧生成部14(生成手段の一例)は、送信先の各々について、決められたタイミングで一覧データを生成する。一覧送信部15(第2送信手段の一例)は、一覧生成部14により生成された一覧データを、当該一覧の各々について決められた送信先に送信する。要求取得部16は、外部装置(この例では、画像形成装置20)から、再送要求を取得する。再送要求には、一覧データに含まれた識別子のうち、画像形成装置20のユーザによって指定された識別子が含まれる。画像データ再送信部17(第3送信手段の一例)は、要求取得部16が再送要求を取得した場合に、再送要求に含まれた識別子により識別される画像データを外部装置に再送信する。
画像形成装置20は、画像データ受信部21と、一覧受信部22と、要求受付部23と、要求送信部24とを有する。画像データ受信部21は、画像形成装置10によりファクシミリ送信された画像データを受信する。一覧受信部22は、画像形成装置10により送信された一覧データを受信する。要求受付部23は、ユーザによる再送要求の入力を受け付ける。要求送信部24は、要求受付部23により受け付けられた再送要求を画像形成装置10に対して送信する。
図3は、画像形成装置10(および画像形成装置20)のハードウェア構成を示すブロック図である。画像形成装置10は、制御部101と、通信部102と、記憶部103と、表示部104と、入力部105と、読み取り部106と、画像形成部107とを有する。制御部101は、プログラムを実行することにより画像形成装置10の各部の動作を制御する。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を有する。通信部102は、画像形成装置20などの外部装置と通信を行なう。通信部102は、外部装置と接続するための各種端子(例えば、電話回線(LINE)端子、USB端子、有線または無線LANインタフェースなど)を備える。記憶部103は、データおよびプログラムを記憶する記憶装置、例えばHDD(Hard Disk Drive)である。記憶部103は、制御部101により用いられるデータおよびプログラムを記憶する。表示部104は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどの表示装置を有し、画像形成装置10を操作するためのメニュー画面または各種メッセージを表示する。入力部105は、画像形成装置10にデータまたは指示を入力するための各種キーを備える。入力部105は、また、表示部104のディスプレイに重ねて設けられたタッチスクリーン(タッチパネル)を備える。読み取り部106は、原稿を光学的に読み取り、読み取った原稿を画像データとして出力するイメージスキャナである。画像形成部107は、例えば電子写真方式またはインクジェット方式により用紙に画像を形成する。なお、画像形成装置20は、画像形成装置10と同様のハードウェア構成を有する。
画像形成装置10において、プログラムを実行している制御部101は、一覧生成部14の一例である。プログラムを実行している制御部101により制御されている読み取り部106は、画像データ取得部11の一例である。プログラムを実行している制御部101により制御されている通信部102は、画像データ送信部12、一覧送信部15、要求取得部16、および画像データ再送信部17の一例である。プログラムを実行している制御部101により制御されている記憶部103は、画像データ記憶部13の一例である。画像形成装置20において、プログラムを実行している制御部201により制御されている通信部202は、画像データ受信部21、一覧受信部22、および要求送信部24の一例である。プログラムを実行している制御部201により制御されている入力部205は、要求受付部23の一例である。
図4は、画像形成装置10が画像データをファクシミリ送信する処理を示すフローチャートである。以下の処理は、例えば、画像形成装置10のユーザが入力部105を操作して、画像形成装置10にファクシミリ送信の指示を入力したことを契機として開始される。ステップSA1において、制御部101は、入力部105からファクシミリ送信の要求を取得する。ファクシミリ送信の要求には、ファクシミリ送信の指示であることを示す情報および送信先番号が含まれている。画像形成装置10は、送信先の記憶領域のうち、ユーザの各々に対応付けられた記憶領域(以下、「親展ボックス」という)を指定してファクシミリ送信する機能(いわゆる親展送信の機能)を備えている。親展送信がされる場合のファクシミリ送信の要求には、上述の要素に加えて、ユーザにより指定された、親展ボックスを識別するための番号(以下、「ボックス番号」という)が含まれる。
ステップSA2において、制御部101は、読み取り部106から画像データの取得を開始する。ステップSA3において、制御部101は、取得したファクシミリ送信の要求に含まれる送信先番号に対して発呼を行い、画像形成装置20と接続する。画像形成装置20との接続が確立されると、制御部101は、取得した画像データのファクシミリ送信を開始する。親展送信がされる場合には、制御部101は、ボックス番号により識別される親展ボックスに宛ててファクシミリ送信する。なお、ステップSA3における発呼は、画像データの取得が開始される前に行われてもよい。
図5は、ファクシミリ通信における処理を示すシーケンスチャートである。画像形成装置10および画像形成装置20は、画像データの通信が開始される前に互いの装置の機能を示す情報を伝え合い、画像データが送信される際の通信速度、出力される用紙のサイズ、または画像データの圧縮方法などの各種要素を決定する。画像形成装置10が画像形成装置20に対して発呼を行い2つの画像形成装置の通信が開始されると、画像形成装置20は、ファクシミリの受信能力(出力される用紙の最大サイズおよび最大通信速度)を示すDIS信号(ディジタル識別信号)を画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10は、DIS信号を受信すると、送信条件(実際に出力される用紙のサイズ、実際の通信速度、および画像データの圧縮方式)を示すDCS信号(ディジタル命令信号)を画像形成装置20に対して送信する。画像形成装置10は、DCS信号を送信すると、TCF信号(トレーニングチェック信号)をDCS信号により示された送信条件で画像形成装置20に対して送信し、画像形成装置20からこれに対する応答を示す信号(FTT信号(トレーニング失敗信号)またはCFR信号(受信準備確認信号))を受信する。FTT信号を受信すると、画像形成装置10は、先のTCF信号を送信したときに比べて通信速度を低下させて、再びTCF信号を送信する。CFR信号を受信すると、画像形成装置10は、画像データを符号化し、符号化された画像データをページ単位のデータ信号として画像形成装置20に伝送する。複数ページの画像データがファクシミリ送信される場合には、画像形成装置10は、次のページがあることを示すMPS信号(マルチページ信号)を画像形成装置20に対して送信する。画像形成装置20は、データ信号を受信すると、正常に画像データを取得したことを示すMCF信号(メッセージ確認信号)を画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10と画像形成装置20は、画像データのすべてのページがファクシミリ送信されるまで、データ信号、MPS信号、およびMCF信号の送受信を繰り返す。
再び図4を参照する。ステップSA4において、制御部101は、送信先番号が示す送信先(親展送信がされる場合にはボックス番号により識別される親展ボックス)に関して、一覧データを送信する設定がされているか否かを判断する。記憶部103には、送信先および親展ボックスの各々について、一覧データの送信に関する属性を示す設定データが予め記憶されている。制御部101は、この設定データに基づいて、一覧データを送信する設定がされているか否かを判断する。一覧データを送信する設定がされていると判断された場合(ステップSA4:YES)、制御部101は、処理をステップSA5に移行する。一覧データを送信する設定がされていないと判断された場合(ステップSA4:NO)、制御部101は、処理をステップSA6に移行する。
図6は、設定データの一例を示す図である。設定データは、「登録番号」、「送信先番号」、「ボックス番号」、「宛先名」、「一覧送信設定」、「送信頻度」、「送信時刻」、「送信方法」、および「送信先番号/送信先アドレス」の要素を含む。「登録番号」は、送信先および親展ボックスの各々を識別するための番号である。「宛先名」は、送信先番号およびボックス番号により特定される宛先の名称を示す。「一覧送信設定」は、一覧データを送信する設定の有無を示す。「送信頻度」は、一覧データが送信される頻度を示す。「送信時刻」は、一覧データが送信される時刻を示す。「送信方法」は、一覧データが送信されるときの方法を示す。「送信方法」としては、ファクシミリまたは電子メールのいずれかの方法が設定される。「送信先番号/送信先アドレス」は、一覧データが送信される送信先の送信先番号またはメールアドレスを示す。一覧データが送信される送信先は、画像データがファクシミリ送信される送信先と必ずしも同じでなくてもよい。「送信方法」が「ファクシミリ」である場合、「送信先番号/送信先アドレス」には送信先番号が登録され、一覧データは当該送信先番号が示す画像形成装置にファクシミリ送信される。「送信方法」が「電子メール」である場合、「送信先番号/送信先アドレス」にはメールアドレスが登録され、一覧データは、当該送信先アドレスが示すパーソナルコンピュータなどの情報処理装置に送信される。なお、「送信頻度」、「送信時刻」、「送信方法」、および「送信先番号/送信先アドレス」は、「一覧送信設定」が「有り」の場合に登録される。また、画像データの親展送信がされる場合には、「送信方法」には「ファクシミリ」が登録され、「送信先番号/送信先アドレス」には当該親展送信の送信先番号およびボックス番号が登録される。「送信先番号/送信先アドレス」における括弧内の数字は、ボックス番号を示す。
図6では、例えば、登録番号が「1」の「株式会社A経理部」については、一覧送信設定が「有り」に設定されており、毎日7時にファクシミリによる方法で、送信先番号が「XX-0000-XXXX」の送信先に一覧データが送信される。別の例で、登録番号が「2」の「株式会社A経理部佐藤健太」については、親展送信の設定がされており、送信先番号が「XX-0000-XXXX」の送信先のボックス番号「10」により識別される親展ボックスに宛てて画像データの親展送信がされる。また、「株式会社A経理部佐藤健太」については、一覧送信設定が「有り」に設定されており、隔日12時にファクシミリによる方法で、上記親展ボックスに宛てて一覧データの親展送信がされる。別の例で、登録番号が「3」の「B株式会社総務部」については、一覧送信設定が「有り」に設定されており、毎週金曜日の17時に電子メールによる方法で、送信先アドレスが「b_soumu@xxx.com」の送信先に一覧データが送信される。別の例で、登録番号が「5」の「C工務店」については、一覧送信設定が「無し」に設定されている。
再び図4を参照する。ステップSA5において、制御部101は、ファクシミリ送信している画像データを識別する識別子を生成する。この例で、制御部101は、識別子としてFコードを生成する。Fコードは、数字、スペース、アスタリスク(*)、およびシャープ(♯)を含む20桁以下の記号である。制御部101は、記憶部103に記憶されたプログラムが示すアルゴリズムに従って、Fコードを生成する。制御部101は、生成されたFコードを、送信先番号(親展送信がされる場合には送信先番号およびボックス番号)と対応付けて記憶部103に記憶する。
ステップSA6において、制御部101は、取得した画像データを記憶部103に記憶する。具体的には、制御部101は、取得した画像データを、Fコードと対応付けて記憶部103に記憶する。ステップSA7において、制御部101は、ファクシミリ送信を続行する。ステップSA8において、制御部101は、画像データの取得が終了したか否かを判断する。画像データの取得が終了した場合(ステップSA8:YES)、制御部101は、処理をステップSA10に移行する。画像データの取得が終了していない場合(ステップSA8:NO)、制御部101は、処理をステップSA9に移行し、画像データの取得とファクシミリ送信とを継続する。ステップSA10において、制御部101は、記憶部103に記憶された履歴データを更新する。履歴データは、画像データのファクシミリ送信の履歴を示すデータである。
図7は、履歴データの一例を示す図である。履歴データは、「受付番号」、「送信先番号」、「ボックス番号」、「宛先名」、「送信時刻」、「総ページ数」、「送信ページ数」、および「Fコード」の要素を含む。履歴データの各列は、1回分のファクシミリ送信の履歴を示す。「受付番号」は、ファクシミリ送信の各回を識別するための番号である。「送信時刻」は、画像データのファクシミリ送信が開始された時刻を示す。「総ページ数」は、読み取り部106から取得された画像データのページ数を示す。「送信ページ数」は、送信先からCFR信号を受信してから最後のMCF信号(メッセージ確認信号)を受信するまでに、制御部101によりファクシミリ送信された画像データのページ数を示す。ここで、画像データのファクシミリ送信は、送信側若しくは受信側の装置の状態、または通信回線の状態などによって、エラー終了する場合がある。例えば、モデムの不調、通信回線の配線の不具合、またはノイズなどによって、ファクシミリ送信がエラー終了する場合がある。この場合、「総ページ数」と「送信ページ数」とは同じページ数にならない。「Fコード」は、画像データの各々について生成されたFコードを示す。図7では、制御部101が、4桁のFコードを生成した場合の例を示している。
図7では、例えば、受付番号が「1」のファクシミリ送信は、「株式会社A経理部」宛てに「〇月1日7時30分」に送信されており、送信された画像データを識別するFコードは「1234」である。受付番号が「1」のファクシミリ送信は、総ページ数と送信ページ数とが共に「5」ページであり、エラー終了することなくファクシミリ送信が行われている。別の例で、受付番号が「3」のファクシミリ送信は、「株式会社A経理部」宛てに「〇月1日10時23分」に送信されており、送信された画像データを識別するFコードは「3456」である。受付番号が「3」のファクシミリ送信は、総ページ数が「7」ページであるのに対して送信ページ数が「4」ページであり、ファクシミリ送信がエラー終了している。同様に、受付番号が「6」のファクシミリ送信は、総ページ数が「1」ページであるのに対して送信ページ数が「0」ページであり、ファクシミリ送信がエラー終了している。別の例で、受付番号が「7」のファクシミリ送信は、「C工務店」宛てに「〇月1日21時30分」に送信されている。「C工務店」は、上述の設定データにおいて、一覧送信設定が「無し」に設定されているため、送信された画像データを識別するFコードは生成されていない。
図8は、画像形成装置10が一覧データをファクシミリ送信する処理を示すフローチャートである。ステップSB1において、制御部101は、登録番号により識別される送信先および親展ボックスの各々について、一覧データを送信するタイミングになったか否かを判断する。具体的には、制御部101は、設定データに含まれた「送信頻度」および「一覧送信時刻」に基づいて、一覧データを送信するタイミングになった送信先または親展ボックスがあるか否かを判断する。一覧データを送信するタイミングになったと判断された場合(ステップSB1:YES)、制御部101は、処理をステップSB2に移行する。一覧データを送信するタイミングになっていないと判断された場合(ステップSB1:NO)、制御部101は、送信先または親展ボックスのいずれかが一覧データを送信するタイミングになるまで処理を待機する。
ステップSB2において、制御部101は、一覧データを送信するタイミングになった送信先または親展ボックスについて、一覧データを生成する。具体的には、制御部101は、記憶部103に記憶された履歴データに基づいて一覧データを生成し、生成した一覧データを記憶部103に記憶する。ある送信先が一覧データを送信するタイミングになると、制御部101は、当該送信先について、親展送信された画像データを識別するFコードを含まない一覧データを生成する。ある親展ボックスが一覧データを送信するタイミングになると、制御部101は、当該親展ボックスに親展送信された画像データを識別するFコードの一覧データを生成する。このように、ある送信先について、親展送信された画像データを識別するFコードの一覧データと、親展送信によらずに送信された画像データ(以下「非親展送信された画像データ」という)を識別するFコードの一覧データとは別個に生成される。
図9は、一覧データの一例を示す図である。一覧データは、「受付番号」、「送信時刻」、「総ページ数」、「送信ページ数」、および「Fコード」の要素を含む。一覧データにおける各要素は、履歴データにおける各要素に対応する。図9(a)は、設定データにおいて登録番号が「1」の「株式会社A経理部」について生成された一覧データを示している。図9(b)は、設定データにおいて登録番号が「2」の「株式会社A経理部佐藤健太」について生成された一覧データを示している。図9では、「株式会社A経理部」について、非親展送信された画像データを識別するFコードの一覧データと、「佐藤健太」宛に親展送信された画像データを識別するFコードの一覧データとは別個に生成されている。一覧データには、例えば、前回の一覧データが送信された時刻以降にファクシミリ送信された画像データを識別する識別子が含まれる。前回の一覧データが送信された時刻は、設定データの「送信頻度」および「送信時刻」に応じて算出される。
再び図8を参照する。ステップSB3において、制御部101は、一覧データに付与するパスワードを生成する。具体的には、制御部101は、記憶部103に記憶されたプログラムが示すアルゴリズムに従ってパスワードを生成する。制御部101は、生成されたパスワードを、記憶部103に記憶された一覧データに付与する。ステップSB4において、制御部101は、一覧データの送信方法を判断する。具体的には、制御部101は、設定データに含まれた「送信方法」に基づいて、一覧データの送信方法がファクシミリおよび電子メールのいずれの方法であるかを判断する。一覧データの送信方法がファクシミリである場合、制御部101は、処理をステップSB5に移行する。一覧データの送信方法が電子メールである場合、制御部101は、処理をステップSB8に移行する。なお、図1に示した例では、画像形成装置20に対する一覧データの送信方法はファクシミリであり、処理はステップSB5に移行される。
ステップSB5において、制御部101は、一覧データが送信される送信先の送信先番号を取得する。具体的には、制御部101は、設定データに含まれた「送信先番号/送信先アドレス」に基づいて、送信先番号を取得する。ステップSB6において、制御部101は、ステップSB5で取得した送信先番号に対して発呼を行い、画像形成装置20と接続する。ステップSB7において、制御部101は、記憶部103から一覧データを読み出して、画像形成装置20にファクシミリ送信する。一覧データの親展送信がされる場合には、制御部101は、ボックス番号により識別される親展ボックスに宛ててファクシミリ送信する。画像形成装置20は、一覧データを受信すると、一覧が印刷された用紙を出力する。一覧データの親展送信がされた場合には、一覧データは親展ボックスに記憶される。親展ボックスに記憶された一覧データが示す一覧は、当該親展ボックスのユーザが印刷のための指示を入力することにより出力される。
ステップSB8において、制御部101は、一覧データが送信される送信先の送信先アドレスを取得する。具体的には、制御部101は、設定データに含まれた「送信先番号/送信先アドレス」に基づいて、送信先アドレスを取得する。ステップSB9において、制御部101は、取得した送信先アドレスが示す情報処理装置に対して、一覧データを電子メールにより送信する。情報処理装置は、一覧データを受信すると、一覧を表示部に表示する。
以上の処理により、ファクシミリ送信された画像データを識別する識別子の一覧が受信側の画像形成装置または指定された情報処理装置から出力される。したがって、ファクシミリ送信がエラー終了した場合であっても、その事実がユーザに知覚される。
図10は、画像形成装置20により出力される一覧を例示する図である。図10(a)は、「株式会社A経理部」宛の一覧を示しており、図10(b)は、「株式会社A経理部佐藤健太」宛の一覧を示している。出力される一覧には、パスワードと、一覧の送信元(ここでは画像形成装置10)の番号(以下、「送信元番号」という)とが含まれる。図10では、9桁のパスワード(図10(a)においては「123456789」、図10(b)においては「987654321」)が一覧に付与されている。図10では、また、送信元番号「0123−45−6789」が一覧に含まれている。図10に示す一覧には、ファクシミリ送信の履歴の通知であることを示すメッセージが含まれている。図10の一覧に記された「No.」は、一覧データの「受付番号」を示す。一覧に記された「時刻」および「再送用Fコード」は、一覧データの「送信時刻」および「Fコード」を示す。一覧に記された「ページ数」は、一覧データの「総ページ数」および「送信ページ数」(「送信ページ数/総ページ数」)を示す。画像形成装置20のユーザは、一覧に記された「ページ数」を見ることにより、エラー終了されたファクシミリ送信が有るかどうかを確認する。図10(a)の例では、ユーザは、ページ数「4/7」と「0/1」とを見て、エラー終了されたファクシミリ送信が有ることを確認する。図10(b)の例では、ユーザである佐藤健太は、エラー送信されたファクシミリ送信が無いことを確認する。なお、一覧データが情報処理装置により出力される場合には、図10と同様の画面が情報処理装置の表示部に表示される。
図11は、再送要求の入力例を示す図である。一覧を確認したユーザは、再送信を希望する画像データがある場合には、再送要求を画像形成装置20に入力する。図11において、画像形成装置20の表示部204には、再送要求の入力を受け付けるための画面が表示されている。ユーザは、この画面を見ながら入力部205を操作して、送信元番号と、再送信を希望する画像データに付与されたFコードと、一覧に付与されたパスワードとを入力する。図11の例では、ユーザは、エラー終了されたNo.3のファクシミリ送信について再送要求を入力している。再送要求の入力は、例えば、ユーザが送信元番号とFコードとパスワードとを入力した後にスタートボタンを押すことにより受け付けられる。なお、再送要求の入力は、ファクシミリ送信がエラー終了していない画像データについて行われてもよい。再送要求の入力が受け付けられると、画像形成装置20は入力された送信元番号に対して発呼を行い、画像形成装置10と接続する。画像形成装置10との接続が確立されると、制御部201は、再送要求をファクシミリ送信する。再送要求には、Fコードとパスワードとが含まれる。
図12は、画像形成装置10が画像データを再送信する処理を示すフローチャートである。以下の処理は、画像形成装置20が画像形成装置10に対して発呼したことを契機として開始される。ステップSC1において、制御部101は、画像形成装置20から再送要求を取得する。ステップSC2において、制御部101は、再送要求に含まれたパスワードと、一覧データに付与されたパスワードとが対応するか否かを判断する。具体的には、制御部101は記憶部103に記憶された一覧データの中から、再送要求に含まれたFコードを含む一覧データを特定する。制御部101は、再送要求に含まれたパスワードと、特定された一覧データに付与されたパスワードとが対応するか否かを判断する。2つのパスワードが対応すると判断された場合(ステップSC2:YES)、制御部101は、処理をステップSC3に移行する。2つのパスワードが対応しないと判断された場合(ステップSC2:NO)、制御部101は、処理をステップSC1に移行する。なお、この場合、制御部101は、2つのパスワードが対応しないことを示すエラーメッセージを画像形成装置20にファクシミリ送信してもよい。
ステップSC3において、制御部101は、再送要求に含まれたFコードに対応する画像データを、記憶部103から読み出す。ステップSC4において、制御部101は、読み出した画像データを画像形成装置20にファクシミリ送信する。
図13は、再送信における処理を示すシーケンスチャートである。画像形成装置20が画像形成装置10に対して発呼を行い2つの画像形成装置の通信が開始されると、画像形成装置10は、ファクシミリの受信能力を示すDIS信号を画像形成装置20に対して送信する。画像形成装置20は、DIS信号を受信すると、ファクシミリの受信能力を示すDTC信号(ディジタル送信命令信号)と再送要求を示すSEP信号(選択ポーリング信号)とを画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10は、DTC信号およびSEP信号を受信すると、送信条件を示すDCS信号を画像形成装置20に対して送信する。DCS信号が送信された後の処理については、図5に示した処理と同様であるため図示を省略する。画像形成装置10は、DCS信号を送信した後に、画像データを符号化し、符号化された画像データをデータ信号として画像形成装置20に伝送する。
以上の処理により、再送要求により指定された画像データが受信側の装置に対して再送信される。また、上述の通り、ある親展ボックスに宛てて親展送信された画像データを識別するFコードの一覧データは、当該親展ボックスに宛ててファクシミリ送信(親展送信)される。したがって、ある親展ボックスに宛てて親展送信された画像データを識別するFコードが当該親展ボックスのユーザとは異なる他のユーザにより知覚され、画像データが再送要求により不正に取得されることが防止される。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する変形例のうち、2つ以上のものが組み合わされて用いられてもよい。
画像形成装置10によりファクシミリ送信される画像データは、読み取り部106から取得された画像データに限らない。画像形成装置10は、パーソナルコンピュータまたは他の画像形成装置から取得した画像データを画像形成装置20にファクシミリ送信してもよい。
画像データを識別する識別子は、Fコードに限らない。また、ステップSA5において、画像データを識別する識別子は、送信側の装置(画像形成装置10)のユーザにより入力されてもよい。
記憶部103に記憶される画像データは、読み取り部106から取得されたすべての画像データに限らない。例えば、送信先番号が示す送信先に関して、一覧データを送信する設定がされていない場合(ステップSA4:NO)には、画像データは記憶部103に記憶されなくてもよい。別の例で、ユーザが画像データのファクシミリ送信の指示を画像形成装置10に入力する際に画像データの記憶の可否を設定するようにしてもよい。
また、記憶部103に記憶された画像データは、当該画像データのファクシミリ送信が開始された時刻から決められた時間が経過すると削除されてもよい。この場合、当該画像データの再送信は、決められた時間が経過する前に画像形成装置10が再送要求を取得した場合に行われる。画像データが記憶部103から削除されるまでの時間は、画像データまたは送信先ごとに決められてもよい。また、ユーザが画像データのファクシミリ送信の指示を画像形成装置10に入力する際に画像データの重要度を設定し、当該重要度に応じて、画像データが記憶部103から削除されるまでの時間が決められてもよい。
画像形成装置10は、親展送信の機能を備えていなくてもよい。この場合、設定データおよび履歴データにおける「ボックス番号」の要素は省略される。
設定データ、履歴データ、および一覧データは、実施形態に示したものに限らない。例えば、登録番号により示される送信先および親展ボックスの各々について、ある時刻から順次一覧データが送信される場合には、設定データには、「送信時刻」が含まれていなくてもよい。別の例で、履歴データおよび一覧データには、「送信ページ数」が含まれていなくてもよい。この場合、一覧にも送信ページ数は含まれない。さらに別の例で、一覧データには、パスワードが付与されなくてもよい。この場合、図8のステップSB3および図12のステップSC2の処理は省略される。
受信側の装置としての画像形成装置が一覧を出力する方法は、一覧を印刷する方法に限らない。例えば、画像形成装置は、表示部に一覧を表示することにより一覧を出力してもよい。
再送要求を送信する外部装置は、画像データまたは一覧データを受信した画像形成装置に限らない。例えば、上述の実施形態においては、画像形成装置20とは異なる他の画像形成装置に対して再送要求が入力され、当該他の画像形成装置が画像形成装置10に再送要求を送信してもよい。この場合、画像形成装置10は、再送要求により指定された画像データを、当該他の画像形成装置に再送信する。
画像形成装置10および20のハードウェア構成は、図3に示した構成に限らない。画像形成装置10および20は、図4、図8、および図12に示した各ステップの処理、並びに、図5および図13に示した各信号の送受信を実行できれば、どのようなハードウェア構成であってもよい。
実施形態において、画像形成装置10および20によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリ(フラッシュROMなど)などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネットなどのネットワーク経由でダウンロードされてもよい。