JP6100597B2 - ブロック共重合体、およびそれを用いたミクロ相分離構造膜、ならびにそれらの製造方法 - Google Patents
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ここで、一般に反応容器中でのリビング重合は反応時間が長時間必要であり、さらに半導体用途などのコンタミネーションを厳密に抑制せねばならない分野には触媒除去やモノマー除去工程が必要のため高価であり、実使用上の制約となっていた。例えば、特許文献1および2に記載のブロック共重合体は、リビング重合の際に金属触媒を用いるATRPで合成されていたために金属が残留してしまうものであった。特許文献3および4に記載のブロック共重合体は合成方法が極めて煩雑な上、実施例ではリビング重合の際に金属を用いるATRPで合成されていたために金属触媒が残留してしまうものであった。さらに、本発明者が特許文献3および4に記載のブロック共重合体を用いてこれらの文献に記載の方法でミクロ相分離構造を形成したところ、特許文献3に記載の構造のブロック共重合体は親水性ポリマーセグメントと疎水性ポリマーセグメントとが、酸、塩基または還元剤により切断可能な共有結合により結合しているために保存安定性に不満が残るものであり、このような特許文献3から保存安定性を改善できるブロック共重合体の構造を予測することはできなかった。特許文献4に記載の構造のブロック共重合体は相分離構造を形成する時間が遅くエネルギー効率に不満が残るものであった。特許文献5に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物から誘導されるオキセタニル基を有する側鎖型液晶性高分子物質は、単独重合体のみであってブロック共重合体は開示されておらず、また、特許文献5に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物をブロック共重合体の共重合成分として用いることも開示も示唆もされていなかった。そのため、特許文献5に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物を用いたブロック共重合体の性能を特許文献5から予測することはできなかった。
[1] アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、
前記ポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有しており、
前記ブロック共重合体の少なくとも一方の末端が下記一般式(1)で表される基を有することを特徴とするブロック共重合体。
[2] [1]に記載のブロック共重合体は、前記一般式(1)で表される基が、下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される基であることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載のブロック共重合体は、前記一般式(1)で表される基が、下記一般式(3)で表される基であることが好ましい。
[4] [2]または[3]に記載のブロック共重合体は、前記一般式(3)中のZ3が、炭素数4〜20のアルキル基であることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載のブロック共重合体は、前記一般式(1)中の*が、前記ポリマー成分(B)由来の構造の主鎖に結合することが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載のブロック共重合体は、前記ポリマー成分(A)および前記ポリマー成分(B)の連結部に、下記一般式(11)および(12)で表される2価の連結基のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。
[8] アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、前記ポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有しており、前記ブロック共重合体の少なくとも一方の末端が水素原子であり、前記ポリマー成分(A)および前記ポリマー成分(B)の連結部に、下記一般式(11)で表される2価の連結基を含むことを特徴とするブロック共重合体。
[9] [8]に記載のブロック共重合体は、下記一般式(II−1)で表されることが好ましい。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載のブロック共重合体は、前記メソゲン側鎖が、前記メソゲン側鎖1本の中に少なくとも1個の、下記から選択される重合性基を有することが好ましい。
[12] [1]〜[11]のいずれか一項に記載のブロック共重合体は、前記ポリマー成分(A)が、ポリアルキレンオキシ構造を含むことが好ましい。
[13] [1]〜[12]のいずれか一項に記載のブロック共重合体は、前記ブロック共重合体の数平均分子量Mnが1000〜100000であることが好ましい。
[14] [1]〜[13]のいずれか一項に記載のブロック共重合体は、ミクロ相分離構造膜の形成用であることが好ましい。
[15] [1]〜[14]のいずれか一項に記載のブロック共重合体は、支持体上でリビング重合されてなることが好ましい。
[16] [1]〜[7]のいずれか一項に記載のブロック共重合体の末端の前記一般式(1)で表される基を水素原子に変換する工程を含むことを特徴とするブロック共重合体の製造方法。
[17] [16]に記載のブロック共重合体の製造方法は、[8]または[9]に記載のブロック共重合体を製造することが好ましい。
[18] [1]〜[15]のいずれか一項に記載のブロック共重合体を支持体上で熱、光、溶媒蒸気または電場により相分離を促進させ、ミクロ相分離構造を形成する工程を含むことを特徴とするミクロ相分離構造膜の製造方法。
[19] [1]〜[15]のいずれか1項に記載のブロック共重合体を溶解可能な溶媒に溶解されたブロック共重合体溶液を調製する工程と、
前記ブロック共重合体溶液を支持体表面に塗布する工程と、
前記溶媒を蒸発させて前記ブロック共重合体のミクロ相分離構造膜を形成する工程を有することを特徴とするミクロ相分離構造膜の製造方法。
[20] [1]〜[15]のいずれか1項に記載のブロック共重合体またはその架橋重合体を含有すること、あるいは、[18]または[19]に記載のミクロ相分離構造膜の製造方法で製造されたことを特徴とするミクロ相分離構造膜。
また、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの両方を含む意味で使われる。
本発明のブロック共重合体の第一の態様は、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含む疎水性ポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、前記ポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有しており、前記ブロック共重合体の少なくとも一方の末端が下記一般式(1)で表される基を有することを特徴とする。
本発明のブロック共重合体の第二の態様は、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、前記ポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有しており、前記ブロック共重合体の少なくとも一方の末端が水素原子であり、前記ポリマー成分(A)および前記ポリマー成分(B)の連結部に、下記一般式(11)で表される2価の連結基を含むことを特徴とする。
これらのような構成としたブロック共重合体は、金属含有量が少なく、保存安定性に優れ、支持体上でリビング重合して形成することができ、良好なミクロ相分離構造膜を経済合理的に製造できる。本発明のブロック共重合体は、金属含有量(例えば銅イオン)がブロック共重合体に対して5ppm以下であることが好ましい。
これらのようなブロック共重合体は、両親媒性・液晶ブロックコポリマーと呼ばれることもある。
本発明の第一の態様のブロック共重合体、および第二の態様のブロック共重合体は様々な用途で使用してもよいが、着色が少ないため、光関連用途では第二の態様のブロック共重合体を使用することが好ましい。なお、ポリマー成分(A)は親水性ポリマーであり、ポリマー成分(B)は疎水性ポリマーである。
以下、本発明のブロック共重合体の第一の態様と、第二の態様について、順に説明する。
(一般式(1)で表される基)
本発明のブロック共重合体は、前記ブロック共重合体の末端が下記一般式(1)で表される基を有する。
RAFT重合では、適切な連鎖移動剤(RAFT剤、CTA:charge transfer agent)の存在下で、置換モノマーの一般的なフリーラジカル重合にRAFT平衡に関する反応が加わる。通常、RAFT剤に用いられるのはジチオエステルやジチオカルバメート、トリチオカルボナート、キサンタートなどのチオカルボニルチオ化合物であり、可逆的な連鎖移動反応によって重合反応を介する。適切なRAFT剤を用いることで、狭い分子量分布(PDI)で高い鎖末端官能基率のポリマーを合成することができる。
本発明で用いられるRAFT重合は、チオカルボニルチオ基を利用した交換連鎖反応を伴う、ラジカル開始重合反応である。RAFT剤は制御できない成長反応を最小限にし、不要な停止反応を防ぎ、分子量や分散度などのポリマー特性を効果的に制御することができる。
RAFT剤は広く市販されており、RAFT重合では細胞毒性をもつ重金属化合物を使用しないため、得られる本発明のブロック共重合体は金属含有量が少ない。
RAFT剤は、大半の官能基や溶媒(水を含む)と適合性をもつ。また、RAFT重合は酸素に対して比較的耐性をもつ。RAFT重合には特別な器具や真空環境は必要がない。そのため、本発明によれば、支持体上でリビング重合して形成することができ、良好なミクロ相分離構造膜を経済合理的に製造できるブロック共重合体を提供することができる。
本発明のブロック共重合体は、チオカルボニルチオ基(−S=C−S−)を有するRAFT剤を用いて製造されてなることが好ましい。前記一般式(1)における置換基Z1は、重合反応速度論や特に構造制御に大きな影響を与える。なお、重合開始反応は、典型的な熱的、光化学的、酸化還元的な方法で行われ、用いるモノマーや反応条件に適したRAFT剤を選択できる。
また、マクロRAFT剤は親水性マクロRAFT剤(ポリマー成分(A))であっても、疎水性マクロRAFT剤(ポリマー成分(B))であってもよいが、親水性マクロRAFT剤(ポリマー成分(A))であることが好ましい。
前記一般式(2)中、Z2は置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
Z2が表すアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜15のアリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。Z2が表すアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基などの電子求引性基を挙げることができる。
Z2が表すアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜15のアルキル基であることが特に好ましい。Z2が表すアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、置換または無置換のアリール基を挙げることができる。Z2が表すアルキル基は直鎖アルキル基であっても分枝アルキル基であっても環状アルキル基であってもよい。
前記一般式(2)中、Z2は置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましく、無置換のアリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
前記一般式(3)中、Z3は置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
Z3が表すアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜15のアリール基であることがより好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることが特に好ましい。Z3が表すアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、置換または無置換のアルキル基を挙げることができる。
Z3が表すアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数6〜15のアルキル基であることが特に好ましい。Z3が表すアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、置換または無置換のアリール基を挙げることができる。Z3が表すアルキル基は直鎖アルキル基であっても分枝アルキル基であっても環状アルキル基であってもよいが、直鎖アルキル基であることが好ましい。
前記一般式(3)中、Z3は置換もしくは無置換のアルキル基であることが好ましく、無置換のアルキル基であることがより好ましく、炭素数4〜20のアルキル基であることが特に好ましく、炭素数6〜15のアルキル基であることがより特に好ましい。
前記一般式(4)中、Z4は置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
Z4が表すアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜15のアリール基であることがより好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることが特に好ましい。Z4が表すアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、置換または無置換のアルキル基を挙げることができる。
Z4が表すアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。Z4が表すアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、置換または無置換のアリール基を挙げることができる。Z4が表すアルキル基は直鎖アルキル基であっても分枝アルキル基であっても環状アルキル基であってもよいが、直鎖アルキル基であることが好ましい。
前記一般式(4)中、Z4は置換もしくは無置換のアルキル基であることが好ましく、無置換のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
Z5が表すアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜15のアリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。Z5が表すアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、置換または無置換のアルキル基を挙げることができる。
Z5が表すアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜15のアルキル基であることが特に好ましい。Z5が表すアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、置換または無置換のアルキル基を挙げることができる。Z5が表すアルキル基は直鎖アルキル基であっても分枝アルキル基であっても環状アルキル基であってもよい。
前記一般式(4)中、Z5は置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましく、無置換のアリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
前記一般式(5)中、Z6は置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
Z6が表すアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜15のアリール基であることがより好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることが特に好ましい。Z6が表すアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、置換または無置換のアルキル基を挙げることができる。
Z6が表すアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましく、エチル基であることが特に好ましい。Z6が表すアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、置換または無置換のアリール基を挙げることができる。Z6が表すアルキル基は直鎖アルキル基であっても分枝アルキル基であっても環状アルキル基であってもよいが、直鎖アルキル基であることが好ましい。
前記一般式(5)中、Z6は置換もしくは無置換のアルキル基であることが好ましく、無置換のアルキル基であることがより好ましく、エチル基であることが特に好ましい。
本発明のブロック共重合体は、前記ポリマー成分(A)が、アルキレンオキサイド鎖を含む。アルキレンオキサイド鎖としては、例えばポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)などのポリアルキレンオキシ構造、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、オリゴ(エチレンオキシド)やクラウンエーテルやクリプタンド又は糖鎖を側鎖に有するポリ(メタクリレート)又はポリ(アクリレート)を含むことが好ましく、ポリアルキレンオキシ構造を含むことがより好ましく、ポリ(エチレンオキシド)を含むことが特に好ましい。
また、前記ポリマー成分(A)が、前記マクロRAFT剤由来のポリマー成分を含むことがより好ましい。
前記親水性モノマー成分としては、メタクリル酸及びアクリル酸と、ポリオール化合物の片末端をアルキルエーテル化した化合物が、エステル結合で連結された化合物を挙げることができる。
「ポリオール化合物の片末端をアルキルエーテル化した化合物」とは下記に記載するポリオール化合物を炭素数1〜10のアルキル化合物でエーテル化したものであり、好ましくは炭素数1〜5、より好ましくはメチルエーテル化(炭素数1)したものである。
(i)ポリオール化合物
ポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、分子中に2個以上の水酸基を有する脂肪族炭化水素、分子中に2個以上の水酸基を有する脂環式炭化水素、分子中に2個以上の水酸基を有する不飽和炭化水素等が用いられる。これらのポリオールは単独で用いることも、2種類以上併用することもできる。
本発明のブロック共重合体は、前記ポリマー成分(B)が炭素数2〜20のアルキレン鎖を含み、炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有する。
本発明のブロック共重合体は、前記ポリマー成分(B)としては、例えば、炭素数6〜50のメソゲン側鎖をそれぞれ有するポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリ(スチレン)、ビニルポリマー等が挙げられるが、炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有するポリ((メタ)アクリレート)であることが好ましく、後述する重合性棒状液晶化合物由来のポリマー成分を含むことがより好ましい。
なお、前記ポリマー成分(B)として、長鎖アルキル側鎖又は疎水性側鎖をそれぞれ有するポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリ(スチレン)、ビニルポリマー等をさらに含んでいてもよい。長鎖アルキル側鎖とは、炭素数が好ましくは6〜22個のアルキル側鎖を意味する。疎水性側鎖としては、例えば脂肪族側鎖等が挙げられる。
炭素数6〜50のメソゲン側鎖は、炭素数6〜40のメソゲン側鎖であることがより好ましく、炭素数6〜30のメソゲン側鎖であることが特に好ましい。「メソゲン基」は、液晶化合物のコア部を形成し得る基を含み、メソゲン基を有する化合物の例には、液晶性化合物が含まれるとともに、メソゲン基を有するが、液晶形成をしない、即ち非液晶性化合物、も含まれる。メソゲン基についてさらに説明する。本発明において、メソゲン基とは、液晶形成に寄与する液晶分子の主要骨格を示す基である。液晶分子は、結晶状態と等方性液体状態の中間の状態(メソフェーズ)である液晶性を示す。前記メソゲン基については特に制限はなく、例えば、「Flussige Kristalle in Tabellen II」(VEB Deutsche Verlag fur Grundstoff Industrie,Leipzig、1984年刊)、特に第7頁〜第16頁の記載、及び、液晶便覧編集委員会編、液晶便覧(丸善、2000年刊)、特に第3章の記載、を参照することができる。好ましくは、サーモトロピック液晶の残基であり、さらに好ましくは、棒状液晶及びディスコティック液晶の残基である。棒状液晶ではネマティック相及びスメクティックA相を示す液晶の残基がより好ましく、ディスコティック液晶ではディスコティックネマティック相を示す液晶の残基がより好ましい。
ディスコティック液晶の残基の好ましい例には、ベンゼン、トリフェニレン、トルキセン、トリオキサトルキセン、アントラキノン、フタロシアニン又はポリフィリン、マクロサイクレン、ビス(1,3−ジケトン)銅錯体、テトラアリールビピラニリデン、テトラチアフルバレン、及びイノシトールが含まれる。
棒状液晶の残基、即ち、棒状液晶のメソゲン基あるいはコア部と呼ばれる剛直な液晶形成に寄与する液晶分子の主要骨格としては、後述する一般式(X)中の−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−で表される基であることが好ましい。
これらの中でも前記メソゲン基としては、後述する一般式(X)中の−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−で表される基であることが好ましく、前記−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−で表される基のより好ましい範囲は後述の一般式(X)における各基の好ましい範囲と同様である。
また、液晶場での重合とすることで、リビング重合の反応速度を速くすることもできる。
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
前記棒状液晶化合物の中でも、棒状液晶化合物を重合によって配向を固定することができる重合性棒状液晶化合物であることがより好ましい。
一般式(X)中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基であり、L1およびL4はそれぞれ独立に二価の連結基であり、L1およびL4のうち少なくとも一方は、少なくとも炭素数2〜20のアルキレン基を含み、L2およびL3はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基であり、Cy1、Cy2およびCy3は二価の環状基であり、nは0、1、2、または3である。
以下にさらに一般式(X)で表される重合性棒状液晶化合物について説明する。
前記一般式(X)中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
組み合わせからなる二価の連結基の例を以下に示す。ここで、左側がQ(Q1またはQ2)に、右側がCy(Cy1またはCy3)に結合する。
L−1:−CO−O−二価の鎖状基−O−
L−2:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−
L−3:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−4:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−O−
L−6:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−O−CO−
L−7:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−8:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−9:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−10:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−
L−11:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−12:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−13:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−14:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−15:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−16:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−
L−17:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−18:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−19:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−20:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−21:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−22:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−
二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は2〜20であることが好ましく、3乃至18であることが好ましく、4乃至16であることがさらに好ましく、5乃至15であることが最も好ましい。L1およびL4が表す二価の連結基中に含まれるすべてのアルキレン基の炭素数の合計が上記範囲であることが好ましく、例えばL−1〜L−22中に二価の鎖状基が複数含まれる場合はアルキレン基である二価の鎖状基の合計の炭素数が上記範囲であることが好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素数は2乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
二価の鎖状基の具体例としては、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、2−メチル−テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、2−ブテニレン、2−ブチニレンなどが上げられる。
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1、Cy2およびCy3の定義および例と同様である。
L1およびL4のうちオキセタン基に結合する一方の連結基がL−21であることが好ましく、L1およびL4のうち他の一方はL−1であることが好ましい。
L2またはL3として好ましい二価の連結基としては、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OCONR−、−COS−、−SCO−、−CONR−、−NRCO−、−CH2CH2−、−C=C−COO−、−C=N−、−C=N−N=C−、等が挙げられる。
L2およびL3はそれぞれ独立に−COO−または−OCO−であることが好ましい。
環状基に含まれる環は、5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。
環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至5のアルキル基、炭素原子数が1乃至5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至5のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至5のアルキルチオ基、炭素原子数が2乃至6のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至6のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至6のアシルアミノ基が含まれる。
一般式(V) M1−(L1)p−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−(L4)q−M2
一般式(V)中、M1、および、M2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ハロゲン、−SCN、−CF3、ニトロ基、または、Q1を表すが、M1、および、M2の少なくとも一つは、Q1以外の基を表す。
ただし、Q1、L1、L2、L3、L4、Cy1、Cy2、Cy3およびnは前記一般式(X)で表される基と同義である。また、pおよびqは0、または1である。
M1、および、M2が、Q1を表さない場合、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、シアノ基であることが好ましく、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、フェニル基であり、pおよびqは0であることが好ましい。
本発明のブロック共重合体は、前記ポリマー成分(A)および前記ポリマー成分(B)が直接結合していても、連結基を介して結合していてもよい。前記ポリマー成分(A)および前記ポリマー成分(B)の連結部に、下記一般式(11)および(12)で表される2価の連結基のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。前記ポリマー成分(A)および前記ポリマー成分(B)の連結部に、下記一般式(11)および(12)で表される2価の連結基のうち少なくとも一方を導入する方法としては特に制限はない。例えば、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)、すなわち親水性マクロRAFT剤として下記一般式(11)および(12)で表される2価の連結基のうち少なくとも一方を有するものを用いる方法を挙げることができる。
前記一般式(11)中、R11は置換または無置換のアルキル基(ただしメチル基を除く)、またはシアノ基であることがより好ましく、シアノ基であることが反応効率の観点から特に好ましい。
ここで一般式(I−1)および(I−2)、中、Z3は置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキル基であることが好ましく、置換もしくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、炭素数4〜20のアルキル基であることが特に好ましい。
ただし、L12は少なくとも炭素数2〜20のアルキレン基を含む。L12が含むアルキレン基の炭素数は3〜18であることが好ましく、4〜16であることがより好ましく、5〜15であることが特に好ましい。
上記、R101、R102、R103、R104、R105は、各々独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表す。また、L11、L12で表される連結基は、1つ以上複数個存在していてもよく、複数個(好ましくは2つ)が結合して環を形成してもよい。
一般式(I−1)、(I−2)中、R1はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であることが汎用性の観点から好ましい。
一般式(I−1)、(I−2)中、Mは炭素数6〜50のメソゲン基であることが好ましく、炭素数6〜40のメソゲン基であることがより好ましく、炭素数6〜30のメソゲン基であることが特に好ましい。Mが表すメソゲン基の好ましい範囲は、前記一般式(X)中の前記−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−の好ましい範囲と同様である。
一般式(I−1)、(I−2)中、R2は重合性基である、オキセタニル基、エポキシ基、アクリレート基、メタクリレート基であることが好ましく、オキセタニル基、エポキシ基であることがより好ましい。
本発明の第二のブロック共重合体は、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、前記疎水性ポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有しており、前記ブロック共重合体の少なくとも一方の末端が水素原子であり、前記親水性ポリマー成分(A)および前記疎水性ポリマー成分(B)の連結部に、下記一般式(11)で表される2価の連結基を含むことを特徴とする。
このような構造のブロック共重合体も、新規構造のブロック共重合体である。本発明の第二の態様のブロック共重合体は、一般式(11)で表される2価の連結基を含むため、保存安定性が良好であり、相分離構造を形成する時間が速い。
また、前記一般式(1)で表される基は分解されやすく、分解するとジスルフィド形成による分子量増大、酸化によるスルホン酸形成等、物性変化が大きいところ、前記一般式(1)で表される基を有さない本発明の第二の態様のブロック共重合体は、以上の点を改善することができる。
本発明の第二の態様のブロック共重合体における一般式(11)の好ましい範囲は、本発明の第一の態様のブロック共重合体における一般式(11)の好ましい範囲と同様である。
前記一般式(II−1)中のn、m、L11、L12、R1、R2、Mの好ましい範囲は、本発明の第一の態様のブロック共重合体における一般式(I−1)中のn、m、L11、L12、R1、R2、Mの好ましい範囲とそれぞれ同様である。
本発明のブロック共重合体は、前記ポリマー成分(A)および前記疎水性ポリマー成分(B)の共重合割合(数平均分子量比)は、65:35〜1:99であることが好ましく、55:45〜5:95であることがより好ましく、45:55〜10:90であることが特に好ましい。
前記ブロック共重合体の数平均分子量Mnが1000〜100000であることが好ましく、2000〜50000であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましい。
一方、Mw/Mnが1.3以下であることが、相分離構造を安定的に形成させる観点からは好ましい。
本明細書中、ブロック共重合体、ポリマー成分(A)、ポリマー成分(B)などの数平均分子量Mnは、以下の方法で測定した値を採用する。
ポリマーをTHFに溶解させ、東ソー製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて行った。数平均分子量Mnはポリスチレン換算で計算した。
また、本明細書中、ブロック共重合体、ポリマー成分(A)、ポリマー成分(B)などの重量平均分子量Mwは、以下の方法で測定した値を採用する。
ポリマーをTHFに溶解させ、東ソー製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて行った。重量平均分子量Mwはポリスチレン換算で計算した。
本発明のブロック共重合体の用途としては特に制限はないが、本発明のブロック共重合体はミクロ相分離構造膜の形成用のブロック共重合体であることが好ましい。
<末端を水素原子に変換されたブロック共重合体の製造方法>
本発明は、第一の態様の本発明のブロック共重合体の末端の前記一般式(1)で表される基を水素原子に変換する工程を含むことを特徴とするブロック共重合体の製造方法にも関する。
前記ブロック共重合体の末端の前記一般式(1)で表される基を水素原子に変換する工程としては特に制限はないが、例えば次亜リン酸の塩およびラジカル開始剤と接触させる工程であることが好ましい。前記次亜リン酸の塩およびラジカル開始剤と接触させる工程については、特許4964763号公報に記載の方法を用いることができる。
本発明の末端を水素原子に変換されたブロック共重合体の製造方法は、前記第二の態様の本発明のブロック共重合体を製造するときに好ましく用いられるが、前記第二の態様の本発明のブロック共重合体以外のその他のブロック共重合体を製造する方法であってもよい。すなわち、前記第二の態様の本発明のブロック共重合体以外のその他のブロック共重合体であっても、末端を水素原子に変換されたブロック共重合体の製造方法で製造されたブロック共重合体にも本発明の効力が及ぶ。
第一の態様の本発明のブロック共重合体は、支持体上でリビング重合されてなることが好ましい。前記ブロック共重合体を支持体上でリビング重合する方法としては、下記(1)および(2)の工程を、支持体上で実施することがより好ましい。
(1)前記モノマー含有組成物として、親水性ポリマー成分および疎水性モノマー成分を含むモノマー含有組成物、ならびに、親水性モノマー成分および疎水性ポリマー成分を含むモノマー含有組成物のうち少なくとも一方を用いて、該モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程
(2)前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させて、親水性ポリマー成分と疎水性ポリマー成分とが共有結合にて連結されたブロック共重合体を得る工程
(1’)前記モノマー含有組成物として、親水性ポリマー成分および疎水性モノマー成分を含むモノマー含有組成物を用いて、該モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程
(2)前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させて、親水性ポリマー成分と疎水性ポリマー成分とが共有結合にて連結されたブロック共重合体を得る工程
このような構成により、経済合理性の優れたブロック共重合体の製造方法を提供できる。一般的に溶液中でのリビング重合は(基質にも依存するが)数時間は必要であり、本発明の製造方法における支持体上での重合は、時間の観点からも経済合理性がある。モノマー含有組成物を支持体上でリビング重合を行うことは従来知られておらず、いかなる理論に拘泥するものでもないが、モノマー含有組成物を薄膜の状態としてリビング重合を行うことにより、溶液中でリビング重合を行うよりも、経済合理性の点が優れる。
支持体上でのブロック共重合体の製造方法に用いられる支持体としては特に制限はなく、ガラス基板であっても、金属性の支持体であっても、樹脂フィルムであってもよい。リビング重合の方式がRAFT重合の場合は、ガラス基板を用いることが好ましい。
支持体上でのブロック共重合体の製造方法では、前記モノマー含有組成物中にリビング重合に供する疎水性モノマー成分または親水性モノマー成分などのモノマー成分を含む。なお、前記モノマー含有組成物は必要に応じて他の成分を含んでもよい。
前記モノマー成分としては、親水性モノマー成分を用いても、疎水性モノマー成分を用いてもよいが、後述するミクロ相分離構造膜を製造しやすい観点から疎水性モノマー成分を用いることが好ましい。
支持体上でのブロック共重合体の製造方法において、前記モノマー含有組成物に使用できる溶媒としては、反応を阻害しないものであればいずれでも使用することができる。
具体的には、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンのような脂環族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびジメチルフタレート等のエステル系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフランおよびアニソールのようなエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド、N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン等を挙げることができる。
支持体上でのブロック共重合体の製造方法に用いられる開始剤(本明細書中、特に断りなく開始剤という場合は、リビング重合開始剤を意味する)は特に制限はないが、リビング重合の方式によって適宜選択することができる。
支持体上でのブロック共重合体の製造方法は、前記リビング重合が、リビングラジカル重合であることが好ましく、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFTと略すことがある)重合であることがより好ましい。なお、ラジカル重合開始剤は、熱重合開始剤であるものを用いることが好ましい。
RAFT重合で用いられるRAFT剤としては、特に制限はなく、公知のRAFT剤を用いることができる。例えば、Macromolecules、2006、39、4953.に記載のものなどを挙げることができる。
ラジカル重合開始剤としては市販のラジカル重合開始剤を用いることが可能である。和光純薬製V−70、V−60(AIBN)、V−40、V−65、V−601、V−59、V−30、V−501などが好ましく、AIBNを用いることが特に好ましい。
前記モノマー組成物中、ラジカル重合開始剤の添加量は、前記モノマー成分に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.2〜1質量%であることが特に好ましい。
RAFT重合で用いられるモノマー(ラジカル重合性単量体)としては、前述のモノマー成分と同様のものが挙げられる。
支持体上でのブロック共重合体の製造方法は、前記モノマー含有組成物が、モノマー成分として重合性棒状液晶化合物を含むことが好ましい。
支持体上でのブロック共重合体の製造方法を用いてミクロ相分離構造膜を形成する場合は、前記モノマー成分として重合性棒状液晶化合物を用いて、さらに光重合開始剤を添加することが好ましい。ミクロ相分離構造膜を形成するときに、重合性棒状液晶化合物と光重合開始剤を併用することで、相分離構造を容易に固定することができる。前記光重合開始剤としては、光酸発生剤として公知の化合物が好ましく、例えば、特開2012−150428号公報に記載されている光酸発生剤などを用いることができる。
前記光酸発生剤としては、例えば、以下のものを用いることができるが、本発明は以下の具体例によって制限されるものではない。
前記モノマー含有組成物には、その他の添加剤を添加してもよい。その他の添加剤としては、例えば、液晶便覧、液晶便覧編集委員会編、丸善株式会社に記載されているような重合性棒状液晶化合物に併用することができる添加剤などを挙げることができる。
支持体上でのブロック共重合体の製造方法において、支持体上でリビング重合ができる限りは重合条件や重合方法は特に限定されず、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、塊状・懸濁重合などを適用することができる。
前記モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程における適用方法としては特に制限はないが、溶液プロセスにより成膜することが特に好ましい。
溶液プロセスによる成膜とは、ここでは有機化合物を溶解させることができる溶媒中に溶解させ、その溶液を基板上に塗布し乾燥させて成膜する方法を指す。具体的には、キャスト法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スピンコート法、ラングミュア−ブロジェット(Langmuir−Blodgett)(LB)法などの通常の方法を用いることができる。本発明においては、キャスト法、スピンコート法、およびインクジェット法を用いることがさらに好ましい。このような溶液プロセスにより、表面が平滑で大面積の薄膜を低コストで生産することが可能となる。
スピンコートは、例えば、100〜5000回転/分で、5〜60秒間行うことが好ましい。
前記モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程における前記モノマー含有組成物の適用後の厚みの好ましい範囲は、後述する本発明のミクロ相分離構造膜の厚みの好ましい範囲と同様である。
支持体上でのブロック共重合体の製造方法は、前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程が、1000秒以下であることが好ましく、800秒以下であることがより好ましく、600秒以下であることが特に好ましい。
前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程の時間の下限値は特に制限されるものではないが、5秒以上とすることが好ましい。
反応温度は重合反応が進行する温度であればいずれでも構わず、所望する重合体の重合度、使用する重合開始剤および溶媒の種類や量によって一様ではないが、通常、−100℃〜250℃である。
支持体上でのブロック共重合体の製造方法は、前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程が、50〜200℃での加熱であることが好ましく、より好ましくは60℃〜180℃であり、更に好ましくは80℃〜160℃である。
加熱方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができ、例えば前記支持体をホットプレート上に載せて、前記モノマー含有組成物を前記支持体ごと加熱する方法などを挙げることができる。
なお、加熱後は、最終的に室温まで放冷してブロック共重合体を得ることが好ましい。
また、上記重合反応は、特に開始剤が低分子開始剤であるときは窒素やアルゴン等の不活性ガスのフロー下で行うことが好ましく、窒素ガスのフロー下で行うことがより好ましい。不活性ガスのフロー条件としては特に制限はないが、例えば、0.001〜50L/minとすることができる。
支持体上でのブロック共重合体の製造方法は、前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程のモノマー消費率を、10〜100%に制御することが、相分離を迅速に形成する観点から、好ましい。前記モノマー消費率は、20〜100%であることがより好ましく、30〜100%であることが特に好ましい。
上述のモノマー消費率は、得られたブロック共重合体を重THFにて抽出した抽出液について、1H−NMR(BRUKER−300MHZ)測定を行うことにより求めることができる。
支持体上でのブロック共重合体の製造方法により、ブロック共重合体が製造される。ブロック共重合体は、前記支持体上で、フィルム状に形成されることが好ましい。
得られたブロック共重合体を機能材料として用いるためには、ブロック共重合体反応混合物を一旦取り出し精製した後に、ブロック共重合体を基材(または支持体)に塗布して相分離構造を形成させるのが一般的である。一方、本発明のリビング共重合体の製造方法によりブロック共重合体を得る場合は支持体上でリビング重合した後に、そのまま支持体上に相分離構造を形成させることができるため更に経済合理性に富む。
<ミクロ相分離構造を形成する工程>
本発明の第一の態様のミクロ相分離構造膜の製造方法は、(3)本発明のブロック共重合体を前記支持体上で外部刺激により、ミクロ相分離構造を形成する工程を含むことを特徴とする。ミクロ相分離構造を形成するための、本発明のブロック共重合体への外部刺激の方法としては、熱・光・溶媒蒸気・電場(電圧)により相分離を促進するなどの方法を挙げることができ、加熱により相分離を促進する方法が好ましい。
本発明の第二の態様のミクロ相分離構造膜の製造方法は、(3’−1)本発明のブロック共重合体を溶解可能な溶媒に溶解されたブロック共重合体溶液を調製する工程と、(3’−2)前記ブロック共重合体溶液を支持体表面に塗布する工程と、(3’−3)前記溶媒を蒸発させて前記ブロック共重合体のミクロ相分離構造膜を形成する工程を有することを特徴とする。
以下、第一の態様のミクロ相分離構造膜の製造方法および第二の態様のミクロ相分離構造膜の製造方法について、順に説明する。
図6に、ミクロ相分離構造膜の製造装置の一例の概略図を示す。図6では、支持体21を送り出しロール11から送り出し、塗布装置12により支持体上にモノマー含有組成物22が塗布され、前記モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程が行われる。
支持体上に設けられたモノマー含有組成物は、乾燥ゾーン13を経て、第一の熟成ゾーン14で、前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程が行われる。
その後、第二の熟成ゾーン15にて、前記支持体上でミクロ相分離構造を形成する工程が行われ、前記モノマー含有組成物は高速相分離される。
その後、UV照射ゾーン16にて、ミクロ相分離構造が固定化される。
その後、剥ぎ取りロール17により、支持体21からミクロ相分離構造膜が剥ぎ取られる。
なお、支持体21は、巻取りロール18で巻取られてもよい。
以下、各工程の好ましい態様を説明する。
本発明の第一の態様のミクロ相分離構造膜の製造方法は、前記(3)本発明のブロック共重合体を前記支持体上で加熱して、ミクロ相分離構造を形成する工程の時間は、5〜1000秒であることが好ましく、10〜600秒であることがより好ましく、30〜200秒であることが特に好ましい。
本発明の第一の態様のミクロ相分離構造膜の製造方法は、前記(3)本発明のブロック共重合体を前記支持体上で加熱して、ミクロ相分離構造を形成する工程の加熱開始温度が40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは50℃〜200℃であり、更に好ましくは60℃〜190℃である。
前記(3)工程における加熱方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができ、例えば前記支持体をホットプレート上に載せて、前記モノマー含有組成物を前記支持体ごと加熱する方法などを挙げることができる。
なお、加熱開始後は、最終的に後述する(4)工程の開始温度(活性放射線の照射温度)まで降温することが好ましい。加熱開始後からUV照射温度までの降温速度は、1〜100℃/分であることが好ましく、5〜80℃/分であることがより好ましく、10〜50℃/分であることが特に好ましい。
本発明の第二の態様のミクロ相分離構造膜の製造方法は、(3’−1)本発明のブロック共重合体を溶解可能な溶媒に溶解されたブロック共重合体溶液を調製する工程と、(3’−2)前記ブロック共重合体溶液を支持体表面に塗布する工程と、(3’−3)前記溶媒を蒸発させて前記ブロック共重合体のミクロ相分離構造膜を形成する工程を有する。
溶液中でのリビング重合については、特開2004−124088号公報、特開2010−275349号公報、特開2010−116463号公報、特開2010−116466号公報などに記載の方法を用いることができる。本発明のブロック共重合体を溶液中でのリビング重合により製造する場合は、オイルバスなどを用いて反応温度を例えば40〜300℃とし、溶液中でリビング重合させる時間を例えば5〜20時間とし、不活性ガスのフロー下で行うことが好ましい。
また、溶液中でリビング重合して得られたブロック共重合体反応混合物を溶液中から一旦取り出し精製してから、あらためて前記ブロック共重合体溶液を塗布液として調製してもよい。
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法は、さらに(4)前記ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体を前記支持体上で架橋または重合させてミクロ相分離構造を固定化させる工程を含むことが好ましい。
前記ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体を前記支持体上で架橋または重合させてミクロ相分離構造を固定化させる工程の方法としては特に制限はないが、前記ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体への活性放射線の照射であることが好ましく、UV照射であることがより好ましい。
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法は、(4)前記ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体を前記支持体上で架橋または重合させてミクロ相分離構造を固定化させる工程の活性放射線の照射温度は、40〜200℃であることが好ましく、より好ましくは50℃〜200℃であり、更に好ましくは60℃〜200℃である。
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法は、前記活性放射線の照射が、50〜2000mJ/cm2であることが好ましく、100〜1500mJ/cm2であることが好ましく、200〜1000mJ/cm2であることが特に好ましい。
前記(4)工程における活性放射線の照射装置としては特に制限はなく、公知の装置を用いることができ、例えばHOYA社製 EXECURE3000などを挙げることができる。
なお、活性放射線の照射後は、最終的に室温まで放冷してミクロ相分離構造膜を得ることが好ましい。
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法は、前記ミクロ相分離構造膜を、前記支持体から剥ぎ取る工程を含むことが好ましい。
前記ミクロ相分離構造膜を、前記支持体から剥ぎ取る方法としては特に制限はない。
本発明のミクロ相分離構造膜は、本発明のブロック共重合体またはその架橋重合体を含有すること、あるいは、本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法で製造されたことを特徴とする。ここで、本明細書中、原子間力顕微鏡(AFMとも言う)で観察した場合に、ラメラ構造やシリンダー構造が確認できたときは「ミクロ相分離構造」を有していることとみなす。このような本発明のミクロ相分離構造膜は、金属含有量が少なく、保存安定性が良好である。本発明のミクロ相分離構造膜は、金属含有量が5ppm以下であることが好ましい。
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法で得られるミクロ相分離構造膜は、基板上に形成されるが、基板から剥離して用いてもよい。
前記ミクロ相分離構造膜の厚みが、1〜2000nmであることが好ましい。用途によって前記ミクロ相分離構造膜のより好ましい厚みは異なるが、例えば1〜500nmであることがより好ましい。
前記ミクロ相分離構造膜は、シリンダー型ミクロ相分離構造膜であることが好ましい。シリンダー型ミクロ相分離構造膜とは、前記親水性ポリマー成分が固定されたシリンダーが、面内に多数並んでいる膜のことを言い、各シリンダーは等間隔で整列していることが好ましい。各シリンダーの高さは、1〜2000nmであることが好ましく、1〜500nmであることがより好ましい。各シリンダーの直径は、1〜1000nmであることが好ましく、1〜200nmであることがより好ましい。
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法で得られるミクロ相分離構造膜は、光・電子機能材料(例えば輝度向上膜)、エネルギー関連材料、表面修飾材料、パターンドメディアのような高密度記録材料、種々のナノフィルター(透過膜、限外ろ過膜、ナノリアクター)、異方性イオン伝導膜、異方性導電膜、等として有用な配向の制御されたブロック共重合体からなるミクロ相分離構造膜である。
このようなミクロ相分離構造膜は、シリンダー構造部分を除去して、別の物質を導入することもできる。
(親水性マクロRAFT剤A−1)
市販の親水性マクロRAFT剤A−1(ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(4−シアノ−4−ペンタノエート ドデシル トリチオカーボネート)(Mn5400、アルドリッチ社製))を利用する。
市販の親水性マクロRAFT剤A−2(ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(4−シアノ−4−(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル)ペンタノエート)(Mn10000、アルドリッチ社製))を利用する。
市販の親水性マクロRAFT剤A−3(ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(2−メチル−2−プロパノイックアシッド ドデシルトリチオカーボネート)(Mn10400、アルドリッチ社製))を利用する。
(疎水性モノマー合成例1)
Transactions of Materials Reseach Society of Japan, 28[3], 553−556(2003)に記載の合成方法により液晶性モノマーB−1を合成した。
特開2008−127336号公報に記載の合成法により液晶性モノマーB−2を合成した。
特開2008−127336号公報の実施例4に記載の合成法において、用いるカルボン酸化合物10の置換基の鎖長を変更した以外は同様の合成法により液晶性モノマーB−3を合成した。
特開2010−116463号公報に記載の合成法に基づいて、液晶性モノマーB−4を合成した。
以下に記載の合成法に従い、液晶性モノマーB−5を合成した。
アルデヒドc−1のアセトニトリル溶液(67mL)に対し、亜塩素酸ナトリウム(42.0mmol,3.80g)の水溶液(32mL)、リン酸二水素ナトリウム二水和物(6.0mmol,0.94g)の水溶液(8.2mL)、過酸化水素水(4.0mL)を加え、室温で12時間撹拌した。1N 塩酸水溶液を100mL加えた後に、ろ過した。残渣をメタノールで少量のアセトニトリルで洗浄することにより、カルボン酸d−1を定量的に得た。
メタンスルホニルクロリド(6.0mmol,0.46mL)のTHF溶液(3mL)にヒドロキノンモノメチルエーテル(7mg)を加え、内温を−5℃まで冷却した。そこに、カルボン酸d−1(5.5 mmol,2.1g)とジイソプロピルエチルアミン(6.0mmol,1.1mL)のTHF溶液(6mL)を内温が0℃以上に上昇しないように滴下した。−5℃で30分撹拌した後、ジイソプロピルエチルアミン(6.0mmol,1.1mL)、4−エチルフェノールであるe−1(5.0mmol,0.82g)のTHF溶液(4mL)、DMAP(スパチュラ一杯)を加えた。その後、室温で2時間撹拌した。メタノール(5mL)を加えて反応を停止した後に、水と酢酸エチルを加えた。酢酸エチルで抽出した有機層を、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し液晶性モノマーB−5の粗生成物を得た。酢酸エチルとメタノールで再結晶を行い、液晶性モノマーB−5を78%の収率で得た。
1H−NMR(溶媒:CDCl3)δ(ppm):1.2(t,3H)、1.8−2.0(m,4H), 2.6(d,2H), 4.1−4.3(m,4H), 5.8(d,1H), 6.1(dd,1H), 6.4(d,1H), 6.9−7.0(m,2H), 7.1−7.2(m,2H), 7.2−7.3(m,2H), 7.3−7.4(m,2H), 8.1−8.2(m,2H), 8.2−8.3(m,2H)
<ブロック共重合体C−1の合成>
液晶性モノマーB−1(0.493g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、ヘキサン200mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをエタノール40mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−1を0.33g得た。GPCの分析結果からMw22200、Mn17500、Mw/Mn=1.27であった。ここで本明細書中、Mwとは重量平均分子量を、Mnとは数平均分子量を表す。
<ブロック共重合体C−2の合成>
液晶性モノマーB−1(0.739g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−2を0.6g得た。GPCの分析結果からMw31100、Mn25600、Mw/Mn=1.22であった。
<ブロック共重合体C−3の合成>
液晶性モノマーB−1(0.985g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−3を0.8g得た。GPCの分析結果からMw37100、Mn29100、Mw/Mn=1.28であった。
<ブロック共重合体C−3aの合成>
実施例3で合成した化合物C−3を用いて、特許第4964763号公報の実施例1に記載の方法で下記C−3aの化合物を得た。C−3aのnおよびmは、C−3のnおよびmと同じである。
<ブロック共重合体C−4の合成>
液晶性モノマーB−1(0.493g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−2(0.200g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン200mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをエタノール40mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−4を0.4g得た。GPCの分析結果からMw22600、Mn17200、Mw/Mn=1.31であった。
<ブロック共重合体C−4aの合成>
液晶性モノマーB−1(0.493g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−3(0.200g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン200mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをエタノール40mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−4aを0.4g得た。GPCの分析結果からMw21000、Mn16200、Mw/Mn=1.30であった。
<ブロック共重合体C−5の合成>
液晶性モノマーB−2(0.677g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、9時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、THF2mlを添加後冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−5を0.4g得た。GPCの分析結果からMw24200、Mn17800、Mw/Mn=1.35であった。
<ブロック共重合体C−6の合成>
液晶性モノマーB−2(1.015g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、9時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、THF5mlを添加後、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−6を0.7g得た。GPCの分析結果からMw32700、Mn24700、Mw/Mn=1.32であった。
<ブロック共重合体C−7の合成>
液晶性モノマーB−2(1.354g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、9時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、THF5mlを添加後、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−7を1.06g得た。GPCの分析結果からMw38600、Mn27200、Mw/Mn=1.42であった。
<ブロック共重合体C−8の合成>
液晶性モノマーB−2(0.846g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、9時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、THF5mlを添加後、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−8を0.6g得た。GPCの分析結果からMw29200、Mn23100、Mw/Mn=1.27であった。
<ブロック共重合体C−9の合成>
液晶性モノマーB−2(1.015g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、7時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、THF5mlを添加後、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−9を0.4g得た。GPCの分析結果からMw26300、Mn21800、Mw/Mn=1.21であった。
<ブロック共重合体C−10の合成>
液晶性モノマーB−2(0.677g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−2(0.200g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、9時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、THF2mlを添加後冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−10を0.6g得た。GPCの分析結果からMw24500、Mn18100、Mw/Mn=1.35であった。
<ブロック共重合体C−11の合成>
液晶性モノマーB−3(0.329g)、液晶性モノマーB−1(0.246g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−11を0.4g得た。GPCの分析結果からMw27400、Mn21500、Mw/Mn=1.28であった。
<ブロック共重合体C−12の合成>
液晶性モノマーB−3(0.066g)、液晶性モノマーB−1(0.443g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−12を0.3g得た。GPCの分析結果からMw25300、Mn19500、Mw/Mn=1.30であった。
<ブロック共重合体C−13の合成>
液晶性モノマーB−4(0.329g)、液晶性モノマーB−1(0.246g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−13を0.3g得た。GPCの分析結果からMw23000、Mn19000、Mw/Mn=1.21であった。
<ブロック共重合体C−14の合成>
液晶性モノマーB−5(0.329g)、液晶性モノマーB−3(0.246g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃、11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。残渣としてブロック共重合体C−14を0.4g得た。GPCの分析結果からMw25000、Mn19000、Mw/Mn=1.32であった。
親水性マクロRAFT剤A−1(0.216g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、AIBN(0.0028g)をトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlをガラス基板上(2X2.5cm角)に塗布して、スピンコーター(MIKASA社製 SPINCOATER1H−D7)を用いて1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。窒素フロー(0.5L/min)下、ホットプレート(PMC社製 DATAPLATE)上で下表に従い加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体C−21〜32を得た(実施例21〜32)。該フィルム状の実施例21〜32のブロック共重合体C−21〜32を重THFにて抽出して、1H−NMR(BRUKER−300MHZ)測定によりモノマー消費量とGPC(TOSOH社製 HLC−8220GPC)の分析を実施した。得られた結果を下記表に記載した。
親水性マクロRAFT剤A−1(0.216g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、AIBN(0.0028g)をトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlをガラス基板上に塗布して、1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。大気下、上記ガラス基板をホットプレート上で下表に従い加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体C−33〜41を得た(実施例33〜41)。実施例21と同様に1H−NMR測定によりモノマー消費量とGPCの分析を行い、得られた結果を下記表に記載した。
親水性マクロRAFT剤A−1(0.216g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、1,1’−アゾビス (シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(以下V−40と略す。0.0043g)をトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlをガラス基板上に塗布した。上記ガラス基板の保護カバーとしてスライドガラスをのせ、窒素フロー(0.5L/min)下、ホットプレート上で下表に従い加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体C−42〜45を得た(実施例42〜45)。実施例21と同様に1H−NMR測定によりモノマー消費量とGPCの分析を行い、得られた結果を下記表に記載した。
親水性マクロRAFT剤A−1(0.216g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、V−40(0.0043g)をトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlをガラス基板上に塗布した。窒素フロー(0.5L/min)下、ホットプレート上で下表に従い加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体C−46〜52を得た(実施例46〜52)。実施例21と同様に1H−NMR測定によりモノマー消費量とGPCの分析を行い、得られた結果を下記表に記載した。
親水性マクロRAFT剤A−1(0.216g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、V−40(0.0043g)をトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlをガラス基板上に塗布した。大気下、ホットプレート上で下表に従い加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体C−53〜55を得た(実施例53〜55)。実施例21と同様に1H−NMR測定によりモノマー消費量とGPCの分析を行い、得られた結果を下記表に記載した。
親水性マクロRAFT剤A−1(0.216g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、AIBN(0.0028g)、下記構造の光酸発生剤E−1(0.0040g)をトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlをガラス基板(支持体)上に塗布して、スピンコーターを用いて1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。窒素フロー(0.5L/min)下、ホットプレート上でガラス基板を加熱し(熟成1)、さらに別のホットプレートを用いて大気下にて下表に従い既定の開始温度からUV照射温度まで降温させて(熟成2)、UV照射装置(HOYA社製 EXECURE3000)にて500mJ/cm2にて硬化させた。
上記ガラス基板上でのブロック共重合体の製造方法(実施例56〜58)で製造された、ガラス基板上のブロック共重合体を、AFM(SII社製 SPI3800N)にて測定したところ、ラメラやシリンダー状のミクロ相分離構造が観察された。
実施例56〜58において、ガラス基板からミクロ相分離構造膜を剥離することも可能であった。
実施例56〜58で剥離したミクロ相分離構造膜の厚みは、それぞれ150nm、200nm、210nmであった。
<上記ブロック共重合体C−1〜C−14の各トルエン溶液の調製>
各ブロック共重合体(50mg)を秤量し、トルエンを950μl追加して均一に溶解させた後に、フィルター(マイレクストFH 0.45μm、φ13mm、シリンジ2ml)濾過して調液した(溶液D−1〜14)。
下記構造の光酸発生剤20mgを秤量し、トルエンを1980μl追加して均一に溶解させ、フィルター濾過して調液した。
ポリマー溶液(D−1〜14)を400μlとり、下表に従い光酸発生剤溶液10μlと混合して塗布液(E−1〜14)を調製した。
ガラス基板上(2X2.5cm角四方)に上記塗布溶液をエッペンドルフを用いて20μl塗布して、スピンコーター(MIKASA社製 SPINCOATER1H-D7)を用いて1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。
上記ガラス基板を、下記条件にてホットプレート(PMC社製 DATAPLATE)上でアニールした後にサンプルによってはUV照射装置(HOYA社製 EXECURE3000)を用いて500mJ/cm2でUV硬化させた。
条件2:175℃を1分保持した後に、100℃まで10℃/分で降温させ、UV硬化30秒。
上記ガラス基板(実施例101〜116)を、AFM(SII社製 SPI3800N)にて測定した。測定した表面形状の代表例を図1〜図4に記す。ラメラやシリンダー状の相分離構造が観察された。
以下に比較例として原子移動ラジカル重合(ATRP)による合成例を記載する。RAFT重合の場合と比較して、一般的に重合時間が遅く、金属触媒が残存してしまうことが問題である。
市販のポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(Mn5000、アルドリッチ社製)30g、N,N’−ジメチルアミノピリジン0.81gを塩化メチレン180mlに溶解させ、2−ブロモイソラクサンブロミド(東京化成社製)1.52gを塩化メチレン20mlに溶解させた後に室温で滴下し、40℃で加熱環流して48時間攪拌した。
1規定の塩酸水溶液、0.5規定の炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定の塩酸水溶液の順番に分液操作を施し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ジエチルエーテルで再結晶した。
目的とするATRP用親水性マクロ開始剤F−1を22g(分子量Mw8000、Mn7700、Mw/Mn=1.04:GPCポリスチレン換算)得た。
ATRP用親水性マクロ開始剤F−1(0.4122g)、液晶性モノマーB−1(1.97g)、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)0.0832g、臭化銅(I)(0.069g)をアニソール20mlに溶解させた。窒素フローを開始し、オイルバス80℃、10時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、アルミナ処理した後にTHF200mlにて洗浄し、濾過し、濃縮した。さらに得られたポリマーをヘキサン250mlに懸濁して、1時間後に濾過した。残渣としてブロック共重合体G−1を0.50g得た。GPCの分析結果からMw26900、Mn22000、Mw/Mn=1.22であった。アルミナ処理後の銅イオンの残存は130ppmであった。
ATRP用親水性マクロ開始剤F−1(0.103g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)0.021g、臭化銅(I)(0.017g)をキシレン5mlに溶解させた。窒素フローを開始し、オイルバスで80℃、18時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、ヘキサン200mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後に濾過した。残渣としてブロック共重合体G−2を0.56g得た。GPCの分析結果からMw26800、Mn20500、Mw/Mn=1.31であった。
ATRP用親水性マクロ開始剤F−1(0.103g)、液晶性モノマーB−3(0.658g)、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)0.021g、臭化銅(I)(0.017g)をアニソール5mlに溶解させた。窒素フローを開始し、オイルバスで80℃、12時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、ヘキサン200mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後に濾過した。残渣としてブロック共重合体G−3を0.45g得た。GPCの分析結果からMw26800、Mn20500、Mw/Mn=1.31であった。
ATRP用親水性マクロ開始剤F−1(0.103g)、液晶性モノマーB−4(0.773g)、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)0.021g、臭化銅(I)(0.017g)をアニソール5mlに溶解させた。窒素フローを開始し、オイルバスで80℃、17時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、ヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後に濾過した。残渣としてブロック共重合体G−4を0.48g得た。GPCの分析結果からMw30500、Mn23800、Mw/Mn=1.28であった。
ATRP用親水性マクロ開始剤F−1(0.103g)、液晶性モノマーB−5(0.4885g)、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)0.021g、臭化銅(I)(0.017g)をトルエン5mlに溶解させた。窒素フローを開始し、オイルバスで80℃、24時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、ヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/50mlに懸濁して、1時間後に濾過した。残渣としてブロック共重合体G−5を0.06g得た。GPCの分析結果からMw12300、Mn9800、Mw/Mn=1.25であった。
実施例101〜116と同様に、比較例1〜5のブロック共重合体の各トルエン溶液を調製し、得られた溶液もガラス基板に塗布して、AFMの形状観察、溶液の目視観察、残存銅量の測定およびオキセタニル基の分解状況の測定を実施した。
残存銅量(銅イオン)の測定は群馬県立産業技術センター研究報告2010に記載の方法で求めた。オキセタニル基の分解状況の測定は1H−NMRにて求めた。
また比較例102〜104はオキセタニル基の分解に起因するのか、明確なミクロ相分離構造を観察することができなかった。代表例として、比較例102で得られた膜のAFMの形状観察を図5に示す。
特開2004−124088号公報に記載の実施例1にしたがって共重合体1を合成し、同文献の実施例5にしたがって共重合体1を用いたミクロ相分離構造膜を形成した。
比較例6で得られたブロック共重合体を用いたミクロ相分離構造膜に対して、各実施例で得られたブロック共重合体は、支持体上でリビング重合して形成することができ、ミクロ相分離構造膜を経済合理的に製造できることがわかった。
さらに、比較例6で得られたブロック共重合体を用いたミクロ相分離構造膜に対して、各実施例で得られたブロック共重合体およびミクロ相分離構造膜は、銅触媒が残存していないため、半導体用途などのコンタミネーションを厳密に抑制せねばならない分野における歩留まりの向上が期待される。
一方、比較例6で得られたブロック共重合体は、支持体上でミクロ相分離構造膜を製膜する前にあらかじめ溶液中で重合されており、特開2004−124088号公報に記載の方法では、支持体上でリビング重合してブロック共重合体およびミクロ相分離構造膜を経済合理的に製造することができないことがわかった。
特開2010−116463号公報に記載の合成例3および実施例1にしたがって、ブロック共重合体およびそれを用いたミクロ相分離構造膜を形成した。
比較例7で得られたブロック共重合体を用いたミクロ相分離構造膜に対して、各実施例で得られたブロック共重合体は、支持体上でリビング重合して形成することができ、ミクロ相分離構造膜を経済合理的に製造できることがわかった。
さらに、比較例7で得られたブロック共重合体を用いたミクロ相分離構造膜に対して、各実施例で得られたブロック共重合体およびミクロ相分離構造膜は、保存安定性が良好であった。
一方、比較例7で得られたブロック共重合体は、支持体上でミクロ相分離構造膜を製膜する前にあらかじめ溶液中で重合されており、特開2010−116463号公報に記載の方法では、支持体上でリビング重合してブロック共重合体およびミクロ相分離構造膜を経済合理的に製造することができないことがわかった。
特開2010−116466号公報に記載の合成例3および実施例1にしたがって、ブロック共重合体およびそれを用いたミクロ相分離構造膜を形成した。
比較例8で得られたブロック共重合体を用いたミクロ相分離構造膜に対して、各実施例で得られたブロック共重合体は、支持体上でリビング重合して形成することができ、ミクロ相分離構造膜を経済合理的に製造できることがわかった。
さらに、比較例8で得られたブロック共重合体を用いたミクロ相分離構造膜に対して、各実施例で得られたブロック共重合体およびミクロ相分離構造膜は、相分離構造を形成する時間が速く、エネルギー効率が良好であった。
一方、比較例8で得られたブロック共重合体は、支持体上でミクロ相分離構造膜を製膜する前にあらかじめ溶液中で重合されており、特開2010−116466号公報に記載の方法では、支持体上でリビング重合してブロック共重合体およびミクロ相分離構造膜を経済合理的に製造することができないことがわかった。
また、本発明のブロック共重合体は、支持体上でリビング重合して製造することができ、ブロック共重合体およびミクロ相分離構造膜を経済合理的に製造できることがわかった。
さらに、実施例107〜116で得られたブロック共重合体およびミクロ相分離構造膜は、オキセタニル基の分解が生じておらず、保存安定性が良好であった。
なお、実施例101〜116で得られたブロック共重合体およびミクロ相分離構造膜では、銅イオンの残存量はブロック共重合体に対して5ppm以下であった。
12 塗布装置
13 乾燥ゾーン
14 第一の熟成ゾーン
15 第二の熟成ゾーン
16 UV照射ゾーン
17 剥ぎ取りロール
18 巻取りロール
21 支持体
22 モノマー含有組成物
23 ミクロ相分離構造膜
Claims (27)
- アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、
前記ポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有しており、
前記ブロック共重合体の少なくとも一方の末端が下記一般式(1)で表される基を有し、
下記一般式(I−1)または(I−2)で表されることを特徴とするブロック共重合体。
- アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、
前記ポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有しており、
前記ブロック共重合体の少なくとも一方の末端が下記一般式(1)で表される基を有し、
前記メソゲン側鎖が、前記メソゲン側鎖1本の中に少なくとも1個の、下記
- アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、
前記ポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有しており、
前記ブロック共重合体の少なくとも一方の末端が下記一般式(1)で表される基を有し、
ミクロ相分離構造膜の形成用であり、
前記ポリマー成分(A)および前記ポリマー成分(B)の連結部に、下記一般式(11)および(12)で表される2価の連結基のうち少なくとも一方を含むことを特徴とするブロック共重合体。
- アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、
前記ポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有しており、
前記ブロック共重合体の少なくとも一方の末端が下記一般式(1)で表される基を有し、
支持体上でリビング重合されてなり、
前記ポリマー成分(A)および前記ポリマー成分(B)の連結部に、下記一般式(11)および(12)で表される2価の連結基のうち少なくとも一方を含むことを特徴とするブロック共重合体。
- 前記ポリマー成分(A)および前記ポリマー成分(B)の連結部に、下記一般式(11)および(12)で表される2価の連結基のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項2に記載のブロック共重合体。
- 下記一般式(I−1)または(I−2)で表されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
- 前記メソゲン側鎖が、前記メソゲン側鎖1本の中に少なくとも1個の、下記から選択される重合性基を有することを特徴とする請求項1、3および4のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
- ミクロ相分離構造膜の形成用であることを特徴とする請求項1、2、4および5のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
- 支持体上でリビング重合されてなることを特徴とする請求項1〜3および5のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
- 前記一般式(1)で表される基が、下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される基であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
- 前記一般式(1)で表される基が、下記一般式(3)で表される基であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
- 前記一般式(3)中のZ3が、炭素数4〜20のアルキル基であることを特徴とする請求項10または11に記載のブロック共重合体。
- 前記一般式(1)中の*が、前記ポリマー成分(B)由来の構造の主鎖に結合することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
- アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、
前記ポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有しており、
前記ブロック共重合体の少なくとも一方の末端が水素原子であり、
前記ポリマー成分(A)および前記ポリマー成分(B)の連結部に、下記一般式(11)で表される2価の連結基を含み、
下記一般式(II−1)で表されることを特徴とするブロック共重合体。
- アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、
前記ポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有しており、
前記ブロック共重合体の少なくとも一方の末端が水素原子であり、
前記ポリマー成分(A)および前記ポリマー成分(B)の連結部に、下記一般式(11)で表される2価の連結基を含み、
前記メソゲン側鎖が、前記メソゲン側鎖1本の中に少なくとも1個の、下記
- 下記一般式(II−1)で表されることを特徴とする請求項15に記載のブロック共重合体。
- 前記メソゲン側鎖が、前記メソゲン側鎖1本の中に少なくとも1個の、下記から選択される重合性基を有することを特徴とする請求項14に記載のブロック共重合体。
- ミクロ相分離構造膜の形成用であることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
- 支持体上でリビング重合されてなることを特徴とする請求項14〜18のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
- 前記ポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有するポリ((メタ)アクリレート)であることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
- 前記ポリマー成分(A)が、ポリアルキレンオキシ構造を含むことを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
- 前記ブロック共重合体の数平均分子量Mnが1000〜100000であることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のブロック共重合体の末端の前記一般式(1)で表される基を水素原子に変換する工程を含むことを特徴とするブロック共重合体の製造方法。
- 請求項14〜19のいずれか一項に記載のブロック共重合体を製造することを特徴とする請求項23に記載のブロック共重合体の製造方法。
- 請求項1〜22のいずれか一項に記載のブロック共重合体を支持体上で熱、光、溶媒蒸気または電場により相分離を促進させ、ミクロ相分離構造を形成する工程を含むことを特徴とするミクロ相分離構造膜の製造方法。
- 請求項1〜22のいずれか一項に記載のブロック共重合体を溶解可能な溶媒に溶解されたブロック共重合体溶液を調製する工程と、
前記ブロック共重合体溶液を支持体表面に塗布する工程と、
前記溶媒を蒸発させて前記ブロック共重合体のミクロ相分離構造膜を形成する工程を有することを特徴とするミクロ相分離構造膜の製造方法。 - 請求項1〜22のいずれか一項に記載のブロック共重合体またはその架橋重合体を含有することを特徴とするミクロ相分離構造膜。
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