JP6196635B2 - 支持体上でのリビング重合体の製造方法、ブロック共重合体、それを用いたミクロ相分離構造膜およびその製造方法 - Google Patents

支持体上でのリビング重合体の製造方法、ブロック共重合体、それを用いたミクロ相分離構造膜およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、支持体上でのリビング重合体の製造方法、ブロック共重合体、それを用いたミクロ相分離構造膜およびその製造方法に関する。より詳しくは、支持体上でのリビング重合体の製造方法(特にミクロ相分離構造膜の形成用のブロック共重合体を支持体上で製造することができる支持体上でのリビング重合体の製造方法)、支持体上でのリビング重合体の製造方法で製造されたブロック共重合体、ミクロ相分離構造膜を支持体上で製造する製造方法および該製造方法で得られたミクロ相分離構造膜に関する。
ミクロ相分離構造を作製する方法としてリビング重合により製造したブロック共重合体を用い、得られた相分離構造の固定化をする方法が知られている。
従来、ミクロ相分離構造を作製するためには高温・長時間(200℃、5時間程度)必要としていた。これに対し、ブロック共重合体が相分離で形成するナノスケールのヘキサゴナルシリンダー構造の配向を、「両親媒性」と「液晶」を導入することで制御した例が知られている(非特許文献1、特許文献1、2)。具体的には、特許文献1では、親水性ポリマー成分(A)と疎水性ポリマー成分(B)が共有結合によって連結されたブロック共重合体で、A及びBの分子量分布が≦1.3であるブロック共重合体が記載されている。特許文献2では、親水性ポリマー成分と、架橋可能な構造を有する疎水性ポリマー成分とが共有結合してなるブロック共重合体からなる自立性高分子薄膜であって、上記自立性高分子薄膜がその膜中に一定方向に配向した上記親水性ポリマー成分からなるシリンダーを有しており、上記疎水性ポリマー成分が架橋している自立性高分子薄膜が記載されている。これらの文献に記載の方法はミクロ相分離構造を、数分程度で作製することができるようになった点で画期的であった。必要な化合物の合成は、例えば特許文献1では、親水的なマクロ開始剤を合成した後に、液晶性モノマーとの原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization、以下、ATRPと略する)により親水部−疎水部が連結されたブロック共重合体を得ている。また、特許文献2では、疎水部のみをATRPによりリビング重合部分を得たのちに、末端を修飾し、最後に高分子反応により親水部を作製している。
一方、非特許文献2には、可逆的付加開裂連鎖移動(Reversible Addition−Fragmentation Chain Transfer、以下、RAFTと称する)重合によるリビングラジカル重合により、ブロック共重合体を合成する方法や材料が記載されている。RAFT重合では、適切な連鎖移動剤(RAFT剤とも言う)の存在下で、置換モノマーの一般的なフリーラジカル重合にRAFT平衡に関する反応が加わり、可逆的な連鎖移動反応によって重合反応を制御している。
また、得られた相分離構造の固定化については、特許文献2にブロック共重合体の疎水性ポリマー鎖に光二量化反応できる基を導入し、電離放射線照射を行う方法が記載されている。また、特許文献3、4には得られた相分離構造の固定化のためにオキセタニル基を導入する方法が記載されており、さらに関連する化合物が特許文献5に記載されている。
特開2004−124088号公報 特開2010−275349号公報 特開2010−116463号公報 特開2010−116466号公報 特開2004−123597号公報
液晶、2009年、第13巻(第4号)、250頁、山田武、吉田博久、彌田智一 Acc.Chem.Res.,2008, 41, 1133−1142.
これらの文献に記載の方法では、予めリビング重合を反応容器中で実施した後にブロック共重合体を得ることが必須である。
ここで、一般に反応容器中でのリビング重合は反応時間が長時間必要であり、触媒除去やモノマー除去工程が必要のため高価であり、実使用上の制約となっていた。
本発明の解決しようとする課題は、経済合理性の優れたリビング重合体の製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、支持体上でリビング重合を行うことにより、経済合理性の優れたリビング重合体の製造方法を提供できることを見出した。
[1] 支持体上でモノマー含有組成物をリビング重合させる工程を含むことを特徴とする支持体上でのリビング重合体の製造方法。
[2] [1]に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記リビング重合が、リビングラジカル重合であることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程が、1000秒以下であることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程のモノマー消費率を、10〜100%に制御することが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程が、50〜200℃での加熱であることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記リビング重合体の数平均分子量Mnが1000〜100000であることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記リビング重合が原子移動ラジカル重合であり、かつ、
前記支持体が金属製の支持体であることが好ましい。
[8] [7]に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記モノマー含有組成物の前記金属製の支持体と接していない面を別の支持体で覆い、前記モノマー含有組成物を挟圧しながら加熱することが好ましい。
[9] [7]または[8]に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記金属が銅であることが好ましい。
[10] [7]〜[9]のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記リビング重合体中の銅イオン濃度が、前記リビング重合体に対して5ppm以下であることが好ましい。
[11] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記リビング重合が可逆的付加開裂連鎖移動重合であることが好ましい。
[12] [1]〜[11]のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記モノマー含有組成物が、モノマー成分として重合性棒状液晶化合物を含むことが好ましい。
[13] [1]〜[12]のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記リビング重合体が、ブロック共重合体であることが好ましい。
[14] [13]に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、下記(1)および(2)の工程を、支持体上で実施することが好ましい。
(1)前記モノマー含有組成物として、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分を含むモノマー含有組成物、ならびに、アルキレンオキサイド鎖を含むモノマー成分および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分を含むモノマー含有組成物のうち少なくとも一方を用いて、該モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程
(2)前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させて、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分と炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分とが共有結合にて連結されたブロック共重合体を得る工程
[15] [13]に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、下記(1’)および(2)の工程を、支持体上で実施することが好ましい。
(1’)前記モノマー含有組成物として、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分を含むモノマー含有組成物を用いて、該モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程
(2)前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させて、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分と炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分とが共有結合にて連結されたブロック共重合体を得る工程
[16] [14]または[15]に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分が重合性棒状液晶化合物であることが好ましい。
[17] [14]〜[16]のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記ブロック共重合体が、ミクロ相分離構造膜の形成用のブロック共重合体であることが好ましい。
[18] [14]〜[17]のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法で得られたことを特徴とするブロック共重合体。
[19] (3)[18]に記載のブロック共重合体を前記支持体上で熱、光、溶媒蒸気または電場により相分離を促進させ、ミクロ相分離構造を形成する工程を含むことを特徴とするミクロ相分離構造膜の製造方法。
[20] [19]に記載のミクロ相分離構造膜の製造方法は、前記ミクロ相分離構造を形成する工程が、40〜250℃での加熱であることが好ましい。
[21] [19]または[20]に記載のミクロ相分離構造膜の製造方法は、さらに(4)前記ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体を前記支持体上で架橋または重合させてミクロ相分離構造を固定化させる工程を含むことが好ましい。
[22] [19]〜[21]のいずれか一項に記載のミクロ相分離構造膜の製造方法は、前記ミクロ相分離構造膜を、前記支持体から剥ぎ取る工程を含むことが好ましい。
[23] [19]〜[22]のいずれか一項に記載のミクロ相分離構造膜の製造方法は、前記ミクロ相分離構造膜の厚みが、1〜2000nmであることが好ましい。
[24] [19]〜[23]のいずれか一項に記載のミクロ相分離構造膜の製造方法で製造されたことを特徴とするミクロ相分離構造膜。
本発明によれば、経済性に優れるリビング重合体の製造方法を提供することができる。
図1は、ブロック共重合体に、残存モノマーや残存開始剤(開始剤が高分子の場合)が混入するときのGPCチャートにおける、ブロック共重合体のGPC測定エリアを示す概略図である。 図2は、実施例46で製造したミクロ相分離構造膜のAFM写真である。 図3は、実施例47で製造したミクロ相分離構造膜のAFM写真である。 図4は、実施例48で製造したミクロ相分離構造膜のAFM写真である。 図5は、本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法の一例によって、ミクロ相分離構造膜を形成するための装置の一例の概略図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの両方を含む意味で使われる。
[支持体上でのリビング重合体の製造方法]
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法(以下、本発明の製造方法とも言う)は、支持体上でモノマー含有組成物をリビング重合させる工程を含むことを特徴とする。
このような構成により、経済合理性の優れたリビング重合体の製造方法を提供できる。一般的に溶液中でのリビング重合は(基質にも依存するが)数時間は必要であり、本発明の製造方法における支持体上での重合は、時間の観点からも経済合理性がある。モノマー含有組成物を支持体上でリビング重合を行うことは従来知られておらず、いかなる理論に拘泥するものでもないが、モノマー含有組成物を薄膜の状態としてリビング重合を行うことにより、溶液中でリビング重合を行うよりも、経済合理性の点が優れる。
<支持体>
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法に用いられる支持体としては特に制限はなく、ガラス基板であっても、金属性の支持体であっても、樹脂フィルムであってもよい。リビング重合の方式がATRPの場合は、前記支持体として金属性の支持体を用いることが好ましいが、詳細は後述する。リビング重合の方式がRAFT重合の場合は、ガラス基板及び樹脂フィルムを用いることが好ましい。
<モノマー成分>
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法では、前記モノマー含有組成物中にリビング重合に供するモノマー成分を含む。なお、前記モノマー含有組成物は必要に応じて他の成分を含んでもよい。
前記モノマー成分としては、アルキレンオキサイド鎖を含むモノマー成分を用いても、炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分を用いてもよいが、後述するミクロ相分離構造膜を製造しやすい観点から炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分を用いることが好ましい。
なお、アルキレンオキサイド鎖を含むモノマー成分は親水性モノマーであり、炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分は疎水性モノマーである。
(アルキレンオキサイド鎖を含むモノマー成分)
前記アルキレンオキサイド鎖を含むモノマー成分としては特に制限はなく、公知のアルキレンオキサイド鎖を含むモノマー成分を用いることができる。
前記アルキレンオキサイド鎖を含むモノマー成分としては、メタクリル酸及びアクリル酸と、ポリオール化合物の片末端をアルキルエーテル化した化合物が、エステル結合で連結された化合物を挙げることができる。
「ポリオール化合物の片末端をアルキルエーテル化した化合物」とは下記に記載するポリオール化合物を炭素数1〜10のアルキル化合物でエーテル化したものであり、好ましくは炭素数1〜5、より好ましくはメチルエーテル化(炭素数1)したものである。
(i)ポリオール化合物
ポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、分子中に2個以上の水酸基を有する脂肪族炭化水素、分子中に2個以上の水酸基を有する脂環式炭化水素、分子中に2個以上の水酸基を有する不飽和炭化水素等が用いられる。これらのポリオールは単独で用いることも、2種類以上併用することもできる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族ポリエーテルポリオール、脂環式ポリエーテルポリオール、芳香族ポリエーテルポリオールを挙げることができる。
ここで、脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、およびトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加トリオール、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加トリオール、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド付加トリオール、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加テトラオール、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加ヘキサオール等のアルキレンオキサイド付加ポリオール等の多価アルコール、あるいは2種類以上のイオン重合性環状化合物を開環重合させて得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
なお、イオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル等の環状エーテル類が挙げられる。上記二種類以上のイオン重合性環状化合物の具体的な組み合わせとしては、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、テトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、エチレンオキシドとプロピレンオキシド、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシド、テトラヒドロフランとブテン−1−オキシドとエチレンオキシド等を挙げることができる。
また、上記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミン等の環状イミン類、β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸、あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルポリオールを使用することもできる。
脂環式ポリエーテルポリオールとしては、例えば水添ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加ジオール、水添ビスフェノールFのアルキレンオキシド付加ジオール、1,4−シクロヘキサンジオールのアルキレンオキシド付加ジオール等が挙げられる。
芳香族ポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのアルキレンオキシド付加ジオール、ビスフェノールFのアルキレンオキシド付加ジオール、ハイドロキノンのアルキレンオキシド付加ジオール、ナフトハイドロキノンのアルキレンオキシド付加ジオール、アントラハイドロキノンのアルキレンオキシド付加ジオール等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールの市販品としては、例えば脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、PTMG650、PTMG1000、PTMG2000(以上、三菱化学(株)製)、PPG1000、EXCENOL1020、EXCENOL2020、EXCENOL3020、EXCENOL4020(以上、旭硝子(株)製)、PEG1000、ユニセーフDC1100、ユニセーフDC1800、ユニセーフDCB1100、ユニセーフDCB1800(以上、日本油脂(株)製)、PPTG1000、PPTG2000、PPTG4000、PTG400、PTG650、PTG2000、PTG3000、PTGL1000、PTGL2000(以上、保土谷化学工業(株)製)、PPG400、PBG400、Z−3001−4、Z−3001−5、PBG2000、PBG2000B(以上、第一工業製薬(株)製)、TMP30、PNT4グリコール、EDA P4、EDA P8(以上、日本乳化剤(株)製)、クオドロール(旭電化(株)製)が挙げられる。芳香族ポリエーテルポリオールとしてはユニオールDA400、DA700、DA1000、DB400(以上、日本油脂(株)製)等を挙げることができる。
また、上記ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基酸とを反応させて得られる。ここで、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加体、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド付加体、トリメチロールプロパンのエチレンオキシドとプロピレンオキシドの付加体、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、アルキレンオキシド付加ポリオール等が挙げられる。また、多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。これらのポリエステルポリオールの市販品としては、クラポールP1010、クラポールP2010、PMIPA、PKA−A、PKA−A2、PNA−2000(以上、(株)クラレ製)等を使用することができる。
また、上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば下記一般式(i)で示されるポリカーボネートジオールが挙げられる。
Figure 0006196635
一般式(i)中、R1は、炭素数2〜20のアルキレン基、(ポリ)エチレングリコール残基、(ポリ)プロピレングリコール残基または(ポリ)テトラメチレングリコール残基を示し、mは1〜30の範囲の整数である。
1の具体例としては、次の化合物から両末端水酸基を除いた残基、すなわち1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1、7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等から水酸基を除いた残基が挙げられる。これらのポリカーボネートポリオールの市販品としては、DN−980、DN−981、DN−982、DN−983(以上、日本ポリウレタン工業(株)製)、PC−8000(PPG社製)、PNOC1000、PNOC2000、PMC100、PMC2000(以上、(株)クラレ製)、プラクセルCD−205、CD−208、CD−210、CD−220、CD−205PL、CD−208PL、CD−210PL、CD−220PL、CD−205HL、CD−208HL、CD−210HL、CD−220HL、CD−210T、CD−221T(以上、ダイセル化学工業(株)製)等を使用することができる。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、εーカプロラクトンを例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール等のジオールに付加反応させて得られるポリカプロラクトンジオールが挙げられる。これらの市販品としては、プラクセル205、205AL、212、212AL、220、220AL(以上、ダイセル化学工業(株)製)等を使用することができる。
分子中に2個以上の水酸基を有する脂肪族炭化水素としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1、7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ヒドロキシ末端水添ポリブタジエン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
分子中に2個以上の水酸基を有する脂環式炭化水素としては、例えば1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、ジシクロペンタジエンのジメチロール化合物、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられる。
分子中に2個以上の水酸基を有する不飽和炭化水素としては、例えばヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端ポリイソプレン等が挙げられる。
さらにまた、上記以外のポリオールとしては、例えばβ−メチル−δ−バレロラクトンジオール、ひまし油変性ジオール、ポリジメチルシロキサンの末端ジオール化合物、ポリジメチルシロキサンカルビトール変性ジオール等が挙げられる。
これらのポリオール化合物の好ましい質量平均分子量は1000〜10000、特に好ましくは1000〜9000である。質量平均分子量は、ポリマーの一部をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される値とする。本発明における質量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とした値である。
最も好ましくは、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルであり、その数平均分子量は100〜10000であり、好ましくは200〜5000であり、最も好ましくは300〜1000である。
(炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分)
前記炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分としては特に制限はなく、公知の炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分を用いることができる。前記炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分は液晶性モノマーであることが、揮散性が低い観点や、後述するミクロ相分離構造膜を製造しやすい観点から好ましい。いかなる理論に拘泥するものでもないが、液晶性モノマーを用いる場合、リビング重合後の残存モノマー成分が相分離配向を促進できることができる。
また、液晶場での重合とすることで、リビング重合の反応速度を速くすることもできる。
前記液晶性モノマーの中でも重合性液晶化合物を用いることが好ましい。いかなる理論に拘泥するものでもないが、重合性液晶化合物を用いる場合、リビング重合後の残存モノマー成分を、後述する相分離構造を固定化する工程で架橋または重合させることによって、相分離構造を固定化しやすくすることができる。すなわち、本発明のブロック共重合体は、前記炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)中、炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有していることが好ましく、前記メソゲン側鎖が、前記メソゲン側鎖1本の中に少なくとも1個の重合性基を有することがより好ましい。前記重合性基の好ましい範囲は、後述の一般式(X)中の前記QおよびQが表す重合性基の好ましい範囲と同様である。
炭素数6〜50のメソゲン側鎖は、炭素数6〜40のメソゲン側鎖であることがより好ましく、炭素数6〜30のメソゲン側鎖であることが特に好ましい。「メソゲン基」は、液晶化合物のコア部を形成し得る基を含み、メソゲン基を有する化合物の例には、液晶性化合物が含まれるとともに、メソゲン基を有するが液晶形成をしない、即ち非液晶性化合物、も含まれる。メソゲン基についてさらに説明する。本発明において、メソゲン基とは、液晶形成に寄与する液晶分子の主要骨格を示す基である。液晶分子は、結晶状態と等方性液体状態の中間の状態(メソフェーズ)である液晶性を示す。前記メソゲン基については特に制限はなく、例えば、「Flussige Kristalle in Tabellen II」(VEB Deutsche Verlag fur Grundstoff Industrie,Leipzig、1984年刊)、特に第7頁〜第16頁の記載、及び、液晶便覧編集委員会編、液晶便覧(丸善、2000年刊)、特に第3章の記載、を参照することができる。好ましくは、サーモトロピック液晶の残基であり、さらに好ましくは、棒状液晶及びディスコティック液晶の残基である。棒状液晶ではネマティック相及びスメクティックA相を示す液晶の残基がより好ましく、ディスコティック液晶ではディスコティックネマティック相を示す液晶の残基がより好ましい。
ディスコティック液晶の残基の好ましい例には、ベンゼン、トリフェニレン、トルキセン、トリオキサトルキセン、アントラキノン、フタロシアニン又はポリフィリン、マクロサイクレン、ビス(1,3−ジケトン)銅錯体、テトラアリールビピラニリデン、テトラチアフルバレン、及びイノシトールが含まれる。
棒状液晶の残基、即ち、棒状液晶のメソゲン基あるいはコア部と呼ばれる剛直な液晶形成に寄与する液晶分子の主要骨格としては、後述する一般式(X)中の−Cy−L−(Cy−L−Cy−L−で表される基であることが好ましい。
これらの中でも前記メソゲン基としては、後述する一般式(X)中の−Cy−L−(Cy−L−Cy−L−で表される基であることが好ましく、前記−Cy−L−(Cy−L−Cy−L−で表される基のより好ましい範囲は後述の一般式(X)における各基の好ましい範囲と同様である。
前記液晶性モノマーの中でも棒状液晶化合物であることがより好ましい。支持体上でリビング重合する際に、残存するモノマー成分もしくはポリマー(開始剤由来のポリマーなど)がミクロ相分離構造の形成に不利に作用することが予想された。しかし特定の棒状液晶化合物を液晶性モノマーとして使用した場合には、液晶モノマーが残存し、流動性が高まるため欠陥のない綺麗なシリンダー型ミクロ相分離構造を形成することができる。
−棒状液晶化合物−
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
前記棒状液晶化合物の中でも、棒状液晶化合物を重合によって配向を固定することができる重合性棒状液晶化合物であることがより好ましい。
重合性棒状液晶化合物としては、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、および特願2001−64627号(特開2001−328973号公報)、特開2004−1235979号公報、Transactions of Materials Reseach Society of Japan, 28[3], 553−556(2003)、特開2008−127336号公報、特開2010−116463号公報などに記載の化合物、ならびに、後述の一般式(X)にて表される化合物および後述の一般式(V)で表される化合物などを用いることができる。
また、重合性棒状液晶化合物として好ましくは、下記一般式(X)にて表される化合物および後述の一般式(V)で表される化合物であり、前記一般式(X)で表される化合物がより好ましい。
一般式(X) Q−L−Cy−L−(Cy−L−Cy−L−Q
一般式(X)中、QおよびQはそれぞれ独立に重合性基であり、L、およびLはそれぞれ独立に二価の連結基であり、LおよびLのうち少なくとも一方は、少なくとも炭素数2〜20のアルキレン基を含み、LおよびLはそれぞれ独立に単結合または二価の連結基であり、Cy、CyおよびCyは二価の環状基であり、nは0、1、2、または3である。
以下にさらに一般式(X)で表される重合性棒状液晶化合物について説明する。
前記一般式(X)中、QおよびQはそれぞれ独立に重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 0006196635
これらの重合性基の中でも、QおよびQのうち少なくとも一方が
Figure 0006196635
のいずれかであることが好ましく、QおよびQのうち他の一方がオキセタン環を有する基(以下、オキセタニル基とも言う)であることが好ましい。
前記一般式(X)中、LおよびLはそれぞれ独立に二価の連結基であり、LおよびLのうち少なくとも一方は、少なくとも炭素数2〜20のアルキレン基を含む。LおよびLはそれぞれ独立に、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−C=N−、二価の鎖状基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記Rは炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子である。
組み合わせからなる二価の連結基の例を以下に示す。ここで、左側がQ(QまたはQ)に、右側がCy(CyまたはCy)に結合する。
L−1:−CO−O−二価の鎖状基−O−
L−2:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−
L−3:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−4:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−O−
L−6:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−O−CO−
L−7:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−8:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−9:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−10:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−
L−11:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−12:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−13:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−14:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−15:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−16:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−
L−17:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−18:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−19:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−20:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−21:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−22:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−
二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は2〜20であることが好ましく、3乃至18であることがより好ましく、4乃至16であることがさらに好ましく、5乃至15であることが最も好ましい。LおよびLが表す二価の連結基中に含まれるすべてのアルキレン基の炭素数の合計が上記範囲であることが好ましく、例えばL−1〜L−22中に二価の鎖状基が複数含まれる場合はアルキレン基である二価の鎖状基の合計の炭素数が上記範囲であることが好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素数は2乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
二価の鎖状基の具体例としては、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、2−メチル−テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、2−ブテニレン、2−ブチニレンなどが挙げられる。
二価の環状基の定義および例は、後述するCy、CyおよびCyの定義および例と同様である。
およびLのうちオキセタン基に結合する一方の連結基がL−21であることが好ましく、LおよびLのうち他の一方はL−1であることが好ましい。
前記一般式(X)中、Rは、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることがもっとも好ましい。
前記一般式(X)中、LまたはLはそれぞれ独立に単結合または二価の連結基である。LおよびLはそれぞれ独立に、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−C=N−、二価の鎖状基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基または単結合であることが好ましい。上記Rは炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることがもっとも好ましい。二価の鎖状基、および二価の環状基についてはLおよびLの定義と同義である。
またはLとして好ましい二価の連結基としては、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OCONR−、−COS−、−SCO−、−CONR−、−NRCO−、−CHCH−、−C=C−COO−、−C=N−、−C=N−N=C−、等が挙げられる。
およびLはそれぞれ独立に−COO−または−OCO−であることが好ましい。
前記一般式(X)において、nは0、1、2、または3である。nが2または3の場合、二つのLは同じであっても異なっていてもよく、二つのCyも同じであっても異なっていてもよい。nは1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
前記一般式(X)において、Cy、CyおよびCyは、それぞれ独立に、二価の環状基である。
環状基に含まれる環は、5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。
環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至5のアルキル基、炭素原子数が1乃至5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至5のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至5のアルキルチオ基、炭素原子数が2乃至6のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至6のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至6のアシルアミノ基が含まれる。
以下に、前記一般式(X)で表される重合性液晶化合物の例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006196635
Figure 0006196635
Figure 0006196635
Figure 0006196635
また、棒状液晶化合物としては、下記一般式(V)で表される化合物も好ましい。
一般式(V) M−(L)p−Cy−L−(Cy−L−Cy−(L)q−M
一般式(V)中、M、および、Mはそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ハロゲン、−SCN、−CF、ニトロ基、または、Qを表すが、M、および、Mの少なくとも一つは、Q以外の基を表す。
ただし、Q、L、L、L、L、Cy、Cy、Cyおよびnは前記一般式(X)で表される基と同義である。また、pおよびqは0、または1である。
、および、Mが、Qを表さない場合、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、シアノ基であることが好ましく、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、フェニル基であり、pおよびqは0であることが好ましい。
なお、前記一般式(X)で表される重合性棒状液晶化合物と前記一般式(V)で表される化合物を混合して用いてもよい。また、前記一般式(X)で表される重合性液晶化合物と、一般式(V)で表される化合物の混合物中における、前記一般式(V)で表される化合物の好ましい混合比率としては、0.1%〜40%であり、より好ましくは、1%〜30%であり、更に好ましくは、5%〜20%である。
以下に、前記一般式(V)で表される化合物の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006196635
Figure 0006196635
また本発明に用いることができる重合性液晶化合物のうち二つ以上のアクリル基及びメタクリル基を有する化合物は、そのうち一つが潜在的に重合性基を内在していても構わない。すなわち以下のような化合物からEP2130817記載の化学反応により重合性基を発現させることができるため、二つ以上のアクリル基及びメタクリル基を有する化合物の一方をリビング重合に用いた後に、潜在的に重合性基を内在している部分を化学反応により処理して重合性基を発生させても良い。
Figure 0006196635
本発明中の各一般式では上記重合性液晶化合物1及び2をなんら区別なく記載しており、本発明中では同義とみなしている。
<溶媒>
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法において、前記モノマー含有組成物に使用できる溶媒としては、反応を阻害しないものであればいずれでも使用することができる。
具体的には、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンのような脂環族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびジメチルフタレート等のエステル系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフランおよびアニソールのようなエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド、N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン等を挙げることができる。
また、水を溶媒として、懸濁重合、乳化重合することもできる。これらの溶媒は、単独でもまたは2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒の使用によって、反応液が均一相となることが好ましいが、不均一な複数の相となっても構わない。
(ATRP(原子移動ラジカル重合))
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法の好ましい態様の一つは、前記リビング重合が原子移動ラジカル重合であり、かつ、前記支持体が金属製の支持体である態様である。
本明細書中におけるATRP(原子移動ラジカル重合)とは、リビングラジカル重合の一つであり、有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物などを開始剤、遷移金属を中心金属とする金属錯体又は遷移金属の単体を触媒としてラジカル重合性単量体をラジカル重合する方法である。
ATRPの好ましい態様としては、具体的には、例えば、Matyjaszewskiら、Chem. Rev., 101, 2921 (2001)、WO96/30421号公報、WO97/18247号公報、WO98/01480号公報、WO98/40415号公報、WO00/156795号公報、あるいは澤本ら、Chem. Rev., 101, 3689 (2001)、特開平8−41117号公報、特開平9−208616号公報、特開2000−264914号公報、特開2001−316410号公報、特開2002−80523号公報、特開2004−307872号公報などが挙げられる。
−開始剤−
ATRPに用いられる開始剤としては、特に制限はなく、例えば有機ハロゲン化物やハロゲン化スルホニル化合物が挙げられるが、特に炭素−炭素二重結合または炭素−酸素二重結合のα位に存在する炭素−ハロゲン結合、あるいは一つの炭素原子上に複数のハロゲンが付加した構造が開始剤構造として好適である。本発明においては、炭素−炭素二重結合のα位に存在する炭素−ハロゲン結合、あるいは一つの炭素原子上に複数のハロゲンが付加した構造を開始剤構造として利用することができる。
ATRPに用いられる開始剤は、ミクロ相分離構造膜を製造しやすくする観点からは、親水性ユニットを含むマクロ開始剤であることが好ましく、ポリアルキレンオキシ構造を含むマクロ開始剤であることがより好ましい。
前記ポリアルキレンオキシ構造としては特に制限はないが、アルキレンオキシ基が炭素数1〜1000のアルキレンオキシ基であることが好ましく、炭素数10〜400のアルキレンオキシ基であることがより好ましく、エチレンオキシ基であることが特に好ましい。
前記ポリアルキレンオキシ構造中、アルキレンオキシ構造の繰り返し単位数は特に制限はないが、1〜500であることが好ましく、3〜250であることがより好ましく、5〜200であることが特に好ましい。
本発明では市販のATRP用開始剤を用いてもよく、例えば、低分子ATRP用開始剤としてエチル−α−ブロモイソブチレート(アルドリッチ社製)などを挙げることができる。
一方、マクロ開始剤であるATRP用開始剤は、合成により製造してもよい。マクロ開始剤であるATRP用開始剤としては、例えば、以下のものを用いることができるが、本発明は以下の具体例によって制限されるものではない。
Figure 0006196635
前記モノマー組成物中、前記ATRP用開始剤の添加量は、前記モノマー成分に対して、1〜60質量%であることが好ましく、5〜55質量%であることがより好ましく、10〜45質量%であることが特に好ましい。
配位子としては、Macromolecules、2006、39、4953.に記載の配位子を好適に使用することができる。
2,2’−ビピリジン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミンを用いることが特に好ましい。
前記モノマー組成物中、配位子の添加量は、前記モノマー成分に対して、0.1〜40質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが特に好ましい。
−重合触媒−
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、ATRPの重合触媒としては特に制限はない。
ATRPの重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル若しくはその誘導体、1,10−フェナントロリン若しくはその誘導体、又はテトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)も、触媒として好適である。
ATRPの重合触媒として用いられる遷移金属の単体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素の金属である。更に好ましいものとして、銅、ルテニウム、鉄又はニッケルが挙げられる。なかでも、銅が好ましい。
本発明の製造方法では、前記支持体として金属製の支持体を用い、この金属製の支持体をATRPの重合触媒としても利用することが好ましい。
金属製の支持体上でのリビング重合は金属製の支持体を触媒として用いることにより、モノマー含有組成物に金属触媒を添加する通常のATRP後の組成物から金属を除去する手間を省けるために経済合理性がある。
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、金属製の支持体が、金属性のフィルムであることが好ましい。金属性のフィルムは、厚み5〜50μmのものを用いることが操作上と経済合理性の観点から好ましい。金属性のフィルムは、幅が100〜500mmのものを用いることが連続生産の観点から好ましい。
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、金属製の支持体における金属が銅であることが好ましい。この場合に用いられる支持体としては、銅フィルムを好ましく用いることができる。
前記金属性の支持体としては市販の支持体を用いてもよく、例えば、銅フィルムとして日本製箔株式会社製、圧延銅箔TCUなどを挙げることができる。
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記モノマー含有組成物の前記金属製の支持体と接していない面を別の支持体で覆い、前記モノマー含有組成物を挟圧しながら加熱することが、用いる材料(前記モノマー成分や前記開始剤)を揮散させにくくする観点から好ましい。前記別の支持体は、さらにATRPの重合触媒活性を付与する観点から、前述の金属製の支持体をもう1枚用いることが好ましい。
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記金属製の膜における金属が銅であることが好ましい。この場合に用いられる金属製の膜の好ましい範囲は、前記金属性の支持体の好ましい範囲と同様である。
前記モノマー含有組成物を挟圧するときにかける圧力としては特に制限はないが、例えば0.1〜500KPaとすることが製造上の観点から好ましい。
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記リビング重合体中の銅イオン濃度が、前記リビング重合体に対して5ppm以下であることが好ましい。
なお、モノマー含有組成物に重合触媒として金属触媒を添加していた通常のATRPでは、例えば金属触媒として銅を用いる場合は、前記リビング重合体中の銅イオン濃度が前記リビング重合体に対して100ppmを超える程度であった。
−モノマー−
ATRPで用いられるモノマー(ラジカル重合性単量体)としては、前述のモノマー成分と同様のものが挙げられる。
(RAFT(可逆的付加開裂連鎖移動)重合)
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法の好ましい態様の一つは、前記リビング重合が可逆的付加開裂連鎖移動重合である態様である。
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記モノマー含有組成物が、モノマー成分として重合性棒状液晶化合物を含むことが好ましい。
−RAFT剤−
RAFT重合で用いられるRAFT剤としては、特に制限はなく、公知のRAFT剤を用いることができる。例えば、Macromolecules、2006、39、4953.に記載のものなどを挙げることができる。
本発明では市販のRAFT剤を用いてもよく、例えば、低分子RAFT剤として4−シアノ−4−[(ドデシルスルファニル−チオカルボニル)スルファニル]ペンタノイック酸や、2−シアノ−2−プロピルベンゾジチオエート(いずれもアルドリッチ社製)などを挙げることができる。また、マクロRAFT剤として、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(4−シアノ−4−ペンタノエート ドデシル トリチオカーボネートや、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(4−シアノ−4−(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル)ペンタノエート(いずれもアルドリッチ社製)などを挙げることができる。
前記モノマー組成物中、前記RAFT剤の添加量は、前記モノマー成分に対して、1〜60質量%であることが好ましく、5〜55質量%であることがより好ましく、10〜45質量%であることが特に好ましい。
−ラジカル重合開始剤−
ラジカル重合開始剤としては市販のラジカル重合開始剤を用いることが可能である。和光純薬製V−70、V−60(AIBN)、V−40、V−65、V−601、V−59、V−30、V−501などが好ましく、AIBNを用いることが特に好ましい。
前記モノマー組成物中、ラジカル重合開始剤の添加量は、前記モノマー成分に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.2〜1質量%であることが特に好ましい。
−モノマー−
RAFT重合で用いられるモノマー(ラジカル重合性単量体)としては、前述のモノマー成分と同様のものが挙げられる。
<光重合開始剤>
本発明では、本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法を用いてミクロ相分離構造膜を形成する場合は、前記モノマー成分として重合性棒状液晶化合物を用いて、さらに光重合開始剤を添加することが好ましい。ミクロ相分離構造膜を形成するときに、重合性棒状液晶化合物と光重合開始剤を併用することで、相分離構造を容易に固定することができる。前記光重合開始剤としては、光酸発生剤として公知の化合物が好ましく、例えば、特開2012−150428号公報に記載されている光酸発生剤などを用いることができる。
前記光酸発生剤としては、例えば、以下のものを用いることができるが、本発明は以下の具体例によって制限されるものではない。
Figure 0006196635
前記モノマー組成物中、前記光重合開始剤の添加量は、前記モノマー成分に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.2〜1質量%であることが特に好ましい。
<その他の添加剤>
前記モノマー含有組成物には、その他の添加剤を添加してもよい。その他の添加剤としては、例えば、液晶便覧、液晶便覧編集委員会編、丸善株式会社に記載されているような重合性棒状液晶化合物に併用することができる添加剤などを挙げることができる。
<重合条件>
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法において、支持体上でリビング重合ができる限りは重合条件や重合方法は特に限定されず、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、塊状・懸濁重合などを適用することができる。
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法では、
(i)前記モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程と、
(ii)前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程
を含むことが好ましい。
(適用方法)
前記モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程における適用方法としては特に制限はないが、溶液プロセスにより成膜することが特に好ましい。
溶液プロセスによる成膜とは、ここでは有機化合物を溶解させることができる溶媒中に溶解させ、その溶液を基板上に塗布し乾燥させて成膜する方法を指す。具体的には、キャスト法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スピンコート法、ラングミュア−ブロジェット(Langmuir−Blodgett)(LB)法などの通常の方法を用いることができる。本発明においては、キャスト法、スピンコート法、およびインクジェット法を用いることがさらに好ましい。このような溶液プロセスにより、表面が平滑で大面積の薄膜を低コストで生産することが可能となる。
スピンコートは、例えば、100〜5000回転/分で、5〜60秒間行うことが好ましい。
前記モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程における前記モノマー含有組成物の適用後の厚みの好ましい範囲は、後述する本発明のミクロ相分離構造膜の厚みの好ましい範囲と同様である。
前記モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程の前に、前記支持体への表面修飾やガイドなど(ラビングなど)を行っても、行わなくてもよいが、製造コストおよび工程の短縮化の観点から、行わないことが好ましい。特に、前記モノマー成分および前記開始剤として、互いに非相溶性の疎水性および親水性のものを組み合わせて用いる場合、支持体への表面修飾やガイドなしで、後述のミクロ相分離構造を形成することができる。特に、本発明の製造方法により、後述する両親媒性・液晶ブロックコポリマーを形成する場合は、支持体への表面修飾やガイドなしでも欠陥のない綺麗なシリンダー型ミクロ相分離構造を形成することができる。
(重合時間)
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程が、1000秒以下であることが好ましく、800秒以下であることがより好ましく、600秒以下であることが特に好ましい。
前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程の時間の下限値は特に制限されるものではないが、5秒以上とすることが好ましい。
(反応温度)
反応温度は重合反応が進行する温度であればいずれでも構わず、所望する重合体の重合度、使用する重合開始剤および溶媒の種類や量によって一様ではないが、通常、−100℃〜250℃である。
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程が、50〜200℃での加熱であることが好ましく、より好ましくは60℃〜180℃であり、更に好ましくは80℃〜160℃である。
加熱方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができ、例えば前記支持体をホットプレート上に載せて、前記モノマー含有組成物を前記支持体ごと加熱する方法などを挙げることができる。
なお、加熱後は、最終的に室温まで放冷してリビング重合体を得ることが好ましい。
前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程でのリビング重合反応は場合によって減圧、常圧または加圧のいずれでも実施できる。
また、上記重合反応は、特に開始剤が低分子開始剤であるときは窒素やアルゴン等の不活性ガスのフロー下で行うことが好ましく、窒素ガスのフロー下で行うことがより好ましい。不活性ガスのフロー条件としては特に制限はないが、例えば、0.001〜50L/minとすることができる。
(モノマー消費率)
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程のモノマー消費率を、10〜100%に制御することが、相分離を迅速に形成する観点から、好ましい。前記モノマー消費率は、20〜100%であることがより好ましく、30〜100%であることが特に好ましい。
上述のモノマー消費率は、得られたリビング重合体を重THFにて抽出した抽出液について、H−NMR(BRUKER−300MHZ)測定を行うことにより求めることができる。
<リビング重合体>
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法により、リビング重合体が製造される。リビング重合体は、前記支持体上で、フィルム状に形成されることが好ましい。
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、得られるリビング重合体の数平均分子量Mnが1000〜100000であることが好ましく、2000〜50000であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましい。
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、得られるリビング重合体の抽出液の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1.3を超えることが、残存モノマーが相分離構造の欠陥を補修する点、残存マクロ開始剤及び残存マクロRAFT剤が相分離構造のサイズを制御する点からは好ましい。
一方、Mw/Mnが1.3以下であることが、相分離構造を安定的に形成させる観点からは好ましい。
本明細書中、ブロック共重合体、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分、炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分などの数平均分子量Mnは、以下の方法で測定した値を採用する。
ポリマーをTHFに溶解させ、東ソー製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて行った。数平均分子量Mnはポリスチレン換算で計算した。
また、本明細書中、ブロック共重合体、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分、炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分などの重量平均分子量Mwは、以下の方法で測定した値を採用する。
ポリマーをTHFに溶解させ、東ソー製高速GPC(HLC−8220GPC)を用いて行った。重量平均分子量Mwはポリスチレン換算で計算した。
<ブロック共重合体の形成>
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記リビング重合体が、ブロック共重合体であることが好ましい。この場合、本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、下記(1)および(2)の工程を、支持体上で実施することがより好ましい。
(1)前記モノマー含有組成物として、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分を含むモノマー含有組成物、ならびに、アルキレンオキサイド鎖を含むモノマー成分および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分を含むモノマー含有組成物のうち少なくとも一方を用いて、該モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程
(2)前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させて、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分と炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分とが共有結合にて連結されたブロック共重合体を得る工程
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、下記(1’)および(2)の工程を、支持体上で実施することが特に好ましい。
(1’)前記モノマー含有組成物として、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分を含むモノマー含有組成物を用いて、該モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程
(2)前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させて、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分と炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分とが共有結合にて連結されたブロック共重合体を得る工程
前記(1)および(1’)工程の好ましい製造条件は、前記(i)工程の好ましい製造条件と同様である。前記(2)工程の好ましい製造条件は、前記(ii)工程の好ましい製造条件と同様である。
本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法は、前記ブロック共重合体が、ミクロ相分離構造膜の形成用のブロック共重合体であることが好ましい。
得られたブロック共重合体を機能材料として用いるためには、ブロック共重合体反応混合物を一旦取り出し精製した後に、ブロック共重合体を基材(または支持体)に塗布して相分離構造を形成させるのが一般的である。一方、本発明のリビング重合体の製造方法によりブロック共重合体を得る場合は支持体上でリビング重合した後に、そのまま支持体上に相分離構造を形成させることができるため更に経済合理性に富む。
[ブロック共重合体]
本発明のブロック共重合体は、本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法において、前記リビング重合体がブロック共重合体となる条件で得られたことを特徴とする。前記リビング重合体がブロック共重合体となる条件としては、上述の(1)および(2)の工程を行う方法を挙げることができ、上述の(1’)および(2)の工程を行う方法が好ましい。
得られたブロック共重合体の好ましい分子量の範囲は、本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法で得られるリビング重合体の好ましい分子量の範囲と同様である。
本発明のブロック共重合体の用途としては特に制限はないが、本発明のブロック共重合体はミクロ相分離構造膜の形成用のブロック共重合体であることが好ましい。
本発明のブロック共重合体は、構造上の制限は特にないが、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、前記炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有していることが好ましい。このようなブロック共重合体は、両親媒性・液晶ブロックコポリマーと呼ばれることもある。
本発明のブロック共重合体は、前記炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)が炭素数6〜50のメソゲン側鎖を有するポリ((メタ)アクリレート)であることが好ましく、前記重合性棒状液晶化合物由来のポリマー成分を含むことがより好ましい。
本発明のブロック共重合体は、前記アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)が、ポリアルキレンオキシ構造を含むことが好ましく、前記マクロ開始剤由来のポリマー成分を含むことがより好ましい。
本発明のブロック共重合体は、前記アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および前記炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)が直接結合していても、連結基を介して結合していてもよい。着色が少ないため、光関連用途では、前記アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および前記炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)の連結部に、下記2価の連結基のいずれかを含むブロック共重合体であってもよい。前記ポリマー成分(A)および前記ポリマー成分(B)の連結部に、下記一般式(11)および(12)で表される2価の連結基のうち少なくとも一方を導入する方法としては特に制限はない。例えば、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)、すなわち親水性マクロRAFT剤として下記一般式(11)および(12)で表される2価の連結基のうち少なくとも一方を有するものを用いる方法を挙げることができる。
Figure 0006196635

Figure 0006196635
本発明のブロック共重合体としては、下記一般式(I−1)、(I−2)などで表されるものなどを挙げることができる。
Figure 0006196635

Figure 0006196635
ここでXは下記一般式(3)に記載の構造およびハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素原子)もしくは水素原子を表す。
Figure 0006196635

(一般式(I−1)、(I−2)中、nおよびmはそれぞれ独立に1〜500の整数を表し、L11およびL12はそれぞれ独立に単結合またはアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、メタロセニレン基、−CO−N(R101)−、−CO−O−、−SO−N(R102)−、−SO−O−、−N(R103)−CO−N(R104)−、−SO−、−SO−、−S−、−O−、−CO−、−N(R105)−、ヘテリレン基を1つまたはそれ以上組み合わせて構成される炭素数0〜100以下、好ましくは1以上20以下の連結基を表し(R101、R102、R103、R104、R105は、各々独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表す。ただし、L12は少なくとも炭素数2〜20のアルキレン基を含む。)、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、Rはそれぞれ独立にオキセタニル基、エポキシ基、アクリレート基、メタクリレート基、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、Mは炭素数6〜50のメソゲン基を表し、Zは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。但し、m個の繰り返し単位は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
ここで一般式(I−1)および(I−2)、中、Zは置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキル基であることが好ましく、置換もしくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、炭素数4〜20のアルキル基であることが特に好ましい。
一般式(I−1)、(I−2)中、nは1〜500であることが好ましく、3〜250であることがより好ましく、5〜200であることが特に好ましい。
一般式(I−1)、(I−2)中、mは3〜200であることが好ましく、5〜150であることがより好ましく、10〜100であることが特に好ましい。
一般式(I−1)、(I−2)中、L11、L12は各々独立に、単結合、下記に記載する官能基または下記に記載する官能基から水素原子を2つ除去してなる2価の連結基を表すことが好ましく、特に限定は無いが、好ましくはアルキレン基(炭素数2〜20、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、アリーレン基(炭素数6〜26、例えばフェニレン、ナフチレン)、アルケニレン基(炭素数2〜20、例えばエテニレン、プロペニレン)、アルキニレン基(炭素数2〜20、例えばエチニレン、プロピニレン)、メタロセニレン基(例えばフェロセン)、−CO−N(R101)−、−CO−O−、−SO−N(R102)−、−SO−O−、−N(R103)−CO−N(R104)−、−SO−、−SO−、−S−、−O−、−CO−、−N(R105)−、ヘテリレン基(炭素数1〜26、例えば6−クロロ−1,3,5−トリアジル−2,4−ジイル基、ピリミジン−2,4−ジイル基)を1つまたはそれ以上組み合わせて構成される炭素数0〜100以下、好ましくは1以上20以下の連結基を表す。
ただし、L12は少なくとも炭素数2〜20のアルキレン基を含む。L12が含むアルキレン基の炭素数は3〜18であることが好ましく、4〜16であることがより好ましく、5〜15であることが特に好ましい。
上記、R101、R102、R103、R104、R105は、各々独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表す。また、L11、L12で表される連結基は、1つ以上複数個存在していてもよく、複数個(好ましくは2つ)が結合して環を形成してもよい。
一般式(I−1)、(I−2)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、メチル基であることが汎用性の観点から好ましい。
一般式(I−1)、(I−2)中、Mは炭素数6〜50のメソゲン基であることが好ましく、炭素数6〜40のメソゲン基であることがより好ましく、炭素数6〜30のメソゲン基であることが特に好ましい。Mが表す炭素数6〜50のメソゲン基の好ましい範囲は、前記一般式(X)中の前記−Cy−L−(Cy−L−Cy−L−の好ましい範囲と同様である。
一般式(I−1)、(I−2)中、Rは重合性基である、オキセタニル基、エポキシ基、アクリレート基、メタクリレート基であることが好ましく、オキセタニル基、エポキシ基であることがより好ましい。
本発明のブロック共重合体は、前記アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分(A)および前記炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分(B)の共重合割合(数平均分子量比)は、65:35〜1:99であることが好ましく、55:45〜5:95であることがより好ましく、45:55〜10:90であることが特に好ましい。
[ミクロ相分離構造膜の製造方法]
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法は、(3)本発明のブロック共重合体を前記支持体上で熱、光、溶媒蒸気または電場により相分離を促進させ、ミクロ相分離構造を形成する工程を含むことを特徴とする。ミクロ相分離構造を形成するための、本発明のブロック共重合体への熱、光、溶媒蒸気または電場により相分離を促進させる方法としては、加熱により相分離を促進する方法が好ましい。
図5に、ミクロ相分離構造膜の製造装置の一例の概略図を示す。図5では、支持体21を送り出しロール11から送り出し、塗布装置12により支持体上にモノマー含有組成物22が塗布され、前記モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程が行われる。
支持体上に設けられたモノマー含有組成物は、乾燥ゾーン13を経て、第一の熟成ゾーン14で、前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程が行われる。
その後、第二の熟成ゾーン15にて、前記支持体上でミクロ相分離構造を形成する工程が行われ、前記モノマー含有組成物は高速相分離される。
その後、UV照射ゾーン16にて、ミクロ相分離構造が固定化される。
その後、剥ぎ取りロール17により、支持体21からミクロ相分離構造膜が剥ぎ取られる。
なお、支持体21は、巻取りロール18で巻取られてもよい。
以下、各工程の好ましい態様を説明する。
<ミクロ相分離構造を形成する工程>
(反応時間)
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法は、前記(3)本発明のブロック共重合体を前記支持体上で加熱して、ミクロ相分離構造を形成する工程の時間は、5〜1000秒であることが好ましく、10〜600秒であることがより好ましく、30〜200秒であることが特に好ましい。
(反応温度)
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法は、前記(3)本発明のブロック共重合体を前記支持体上で加熱して、ミクロ相分離構造を形成する工程の加熱開始温度が40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは50℃〜200℃であり、更に好ましくは60℃〜190℃である。
前記(3)工程における加熱方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができ、例えば前記支持体をホットプレート上に載せて、前記モノマー含有組成物を前記支持体ごと加熱する方法などを挙げることができる。
なお、加熱開始後は、最終的に後述する(4)工程の開始温度(活性放射線の照射温度)まで降温することが好ましい。加熱開始後からUV照射温度までの降温速度は、1〜100℃/分であることが好ましく、5〜80℃/分であることがより好ましく、10〜50℃/分であることが特に好ましい。
<ミクロ相分離構造を固定化させる工程>
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法は、さらに(4)前記ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体を前記支持体上で架橋または重合させてミクロ相分離構造を固定化させる工程を含むことが好ましい。
前記ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体を前記支持体上で架橋または重合させてミクロ相分離構造を固定化させる工程の方法としては特に制限はないが、前記ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体への活性放射線の照射であることが好ましく、UV照射であることがより好ましい。
(活性放射線の照射)
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法は、(4)前記ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体を前記支持体上で架橋または重合させてミクロ相分離構造を固定化させる工程の活性放射線の照射温度は、40〜200℃であることが好ましく、より好ましくは50℃〜200℃であり、更に好ましくは60℃〜200℃である。
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法は、前記活性放射線の照射が、50〜2000mJ/cmであることが好ましく、100〜1500mJ/cmであることが好ましく、200〜1000mJ/cmであることが特に好ましい。
前記(4)工程における活性放射線の照射装置としては特に制限はなく、公知の装置を用いることができ、例えばHOYA社製 EXECURE3000などを挙げることができる。
なお、活性放射線の照射後は、最終的に室温まで放冷してミクロ相分離構造膜を得ることが好ましい。
<ミクロ相分離構造膜を剥ぎ取る工程>
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法は、前記ミクロ相分離構造膜を、前記支持体から剥ぎ取る工程を含むことが好ましい。
前記ミクロ相分離構造膜を、前記支持体から剥ぎ取る方法としては特に制限はない。
[ミクロ相分離構造膜]
本発明のミクロ相分離構造膜は、本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法で製造されたことを特徴とする。ここで、本明細書中、原子間力顕微鏡(AFMとも言う)で観察した場合に、ラメラ構造やシリンダー構造が確認できたときは「ミクロ相分離構造」を有していることとみなす。
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法で得られるミクロ相分離構造膜は、基板上に形成されるが、基板から剥離して用いてもよい。
前記ミクロ相分離構造膜の厚みが、1〜2000nmであることが好ましい。用途によって前記ミクロ相分離構造膜のより好ましい厚みは異なるが、例えば1〜500nmであることがより好ましい。
前記ミクロ相分離構造膜は、シリンダー型ミクロ相分離構造膜であることが好ましい。シリンダー型ミクロ相分離構造膜とは、前記アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分が固定されたシリンダーが、面内に多数並んでいる膜のことを言い、各シリンダーは等間隔で整列していることが好ましい。各シリンダーの高さは、1〜2000nmであることが好ましく、1〜500nmであることがより好ましい。各シリンダーの直径は、1〜1000nmであることが好ましく、1〜200nmであることがより好ましい。
(用途)
本発明のミクロ相分離構造膜の製造方法で得られるミクロ相分離構造膜は、光・電子機能材料(例えば輝度向上膜)、エネルギー関連材料、表面修飾材料、パターンドメディアのような高密度記録材料、種々のナノフィルター(透過膜、限外ろ過膜、ナノリアクター)、異方性イオン伝導膜、異方性導電膜、等として有用な配向の制御されたブロック共重合体からなるミクロ相分離構造膜である。
このようなミクロ相分離構造膜は、シリンダー構造部分を除去することにより、多孔質構造体として用いることもできる。ミクロ相分離構造膜から得られる多孔質構造体は、燃料電池用高分子電解質、イオン交換樹脂、マイクロリアクター用薄膜、蛋白質の分離膜、有機ゼオライトや種々のピラー用高配向用テンプレートなどの異方性イオン伝導材料として利用できる。
このようなミクロ相分離構造膜は、シリンダー構造部分を除去して、別の物質を導入することもできる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
以下の実施例では、得られるリビング重合体(ブロック共重合体)に残存モノマーや残存開始剤(開始剤が高分子の場合)が混入するために図1のようなGPCチャートが得られるが、その際にリビング重合体(ブロック共重合体)のMw(重量平均分子量)、Mn(数平均分子量)、分子量分布(Mw/Mn)は矢印のGPC測定エリアの値を記載している。
また、モノマー消費率は、モノマー添加量に対して、H−NMRの面積比から求められる残存モノマー量の割合(モル比)から計算した。
まず、各実施例および比較例で使用した材料およびその調製方法を以下に示す。
<低分子RAFT剤の調製>
(低分子RAFT剤(1))
市販の低分子RAFT剤(1)として、4−シアノ−4−[(ドデシルスルファニル−チオカルボニル)スルファニル]ペンタノイック酸(アルドリッチ社製)を利用する。
Figure 0006196635
(低分子RAFT剤(2))
市販の低分子RAFT剤(2)として、2−シアノ−2−プロピルベンゾジチオエート(アルドリッチ社製)を利用する。
Figure 0006196635
(低分子ATRP開始剤(3))
市販の低分子ATRP開始剤(3)として、エチル−α−ブロモイソブチレート(アルドリッチ社製)を利用する。
Figure 0006196635
<親水性部分の調製>
(親水性マクロRAFT剤A−1)
市販の親水性マクロRAFT剤A−1(ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(4−シアノ−4−ペンタノエート ドデシル トリチオカーボネート)(Mn5400、アルドリッチ社製))を利用する(分子量Mw8000、Mn7500、Mw/Mn=1.07:GPCポリスチレン換算)。
Figure 0006196635

(親水性マクロRAFT剤A−2)
市販の親水性マクロRAFT剤A−2(ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(4−シアノ−4−(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル)ペンタノエート)(Mn10000、アルドリッチ社製))を利用する。
Figure 0006196635
(親水性マクロ開始剤A−3)
市販のポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(Mn5000、アルドリッチ社製)30g、N,N’−ジメチルアミノピリジン0.81gを塩化メチレン180mlに溶解させ、2−ブロモイソラクサンブロミド(東京化成社製)1.52gを塩化メチレン20mlに溶解させた後に室温で滴下し、40℃で加熱環流して48時間攪拌した。
1規定の塩酸水溶液、0.5規定の炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定の塩酸水溶液の順番に分液操作を施し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ジエチルエーテルで再結晶した。
目的とするATRP親水性マクロ開始剤A−3を22g(分子量Mw8000、Mn7700、Mw/Mn=1.04:GPCポリスチレン換算)を得た。
Figure 0006196635

<疎水性モノマーの調製>
(疎水性モノマー合成例1)
Transactions of Materials Reseach Society of Japan, 28[3], 553−556, (2003)に記載の合成方法により液晶性モノマーB−1を合成した。
Figure 0006196635
(疎水性モノマー合成例2)
特開2008−127336号公報の実施例1に記載の合成法により液晶性モノマーB−2を合成した。
Figure 0006196635
(疎水性モノマー合成例3)
特開2008−127336号公報の実施例4に記載の合成法において、用いるカルボン酸化合物10の置換基の鎖長を変更した以外は同様の合成法により液晶性モノマーB−3を合成した。
Figure 0006196635
(疎水性モノマー合成例4)
特開2010−116463号公報に記載の合成法に基づいて、液晶性モノマーB−4を合成した。
Figure 0006196635
(疎水性モノマー合成例5)
以下に記載の合成法に従い、液晶性モノマーB−5を合成した。
Figure 0006196635
Figure 0006196635
メタンスルホニルクロリド(33.0mmol,2.6mL)のTHF溶液(17mL)にヒドロキノンモノメチルエーテル(37mg)を加え、内温を−5℃まで冷却した。そこに、a−1(31.5mmol,8.33g)とジイソプロピルエチルアミン(33.0mmol,5.75mL)のTHF溶液(16mL)を内温が0℃以上に上昇しないように滴下した。−5℃で30分撹拌した後、ジイソプロピルエチルアミン(33.0mmol,5.75mL)、b−1のTHF溶液(20mL)、DMAP(スパチュラ一杯)を加えた。その後、室温で4時間撹拌した。メタノール(5mL)を加えて反応を停止した後に、水と酢酸エチルを加えた。酢酸エチルで抽出した有機層を、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去しc−1の粗生成物を得た。
アルデヒドc−1のアセトニトリル溶液(67mL)に対し、亜塩素酸ナトリウム(42.0mmol,3.80g)の水溶液(32mL)、リン酸二水素ナトリウム二水和物(6.0mmol,0.94g)の水溶液(8.2mL)、過酸化水素水(4.0mL)を加え、室温で12時間撹拌した。1N 塩酸水溶液を100mL加えた後に、ろ過した。残渣をメタノールで少量のアセトニトリルで洗浄することにより、カルボン酸d−1を定量的に得た。
メタンスルホニルクロリド(6.0mmol,0.46mL)のTHF溶液(3mL)にヒドロキノンモノメチルエーテル(7mg)を加え、内温を−5℃まで冷却した。そこに、カルボン酸d−1(5.5mmol,2.1g)とジイソプロピルエチルアミン(6.0mmol,1.1mL)のTHF溶液(6mL)を内温が0℃以上に上昇しないように滴下した。−5℃で30分撹拌した後、ジイソプロピルエチルアミン(6.0mmol,1.1mL)、4−エチルフェノールであるe−1(5.0mmol,0.82g)のTHF溶液(4mL)、DMAP(スパチュラ一杯)を加えた。その後、室温で2時間撹拌した。メタノール(5mL)を加えて反応を停止した後に、水と酢酸エチルを加えた。酢酸エチルで抽出した有機層を、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し液晶性モノマーB−5の粗生成物を得た。酢酸エチルとメタノールで再結晶を行い、液晶性モノマーB−5を78%の収率で得た。
H−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):1.2(t,3H)、1.8−2.0(m,4H), 2.6(d,2H), 4.1−4.3(m,4H), 5.8(d,1H), 6.1(dd,1H), 6.4(d,1H), 6.9−7.0(m,2H), 7.1−7.2(m,2H), 7.2−7.3(m,2H), 7.3−7.4(m,2H), 8.1−8.2(m,2H), 8.2−8.3(m,2H)
[実施例1〜48:支持体上でのRAFT重合]
<実施例1:リビング重合体合成例>
低分子RAFT剤(1)(0.0081g)、液晶性モノマーB−1(0.493g)、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略、0.0028g)をトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlをガラス基板上(2cm角)に塗布して、スピンコーター(MIKASA社製 SPINCOATER1H−D7)を用いて1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。窒素フロー(0.5L/min)下、ホットプレート(PMC社製 DATAPLATE)上で下表に従い加熱した。その後、室温まで放冷し、リビング重合体1を得た(実施例1)。該フィルム状の実施例1のリビング重合体を重THFにて抽出して、H−NMR(BRUKER−300MHZ)測定によりモノマー消費量とGPC(TOSOH社製 HLC−8220GPC)の分析を実施した。ここでMwとは重量平均分子量を、Mnとは数平均分子量、PDIはMw/Mnを表し、分子量分布の意味である。得られた結果を下記表に記載した。
<実施例2〜5:リビング重合体合成例>
実施例1で使用した液晶性モノマーを等モル使用してB−1からB−2〜5に変更する以外は合成例1と同様にしてリビング重合体を得た(実施例2〜5)。実施例1と同様にH−NMR測定によりモノマー消費量とGPCの分析を行い、得られた結果を下記表に記載した。
Figure 0006196635
<実施例6〜10:リビング重合体合成例>
実施例1で使用した低分子RAFT剤(1)を等モル使用して低分子RAFT剤(2)に変更する以外は実施例1と同様にしてリビング重合体を得た(実施例6〜10)。実施例1と同様にH−NMR測定によりモノマー消費量とGPCの分析を行い、得られた結果を下記表に記載した。
Figure 0006196635
<実施例11〜22:ブロック共重合体合成例>
親水性マクロRAFT剤A−1(0.216g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、AIBN(0.0028g)をトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlをガラス基板上(2cm角)に塗布して、スピンコーター(MIKASA社製 SPINCOATER1H−D7)を用いて1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。窒素フロー(0.5L/min)下、ホットプレート(PMC社製 DATAPLATE)上で下表に従い加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体11〜22を得た(実施例11〜22)。該フィルム状の実施例11〜22のブロック共重合体11〜22を重THFにて抽出して、H−NMR(BRUKER−300MHZ)測定によりモノマー消費量とGPC(TOSOH社製 HLC−8220GPC)の分析を実施した。得られた結果を下記表に記載した。
Figure 0006196635
<実施例23〜31:ブロック共重合体合成例>
親水性マクロRAFT剤A−1(0.216g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、AIBN(0.0028g)をトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlをガラス基板上(2cm角)に塗布して、1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。大気下、上記ガラス基板をホットプレート上で下表に従い加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体23〜31を得た(実施例23〜31)。実施例1と同様にH−NMR測定によりモノマー消費量とGPCの分析を行い、得られた結果を下記表に記載した。
Figure 0006196635
<実施例32〜35:ブロック共重合体合成例>
親水性マクロRAFT剤A−1(0.216g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(以下V−40と略す。0.0043g)をトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlをガラス基板上(2cm角)に塗布した。上記ガラス基板の保護カバーとしてスライドガラスをのせ、窒素フロー(0.5L/min)下、ホットプレート上で下表に従い加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体32〜35を得た(実施例32〜35)。実施例1と同様にH−NMR測定によりモノマー消費量とGPCの分析を行い、得られた結果を下記表に記載した。
Figure 0006196635
<実施例36〜42:ブロック共重合体合成例>
親水性マクロRAFT剤A−1(0.216g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、V−40(0.0043g)をトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlをガラス基板上(2cm角)に塗布した。窒素フロー(0.5L/min)下、ホットプレート上で下表に従い加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体36〜42を得た(実施例36〜42)。実施例1と同様にH−NMR測定によりモノマー消費量とGPCの分析を行い、得られた結果を下記表に記載した。
Figure 0006196635
<実施例43〜45:ブロック共重合体合成例>
親水性マクロRAFT剤A−1(0.216g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、V−40(0.0043g)をトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlをガラス基板上(2cm角)に塗布した。大気下、ホットプレート上で下表に従い加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体43〜45を得た(実施例43〜45)。実施例1と同様にH−NMR測定によりモノマー消費量とGPCの分析を行い、得られた結果を下記表に記載した。
Figure 0006196635
<実施例46〜48:ブロック共重合体合成例・ミクロ相分離構造の確認・硬化>
親水性マクロRAFT剤A−1(0.216g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、AIBN(0.0028g)、下記構造の光酸発生剤E−1(0.0040g)をトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlをガラス基板(支持体)上(2cm角)に塗布して、スピンコーターを用いて1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。窒素フロー(0.5L/min)下、ホットプレート上でガラス基板を加熱し(熟成1)、さらに別のホットプレートを用いて大気下にて下表に従い既定の開始温度からUV照射温度まで降温させて(熟成2)、UV照射装置(HOYA社製 EXECURE3000)にて500mJ/cmにて硬化させた。
Figure 0006196635
Figure 0006196635
(AFM測定)
上記ガラス基板上でのリビング重合体の製造方法(実施例46〜48)で製造された、ガラス基板上のブロック共重合体を、AFM(SII社製 SPI3800N)にて測定した。測定した表面形状の代表例を図2〜図4に記す。ラメラやシリンダー状のミクロ相分離構造が観察された。
(支持体からのミクロ相分離構造膜の剥離)
実施例46〜48において、ガラス基板からミクロ相分離構造膜を剥離することも可能であった。
実施例46〜48で剥離したミクロ相分離構造膜の厚みは、それぞれ150nm、200nm、210nmであった。
[比較例1〜14:溶液中でのRAFT重合]
(ブロック共重合体比較合成例1)
液晶性モノマーB−1(0.493g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、ヘキサン200mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをエタノール40mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−1を0.33g得た。GPCの分析結果からMw22200、Mn17500、Mw/Mn=1.27であった。
Figure 0006196635
(ブロック共重合体比較合成例2)
液晶性モノマーB−1(0.739g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−2を0.6g得た。GPCの分析結果からMw31100、Mn25600、Mw/Mn=1.22であった。
(ブロック共重合体比較合成例3)
液晶性モノマーB−1(0.985g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−3を0.8g得た。GPCの分析結果からMw37100、Mn29100、Mw/Mn=1.28であった。
(ブロック共重合体比較合成例4)
液晶性モノマーB−1(0.493g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−2(0.200g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン200mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをエタノール40mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−4を0.4g得た。GPCの分析結果からMw22600、Mn17200、Mw/Mn=1.31であった。
Figure 0006196635
(ブロック共重合体比較合成例5)
液晶性モノマーB−2(0.677g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・9時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、THF2mlを添加後冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−5を0.4g得た。GPCの分析結果からMw24200、Mn17800、Mw/Mn=1.35であった。
Figure 0006196635
(ブロック共重合体比較合成例6)
液晶性モノマーB−2(1.015g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・9時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、THF5mlを添加後、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−6を0.7g得た。GPCの分析結果からMw32700、Mn24700、Mw/Mn=1.32であった。
(ブロック共重合体比較合成例7)
液晶性モノマーB−2(1.354g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・9時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、THF5mlを添加後、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−7を1.06g得た。GPCの分析結果からMw38600、Mn27200、Mw/Mn=1.42であった。
(ブロック共重合体比較合成例8)
液晶性モノマーB−2(0.846g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・9時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、THF5mlを添加後、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−8を0.6g得た。GPCの分析結果からMw29200、Mn23100、Mw/Mn=1.27であった。
(ブロック共重合体比較合成例9)
液晶性モノマーB−2(1.015g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・7時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、THF5mlを添加後、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−9を0.4g得た。GPCの分析結果からMw26300、Mn21800、Mw/Mn=1.21であった。
(ブロック共重合体比較合成例10)
液晶性モノマーB−2(0.677g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−2(0.200g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・9時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、THF2mlを添加後冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−10を0.6g得た。GPCの分析結果からMw24500、Mn18100、Mw/Mn=1.35であった。
Figure 0006196635
(ブロック共重合体比較合成例11)
液晶性モノマーB−3(0.329g)、液晶性モノマーB−1(0.246g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−11を0.4g得た。GPCの分析結果からMw27400、Mn21500、Mw/Mn=1.28であった。
Figure 0006196635
(ブロック共重合体比較合成例12)
液晶性モノマーB−3(0.066g)、液晶性モノマーB−1(0.443g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−12を0.3g得た。GPCの分析結果からMw25300、Mn19500、Mw/Mn=1.30であった。
(ブロック共重合体比較合成例13)
液晶性モノマーB−4(0.329g)、液晶性モノマーB−1(0.246g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−13を0.3g得た。GPCの分析結果からMw23000、Mn19000、Mw/Mn=1.21であった。
Figure 0006196635
(ブロック共重合体比較合成例14)
液晶性モノマーB−5(0.329g)、液晶性モノマーB−3(0.246g)、AIBN(0.0028g)、キシレン5mlに親水性マクロRAFT剤A−1(0.108g)を加えて窒素フローを開始し、オイルバスで60℃・11時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、冷却したヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後にろ過した。ブロック共重合体D−14を0.4g得た。GPCの分析結果からMw25000、Mn19000、Mw/Mn=1.32であった。
Figure 0006196635
以上の実施例1〜48と比較例1〜14の比較から、本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法によれば、RAFT重合の場合にリビング重合体(特にブロック共重合体)を短時間で経済合理的に製造できることがわかった。
また、本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法を用いることにより、ミクロ相分離構造膜を経済合理的に製造できることがわかった。
[実施例101〜121:支持体上でのATRP検討]
<実施例101:リビング重合体合成例>
ATRP開始剤A−3(0.0039g)、液晶性モノマーB−1(0.492g)、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(以下PMDETAと略)0.021gをトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlを銅フィルム(日本製箔株式会社、圧延銅箔TCU、厚み;18μm、2cm角)上に塗布して、1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。上記銅フィルム上のモノマー含有組成物の保護カバーとしてさらにモノマー含有組成物上に支持体として用いたものを同じ銅フィルムをのせ、5.3KPaで加圧しながら、Nフロー(0.5L/min)下、上記銅フィルムをホットプレート上で下表に従い加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体101を得た(実施例101)。実施例1と同様にH−NMR測定によりモノマー消費量とGPCの分析を行い、得られた結果を下記表に記載した。
<実施例102〜105:リビング重合体合成例>
実施例101のリビング重合体合成例で使用した液晶性モノマーを等モル使用してB−1からB−2〜5にそれぞれ変更する以外は実施例101のリビング重合体合成例と同様にしてリビング重合体を得た(実施例102〜105)。実施例1と同様にH−NMR測定によりモノマー消費量とGPCの分析を行い、得られた結果を下記表に記載した。
Figure 0006196635
<実施例106〜117:ブロック共重合体合成例>
親水性マクロ開始剤A−3(0.103g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、PMDETA0.021gをトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlを銅フィルム(日本製箔株式会社、圧延銅箔TCU、厚み;18μm、2cm角)上に塗布して、1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。上記銅フィルム上のモノマー含有組成物の保護カバーとしてさらにモノマー含有組成物上に支持体として用いたものを同じ銅フィルムをのせ、5.3KPaで加圧しながら、Nフロー(0.5L/min)下、上記銅フィルムをホットプレート上で下表に従い加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体106〜117を得た(実施例106〜117)。実施例1と同様にH−NMR測定によりモノマー消費量とGPCの分析を行い、得られた結果を下記表に記載した。
Figure 0006196635
<実施例118:ブロック共重合体合成例>
親水性マクロ開始剤A−3(0.103g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、2,2’−ビピリジン0.038gをトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlを銅フィルム上(2cm角)に塗布して、1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。上記銅フィルム上のモノマー含有組成物の保護カバーとしてさらにモノマー含有組成物上に支持体として用いたものを同じ銅フィルム(2cm角)をのせ、5.3KPaで加圧しながら、Nフロー(0.5L/min)下、上記銅フィルムをホットプレート上で120℃・30秒加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体118を得た(実施例118)。GPCの分析結果からMw55500、Mn30000、Mw/Mn=1.85であった。
<実施例119:ブロック共重合体合成例>
親水性マクロ開始剤A−3(0.103g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン0.028gをトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlを銅フィルム上(2cm角)に塗布して、1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。上記銅フィルム上のモノマー含有組成物の保護カバーとしてさらにモノマー含有組成物上に支持体として用いたものを同じ銅フィルム(2cm角)をのせ、5.3KPaで加圧しながら、Nフロー(0.5L/min)下、上記銅フィルムをホットプレート上で120℃・30秒加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体119を得た(実施例119)。GPCの分析結果からMw36000、Mn23500、Mw/Mn=1.53であった。
<実施例120:ブロック共重合体合成例>
親水性マクロ開始剤A−3(0.103g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン0.051gをトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlを銅フィルム上(2cm角)に塗布して、1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。上記銅フィルム上のモノマー含有組成物の保護カバーとしてさらにモノマー含有組成物上に支持体として用いたものを同じ銅フィルム(2cm角)をのせ、5.3KPaで加圧しながら、Nフロー(0.5L/min)下、上記銅フィルムをホットプレート上で120℃・30秒加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体120を得た(実施例120)。GPCの分析結果からMw60000、Mn28000、Mw/Mn=2.14であった。
<実施例121:ブロック共重合体合成例>
親水性マクロ開始剤A−3(0.103g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン0.028gをトルエン5mlに溶解させた。得られたトルエン溶液50μlを銅フィルム上に塗布して、1500回転/分、30秒間回転させてスピンコートした。上記銅フィルム上のモノマー含有組成物の保護カバーとしてさらにモノマー含有組成物上に支持体として用いたものを同じ銅フィルム(2cm角)をのせ、5.3KPaで加圧しながら、Nフロー(0.5L/min)下、上記銅フィルムをホットプレート上で120℃・30秒加熱した。その後、室温まで放冷し、ブロック共重合体121を得た(実施例121)。GPCの分析結果からMw29500、Mn21000、Mw/Mn=1.40であった。
[比較例101〜105:溶液中でのATRP]
(ブロック共重合体比較合成例101)
親水性マクロ開始剤A−3(0.4122g)、液晶性モノマーB−1(1.97g)、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)0.0832g、臭化銅(I)(0.069g)をアニソール20mlに溶解させた。窒素フローを開始し、オイルバス80℃・10時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、アルミナ処理した後にTHF200mlにて洗浄し、濾過・濃縮した。さらに得られたポリマーをヘキサン250mlに懸濁して、1時間後に濾過した。ブロック共重合体D−15を0.50g得た。GPCの分析結果からMw26900、Mn22000、Mw/Mn=1.22であった。アルミナ処理後の銅イオンの残存は130ppmであった。
Figure 0006196635
(ブロック共重合体比較合成例102)
親水性マクロ開始剤A−3(0.103g)、液晶性モノマーB−2(0.677g)、PMDETA0.021g、臭化銅(I)(0.017g)をキシレン5mlに溶解させた。窒素フローを開始し、オイルバス80℃・18時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、ヘキサン200mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたブロック共重合体D−16をヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後に濾過した。ブロック共重合体D−16を0.56g得た。GPCの分析結果からMw26800、Mn20500、Mw/Mn=1.31であった。
Figure 0006196635

得られたブロック共重合体D−16を0.1g、THF5mlに完溶させた後、吸着剤としてアルミナ、KW700SN、アンバーリスト15 DRYを0.1g加え、室温で1h撹拌。セライトろ過の後にTHF10mlでの洗浄後、溶媒留去した。その後ブロック共重合体D−16のH−NMRを測定したところいずれもオキセタニル部位が分解していることを確認した。これは吸着剤がルイス酸として働き、オキセタニル基の開環を促進したと考えている。アルミナ処理後の銅イオンの残存はブロック共重合体D−16に対して50ppmであった。
(比較例103)
親水性マクロ開始剤A−3(0.103g)、液晶性モノマーB−3(0.658g)、PMDETA0.021g、臭化銅(I)(0.017g)をアニソール5mlに溶解させた。窒素フローを開始し、オイルバス80℃・12時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、ヘキサン200mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後に濾過した。ブロック共重合体D−17を0.45g得た。GPCの分析結果からMw26800、Mn20500、Mw/Mn=1.31であった。
Figure 0006196635

得られたブロック共重合体D−17を0.1g、THF5mlに完溶させた後、吸着剤としてアルミナを0.1g加え、室温で1h撹拌。セライトろ過の後にTHF10mlでの洗浄後、溶媒留去した。その後ブロック共重合体D−17のH−NMRを測定したところいずれもオキセタニル部位が分解していることを確認した。これは吸着剤がルイス酸として働き、オキセタニル基の開環を促進したと考えている。アルミナ処理後の銅イオンの残存はブロック共重合体D−17に対して120ppmであった。
(比較例104)
親水性マクロ開始剤A−3(0.103g)、液晶性モノマーB−4(0.773g)、PMDETA0.021g、臭化銅(I)(0.017g)をアニソール5mlに溶解させた。窒素フローを開始し、オイルバス80℃・17時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、ヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/30mlに懸濁して、1時間後に濾過した。ブロック共重合体D−18を0.48g得た。GPCの分析結果からMw30500、Mn23800、Mw/Mn=1.28であった。
Figure 0006196635

得られたブロック共重合体D−18を0.1g、THF5mlに完溶させた後、吸着剤としてアルミナを0.1g加え、室温で1h撹拌。セライトろ過の後にTHF10mlでの洗浄後、溶媒留去した。その後ブロック共重合体D−18のH−NMRを測定したところいずれもオキセタニル部位が分解していることを確認した。これは吸着剤がルイス酸として働き、オキセタニル基の開環を促進したと考えている。アルミナ処理後の銅イオンの残存はブロック共重合体D−18に対して220ppmであった。
(比較例105)
親水性マクロ開始剤A−3(0.103g)、液晶性モノマーB−5(0.4885g)、PMDETA0.021g、臭化銅(I)(0.017g)をトルエン5mlに溶解させた。窒素フローを開始し、オイルバス80℃・24時間加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、ヘキサン300mlに反応溶液を添加して、濾過した。さらに得られたポリマーをヘキサン/酢酸エチル=20ml/50mlに懸濁して、1時間後に濾過した。ブロック共重合体D−19を0.06g得た。GPCの分析結果からMw12300、Mn9800、Mw/Mn=1.25であった。
Figure 0006196635

得られたブロック共重合体D−19を0.1g、THF5mlに完溶させた後、吸着剤としてアルミナを0.1g加え、室温で1h撹拌。セライトろ過の後にTHF10mlでの洗浄後、溶媒留去した。アルミナ処理後の銅イオンの残存はブロック共重合体D−19に対して150ppmであった。
以上の実施例101〜121と比較例101〜105の比較から、本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法によれば、ATRPの場合にリビング重合体(特にブロック共重合体)を短時間で経済合理的に製造できることがわかった。
また、本発明の支持体上でのリビング重合体の製造方法を用いることにより、ミクロ相分離構造膜を経済合理的に製造できることがわかった。
さらに、実施例101〜121で得られたリビング重合体(ブロック共重合体)では、銅イオンの残存量はブロック共重合体に対して5ppm以下であった。なお、本明細書中では、銅イオンの残存量は群馬県立産業技術センター研究報告2010に記載の方法で求めた。
1 リビング重合体(ブロック共重合体)のピーク
2 残存開始剤のピーク
3 残存モノマーのピーク
4 GPC測定エリア
11 送り出しロール
12 塗布装置
13 乾燥ゾーン
14 第一の熟成ゾーン
15 第二の熟成ゾーン
16 UV照射ゾーン
17 剥ぎ取りロール
18 巻取りロール
21 支持体
22 モノマー含有組成物
23 ミクロ相分離構造膜

Claims (21)

  1. 支持体上でモノマー含有組成物をリビング重合させる工程を含むことを特徴とする支持体上でのリビング重合体の製造方法であって、
    前記リビング重合が原子移動ラジカル重合であり、かつ、
    前記支持体が金属製の支持体であり、
    前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程が、1000秒以下であることを特徴とする支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  2. 支持体上でモノマー含有組成物をリビング重合させる工程を含むことを特徴とする支持体上でのリビング重合体の製造方法であって、
    前記モノマー含有組成物が、モノマー成分として重合性棒状液晶化合物を含むことを特徴とする支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  3. 支持体上でモノマー含有組成物をリビング重合させる工程を含むことを特徴とする支持体上でのリビング重合体の製造方法であって、
    前記リビング重合体が、ブロック共重合体であり、
    前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程が、1000秒以下であることを特徴とする支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  4. 前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程が、1000秒以下であることを特徴とする請求項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  5. 前記リビング重合が、リビングラジカル重合であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  6. 前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程のモノマー消費率を、10〜100%に制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  7. 前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させる工程が、50〜200℃での加熱であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  8. 前記リビング重合体の数平均分子量Mnが1000〜100000であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  9. 前記モノマー含有組成物の前記金属製の支持体と接していない面を別の支持体で覆い、前記モノマー含有組成物を挟圧しながら加熱することを特徴とする請求項1及び4〜8のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  10. 前記金属が銅であることを特徴とする請求項1及び4〜9のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  11. 前記リビング重合体中の銅イオン濃度が、前記リビング重合体に対して5ppm以下であることを特徴とする請求項1及び4〜10のいずれか一項のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  12. 前記リビング重合が可逆的付加開裂連鎖移動重合であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  13. 下記(1)および(2)の工程を、支持体上で実施することを特徴とする請求項3に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法。
    (1)前記モノマー含有組成物として、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分を含むモノマー含有組成物、ならびに、アルキレンオキサイド鎖を含むモノマー成分および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分を含むモノマー含有組成物のうち少なくとも一方を用いて、該モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程
    (2)前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させて、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分と炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分とが共有結合にて連結されたブロック共重合体を得る工程
  14. 下記(1’)および(2)の工程を、支持体上で実施することを特徴とする請求項3に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法。
    (1’)前記モノマー含有組成物として、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分および炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分を含むモノマー含有組成物を用いて、該モノマー含有組成物を前記支持体上に適用する工程
    (2)前記支持体上で前記モノマー含有組成物をリビング重合させて、アルキレンオキサイド鎖を含むポリマー成分と炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むポリマー成分とが共有結合にて連結されたブロック共重合体を得る工程
  15. 前記炭素数2〜20のアルキレン鎖を含むモノマー成分が重合性棒状液晶化合物であることを特徴とする請求項13または14に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  16. 前記ブロック共重合体が、ミクロ相分離構造膜の形成用のブロック共重合体であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法。
  17. (3)請求項13〜16のいずれか一項に記載の支持体上でのリビング重合体の製造方法で得られたブロック共重合体を前記支持体上で熱、光、溶媒蒸気または電場により相分離を促進させ、ミクロ相分離構造を形成する工程を含むことを特徴とするミクロ相分離構造膜の製造方法。
  18. 前記ミクロ相分離構造を形成する工程が、40〜250℃での加熱であることを特徴とする請求項17に記載のミクロ相分離構造膜の製造方法。
  19. さらに(4)前記ミクロ相分離構造を有するブロック共重合体を前記支持体上で架橋または重合させてミクロ相分離構造を固定化させる工程を含むことを特徴とする請求項17または18に記載のミクロ相分離構造膜の製造方法。
  20. 前記ミクロ相分離構造膜を、前記支持体から剥ぎ取る工程を含むことを特徴とする請求項1719のいずれか一項に記載のミクロ相分離構造膜の製造方法。
  21. 前記ミクロ相分離構造膜の厚みが、1〜2000nmであることを特徴とする請求項1720のいずれか一項に記載のミクロ相分離構造膜の製造方法。
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