JP6100499B2 - 電気銅の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気銅の製造方法に関する。
粗銅から精製銅にする電解精製プロセスとして、パーマネントカソード(PC)法と呼ばれるプロセスが知られている。PC法は金属板をカソードとし、このカソードの表面に電気分解により電着させた銅を剥ぎ取って製品とする方法であるが、従来法に比べて生産性が高く、高品質の銅が得られることから、近年、各地の電解精製工場で利用されてきている。
電着させた銅をカソードから剥ぎ取る方法としては、例えば特許文献1に記載されているような操作が挙げられる。
すなわち、カソード板底辺部に予めV字型の溝を底辺方向に設けておく。そこで、銅をこのカソード板の両面に電着させた後に、カソード板を電解槽から取り出し、電解液を洗浄した後、剥取機に1枚ずつ横送りのコンベアに載せる。まず電着銅とカソード板を屈曲させカソード板両面から電着銅をわずかに剥離させ隙間を作り、カソード板と電着銅との間に楔を打ち込むことで電着銅全面をカソード板から剥離させる。これにより、電気銅がカソード板の下端部のV字溝に対応する位置のみで接続した状態となる。次いでこの電着銅側面をグリップで掴み、電着銅底辺を支点にカソード板に対して外側に向けて引っ張ると二分割され、2つの電気銅を得ることができることになる。
特開2006−274299号公報
ところで、通常の電気銅の場合には、左右両面の電着金属がカソード板の底面部分で繋がった状態となっていてもカソード板の底面に形成されたいわゆるV溝の効果によって電気銅を引き剥がした場合、電着金属の底部の真ん中でうまく割れるか、あるいはV字溝に対応する位置にてフラッピングと呼ばれる(グリップで電着銅を掴んで両サイドに開き、引張応力を与える)動作を一度だけ行うことで、ほぼ左右対称の電気銅を得ることができる。
しかしながら、電解精製(電気分解)の時間が経過してくると、カソード板から剥離しようとしてもV溝の効果が発揮されずに電気銅がカソード板の底の部分でうまく2つに割れないことがあった。この場合、従来はフラッピング動作を何度も行うことにより繰返し応力を与え、V溝から亀裂を進展させて切断させるか、あるいは、作業者が手作業でカソード板から電気銅を剥ぎ取ることで対処していた。
ここで、フラッピング動作が多くなると、1枚のカソードから電気銅を剥ぎ取る時間が長くなり、電気銅の生産効率の低下を招く。また、余分のフラッピング動作の間だけ電解精製のための通電ができないことになり、さらなる生産効率の低下を招くことになる。
そこで、本発明は、長期間の電気分解後においても電気銅のカソード電極板の表面からの剥ぎ取り不良が生じにくい電気銅の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者等は、上述した問題を招く因子について鋭意検討した結果、以下のことを見出して、本発明を完成させた:
(A)電解液からアンチモン(Sb)イオン、ビスマス(Bi)イオンなどを除くために電解液を通液するキレート樹脂において、いったん吸着させたSb、Biの塩酸による溶離・除去後であってもSb(III)イオン、Bi(III)イオンとして残存する可能性があること、および
(B)したがってこれらイオン種が次の電解液の通液の際に、電解液中に含まれる塩酸由来の塩化物イオンと反応し、クロロ錯体(錯イオン(SbCl2+、BiCl2+))を形成して、電解槽に混入すること。
本発明は、以下に示すものである。
(1)電解液を収容する電解槽中にカソード電極板および粗銅製のアノード電極板を浸漬し、電気分解により前記カソード電極上に電着銅を析出させる電気銅の製造方法において、
前記電解槽から電解液の少なくとも一部を抜き取り、キレート樹脂を充填して構成されるカラムに通液し、電気分解反応により生じるSb、Biの各イオンをキレート樹脂に吸着させて除去した後液を電解槽に供給して、電気分解を行い、かつ
前記カラムを洗浄するに際して、前記電解槽からの電解液の給液を止めて、キレート樹脂に吸着したSb、Biを溶出させた後に、カラム内の水分を除去することを特徴とする方法。
(2)前記電解槽中の全塩化物イオンを40mg/L以上70mg/L以下に維持しながら電気分解を行うことを特徴とする(1)に記載の方法。
(3)前記カラムを洗浄するに際して、電解槽からの電解液を止めた後、塩酸を流してSb、Biの各イオンをキレート樹脂から溶離させてから、当該液導入口より加圧して、その圧力が定常状態になるまで加圧処理を行うことを特徴とする(1)または(2)に記載の方法。
(4)電解液を収容する電解槽中にカソード電極板および粗銅製のアノード電極板を浸漬し、電気分解により前記カソード電極上に電着銅を析出させる電気銅の製造させるに際して、前記電解槽から抜き取られた電解液を通液させて、電解反応により生じるSb、Biの各イオンを吸着させるキレート樹脂を充填して構成されるカラムを洗浄する方法において、
電解槽からの電解液を止めて、吸着したSb、Biを溶出させた後に、カラム内の水分を除去することを特徴とする方法。
(5)前記カラムを洗浄するに際して、塩酸を流してSb、Biの各イオンをキレート樹脂から溶離させてから、当該液導入口より加圧して、その圧力が定常状態になるまで加圧処理を行うことを特徴とする(4)に記載の方法。
本発明によれば、長期間の電気分解後においても電気銅のカソード電極板の表面からの剥ぎ取り不良が生じにくい電気銅を製造することができるようになる。
本実施形態を実現する電解装置の構成を模式的に示す図である。 本実施形態における電解液からのSb、Bi除去の手順を示すフローチャートである。 本実施形態に好適なキレート樹脂の管理手順を示すフローチャートである。 実施例における樹脂塔内のエアパージ処理(加圧処理)を説明するグラフである。
以下本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態を実現する電解装置の構成を模式的に示す図である。
本発明は、一つの観点から、以下の電気銅の製造方法を提供する側面を有する。
すなわち、この実施形態は、電解液5を収容する電解槽10中にカソード電極板2および粗銅製のアノード電極板1を浸漬し、電気分解により前記カソード電極板2上に電着銅を析出させる電気銅の製造方法である。
また、図1においては、電解槽10に、電解液の少なくとも一部を抜き取って、再び電解槽10に戻す循環路3が設けられており、循環路3の途中に、電解液に含まれるアンチモンイオンやビスマスイオンを除去するためのキレート樹脂塔11が挿入接続されている。
ここで、アノード電極板1としては、粗銅を鋳造した粗銅アノードが供される。一方、カソード電極板2には通常の電気分解で用いられるもの、例えばステンレス板が好適に使用される。電気分解を行うことで、アノード電極板1の粗銅が電解液に溶出し、カソード電極板2の表面に銅が析出する。ある程度電気分解を行って、カソード電極板2の表面に銅析出を行った後に、特許文献1に記載したような手法を用いて、カソード電極板2から電気銅を剥ぎ取る。
通常、電解液5に塩酸を添加しながら電気分解を行う。塩化物イオンは、電気銅表面の平滑性を改善することが知られているからである。しかしながら、電解液5中には粗銅の溶解に伴って、様々なイオン種が存在し、塩酸由来の塩化物イオン(Cl-)と反応して、様々な錯イオン(クロロ錯体)を形成することもある。
そこで、本発明者等は、これらのイオン種の中でも、これまで着目されていなかった、アンチモン(III)、ビスマス(III)とCl-との反応物(クロロ錯体)であるSbCl2+、BiCl2+の錯イオン、および塩酸由来の塩化物イオン(Cl-)が、得られる電気銅の品質へ与える影響を調べた結果、以下のことがわかった。
(1)いずれの塩化物イオンも、電気銅表面の平滑性を改善した。
(2)いずれの塩化物イオンも、電気銅の不純物品位、代表的には硫黄(S)品位、銀(Ag)品位も低減させ、品質向上に寄与した。
(3)電解液中のクロロ錯体、すなわちSbCl2+、BiCl2+の錯イオンの濃度が高くなるにつれ、カソード電極板に析出した電気銅を一層剥ぎ取りにくくさせる傾向にあった。
さらに、本発明者等は、析出した電気銅のカソードからの剥ぎ取りにくさについてなぜ塩酸とSbCl3とで違いが見られたのかを調べるために、各電気銅の断面についてEBSD(electron back scattering diffraction)法により結晶成長の優先方位を調べたところ、電解液中の塩化物イオン濃度が0mg/Lのとき結晶成長は{100}が優先配向であったが、塩酸を添加してCl-濃度を上げるにしたがって電気銅の断面の結晶成長は{111}の配向割合が大きくなった。一方で、SbCl3を添加してアンチモンの塩化物イオン濃度を上げた場合、結晶成長には優先配向が顕著には見られず、むしろランダムな配向であり、特に当該塩化物イオン濃度が20mg/Lでは、{100}、{101}、{111}の結晶がランダムに配向していた。
また、結晶粒径に着目すると、塩酸を添加してCl-濃度を上げた場合の方が、比較的粗大な結晶が散在していたのに対して、SbCl3を添加してクロロ錯体に影響を多くした場合では、微細で均一な結晶粒であった。
これらの差異が、析出した電気銅のカソードからの剥ぎ取りにくさに寄与したものと推察される。その結果、剥ぎ取り操作としてのフラッピングの回数が増加したり、剥ぎ取り不良が生じるに至っているものと推察される。
また、塩化物イオンは、上述のように、得られる電気銅に平滑性を付与する一方で、電解液中の塩化物イオンの量が多すぎるとカソード電極に使用するステンレス板等の装置の腐食および電気銅の品質低下を引き起こす。このような観点から、電気銅に平滑性を有効に付与し、かつ、上述したような不具合を防止するため、電気分解に際して電解液中の全塩化物イオン濃度を、40mg/L以上70mg/L以下で維持することが好ましく、さらに50mg/L以上60mg/L以下であることが好ましい。
また、電解液中のクロロ錯体の濃度調整は、図2に示したように、例えば電解槽10から電解液5の少なくとも一部を抜き取り(S1)、キレート樹脂を充填して構成されるカラムであるキレート樹脂塔11に通液する(S2)ことにより、Sb、Biイオンをキレート樹脂に吸着させ(S3)て得られる後液を再び電解槽に供給する(S4)ことで行うことができる。なお、必要に応じて、キレート樹脂塔11からの後液を、繰り返しキレート樹脂塔11に通液させて、一度の通液で吸着しきれなかったSb、Biイオンをキレート樹脂に吸着させてもよい。
なお、図1においてはキレート樹脂塔を一つ備えた例を示したが、複数、例えば二つのキレート樹脂塔を備えて、一方のキレート樹脂塔に通液する時間帯、他方のキレート樹脂塔に通液する時間帯を切り替えて制御するようにしてもよく、この場合、電解槽10から連続的に電解液の一部を抜き取りつつ、キレート樹脂塔側では通液に供されるものと、洗浄に供されるものとで使い分けることができ、電気銅の析出の連続操業を有効に行うことができる。
ここで、好適に使用することができるキレート樹脂としては、ビスマスイオン、アンチモンイオンを効果的に吸着させることができ、かつ、これら吸着したイオン種を溶離させるのに塩酸を好適に使用することができる樹脂が挙げられる。また、このような性質を有する限り、特に限定されることはないが、具体的には、例えばイオン種を吸着させる官能基をアミノリン酸とし、スチレン系骨格を有する樹脂が挙げられる。
また、ビスマスイオン及びアンチモンイオンの吸着が進むと、キレート樹脂のビスマスイオン及びアンチモンイオンの吸着能が低下してくることになる。この場合、キレート樹脂を洗浄して、吸着したビスマスイオン及びアンチモンイオンを除去することにより再び電解液中のビスマスイオン及びアンチモンイオンの除去に供することができる。
より詳細には、図3に示したように、アンチモン(Sb)イオン、ビスマス(Bi)イオンを吸着させたキレート樹脂を有するカラム(すなわち、キレート樹脂塔11)を水洗浄する(S11)。続いて、塩酸を溶離剤としてキレート樹脂塔11に流して吸着物を溶離させる(S12)。さらに、キレート樹脂塔11の内部を水で洗浄する(S13)。最後に、キレート樹脂塔11の液導入口より加圧して、その圧力が定常状態になるまで加圧処理を行って(S14)、樹脂管理を終了する。
ここで、この樹脂管理における加圧処理について説明する。
キレート樹脂塔11内に溶液が残存する、例えばキレート樹脂間の空間に溶液が残ると、液導入口から加圧したときに、樹脂塔内の圧力が上昇する。一方で、キレート樹脂塔11内に溶液が残存しない場合、液導入口から加圧したときには一定値(以下、「定常状態圧力(P1)」という)以上の圧力は生じない。
したがって、加圧処理を継続すると、いったん樹脂塔内の圧力が上昇し、残存する溶液が樹脂塔から押し出される寸前で最大圧力(Pmax)となり、残存溶液の押し出し開始とともに、樹脂塔内の圧力が減少するようになる。そして、減少していく圧力(P)が、定常状態圧力(P1)となったときに、樹脂塔内で残存する溶媒が除去されたことになる。
実際には、圧力(P)が定常状態圧力(P1)に到達するまでは時間がかかるため、作業効率を考慮して、圧力(P)が、ほとんどの溶液が除去されたと判断することができる圧力(以下、「(圧力の)管理値(Pth)」という)に達したかどうかで、樹脂塔内の溶液が除去されたと判断することとする。
具体的には、P0を加圧処理前の圧力としたとき、圧力の管理値(Pth)は以下の式で表すことができる。
th=P0+(Pmax−P0)×α
ここで、αは、圧力の管理値(Pth)の大きさを決める因子であり、事前に樹脂塔内圧力と樹脂塔の液排出口からの排液量を確認し、ほとんどの溶液が除去されたと判断することができる圧力(例えば一定時間排液されなくなる圧力)を確認し、圧力の管理値(Pth)がそれよりも低い圧力となるよう設定される。
以上の観点から、本発明は、電気銅の製造に用いる電解液からSb、Biの各イオンを除去するためのカラム、すなわちキレート樹脂塔を洗浄する方法を提供する側面を有する。
なお、樹脂塔11内のキレート樹脂に一端吸着されたSb、Biの各イオンを除去した後に水分を除去することにより、カソード電極板に析出した電気銅を剥ぎ取るフラッピング操作を低減することができるようになった理由としては、以下のことが考えられる。
従来のキレート樹脂を用いた電解液からSb、Biのイオンを除く技術では、電解液の樹脂への通液、水洗浄、塩酸による吸着物溶離などの操作により、電解液中の大方のSbイオン、Biイオンを除くことができたが、樹脂表面や洗浄水が十分に流れなかった部分にはわずかにSbイオン、Biイオンが残存することになる。この残存しているSbイオン、Biイオンは塩酸による溶離時に、相当部分においてSb(III)、Bi(III)のイオン種となりその大半がクロロ錯体となっていると考えられる。このクロロ錯体が次の電解液の通液時に電解液中に混入していたと考えられる。また、溶離時に通液させた塩酸が樹脂塔内に残存することも考えられ、この場合にはCl-濃度が高い状態となっていたと考えられる。そこで電解液を通液した際に樹脂塔に残存する高濃度のCl-が電解液中のSb,Biイオンと反応してクロロ錯体を形成し、再び電解槽へ導入されていた可能性もあったと考えられる。このため、長期間の電解分解を行うことで、電気銅のカソード電極板の表面からの剥ぎ取り不良が徐々に生じるようになっていたと考えられる。
一方で、本発明では、樹脂塔洗浄の最後に加圧処理を行ってキレート樹脂塔11から洗浄水に混在するSbイオン、Biイオンをほぼ完全に除去する手順を導入することにより、たとえ次の電解液の通液を行ったときでも、キレート樹脂塔11においてクロロ錯体の形成を極力抑えることができ、電解槽へのクロロ錯体の混入が抑えられるため、長期間の電気分解後においても電気銅のカソード電極板の表面からの剥ぎ取り不良が生じにくい電気銅を製造することができる。
こうして、電解液中のクロロ錯体が一定量以下にコントロールされて電気分解して得られた電気銅は、析出の際に、クロロ錯体による影響を極力受けず、塩酸由来の塩化物イオンによる影響を主に受けると考えられ、比較的粗大な結晶が散在し、断面の結晶成長において{111}の配向割合が大きくなる。また、このような電気銅は、カソード電極板からの剥ぎ取りも良好に行うことができ、PC法に好適である。
このような観点から、本発明では、特にSb、BiとCl-との反応物の中でもクロロ錯体に着目し、電解液に含まれるクロロ錯体の濃度を低くすることで効果的にフラッピング操作を低減させることができると考えられる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
図1に示したような電解装置を構成した。すなわち、電解槽10に粗銅を鋳造した粗銅アノード電極板1およびステンレス板で構成されるカソード電極板2を、電解液5に浸漬した状態で配置した。
電解液は、Cuを42〜48g/L、H2SO4を165〜175g/Lとする硫酸系電解液である。カソード電極板としてSUS316Lを使用し、アノード電極板として純度99.4%の粗銅を使用した。電着時の電流密度を305〜320A/m2とし、電解液の温度を65〜67℃とし、1枚のカソード電極板上に総重量約150kgの電気銅を生成した。
キレート樹脂としてアミノ燐酸型キレート樹脂(市販の銅電解プロセス用アミノ燐酸官能基キレート樹脂)を充填したカラムに銅電解液を以下の条件で常時供給し、電解液中のSb,Biイオンをキレート樹脂に吸着させた。樹脂塔は2塔あり、1塔は通液させ、1塔は予備としており、下記の樹脂量に対する電解液の総通液量(BV)に達した時に通液する塔を入れ替える。
電解液の樹脂塔への供給速度:220〜230L/min
樹脂塔内の樹脂量:2500L/塔
樹脂量に対する1時間当たりの電解液通液量(SV):5.3〜5.4
樹脂量に対する電解液の総通液量(BV):55
実施例においては以下のように樹脂管理を行った。
吸着終了後、カラム内に空気を送り込んでキレート樹脂から電解液を排出後、カラム内に水を100L/minで150分間送り込んで樹脂に付着する銅電解液を除去した。水洗後、カラム内に溶離液として6N塩酸を87L/minで280分間通液させ、吸着したSb,Biイオンを溶離させるとともに樹脂を再生させた。溶離後、カラム内に水を100L/minで170分間送り込んで樹脂に付着する溶離液を水洗した。水洗後、空気を吹き込み、一定の圧力、すなわち圧力の管理値に下がるまでエアパージして洗浄液を排出させた。本方法を用いた樹脂管理により、電着した電気銅をカソード板から剥ぎ取る際に実施するフラッピング回数はカソード板1枚当たり平均1.15回/枚となった。
一方、比較例では、上記の樹脂管理手順の溶離液水洗後のエアパージにおいて到達圧力の大きさにより終点を決めるのではなく、エアパージ開始後一定時間経過したことにより工程を終えることとしていた。この一定時間とは、作業効率の観点からあまり長くならないように設定される。本方法を用いた樹脂管理により、電着した電気銅をカソード板から剥ぎ取る際に実施するフラッピング回数はカソード板1枚当たり平均1.3回/枚(カソード板)となった。
実施例にて記載した溶離液水洗後のエアパージ管理について例を用いて詳細に説明する。図4のグラフはキレート樹脂塔内の気圧を示す。エアパージ前(経過時間が0のとき)は大気圧を示しているが、エアパージ開始後初期は圧力が上昇しこの例では最大1.9kg/cm2に到達した(Pmax)。やがて樹脂塔内の残液が少なくなるについて圧力は下がってきた。圧力の管理値(Pth)を0.8kg/cm2とし、これを下回ったところで工程完了とした。なお、エアパージ管理を開始するにあたり、事前にカラム内の残液量と圧力との関係を調査しておき残液量がほぼ0となる圧力が0.9kg/cm2であったため、その圧力以下の0.8kg/cm2を管理値(Pth)とした。
1 アノード電極板
2 カソード電極板
3 循環路
5 電解液
10 電解槽
11 キレート樹脂塔

Claims (5)

  1. 電解液を収容する電解槽中にカソード電極板および粗銅製のアノード電極板を浸漬し、電気分解により前記カソード電極上に電着銅を析出させる電気銅の製造方法において、
    前記電解槽から電解液の少なくとも一部を抜き取り、キレート樹脂を充填して構成されるカラムに通液し、電気分解反応により生じるSb、Biの各イオンをキレート樹脂に吸着させて除去した後液を電解槽に供給して、電気分解を行い、かつ
    前記カラムを洗浄するに際して、前記電解槽からの電解液の給液を止めて、キレート樹脂に吸着したSb、Biを溶出させた後に、カラム内の水分を除去するに当たり、
    加圧処理前のカラムの圧力をP 0 とし、カラム内の残存する溶液がカラムから押し出される寸前での最大圧力をP max とするとき、以下の式で表される圧力の管理値(P th )に達するまでカラム内の水分の除去を行うことを特徴とする方法。
    th =P 0 +(P max −P 0 )×α
    ここで、αは、圧力の管理値(P th )の大きさを決める因子であり、事前に樹脂塔内圧力と樹脂塔の液排出口からの排液量を確認し、ほとんどの溶液が除去されたと判断することができる圧力を確認し、圧力の管理値(P th )がそれよりも低い圧力となるよう設定される。
  2. 前記電解槽中の全塩化物イオンを40mg/L以上70mg/L以下に維持しながら電気分解を行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記カラムを洗浄するに際して、電解槽からの電解液を止めた後、塩酸を流してSb、Biの各イオンをキレート樹脂から溶離させてから、当該液導入口より加圧して、その圧力が定常状態になるまで加圧処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 電解液を収容する電解槽中にカソード電極板および粗銅製のアノード電極板を浸漬し、電気分解により前記カソード電極上に電着銅を析出させ電気銅製造する際に、前記電解槽から抜き取られた電解液を通液させて、電解反応により生じるSb、Biの各イオンを吸着させるキレート樹脂を充填して構成されるカラムを洗浄する方法において、
    電解槽からの電解液を止めて、吸着したSb、Biを溶出させた後に、カラム内の水分を除去することを特徴とする方法。
  5. 前記カラムを洗浄するに際して、塩酸を流してSb、Biの各イオンをキレート樹脂から溶離させてから、当該液導入口より加圧して、その圧力が定常状態になるまで加圧処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の方法。
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