JP2938285B2 - 銅電解液のキレ−ト樹脂浄液法 - Google Patents

銅電解液のキレ−ト樹脂浄液法

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JP2938285B2 JP27232592A JP27232592A JP2938285B2 JP 2938285 B2 JP2938285 B2 JP 2938285B2 JP 27232592 A JP27232592 A JP 27232592A JP 27232592 A JP27232592 A JP 27232592A JP 2938285 B2 JP2938285 B2 JP 2938285B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銅電解液中のFe2+
SbおよびBiなどといった有害不純物をキレート樹脂
によって吸着除去する方法に関し、さらに詳しくは、脱
着液である塩酸酸性塩化物水溶液を循環させて繰返し使
用することができる銅電解液のキレート樹脂浄液法に関
する。
【0002】
【従来の技術】銅電解工場では、自溶炉、転炉等の乾式
工程で生産された粗銅をアノ−ドとし、電気銅をカソ−
ドに析出させるという銅の電解精製が行なわれており、
通常この電解精製工程においては、As、Sb、Biお
よびNi等といった有害不純物が電解液中に蓄積し、電
気銅の品質や電力原単位に悪影響を及ぼしてしまうた
め、電解槽中から電解液の一部を抜きとって有害不純物
を除去する浄液を行い、再び電解槽に戻すという作業が
行なわれてきた。なお、あるレベル(約45 g/l)以上の
過剰の銅イオンは造酸電解槽を用いた浄液工程によって
除去されていた。
【0003】しかしながら、近年、銅精鉱におけるA
s、SbおよびBi等といった不純物の含有量は、年々
増加傾向をたどっており(この傾向は特に海外からの輸
入銅精鉱に顕著に見られる)、これらの不純物の増減に
連動して上記銅電解精製工程におけるアノ−ド中の不純
物含有率が変動してしまうため、操業上これに対応でき
る浄液能力を有する浄液方法が求められていた。
【0004】一般に電解液中における上記不純物の許容
量は、それぞれの電解工場で経験的に決められており、
その許容範囲内に不純物量を保持するために必要な浄液
量は、それぞれの不純物の電解溶出量と、抜き取った電
解液中の各不純物に対する脱銅電解浄液法の除去効率か
ら計算され、その中で最大の浄液量を必要とする不純物
が、電解液の抜き取り量を決定する基準となっていた。
【0005】1970年頃までは一般にAsを基準として浄
液量が決定されており、Asを選択的に除去する方法を
開発すれば、浄液量を大幅に削減することができる等の
メリットが考えられ、TBP(Tri-n-Butyl Phosphate
)によるヒ酸の選択的溶媒抽出を銅電解浄液に適用す
る方法などが開発されていた。
【0006】しかしながら、近年では電解液管理技術の
改善により(電解液中のAsの許容濃度の上昇や脱ピ効
率の向上など)、相対的にSb除去の重要性が高まって
きたため、上記TBPによる選択的溶媒抽出法を採用し
た場合、さらに同規模の脱銅電解浄液がSb除去のため
に必要となり、コスト上の効果を得ることができなくな
ってしまった。
【0007】そこで、本発明者等はメチレンアミノホス
フォン酸をキレ−ト反応基とするフェノ−ル樹脂である
キレ−ト樹脂UR−3300(ユニチカ(株)製)が銅電解
液からSb、Bi、Fe2+イオンを選択的に吸着する性
質を有することを見い出し、1983年に新規な浄液法を開
発した[加納、永井:日本鉱業会春季講演会要旨集、P.
185(1983) ]。この浄液法を併用することにより、脱銅
電解液工程における脱アンチモン能力の不足を補うこと
ができるため、実操業において広く採用されてきた。
【0008】上記浄液法において用いられるキレ−ト樹
脂は、強力な選択的吸着によって不純物を除去するた
め、樹脂に吸着した不純物の脱着の際には4〜6N−H
Clが用いられていたが、この塩酸を回収する方法とし
ては、脱着液を蒸留することによって塩酸の大部分を直
接的に回収するか、あるいは脱着液を中和することによ
って脱着液中のSbを水酸化物として回収し、三酸化ア
ンチモンの製造において利用するなどといった方法がと
られてきた。しかしながら、前記蒸留法によると、蒸留
のための設備費および蒸気代が大きな負担になってい
る。このような事情からキレ−ト樹脂浄液法のランニン
グコストの大部分を、脱着液に使用する塩酸の補充費用
と脱着液の再生費用が占めていたのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述従来の
技術の問題点を解決し、脱着液を低コストかつ簡易な手
段で再生することができる銅電解液のキレ−ト樹脂浄液
法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、不純物を脱着した
脱着液(プロトン濃度が 2.5N以下であり、かつ塩化物
イオン濃度が2N以上である塩酸酸性塩化物水溶液、好
ましくはプロトン濃度1Nで塩化物濃度が3Nである塩
酸酸性塩化物水溶液)に硫化剤を添加してSbおよびB
iを硫化澱物として除去し、さらにこの溶液にCuまた
はAsを添加し、過剰の硫化剤を沈殿させて除去するこ
とにより、脱着液を再生することができることを見い出
し、本発明に到達した。
【0011】 すなわち、本発明は、電解槽中において
アンチモン(Sb)やビスマス(Bi)などの有害不純
物が蓄積した銅電解液を、キレート樹脂によって浄液す
る方法であって、上記有害不純物が蓄積した銅電解液に
還元剤を添加して液中の第二鉄イオン(Fe3+)を第一
鉄イオン(Fe2+)に還元し、この電解液をキレート樹
脂に通液して液中の不純物を該樹脂に吸着させ、得られ
た吸着尾液を電解層へ循環させる吸着サイクルと、キレ
ート樹脂に吸着した不純物を、プロトン濃度(遊離塩酸
濃度)が2.5N以下であり、かつ塩化物イオン濃度
(遊離塩酸濃度+溶解塩化物濃度)が2N以上である塩
酸酸性塩化物水溶液からなる脱着液で脱着し、この不純
物を脱着した脱着液に硫化剤を添加して硫化殿物を生成
させ、これを固液分離して硫化殿物を除去した後、脱硫
槽へ導いてCuまたはAsを添加し、生成した硫化殿物
を固液分離して除去し、得られた塩酸酸性塩化物水溶液
を上記脱着液として循環させる脱着サイクルとからなる
ことを特徴とする銅電解液のキレート樹脂浄液法を提供
するものである。
【0012】なお、本発明法においては、キレート樹脂
への通液前の銅電解液中における鉄イオンの大部分が、
硫化水素浄液法を用いることなどによって第一鉄の状態
にある場合、還元剤の添加による鉄イオンの還元工程を
省略することができる。
【0013】
【作用】 以下、本発明の一例のフローシートを示した
図1を参照して説明する。本発明法における吸着サイク
ルによると、まず、電解層中において有害不純物が蓄積
した銅電解液に、亜硫酸ガスや硫化水素ガス等の還元剤
を添加して液中の第二鉄イオン(Fe3+)を第一鉄イオ
ン(Fe2+)に還元し、次いで、液中の第二鉄イオン
(Fe3+)を還元した電解液をキレート樹脂塔のキレー
ト樹脂に通液し、SbやBiなどの不純物をキレート樹
脂に吸着させ、得られた吸着尾液を上記電解層へ循環さ
せている。
【0014】上記吸着サイクルにおける第二鉄イオンの
還元工程は、キレート樹脂に吸着された不純物が、塩酸
酸性塩化物水溶液からなる脱着液によって良好に脱着さ
れるようにするために行われるものであって、このよう
に電解液中の第二鉄イオンの還元を行わないと、電解液
中の第二鉄イオンがキレ−ト樹脂に吸着され、前記の塩
酸酸性塩化物水溶液によっては脱着されないため、樹脂
中のキレート反応基は第二鉄イオンによって占拠され、
吸脱着を繰返す間に樹脂中に第二鉄イオンの蓄積が起
り、これにともなって吸着容量が低下し、SbやBiの
吸着を妨害してしまうのである。そのため、上記キレー
ト樹脂への通液前の銅電解液における鉄イオンの大部分
が、硫化水素浄液法を用いることなどによって第一鉄の
状態にある場合、上記還元工程は省略することができ
る。
【0015】本発明法においては、上記キレ−ト樹脂と
して、例えばメチレアミノホスフォン酸をキレ−ト反応
基とするフェノ−ル樹脂であるUR−3300(ユニチカ
(株)製)を用いることができる。また、上記の他にも
スミキレ−トMC-100やエポラスMX−2のようにメチ
レンアミノホスフォン酸をキレ−ト反応基とする樹脂も
同様に使用することができる。
【0016】一方、本発明法における脱着サイクルによ
ると、まず、上記吸着サイクルにおいてキレート樹脂に
吸着されたSbやBiなどの不純物を、プロトン濃度
(遊離塩酸濃度)が 2.5N以下であり、かつ塩化物イオ
ン濃度(遊離塩酸濃度+溶解塩化物濃度)が2N以上で
ある塩酸酸性塩化物水溶液(塩酸水溶液または塩酸酸性
混合水溶液)によって脱着している。
【0017】 脱着液を上記のような条件とする理由
は、脱着に際してSbまたはBiの加水分解を防止する
には、水素イオン濃度が1mol/l(1N)以上であ
る必要があり、しかもSbとBiに関して工業的に十分
な脱着速度を得るには、2N以上の塩化物イオン濃度が
必要となるためである。
【0018】なお、同じ塩化物濃度であっても塩酸酸性
混合水溶液は塩酸水溶液よりもpHが高いため、次工程
でSbとBiの完全な硫化を行うことができ、例えば、
3N塩酸水溶液からのSbとBiの硫化沈殿による除去
は不完全であるが、1N塩酸を含む塩酸酸性混合水溶液
からであればほぼ完全な除去が可能であるという利点が
ある。また、次工程では脱着剤に硫化剤を添加すること
による硫化澱物の生成が行われるが、硫化剤として水硫
化ソ−ダ、あるいは硫化ソ−ダを用いた場合(地域によ
っては硫化水素よりも水硫化ソ−ダや硫化ソ−ダの方が
安価である)、塩酸の一部が食塩に変わるため、必然的
に塩酸酸性混合水溶液を脱着液として使用することにな
る。
【0019】次に、上記不純物を脱着した塩酸酸性塩化
物水溶液に硫化水素等の硫化剤を添加し、該溶液中のS
bおよびBiを硫化物(Sb2 3 やBi2 3 など)
として沈殿させて除去している。この時、水溶液中に硫
化剤を残存させないことが重要であって、より完全な硫
化を行わせるためには過剰な硫化剤を添加することが望
ましいが、過剰に硫化剤を添加すると、水溶液中に残留
する硫化物イオン(S2-、HS- )あるいは硫化水素
が、次の脱着工程で樹脂に接触したときに、樹脂層中に
残留する銅イオン、ヒ酸イオンなどと反応し、これらの
硫化物がキレ−ト樹脂上あるいは樹脂中に沈着し、次の
吸着工程を物理的に阻害するため、硫化剤の添加量はO
RP測定によりコントロ−ルし、少量のSb、Biを液
中に残して硫化を止めることが好ましい。
【0020】また、吸着後の樹脂層中に多少の硫化水素
の残存は避け難く、多量の水で水洗しても少量は吸着サ
イクルまで残り、電解液中のCuやAsと反応し、これ
らの硫化物が前記と同様に樹脂を物理的に被毒して、回
復できないダメ−ジを与えることになってしまう。
【0021】そこで本発明では、上記硫化澱物を固液分
離して除去した後、得られた溶液を脱硫槽に導き、酸化
還元電位を測定しながらCuまたはAsを僅かに過剰に
加え、硫化剤を硫化銅や硫化ヒ素など硫化澱物として沈
殿させ、この硫化澱物を除去して得た塩酸酸性塩化物水
溶液を脱着液としてリサイクルしているのである。
【0022】また、本発明の脱着サイクルにおけるキレ
ート樹脂の水洗(キレート樹脂に脱着液を通液した後に
行われる)は、ナトリウムと塩化物イオンが電解槽へ還
流することを避けるために充分に行なう必要がある。特
に、Naは一旦電解槽に混入すると、除去する方法が無
いので充分な水洗が必要となり、このための多量の洗水
は廃水処理の負担となるため、洗水は強酸性カチオン交
換樹脂を用いて処理して全ての金属イオンを吸着除去
し、水洗工程にリサイクルすることが好ましい。
【0023】同様に、前記吸着サイクル後の水洗液を処
理した強酸性カチオン交換樹脂は、2N−H2 SO4
るいは銅電解液によって脱着すれば良いが(脱着液は電
解槽に戻される)、脱着に際してはSbおよびBiの加
水分解が起り易いので、脱着液は60℃程度に加温して
おく必要がある。また、脱着サイクルにおける塩酸酸性
塩化物水溶液には、少量づつではあるが徐々に鉄が蓄積
することもあるが、この場合には強塩基性アニオン交換
樹脂に通液することによって除去する方法がすでに工業
的に実施されている。
【0024】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明する。しかし本発明の範囲は以下の実施例により限
定されるものではない。
【0025】
【実施例1】ある電解工場において実際に使用されてい
る電解液(f-H2 SO4 :180g/l、Fe2+:0.2g/l、S
b:0.5g/l、Bi:0.2g/l)を供試液として用い、これ
を1台の全自動吸脱着試験装置によってA研究室とB工
場とで同一の吸脱着試験を行った。
【0026】まず、全自動吸脱着試験装置内における内
径25mmのガラス管に充填された50mlのキレ−ト樹脂UR
−3300(ユニチカ株製)に、上記電解液を60℃、Space
Velocity(SV)12、40〜60Bed Volume(BV)で通液
し、その流出液におけるSb、Bi、Feの含有量をI
CPで分析した。次いで、このキレート樹脂をSV 6、
4 BVで水洗した後、脱着液として3N−HClをSV
3、15BVで通液し(得られた流出液におけるSb、B
i、Feの含有量をICPで分析した)、再びSV 6、
4 BVで水洗した。なお、上記脱着および水洗は室温で
行った。
【0027】上記の工程を 1サイクルとして、10サイク
ル連続脱着試験を行い、Sb、BiおよびFeの吸着容
量の推移を図2(a)、図3(a)および図4(a)に
示し、脱着容量の推移を図2(b)、図3(b)および
図4(b)に示した。なお、図2ないし図4における点
線はA研究室での試験結果であり、実線はB工場での試
験結果である。
【0028】上記の結果、A研究室において試験した場
合のSbの吸着容量は、B工場において試験した場合の
Sbの吸着容量の60%程度であったが、これは、電解液
中のSbの一部が輸送および保存中に白色に沈殿し、樹
脂カラムへの給液濃度が低下してしまったため、吸着容
量が低下したものと考えられる。
【0029】また、鉄の吸着は、A研究室では顕著であ
ったが、B工場試験では#1および#6サイクルで僅か
に吸着された以外は全く吸着されなかった。これは、当
該製錬所の浄液工程の影響で電解液が比較的還元状態に
あり、第一鉄のみの時には吸着されなかったものと考え
られる。一方、A研究室での試験で使用した供試液中の
鉄は、当該製錬所より送付された電解液であるが、輸送
中および保存中に第二鉄に空気酸化されたものと考えら
れる。このことから、現場電解液に、第二鉄が含まれて
いる場合であっても、これを予め第一鉄に還元しておく
ことにより、吸脱着に際してFeの挙動を考慮しなくて
も良いことになる。
【0030】さらに、UR−3300キレ−ト樹脂に吸着さ
れたFeを脱着するには、6N−HClが必要である
が、SbおよびBiだけを脱着する場合には、比較的薄
い塩酸、すなわち脱着液中のSbおよびBiを硫化物と
して沈殿させることができる程度の希薄塩酸( 2.5N・
HCl以下)でよいことが確認された。
【0031】
【実施例2】実施例1のA研究室で用いた供試液にSO
2 ガスを添加して液中の第二鉄を第一鉄に還元し、この
電解液を用いた吸着工程と、3N−HClを脱着液とし
て用いた脱着工程とを繰返す連続吸脱着試験を実施例1
に準じて行い、SbおよびBiの交換容量の推移を求
め、その結果を図5に示した。
【0032】図5からも分かるように、電解液のロット
が変わった時以外は吸脱着容量が変化する傾向は認めら
れなかった。また、図5に示す連続試験におけるサイク
ル#12の吸着曲線を図6、脱着曲線を図7にそれぞれ
示したが、鉄の吸着は無視できる程度ものであった。な
お、図5に示す連続試験におけるサイクル#1、12、
22のUR−3300キレ−ト樹脂(50ml)の吸着容量およ
び脱着容量を表1に示し、脱着液の種類と脱着率との関
係を表2に示した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【実施例3】実施例2における3N−HClによる脱着
工程で得た流出液に含まれるAs、SbおよびBi量、
および該流出液を硫化反応槽に導いて硫化水素を吹き込
み、硫化殿物を生成させ、これを濾過して得た溶液に含
まれるAs、SbおよびBi量を測定し、その結果を表
3における分類Aに示した。
【0036】上記の結果、Biの除去が不十分であるこ
とが確認された。これは、硫化澱物生成反応はプロトン
濃度に関係するが、脱着反応は主として塩化物イオン濃
度に関係し、プロトン濃度は比較的薄くても進行するた
めである。
【0037】
【表3】
【0038】そこで、塩酸−食塩混合水溶液(1N−H
Cl+2N−NaCl)を脱着液として用いたこと以外
は上記と同様にして脱着および硫化澱物生成工程を行
い、塩酸−食塩混合水溶液に含まれるAs、Sbおよび
Bi量の測定を行い、その結果を表3における分類Bに
示した。
【0039】上記の結果、塩酸−食塩混合水溶液の方
が、塩酸単独の場合よりも脱着速度および脱着率は多少
低下する傾向を示すが、実用上満足できる範囲であっ
た。また、表3からも分かるように、この脱着液からの
Biの硫化沈殿の生成は、ほぼ完全であった。
【0040】
【実施例4】実施例3で得られた硫化後の塩酸水溶液中
には多少の硫化水素の残存は避け難く、これをそのまま
脱着工程にリサイクルすると、前述のように、水洗を十
分に行ったとしても、樹脂層中あるいは電解液中のC
u、Asと反応し、これらの硫化物が樹脂を物理的に被
毒して回復できなくなってしまう。
【0041】そのため、本実施例では硫化後の塩酸水溶
液中に、酸化還元電位を測定しながら僅かに過剰となる
ようにコントロ−ルしてCu水溶液を添加し、液中の硫
化水素を完全に消費し尽くした後(CuS等の硫化殿物
が生成)、生成した硫化殿物を濾過し、硫化物イオンや
硫化水素を含有しない再生塩酸溶液を得た。
【0042】脱着液の種類および酸化還元電位を変えた
場合における、再生された脱着液中におけるAs、S
b、BiおよびFeの濃度を測定し(比較のため脱着直
後の脱着液中におけるAs、Sb、BiおよびFeの濃
度も測定した)、その結果を表4ないし表6に示した。
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】なお、上記工程においては、酸化還元電位
を測定しながら硫化剤の添加をコントロ−ルし、少量の
Sb、Biを液中に残して硫化を止め、濾液を脱着液と
して循環させることもできるが、制御に相当の注意を要
することが判明した。
【0047】また、脱着後の水洗は、Na+ とCl-
オンが電解槽へ還流することを避けるため充分に行なう
必要がある。特に、Na+ は一旦電解液中に混入すると
除去する方法がないので、十分な水洗が必要となる。こ
のための多量の洗水は廃水処理コスト高の要因となるた
め、強酸性カチオン交換樹脂で処理して全ての金属イオ
ンを吸着・除去し、水洗工程にリサイクルした。この処
理水は、Naイオンを殆ど含まず、pHは 3.5に低下して
いた。処理水は徐々に酸性になるので、多少のブリ−ド
は必要であるが、3分画して、最後の分画部分だけを通
液することにより、酸性化の進み方は極端に遅くなるこ
とが確認された。また、この分画操作により強酸性カチ
オン交換樹脂の洗水処理容量は大幅に増大することが確
認された。
【0048】また、電解液通液後の洗水を処理したカチ
オン交換樹脂は、2N−H2 SO4あるいは銅電解液な
どで脱着した。脱着に際しては、SbおよびBiの加水
分解が起こり易いので、60℃に加温しておく必要があ
る。脱着後、脱着液は電解槽に再び戻した。
【0049】
【発明の効果】本発明の開発により、脱着液(2N以上
の塩化物イオンを含む塩酸酸性塩化物水溶液)を再生
し、循環させることができるようになった。そのため、
従来法に比較して格段に安価なコストで操業することが
できるようになった。また、本発明法は、電解液の不純
物であるビスマス、アンチモンを安価に除去することが
可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例のフロ−シ−トである。
【図2】A研究室およびB工場における10回連続吸脱
着試験の結果を示す図であって、(a)はサイクル数に
対するSb吸着容量を示すグラフ、(b)はサイクル数
に対するSb脱着容量を示すグラフである。
【図3】A研究室およびB工場における10回連続吸脱
着試験の結果を示す図であって、(a)はサイクル数に
対するBi吸着容量を示すグラフ、(b)はサイクル数
に対するBi脱着容量を示すグラフである。
【図4】A研究室およびB工場における10回連続吸脱
着試験の結果を示す図であって、(a)はサイクル数に
対するFe吸着容量を示すグラフ、(b)はサイクル数
に対するFe脱着容量を示すグラフである。
【図5】連続吸着試験におけるSbおよびBiの交換容
量を示すグラフである。
【図6】図5におけるサイクル12の吸着曲線を示すグ
ラフである。
【図7】図5におけるサイクル12の脱着曲線を示すグ
ラフである。
フロントページの続き (72)発明者 川村 茂 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 小坂製錬株式会社内 (72)発明者 菅原 勉 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 小坂製錬株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−86897(JP,A) 特開 昭63−153291(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C25C 7/06,1/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解槽中においてアンチモン(Sb)や
    ビスマス(Bi)などの有害不純物が蓄積した銅電解液
    を、キレート樹脂によって浄液する方法であって、上記
    有害不純物が蓄積した銅電解液に還元剤を添加して液中
    の第二鉄イオン(Fe3+)を第一鉄イオン(Fe2+)に
    還元し、この電解液をキレート樹脂に通液して液中の不
    純物を該樹脂に吸着させ、得られた吸着尾液を電解槽へ
    循環させる吸着サイクルと、キレート樹脂に吸着した不
    純物を、プロトン濃度(遊離塩酸濃度)が2.5N以下
    であり、かつ塩化物イオン濃度(遊離塩酸濃度+溶解塩
    化物濃度)が2N以上である塩酸酸性塩化物水溶液から
    なる脱着液で脱着し、この不純物を脱着した脱着液に硫
    化剤を添加して硫化殿物を生成させ、これを固液分離し
    て硫化殿物を除去した後、脱硫層へ導いてCuまたはA
    sを添加し、生成した硫化殿物を固液分離して除去し、
    得られた塩酸酸性塩化物水溶液を上記脱着液として循環
    させる脱着サイクルとからなることを特徴とする銅電解
    液のキレート樹脂浄液法。
JP27232592A 1992-09-16 1992-09-16 銅電解液のキレ−ト樹脂浄液法 Expired - Lifetime JP2938285B2 (ja)

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