JP3142832B2 - 銅電解液のキレート樹脂浄液法 - Google Patents

銅電解液のキレート樹脂浄液法

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JP3142832B2 JP11133799A JP11133799A JP3142832B2 JP 3142832 B2 JP3142832 B2 JP 3142832B2 JP 11133799 A JP11133799 A JP 11133799A JP 11133799 A JP11133799 A JP 11133799A JP 3142832 B2 JP3142832 B2 JP 3142832B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銅電解液中のFe2+
SbおよびBiなどといった有害不純物をキレ−ト樹脂
によって吸着除去する方法に関し、さらに詳しくは、吸
着液としての電解液と脱着液としての塩酸酸性塩化物水
溶液を循環させて繰返し使用することができる銅電解液
のキレ−ト樹脂浄液法に関する。
【0002】
【従来の技術】銅電解工場では、自溶炉、転炉等の乾式
工程で生産された粗銅をアノ−ドとし、電気銅をカソ−
ドに析出させるという銅の電解精製が行なわれており、
通常この電解精製工程においては、As、Sb、Biお
よびNi等といった有害不純物が電解液中に蓄積し、電
気銅の品質や電力原単位に悪影響を及ぼしてしまうた
め、電解槽中から電解液の一部を抜きとって有害不純物
を除去する浄液を行い、再び電解槽に戻すという作業が
行なわれてきた。なお、あるレベル(約45 g/l)以上の
過剰の銅イオンは造酸電解槽を用いた浄液工程によって
除去されていた。
【0003】しかしながら、近年、銅精鉱におけるA
s、SbおよびBi等といった不純物の含有量は、年々
増加傾向をたどっており(この傾向は特に海外からの輸
入銅精鉱に顕著に見られる)、これらの不純物の増減に
連動して上記銅電解精製工程におけるアノ−ド中の不純
物含有率が変動してしまうため、操業上これに対応でき
る浄液能力を有する浄液方法が求められていた。
【0004】一般に電解液中における上記不純物の許容
量は、それぞれの電解工場で経験的に決められており、
その許容範囲内に不純物量を保持するために必要な浄液
量は、それぞれの不純物の電解溶出量と、抜き取った電
解液中の各不純物に対する脱銅電解浄液法の除去効率か
ら計算され、その中で最大の浄液量を必要とする不純物
が、電解液の抜き取り量を決定する基準となっていた。
【0005】1970年頃までは一般にAsを基準として浄
液量が決定されており、Asを選択的に除去する方法を
開発すれば、浄液量を大幅に削減することができる等の
メリットが考えられ、TBP(Tri-n-Butyl Phosphate
)によるヒ酸の選択的溶媒抽出を銅電解浄液に適用す
る方法などが開発されていた。
【0006】しかしながら、近年では電解液管理技術の
改善により(電解液中のAsの許容濃度の上昇や脱ピ効
率の向上など)、相対的にSb除去の重要性が高まって
きたため、上記TBPによるAsの選択的溶媒抽出法を
採用した場合、さらに同規模の脱銅電解浄液がSb除去
のために必要となり、コスト上の効果を得ることができ
なくなってしまった。
【0007】そこで、本発明者等はメチレンアミノホス
フォン酸をキレ−ト反応基とするフェノ−ル樹脂である
キレ−ト樹脂UR−3300(ユニチカ(株)製)が銅電解
液からSb、Bi、Fe2+イオンを選択的に吸着する性
質を有することを見い出し、1983年に新規な浄液法を開
発した[加納、永井:日本鉱業会春季講演会要旨集、P.
185(1983) ]。この浄液法を併用することにより、脱銅
電解液工程における脱アンチモン能力の不足を補うこと
ができるため、実操業において広く採用されてきた。
【0008】上記浄液法において用いられるキレ−ト樹
脂は、強力な選択的吸着によって不純物を除去するた
め、樹脂に吸着した不純物の脱着の際には4〜6N−H
Clが用いられていたが、この塩酸を回収する方法とし
ては、脱着液を蒸留することによって塩酸の大部分を直
接的に回収するか、あるいは脱着液を中和することによ
って脱着液中のSbを水酸化物として回収し、三酸化ア
ンチモンの製造において利用するなどといった方法がと
られてきた。しかしながら、前記蒸留法によると、蒸留
のための設備費および蒸気代が大きな負担になってい
る。このような事情からキレ−ト樹脂浄液法のランニン
グコストの大部分を、脱着液に使用する塩酸の補充費用
と脱着液の再生費用が占めていたのである。
【0009】本発明者等は、このような問題に対処する
べく、この脱着液を低コストかつ簡易な手段で再生する
ことができる銅電解液のキレ−ト樹脂浄液法として、不
純物を脱着した脱着液(プロトン濃度が 2.5N以下であ
り、かつ塩化物イオン濃度が2N以上である塩酸酸性塩
化物水溶液、好ましくはプロトン濃度1Nで塩化物濃度
が3Nである塩酸酸性塩化物水溶液)に硫化剤を添加し
てSbおよびBiを硫化澱物として除去し、さらにこの
溶液にCuまたはAsを添加し、過剰の硫化剤を沈殿さ
せて除去することにより、脱着液を再生する方法を見い
出している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、キレー
ト樹脂へ吸着された電解液からの不純物を塩酸酸性液等
で脱着させた後においても、キレート樹脂に不純物が残
留し、一部が電解槽に還流する場合があるという問題が
あり、電解液と脱着液の通液後、キレート樹脂を充分に
水洗する必要があった。したがって、水洗には充分な水
洗液を必要とし、また、それが廃液処理に過剰な負担を
かけることにもなっていた。本発明は、上述の問題点を
解決し、キレート樹脂からの水洗排出液の一部循環使用
と廃液処理への負担軽減が図れ、キレート樹脂における
吸着サイクルと脱着サイクルが円滑に行えるようにした
銅電解液のキレート樹脂浄液法の提供を目的とするもの
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、電
解槽中においてアンチモン(Sb)やビスマス(Bi)
などの有害不純物が蓄積した銅電解液を、キレート樹脂
によって浄液する方法において、吸着サイクルにおける
銅電解液の通液後、および脱着サイクルにおける塩酸酸
性塩化物水溶液の通液後にキレート樹脂の水洗をそれぞ
れ行い、それぞれの水洗排出液を排液時間の経過順序に
したがって少なくとも2分画し、最後の分画部分を強酸
性カチオン交換樹脂に通液して液中の重金属とNaを吸
着させ、得られた吸着尾液を上記キレート樹脂の水洗液
として循環させることを特徴とする銅電解液のキレート
樹脂浄液法を提供するものである。
【0012】
【作用】以下、本発明を、本発明が適用される浄液法の
一例のフローシートを示した図1を参照して説明する。
本発明が適用される浄液法における吸着サイクルによる
と、まず、電解槽中において有害不純物が蓄積した銅電
解液に、亜硫酸ガスや硫化水素ガス等の還元剤を添加し
て液中の第二鉄イオン(Fe3+)を第一鉄イオン(Fe
2+)に還元し、次いで、液中の第二鉄イオン(Fe3+
を還元した電解液をキレート樹脂塔のキレート樹脂に通
液し、SbやBiなどの不純物をキレート樹脂に吸着さ
せ、得られた吸着尾液を上記電解槽へ循環させている。
【0013】上記吸着サイクルにおける第二鉄イオンの
還元工程は、キレート樹脂に吸着された不純物が、塩酸
酸性塩化物水溶液からなる脱着液によって良好に脱着さ
れるようにするために行われるものであって、このよう
に電解液中の第二鉄イオンの還元を行わないと、電解液
中の第二鉄イオンがキレ−ト樹脂に吸着され、前記の塩
酸酸性塩化物水溶液によっては脱着されないため、樹脂
中のキレート反応基は第二鉄イオンによって占拠され、
吸脱着を繰返す間に樹脂中に第二鉄イオンの蓄積が起
り、これにともなって吸着容量が低下し、SbやBiの
吸着を妨害してしまうのである。そのため、上記キレー
ト樹脂への通液前の銅電解液における鉄イオンの大部分
が、硫化水素浄液法を用いることなどによって第一鉄の
状態にある場合、上記還元工程は省略することができ
る。
【0014】上記キレ−ト樹脂として、例えばメチレア
ミノホスフォン酸をキレ−ト反応基とするフェノ−ル樹
脂であるUR−3300(ユニチカ(株)製)を用いること
ができる。また、上記の他にもスミキレ−トMC-100や
エポラスMX−2のようにメチレンアミノホスフォン酸
をキレ−ト反応基とする樹脂も同様に使用することがで
きる。
【0015】一方、本発明が適用される浄液法における
脱着サイクルによると、まず、上記吸着サイクルにおい
てキレート樹脂に吸着されたSbやBiなどの不純物
を、好ましくは、プロトン濃度(遊離塩酸濃度)が 2.5
N以下であり、かつ塩化物イオン濃度(遊離塩酸濃度+
溶解塩化物濃度)が2N以上である塩酸酸性塩化物水溶
液(塩酸水溶液または塩酸酸性混合水溶液)によって脱
着している。
【0016】脱着液を上記のような条件とする理由は、
脱着に際してSbまたはBiの加水分解を防止するに
は、水素イオン濃度が1mol/l(1N)以上である
必要があり、しかもSbとBiに関して工業的に十分な
脱着速度を得るには、2N以上の塩化物イオン濃度が必
要となるためである。
【0017】なお、同じ塩化物濃度であっても塩酸酸性
混合水溶液は塩酸水溶液よりもpHが高いため、次工程
でSbとBiの完全な硫化を行うことができ、例えば、
3N塩酸水溶液からのSbとBiの硫化沈殿による除去
は不完全であるが、1N塩酸を含む塩酸酸性混合水溶液
からであればほぼ完全な除去が可能であるという利点が
ある。また、次工程では脱着剤に硫化剤を添加すること
による硫化澱物の生成が行われるが、硫化剤として水硫
化ソ−ダ、あるいは硫化ソ−ダを用いた場合(地域によ
っては硫化水素よりも水硫化ソ−ダや硫化ソ−ダの方が
安価である)、塩酸の一部が食塩に変わるため、必然的
に塩酸酸性混合水溶液を脱着液として使用することにな
る。
【0018】次に、上記不純物を脱着した塩酸酸性塩化
物水溶液に、好ましい手段として、硫化水素等の硫化剤
を添加し、硫化反応槽において、該溶液中のSbおよび
Biを硫化物(Sb23 やBi23 など)として沈殿
させて除去している。この時、水溶液中に硫化剤を残存
させないことが重要であって、より完全な硫化を行わせ
るためには過剰な硫化剤を添加することが望ましいが、
過剰に硫化剤を添加すると、水溶液中に残留する硫化物
イオン(S2-、HS- )あるいは硫化水素が、次の脱着
工程で樹脂に接触したときに、樹脂層中に残留する銅イ
オン、ヒ酸イオンなどと反応し、これらの硫化物がキレ
−ト樹脂上あるいは樹脂中に沈着し、次の吸着工程を物
理的に阻害するため、硫化剤の添加量は酸化還元電位
(ORP)測定によりコントロ−ルし、少量のSb、B
iを液中に残して硫化を止めることが好ましい。
【0019】また、吸着後の樹脂層中に多少の硫化水素
の残存は避け難く、多量の水で水洗しても少量は吸着サ
イクルまで残り、電解液中のCuやAsと反応し、これ
らの硫化物が前記と同様に樹脂を物理的に被毒して、回
復できないダメ−ジを与えることになってしまう。
【0020】そこで本発明における好ましい浄液法で
は、上記硫化澱物を固液分離して除去した後、得られた
溶液を脱硫槽に導き、酸化還元電位を測定しながらCu
またはAsを僅かに過剰に加え、硫化剤を硫化銅や硫化
ヒ素など硫化澱物として沈殿させ、この硫化澱物を除去
して得た塩酸酸性塩化物水溶液を脱着液としてリサイク
ルしているのである。
【0021】また、本発明の脱着サイクルにおけるキレ
ート樹脂の水洗(キレート樹脂に脱着液を通液した後に
行われる)は、ナトリウムと塩化物イオンが電解槽へ還
流することを避けるために充分に行なう必要がある。特
に、硫化剤からのNaは一旦電解槽に混入すると、除去
する方法が無いので充分な水洗が必要となり、このため
の多量の洗水は廃水処理の負担となるため、洗水は強酸
性カチオン交換樹脂を用いて処理して全ての金属イオン
を吸着除去し、水洗工程にリサイクルすることが好まし
い。
【0022】すなわち、上記吸着サイクルにおけるキレ
ート樹脂への銅電解液の通液後の水洗排出液と上記脱着
サイクルにおけるキレート樹脂への塩酸酸性塩化物水溶
液の通液後の水洗排出液は、それぞれ、キレート樹脂か
らの排液時間の経過順序すなわち酸濃度と不純物濃度の
順序にしたがって少なくとも2分画、望ましくは3分画
し、最初の分画部分を電解液または脱着液用の補給液と
し、また、最後の分画部分を強酸性カチオン交換樹脂に
通液して液中の重金属およびNa等を吸着させ、得られ
吸着尾液を上記キレート樹脂の水洗液として循環させる
と共に中間分画部分については、洗浄系外との廃液終末
処理施設に送給する。
【0023】同様に、前記吸着サイクル後の水洗液を処
理した強酸性カチオン交換樹脂は、2N−H2SO4
るいは銅電解液によって脱着すれば良いが(脱着液は電
解槽に戻される)、脱着に際してはSbおよびBiの加
水分解が起り易いので、脱着液は60℃程度に加温して
おく必要がある。また、脱着サイクルにおける塩酸酸性
塩化物水溶液には、少量づつではあるが徐々に鉄が蓄積
することもあるが、この場合には強塩基性アニオン交換
樹脂に通液することによって除去する方法がすでに工業
的に実施されている。
【0024】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明する。しかし本発明の範囲は以下の実施例により限
定されるものではない。
【0025】
【実施例1】ある電解工場において実際に使用されてい
る電解液(f-H2SO4 :180g/l、Fe2+:0.2g/l、S
b:0.5g/l、Bi:0.2g/l)を供試液として用い、これ
を1台の全自動吸脱着試験装置によってA研究室とB工
場とで同一の吸脱着試験を行った。
【0026】まず、全自動吸脱着試験装置内における内
径25mmのガラス管に充填された50mlのキレ−ト樹脂UR
−3300(ユニチカ株製)に、上記電解液を60℃、Space
Velocity(SV)12、40〜60Bed Volume(BV)で通液
し、その流出液におけるSb、Bi、Feの含有量をI
CPで分析した。次いで、このキレート樹脂をSV 6、
4 BVで水洗した後、脱着液として3N−HClをSV
3、15BVで通液し(得られた流出液におけるSb、B
i、Feの含有量をICPで分析した)、再びSV 6、
4 BVで水洗した。なお、上記脱着および水洗は室温で
行った。
【0027】上記の工程を 1サイクルとして、10サイク
ル連続脱着試験を行い、Sb、BiおよびFeの吸着容
量の推移を図2(a)、図3(a)および図4(a)に
示し、脱着容量の推移を図2(b)、図3(b)および
図4(b)に示した。なお、図2ないし図4における点
線はA研究室での試験結果であり、実線はB工場での試
験結果である。
【0028】上記の結果、A研究室において試験した場
合のSbの吸着容量は、B工場において試験した場合の
Sbの吸着容量の60%程度であったが、これは、電解液
中のSbの一部が輸送および保存中に白色に沈殿し、樹
脂カラムへの給液濃度が低下してしまったため、吸着容
量が低下したものと考えられる。
【0029】また、鉄の吸着は、A研究室では顕著であ
ったが、B工場試験では#1および#6サイクルで僅か
に吸着された以外は全く吸着されなかった。これは、当
該製錬所の浄液工程の影響で電解液が比較的還元状態に
あり、第一鉄のみの時には吸着されなかったものと考え
られる。一方、A研究室での試験で使用した供試液中の
鉄は、当該製錬所より送付された電解液であるが、輸送
中および保存中に第二鉄に空気酸化されたものと考えら
れる。このことから、現場電解液に、第二鉄が含まれて
いる場合であっても、これを予め第一鉄に還元しておく
ことにより、吸脱着に際してFeの挙動を考慮しなくて
も良いことになる。
【0030】さらに、UR−3300キレ−ト樹脂に吸着さ
れたFeを脱着するには、6N−HClが必要である
が、SbおよびBiだけを脱着する場合には、比較的薄
い塩酸、すなわち脱着液中のSbおよびBiを硫化物と
して沈殿させることができる程度の希薄塩酸( 2.5N・
HCl以下)でよいことが確認された。
【0031】
【実施例2】実施例1のA研究室で用いた供試液にSO
2ガスを添加して液中の第二鉄を第一鉄に還元し、この
電解液を用いた吸着工程と、3N−HClを脱着液とし
て用いた脱着工程とを繰返す連続吸脱着試験を実施例1
に準じて行い、SbおよびBiの交換容量の推移を求
め、その結果を図5に示した。
【0032】図5からも分かるように、電解液のロット
が変わった時以外は吸脱着容量が変化する傾向は認めら
れなかった。また、図5に示す連続試験におけるサイク
ル#12の吸着曲線を図6、脱着曲線を図7にそれぞれ
示したが、鉄の吸着は無視できる程度ものであった。な
お、図5に示す連続試験におけるサイクル#1、12、
22のUR−3300キレ−ト樹脂(50ml)の吸着容量およ
び脱着容量を表1に示し、脱着液の種類と脱着率との関
係を表2に示した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【実施例3】実施例2における3N−HClによる脱着
工程で得た脱着液に含まれるAs、SbおよびBi量、
および該脱着液を硫化反応槽に導いて硫化水素を吹き込
み、硫化殿物を生成させ、これを濾過して得た溶液に含
まれるAs、SbおよびBi量を測定し、その結果を表
3における分類Aに示した。
【0036】上記の結果、Biの除去が不十分であるこ
とが確認された。これは、硫化澱物生成反応はプロトン
濃度に関係するが、脱着反応は主として塩化物イオン濃
度に関係し、プロトン濃度は比較的薄くても進行するた
めである。
【0037】
【表3】
【0038】そこで、塩酸−食塩混合水溶液(1N−H
Cl+2N−NaCl)を脱着液として用いたこと以外
は上記と同様にして脱着および硫化澱物生成工程を行
い、塩酸−食塩混合水溶液に含まれるAs、Sbおよび
Bi量の測定を行い、その結果を表3における分類Bに
示した。
【0039】上記の結果、塩酸−食塩混合水溶液の方
が、塩酸単独の場合よりも脱着速度および脱着率は多少
低下する傾向を示すが、実用上満足できる範囲であっ
た。また、表3からも分かるように、この脱着液からの
Biの硫化沈殿の生成は、ほぼ完全であった。
【0040】
【実施例4】実施例3で得られた硫化後の塩酸水溶液中
には多少の硫化水素の残存は避け難く、これをそのまま
脱着工程にリサイクルすると、前述のように、水洗を十
分に行ったとしても、樹脂層中あるいは電解液中のC
u、Asと反応し、これらの硫化物が樹脂を物理的に被
毒して回復できなくなってしまう。
【0041】そのため、本実施例では硫化後の塩酸水溶
液中に、酸化還元電位を測定しながら僅かに過剰となる
ようにコントロ−ルしてCu水溶液を添加し、液中の硫
化水素を完全に消費し尽くした後(CuS等の硫化殿物
が生成)、生成した硫化殿物を濾過し、硫化物イオンや
硫化水素を含有しない再生塩酸溶液を得た。
【0042】脱着液の種類および酸化還元電位を変えた
場合における、再生された脱着液中におけるAs、S
b、BiおよびFeの濃度を測定し(比較のため脱着直
後の脱着液中におけるAs、Sb、BiおよびFeの濃
度も測定した)、その結果を表4ないし表6に示した。
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】なお、上記工程においては、酸化還元電位
を測定しながら硫化剤の添加をコントロ−ルし、少量の
Sb、Biを液中に残して硫化を止め、濾液を脱着液と
して循環させることもできるが、制御に相当の注意を要
することが判明した。
【0047】また、脱着後の水洗は、Na+とCl-イオ
ンが電解槽へ還流することを避けるため充分に行なう必
要がある。特に、Na+ は一旦電解液中に混入すると除
去する方法がないので、十分な水洗が必要となる。この
ための多量の洗水は廃水処理コスト高の要因となるた
め、強酸性カチオン交換樹脂で処理して全ての金属イオ
ンを吸着・除去し、水洗工程にリサイクルした。この処
理水は、Naイオンを殆ど含まず、pHは 3.5に低下して
いた。処理水は徐々に酸性になるので、多少のブリ−ド
は必要であるが、時間の経過順序にしたがって3分画し
て、最後の分画部分だけを通液することにより、酸性化
の進み方は極端に遅くなることが確認された。また、こ
の分画操作により強酸性カチオン交換樹脂の洗水処理容
量は大幅に増大することが確認された。
【0048】また、電解液通液後の洗水を処理したカチ
オン交換樹脂は、2N−H2SO4あるいは銅電解液など
で脱着した。脱着に際しては、SbおよびBiの加水分
解が起こり易いので、60℃に加温しておく必要がある。
脱着後、脱着液は電解槽に再び戻した。
【0049】
【発明の効果】本発明のキレート樹脂浄液法によれば、
脱着液(2N以上の塩化物イオンを含む塩酸酸性塩化物
水溶液)を再生し、循環させることができ、従来法に比
較して格段に安価なコストで操業することができ、ま
た、電解液の不純物であるビスマス、アンチモンを安価
に除去することを可能とする状態の下で、さらに、吸着
後および脱着後のキレート樹脂を水洗し、該キレート樹
脂からの水洗排出液を分画処理することにより、有害不
純物の還流を抑制し、吸着液と特に上記した脱着液の循
環使用をより円滑に行うことができ、水洗水の循環使用
が可能になり、廃液処理も円滑に行えるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例のフロ−シ−トである。
【図2】A研究室およびB工場における10回連続吸脱
着試験の結果を示す図であって、(a)はサイクル数に
対するSb吸着容量を示すグラフ、(b)はサイクル数
に対するSb脱着容量を示すグラフである。
【図3】A研究室およびB工場における10回連続吸脱
着試験の結果を示す図であって、(a)はサイクル数に
対するBi吸着容量を示すグラフ、(b)はサイクル数
に対するBi脱着容量を示すグラフである。
【図4】A研究室およびB工場における10回連続吸脱
着試験の結果を示す図であって、(a)はサイクル数に
対するFe吸着容量を示すグラフ、(b)はサイクル数
に対するFe脱着容量を示すグラフである。
【図5】連続吸着試験におけるSbおよびBiの交換容
量を示すグラフである。
【図6】図5におけるサイクル12の吸着曲線を示すグ
ラフである。
【図7】図5におけるサイクル12の脱着曲線を示すグ
ラフである。
フロントページの続き (72)発明者 川村 茂 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 小坂製錬株式会社内 (72)発明者 菅原 勉 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 小坂製錬株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−86897(JP,A) 特開 昭59−157294(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25C 1/00 - 7/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解槽中においてアンチモン(Sb)や
    ビスマス(Bi)などの有害不純物が蓄積した銅電解液
    を、キレート樹脂によって浄液する方法において、吸着
    サイクルにおける銅電解液の通液後、および脱着サイク
    ルにおける塩酸酸性塩化物水溶液の通液後にキレート樹
    脂の水洗をそれぞれ行い、それぞれの水洗排出液を排液
    時間の経過順序にしたがって少なくとも2分画し、最後
    の分画部分を強酸性カチオン交換樹脂に通液して液中の
    重金属とNaを吸着させ、得られた吸着尾液を上記キレ
    ート樹脂の水洗液として循環させることを特徴とする銅
    電解液のキレート樹脂浄液法。
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