JP2008038236A - 塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】亜鉛を含有する塩化ニッケル水溶液から、イオン交換法により亜鉛を吸着させ分離する方法において、陰イオン交換樹脂への亜鉛吸着量を向上させることができる亜鉛の分離方法を提供する。
【解決手段】亜鉛を含有する塩化ニッケル水溶液から、イオン交換法により亜鉛を吸着して分離する方法において、HCl型に置換された陰イオン交換樹脂を、水酸化ナトリウム水溶液と接触させ、該陰イオン交換樹脂中の官能基に吸着された塩酸を中和する第1の工程、及び第1の工程で得られる陰イオン交換樹脂を、亜鉛を含む酸性塩化ニッケル水溶液と接触させ、該亜鉛を吸着する第2の工程、を含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法に関し、さらに詳しくは、亜鉛を含有する塩化ニッケル水溶液から、イオン交換法により亜鉛を吸着して分離する方法において、陰イオン交換樹脂への亜鉛吸着量を向上させることができる亜鉛の分離方法に関する。
従来、一般的なニッケル精錬の原料としては、ニッケル鉱石から乾式熔錬法で得られるニッケル硫化物の濃縮物であるニッケルマットが用いられてきた。近年、各種のスクラップ、及び精錬工程内の中間物のリサイクルの活発化、さらには、低ニッケル品位のラテライト鉱を原料鉱石として用いた硫酸浸出法等の湿式製錬法の実用化にともない、新規ニッケル原料として、新たなニッケル含有物がニッケル精錬の対象となってきた。
従来の原料であるニッケルマットは乾式製錬法で製造されるため、揮発又は酸化除去されやすい亜鉛の含有量は極微量であった。ところが、上記新規ニッケル原料は、中和法又は硫化法等の湿式分離処理により溶液中から沈殿物として製造されるため、銅、コバルト、鉄その他の不純物元素と共に、通常、数百ppmから数重量%程度の濃度で亜鉛を含有する。
ところで、これら新規ニッケル原料を、従来のニッケル精錬プロセス、例えば、塩素ガスで浸出し、得られた塩化ニッケル水溶液を精製した後、電気分解によって電気ニッケルを採取する湿式精製プロセスで処理する場合には、プロセス内において、原料中に含まれる亜鉛は十分には除去できないので、塩化ニッケル水溶液から新たに亜鉛を除去する工程が必要になる。
すなわち、塩化ニッケル水溶液中で、亜鉛はZnCl 2−等の塩素イオン錯体を形成している。そこで、硫化剤として硫化水素ガスを吹き込むことで亜鉛を硫化物として除去する場合においては、硫酸ニッケル水溶液中の亜鉛を硫化物として除去する場合と比べて除去効率が低いので亜鉛を完全に除去するためには多量のニッケルの共沈殿をともなう。さらに、このとき、硫化水素を含んだ母液の曝気処理工程が必要となるので、設備投資コストが上昇する問題がある。
また、亜鉛はニッケルよりも低pHで水酸化物を形成するので、中和法により亜鉛をある程度までは選択的に除去することができるが、この場合においても、低濃度にまで除去するためには6を超えるpHにする必要があるので、同様に多量のニッケルの共沈殿が避けられず、望ましい方法ではない。
また、溶媒抽出法により、亜鉛を分離することは行えるが、設備面で大幅な投資に加え、処理後の溶液中への有機物のコンタミにより電気ニッケルの品質に影響を及ぼすという問題がある。
以上のように、亜鉛を分離するためには、大規模な設備投資或いは大幅なニッケル実収率の低下が避けられない状況であった。
この解決策として、本出願人は、コバルト、銅、鉄等の不純物元素を酸化中和法により分離除去した後の塩化ニッケル水溶液中に含まれる亜鉛を、陰イオン交換樹脂に吸着させて分離する方法(例えば、特許文献1、2、3参照。)を提案している。これらの方法によれば、他の不純物元素の共存による亜鉛の吸着への影響を極力排除しているので、塩化ニッケル水溶液から亜鉛を簡便な設備で低濃度にまで効率的に除去することが達成されている。
しかしながら、上記方法に基づく実操業においては、通常、平衡Zn濃度が3mg/Lであるときの亜鉛吸着量が、陰イオン交換樹脂1L当たり0.5〜0.8gと低いため、亜鉛の除去能力に設備容量上の課題があった。そのため、陰イオン交換樹脂を充填したイオン交換塔での残留原液の洗浄工程、吸着された亜鉛の溶離工程、及び再生工程を頻繁に行なうことに加えて、これに伴ない洗浄工程での塩酸使用量とその廃液の系内繰返量が増加すること、及び溶離工程からの亜鉛を含有した排水量が増加することにより、系内の薄液利用におけるバランス調整が難しくなるとともに、さらに排水処理工程の負荷が増加すること等の問題があった。
以上の状況から、新たな設備の増強を行なうことなく亜鉛の除去能力を向上することができる手段として、使用する陰イオン交換樹脂の亜鉛吸着量を上昇させることにより、樹脂の吸着が破過するまでの塩化ニッケル水溶液の処理量を増加させることができる方法が求められている。
特開2003−147452号公報(第1頁、第2頁) 特開2005−89808号公報(第1頁、第2頁) 特開2005−247666号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、亜鉛を含有する塩化ニッケル水溶液から、イオン交換法により亜鉛を吸着させ分離する方法において、陰イオン交換樹脂への亜鉛吸着量を向上させることができる亜鉛の分離方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、亜鉛を含有する塩化ニッケル水溶液から、イオン交換法により亜鉛を吸着して分離する方法において、陰イオン交換樹脂と塩化ニッケル水溶液を接触させたときの亜鉛の吸着反応について、鋭意研究を重ねた結果、前記吸着反応では、亜鉛を吸着すると同時に塩酸も吸着しているおり、この官能基に吸着された塩酸が亜鉛の樹脂への吸着を妨害していることを見出した。このことより、前処理としてHCl型に置換された陰イオン交換樹脂を、まず水酸化ナトリウム水溶液と接触させ、該陰イオン交換樹脂中の官能基に吸着された塩酸を中和した後に、次いで亜鉛を含む酸性塩化ニッケル水溶液と接触させたところ、酸性塩化ニッケル水溶液に含まれる遊離の塩酸が吸着反応を進行するため作用した、樹脂中への亜鉛吸着量を著しく向上させ、これにより、樹脂の吸着が破過するまでの液処理量を増加させることが達成される。以上より、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、亜鉛を含有する塩化ニッケル水溶液から、イオン交換法により亜鉛を吸着して分離する方法において、
HCl型に置換された陰イオン交換樹脂を、水酸化ナトリウム水溶液と接触させ、該陰イオン交換樹脂中の官能基に吸着された塩酸を中和する第1の工程、及び
第1の工程で得られる陰イオン交換樹脂を、亜鉛を含む酸性塩化ニッケル水溶液と接触させ、該亜鉛を吸着する第2の工程、を含むことを特徴とする塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記第1の工程の陰イオン交換樹脂は、その官能基として3級アミンを有することを特徴とする塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記第1の工程の陰イオン交換樹脂は、陰イオン交換樹脂を充填したイオン交換塔に、前記酸性塩化ニッケル水溶液を通液して亜鉛を吸着した後に、塩酸を通液して付着液を洗浄し、続いて水を通液して吸着された亜鉛を溶離して得られたものであることを特徴とする塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記第1の工程から得られる陰イオン交換樹脂中のHCl保有量が、樹脂1L当たり0.2mol以下に調整されることを特徴とする塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記第2の工程の酸性塩化ニッケル水溶液のpHは、2.0〜4.0であることを特徴とする塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、前記第2の工程の酸性塩化ニッケル水溶液のニッケル濃度は、90〜120g/Lであることを特徴とする塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法が提供される。
本発明の塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法は、亜鉛を含有する塩化ニッケル水溶液から、イオン交換法により亜鉛を吸着して分離する方法において、水酸化ナトリウム水溶液と接触させるという簡便な操作工程を加えるのみで、陰イオン交換樹脂への亜鉛吸着量を著しく上昇させ、これにより樹脂の吸着が破過するまでの塩化ニッケル水溶液の処理量を増加させることができる。したがって、新たな設備の増強を行なうことなく亜鉛の除去能力を向上することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法を詳細に説明する。
本発明の塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法は、亜鉛を含有する塩化ニッケル水溶液から、イオン交換法により亜鉛を吸着して分離する方法において、HCl型に置換された陰イオン交換樹脂を、水酸化ナトリウム水溶液と接触させ、該陰イオン交換樹脂中の官能基に吸着された塩酸を中和する第1の工程、及び第1の工程で得られる陰イオン交換樹脂を、亜鉛を含む酸性塩化ニッケル水溶液と接触させ、該亜鉛を吸着する第2の工程、を含むことを特徴とする。
本発明において、陰イオン交換樹脂を用いて塩化ニッケル水溶液中の亜鉛を吸着する第2の工程に先立って、第1の工程においてHCl型に置換された陰イオン交換樹脂を、水酸化ナトリウム水溶液と接触させ、該陰イオン交換樹脂中の官能基に吸着された塩酸を中和すること、及び、第2の工程において遊離の塩酸を含む酸性塩化ニッケル水溶液を用いることが重要な意義を有する。これによって、第2の工程において、樹脂への亜鉛吸着量を著しく上昇させることができる。
すなわち、HCl型に置換された陰イオン交換樹脂中の官能基に吸着された塩酸を中和し、この塩酸による亜鉛の吸着への妨害を取り除くと、亜鉛の吸着量を約2倍に上昇することができる。さらに、中和処理された陰イオン交換樹脂の亜鉛の吸着反応は、酸性塩化ニッケル水溶液中に含まれる遊離の塩酸により供給されるClイオンが樹脂の交換反応に作用するため、順調に進行する。
さらに、本発明に係る反応について、以下に詳細に説明する。
例えば、陰イオン交換樹脂として、3級アミン型を用いる場合には、一般的に、3級アミンの官能基を有する陰イオン交換樹脂は、前処理としてHCl型に置換されることにより、次の式(1)に従って、塩素錯体を形成している亜鉛イオン(ZnCl 2−)を吸着することができる。
式(1):2(R−N:H−Cl)+ZnCl 2−→(R−NH)ZnCl+2Cl
(式中のR−N:H−Clは、官能基がHCl型に置換された三級アミン型樹脂を表す。)
ここで、吸着反応としては、水溶液中のZnCl 2−を吸着する替わりに樹脂中に存在するClイオンを放出する交換反応である。すなわち、この反応には、水素イオンの関与がないのでpHの変化、及びその依存性はないと考えられる。
ところが、既存設備の操業では、吸着工程に供給する始液のpHが高いほど、亜鉛吸着量が増加するとともに、吸着後の終液のpHは始液のpHと比較して上昇するという現象が見られる。これより、吸着反応ではZnCl 2−を吸着すると同時に、HClも吸着しているものと推察され、これがZnCl 2−の吸着を妨害しているようである。
これに対して、本発明の方法では、官能基がHCl型に置換された陰イオン交換樹脂を水酸化ナトリウム水溶液と接触させ、該陰イオン交換樹脂中の官能基に吸着された塩酸を中和する。次いで、亜鉛を含む酸性塩化ニッケル水溶液と接触させ、この酸性塩化ニッケル水溶液に含まれる遊離塩酸により吸着反応を進行させる。すなわち、前述したように、上記吸着反応は、液中のZnCl 2−と樹脂中の2Clとの交換反応であるため、陰イオン交換樹脂に吸着された塩酸を中和除去した場合には、上記吸着反応が進行しなくなるはずである。しかしながら、樹脂中の2Clの補充は、酸性塩化ニッケル水溶液に含まれる遊離塩酸により行なわれる。しかも、塩化ニッケル水溶液中に含まれる亜鉛の等モル以上の遊離塩酸あれば、吸着反応は順調に進行する。
本発明において、前記陰イオン交換樹脂は、溶液の中に分散させても、また充填層を形成してもよい。通常、工業的には、樹脂を充填したイオン交換塔が使用される。この場合、吸着された亜鉛を溶離した後の陰イオン交換樹脂が充填されているイオン交換塔内へ、所望の濃度の水酸化ナトリウム水溶液が流入され、その後、亜鉛を含む酸性塩化ニッケル水溶液が流入される。これによって、所定の通液速度で、樹脂の吸着能が破過するまでの通液量を連続して吸着操作することができるので効率的である。
1.第1の工程
本発明の第1の工程は、HCl型に置換された陰イオン交換樹脂を、水酸化ナトリウム水溶液と接触させ、該陰イオン交換樹脂中の官能基に吸着された塩酸を中和する工程である。これにより、亜鉛が吸着された陰イオン交換樹脂の溶離工程、或いは再生工程から得られる樹脂中の官能基に吸着された塩酸を除去することができ、亜鉛吸着量を上昇することができる。
上記工程で用いる陰イオン交換樹脂としては、特に限定されるものでなく、市販の4級アンモニウムを官能基とする強塩基性陰イオン交換樹脂、3級アミンを官能基とする弱塩基性陰イオン交換樹脂等が挙げられるが、耐熱性の高い弱塩基性陰イオン交換樹脂が好ましい。ここで、あらたに陰イオン交換樹脂を使用する際には、前処理としてHCl型に置換される。
また、上記陰イオン交換樹脂としては、陰イオン交換樹脂を充填したイオン交換塔に、酸性塩化ニッケル水溶液を通液して亜鉛を吸着した後に、塩酸を通液して付着液を洗浄し、続いて水を通液して吸着された亜鉛を溶離して得られたものが用いられる。
上記工程で用いる水酸化ナトリウムの使用量としては、特に限定されるものでなく、樹脂中の官能基に吸着された塩酸を中和することができる量が用いられる。例えば、吸着工程での始液のpHと終液のpHの差からプロトン消費量を求め、その見合い量の水酸化ナトリウムを添加するが、第1の工程から得られる樹脂中のHCl保有量が、樹脂1L当たり好ましくは0.2mol以下、より好ましくは0.1mol以下になるように、水酸化ナトリウムの使用量が調節される。すなわち、前記樹脂中のHCl保有量が0.2molを超えると、亜鉛吸着量の向上度合が低くなる。
なお、樹脂中のHCl保有量とは、樹脂100mLを水1Lと混合し、pHが7.0になるまで濃度50g/Lの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定し求めたHCl量と、この樹脂を用いて吸着操作を行なったときのプロトンの変動から求めたHCl量との合計値賭して定義される。
上記工程で用いる温度としては、特に限定されるものでなく、室温〜100℃が用いられる。すなわち、室温より低くしてもそれ以上の効果は得られない。一方、100℃を超えると、樹脂の性能特性である最高操作温度を越えた影響により樹脂の劣化が懸念される。
2.第2の工程
本発明の第2の工程は、第1の工程で得られる陰イオン交換樹脂を、亜鉛を含む酸性塩化ニッケル水溶液と接触させ、該亜鉛を吸着する工程である。これによって、高い亜鉛吸着量が得られる。
上記工程で用いる亜鉛を含む酸性塩化ニッケル水溶液としては、特に限定されるものでなく、例えば亜鉛その他の不純物元素を含む酸性塩化ニッケル水溶液が用いられるが、その中で、特に硫化ニッケル等のニッケル原料を、塩素ガスで浸出し、得られた塩化ニッケル水溶液を精製した後、電気分解によって電気ニッケルを得る湿式精製プロセスにおいて得られる亜鉛、コバルト、銅、鉄、その他の塩素錯体を形成する不純物元素を含む塩化ニッケル水溶液が好ましく用いられる。ただし、亜鉛を除く他の不純物元素うち、陰イオン交換樹脂に吸着されるコバルト、銅、鉄等は事前に十分に分離されていることが樹脂の吸着が破過するまでの時間が延長されるので好ましい。上記亜鉛濃度としては、特に限定されるものでないが、1〜10mg/Lのものが好ましく用いられる。
上記工程で用いる酸性塩化ニッケル水溶液の酸性度としては、吸着反応を進行させるため、少なくとも亜鉛と等モルの遊離塩酸を含有することが不可欠である。通常は液中の亜鉛が含有量は低いので、ニッケルの中和反応が起こりにくいpH6以下で行なわれるが、このpHとしては、好ましくは2.0〜4.0、より好ましくは2.5〜3.5である。すなわち、pHが2.0未満では、亜鉛の吸着の進行が遅い。一方、pHが4.0を超えると、溶液中にニッケル又はコバルトの水酸化物が生成する領域になり、亜鉛の吸着速度が低下する。
上記工程で用いる酸性塩化ニッケル水溶液のニッケル濃度としては、特に限定されるものでなく、好ましくは90〜120g/L、より好ましくは100〜120g/Lである。すなわち、ニッケル濃度が90g/L未満では、ニッケルの生産性が低い。一方、ニッケル濃度が120g/Lを超えると、塩化ニッケル水溶液の粘度が上昇し、亜鉛の吸着速度が低下する。
上記工程で用いる温度としては、特に限定されるものでなく、室温〜100℃が用いられる。すなわち、室温より低くしてもそれ以上の効果は得られない。一方、100℃を超えると、樹脂の性能特性である最高操作温度を越えた影響により樹脂の劣化が懸念される。
また、以上の工程により亜鉛が吸着された樹脂は、0.5N〜3N、好ましくは1〜3Nの塩酸で洗浄され、付着された塩化ニッケル水溶液が回収された後、続いて水を用いて亜鉛の溶離が行われる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析は原子吸光法で行った。また、樹脂中のHCl保有量は、前述の定義に従って求めた。
(実施例1)
まず、既存設備の操業から得られた亜鉛の溶離工程終了後の陰イオン交換樹脂(商品名:アンバーライトIRA96SB、製造元:オルガノ株式会社)100mLを用いて、まず、濃度1Nの塩酸0.5Lで攪拌洗浄後、続いて濃度3g/Lの水酸化ナトリウム水溶液1Lで1時間の攪拌洗浄を行った。次いで、洗浄後の樹脂をニッケル濃度100g/L及び亜鉛濃度100mg/Lの塩化ニッケル水溶液(pH:2.5)を用いて、樹脂量を変化させて吸着させたときの亜鉛濃度を測定し、平衡亜鉛(Zn)濃度と亜鉛(Zn)吸着量の関係を求めた。結果を図1に示す。その後、洗浄後の樹脂中のHCl保有量を求め、HCl保有量と亜鉛(Zn)吸着量の関係を得た。結果を図2に示す。
(実施例2)
水酸化ナトリウム水溶液の濃度が6g/Lであったこと以外は、実施例1と同様に行ない、平衡亜鉛(Zn)濃度と亜鉛(Zn)吸着量の関係を求めた。結果を図1に示す。その後、洗浄後の樹脂中のHCl保有量を求め、HCl保有量と亜鉛(Zn)吸着量の関係を得た。結果を図2に示す。
(比較例1)
濃度5Nの塩酸で洗浄したこと、及びその後水酸化ナトリウム水溶液での洗浄を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様に行ない、平衡亜鉛(Zn)濃度と亜鉛(Zn)吸着量の関係を求めた。結果を図1に示す。その後、洗浄後の樹脂中のHCl保有量を求め、HCl保有量と亜鉛(Zn)吸着量の関係を得た。結果を図2に示す。
(比較例2)
濃度1Nの塩酸で洗浄したこと、及びその後水酸化ナトリウム水溶液での洗浄を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様に行ない、平衡亜鉛(Zn)濃度と亜鉛(Zn)吸着量の関係を求めた。結果を図1に示す。その後、洗浄後の樹脂中のHCl保有量を求め、HCl保有量と亜鉛(Zn)吸着量の関係を得た。結果を図2に示す。
(参考例1)
既存のイオン交換塔での連続通液試験で通液量が樹脂容量の200倍(200BV)で、樹脂中のHCl保有量と亜鉛(Zn)吸着量の関係を得た。
図1、図2より、実施例1又は2では、本発明の方法に従って行なわれたので、平衡Zn濃度が3mg/Lであるときの亜鉛吸着量は、樹脂の総交換容量に近い、それぞれ樹脂1L当たり1.06gと1.14gであり、また、樹脂中のHCl保有量は、それぞれ樹脂1L当たり0.09molと0molであった。すなわち、水酸化ナトリウム水溶液での洗浄により、樹脂中のHCl保有量を低くすることで、既存設備での結果(参考例1)に比べて、亜鉛吸着量が大幅に上昇することが分かる。また、陰イオン交換樹脂に吸着された塩酸を中和除去したときにも、酸性塩化ニッケル水溶液と接触させたときには、吸着反応が進行することが分かる。
これに対して、比較例1又は2では、水酸化ナトリウム水溶液での洗浄を行なわなかったので、樹脂中のHCl保有量は、それぞれ樹脂1L当たり1.6molと0.6molであり、また、平衡Zn濃度が3mg/Lであるときの亜鉛吸着量は、それぞれ樹脂1L当たり0.83gと0.68gであった。これより、樹脂中のHCl保有量は約3倍であるのにもかかわらず、亜鉛吸着量には大きな変化が見られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の塩化ニッケルからの亜鉛の分離方法は、ニッケル精錬分野の塩化ニッケル水溶液の精製方法として利用され、特に酸化中和法によりコバルト、銅、鉄等を分離した後の液から亜鉛を分離する工程において好適に用いられる。
実施例及び比較例の吸着での平衡亜鉛(Zn)濃度と亜鉛(Zn)吸着量の関係の関係を表す図である。(実施例1、2)、(比較例1、2) 実施例、比較例及び参考例での洗浄後の樹脂中のHCl保有量と亜鉛(Zn)吸着量の関係を表す図である。(実施例1、2)、(比較例1、2)、(参考例1)

Claims (6)

  1. 亜鉛を含有する塩化ニッケル水溶液から、イオン交換法により亜鉛を吸着して分離する方法において、
    HCl型に置換された陰イオン交換樹脂を、水酸化ナトリウム水溶液と接触させ、該陰イオン交換樹脂中の官能基に吸着された塩酸を中和する第1の工程、及び
    第1の工程で得られる陰イオン交換樹脂を、亜鉛を含む酸性塩化ニッケル水溶液と接触させ、亜鉛を吸着する第2の工程、を含むことを特徴とする塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法。
  2. 前記第1の工程の陰イオン交換樹脂は、その官能基として3級アミンを有することを特徴とする請求項1に記載の塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法。
  3. 前記第1の工程の陰イオン交換樹脂は、陰イオン交換樹脂を充填したイオン交換塔に、前記酸性塩化ニッケル水溶液を通液して亜鉛を吸着した後に、塩酸を通液して付着液を洗浄し、続いて水を通液して吸着された亜鉛を溶離して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法。
  4. 前記第1の工程から得られる陰イオン交換樹脂中のHCl保有量が、樹脂1L当たり0.2mol以下に調整されることを特徴とする請求項1に記載の塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法。
  5. 前記第2の工程の酸性塩化ニッケル水溶液のpHは、2.0〜4.0であることを特徴とする請求項1に記載の塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法。
  6. 前記第2の工程の酸性塩化ニッケル水溶液のニッケル濃度は、90〜120g/Lであることを特徴とする請求項1に記載の塩化ニッケル水溶液から亜鉛の分離方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017090436A (ja) * 2015-11-02 2017-05-25 住友金属鉱山株式会社 重金属元素の定量方法および分離方法
JP2017186198A (ja) * 2016-04-05 2017-10-12 住友金属鉱山株式会社 塩化コバルト水溶液の精製方法

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