JP6099534B2 - 農薬粒剤及びその製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、農薬粒剤及びその製造方法に関する。
一般的に農薬活性成分をベントナイト等の粒核に被膜した農薬粒剤は良く知られており、これは例えば、液体の農薬活性成分、液体の界面活性剤、有機溶剤等を用いて製造される(特許文献1、3)。
また、特許文献2には粒核に加温しながら熱可塑性樹脂を結合剤としてスメクタイトを含む粉末を被覆する方法が開示されている。
さらに、特許文献4には粒核に酢酸ビニルエマルジョンで農薬を被膜した農薬粒剤に一次結合剤として水を用いてベントナイト、ホワイトカーボンおよび結合剤を被覆する方法が開示されている。
しかしながら、これらの農薬粒剤は製造のし易さ、農薬粒剤の有効成分の剥離に対する耐性、流動性、長期保存による固結や農薬の溶出不良等の製剤劣化の防止の点で充分ではなかった。
農薬の粒剤の製法には大きく分けて(i)珪砂などの粒核の表面に結合剤を用いて農薬成分を被覆する方法、
(ii)農薬活性成分と結合剤他鉱物質粉末に、水を加え練ったものを、スクリーンを通す方法の二通りの製造方法がある。本発明は前記方法(i)に関するもので、(i)の方法では結合剤に液体の農薬活性成分や有機溶剤を用いた場合は、被覆層が剥がれやすく、流動性が悪くなる。また、粒核として吸水性の高いベントナイトを使用した場合、一次結合剤の水によってベントナイトが膨潤し粘着性が発生するため粒核と粒核とが付着し団粒物ができ安くなる。そのため水を用いた一次結合剤でベントナイトを粒核に被覆する方法は一般的には普及にはいたっていない。
特公昭40−8920 特開2003−286106 特開2003−292409 特許4577919
本発明は、粒核に農薬成分を被覆した農薬粒剤であって、ベントナイトの特性を生かした上で、製造がし易く、農薬成分を含む被覆層が剥がれに強く、流動性に優れ、他の農薬粒剤との均一混合を容易に行うことができ、また、製剤の長期保存による固結や農薬の溶出不良等の製剤劣化を防止できる被覆製剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、粒核の表面を被覆する際に、液体の農薬活性成分や有機溶剤のような油状物質を結合剤として、水とベントナイトを含む粉末を被覆することにより耐剥離性、流動性などの作業性はもとより、保存安定性にも優れた農薬粒剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)粒核の表面に、油状物質を結合剤として、水とベントナイトを含む粉末担体を被覆することを特徴とする農薬粒剤、
(2)農薬活性成分を含む粒核の表面に、油状物質を結合剤として、水とベントナイトを含む粉末担体を被覆することを特徴とする農薬粒剤、
(3)農薬活性成分を被覆した粒核である(1)または(2)に記載の農薬粒剤、
(4)熱可塑性の樹脂で被覆してなる粒核である(1)〜(3)のいずれか一項に記載の農薬粒剤、
(5)油状物質の農薬活性成分を結合剤として、水とベントナイトを含む粉末担体を粒核に被膜した(1)〜(4)のいずれか一項に記載の農薬粒剤、
(6)粒核の表面に油状物質を結合剤として農薬活性成分と水とベントナイトを含む粉末担体を粒核に被覆することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の農薬粒剤、
(7)粒核の表面に農薬活性成分、水とベントナイトおよび界面活性剤を含む粉末担体を被覆することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか一項に記載の農薬粒剤、
(8)粒核の表面にベントナイト粉末を含む粉末の配合割合が、5重量%以上である(1)〜(7)のいずれか一項に記載の農薬粒剤、
(9)ベントナイト微粉末の平均粒子径が0.1〜30μmで、かつ粉末混合物に対してベントナイトの配合割合が5〜90重量%である(1)〜(8)のいずれか一項に記載の農薬粒剤、
(10)水とベントナイトを含む粉末担体で、水の含有量が1〜50重量%である(1)〜(9)のいずれか一項に記載の農薬粒剤。
(11)粒核の表面に油状物質を結合剤として、水とベントナイトを含む粉末担体を被覆することを1回〜10回繰り返すことを特徴とする(1)〜(10)のいずれか一項に記載の農薬粒剤、
(12)(1)〜(11)のいずれか一項に記載の農薬粒剤の製造方法、
に関する。
粒核の表面に、油状物質を結合剤として、水とベントナイトを含む粉末担体を被膜し乾燥することによって容易に製造でき、粒剤の長期保存による固結や農薬の溶出不良等の製剤劣化を防止し得る被覆農薬粒剤が容易に製造できることを見いだし、本発明を完成した。且つ粒核の表面にベントナイトを含む粉末を被覆しているため、粒の表面の剥がれがなく、流動性がよく農薬散布を容易にすることができ、また、水田に散布した場合は農薬粒剤が水底で広がるため、農薬粒剤の散布状況がわかり均一散布しやすいため、農作業の労力低減に大きく貢献できる。
本発明の粒剤は、粒核の表面に一次結合剤として水と水溶性の有機溶剤の混合液でベントナイトを含む粉末を被覆層から構成されてなるものであり、特に、農薬粒剤として好ましく用いることができる。
本発明において油状物質の結合剤は、例えば不揮発性の有機溶剤としては、流動パラフィン、DTDP、DIDPなどの可塑剤、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールのような、アルキレングリコール又はポリアルキレングリコール等のグリコール類、界面活性剤としてはフェノールスルホン酸塩及びその縮合物、スチレンスルホン酸塩の縮合物、マレイン酸とスチレンスルホン酸との縮合物の塩、アクリル酸やマレイン酸などのカルボン酸縮合物の塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ラウリルサルフェートの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェートの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル及びその塩等のアニオン界面活性剤やトリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等のリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルフェノールホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、高級脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキロールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の界面活性剤、油状の農薬成分としてはダイアジノン、MCPB−E等が挙げられるが固形の農薬成分でも有機溶剤に溶解して使用してもよい。これらを1種または2種以上混合して用いることができるが、ニューカルゲンEP60P、ニューカルゲンFS−7PG(竹本油脂社製)、農薬の有効成分で油状物質であるMCPB−E、ダイアジノン等が、好ましい。また、これらに限定されない。本発明の農薬粒剤において、界面活性剤の量は通常0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。
油状物質の結合剤をそのまま使用してもよく、油状物質の中に農薬活性成分、粘度調整剤、引火点当節剤、分解防止剤、安定剤等を配合して用いてもよい。例えば、農薬活性成分を分散し湿式粉砕したものや農薬活性成分を乳化したものを使用してよい。
粘度調節剤として水、メタノール、エタノール等、引火点調節剤として水や引火点の高い溶剤等、安定剤に用いるリン酸、PAP等を用いてもよい。
本発明で被覆の際用いるベントナイトはモンモリロナイト系の粘度鉱物で、水分を含むと優れた膨潤性を示し粘土状となり、農薬粒剤の結合剤として作用させる。本発明に使用されるベントナイトの銘柄としては、豊順ベントナイト穂高印、豊順ベントナイト富士印、ベントナイトスーパークレー(豊順鉱業株式会社)、ベントナイト天竜(関東ベントナイト株式会社)、ベントナイトKG−1印、ベントナイト阿蘇印、ベントナイトボルクレー、ニッタンベントナイト(日本ベントナイト工業株式会社)、ベントナイト出雲印(カサネン工業株式会社)、クニゲルVA、クニゲルV1、クニゲルV2、クニボンド(クニミネ工業株式会社)、筑前7号、筑前8号(品川窯材株式会社)、三立300SSB(三立鉱業株式会社)、ベントナイトウエスタンボンド,ブラックヒル(明和産業株式会社)、ベントナイト朝日1号、ベントナイト朝日2号(啓和炉材株式会社)、ベントナイトワイオミング(ネオライト興産株式会社)、ヘイベント250(サンケン工業株式会社)、中国ベントナイト(浅田製粉株式会社)、西毛ベントナイト(西毛開発株式会社)、出雲ベントナイト(出雲ベントナイト株式会社)などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、ベントナイト微粉末の平均粒子径が0.1〜30μmである。
本発明の増量剤は、鉱物質微粉を練り固めて造粒物を作製して粒核にする場合や粒核に被覆する際にベントナイト以外の他の増量剤を配合することができる。増量剤としては、例えば、タルク、クレー、珪藻土、ホワイトカーボン類、炭酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム等の一般的に農薬のキャリアーとして用いられる鉱物質微粉の他に、発泡樹脂バルーン、鉱物質発泡バルーン、塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の樹脂粉末、グルコース、砂糖、乳糖等の糖類、カルボキシメチルセルロース及びその塩類、澱粉及びその誘導体、微結晶セルロース、木粉、米糠、ふすま、籾殻の粉末、コーヒー豆粉末、セルロース粉末、甘草粉末等の有機物、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム等の水溶性無機塩類、尿素等が挙げられる。本発明に用いるベントナイトの含有量は、通常、ベントナイトを含む粉末中に5〜90%重量部である。また、農薬粒剤中のベントナイトを含む粉末の量は5〜50%重量部である。
本発明に使われる粒核としては、各種鉱物質粒状物、例えばケイ砂粒、炭酸カルシウム粒、ロウ石粒、セリサイト粒、ベントナイト粒、ゼオライト粒、ケイソウ土粒、軽石粒、アタパルジャイト粒、海岸砂粒、河川砂粒など、農薬活性成分を含む鉱物質微粉の造粒物、農薬活性成分を含む鉱物質微粉の造粒物を更に熱可塑性樹脂で被覆した造粒物、ケイ砂粒等に農薬活性成分を熱可塑性樹脂で被覆した造粒物、発泡樹脂バルーンや鉱物質発泡バルーンを含む造粒物、鉱物質の加工品、木材の破砕品、動植物破砕物の造粒品、プラスチック粒、紙の造粒品、繊維の造粒品、ガラス破砕品、植物種子などを例示できるがこれらに限定されるものではない。
粒核の粒度は、最終製剤もしくは次段階の製造工程に要求される粒度の範囲の中で適当なものを適時選択すればよいが、そのまま農薬製剤として利用する場合は、0.3〜3mmの範囲となり、さらに加工を行う場合の原料とする場合は0.02〜2.5mmであり、好ましくは0.05mm〜2.0mmのものが使用される。
鉱物質微粉を練り固めて造粒物を作製して粒核にする場合や粒核に被覆する際に用いる結合剤としてはベントナイトでよいが、ベントナイトの他に結合剤を併用してもよい例えば、デキストリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースの塩、メチルセルロース、アラビアゴム、ポリエチレングリコール及びその誘導体、タブ粉、リグニンスルホン酸塩、カルボン酸又はスルホン酸タイプのポリソープ等が挙げられる。これらのうち、リグニンスルホン酸塩又はカルボン酸若しくはスルホン酸タイプのポリソープ等ある。
本発明の農薬粒剤は、鉱物質微粉を練り固めて造粒物を作製して粒核にする場合や粒核に被覆する際に、農薬活性成分を分散や乳化するために必要に応じて界面活性剤を含有してもよく、界面活性剤としては、例えば、リグニンスルホン酸塩、(アルキル)ナフタレンスルホン酸塩及びその縮合物、フェノールスルホン酸塩及びその縮合物、スチレンスルホン酸塩の縮合物、マレイン酸とスチレンスルホン酸との縮合物の塩、アクリル酸やマレイン酸などのカルボン酸縮合物の塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ラウリルサルフェートの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェートの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル及びその塩等のアニオン界面活性剤やトリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等のリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルフェノールホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、高級脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキロールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の界面活性剤が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の農薬粒剤において、界面活性剤の量は通常0〜50重量%、好ましくは0〜20重量%である。
本発明の農薬粒剤に用いられる農薬活性成分としては、殺虫化合物、殺菌化合物、除草化合物、昆虫成長制御化合物及び植物成長制御化合物を挙げることができ、例えば次に示す化合物を具体的に挙げることができる。
殺虫化合物としては、フェニトロチオン、フェンチオン、ダイアジノン、アセフェート、ジスルホトン、スルプロホス、シアノホス、ジオキサベンゾホス、ジメトエート、フェントエート、マラチオン、トリクロルホン、モノクロトホス、エチオン等の有機リン系化合物、BPMC、ベンフラカルブ、カルボスルファン、メソミル、アルジカルブ、オキサミル、フェノチオカルブ等のカーバメート系化合物、エトフェンプロックス、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フェンプロパトリン、シペルメトリン、ペルメトリン、シハロトリン、デルタメトリン、シクロプロトリン、フルバリネート、ビフェンスリン、ハルフェンプロックス、トラロメトリン、シラフルオフェン、d―フェノトリン、シフェノトリン、d―レスメトリン、アクリナスリン、シフルトリン、テフルトリン、トランスフルスリン、テトラメトリン、アレトリン、プラレトリン、エンペントリン、イミプロスリン、d―フラメトリン等のピレスロイド系化合物、ブプロフェジン等のチアジアジン誘導体、ニトロイミダゾリジン誘導体、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ等のネライストキシン誘導体、N―シアノ―N―メチル―N′―6―クロロ―3―ピリジルメチル
)アセトアミジン等のN―シアノアミジン誘導体、エンドスルファン、ジコホル等の塩素化炭化水素化合物、昆虫成長制御化合物であるクロルフルアズロン、テフルベンズロン、フルフェノクスロン等のベンゾイルフェニルウレア系化合物、アミトラズ、クロルジメホルム等のホルムアミジン誘導体、ジアフェンチウロン等のチオ尿素誘導体、N―フェニルピラゾール系化合物、メトキサジアゾン、ブロモプロピレート、テトラジホン、キノメチオネート、プロパルギット、フェンブタティンオキシド、ヘキシチアゾクス、クロフェンテジン、ピリダベン、フェンピロキシメート、デブフェンピラド、ポリナクチンコンプレックス、ピリミジフェン、ミルベメクチン、アバメクチン、イバーメクチン、アザジラクチン等を挙げることができる。
殺菌化合物としては、ベノミル、カルベンダジム、チアベンダゾール、チオファネートメチル等のベンズイミダゾール系化合物;ジエトフェンカルブ等のフェニルカーバメート系化合物;プロシミドン、イプロジオン、ビンクロゾリン等のジカルボキシイミド系化合物;ジニコナゾール、プロペナゾール、エポキシコナゾール、テブコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、フルシラゾール、トリアジメフォン等のアゾール系化合物;メタラキシル等のアシルアラニン系化合物;フラメトピル、メプロニル、フルトラニル、イソチアニル、ボスカリド等のカルボキシアミド系化合物;トルクロホスメチル、フォセチルアルミニウム、ピラゾホス等の有機リン系化合物;ピリメサニル、メパニピリム、シプロジニル等のアニリノピリミジン系化合物;フルジオキソニル、フェンピクロニル等のシアノピロール系化合物;ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシン等の抗生物質;アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、SSF−126等のメトキシアクリレート系化合物;クロロタロニル、マンゼブ、キャプタン、フォルペット、トリシクラゾール、ピロキロン、プロベナゾール、フサライド、シモキサニル、ジメトモルフ、CGA245704、ファモキサドン、オキソリニック酸、フルアジナム、フェリムゾン、ジクロシメット、クロベンチアゾン、イソバレジオン、テトラクロオロイソフタロニトリル、チオフタルイミドオキシビスフェノキシアルシン、3−アイオド−2−プロピルブチルカーバメイト、パラヒドロキシ安息香酸エステル、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等を挙げることができる。
除草化合物としては、アトラジン、メトリブジン等のトリアジン系化合物;フルオメツロン、イソプロチュロン等のウレア系化合物;ブロモキシニル、アイオキシニル等のヒドロキシベンゾニトリル系化合物;ペンディメサリン、トリフルラリン等の2、6―ジニトロアニリン系化合物;2,4−D、MCPB−E、ジカンバ、フルロキシピル、メコプロップ等のアリロキシアルカノイック酸系化合物;ベンスルフロンメチル、メツルフロンメチル、ニコスルフロン、プリミスルフロンメチル、シクロスルファムロン等のスルホニルウレア系化合物;イマザピル、イマザキン、イマゼタピル等のイミダゾリノン系化合物;メソトリオン、テフリルとリオン等のトリケトン系化合物;フェノキサスルホン等のスルホニルイソキサゾリン系化合物;ビスピリバックNa塩、ビスチオバックNa塩、アシフルオルフェンNa塩、サルフェントラゾン、パラコート、フルメツラム、トリフルスルフロンメチル、フェノキサプロップ−p―エチル、ジフルフェニカン、ノルフルラゾン、イソキサフルトール、グルフォシネートアンムニウム塩、グリフォセート、ベンタゾン、メフェナセット、プロパニル、フルチアミド、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン等を挙げることができる。
植物成長調節化合物としては、マレイックヒドラジド、クロルメカット、エテフォン、ジベレリン、メピカットクロライド、チジアズロン、イナベンファイド、パクロブトラゾール、ウニコナゾール等を挙げることができる。昆虫忌避剤としては、1S,3R,4R,6R―カラン―3、4―ジオール、ジプロピル2,5―ピリジンジカルボキシレート等を挙げることができる。本発明の農薬粒剤において、農薬活性成分の合計量は通常0.5〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。農薬活性成分は、本発明粒剤中に1種が含有されていてもよいし、2種以上が含有されていてもよい。農薬活性成分の含有量は本発明粒剤中、通常0.1〜90重量%、好ましくは0.2〜70重量%である。
農薬活性成分を粒剤から徐々に放出する場合は、熱硬化性樹脂を用いて粒核に農薬活性成分を被覆し、その表面に農薬活性成分を必要に応じて被覆した造粒物もよい。農薬活性成分を粒核に被覆するウレタン樹脂とは、ポリオールとポリイソシアナートとを原料とする熱硬化性樹脂である。ウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとを、例えば40〜100℃に加熱して反応させることにより生成する。その際、必要により有機金属やアミン等の硬化触媒の存在下に反応させる場合もある。
本発明におけるウレタン樹脂の原料として用いられるポリオールとしては、縮合系ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリ(メタ)アクリル酸ポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、天然ポリオールやその変性物等が挙げられる。縮合系ポリエステルポリオールは、通常、ポリオールと二塩基酸との縮合反応によって得られる。ポリエーテルポリオールは、通常、多価アルコール等にプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを付加重合によって得られる。ポリ(メタ)アクリル酸ポリオールは、通常、ポリ(メタ)アクリル酸とポリオールとの縮合反応、(メタ)アクリル酸とポリオールとの縮合反応、または、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの重合反応によって得られる。ラクトン系ポリエステルポリオールは多価アルコールを開始剤とするε−カプロラクトンの開環重合によって得られる。ポリカーボネートポリオールは、通常、グリコールとカーボネートとの反応によって得られる。
ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−イソシアネートメチル)シクロヘキサン、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェイト、及び、これらの混合物等が挙げられる。なお、上記のポリイソシアネートモノマーに代えて、流動性を有する限りにおいて、これらの変性体やオリゴマーを用いることもできる。変性体としては、アダクト変性体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、ブロック変性体、プレポリマー変性体、2量化変性体等が挙げられる。アニリンとホルマリンの縮合によりポリアミンを経て、これをホスゲン化して得られるポリメチレンポリフェニルイソシアネート(ポリメリックMDI)や1液湿気硬化型のポリウレタン樹脂のプレポリマー等が、反応制御が容易である点ならびに蒸気圧が低く作業性に優れる点で好ましい。必要により用いられる硬化触媒としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチルチオ錫酸、オクチル酸第一錫、ジ−n―オクチル錫ジラウレートなどの有機金属、トリエチレンジアミン、N―メチルモルホリン、N,N―ジメチルジドデシルアミン、N―ドデシルモルホリン、N,N―ジメチルシクロヘキシルアミン、N―エチルモルホリン、ジメチルエタノ―ルアミン、N,N―ジメチルベンジルアミン、1,8―ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン―7、イソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、オキシイソプロピルバナデート、n―プロピルジルコネート、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等が挙げられる。ウレタン樹脂の原料であるポリイソシアネートとポリオールは通常モノマー単独で使用される。
被覆はポリオールとポリイソシアネートとを反応させて、該内核をウレタン樹脂で被覆するか、農薬活性成分をポリオールとポリイソシアネートに混ぜて粒核に被覆すか、あるいは、粒核にポリオールまたはイソシアネートを結合剤として農薬活性成分を被覆してイソシアネート又はポリオール被覆する。また、適度な厚みのウレタン樹脂の被膜が得られるまで、必要により複数回被覆を繰り返しすることもできる。ウレタン樹脂の種類、操作温度や、使用する機器等の条件により変化させることができるが、通常は粉状農薬100重量部に対して、通常0.3〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。
この他に熱硬化性樹脂としては、カルナバワックス、パラフィンワックス、ステアリン酸、牛脂硬化油、大豆極度硬化油、硬化ヒマシ油、モンタン酸エステルとこれらを水に分散したエマルジョン、ポリウレタン樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸樹脂エマルジョン、ポリ塩化ビリニデン樹脂エマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン等の樹脂エマルジョン類が挙げられるがこれらには限定されない。本発明に用いるワックス又は樹脂類の含有量は、通常0.5〜20質量部であり、好ましくは、1〜10質量部である。また、これらのワックス類や樹脂エマルジョンを被覆した後にポリオールとポリイソシアネートを被覆してもよい。
本発明の農薬粒剤は、上記各成分に加えて、必要に応じて、分解防止剤、安定剤、防腐剤、着色剤等の添加剤を適宜含有することができる。
粒剤を製造する機械としては、特に装置に制限はなく公知、慣用のものを用いることができるが、例えば、回転パン、回転ドラム、コンクリートミキサー、ナウタミキサー等が挙げられる。
本発明の粒剤は、粒核の表面に、油状物質を結合剤として、水とベントナイトを含む粉末担体を被覆することで農薬粒剤を容易に製造することができる。
水とベントナイトを含む粉末担体の作製方法としては、(i)農薬活性成分、ベントナイト、鉱物質担体、及び界面活性剤等のその他補助剤を加えて混合した後、水を加えて更に混合する方法、(ii)鉱物質粉末担体に水を入れ混合した後、ベントナイト及び補助剤を加えさらに混合する方法、(iii).鉱物質粉末担体に、農薬活性成分を分散し湿式粉砕したものや農薬活性成分を乳化したものを粉末担体に加え混合、更にベントナイトを加えて更に混合する方法がある。水の添加量はベントナイト含む粉末担体の組成によって変わるが1〜30%重量部、好ましくは2〜10%重量部である。
本発明の農薬粒剤の製造は、通常一般に行われている被覆法を用いて行うことができる。例えば、粒核に油状物質を結合剤として加えて混合して均一に湿潤させる。この湿潤させた粒核に、水を加えた農薬活性成分とベントナイトを含む粉末担体を加え混合して被膜した後、乾燥することにより農薬粒剤を製造することができる。
この他の方法としては、粒核に熱可塑性の樹脂で農薬活性成分を被覆してから、本発明の油状物質を結合剤として、水を加えた農薬活性成分とベントナイトを含む粉末担体を被覆した後、乾燥することにより農薬粒剤を得る方法。粒核に油状物質の農薬活性成分を結合剤として水を加えたベントナイトと農薬活性成分を含む粉末担体を被覆した後、乾燥することにより農薬粒剤を得る方法。農薬活性成分を水に分散し湿式粉砕したもの粉末担体に入れ混合する、更にベントナイトを加え混合した粉末担体を粒核に油状物質を結合剤として加え被覆後、乾燥することにより農薬粒剤を得る方法。農薬活性成分と鉱物質担体及びその他成分を混合・加水・混練・湿式造粒・乾燥した粒核に油状物質を結合剤として加えて混合して均一に湿潤させる。この湿潤させた粒核に、水を加えた農薬活性成分とベントナイトを含む粉末担体を加え混合して被膜した後、乾燥する方法等があるがこれらに限定されない。また、また、例えば、該被覆方法で、被覆を必要に応じて複数回、例えば、結合剤とベントナイトを含む粉末を交互に繰り返して被覆することもでき、また、粒核に結合剤を加えた後ベントナイトを含む粉末を複数回に分けて被覆することも可能である、被覆回数は2〜20回、好ましくは2〜10回、より好ましくは2〜6回である。
以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例において%は、重量%を意味する。
実施例1
珪砂95重量部、プロピレングリコール0.5重量部を容器に入れ混合して均一に湿潤させる、次いで、含水混合粉末担体(市水10重量部、シメトリン60重量部、ベントナイト20重量部、シルトF20重量部)5重量部を加え混合して被覆してシメトリン3%の粒剤を得る。
実施例2
容器に珪砂粒68重量部を入れ油状物質の結合剤としてニューカルゲンEP60Pを1重量部入れ混合した後、含水混合粉末担体(水3重量部、シメトリン2重量部、ベントナイト4重量部、シルトF20重量部、ニューカルゲンWG−5を5重量部含む含水粉末担体)を5回に分けて加え、混合しながら被膜し乾燥して粒剤を得た。
実施例3
容器に珪砂粒64重量部を入れ油状物質の結合剤として農薬活性成分のMCPB−Eを1重量部入れ混合して、含水混合粉末A(水3重量部、シメトリン2重量部、ベントナイト4重量部、シルトF20重量部、ニューカルゲンWG−5を5重量部含む含水粉末担体)を5回に分けて加え、混合しながら被膜し乾燥して粒剤を得た。
実施例4
容器に大豆極度硬化油を0.6重量部入れ90℃に加温し溶融する。次に珪砂粒64重量部入れ加温し混合して均一に湿潤させる。次いでシメトリン1重量部を加え混合して被膜する。更にシルトFを1重量部加えて被覆する。被膜後更に溶融した大豆極度硬化油を0.6重量部入れ混合して湿潤させた後シルトFを2重量部加えて被覆する。得られた粒に油状物質の結合剤としてニューカルゲンEP60Pを1重量部加え混合して均一に湿潤させる、含水混合粉末担体(水4重量部、シメトリン1重量部、ベントナイト4重量部、シルトF20重量部、ニューカルゲンWG−5を5重量部含む含水粉末担体)を5回に分けて加え、混合しながら被膜し乾燥して粒剤を得た。
実施例5
珪砂79重量部、混合懸濁液体(シメトリン原体28.6重量部、ニューカルゲンWG−5を5重量部、クニピアF0.1重量部、市水66.3重量部を混ぜホモミキサーで湿式粉砕した混合懸濁液)7重量部を、混合粉末担体(クニゲルV−1を4重量部、ニューカルゲンWG−5を2重量部、ニップシルNAを1.5重量部、クレー22.5重量部を十分に混合した粉末)に入れ十分に混合して含水混合粉末担体を作製する。被膜方法は実施例1と同様に、珪砂に油状物質の結合剤としてニューカルゲンEP−60Pを1重量部加え混合して均一に湿潤させる、次いで含水混合粉末担体を約4重量部加えて混合し被覆する。再度同様の操作を、6回繰り返し被覆をした後乾燥してシメトリン2%の粒剤を得る。
比較例1
珪砂95重量部、市水1重量部を容器に入れ混合して均一に湿潤させる、次いで、混合粉末担体(シメトリン60重量部、ベントナイト20重量部、シルトF20重量部)5重量部を加え混合して被覆する、被覆後乾燥してシメトリン3%の粒剤を得る。
比較例2
珪砂80重量部、市水4重量部、混合粉末担体(シメトリン原体15重量部、クニゲルV−1を20重量部、クレー65重量部を十分に混合した粉末)20重量部を被膜する。被膜方法は実施例1と同様に、珪砂に混合液体Bを1重量部加え混合して均一に湿潤させる、次いで混合粉物Cを5部加えて混合し被覆する。更に同様の操作を、3回被覆を繰り返した後乾燥してシメトリン3%の粒剤を得る。
比較例3
珪砂80重量部、市水4重量部、混合粉末担体(シメトリン原体15重量部、クニゲルV−1を20重量部、ニューカルゲンWG−5(竹本油脂社製)5重量部、クレー60重量部を十分に混合した粉末)20重量部を被膜する。20重量部を被膜する。被膜方法は実施例1と同様に、珪砂に市水1重量部を加え混合して均一に湿潤させる、次いで混合粉末担体を5部加えて混合し被覆する。更に同様の操作を、3回被覆を繰り返した後乾燥してシメトリン3%の粒剤を得る。
比較例4
珪砂95重量部、プロピレングリコール1重量部を容器に入れ混合して均一に湿潤させる 、次いで、混合粉末担体(シメトリン60重量部、ベントナイト20重量部、シルトF20重量部)5重量部を加え混合して被覆してシメトリン3%の粒剤を得る。
本発明の被覆農薬粒剤の製造状況、粒の堅さ、粒を水の中に入れたときの状況を、試験例を表1にて示す。
試験例1
粒剤の造りやすさ:
製造状況は粒核に混合粉末の被覆が容易にできるか、粒と粒が付着しないか(団粒を造っていないか)を調査した。
被覆した粉末の剥がれやすさ:
製造した粒を、数粒手に取り揉みほぐして被覆した粉末が容易に剥がれるかを調査した。
粒の水中での広がりは、シャーレに水を入れその中に粒を10粒いれ10分後に、粒核の表面に被覆した粒の広がりを調査した。
Figure 0006099534
本発明の方法では、粒剤の製造時に団粒物の発生がなく容易に製造でき、また、粒剤に被覆した粉末が剥がれることはなく、ベントナイト以外の結合剤を使用しなくてもしっかりとした粒剤ができた。また、必要により界面活性剤を加えても製造、品質には影響はなく、水の中に粒剤を入れると広がりが少ないものから広がる品質のものが容易に造れた。

Claims (4)

  1. 粒核に油状物質を結合剤として加えて混合して均一に湿潤させて、次に、この湿潤させた粒核に、水、ベントナイト及び農薬活性成分を含む粉末担体を加え混合し被覆した後、乾燥することを特徴とする農薬粒剤の製造方法。
  2. 前記油状物質が、不揮発性の有機溶剤、界面活性剤である請求項1に記載の農薬粒剤の製造方法。
  3. 前記油状物質が、前記農薬活性成分である請求項1に記載の農薬粒剤の製造方法。
  4. 被覆回数が、2〜20回であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の農薬粒剤の製造方法。
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