JP5532116B2 - 被覆粒状農薬組成物及びその製造法 - Google Patents
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Description
[発明1]
粉状農薬組成物が、熱硬化性樹脂で固められ被覆されてなる被覆粒状農薬組成物。
[発明2]
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂、尿素樹脂又はエポキシ樹脂である発明1に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明3]
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂である発明1に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明4]
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である発明1に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明5]
粉状農薬組成物が農薬活性化合物と希釈粉体とを含有する組成物である発明1〜4のいずれかに記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明6]
希釈粉体が鉱物質粉体である発明5に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明7]
粉状農薬組成物が農薬活性化合物として5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミド又は(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンを含有する組成物である発明1〜4のいずれかに記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明8]
粉状農薬組成物の体積中位径が1〜100μmであり、被覆粒状農薬組成物の体積中位径が10〜200μmである発明1〜7のいずれかに記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明9]
以下の工程を有することを特徴とする被覆粒状農薬組成物の製造方法。
(1)粉状農薬組成物と熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料とを混合する工程、
(2)前工程で得られた混合物に熱硬化性樹脂の原料となる第2液状原料を添加する工程、
(3)該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて熱硬化性樹脂を生成させることで粒状農薬を得る工程、及び
(4)前工程で得られた粒状農薬に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、該粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆する工程。
[発明10]
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂又は尿素樹脂であり、第1液状原料がポリオール又はポリアミンであり、第2液状原料がポリイソシアネートである発明9に記載された製造方法。
[発明11]
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂であり、第1液状原料がポリオールであり、第2液状原料がポリイソシアネートである発明9に記載された製造方法。
[発明12]
ポリオールの粘度が1000mPa・s(25℃)以下であり、ポリイソシアネートの粘度が300mPa・s(25℃)以下である発明11に記載された製造方法。
[発明13]
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であり、第1液状原料がポリアミンであり、第2液状原料がポリグリシジルエーテル又はポリグリシジルアミンである発明9に記載された製造方法。
[発明14]
粉状農薬組成物が農薬活性化合物と希釈粉体とを含有する組成物である発明9〜13のいずれかに記載された製造方法。
[発明15]
粉状農薬組成物が農薬活性化合物として5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミド又は(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンを含有する組成物である発明9〜13のいずれかに記載された製造方法。
粉状農薬組成物が、熱硬化性のウレタン樹脂で固められ被覆されてなる被覆粒状農薬組成物。
[発明17]
粉状農薬組成物が20℃で固体の農薬活性化合物と鉱物質粉体とを含有する組成物である発明16に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明18]
粉状農薬組成物の体積中位径が1〜100μmであり、被覆粒状農薬組成物の体積中位径が10〜200μmである発明17に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明19]
粉状農薬組成物の体積中位径が1〜30μmであり、被覆粒状農薬組成物の体積中位径が20〜150μmである発明17に記載された被覆粒状農薬組成物。
[発明20]
回転する羽根を備えた容器内にて、以下の工程が行われることを特徴とする被覆粒状農薬組成物の製造方法。
(1)粉状農薬組成物と熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料とを混合する工程、
(2)前工程で得られた混合物に熱硬化性樹脂の原料となる第2液状原料を添加する工程、
(3)該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて熱硬化性樹脂を生成させることで粒状農薬を得る工程、及び
(4)前工程で得られた粒状農薬に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、該粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆する工程。
[発明21]
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂であり、第1液状原料がポリオールであり、第2液状原料がポリイソシアネートである発明20に記載された製造方法。
[発明22]
粉状農薬組成物が20℃で固体の農薬活性化合物と鉱物質粉体とを含有する組成物である発明21に記載された製造方法。
[発明23]
粉状農薬組成物の体積中位径が1〜100μmであり、被覆粒状農薬組成物の体積中位径が10〜200μmである発明22に記載された製造方法。
[発明19]
粉状農薬組成物の体積中位径が1〜30μmであり、被覆粒状農薬組成物の体積中位径が20〜150μmである発明22に記載された製造方法。
なお、体積中位径は、MALVERN製MASTERSIZER2000等のレーザー回折式粒子径測定機によって測定することができる。
本粉状農薬中に希釈粉体を存在させる目的は、体積中位径が1〜100μmの本粉状農薬を製造する際の粉砕性の改善、本粉状農薬の流動性等の粉体物性の改善や、本粉状農薬の粉塵爆発下限等の防災物性の改善等である。希釈粉体の体積中位径は1〜100μmの範囲である。
希釈粉体は、通常、農薬粉剤において用いられる粉状の固体担体を使用することができ、一般には鉱物質粉体が一般的であり、鉱物質粉体としては、
例えばカオリナイト、ディッカナイト、ナクライト、ハロサイト等のカオリン鉱物、クリソタイル、リザータイト、アンチコライト、アメサイト等の蛇紋石、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト等のモンモリロナイト鉱物、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、ハイデライト等のスメクタイト、パイロフィライト、タルク、蝋石、白雲母、フェンジャイト、セリサイト、イライト等の雲母、クリストバライト、クォーツ等のシリカ、アタパルジャイト、セピオライト等の含水珪酸マグネシウム、石膏等の硫酸塩鉱物、ドロマイト、炭酸カルシウム、ギプサム、ゼオライト、沸石、凝灰石、バーミキュライト、ラポナイト、軽石、珪藻土、酸性白土、活性白土などが挙げられる。これらの固体担体は単独で用いてもよく、あるいは2種以上併用してもよい。比重が大きな固体担体が好ましく用いられる。
本粉状農薬は、農薬活性化合物及び希釈粉体の他に、本粉状農薬に対して30重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲にて、界面活性剤、安定化剤、着色剤、香料等の農薬補助剤を含有していてもよい。
安定化剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化菜種油等のエポキシ化植物油、イソプロピルアシッドホスフェート、流動パラフィン、エチレングリコールなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば、ローダミンB,ソーラーローダミンなどのローダミン類、黄色4号、青色1号、赤色2号などの色素等が、香料としては、例えば、アセト酢酸エチル、エナント酸エチル、桂皮酸エチル、酢酸イソアミル等のエステル系香料、カプロン酸、桂皮酸等の有機酸系香料、桂皮アルコール、ゲラニオール、シトラール、デシルアルコール等のアルコール系香料、バニリン、ピペロナール、ペリルアルデヒド等のアルデヒド類、マルトール、メチルβ−ナフチルケトン等のケトン系香料、メントールなどが挙げられる。
本粉状農薬は、農薬活性化合物、必要により希釈粉体、更に必要により農薬用補助剤を混合し、粉砕して得られる。また、予め粉末状に粉砕された各々を混合して得ることもできる。
熱硬化性樹脂は一般的に、2種類の異なる液状原料を反応させて得られ、本粒状農薬組成物は、例えば、本粉状農薬と熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料とを混合し、次いで得られた混合物に熱硬化性樹脂の原料となる第2液状原料を添加し、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて熱硬化性樹脂を生成させて粒状農薬を得て、更に得られた粒状農薬に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、該粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆することにより製造することができる。
第1液状原料及び第2液状原料は、夫々必ずしも1種の成分のみから構成されるもののみに限定されず、混合物であってもよい。
ポリオールとしては、縮合系ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリ(メタ)アクリル酸ポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、天然ポリオールやその変性物等が挙げられる。縮合系ポリエステルポリオールは、通常、ポリオールと二塩基酸との縮合反応によって得られる。ポリエーテルポリオールは、通常、多価アルコール等にプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを付加重合によって得られる。ポリ(メタ)アクリル酸ポリオールは、通常、ポリ(メタ)アクリル酸とポリオールとの縮合反応、(メタ)アクリル酸とポリオールとの縮合反応、または、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの重合反応によって得られる。ラクトン系ポリエステルポリオールは多価アルコールを開始剤とするε−カプロラクトンの開環重合によって得られる。ポリカーボネートポリオールは、通常、グリコールとカーボネートとの反応によって得られ、ポリオールとしては、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレンジオール、トリメチロールプロパン、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、および.これらのオリゴマー等が挙げられる。
本発明において使用するポリオールとしては、分岐型ポリオールと直鎖型ポリオールとを、夫々のポリオール中に存在する水酸基の数が40:60〜100:00の比率になるように混合したものが好ましい。分岐型ポリオールとは、分子中に3個以上の水酸基を有するポリオールであり、分子中に3個の水酸基を有するポリオールが好ましい。直鎖型ポリオールとは、分子中に2個の水酸基を有するポリオールであり、通常は分子の両末端に水酸基を有する。
また、本発明において使用するポリオールとしては、OH当量が100以下の直鎖型ポリオールとOH当量が100以上の直鎖型ポリオールとを、夫々のポリオール中に存在する水酸基の数が40:60〜100:00の比率になるように混合したものも好ましい。OH当量が100以下の直鎖型ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェイト、及び、これらの混合物等が挙げられる。なお、上記のポリイソシアネートモノマーに代えて、流動性を有する限りにおいて、これらの変性体やオリゴマーを用いることもできる。変性体としては、アダクト変性体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、ブロック変性体、プレポリマー変性体、2量化変性体等が挙げられる。アニリンとホルマリンの縮合によりポリアミンを経て、これをホスゲン化して得られるポリメチレンポリフェニルイソシアネート(ポリメリックMDI)が、反応制御が容易である点ならびに蒸気圧が低く作業性に優れる点で好ましい。
必要により用いられる該硬化触媒としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチルチオ錫酸、オクチル酸第一錫、ジ−n−オクチル錫ジラウレートなどの有機金属、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルジドデシルアミン、N−ドデシルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、イソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、オキシイソプロピルバナデート、n−プロピルジルコネート、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等が挙げられる。ウレタン樹脂の原料であるポリイソシアネートとポリオールは通常モノマー単独で使用される。
ポリイソシアネートとしては、前記のポリイソシアネートが挙げられる。
ポリアミンとしては、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラアミン等が挙げられる。
好ましい硬化剤である該ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシリレンジアミン、イソホロンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、メンセンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ポリアミド変性ポリアミン、ケトン変性ポリアミン、エポキシ変性ポリアミン、チオ尿素変性ポリアミン、マンニッヒ変性ポリアミン、マイケル付加変性ポリアミン等が挙げられる。
好ましいグリシジル基含有の化合物である該ポリグリシジルエーテルとしては、ビスフェノールA型ポリグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ポリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ポリグリシジルエーテル、ナフタレン型ポリグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールA型ポリグリシジルエーテル、ビスフェノールS型ポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAF型ポリグリシジルエーテル、ビフェニル型ポリグリシジルエーテル、フルオレイン型ポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック型ポリグリシジルエーテル、O−クレゾールノボラック型ポリグリシジルエーテル、DPPノボラック型ポリグリシジルエーテル、トリスヒドロキシフェニルメタン型ポリグリシジルエーテル、テトラフェニロールエタン型ポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
好ましいグリシジル基含有の化合物である該ポリグリシジルアミンとしては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型ポリグリジジルアミン、ヒダントイン型ポリグリシジルアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアモノメチル)シクロヘキサン、アニリン型ポリグリシジルアミン、トルイジン型ポリグリシジルアミン、トリグリシジルイソシアヌレート型ポリグリシジルアミン、アミノフェノール型ポリグリシジルアミン等が挙げられる。
尿素樹脂において、第1液状原料としてポリアミン(2種以上のポリアミンの混合物も含む)又はポリイソシアネート(2種以上のポリイソシアネートの混合物も含む)のいずれを用いてもよいが、好ましくは第1液状原料としてポリアミンが用いられ、第2液状原料としてポリイソシアネートが用いられる。
ウレタン−尿素樹脂において、好ましくは第1液状原料としてポリアミンとポリオールの混合物が用いられ、第2液状原料としてポリイソシアネートが用いられる。
エポキシ樹脂において、好ましくは第1液状原料としてポリアミンが用いられ、第2液状原料としてポリグリシジルエーテル又はポリグリシジルアミンが用いられる。
本発明において、第1液状原料及び第2液状原料は、通常2000mPa・s以下の粘度である。
本発明において好ましくは、ウレタン樹脂の原料であるポリオールの粘度は1000mPa・s以下、更に好ましくは800mPa・s以下(B型粘度計、25℃、12回転)であり、ポリイソシアネートの粘度は300mPa・s以下、更に好ましくは200mPa・s以下(B型粘度計、25℃、12回転)である。
工程(1)は、本粉状農薬を液体媒体に分散させることない乾式条件下において、通常、本粉状農薬を容器内で転動させながら容器に第1液状原料を添加することにより、本粉状農薬と第1液状原料とを混合して、本粉状農薬と第1液状原料との混合物を得る工程である。本粉状農薬と第1液状原料との混合物を容器内にて適当な時間転動させることにより、本粉状農薬における個々の粒子が第1液状原料により被覆された状態となる。
工程(1)は通常、0〜100℃、好ましくは10〜80℃で行われる。安全性の観点から、窒素雰囲気下における実施が好ましい。
a)本粉状農薬が入ったパン型またはドラム型形状の容器を斜め又は水平軸の周りに回転させる方法;
b)本粉状農薬が入った容器にて、容器の底面部の直径と同程度の大きさの攪拌羽根を設置し、これを回転させる方法;
c)本粉状農薬が入った容器にて、本粉状農薬に気流を当てる方法。
工程(1)において、転動状態にある本粉状農薬に対して、第1液状原料を添加されると、第1液状原料は本粉状農薬の個々の粒子の表面上に延展され、本粉状農薬の個々の粒子が第1液状原料により被覆された状態となる。さらに転動状態を続けることにより、通常、第1液状原料が本粉状農薬の全ての粒子表面にほぼ均一に行き渡る。
工程(1)において、第1液状原料で本粉状農薬の全ての粒子を均一に被覆する為に、粘度の低い(例えば、1000mPa・s(25℃)以下)第1液状原料を用いることが好ましい。
工程(2)は通常、工程(1)と同じ温度、即ち0〜100℃、好ましくは10〜80℃で行われる。安全性の観点から、窒素雰囲気下における実施が好ましい。
熱硬化性樹脂がウレタン樹脂で、第1液状原料がポリオールである場合、第2液状原料はポリイソシアネートとなるが、前の工程(1)で用いられたポリオールにおける水酸基(OH)の当量に対して、工程(2)で添加されるポリイソシアネートにおけるイソシアネート基(NCO)の当量が0.8〜1.1、好ましくは0.9〜1.1、更に好ましくは0.95〜1.05となるように、ポリイソシアネートの量を適宜調整する。
工程(2)において、添加された第2液状原料は、本粉状農薬と第1液状原料との混合物と混合される際、第2液状原料の粘度が低いことが好ましい。工程(2)において、粘度の低い(例えば、300mPa・s(25℃)第2液状原料を用いることが好ましい。
工程(3)は通常0〜100℃、好ましくは10〜80℃で行われるが、更に好ましくは40〜80℃で行われる。工程(1)及び工程(2)と同じ温度にて行うことが操作上簡便である。本工程も、安全性の観点から、窒素雰囲気下における実施が好ましい。
工程(3)の操作温度、熱硬化性樹脂の種類、硬化触媒の有無等の条件により、未硬化の熱硬化性樹脂が硬化するまでに必要な時間が変化する。熱硬化性樹脂の硬化速度が十分に速い場合には、工程(2)における第2液状原料の全てを添加し終わる前に、実質的に工程(3)における第1液状原料と第2液状原料と反応が開始して、熱硬化樹脂の一部が生成する。このような場合には、工程(2)において、本粉状農薬と第1液状原料との混合物を容器内で転動させ、更に該混合物に回転する羽根等でせん断力を与えながら、第2液状原料を添加することが好ましい。
工程(4)においては、好ましくは第1液状原料と第2液状原料とを順次加えることにより行われるが、粒状農薬に第1液状原料を先に加えて、その後第2液状原料を加えても、粒状農薬に第2液状原料を先に加えて、その後第1液状原料を加えても、いずれでもよい。
工程(4)を複数回繰り返して行うことにより、粒状農薬の表面における熱硬化性樹脂の被膜の形成と成長が生じ、場合により粒状農薬の粒子同士の凝集が生じる。
本粒状農薬組成物は、上記の工程(4)の繰り返し回数、及び、1回の工程(4)で使用される第1液状原料と第2液状原料の合計量を変化させることにより、本粒状農薬組成物における熱硬化性樹脂の割合を変化させることができ、これにより農薬活性化合物の徐放性能を調整することが出来る。
本発明製造方法においては、粒状農薬に対して熱硬化性樹脂の原料を少量ずつ、更に好ましい態様においては第1液状原料と第2液状原料とを別箇に添加している。この為に、農薬活性化合物の溶出を徐放化する為の熱硬化性樹脂の被膜が均一に形成されて、粒径の比較的揃った農薬含有の粒子を得ることができる。また、熱硬化性樹脂の被膜が均質に形成される為、好ましい徐放性能が得られる。
1回の工程にて硬化させる未硬化の熱硬化性樹脂の量が過剰になった場合は、工程(3)において十分なせん断力を熱硬化性樹脂粒子に対して与えることができずに、得られる熱硬化性樹脂組成物の粒子径が大きくなりすぎたり、過負荷により回転する羽根が停止したりする場合がある。
このような2つの手段を備えた容器としては、例えば下記のような容器が用いられる。
(a)斜め又は水平軸の周りにパン型またはドラム型形状の容器全体を回転させることができ、更に容器の下部位置で、容器内の内容物と接触する位置に回転する羽根を設けた容器
(容器が回転させられることにより容器内の粒子全体が転動させられ、容器の下部に集積された粒子が回転する羽根によりせん断力を与えられる。);
(b)略円筒形状の容器の底部に、容器の底面部に設けた底面部の直径と同程度の大きさの羽根(以下、攪拌羽根と記す。)を有し、更に該容器の側面より突出させた水平軸の周りに回転する羽根を設けた容器
(容器の底面部に設けられた攪拌翼が回転することにより容器内の粒子全体が転動させられ、更に粒子が側面より突出させた水平軸の周りに回転する羽根によりせん断力を与えられる。);
(c)容器内の内容物の全体を動かすのに十分な量の気流を送る手段を有し、更に容器内の内容物と接触する位置に回転する羽根を設けた容器(気流により容器内の粒子全体が転動させられ、更に粒子が容器内に設置された回転する羽根によりせん断力を与えられる。)。
本発明製造方法においては、上記の(b)の容器が好ましく用いられる。以下、該容器を例として、本発明製造方法における、操作方法を説明する。
本発明製造方法においては、解砕羽根の回転数や熱硬化性樹脂の硬化速度を調節することにより、得られる本粒状農薬組成物の体積中位径を変化させることができる。具体的には、解砕羽根の回転数を上げるか、熱硬化性樹脂の硬化速度が遅くなると、本粒状農薬組成物の体積中位径は小さくなる。
例えば、特開平9−75703号公報に記載の装置が具体的に挙げられる。
本発明製造方法においては、原料として用いる本粉状農薬の体積中位径に対して、得られる本粒状農薬組成物の体積中位径は、通常2〜20倍となる。本粒状農薬組成物は、本粉状農薬が熱硬化性樹脂で固められ被覆されてなる組成物であるが、本粒状農薬組成物における個々の粒子の構造は、凡そ、中心部に本粉状農薬の凝集部分を有し、その周囲に熱硬化性樹脂の被膜が形成されてなる多核粒子である。本粉状農薬の体積中位径が1〜100μmであり、本粒状農薬組成物の体積中位径が30〜200μmである。
また、本粒状農薬組成物は、固体の不活性担体、結合剤、必要により界面活性剤等の助剤と混練し、造粒して、本粒状農薬組成物を含有する固形製剤(粒剤又は錠剤)に製剤化して、使用することもできる。
本粒状農薬組成物を含有する粒剤に用いられる固体の不活性担体としては、
例えばカオリナイト、ディッカナイト、ナクライト、ハロサイト等のカオリン鉱物、クリソタイル、リザータイト、アンチコライト、アメサイト等の蛇紋石、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト等のモンモリロナイト鉱物、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、ハイデライト等のスメクタイト、パイロフィライト、タルク、蝋石、白雲母、フェンジャイト、セリサイト、イライト等の雲母、クリストバライト、クォーツ等のシリカ、アタパルジャイト、セピオライト等の含水珪酸マグネシウム、石膏等の硫酸塩鉱物、ドロマイト、炭酸カルシウム、ギプサム、ゼオライト、沸石、凝灰石、バーミキュライト、ラポナイト、軽石、珪藻土、酸性白土、活性白土等の鉱物質系担体;トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉、籾殻、小麦粉、木粉、糠、ふすま、大豆粉等の植物系担体;尿素、乳糖、ショ糖、食塩、芒硝、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、硫酸アンモニウム等の水溶性担体が挙げられる。
結合剤としては、例えばアラビアガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、トラガントガム、ポリビニルピロリドン、α化澱粉、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルフェノールホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、高級脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキロールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤;脂肪酸ナトリウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸塩、脂肪酸エステルスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸アミドスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩のホルマリン縮合物、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤が挙げられる。
混練物を押出造粒する際は、通常0.5〜2.0mmφ、好ましくは0.6〜1.0mmφのスクリーンを用いて行われ、押出造粒された後は、通常30〜70℃、好ましくは30〜60℃で乾燥する。
本粒状農薬組成物を含有する固体製剤を製造する際に用いられる練合機としては、ニーダー、ナウターミキサー、レディゲミキサー等が挙げられ、押出造粒機としては、ロータリー型、スクリュー式、ペレットミル型、オシレーター押出し造粒機の他、不二パウダル(株)のツインドームグラン、シングルドームグラン等を用いることができる。
本粒状農薬組成物における熱硬化性樹脂の被膜は強固であり、混練及び造粒時における被膜の破壊がほとんど生じず、農薬活性化合物の徐放性能は維持される。
ハイスピードミキサー装置(深江パウレック株式会社製LFS−GS−1J型)
上方に開口部を有する水平皿型の容器部、丸皿型の容器部の底面の中心を通る垂直線を回転軸とするアジテータ羽根、および、丸皿型の容器部の側面を貫通するの水平線を回転軸とするチョッパー羽根を有する攪拌装置。丸皿型の容器部の容量が約2L、内径が約18cmであり、アジテータ羽根は半径約9cmの3枚の羽根が容器部の底面および内壁に沿うように回転可能に容器部の底面に取り付けられている。チョッパー羽根は半径2cmの2枚の羽根が2対を備え、容器部の底面とアジテータ羽根に接触しないように、回転可能に容器部の側壁面に取り付けられている。
農薬活性化合物として45.5重量部5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:フラメトピル)、9重量部のトクシールGU−N(徳山曹達株式会社製含水非晶質二酸化珪素)、45.5重量部のベントナイト富士印(株式会社ホージュン製)を均一混合し、遠心粉砕機にて全量粉砕し、体積中位径が5.0μm(MALVERN製MASTERSIZER2000)の5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミドを含有する本粉状農薬(以下、粉状農薬1と記す。)を得た。
農薬活性化合物として65重量部(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミン(一般名:ニテンピラム)、35重量部の勝光山クレーS(カオリンクレー:(株)勝光山鉱業所製)を均一混合し、遠心粉砕機にて全量粉砕し、体積中位径が16.0μm(MALVERN製MASTERSIZER2000)(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンを含有する本粉状農薬(以下、粉状農薬2と記す。)を得た。
54.1重量部のスミフェンTM(住化バイエルウレタン製分岐型ポリエーテルポリオール)と45.9重量部のスミフェン1600U(住化バイエルウレタン製直鎖型ポリエーテルポリオール)を均一混合し、ポリオールプレミックス1を得た。ポリオールプレミックス1の粘度は393mPa・s(B型粘度計、25℃、12回転、ロータNo.1)であった。
41.3重量部のスミフェンTM(住化バイエルウレタン製分岐型ポリエーテルポリオール)と58.7重量部のスミフェン1600U(住化バイエルウレタン製直鎖型ポリエーテルポリオール)を均一混合し、ポリオールプレミックス2を得た。ポリオールプレミックス2の粘度は282mPa・s(B型粘度計、25℃、12回転、ロータNo.1)であった。
31.2重量部のスミフェンTM(住化バイエルウレタン製分岐型ポリエーテルポリオール)と68.8重量部のスミフェン1600U(住化バイエルウレタン製直鎖型ポリエーテルポリオール)を均一混合し、ポリオールプレミックス3を得た。ポリオールプレミックス3の粘度は277mPa・s(B型粘度計、25℃、12回転、ロータNo.1)であった。
19.9重量部のエチレングリコール(日本触媒製)と80.1重量部のスミフェン1600U(住化バイエルウレタン製直鎖型ポリエーテルポリオール)を均一混合し、ポリオールプレミックス4を得た。ポリオールプレミックス4の粘度は176mPa・s(B型粘度計、25℃、12回転、ロータNo.1)であった。
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させた。該装置内において、粉状農薬1はアジテータにて全体が転動状態で全体攪拌され、主にチョッパー羽根において強いせん断力が与えられていた。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、1.55重量部の上記のポリオールプレミックス1を添加した。該ポリオールプレミックス1が粉状農薬1に湿潤されてゆく様子が観察された。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、0.95重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)、粘度130mPa・s(25℃)}を添加した。添加直後から、増粘現象が確認され、その後、粘度が低下し、ウレタン樹脂の硬化が観察され、粉状農薬1よりも粒径の大きな粒状物が得られた(100重量部の粉状農薬1に対して、2.5重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)1.55重量部のポリオールプレミックス1の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)0.95重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を3回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計10重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得た(ウレタン樹脂原料添加回数:4回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:2.5重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:10重量部)。
製造例1と同様に、1回当たり2.5重量部相当のウレタン樹脂原料を表1記載の回数添加することにより、本粒状農薬組成物を得た。
1)体積中位径測定
製造例1〜6で得られた本粒状農薬組成物の体積中位径をMALVERN製MASTERSIZER2000にて測定した。その結果を表2に示す。
2)溶出試験
粉状農薬1および製造例1〜6で得られた本粒状農薬組成物を、5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミドが50mg/Lとなるように、100mlスクリュー管に量り取り、100gのイオン交換水を添加し、25℃の恒温機中で24時間放置した。その後、上澄みを分取し、固形分をフィルターにて濾別した後、水中に溶出した5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミドの含量を測定し、水中に溶出していた割合(溶出率)を算出した。その結果を表2に示す。
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬2を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させた。該装置内において、粉状農薬2はアジテータにて全体が転動状態で全体攪拌され、主にチョッパー羽根において強いせん断力が与えられていた。次に、混合容器を加温し、粉状農薬2の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬2に対して、1.55重量部の上記のポリオールプレミックス1を添加した。該ポリオールプレミックス1が粉状農薬2に湿潤されてゆく様子が観察された。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、0.95重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)}を添加した。添加直後から、増粘現象が確認され、その後、粘度が低下し、ウレタン樹脂の硬化が観察された、粉状農薬2よりも粒径の大きな粒状物が得られた(100重量部の粉状農薬2に対して、2.5重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)1.55重量部のポリオールプレミックス1の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)0.95重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を19回行い、100重量部の粉状農薬2に対し、計50重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得た(ウレタン樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:2.5重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:50重量部)。
製造例7と同様に、1回当たり2.5重量部相当のウレタン樹脂原料を表3記載の回数添加することにより、本粒状農薬組成物を得た。
1)体積中位径測定
製造例7〜11で得られた本粒状農薬組成物の体積中位径をMALVERN製MASTERSIZER2000にて測定した。その結果を表4に示す。
2)溶出試験
粉状農薬2および製造例7〜11で得られた本粒状農薬組成物を、(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンが50mg/Lとなるように、100mlスクリュー管に量り取り、100gのイオン交換水を添加し、25℃の恒温機中で24時間放置した。その後、上澄みを分取し、固形分をフィルターにて濾別した後、水中に溶出した(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンの含量を測定し、水中に溶出していた割合(溶出率)を算出した。その結果を表4に示す。
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:850rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させる。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、1.55重量部の上記のポリオールプレミックス1を添加する。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、0.95重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)}を添加する。(100重量部の粉状農薬1に対して、2.5重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)1.55重量部のポリオールプレミックス1の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)0.95重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を19回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計50重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得る(ウレタン樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:2.5重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:50重量部)。
得られる本粒状農薬組成物は、製造例5で得られた本粒状農薬組成物と比較して体積中位径は大きくなる。
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させる。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、1.65重量部の上記のポリオールプレミックス2を添加する。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、0.85重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)}を添加する。(100重量部の粉状農薬1に対して、2.5重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)1.65重量部のポリオールプレミックス2の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)0.85重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を19回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計50重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得る(ウレタン樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:2.5重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:50重量部)。
得られる本粒状農薬組成物は、製造例5で得られた本粒状農薬組成物と比較して5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミドの溶出は早くなる。
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させる。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、1.71重量部の上記のポリオールプレミックス3を添加する。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、0.79重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)}を添加する。(100重量部の粉状農薬1に対して、2.5重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)1.71重量部のポリオールプレミックス3の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)0.79重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を19回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計50重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得る(ウレタン樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:2.5重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:50重量部)。
得られる本粒状農薬組成物は、製造例5で得られた本粒状農薬組成物と比較して5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミドの溶出は早くなる。
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させる。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、3.10重量部の上記のポリオールプレミックス1を添加する。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、1.90重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)}を添加する。(100重量部の粉状農薬1に対して、5.0重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)3.10重量部のポリオールプレミックス1の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)1.90重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を9回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計50重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得る(ウレタン樹脂原料添加回数:10回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:5.0重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:50重量部)。
得られる熱硬化性樹脂粒子は、製造例5で得られた本粒状農薬組成物と比較して5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−4−イソベンゾフラニル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミドの溶出は遅くなる。
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させる。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、1.20重量部の上記のポリオールプレミックス4を添加する。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、1.30重量部のポリイソシアネート{スミジュール44V10(住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)}を添加する。(100重量部の粉状農薬1に対して、2.5重量部のウレタン樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)1.20重量部のポリオールプレミックス4の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)1.30重量部のポリイソシアネートの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を19回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計50重量部のウレタン樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得る(ウレタン樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのウレタン樹脂原料添加量:2.5重量部、ウレタン樹脂原料総添加量:50重量部)。
上記のハイスピードミキサー装置の容器内に100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:1800rpm)およびチョッパー羽根(回転数:2000rpm)を回転させる。次に、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に維持したまま、粉状農薬1に対して、0.83重量部のポリアミン混合物(E206W硬化剤、コニシ株式会社製、粘度400mPa・s(25℃))を添加する。3分後、品温を75±5℃に維持したまま、1.67重量部のポリグリシジルエーテル(E206W主剤、コニシ株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ主剤、粘度500mPa・s(25℃))を添加する。(100重量部の粉状農薬1に対して、2.5重量部のエポキシ樹脂に相当)。
更に5分後、ハイスピードミキサー装置内の温度を75±5℃に維持して攪拌混合を継続しながら、1)0.83重量部のポリアミン混合物の添加、2)3分間攪拌混合を継続、3)1.67重量部のポリグリシジルエーテルの添加、4)5分間攪拌混合を継続、の操作を19回行い、100重量部の粉状農薬1に対し、計50重量部のエポキシ樹脂原料を添加し、冷却後に本粒状農薬組成物を得る(エポキシ樹脂原料添加回数:20回、1回当たりのエポキシ樹脂原料添加量:2.5重量部、エポキシ樹脂原料総添加量:50重量部)。
製剤例1
4.8重量部の製造例8で得られた本粒状農薬組成物、5.0重量部のα化澱粉(AMYLOX NO.1A、日本スターチ製)及び89.2重量部の軽質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製)をナウターミキサーで10分間混合した後、1.0重量部のSORPOL T−20(東邦化学工業製ノニオン界面活性剤)を溶解した47.0重量部の水溶液を加え、よく混練した。得られた混練物を、スクリーン径0.9mmφの小型押出造粒機で造粒し、さらに小型流動層乾燥機を用いて、70℃で30分間乾燥し、粒径をそろえて、本粒状農薬組成物を含有する粒剤(粒径が710〜1180μm)を得た。
4.8重量部の製造例8で得られた本粒状農薬組成物、3.5重量部のα化澱粉(AMYLOX NO.1A、日本スターチ製)及び89.2重量部の炭酸カルシウム(NN♯200、日東粉化工業製)をナウターミキサーで混合した後、1.0重量部のSORPOL T−20(東邦化学工業製ノニオン界面活性剤)を溶解した21.0重量部の水溶液を加え、よく混練した。得られた混練物を、スクリーン径0.9mmφの小型押出造粒機で造粒し、さらに小型流動層乾燥機を用いて、70℃で30分間乾燥し、粒径をそろえて、本粒状農薬組成物を含有する粒剤(粒径が710〜1180μm)を得た。
4.8重量部の製造例8で得られた本粒状農薬組成物、3.5重量部のα化澱粉(AMYLOX NO.1A、日本スターチ製)及び91.7重量部のクレー(勝光山鉱業製)をナウターミキサーで混合した後、1.0重量部のSORPOL T−20(東邦化学工業製ノニオン界面活性剤)を溶解した21.0重量部の水溶液を加え、よく混練した。得られた混練物を、スクリーン径0.9mmφの小型押出造粒機で造粒し、さらに小型流動層乾燥機を用いて、70℃で30分間乾燥し、粒径をそろえて、本粒状農薬組成物を含有する粒剤(粒径が710〜1180μm)を得た。
4.8重量部の製造例8で得られた本粒状農薬組成物、2.0重量部のポリビニルアルコール(ゴーセノール GL−05S、日本合成化学製)、20.0重量部のベントナイト(ベントナイト富士、ホージュン製)及び62.2重量部の炭酸カルシウム(NN♯200、日東粉化工業製)をナウターミキサーで混合した後、1.0重量部のSORPOL T−20(東邦化学工業製ノニオン界面活性剤)を溶解した27.0重量部の水溶液を加え、よく混練した。得られた混練物を、スクリーン径0.9mmφの小型押出造粒機で造粒し、さらに小型流動層乾燥機を用いて、70℃で30分間乾燥し、粒径をそろえて、本粒状農薬組成物を含有する粒剤(粒径が710〜1180μm)を得た。
4.8重量部の製造例6で得られた本粒状農薬組成物、2.0重量部のポリビニルアルコール(ゴーセノール GL−05S、日本合成化学製)、20.0重量部のベントナイト(ベントナイト富士、ホージュン製)及び62.2重量部の炭酸カルシウム(NN♯200、日東粉化工業製)をナウターミキサーで混合した後、1.0重量部のSORPOL T−20(東邦化学工業製ノニオン界面活性剤)を溶解した27.0重量部の水溶液を加え、よく混練する。得られた混練物を、スクリーン径0.9mmφの小型押出造粒機で造粒し、さらに小型流動層乾燥機を用いて、70℃で30分間乾燥し、粒径をそろえて、本粒状農薬組成物を含有する粒剤を得る。
4.8重量部の製造例6で得られた本粒状農薬組成物、5.0重量部のα化澱粉(AMYLOX NO.1A、日本スターチ製)及び89.2重量部の軽質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製)をナウターミキサーで10分間混合した後、1.0重量部のSORPOL T−20(東邦化学工業製ノニオン界面活性剤)を溶解した47.0重量部の水溶液を加え、よく混練する。得られた混練物を、スクリーン径0.9mmφの小型押出造粒機で造粒し、さらに小型流動層乾燥機を用いて、70℃で30分間乾燥し、粒径をそろえて、本粒状農薬組成物を含有する粒剤を得る。
1)溶出試験
製造例8で得られた本粒状農薬組成物及び製剤例1〜5で得られた粒剤を、(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンが50mg/Lとなるように、100mlスクリュー管に量り取り、100gのイオン交換水を添加し、25℃の恒温機中で24時間放置した。その後、上澄みを分取し、固形分をフィルターにて濾別した後、水中に溶出した(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミンの含量を測定し、水中に溶出していた割合(溶出率)を算出した。その結果を表5に示す。
Claims (10)
- 回転する羽根を備えた容器内にて、以下の工程が行われることを特徴とする被覆粒状農薬組成物の製造方法。
(1)体積中位径が1〜100μmの粉状農薬組成物を該容器内で転動させながら、該容器に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料を添加し、該粉状農薬組成物と該第1液状原料とを混合する工程、
(2)前工程で得られた混合物を該容器内で転動させながら、該容器に熱硬化性樹脂の原料となる第2液状原料を添加する工程、
(3)該容器に備えられた回転している羽根を、前工程で得られた混合物と接触させながら、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて熱硬化性樹脂を生成させることで、該粉状農薬組成物が該熱硬化性樹脂を介在して凝集してなる粒状農薬を得る工程、及び
(4)前工程で得られた粒状農薬を該容器内で転動させながら、該容器に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、該粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆する工程。 - 被覆粒状農薬組成物の体積中位径が10〜200μmである請求項1に記載の製造方法。
- 前記(1)及び(2)の工程において、熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とが、その合計量として前記粉状農薬組成物100重量部に対して0.3〜15重量部添加される請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記(4)の工程において、熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とが、その合計量として前記粉状農薬組成物100重量部に対して0.3〜15重量部添加される請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 回転している羽根が、羽根の先端部分が50〜3000m/分の範囲で回転している羽根である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 容器の底面部の直径と同程度の大きさの攪拌羽根を設置し、これを回転させることにより内容物を転動させる請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 略円筒形状の容器の底部に、容器の底面部に設けた底面部の直径と同程度の大きさの羽根を有し、更に該容器の側面より突出させた水平軸の周りに回転する羽根を設けた容器内にて、以下の工程が行われることを特徴とする被覆粒状農薬組成物の製造方法。
(1)該容器の底面部に設けた羽根を回転させることにより体積中位径が1〜100μmの粉状農薬組成物を該容器内で転動させながら、該容器に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料を添加し、該粉状農薬組成物と該第1液状原料とを混合する工程、
(2)該容器の底面部に設けた羽根を回転させることにより前工程で得られた混合物を該容器内で転動させながら、該容器に熱硬化性樹脂の原料となる第2液状原料を添加する工程、
(3)該容器の側面より突出させた水平軸の周りに回転している羽根を、前工程で得られた混合物と接触させながら、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて熱硬化性樹脂を生成させることで、該粉状農薬組成物が該熱硬化性樹脂を介在して凝集してなる粒状農薬を得る工程、及び
(4)該容器の底面部に設けた羽根を回転させることにより前工程で得られた粒状農薬を該容器内で転動させながら、該容器に熱硬化性樹脂の原料となる第1液状原料と第2液状原料とを同時又は順次加え、該第1液状原料と該第2液状原料とを反応させて、該粒状農薬を熱硬化性樹脂で被覆する工程。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により製造された被覆粒状農薬組成物。
- 請求項8に記載の被覆粒状農薬組成物を含有する固形製剤。
- 請求項8に記載の被覆粒状農薬組成物を含有する農薬粒剤。
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