JP6097901B2 - テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤 - Google Patents
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Description
(A)抗炎症成分の飽和水溶液もしくは水分散液を調製する第1工程と、
(B)第1工程で調製した水溶液を用いて、ポリグリセリンをリポソーム表面に担持した平均粒子径が50〜200nmのリポソーム懸濁液を調製する第2工程と、
(C)該懸濁液に貴金属イオンを共存させる第3工程と、
(D)還元剤を加え、一定時間静置することにより、リポソーム表面に貴金属ナノコロイドを形成させる第4工程。
(A)(B)の第1〜第2工程では、抗炎症成分を内包し、ポリグリセリンをリポソーム表面に担持した平均粒子径が50〜200nmのリポソーム懸濁液を調製するものである。担持方法としては、第2工程で、脂質膜へのアンカーとしての脂肪酸を持つポリグリセリン脂肪酸エステルを用いる。これにより、脂肪酸鎖を足場にポリグリセリンがリポソーム膜表面に担持される。ラボレベルでは、このようなサブミクロンサイズのリポソーム懸濁液を調製する場合、超音波処理やエクストルーダー処理を用いる。工業的に生産する場合は、高圧ホモジナイザーが好適に用いられる。高圧ホモジナイザーとしては、超高圧ホモジナイザー「マイクロフルイダイザー」(みづほ工業株式会社製)、薄膜旋回型高速ホモミキサー「T.Kフィルミックス」(プライミクス株式会社製)等を用いると、大量のリポソーム懸濁液が製造できる。処理圧力および処理回数を調節することにより、平均粒子径が50〜200nmの好適なベシクル状脂質ラメラ構造体であるリポソームが形成される。
<グリチルリチン酸ジカリウムを内包したリポソーム/金ナノコロイド複合体分散液の調製>
(A)抗炎症成分水溶液を調製
抗炎症成分としてグリチルリチン酸ジカリウムの1質量%水溶液を調製。
(B)リポソーム懸濁液の調製
グリチルリチン酸ジカリウムの1質量%水溶液、水素添加大豆ホスファチジルコリン(以下、HSPC)、コレステロールのクロロホルム溶液、ジステアリン酸ポリグリセリル−10(NIKKOL Decaglyn 1−SV:日光ケミカルズ製)、コレステロールのクロロホルム溶液を混合し、エバポレーションによってクロロホルムを除去して3時間真空乾燥する。その後、50mM Tris緩衝液(pH8.5)を500μl加え、約70℃で超音波分散し、凍結融解をした後、エクストルーダーを用いてリポソームサイズを100nmに調製し、テストワコーによってリン脂質濃度を算出した。
(C)リポソーム懸濁液に金イオンを共存
リポソーム分散液(HSPC=0.420μmol)、四塩化金酸(40μl:1.0μmol)を混合。
(D)リポソーム/金ナノコロイド複合体分散液の調製
さらにアスコルビン酸(20μl:10μmol)、50mM Tris緩衝液(pH8.5)を混合し、トータル4mlにして、25℃で1時間静置することで、グリチルリチン酸ジカリウムを内包したリポソーム/金ナノコロイド複合体分散液を得た。得られたグリチルリチン酸ジカリウム内包リポソーム/金ナノコロイド複合体分散液は遮光容器に保管した。金コロイドの生成は、還元剤溶液添加後1分程度で溶液の色が淡黄色から赤紫色ないし青色に変化することで確認できる。
<アラントイン内包リポソーム/金ナノコロイド複合体分散液の調製>
(A)抗炎症成分水溶液を調製
抗炎症成分としてアラントイン0.5質量%水溶液を調製。
(B)リポソーム懸濁液の調製
アラントイン0.5質量%水溶液、水素添加大豆ホスファチジルコリン(以下、HSPC)、コレステロールのクロロホルム溶液、ジステアリン酸ポリグリセリル−10(NIKKOL Decaglyn 1−SV:日光ケミカルズ製)、コレステロールのクロロホルム溶液、ステアリルアミンを混合し、エバポレーションによってクロロホルムを除去して3時間真空乾燥する。その後、50mM Tris緩衝液(pH8.5)を500μl加え、約70℃で超音波分散し、凍結融解をした後、エクストルーダーを用いてリポソームサイズを100nmに調製し、テストワコーによってリン脂質濃度を算出した。
(C)リポソーム懸濁液に金イオンを共存
リポソーム分散液(HSPC=0.420μmol)、四塩化金酸(40μl:1.0μmol)を混合。
(D)リポソーム/金ナノコロイド複合体分散液の調製
さらにアスコルビン酸(20μl:10μmol)、50mM Tris緩衝液(pH8.5)を混合し、トータル4mlにして、25℃で1時間静置することで、アラントインを内包したリポソーム/金ナノコロイド複合体分散液を得た。得られたアラントイン内包リポソーム/金ナノコロイド複合体分散液は遮光容器に保管した。
製造例1〜2で得られたグリチルリチン酸ジカリウム、アラントインを内包したリポソーム/金ナノコロイド複合体分散液の2種類の試料について、以下の試験法によりテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用を評価した。プロピレングリコール1mLにテストステロン(東京化成社製)4.2mgを溶解して得た溶液の20μLに、1mg/mLNADPH(ナカライテスク製)を含有する5mmol/mLトリス塩酸緩衝液825μL(pH7.2に調整)を加えて混合する。これに各濃度に希釈した試料80μLとS−9(ラット肝ホモジネート(オリエンタル酵母社製))75μLを混合し、35分間、37℃にてインキュベートする。これに塩化メチレン1mLを加えて反応を停止させた後、遠心分離にかけ、塩化メチレン層を分取してテストステロンの残存量をHPLCにて定量した。対照に、ブランクとして溶媒だけを用いて上記と同様の処理をして定量した。内部標準物質には、4−ヒドロキシ安息香酸ブチルを用いた。陽性試料として、テストステロン5α−レダクターゼ阻害活性を有することが知られている女性ホルモン物質のエチニルエストラジオールを用いた。阻害率は、下記式を用いて酵素活性を50%阻害する濃度IC50値(mg/mL)を求めた。結果を表1に示す。
阻害率(%)=100×〔(A−B)/A〕
A:対照のテストステロン変換%
B:試料のテストステロン変換%
表1の結果から、本発明のグリチルリチン酸ジカリウム内包リポソーム/金ナノコロイド複合体分散液、及びアラントイン内包リポソーム/金ナノコロイド複合体分散液に高いテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用があることが確認された。
<育毛剤1>
(1)精製水により100とする(質量%)
(2)1,3−ブチレングリコール 1.0
(3)エチルアルコール 50.0
(4)グリチルリチン酸ジカリウム内包
リポソーム/金ナノコロイド複合体分散液(製造例1) 15.0
(5)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
(6)フェノキシエタノール 0.3
(7)1,2−ペンタンジオール 3.0
(8)香料 微量
製造方法:(2)〜(8)の成分を均一に溶解したことを確認しながら、順次投入し、(1)の成分により100とする。
<育毛剤2>
(1)精製水により100とする(質量%)
(2)1,3−ブチレングリコール 2.0
(3)エチルアルコール 50.0
(4)グリチルリチン酸ジカリウム内包
リポソーム/金ナノコロイド複合体分散液(製造例1) 10.0
(5)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
(6)酢酸DL−α−トコフェロール 0.15
(7)L−メントール 0.12
(8)塩酸ピリドキシン 0.1
(9)フェノキシエタノール 0.3
(10)1,2−ペンタンジオール 3.0
(11)香料 微量
製造方法:(2)〜(11)の成分を均一に溶解したことを確認しながら、順次投入し、(1)の成分により100とする。
<育毛剤3>
(1)精製水により100とする(質量%)
(2)1,3−ブチレングリコール 1.0
(3)エチルアルコール 65.0
(4)アラントイン内包リポソーム/
金ナノコロイド複合体分散液(製造例2) 10.0
(5)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
(6)D−δ−トコフェロール 0.15
(7)L−メントール 0.12
(8)センブリエキス 0.1
(9)フェノキシエタノール 0.3
(10)1,2−ペンタンジオール 3.0
(11)香料 微量
製造方法:(2)〜(11)の成分を均一に溶解したことを確認しながら、順次投入し、(1)の成分により100とする。
<育毛剤4>
(1)精製水により100とする(質量%)
(2)グリセリン 2.0
(3)エチルアルコール 65.0
(4)サリチル酸内包リポソーム/
金ナノコロイド複合体分散液(※) 10.0
(5)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
(6)DL−α−トコフェロール 0.15
(7)L−メントール 0.1
(8)朝鮮人参エキス 0.1
(9)ニコチン酸ベンジル 0.1
(10)フェノキシエタノール 0.3
(11)1,2−ペンタンジオール 3.0
(12)香料 微量
製造方法:(2)〜(12)の成分を均一に溶解したことを確認しながら、順次投入し、(1)の成分により100とする。
※サリチル酸内包リポソーム金ナノコロイド複合体分散液:製造例1と同様の製造方法により調製したもの。
<アクネ用乳液>
(1)精製水により100とする(質量%)
(2)濃グリセリン 15.0
(3)カルボキシビニルポリマー(1質量%溶液) 15.0
(4)アルキル変性カルボキシビニルポリマー(1質量%溶液) 10.0
(5)ショ糖ラウリン酸エステル 0.5
(6)モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0
(7)ミリスチン酸オクチルドデシル 5.0
(8)オリーブ由来スクワラン 2.5
(9)セチルアルコール 0.5
(10)精製蜜蝋 1.0
(11)L−アルギニン(20質量%溶液) 1.5
(12)アラントイン内包リポソーム/
金ナノコロイド複合体分散液(製造例2) 20.0
(13)フェノキシエタノール 0.3
(14)1,2−ペンタンジオール 3.0
(15)香料 微量
製造方法:工程1/(1)〜(4)の水相成分を混合し、70〜75℃の加熱下で溶解する。工程2/(5)〜(10)の油相成分を混合し、同様に70〜75℃の加熱下にて溶解する。工程3/工程1の水相成分に工程2の油相成分を徐々に添加してプレミックスを行った後、高速ホモミキサーにて本乳化処理を行う。工程4/乳化後に冷却を開始し、45〜50℃にて(11)〜(12)の成分を、次に別に溶解した(13)〜(15)の成分を加える。工程5/さらに室温付近まで冷却し、取り出す。
次に、実施例1及び2のグリチルリチン酸ジカリウム内包リポソーム/金ナノコロイド複合体分散液配合の育毛剤について、40日間の実使用試験を行った。実施例1において、グリチルリチン酸ジカリウム内包リポソーム/金ナノコロイド複合体分散液を含まないものを比較例1として用いた。パネラーとして、25〜55歳で、抜け毛意識があり、軽度から中程度と判断される男性型脱毛症の男性被験者10名に対し、実施例1の育毛剤及び比較例1を、1日朝・晩2回、左右の頭皮にそれぞれ塗布して、40日間継続使用した。使用試験開始前及び使用試験終了後に、「抜け毛の減少感」「増毛感」「頭皮の柔軟性」「フケ・かゆみの減少」の4項目の頭皮頭髪の状態変化に関して、「A:改善が見られた」、「B:やや改善が見られた」、「C:変化は見られなかった」の3段階にて専門の評価者により評価した。本発明の最大課題である育毛効果は「抜け毛の減少感」「増毛感」にて評価され、「頭皮の柔軟性」「フケ・かゆみの減少」の2項目は、派生効果が得られないかを確認するものである。結果を、各評価を得たパネラー数で表2に示した。
次に、実施例5のアラントイン内包リポソーム/金ナノコロイド複合体分散液配合のアクネ用乳液について、40日間の実使用試験を行った。実施例5において、アラントイン内包リポソーム/金ナノコロイド複合体分散液を含まないものを比較例2として用いた。20〜35歳で、ニキビのあるパネル10名に対し、実施例5及び比較例2を、1日朝・晩2回、左右の顔にそれぞれ塗布して、30日間継続使用した。使用試験開始前及び使用試験終了後に、「ニキビ肌の改善度合い」「肌のなめらか感」の2項目に関して、「A:改善が見られた」、「B:やや改善が見られた」、「C:変化は見られなかった」の3段階にて、さらに「刺激を感じたかどうか」について、「A:刺激は感じられなかった」、「B:わずかに刺激を感じる」、「C:刺激を感じた」の3段階で、専門の評価者による評価と、自己評価とを交えて評価した。結果を、各評価を得たパネラー数で表3に示した。
Claims (1)
- グリチルリチン酸ジカリウムが内包されてなるリポソーム/金ナノコロイド複合体を含有するテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤と、酢酸DL−α―トコフェロールとL−メントールを含有することを特徴とする育毛用組成物。
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