JP2006328026A - リポソームおよびそれを含む皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
Description
したがって、標的臓器へ到達しやすく、かつ到達した標的臓器において小胞内に保持された成分を放出しやすいリポソームの開発が望まれていた。
臓器」とは生体機能の構成単位を意味し、皮膚も包含する。
具体的には、美白成分である4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩を内包するリポソームであって、投与(例えば経皮投与)されると皮膚の表皮・真皮内に選択的に到達し、かつ皮膚内において内包された4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩を効率的に放出することができるリポソームの開発を検討した。
さらに、そのリポソームを含む組成物は優れた美白作用を有することを見出した。
[1] 下記一般式(I)で示されるセラミドをリポソーム膜に含むリポソームであって、4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩を内包することを特徴とするリポソーム。
[3] 前記セラミドの含有量が、リポソーム膜の全質量に対して30〜60質量%であることを特徴とする、[1]または[2]に記載のリポソーム。
[4] 前記リポソーム膜が、コレステロール、脂肪酸、コレステロール硫酸、およびリン脂質、ならびにこれらの塩からなる群から選択される一種または二種以上をさらに含有することを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のリポソーム。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のリポソームを含有する皮膚外用剤。
[6] 美白用の化粧料であることを特徴とする、[5]に記載の皮膚外用剤。
本発明のリポソームはリポソーム膜を有し、かつ該リポソーム膜が形成する小胞の内部および/または小胞脂質膜中に4−n−ブチルレゾルシノールを含むことを特徴とする。
「小胞の内部に含まれる」とは脂質二重膜と脂質二重膜の間に存在する水層の水に溶解している状態を含む。また「小胞脂質膜中に含まれる」とは、脂質二重膜の間にはめ込まれている状態を含む。
一般的にセラミドとは、スフィンゴシンまたはその類似体の、N−アシル誘導体の総称である。セラミドは、その特徴部分であるN−アシル基の構造などによって、タイプ1〜タイプ7に大別されることがある(例えば、Robson KJ, Stewart ME, Michelsen S, Lazo
ND, Downing DT.:6-Hydroxy-4-sphingenine in human epidermal ceramides. J Lipid Res. 1994 Nov;35(11):2060-8.を参照)。そのタイプによって、生体中における臓器分布が異なっているといわれている。本発明のリポソームに含まれるセラミドは、特に限定されるわけではないが、前記7つのタイプのうちタイプ2に属するものと考えられる。
一般式(I)において、R1は好ましくは炭素数1〜8のアルキル基を示す。R1で示される基の具体的な例には、メチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘプチル基などが含まれ、特に好ましくはメチル基またはヘプチル基などである。
一般式(I)において、R2は好ましくは炭素数11〜21のアルキル基またはアルケニル基を示す。R2のアルキル基またはアルケニル基は水酸基を有してもよい。R2で示されるアルキル基の具体的な例には、1−ヒドロキシペンタデカニル(1-hydroxy-pentadecanyl)基などが含まれる。またR2で示されるアルケニル基の具体的な例には、α−ペンタデセニル(α-pentadecenyl)基および2−ヒドロキシ−α−ペンタデセニル(2-hydroxy-α-pentadecenyl)基などが含まれる。R2の特に好ましい例には、α−ペンタデセニル基などが含まれる。
バンティ・ポーラー・リピッド社(Avanti Polar Lipids Inc.)より販売されている。
リン脂質の好ましい例には、レシチンの主成分であるホスファチジルコリン、ホスファチジル酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールおよびホスファチジルグリセロール、ならびにこれらのリゾ体が含まれる。これらは大豆や卵黄から抽出したレシチンの形態、あるいはこれらを水素添加した水添レシチンの形態であってもよい。本発明のリポソームのリポソーム膜は、かかるリン脂質の一種を単独で含有することもできるし、二種以上を組み合わせて含有することもできる。
リポソーム膜におけるリン脂質の総含有量は、リポソーム膜の総質量に対して50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。リン脂質の量が多すぎると、必須成分であるセラミドの含有量を適切に調整することが困難になる場合がある。
リポソーム膜におけるコレステロール類の好ましい総含有量は、リポソーム膜の総質量に対して50質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下である。コレステロール類の量が多すぎると、必須成分であるセラミドの含有量を適切に制御することが困難になる場合がある。
リポソーム膜における脂肪酸の総含有量は、リポソーム膜の総質量に対して50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。脂肪酸の量が多すぎると、必須成分であるセラミドの含有量を適切に制御することが困難である場合がある。
ような任意成分の例には、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類;POE脂肪酸エステルやPOEアルキルエーテルのような非イオン界面活性剤類;ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどのような高分子類などが含まれる。
本発明のリポソームは小胞内部または脂質二重膜の間に水性溶液を含む。その水性溶液の容量は、特に限定されないが0.1〜100μLであると考えられる。
水性溶媒に懸濁されているリポソームに含まれる4−n−ブチルレゾルシノール類の、
該懸濁液中における濃度は、4−n−ブチルレゾルシノールに換算して、1〜50mMであることが好ましい。
具体的には以下の手順に従って製造することができるが、これらの記載により本発明のリポソームの製造方法が特に限定されるわけではない。
1) リポソーム膜を構成する成分(前記一般式(I)で示されるセラミドを含む)を有機溶媒に溶解又は懸濁させる。ここで有機溶媒は、脂質を溶解することができ、かつ沸点が低いことが好ましい。有機溶媒の具体例には、クロロホルム、メタノール、エタノール、アセトンなどが含まれる。
2) 1)で得られた溶液または懸濁液に、4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩を含む溶液を添加する。かかる溶液の溶媒は、脂質を溶解することができ、かつ粉点が低いことが好ましい。この溶媒の例には、メタノール、クロロホルム、エタノール、アセトンなどが含まれる。
3) 2)で得られた混合液から溶媒を除去することにより、リポソーム構成成分の薄膜を形成させる。溶媒は減圧下に留去することが好ましい。
4) 3)で得られた薄膜に水性溶媒(好ましくは緩衝液)を添加して撹拌することにより、水性溶媒中に懸濁されたリポソームを得ることができる。
また、リポソームを含む水性溶媒(懸濁液)を超遠心処理することにより、沈殿物としてリポソームを分離することができる。分離されたリポソームは必要に応じて生理食塩水などで洗浄することもできる。
本発明の皮膚外用剤は、前述した本発明のリポソームを含むことを特徴とするが、さらに任意の成分を含むことができる。
また、本発明の皮膚外用剤における4−n−ブチルレゾルシノール及び/又はその塩の含有量は、皮膚外用剤全量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%であることがより好ましい。
ン、ホホバロウ等が含まれる。
炭化水素類の例には、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が含まれる。
高級脂肪酸類の例には、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等が含まれる。
アニオン界面活性剤の例には、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等が含まれる。
カチオン界面活性剤の例には、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等が含まれる。
両性界面活性剤の例には、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等が含まれる。
非イオン界面活性剤の例には、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(POE)ソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(PO
E・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等が含まれる。
無機粉体の例には、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体が含まれる。無機粉体は表面が処理されていてもよい。
有機粉体の例には、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン、オルガノポリシロキサンエラストマー等の粉体が含まれる。
パール剤の例には、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等が含まれる。パール剤類は、表面が処理されていてもよい。
有機色素の例には、赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等が含まれる。有機色素は、レーキ化されていてもよい。
紫外線吸収剤の例には、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等が含まれる。
ビタミン類の例には、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等が含まれる。
pH調整剤の例には、リン酸およびその塩(ナトリウム塩など)が含まれる。
本発明の皮膚外用剤の製造において用いられるリポソームは、溶液または懸濁液に含まれた状態で配合してもよく、あるいは必要に応じて溶媒から分離された状態または洗浄されて単離された状態で配合してもよい。
また後述の実施例に示されたように、本発明の皮膚外用剤は優れた美白作用を奏する。これは、角層を透過したリポソームから、内包する薬剤(美白剤)が角質間脂質に効率的に分配(放出)され、分配された美白剤が角層間脂質から表皮細胞内へ拡散するためであると考えられる。
医薬部外品として応用される場合には、メラニン産生抑制作用を有する旨の表示、または医薬部外品である旨の表示を付されていることが好ましい。また、適切な態様での使用を促すため、メラニン産生を抑制する目的で使用すること、色黒で気になる部分に1日1回乃至数回適量を投与すること、皮膚に異常を感じた場合は直ちに投与を中止すべきであることを表示することが好ましい。
リポソームの作製
リポソームを、Bangham, A.D., Standish, M.M. and Watkins, J.C. "Diffusion of univalent ions across the lamellae of swollen phospholipids."(1965) J. Mol. Biol. 13, 238-252に記載の薄膜法に従い、以下の様にして作製した。
表1に示した脂質組成物(計15mg)を、ナスフラスコ内のクロロホルム(15ml)に加えて懸濁した。得られた懸濁液に、メタノール(1ml)に溶解した4−n−ブチルレゾルシノール(3mg)を添加した。
得られたリポソーム懸濁液を、エクストルーダーに装着された目の大きさが200nmのメンブレンフィルターに10回通し、リポソーム懸濁液に含まれるリポソームの粒径を約200nmに揃えた。
さらにリポソーム懸濁液を、超遠心処理(267000g,60min)して生じた沈殿物を回収した。回収された沈殿物を、約1.5mlのPBS(pH7.4)に懸濁した。(以下、単に懸濁液という場合がある。)
実施例1における脂質組成物を、表2に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例1と同様にしてリポソーム懸濁液2を得た。
実施例1における脂質組成物を、表3に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例1と同様にしてリポソーム懸濁液3を得た。
実施例1における脂質組成物を、以下の表4に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例1と同様にしてリポソーム懸濁液4を得た。リポソーム懸濁液4に含まれるリポソームは、SCLL (Stratum corneum lipid liposome)と称されることがある。
実施例1および2、ならびに比較例1および2で得られたリポソーム懸濁液1〜4について、以下の手順でin vitro皮膚透過試験を行った。リポソーム懸濁液1、2、3および4それぞれについて、3つの皮膚透過試験用拡散セルを用いて試験を行った。
Frantzセルのレシーバー(皮膚内面側)にPBS(pH7.4)を満たし(4.5mL)、レシーバー内のPBSをスティアラーにて撹拌しながら32℃に保持した。一方、セルのドナー(皮膚外面側)にリポソーム懸濁液(400μl)を入れた。
求めた4−n−ブチルレゾルシノール量の、アプライした4−n−ブチルレゾルシノール量(ドナーに入れたリポソーム懸濁液に含まれる4−n−ブチルレゾルシノール量)に対する質量%を計算した。
以下の表5に示される成分を均一に混合して、美白化粧水1(pH6.5)を作製した。
表5においてリン酸およびリン酸ナトリウムの配合率は、得られる化粧水のpHが6.5になるように調整された。
以下の表6に示される成分を均一に混合して、美白化粧水1(pH6.5)を作製した。
表6においてリン酸およびリン酸ナトリウムの配合率は、得られる化粧水のpHが6.5になるように調整された。
実施例3における美白化粧水1の作製において、リポソーム懸濁液1(5質量%)を、4−n−ブチルレゾルシノール3mgをエタノール1mlに溶解して得られた溶液に置換した化粧水を作成し、比較化粧料とした。
実施例3で得られた美白化粧水1の美白効果を、パネラーを用いた試験によって調べた。
パネラー5名の前腕内側部に2cm×4cmの3つの部位A,B,Cを設定した。設定された部位に、予め測定してあった、最少紅斑用量(MED)の2倍の紫外線を照射した。照射後1週間放置して、炎症がおさまり、黒化を確認してから試験を開始した。
部位Aには連日朝晩2回、3週間連続して、美白化粧水1を40μL塗布した。部位Bには、比較化粧料を同様に投与した。部位Cはそのままにしてもらい、コントロールとした。
部位B(比較化粧料を塗布)の明度差(ΔL*)をコニカミノルタの色彩色差計CR−400を用いて求めた。その結果を表7に示す。表7に示されたように、本発明の美白化粧水1を塗布した部位Aが、比較化粧料を塗布した部位Bよりも明度差が大きく、4−n−ブチルレゾルシノールがリポソームに内包されている美白化粧水1の美白効果が高いことがわかる。
Claims (6)
- 前記一般式(I)において、
R1がメチル基またはヘプチル基を表し、R2がα−ペンタデセニル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載のリポソーム。 - 前記セラミドの含有量が、リポソーム膜の全質量に対して30〜60質量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載のリポソーム。
- 前記リポソーム膜が、コレステロール、脂肪酸、コレステロール硫酸、およびリン脂質、ならびにこれらの塩からなる群から選択される一種または二種以上をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリポソーム。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のリポソームを含有する皮膚外用剤。
- 美白用の化粧料であることを特徴とする、請求項5に記載の皮膚外用剤。
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