JP2006335651A - リポソームおよびそれを含む処置用の組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 下記一般式(I)で示されるセラミドをリポソーム膜に含むことを特徴とする、リポソーム。
[3] 前記セラミドの含有量が、リポソーム膜の全質量に対して30〜60質量%であることを特徴とする、[1]または[2]に記載のリポソーム。
[4] 前記リポソーム膜が、コレステロール、脂肪酸、コレステロール硫酸、およびリン脂質、ならびにこれらの塩からなる群から選択される一種または二種以上をさらに含有することを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか一つに記載のリポソーム。
[5] 前記リポソーム膜が形成する小胞の内部及び/又は小胞脂質膜中に、有効成分を含有する溶液または分散液が含まれていることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれか一つに記載のリポソーム。
[6] 前記有効成分は、カルセインおよびその塩、FITC−デキストラン、リドカインおよびその塩、ビダラビン、ビタミンD3、ならびにウルソール酸エステルからなる群から選択される一種または二種以上であることを特徴とする、[5]に記載のリポソーム。
[7] [1]〜[6]のいずれか一つに記載のリポソームを含有する処置用組成物。
[8] 皮膚外用剤であることを特徴とする、[7]に記載の処置用組成物。
本発明のリポソームは下記一般式(I)に表されるセラミドをリポソーム膜に含有することを特徴とする。
一般的にセラミドとはスフィンゴシンまたはその類似体の、N−アシル誘導体の総称である。セラミドはその特徴部分であるN−アシル基の構造などによって、タイプ1〜タイプ7に大別されることがある(例えば、Robson KJ, Stewart ME, Michelsen S, Lazo ND,
Downing DT.: 6-Hydroxy-4-sphingenine in human epidermal ceramides. J Lipid Res.
1994 Nov;35(11):2060-8を参照)。そのタイプによって、生体内における臓器分布が異なっているといわれている。本発明のリポソームに含まれるセラミドは特に限定されるわけではないが、前記7つのタイプのうちタイプ2に属するものと考えられている。
一般式(I)において、R1は好ましくは炭素数1〜8のアルキル基を示す。R1で示される基の具体的な例には、メチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘプチル基などが含まれ、特に好ましくはメチル基またはヘプチル基などである。
一般式(I)において、R2は好ましくは炭素数11〜21の水酸基を有していてもよいアルキル基またはアルケニル基を示す。R2で示されるアルキル基の具体的な例には、1−ヒドロキシペンタデカニル(1-hydroxy-pentadecanyl)基などが含まれる。また、R2で示されるアルケニル基の具体的な例には、α−ペンタデセニル(α-pentadecenyl)基および2−ヒドロキシ−α−ペンタデセニル(2-hydroxy-α-pentadecenyl)基などが含まれる。R2の特に好ましい例には、α−ペンタデセニル基などが含まれる。
れ、これらはアバンティ・ポーラー・リピッド社(Avanti Polar Lipids Inc.)より販売されている。
リン脂質の好ましい例には、レシチンの主成分である、ホスファチジルコリン、ホスファチジル酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、およびホスファチジルグリセロール、ならびにこれらのリゾ体が含まれる。これらは大豆や卵黄から抽出したレシチンの形態で、あるいはこれらを水素添加した水添レシチンの形態であってもよい。本発明のリポソームのリポソーム膜は、かかるリン脂質の一種を単独で含有することもできるし、二種以上を組み合わせて含有することもできる。
リポソーム膜におけるリン脂質の総含有量は、リポソーム膜の総質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。リン脂質の量が多すぎると、必須成分であるセラミドの含有量を適切に調整することが困難になる場合がある。
リポソーム膜におけるコレステロール類の好ましい総含有量は、リポソーム膜の総質量に対して50質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下である。コレステロール類の量が多すぎると、必須成分であるセラミドの含有量を適切に制御することが困難になる場合がある。
リポソーム膜における脂肪酸の総含有量は、リポソーム膜の総質量に対して50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。脂肪酸の量が多すぎると、必須成分であるセラミドの含有量を適切に制御することが困難である場合がある。
成分を、本発明の効果を損なわない範囲において任意に含有することができる。このような任意成分の例には、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類;POE脂肪酸エステルやPOEアルキルエーテルのような非イオン界面活性剤類;ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどのような高分子類などが含まれる。
本発明のリポソームは小胞内部または脂質二重膜同士の間に水性溶液を含む。その溶液の容量は、特に限定されないが0.1〜100μlであると考えられる。
である。
前記有効成分を含む溶液または分散液における、有効成分の含有濃度は、1〜50mMであることが好ましい。
具体的には、以下の手順に従って製造することができるが、これらの記載により本発明のリポソームの製造方法が特に限定されるわけではない。
1) リポソーム膜を構成する成分(一般式(I)で示されるセラミドを含む)を有機溶媒に溶解又は懸濁させる。ここで有機溶媒は、脂質を溶解することができ、かつ沸点が低いことが好ましい。有機溶媒の具体例には、クロロホルム、メタノール、エタノール、アセトンなどが含まれる。
2) 1)で得られた溶液または懸濁液から溶媒を除去することにより、リポソーム構成成分の薄膜を形成させる。溶媒の除去は減圧下で行うことが好ましい。
3) 2)で得られた薄膜に水性溶媒(好ましくは緩衝液)を添加して攪拌することにより、水性溶媒中に懸濁されたリポソームを得ることができる。
またリポソームを含む水溶性溶媒を超遠心処理することにより、沈殿物としてリポソームを分離することができる。分離されたリポソームは必要に応じて洗浄されることもできる。
本発明の処置用組成物は、前述した本発明のリポソームを含むことを特徴とする。
本発明の処置用組成物としては、本発明のリポソームの効果が奏されれば特に制限はなく、皮膚外用剤、経口剤、注射剤などが含まれる。本発明の処置用組成物は、好ましくは皮膚外用剤である。
また、本発明の処置用組成物における有効成分および/又はその塩の含有量は、処置用組成物全質量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%であることがより好ましい。
ルコール類、保湿成分、増粘剤、防腐剤、粉体類、無機顔料類、パール剤、有機色素、紫外線吸収剤、ビタミン類、pH調整剤などが含まれる。
炭化水素類の例には、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が含まれる。
高級脂肪酸類の例には、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等が含まれる。
油剤の例には、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等が含まれる。
アニオン界面活性剤の例には、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等が含まれる。
カチオン界面活性剤の例には、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等が含まれる。
両性界面活性剤の例には、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等が含まれる。
非イオン界面活性剤の例には、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(POE)ソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニ
ルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等が含まれる。
無機粉体の例には、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等が含まれる。粉体類は表面を処理されていてもよい。
有機粉体の例には、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等が含まれる。
パール剤の例には、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等が含まれる。パール剤は、表面処理されていてもよい。
有機色素類の例には、赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等が含まれる。有機色素類は、レーキ化されていてもよい。
紫外線吸収剤の例には、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等が含まれる。
pH調整剤の例には、リン酸およびその塩(ナトリウム塩など)が含まれる。
本発明の処置用組成物の製造において用いられるリポソームは、溶液または懸濁液に含まれた状態で配合されてもよく、あるいは必要に応じて溶媒から分離された状態または洗浄された単離された状態で配合されてもよい。
また、有効成分を含む本発明のリポソームを用いることにより、標的臓器に該有効成分の作用を効果的に奏させることができる。
[リポソームの作製(1)]
リポソームをBanghamらの報告した薄膜法(1965)に従って作製した。
以下の表1に示される脂質15mgを、ナスフラスコ内のクロロホルム(15ml)に加えて懸濁した。エバポレーターにて溶媒を減圧除去して、フラスコの内壁に薄膜を形成した。薄膜が形成されたフラスコ中にカルセインNa 10mM/PBS(pH 7.4)(PBS:リン酸緩衝生理食塩)を6ml添加した。ウォーターバスにて60℃に温めながらボルテックスにかけて、フラスコの内壁から膜を剥離し、リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液を、エクストルーダーに装着された200nmのメンブレンフィルターに10回通し、リポソーム液に含まれるリポソームの粒径を約200nmに揃えた。
さらに、得られたリポソーム液をSephadex−G75を装填したカラムに通し、リポソームに内封されていないカルセインNaを除去した。このリポソーム液を、超遠心処理(267000g, 60min)して生じた沈殿物を回収した。回収された沈殿物を、約1.5mlのPBS(pH7.4)に懸濁した。(以下、単に懸濁液という場合がある。)
得られた懸濁液をPBS(pH7.4)により希釈し、カルセインNa濃度を100μMとした。カルセインNa濃度は蛍光測定機により測定した。得られたリポソーム液をリポソーム液1と称する。
実施例1における脂質組成物を、以下の表2に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例1と同様にしてリポソーム液2を得た。
実施例1における脂質組成物を、以下の表3に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例1と同様にしてリポソーム液3を得た。
実施例1における脂質組成物を、以下の表4に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例1と同様にしてリポソーム液4を得た。
実施例1における脂質組成物を、以下の表5に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例1と同様にしてリポソーム液5を得た。リポソーム液5はSCLL(Stratum corneum lipid liposome)と称されることがある。
実施例1における脂質組成物を、以下の表6に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例1と同様にしてリポソーム液6を得た。
リポソーム液1,2,3,4,5,6と同濃度100μMのカルセインNa/PBS(pH7.4)溶液(比較溶液1)を調製した。
実施例1,2,3,4、比較例1,2および3で得られたリポソーム液1,2,3,4,5,6、および比較溶液1について、以下の手順でin vitro皮膚透過試験を行った。リポソーム液1,2,3,4,5,6、および比較溶液1それぞれについて、3つの皮膚透過試験用拡散セルを用いて試験を行った。
Frantzセルのレシーバー(皮膚内面側)にPBS(pH7.4)を満たし(4.5ml)、レシーバー内のPBSをスティアラーにて攪拌しながら32℃に保持した。(このラットから皮膚を採取し、セルにセットし、レシーバーにPBSを保持する工程を準備工程とする。)
24時間後にFrantzセルのレシーバー溶液を200μl採取した。採取したレシーバー溶液の蛍光強度を測定し、レシーバー溶液内に含まれるカルセインNa量を求め、アプライしたカルセインNa量に対する重量%を計算した。
また、Frantzセルから皮膚を回収した。回収した皮膚をビーカー内のPBS(pH7.4)に浸して、30回揺らして皮膚表面に付着しているカルセインNaを除去した。皮膚のうちドナー溶液が接していた部分(直径1.5cm)のみを鋏で丸く切り出し、切り出された皮膚を細かく切断した。切断された皮膚をバイアル瓶中のメタノール5mlに浸した。各バイアル瓶に対しバス型超音波を60分間照射後、バイアルビン中の溶液200μlを採取した。採取した溶液の蛍光強度を測定し、皮膚内に含まれるカルセインNa量を求め、アプライしたカルセインNa量に対する重量%を計算した。
(この24時間後のレシーバー溶液内に含まれるカルセインNa量の測定および算出、ならびに皮膚内に含まれるカルセインNa量の測定および算出する工程を算出工程とする。)
ソームによれば、該蛍光により、リポソームが皮膚内に到達し、内包成分を放出したことを知るトレーサーとしての有効性が判る。
[リポソームの作製(2)]
リポソームをBanghamらの報告した薄膜法(1965)に従って作製した。
以下の表7に示される脂質15mgを、ナスフラスコ内のクロロホルム(15ml)に加えて懸濁した。エバポレーターにて溶媒を減圧除去して、フラスコの内壁に薄膜を形成した。薄膜が形成されたフラスコ中にFITCデキストラン(分子量4000)40mM/PBS(pH 7.4)を1.5ml添加した。ウォーターバスにて60℃に温めながらボルテックスにかけて、フラスコの内壁から膜を剥離し、リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液を、エクストルーダーに装着された200nmのメンブレンフィルターに10回通し、リポソーム液に含まれるリポソームの粒径を約200nmに揃えた。
さらに、得られたリポソーム液をSephadex−G75を装填したカラムに通し、リポソームに内封されていないFITCデキストランを除去した。このリポソーム液を、超遠心処理(267000g, 60min)して生じた沈殿物を回収した。回収された沈殿物を、約1.5mlのPBS(pH7.4)に懸濁した。(以下、単に懸濁液という場合がある。)
得られた懸濁液をPBS(pH7.4)により希釈し、FITCデキストラン濃度を300nMとした。FITCデキストラン濃度は蛍光測定機により測定した。得られたリポソーム液をリポソーム液7と称する。
実施例5における脂質組成物を、以下の表8に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例5と同様にしてリポソーム液8を得た。
リポソーム液7,8および同濃度300nMのFITCデキストラン/PBS(pH7.4)溶液(比較溶液2)を調製した。
実施例5、比較例4および比較例5で得られたリポソーム液7,8および比較溶液2について、以下の手順でin vitro皮膚透過試験を行った。リポソーム液7,8および比較溶液2それぞれについて、3つの皮膚透過試験用拡散セルを用いて試験を行った。
24時間後にFrantzセルから皮膚を回収した。回収した皮膚をビーカー内のPBS(pH7.4)に浸して、30回揺らして皮膚表面に付着しているFITCデキストランを除去した。皮膚のうちドナー溶液が接していた部分(直径1.5cm)のみを鋏で丸く切り出し、切り出された皮膚を細かく切断した。切断された皮膚をバイアル瓶中のTriton0.08%/PBS5mlに浸した。各バイアル瓶に対しバス型超音波を60分間照射後、バイアルビン中の溶液200μlを採取した。採取した溶液の蛍光強度を測定し、皮膚内に含まれるFITCデキストラン量を求め、アプライしたFITCデキストラン量に対する重量%を計算した。
[リポソームの作製(3)]
リポソームをBanghamらの報告した薄膜法(1965)に従って作製した。
以下の表9に示される脂質15mgを、ナスフラスコ内のクロロホルム(15ml)に加えて懸濁した。メタノール(1ml)に溶解したビタミンD3 3mgを添加した。エバポレーターにて溶媒を減圧除去して、フラスコの内壁に薄膜を形成した。薄膜が形成されたフラスコ中にPBS(pH 7.4)を6ml添加した。ウォーターバスにて60℃に温めながらボルテックスにかけて、フラスコの内壁から膜を剥離し、リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液を、エクストルーダーに装着された200nmのメンブレンフィルターに10回通し、リポソーム液に含まれるリポソームの粒径を約200nmに揃えた。
さらにリポソーム液を、超遠心処理(267000g, 60min)して生じた沈殿物を回収した。回収された沈殿物を、約1.5mlのPBS(pH7.4)に懸濁した。(以下、単に懸濁液という場合がある。)
得られた懸濁液をPBS(pH7.4)により希釈し、ビタミンD3濃度を0.06重量%とした。ビタミンD3濃度はHPLCにより測定した。得られたリポソーム液をリポソーム液9と称する。
実施例6における脂質組成物を、以下の表10に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例6と同様にしてリポソーム液10を得た。
リポソーム液9,10と同濃度0.06重量%のビタミンD3/白色ワセリン(比較ワセリン)を調製した。
実施例6、比較例6および比較例7で得られたリポソーム液9,10および比較ワセリンについて、以下の手順でin vitro皮膚透過試験を行った。リポソーム液9,10および比較ワセリンそれぞれについて、3つの皮膚透過試験用拡散セルを用いて試験を行った。
24時間後にFrantzセルから皮膚を回収した。回収した皮膚をビーカー内のPBS(pH7.4)に浸して、30回揺らして皮膚表面に付着しているビタミンD3を除去した。皮膚のうちドナー溶液が接していた部分(直径1.5cm)のみを鋏で丸く切り出し、切り出された皮膚を細かく切断した。切断された皮膚をバイアル瓶中のメタノール5mlに浸した。各バイアル瓶に対しバス型超音波を60分間照射後、バイアルビン中の溶液200μlを採取した。採取した溶液のHPLCを測定し、皮膚内に含まれるビタミンD3量を求め、アプライしたビタミンD3量に対する重量%を計算した。
[リポソームの作製(4)]
リポソームをBanghamらの報告した薄膜法(1965)に従って作製した。
以下の表11に示される脂質150mgを、ナスフラスコ内のクロロホルム(40ml)に加えて懸濁した。さらにビダラビン 30mgを添加した。エバポレーターにて溶媒を減圧除去して、フラスコの内壁に薄膜を形成した。薄膜が形成されたフラスコ中にPBS(pH 7.4)を6ml添加した。ウォーターバスにて60℃に温めながらボルテックスにかけて、フラスコの内壁から膜を剥離し、リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液を、エクストルーダーに装着された200nmのメンブレンフィルターに5回通し、リポソーム液に含まれるリポソームの粒径を約200nmに揃えた。
さらにリポソーム液を、超遠心処理(267000g, 60min)して生じた沈殿物を回収した。回収された沈殿物を、約1.5mlのPBS(pH7.4)に懸濁した。(以下、単に懸濁液という場合がある。)
得られた懸濁液をPBS(pH7.4)により希釈し、ビダラビン濃度を0.675重量%とした。ビダラビン濃度はHPLCにより測定した。得られたリポソーム液をリポソーム液11と称する。
実施例7における脂質組成物を、以下の表12に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例7と同様にしてリポソーム液12を得た。
実施例7における脂質組成物を、以下の表13に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例7と同様にしてリポソーム液13を得た。
リポソーム液11,12,13と同濃度0.675重量%のビダラビン(市販クリーム剤型)(比較クリーム)を調製した。
実施例7、比較例8,9,10で得られたリポソーム液11,12,13および比較クリームについて、以下の手順でin vitro皮膚透過試験を行った。リポソーム液11,12,13および比較クリームそれぞれについて、3つの皮膚透過試験用拡散セルを用いて試験を行った。
24時間後にFrantzセルから皮膚を回収した。回収した皮膚をビーカー内のPBS(pH7.4)に浸して、30回揺らして皮膚表面に付着しているビダラビンを除去し
た。皮膚のうちドナー溶液が接していた部分(直径1.5cm)のみを鋏で丸く切り出し、切り出された皮膚を細かく切断した。切断された皮膚をバイアル瓶中のメタノール5mlに浸した。各バイアル瓶に対しバス型超音波を60分間照射後、バイアルビン中の溶液200μlを採取した。採取した溶液のHPLCを測定し、皮膚内に含まれるビダラビン量を求め、アプライしたビダラビン量に対する重量%を計算した。
[リポソームの作製(5)]
リポソームをBanghamらの報告した薄膜法(1965)に従って作製した。
以下の表14に示される脂質15mgを、ナスフラスコ内のクロロホルム(15ml)に加えて懸濁した。さらにリドカイン3mgを添加した。エバポレーターにて溶媒を減圧除去して、フラスコの内壁に薄膜を形成した。薄膜が形成されたフラスコ中にPBS(pH 7.4)を6ml添加した。ウォーターバスにて60℃に温めながらボルテックスにかけて、フラスコの内壁から膜を剥離し、リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液を、エクストルーダーに装着された200nmのメンブレンフィルターに10回通し、リポソーム液に含まれるリポソームの粒径を約200nmに揃えた。
さらにリポソーム液を、超遠心処理(267000g, 60min)して生じた沈殿物を回収した。回収された沈殿物を、約1.5mlのPBS(pH7.4)に懸濁した。(以下、単に懸濁液という場合がある。)
得られた懸濁液をPBS(pH7.4)により希釈し、リドカイン濃度を0.2重量%とした。リドカイン濃度はHPLCにより測定した。得られたリポソーム液をリポソーム液14と称する。
実施例8における脂質組成物を、以下の表15に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例8と同様にしてリポソーム液15を得た。
実施例8および比較例11で得られたリポソーム液14および15について、以下の手順でin vitro皮膚透過試験を行った。リポソーム液14および15それぞれについて、3つの皮膚透過試験用拡散セルを用いて試験を行った。
24時間後にFrantzセルから皮膚を回収した。回収した皮膚をビーカー内のPBS(pH7.4)に浸して、30回揺らして皮膚表面に付着しているリドカインを除去した。皮膚のうちドナー溶液が接していた部分(直径1.5cm)のみを鋏で丸く切り出し、切り出された皮膚を細かく切断した。切断された皮膚をバイアル瓶中のメタノール5mlに浸した。各バイアル瓶に対しバス型超音波を60分間照射後、バイアルビン中の溶液200μlを採取した。採取した溶液のHPLCを測定し、皮膚内に含まれるリドカイン量を求め、アプライしたリドカイン量に対する重量%を計算した。
[リポソームの作製(6)]
リポソームをBanghamらの報告した薄膜法(1965)に従って作製した。
以下の表16に示される脂質15mgを、ナスフラスコ内のクロロホルム(15ml)に加えて懸濁した。さらにウルソール酸ベンジル 3mgを添加した。エバポレーターにて溶媒を減圧除去して、フラスコの内壁に薄膜を形成した。薄膜が形成されたフラスコ中にPBS(pH 7.4)を6ml添加した。ウォーターバスにて60℃に温めながらボルテックスにかけて、フラスコの内壁から膜を剥離し、リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液を、エクストルーダーに装着された200nmのメンブレンフィルターに10回通し、リポソーム液に含まれるリポソームの粒径を約200nmに揃えた。
さらにリポソーム液を、超遠心処理(267000g, 60min)して生じた沈殿物を回収した。回収された沈殿物を、約1.5mlのPBS(pH7.4)に懸濁した。(以下、単に懸濁液という場合がある。)
得られた懸濁液をPBS(pH7.4)により希釈し、ウルソール酸ベンジル濃度を0.2重量%とした。ウルソール酸ベンジル濃度はHPLCにより測定した。得られたリポソーム液をリポソーム液16と称する。
実施例9における脂質組成物を、以下の表17に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例9と同様にしてリポソーム液17を得た。
実施例9および比較例12で得られたリポソーム液16および17について、以下の手順でin vitro皮膚透過試験を行った。リポソーム液16および17それぞれについて、3つの皮膚透過試験用拡散セルを用いて試験を行った。
24時間後にFrantzセルから皮膚を回収した。回収した皮膚をビーカー内のPBS(pH7.4)に浸して、30回揺らして皮膚表面に付着しているリドカインを除去した。皮膚のうちドナー溶液が接していた部分(直径1.5cm)のみを鋏で丸く切り出し、切り出された皮膚を細かく切断した。切断された皮膚をバイアル瓶中のメタノール5mlに浸した。各バイアル瓶に対しバス型超音波を60分間照射後、バイアルビン中の溶液200μlを採取した。採取した溶液のHPLCを測定し、皮膚内に含まれるウルソール酸ベンジル量を求め、アプライしたウルソール酸ベンジル量に対する重量%を計算した。
[リポソームの作製(7)]
リポソームをBanghamらの報告した薄膜法(1965)に従って作製した。
以下の表18に示される脂質15mgを、ナスフラスコ内のクロロホルム(15ml)に加えて懸濁した。エバポレーターにて溶媒を減圧除去して、フラスコの内壁に薄膜を形成した。薄膜が形成されたフラスコ中に、蛍光ラテックスビーズ懸濁水溶液(ポリサイエンス社製、カルボキシル基修飾、粒子径50nm)6mlを添加した。ウォーターバスにて60℃に温めながらボルテックスにかけて、フラスコの内壁から膜を剥離し、リポソーム液を得た。得られたリポソーム液を液体窒素中で冷却し、60℃のお湯にて融解する作業を5回以上実施した。本作業によってリポソームへのラテックスビーズ溶液の内包効率が上がる。ショ糖密度勾配遠心処理(267000g, 30min)にて、リポソーム画分を得た。
さらに得られたリポソーム画分を蒸留水で希釈し、超遠心処理(267000g, 60min)して生じた沈殿物を回収した。回収された沈殿物を、約1.5mlの蒸留水に懸濁した。(以下、単に懸濁液という場合がある。)
得られた懸濁液の蛍光強度を蛍光測定機により測定し、適宜蒸留水にて希釈した。得られたリポソーム液をリポソーム液18と称する。
実施例10における脂質組成物を、以下の表19に示される脂質組成物に変更すること以外は、実施例10と同様にしてリポソーム液19を得た。蒸留水を用いて希釈し、リポソーム液18と蛍光強度が等しくなるように揃えた。
蛍光ラテックスビーズ水溶液(比較溶液3)を調製した。蒸留水を用いて希釈し、リポソーム液18およびリポソーム液19と蛍光強度が等しくなるように揃えた。
実施例10および比較例13,14で得られたリポソーム液18および19、比較溶液3について、以下の手順でin vitro皮膚透過試験を行った。リポソーム液18および19、比較溶液3それぞれについて、3つの皮膚透過試験用拡散セルを用いて試験を行った。
24時間後にFrantzセルから皮膚を回収した。回収した皮膚をビーカー内のPBS(pH7.4)に浸して、30回揺らして皮膚表面に付着している蛍光ラテックスビーズを除去した。皮膚のうちドナー溶液が接していた部分(直径1.5cm)のみを鋏で丸く切り出し、切り出された皮膚を細かく切断した。切断された皮膚をバイアル瓶中のメタノール5mlに浸した。各バイアル瓶に対しバス型超音波を60分間照射後、バイアルビン中の溶液200μlを採取した。採取した溶液の蛍光強度を測定し、皮膚内に含まれる蛍光量を求め、アプライしたラテックスビーズ蛍光量に対する重量%を計算した。
Claims (8)
- 前記一般式(I)において、
R1がメチル基またはヘプチル基を表し、R2がα−ペンタデセニル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載のリポソーム。 - 前記セラミドの含有量が、リポソーム膜の全質量に対して30〜60質量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載のリポソーム。
- 前記リポソーム膜が、コレステロール、脂肪酸、コレステロール硫酸、およびリン脂質、ならびにこれらの塩からなる群から選択される一種または二種以上をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリポソーム。
- 前記リポソーム膜が形成する小胞の内部および/又は小胞脂質膜中に、有効成分を含有する溶液または分散液が含まれていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリポソーム。
- 前記有効成分は、カルセインおよびその塩、FITC−デキストラン、リドカインおよびその塩、ビダラビン、ビタミンD3、ならびにウルソール酸エステルからなる群から選択される一種または二種以上であることを特徴とする、請求項5に記載のリポソーム。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のリポソームを含有する処置用組成物。
- 皮膚外用剤であることを特徴とする、請求項7に記載の処置用組成物。
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