JP6097784B2 - 電縫管溶接装置 - Google Patents

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Description

本発明は、金属帯板を走行させながら円筒状に曲げて誘導加熱し、金属帯板に誘起した電流によって金属帯板の両端部間を溶接する電縫管の製造装置に関する。
一般に、金属の管を製造する方法としては、金属帯板を曲げながら溶接によって管形状とする電縫管やスパイラル管等の他、金属ビレットに直接穴をあけて製造するシームレス管や、押し出しによる管の製造方法がある。
電縫管は、特に生産性が高く、しかも安価に製造できることから大量に生産されている。このような電縫管は、金属帯板を走行させながら円筒型になるように成形してオープン管を形成し、次いで、オープン管の、開口部を挟んで対向する端面部(以下、単に「オープン管の端部」ともいう。)に高周波電流を流して溶融温度まで高めた状態で、ロールでオープン管の両端部の端面同士を圧接溶接して管状にする。この際、オープン管の端部に電流を供給する方法として、一つは、例えば、オープン管の外周を囲むように誘導コイル(ソレノイドコイル)を巻き、この誘導コイルに一次電流を流すことにより、オープン管に誘導電流を直接発生させる方法(例えば、特許文献1及び非特許文献1を参照)があり、もう一つは、金属製の電極をオープン管の端部に押し当て、電源から電流を直接通電する方法がある。このとき、誘導コイルあるいは電極に通じる電流は、一般的に100〜400kHz程度の高周波電流が使われるとともに、管の内面側にインピーダーと呼ばれる強磁性体を配置することが多い。インピーダーは、オープン管の内周を回ろうとする溶接に寄与しない誘導電流を阻止するために用いられる。
さらに、オープン管に誘導電流を発生させる方法には、下記特許文献2に記載されるように、鉄心付きの誘導加熱コイルを、オープン管の端部の上方に配置し、該誘導加熱コイルに電流を流すことにより鉄心内に発生した交番磁界の作用で該端部を加熱するいわゆるTF方式(横断加熱方式)もある。しかし、TF方式において、供給する電流の周波数を上げて溶融温度まで上昇させようとすると、被溶接材の外表面だけが溶融し溶け込み不良となるため、TF方式は、電縫管の製造では、特許文献2のように1〜3kHz程度の低周波電流による予備的な加熱手段として用いられるにすぎない。
特開昭53−44449号公報 特開平10−323769号公報
「高周波の基礎と応用」(東京電機大学出版局、P79,80)
図1〜3は、電縫管の溶接工程について説明する模式図である。図1は、誘導コイルをオープン管の外周に巻き、この誘導コイルに流した一次電流により、オープン管に発生する誘導電流で電縫管が製造される工程を説明する概略平面図であり、図2は図1の概略側面図である。また、図3は、図1、2に示す工程の概略側断面図である。ここで、オープン管の端部を流れる電流の大部分は向かい合った端面を流れるが、説明を簡単にするため、図1においては、便宜上、オープン管の端部の上面側(外面側)を電流が流れている様に描いて示している。以下、他の図面の説明においても、オープン管の両端部を流れる電流は、この両端部の上面側を電流が流れるように示すものとする。
図1に示すように、被溶接材である金属帯板1は、平板状態から走行中に図示略のロールで曲げ加工されて両端面部2a,2bが向かい合わさる筒状のオープン管1の形に成形され、次いでスクイズロール7で両端面部2a,2bが押しつけられて接合部(溶接部)6で接触する。このスクイズロール7の上流には、向かい合う両端面部2a,2bを溶融させて接合するために、図1に示すような誘導コイル(ソレノイドコイル)300が設けられ、この誘導コイル300に高周波電流を流すことにより、誘導コイル直下の円筒状のオープン管1に誘導電流が発生する。この誘導電流は、オープン管1を周回する誘導コイル300に沿ってオープン管1の外周を周回するが、途中でオープン管1の端面部2a,2bが開口部によって開放されていることから、この部分では誘導電流が誘導コイル直下を流れることができず、大別して2つの方向に流れようとする。つまり、図1に示すように、1番目の方向に流れる電流は、オープン管1の端面部2a,2bに沿って接合部6を通る電流40a,40bであり、また、2番目の方向に流れる電流は、オープン管1の開口部から周面を回る電流である。図1中、符号40c,40dは、オープン管1の外周を回る電流を示している。
なお、図1中では、オープン管1の内周を回ろうとする電流については、その図示を省略している。これは、インピーダー8と呼ばれるフェライト等からなる強磁性体のコア等を、オープン管1の内部に配置し、オープン管1の内面のインピーダンスを高めることにより、内周を電流が流れるのを防止できるためである。あるいは、接合部6への往復長に比べて製造する電縫管の径が大きく、オープン管1の内周が十分に長い場合には、インピーダー8を配置しなくても内周のインピーダンスが十分に大きくなり、内周を回る電流が抑制される場合もあるためである。
通常、誘導コイル300に投入された電力は、誘導コイルがオープン管1の外周を回る部分と、接合部6までの往復分とで、大部分が消費されることになる。このため、製造しようとする電縫管の径が大きくなるほど、誘導コイル300から接合部6までの往復距離に比べ、オープン管1の外周長が大きくなり、オープン管1の端部を加熱する電力に比べてオープン管1の外周部を加熱する電力の割合が大きく、加熱効率が低下する。このため、従来、径が大きな電縫管を製造する場合には、オープン管の外周を電流が回るのを抑制することが可能な、電極による接触通電を行う場合もある。この接触通電は、溶接効率が高いという利点があるが、電極がオープン管と接触する部分の疵や、電極とオープン管との接触不良等によるスパークの発生に伴う疵が発生しやすいという問題がある。このような疵の発生を無くすためには、非接触の誘導コイルを用いた方法を採用する必要があるが、上述したように、この方法を径の大きな電縫管の製造に適用した場合には、オープン管の端部を加熱する電流に比べてオープン管の外周部を回って加熱する電流の割合が大きくなる。そのため、溶接効率が低くなることから電源容量を大きくする必要があり、設備費の増大や、インピーダーが強磁場による大電力に耐えらずに焼損する等の問題が生じる。これらの事情により、従来は、インピーダーが焼損しないように電力量を抑制しながら生産を行わなければならず、生産性の低下を招く他、インピーダーを使用しない場合には、低加熱効率で生産するのを余儀なくされていた。
また、本発明者等は、電縫溶接時の加熱効率を上げるため、オープン管に発生した誘導電流の分布について鋭意検討した。従来は、非特許文献1にも開示されているように、誘導コイル直下から接合部に向かう方向にのみ、電流が流れるものと説明されていた。しかしながら、本発明者等が電縫管の電磁場解析で電流分布を調査したところ、実際には、図4に示すように、誘導コイル300直下からの電流は、接合部6方向の電流のみならず、相当量の電流5a,5bが分流して誘導コイル300の上流に流れていることがわかった。すなわち、誘導コイル300で供給した電力が有効に接合部6に流れず、無効電力(電力損失)の原因になっていることが判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、特に、径が比較的大きな電縫管を誘導コイル方式で製造する際の加熱効率を向上させることができ、簡単な装置で効率よく電縫溶接を行うことが可能な電縫管溶接装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なったところ、誘導コイルの形状や配置位置、さらには、強磁性体等の形状や配置位置等を適正化することにより、径が大きな電縫管を製造する場合であっても高い加熱効率が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の電縫管溶接装置は、走行方向に延びる開口部を有するオープン管の、該開口部に両側から相互に臨む管素材の端面部の双方を、誘導加熱手段によって発生させた誘導電流により溶融させるとともに、上記開口部の間隔を次第に狭めながら上記端面部同士を接合部において接触させて溶接する、電縫管を製造するための電縫管溶接装置であって、上記誘導加熱手段が、少なくとも1つの誘導コイルを有し、該少なくとも1つの誘導コイルのうち、上記接合部の最も近くに位置する第1の誘導コイルは、内部に磁性体コアを伴わない空芯コイルであり、上記開口部を跨いで一次電流回路が形成されるように、上記オープン管の外周を周回せずに、上記開口部の上方に配置されており、上記第1の誘導コイルに高周波電流を流すことで一次電流回路を形成した際に、上記オープン管の、上記第1の誘導コイルの下方でかつ上記開口部の両外側の部分に、上記オープン管の、少なくとも上記端面部を通る誘導電流を有する二次電流の閉回路が、両方の上記端面部の近傍に各々1つ以上形成されるように、上記一次電流回路が形成されており、前記第1の誘導コイルの上方に、該第1の誘導コイルを少なくとも部分的に覆う第2の強磁性体を備え、前記第2の強磁性体は、前記オープン管の開口部に対応する位置で、前記第1の誘導コイルの略半部を覆う第1の半部と、該第1の誘導コイルの残りの略半部を覆う第2の半部とに分割された構成を有するものである。
なお、本発明の電縫管溶接装置にあっては、上記高周波電流の周波数は、100kHz以上とすることが好ましい。
また、本発明の電縫管溶接装置にあっては、上記オープン管の走行方向において上記第1の誘導コイルよりも上流側で、且つ、対向する両端面部の間に配置された第1の強磁性体を備えることが好ましい。
さらに、本発明の電縫管溶接装置にあっては、上記第1の強磁性体の断面形状が、上記オープン管の走行方向と垂直な断面において、T字状、逆T字状、I字状、又は、横向きH字状であることが好ましい。
加えて、本発明の電縫管溶接装置にあっては、上記第1の誘導コイルは、上記開口部から側方に向かうにつれて上記オープン管との隙間が広がるよう形成されていることが好ましい。
本発明の電縫管溶接装置によれば、オープン管の両端面部近傍における開口部の両外側に、オープン管の表面を流れる誘導電流からなる少なくとも2つ以上の閉回路が形成されるように、開口部から管外方向に離間した位置に、オープン管の外周を周回せず、即ち、この外周を1周せずに、開口部を跨ぐように閉回路が形成された誘導コイルが配置された構成を採用している。これにより、従来のワークコイル方式に比べて、走行する金属帯板を曲げながら筒状にして電縫管溶接する際の加熱効率を、製造する電縫管の径が大きな場合であっても、簡単な装置で効果的に向上させることができるため、大容量の電源を用意する必要が無い。また、セットアップも容易で、製造する電縫管の寸法や形状に合わせて誘導コイルの形状を変える必要が少ないことから、保有するワークコイル(誘導コイル)の本数を減らすことができるので、設備コストをさらに抑制することが可能になるとともに、既設の電源を用いた場合であっても安価なコストで導入できる。
そして、上述のような加熱効率の向上に伴い、電力使用量を低減することで省エネが実現可能となるか、あるいは、同じ電力を投入した場合にはライン速度を上げることができ、生産性が向上できる。さらに、従来、電源容量の制限や大電力投入時のインピーダー焼損の制限から製造が困難であったサイズの電縫管を製造することも可能になることから、その産業上の効果は計り知れない。
誘導コイルを用いた電縫管溶接装置の、従来の考えに基づく電流分布を示す概略平面図である。 図1で説明した誘導コイルを用いた電縫管溶接装置を説明する概略側面図である。 図1に示す電縫管溶接装置の概略側断図である。 電磁場解析に基づく電流分布を示す平面模式図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管溶接装置を説明する概略平面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置を用いた場合の電流分布を説明する平面模式図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管溶接装置を説明する概略図であり、図5中に示すA−A断面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、(a)は第1の誘導コイルの上流の両端面部間に第1の強磁性体を配置した例を示す平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、両端面部間に曲線形状の略横向きH字状の第1の強磁性体を配置した例を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、両端面部間にT字状の第1の強磁性体を配置した例を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、両端面部間にI字状の第1の強磁性体を配置した例を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、両端面部間に逆T字状の第1の強磁性体を配置した例を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置の変形例を示す概略平面図である。 図13に示す電縫管製造装置を示す、図13のC−C線に沿う断面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置の他の変形例を説明する概略図であり、第2の強磁性体を誘導コイルの上方に配置した例を示す平面図である。 図15に示す電縫管製造装置を示す、図15中のD−D線に沿う断面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置の他の変形例を説明する概略図であり、楕円状の誘導コイルを配置した例を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置の他の変形例を説明する概略図であり、矩形状誘導コイルの走行方向の導体幅を広げた例を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置の他の変形例を説明する概略図であり、第1の誘導コイルの接合部に近い部分の幅を狭くし、且つ、位置を接合部に近づけた例を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置の他の変形例を説明する概略図であり、高さ方向において3ターンとした第1の誘導コイルを用いた例を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置の他の変形例を説明する概略図であり、略同一平面内において3ターンとした第1の誘導コイルを用いた例を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置の他の変形例を説明する概略図であり、第1の誘導コイルの上流側に、同様の構成を有する第2の誘導コイルを配置した例を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置の他の変形例を説明する概略図であり、第1の誘導コイルの上流側に、同様の構成を有する第2及び第3の誘導コイルを配置した例を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る電縫管製造装置の他の変形例を説明する概略図であり、第1の誘導コイルとして、走行方向に直交する断面でみて、平坦に延びる誘導コイルを用いた例を示す断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、オープン管の上方に設置した第1の誘導コイルの上流側に、第1の誘導コイルと接続された導体をオープン管の開口部内に設置した例を示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する模式図であり、図25に示す第1の誘導コイル及び導体に一次電流を通じた際の、オープン管に誘起される二次誘導電流における主電流の流れを示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、図25に示す導体をなす導体部間に第4の強磁性体を設置した例を示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、導体をオープン管の開口部内に設置した場合の両端面部との位置関係を示す側断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する模式図であり、図28における導体に一次電流を通じた際の、電流の流れを示す側断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、第1の誘導コイルの上流側におけるオープン管の両端面部間に、さらに、第1の誘導コイルと電気的に絶縁された導体を設置した例を示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、図30に示す導体をなす導体部間に第4の強磁性体を設置した例の平面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、図31に示す導体を、オープン管の両端面部に平行な2本の導体部から構成した例の平面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、図32における、導体をなす導体部間に第4の強磁性体を設置する場合の支持構造の例を示す縦断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、第1の誘導コイル及びオープン管の開口部に挿入するように第5の強磁性体を設置した例を示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、図34に示す、第1の誘導コイル及びオープン管の開口部に挿入するように第5の強磁性体を設置した例の側断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置の変形例を示す概略図であり、第5の強磁性体の内側部として、オープン管内に配置されたインピーダ−を用いた例を示す側断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、図34および図35における第5の強磁性体の支持構造の例を示す断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、第1の誘導コイル及びオープン管の開口部に挿入するように、外側部及び内側部の下流側端部がそれぞれ分岐した形状を有する第5の強磁性体を設置した例を示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、第5の強磁性体の外側部の下流側端部に、内側部へ突出した張出部を設けた例を示す側断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、図34に示す第1の誘導コイルの上流側に、さらに、第1の誘導コイルと電気的に絶縁された導体をオープン管の開口部内に設置した例の平面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、図40に示す導体をなす導体部間に第4の強磁性体を設置した例の平面図である。 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、図25に示す第1の誘導コイル及びオープン管の開口部内に挿入するように第5の強磁性体を設置した例の平面図である 本発明の他の実施形態に係る電縫管製造装置を説明する概略図であり、図42に示す導体の導体部の間に、さらに第4の強磁性体を設置した例の平面図である。 本発明の効果確認実験に用いた、開口部を模擬的に形成したオープン管の概略平面図である。
以下、本発明の電縫管溶接装置の実施の形態について、図1〜図43を適宜参照しながら説明する。なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために詳細に説明するものであるから、特に指定の無い限り、本発明を限定するものではない。
一般に、電縫管は、造管する径に合わせた幅にスリットされた走行する金属帯板を、ロールで曲げながらその幅方向両端面部を対向させ、筒状のオープン管に成形する。その後、誘導コイルを用いた誘導電流によってオープン管に誘導電流を流し、オープン管の端面部(開口部に臨む端面部)を加熱溶融させる。その後、工程の下流において、オープン管の対向する両端面部をスクイズロールで押しつけて密着させて接合(溶接)することで電縫管が得られる。ここで、本発明で説明する「下流」とは、金属帯板またはオープン管の走行方向における下流のことであり、以下、「上流」、「下流」という場合は、金属帯板またはオープン管の走行方向における「上流」、「下流」を指すものとする。
[第1の実施形態]
図5は、本発明の第1の実施形態である電縫管溶接装置50を示す概略平面図であり、図6は、図5に示す電縫管溶接装置50を用いて電縫管溶接を行った際に発生する、誘導電流の分布を模式的に示した平面図である。
図5に示す電縫管溶接装置50は、走行方向Rに走行する金属帯板1が、ロールにより、金属帯板1の幅方向における両端面部(端面部)2a,2bが間隔をあけて対向するように円筒状に曲げられてオープン管1に成形された後、該オープン管1の開口部2近傍に高周波電流を通じ、開口部2の間隔を次第に狭めながら加熱して両端面部2a,2bを溶融させ、該両端面部2a,2b同士を接触させて溶接する装置である。より具体的には、本実施形態の電縫管溶接装置50は、オープン管1の両端面部2a,2b近傍における開口部2の両外側に、オープン管1の表層を流れる、図6に示すような誘導電流4a,4bからなる少なくとも2つ以上の閉回路が形成されるように、開口部2から管外方向(上方)に離間した位置に、円筒状のオープン管1の外周を1周(周回)させずに、開口部2を跨ぐように少なくとも1ターン以上の閉回路が形成された誘導コイル(第1の誘導コイル)3が配置され、概略構成されている。ここで「1ターン」とは、平面視において、第1の誘導コイル3の周回方向の一端部と他端部とが一致またはオーバーラップすることにより、完全に1周しているコイルのみならず、図5等に示すように、他端部が一端部の手前で終端し、完全には1周しないものも含む意味である。そして、本実施形態では、上述の電縫管溶接装置50を用いることにより、第1の誘電コイル3内に、オープン管1の開口部2を跨いで少なくとも1ターン以上の一次電流回路が形成されるように構成されている。
本発明において以下に説明する第1の誘導コイル3は、銅等の良導体のパイプや線材、板等からなり、その材質等は特に限定されない。また、第1の誘導コイル3は、形状は矩形でも円形であっても良く、特に限定されるものではない。また、図5に例示するように、本実施形態では、第1の誘導コイル3を、円筒状のオープン管1の接合部6の上流において、オープン管1と近接して、オープン管1の開口部2上を少なくとも2箇所で横切る様に配置している。
図7は、図5中のA−A線に沿う概略断面図である。
ここで、従来の誘導加熱方式では、図1〜4に例示するように、円筒状のオープン管1の外側を周回して周方向に1ターン以上のコイルを形成している。これに対し、本発明においては、オープン管1の外周における周回数を1周未満としてオープン管1の周囲全体を周回させることなく、略平面状に少なくとも1ターン以上の閉回路を形成した第1の誘導コイル3が、オープン管1と接触しないように隙間を設けて離間した位置で、オープン管1の開口部2を跨ぐように配置する。図7に示す例では、第1の誘導コイル3がオープン管1の端面部2a,2bの上側を横切り、上方に設けられる図示略の電源に向かう構成を示している。そして、本実施形態では、第1の誘導コイル3に高周波電流を流すことで一次電流回路を形成することにより、この一次電流回路の下方の開口部2の両外側におけるオープン管1に、少なくともオープン管1の両端面部2a,2bを通る誘導電流を有する二次電流の閉回路が、両端面部2a,2bの近傍に各々1つ以上形成されるように、上記一次電流回路が形成される。なお、本発明において、高周波とは10kHz以上を指し、好ましくは100kHz以上である。
図7に示す例においては、第1の誘導コイル3を流れる電流は、この第1の誘導コイル3に沿って、まず、平面視で、図示略の電源に接続された図7中の右側上方から下方に向かって流れ、次に、オープン管1の一方の端面部2bの上方を右方向へ横切った後に、図7中の奥行き方向で手前側から奥側(図5中に示す矢印方向も参照)へ向かう。さらに、第1の誘導コイル3を流れる電流は、再びオープン管1の一方の端面部2bの上方を左方向に横切り、引き続き、他方の端面部2aの上方を左方向に横切って流れ(図5も参照)、次に、図7中の奥行き方向で奥側から手前側に向かった後に、次は右側にむかう。そして、第1の誘導コイル3を流れる電流は、再びオープン管1の他方の端面部2aの上方を右方向へ横切って、最後に図7中の上方へと向かい、図示略の電源へと戻る。
上述のような経路で電流が第1の誘導コイル3を流れる際、オープン管1には、図6中の矢印に示す様な誘導電流の分布が生じる。図5中に示すように、第1の誘導コイル3に一次電流が反時計回りに流れると、図6中に示すように、オープン管1の、第1の誘電コイル3に対応する部分には、時計回りに誘導電流4a,4bが発生する。この誘導電流4a,4bは、第1の誘導コイル3がオープン管1の開口部2を横切る部分では、開口部2の空間を誘導電流が流れることができず、この開口部2の空間を横断できない誘導電流は、オープン管1の端面部2a及び端面部2bに沿って流れるようになる。このようにして、オープン管1の端面部2a側及び2b側のそれぞれおいて、誘導電流4a,4bによる主電流のループ(閉回路)が生じ、オープン管1の端面(開口部2に臨む面)を含む端部が加熱される。
本実施形態では、図6中に示すように、オープン管1の両端面部2a,2b近傍における開口部2の両外側に、オープン管1の表層を流れる誘導電流4a,4bからなる2つのループが形成されている。この際、接合部(溶接部)6側(下流側)の第1の誘導コイル3近傍において、オープン管1は、その開口部2の幅が狭まってインピーダンスが低くなることから、第1の誘導コイル3の接合部6に近い側が開口部2の上方を横切る近傍においては、誘導電流の一部が分流して接合部6側に流れることで、誘導電流5c,5dが生じる。上述した通り、この分流した誘導電流5c,5dは、接合部6近傍では開口部2の両端面部2a,2bの間が近いことから近接効果によって電流が集中し、より高温になるため、両端面部2a,2bが溶融して溶接される。
一方、図6に示すように、第1の誘導コイル3の上流側においては、誘導電流の一部がオープン管1の端面部2a,2bを通ることで誘導電流5a,5bが流れる。この誘導電流5a,5bは、接合部6からは離れており、且つ、接合部6近傍に流れる誘導電流の集中を阻害することから、溶接効率を低下させることになる。従って、そのような誘導電流の発生を抑制するため、図8(a),(b)に示す実施形態の電縫管溶接装置においては、第1の誘導コイル3よりも上流側で、且つ、開口部2に対応する位置で、両端面部2a,2bの間に強磁性体(第1の強磁性体)9を配置している。ここで、図8(b)は、図8(a)中に示すB−B線に沿う概略断面図であり、第1の強磁性体9が両端面部2a,2bの間に、開口部2の内外にわたって(開口部2を通して、オープン管1の内部から外部にわたって)配置されている状態を表している。
オープン管1の端面部2a,2bの間の開口部2に遊挿状態で配置される第1の強磁性体9は、オープン管1の端面部2a,2bに誘導電流5a,5bが流れると、それを阻止するように働き、インピーダンスを高め、第1の誘導コイル3よりも上流側に流れる誘導電流を抑制するものである。このため、電磁誘導によってオープン管1の外表面で発生した誘導電流は、接合部6側に集中して流れるので、溶接に有効な電流4a,4b,5c,5dの電流密度が上がる。従って、第1の強磁性体9を配置しない場合に比べて供給電力が少なくて済み、省エネが可能となる。あるいは、第1の強磁性体9を配置しない場合と同じ電力を投入するのであれば、ライン速度を上げることが可能であり、生産性も向上できる。
本発明者等は、このような第1の強磁性体9の形状を決めるため、電磁場解析並びに実際の加熱温度分布を測定した結果、オープン管1の端面部2a,2bを流れる電流5a,5bは、特に、端面部2a,2bにおける上端縁部(上側コーナー部)と下端縁部(下側コーナー部)に多く流れることが判明した。このため、第1の強磁性体9は、図8(a),(b)に示す例のように、オープン管1の両端面部2a,2b間の開口部2に対応する位置に配置されるとともに、これら両端面部2a,2bにおける上側コーナー部、下側コーナー部の一方又は双方を覆うような構造を有していることが望ましい。ここで、図8(b)に示す例では、第1の強磁性体9が、両端面部2a,2bの上側コーナー部及び下側コーナー部の双方を覆う構造を示している。
第1の強磁性体9は、図8(b)に例示するような、断面がHの字を横にしたような形状であることが、上流側に流れる誘導電流5a,5bを抑制する最も高い効果が得られる。即ち、オープン管1の端面部2a,2bの平面部(端面)のみならず、オープン管1の上側コーナー部及び下側コーナー部を覆うように上下面に延びる形状が望ましい。また、第1の強磁性体9は、図9に示す例のように、各々の角部を曲面で形成しても良い。さらに、第1の強磁性体9の形状は、図8(b)や図9のような形状には限定されず、例えば、図10に例示するように、オープン管1の走行方向Rに垂直な断面における形状がT字状のものや、図11に例示するような断面形状がI字状のものの他、図12に例示するような断面形状が逆T字状のものでも構わない。この場合、誘導電流5a,5bの抑制効果としては、断面横向きH字形状、断面T字形状、断面逆T字形状、断面I字形状の順に高い。
また、第1の強磁性体9の外形状は、特に直線的に形成する必要もない。
また、このような第1の強磁性体9の材質としては、例えば、フェライトや電磁鋼板、アモルファス等、導電率が低い強磁性体材料を用いればよい。
また、第1の強磁性体9を配置する位置としては、第1の誘導コイル3よりも上流であれば良いが、第1の誘導コイル3により近い位置の方が、上流に流れようとする電流を元から阻止できることからより効果的である。但し、第1の強磁性体9が第1の誘導コイル3に近付き過ぎると、強磁場のために第1の強磁性体9が発熱しやすくなる。そのため、第1の誘導コイル3に流す電流の強さ等にもよるが、第1の強磁性体9は、第1の誘導コイル3から上流側に10mm以上離して配置するのが望ましく、適用に当たっては、磁場の強さに応じて適宜影響のない位置を求めることがより好ましい。この際、磁場の強さにもよるが、走行方向Rでみて、第1の強磁性体9の下流側端部を、第1の誘導コイル3の上流側端部から、例えば、10〜200mmの範囲で離して配置することで、好ましい特性が得られることが多い。また、水冷や空冷等の手段を用いて第1の強磁性体9を強制的に冷却することがより効果的である。また、第1の強磁性体9の寸法に関しては、使用する条件で異なることから特別に定めるものではないが、上記走行方向Rにおける長さに関しては数十mm程度でも十分な効果があり、また、厚さに関してはオープン管1に接触しない程度とすれば良く、開口部2に近接させることでより高い効果が得られる。
また、第1の強磁性体9の配置の仕方に関しては、オープン管1の内周面回りの誘導電流を抑えるインピーダー8と組み合わせ、このインピーダー8により、オープン管1の端面部2a,2bからオープン管1の内周側へは誘導電流が流れ込まない状態として第1の強磁性体9を配置すると、第1の誘導コイル3の上流に流れる誘導電流の抑制効果をより高めることが可能となる。
本実施形態の一変形例では、図13及び図14に示すように、強磁性体(第3の強磁性体)9’を、第1の誘電コイル3の内側でかつオープン管1の両端面部2a,2b間に配置することで、第1の誘電コイル3の下流側、つまり接合部6側へ流れる電流密度を増大させている。詳細には、図5に示すように第1の誘導コイル3を配置した場合、接合部6に向かう誘導電流を増やし、溶接効率を上げるためには、第1の誘導コイル3をできる限り接合部6に近づけて、接合部6側のインピーダンスを下げるのが望ましい。しかし、実際にはスクイズロール7や、図示しない他のロールが第1の誘導コイル3側に迫ってくるように接合部6の上近傍に設置されることから、第1の誘導コイル3は接合部6から或る程度離して設置せざるを得ない。そのため、第1の誘導コイル3を接合部6から離しても、接合部6側に誘導電流が流れやすくするため、本実施形態の装置では、図13及び図14に示すように第1の誘導コイル3の内側でかつオープン管1の端面部2a,2b間に第3の強磁性体9’を設置する。第1の誘導コイル3で発生した誘導電流は、図6に示すようにオープン管1の両端面(開口部2を臨む面)を含む、第1の誘導コイル3に対向する、オープン管1の開口部2の両側に閉回路を形成し、誘導電流の一部が接合部6に流れる。なお、図では便宜上、オープン管1の端面を流れる誘導電流は、該端面近傍の上部を流れるように図示している。第3の強磁性体9’は、第3の強磁性体9’とオープン管1の端面間のインピーダンスを増加させ、この端面を流れようとする電流に対しこの流れを阻止するように働く。その結果、第1の誘導コイル3でオープン管1に発生した誘導電流は、オープン管1の端面側を流れる電流が減少し、その分接合部6側へ流れる電流量を増加させる効果をもたらす。電縫管は、高温にさらされる時間が短いほど酸化物の生成が抑制されるとともに、高温部の領域が狭くなり、温度による品質劣化を避けることができるため、短時間に溶融温度に達成することが望ましく、接合部6側への電流増加は溶接品質の安定にも効果がある。なお、第3の強磁性体9’は、図14に示すように、オープン管1の端面間にあれば良く、深さ方向長さは、少なくともオープン管1の板厚以上あれば良く、望ましくは開口部2に臨むオープン管1の端面の上縁及び下縁を超えて延びるのが望ましい。形状については、図14に示すI型に捉われるものではなく、図9〜図12を参照して説明した第1の強磁性体9と同様、他の形状を採用することができる。また、第3の強磁性体9’は、フェライトや電磁鋼板、アモルファス材などの強磁性材料から形成することができる。また、第3の強磁性体9’は、強磁場内に設置することから、磁束飽和しないような断面積を有することが好ましい。また、発熱を抑制するため、第3の強磁性体9’には、空冷や水冷等の冷却手段を付加するのが好ましい。
本実施形態の他の変形例では、図15及び図16に示すように、溶接効率をより高めるため、上述の第1の強磁性体9とは別に、第1の誘導コイル3の背面(上面)3A側に近接して、板状の強磁性体(第2の強磁性体)10を設ける。ここで、図15は、説明を簡略化するため、インピーダー8を省略した構成例を示す概略平面図であり、図16は、図15中に示すD−D線に沿う概略断面図である。これら図示例においては、第1の誘導コイル3の外側近傍(背面3A側)に第2の強磁性体10を設けている。具体的には、第1の誘導コイル3における開口部2とは反対の背面3A側に、第1の誘導コイル3をほぼ覆うように、第2の強磁性体10を設ける。第2の強磁性体10は、第1の誘導コイル3に沿った形状、すなわち図16のように、第1の誘導コイル3がオープン管1に沿って湾曲して形成されている場合には、第2の強磁性体10も同様に湾曲して形成することが好ましく、後述するような第1の誘導コイル3がオープン管1に沿わずに平坦な形状を有する場合(図24)には、第2の強磁性体10も平坦に形成することが好ましい(図示両略)。また、図示例においては、第2の強磁性体10は、開口部2にほぼ対応する位置で分割された対とされ、第1の誘導コイル3をほぼ覆うように設けられている。換言すれば、第2の強磁性体は、オープン管1の開口部2に対応する位置で、第1の誘導コイル3の幅方向の略半部を覆う第1の半部10aと、該第1の誘導コイル3の残りの略半部を覆う第2の半部10bとに分割された構成を有している。
第2の強磁性体10の材質としては、第1,2の強磁性体9,9’と同様に、フェライトや積層した電磁鋼板、アモルファス合金等の強磁性材料を用いればよい。
なお、図15及び図16では、第2の強磁性体10が中央で幅方向に2分割された例を示しており、この場合、接合部6近傍の状態が観察し易くなる等の利点があるが、これには限定されず、例えば、分割せずに一体に構成してもよい。強磁性体10は、第1の誘導コイル3の形に合わせて複数に分割されていても構わない。
本実施形態において、第1の誘導コイル3の近傍(上方)に第2の強磁性体10を設けることがより好ましいのは、第2の強磁性体10が、オープン管1やロール及び装置のその他の構造体よりも透磁率が数倍高い性質を利用し、第1の誘導コイル3で発生した磁束を磁気抵抗の小さな第2の強磁性体10に導き、磁束の拡散を防止して、第1の誘導コイル3近傍に磁束を集中させるためである。このような第2の強磁性体10を設けない場合には、第1の誘導コイル3に一次電流を流すことで発生した磁束は、周囲の磁性材であるロールやその他の構造体に流れてしまい、電力が無駄に消費されてしまう。本実施形態では、第1の誘導コイル3の背面3A側に第2の強磁性体10を設けることにより、無駄に使われる電力の消費を防ぐことができる。従って、第2の強磁性体10を用いることで、第1の誘導コイル3の近傍に磁束が集中することにより、オープン管1に発生する誘導電流も増加し、オープン管1の端面部2a,2bを流れる電流密度が上昇して加熱効率を上げることが可能となる。
また、第2の強磁性体10と第1の誘導コイル3との距離は、より近いほど、無駄に消費される電力消費を効果的に防ぐことができる点から好ましく、具体的には、これらが接触しない程度に、数mm〜数十mm程度の隙間をあけて配置するのが望ましい。
なお、本実施形態においては、図5等に示すような第1の誘導コイル3が矩形形状の場合について説明したが、第1の誘導コイルは、例えば、図17に示すような楕円形状の誘導コイル31として構成しても良い。あるいは、図18に示す矩形形状の第1の誘導コイル32のように、オープン管1の走行方向Rに延びる誘導コイル部分のコイル幅W1を、オープン管1の開口部2を横切る方向に延びる誘導コイル部分のコイル幅W2よりも広くした誘導コイル32を用いてもよい。図5に示す例のような、誘導コイル部分の幅W1,W2が同じ誘導コイル3の場合には、オープン管1の、走行方向Rに延びる誘導コイル部分の直下が、この誘導コイル部分の長さの分だけ加熱され続けることから、電縫管の強度低下や寸法精度不良、材質不良等の原因となる可能性がある。図17や図18に示す例は、この部分の発熱を抑える効果を狙ったものであり、図17の場合には、第1の誘導コイル31の形状を楕円とし、オープン管1が進行する際に第1の誘導コイル31を横切る時間を短くすることで、オープン管1の特定部分が高温になることを防止できる。また、図18の場合には、走行方向Rにおける誘電コイル部分の幅W1を広くすることによって、当該拡幅部分の電流密度を下げ、第1の誘導コイル32の、走行方向Rに沿って延びる部分直下で発生する誘導電流密度を下げて発熱を抑制できる。
また、接合部6への電流をさらに増大させる方法としては、第1の誘導コイルとして、図19に示す例のように、スクイズロール7や、接合部6の上部に設けられる図示略のトップロールなどをかわすように、接合部6に向けて先細りに形成された誘導コイル33を配置するのも有効である。図19に示す例では、第1の誘導コイル33の接合部6に近い部分の幅を狭くするとともに、この部分を接合部6に近づけた構成とされている。このような方法は、比較的小径サイズの鋼管を製造する場合も有効な方法である。
上記図示例では、第1の誘導コイル3,31〜33の巻数は1ターンであったが、第1の誘導コイル3,31〜33あるいは後述する他の誘導コイルの巻数は、2ターン以上とすることができる。参考として、図20に、高さ方向に巻数を3ターンとした誘導コイル3と、図21に、略同一平面内で、巻数を3ターンとした誘導コイル3を示す。このように複数ターンの誘導コイルを用いることにより、同じ電流であれば電界強度が高まる(電界強度は、巻数に比例する)ので、集中して電力を供給することができる。逆に同じ電界強度を得るためには、巻数を増やすことにより、供給する電流を小さくすることができる。これは、十分なコイルの断面積を確保できない場合に、コイルの許容電流密度に達しないように電流を下げることができるという利点がある。さらに、電流値を下げることにより、銅損も減少させることもできる。
また、本実施形態においては、図22に示す例のように、上記構成の第1の誘導コイル3に加え、さらに、上流側に、同様の構成とされた別の誘導コイル(第2の誘導コイル)3’を備える構成を採用することも可能である。
あるいは、図23に示すように、第1の誘導コイル3の上流側に、同様の構成とされた別の2つの誘導コイル(第2及び第3の誘導コイル)3’,3’’を備える構成を採用することも可能である。このようにすることにより、電流を分流させることができ、各誘導コイルに流れる電流値を下げることができる。また、コイルの直列接続、並列接続を組み合わせることにより、インダクタンスの調整ができるという利点がある。
さらに、本実施形態では、図24に示すように、第1の誘導コイル3を走行方向Rに直交する断面でみて略平坦な形状に形成することにより、第1の誘導コイル3がオープン管1の開口部2から離れるに従ってオープン管1とのギャップが広がってゆく構成を採用してもよい。このような構成を採用することにより次の利点が得られる。すなわち、図7や図16のように、第1の誘導コイル3をオープン管1の外面に沿って湾曲した形状とすると、オープン管1の、第1の誘導コイル3の直下の部分が集中して加熱され、高温となり、当該部分の機械的強度が低下したり変形等が発生したりするおそれがあるのに対し、第1の誘導コイル3をオープン管1の開口部2から離れるにつれてオープン管1との距離が拡大するよう形成すると、第1の誘導コイル3の、走行方向Rに沿って延びる部分に対応するオープン管1の側方部分での電流の集中が緩和されるため、当該側方部分の局部加熱を回避することができる。また、第1の誘導コイル3を、このような形状とすることにより、溶接されるオープン管1の径が変わっても、鋼管サイズ毎にコイルを変える必要が無く、同一サイズの誘導コイルを使い回すことができるため、設備コストを低減することもできる。さらに、鋼管サイズが変更になっても誘導コイルを交換する手間が減り、生産性が向上するという利点もある。
[第2の実施形態]
以下に、本発明の第2の実施形態に係る電縫管溶接装置について説明する。
図25は、本発明の第2の実施形態である電縫管溶接装置60を示す概略平面図であり、図26は、図25に示す電縫管溶接装置60を用いて電縫管溶接を行った際に発生する誘導電流の分布を模式的に示した平面図である。
上述の第1の実施形態では、第1の誘導コイル3の上流側に第1の強磁性体9を配置することにより、第1の誘導コイル3の上流側へ流れる誘導電流を抑制することについて説明したが、本実施形態においては、第1の誘導コイル3の上流側に、一次電流が流れる導体を設けることで、上流側への誘導電流を同様に抑制し、接合部6への電流を増加させて加熱効率を向上させる構成を採用するものであり、以下にその詳細を説明する。また、本実施形態においては、第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する。
図25に示すように、本実施形態の電縫管溶接装置60は、オープン管1の走行方向Rでみて、第1の誘導コイル30よりも上流側に、オープン管1の端面部2a,2bに沿って直線状に延びる2つの導体部34A,34Bを有する導体34を備える。各導体部34A,34Bはそれぞれ、オープン管の端面部2a,2bの端面から離間し、かつ該端面に対向するよう設けられている。図25に示す例では、下流側に位置される第1の誘導コイル30と、上流側に位置する導体34の導体部34A,34Bとは相互に一体化され、つまり、電気的に接続、連通されている。したがって、第1の誘導コイル30へ供給される一次電流は、導体部34A,34Bを介して流れる。
このように、第1の誘導コイル30に加えて、それよりも上流側に2つの導体部34A,34Bを有する導体34も設けることにより、図26に模式的に示すような誘導電流がオープン管1に発生することになる。詳細には、第1の誘導コイル30を流れる一次電流によって、オープン管1の、第1の誘導コイル30に対応する位置で、第1の誘導コイル30の一次電流とは逆向きに誘導電流4a’,4b’のループが形成される。さらに、各導体部34A,34Bを流れる一次電流によって、該導体部34A,34Bに対向する、オープン管1の端面部2a,2bに、導体部34A,34Bの一次電流とは逆向きに誘導電流5a’(E),5b’(E)が生じ、誘導電流5a’,5b’のループが形成される。つまり、導体部34A,34Bに対応して形成された二次電流(誘導電流)の閉回路(ループ)5a’,5b’の、オープン管1の端面部2a,2bを通る誘導電流5a’(E),5b’(E)は、第1の誘導コイル30に対応して形成された二次電流(誘導電流)の閉回路(ループ)4a’,4b’の、オープン管1の端面部2a,2bを通る誘導電流4a’(E),4b’(E)とは逆向きに流れる。
このような誘導電流5a’,5b’は、図6で示した誘導電流5a,5bよりも、導体部34A,34Bによって生じる誘導電流が加わった分、電流密度が高くなっている。このため、誘導電流5a’(E),5b’(E)の流れが、これとは逆向きに流れる、オープン管1の両端面部2a,2bにおける誘導電流4a’(E),4b’(E)の流れを抑制又は殆ど消滅させるとともに、誘導電流4a’,4b’において、端面部2a,2bとは反対側を流れる誘導電流を増幅させる。そして、この増幅した誘導電流により、接合部6へと向かう誘導電流5c’,5d’のループが増幅されて、両端面部2a,2bから接合部6側に向かって電流密度の高い誘導電流5c’(E),5d’(E)が流れるようになる。これにより、接合部6の近傍においては、高周波電流の近接効果によってさらに電流が集中し、加熱効率がさらに向上する結果となる。このような効果は、特に、オープン管1の両端面部2a,2bの間隔が20〜30(mm)程度である場合により顕著となる。
一方、オープン管1の両端面部2a,2b間の間隔が小さい場合、即ち、開口部2が狭く、端面部2a,2bと導体部34A,34Bとの間隔が狭くなる場合、端面部2a,2bと導体部34A,34Bとの間のインピーダンスよりも、導体部34Aと導体部34Bとの間のインピーダンスの方が小さくなる。こうなると、導体部34A,34Bの外側部分(導体部34A,34Bの、端面部2a,2b側の部分)を流れる1次電流が分流して、導体部34A,34Bの内側部分(他方の導体部34A,34Bに対向する部分)を流れるようになり、誘導電流5a’(E),5b’(E)が減少する場合がある。このため、本実施形態においては、図27に例示するように、導体部34A,34B間のインピーダンスを増大させるため、強磁性体(第4の強磁性体)11を設けることがより好ましい。具体的には、図示例のように、導体部34A,34Bの間に、該導体部34A,34Bと電気的に絶縁するように第4の強磁性体11を配置する。このような第4の強磁性体11を設けることで、導体部34A,34B間のインピーダンスを高めることができ、導体部34A,34Bの上記内側部分を流れようとする電流を上記外側部分へ流す作用が得られる。さらに、強磁性体11は透磁率が高いため、導体部34A,34Bの上記外側部分を流れる一次電流により、該導体部34A,34Bと対向する端面部2a,2bに磁束を集中させることができるので、誘導電流5a’,5b’が両端面部2a,2bに効率的に流れ、加熱効率が向上するという効果が得られる。
なお、導体部34A,34Bの高さ寸法Hは、図28及び図29に示す例のように、オープン管1の最大板厚よりも少し大きくすることが好ましい(図28及び図29では便宜上、一方の端面部2a及び導体部34Aのみ示す。)。さらに、導体部34A,34Bの高さ寸法Hは、導体部34A,34Bがオープン管1の外面及び内面を超えてはみ出すような寸法とされている。このような導体部34A,34Bに一次電流が流れると、オープン管1の各端面部2a,2bには、図29中の矢印に示す様な誘導電流5a’(E),5b’(E)が流れる(図29では便宜上、一方の端面部2aにおける誘導電流5a’(E)のみ示す。)。この際、導体部34A,34Bに流れる一次電流と、これに誘起される誘導電流5a’(E),5b’(E)との間の空間部分がインダクタンスとして作用し、誘導コイルとみなすことのできる導体34におけるインダクタンスを低下させようとするため、導体部34A,34Bを流れる一次電流は、両端面部2a,2bに発生する誘導電流5a’(E),5b’(E)に対向するように、図29中に網掛けで示す符号Sの部分に沿って流れるようになる。これにより、両端面部2a,2bにおける電流密度が高められ、加熱効率が向上するという効果が得られる。
なお、図28中に示す導体部34A,34Bにおいて、オープン管1の内面側からはみ出す下部34aの領域については、この部分が無くとも本実施形態による効果が十分に得られる。しかしながら、図示例のように、導体部34A,34Bの高さ寸法Hを、オープン管1の外面及び内面からはみ出す寸法とすることにより、オープン管1の板厚等が異なる場合等、仕様の異なる電縫管を製造する際に、都度、導体34を交換する手間が省けるので、作業性や生産性の向上に繋がる。なお、導体部34A,34Bの高さ寸法Hは、オープン管1の最大板厚より小さくしてもよいが、加熱効率が低下する場合もある。
また、第4の強磁性体11としては、上記の各強磁性体と同様、フェライトや電磁鋼板、アモルファス等、導電率が低い強磁性材料を用いればよく、磁束飽和しないように設計すれば良い。磁束密度が高く、第4の強磁性体11の発熱が無視できない場合には、例えば、当該第4の強磁性体11に冷却水を供給して冷却したり、あるいは、空気等のガスや気体と液体とを混合した冷却媒体で冷却したりする等の方法を採用すれば良い。
なお、上記図25〜図29では、誘導コイル30と導体34とを一体として形成する例を示したが、本実施形態の変形例では、図30に示すように、ループ状の第1の誘導コイル3と導体35とを、相互に電気的に接続されない独立した構成とすることもできる。図30の例では、導体35は、オープン管1の端面部2a,2bに対向して直線状に延びる2つの導体部35A,35Bと、これら2つの導体部を繋ぐ導体部35Cとを有しており、平面視で略U字形状に形成されている。この場合、図示略の電源から供給される電流(図中の矢印を参照)を、それぞれ反対方向で通電させても良い。このような構成とした場合には、供給電流を第1の誘電コイル3と導体35とに分流させ、第1の誘導コイル3の電流密度を下げることができることから、発熱を抑制できる効果が得られる。
また、図27〜図29の例と同様、図31に示す例のように、導体35の導体部35A,35Bの間に第4の強磁性体11を配置した構成を採用しても良い。
さらに、本実施形態では、図32に示す例のように、ループ状の第1の誘導コイル3と、2つの導体部35A,35Bが互いに分離された導体35とを組合せた構成を採用しても良い。図30及び図31のように、導体部35A,35Bを直列で接続した場合、導体35内の電流密度が高くなりすぎることがあるが、図32の例のように、導体35を、導体部35Aと導体部35Bとに分割された構成を採用することにより、所定の一次電流が分流されて各導体部35A,35Bの電流密度を下げることで、この導体部35A,35Bの発熱を抑制できる。
なお、第4の強磁性体11は、導体部35A,35Bよりも上下に少なくとも10mm以上大きな寸法とし、幅は、隣接する導体部35A,35Bとの間の後述する絶縁材を含め、できる限り大きくすることが望ましい。また、第4の強磁性体11の走行方向Rの長さについては、対向する導体部35A,35Bの長さと同等以上あれば良い。
さらに、図32に示すように、導体35をなす導体部35A,35B間に、第4の強磁性体11を配置した場合には、加熱効率がより一層向上する点から好ましい。
また、第4の強磁性体11は、例えば、フェライトのようなわずかに導電性がある材料を採用した場合、上記のような導体部35A,35Bと接触した際にスパークが発生し、損傷することも想定されるため、表面を絶縁材で被覆するか、あるいは、絶縁材を被覆できない場合には、空気層を隔てて絶縁する構成を採用しても良い。
ここで、図33に示す例では、導体部35A,35Bと第4の強磁性体11とが、絶縁板20を介して組み付けられているとともに、導体部35A,35Bが、導体部止め板21を介して、絶縁性の樹脂やセラミックス等からなるリニアガイド22に可動に取り付けられている。このような構成を採用することにより、電縫溶接の際に、導体部35A,35Bがオープン管1の端面部2a,2bと接触した場合であっても、絶縁板20を介して組み付けられた導体部35A,35B及び第4の強磁性体11が、図中において左右方向に自在に動くので、導体部35A,35Bの損傷を防止することが可能となる。また、このような構成を採用した場合には、図示略の電源装置と導体部35A,35Bとの接続線23を、自在に動かすことが可能な編組線から構成することが好ましい。
[第3の実施形態]
以下に、本発明の第3の実施形態に係る電縫管溶接装置について説明する。
図34は、本発明の第3の実施形態である電縫管溶接装置70を示す概略平面図であり、図35は、図34に示す電縫管溶接装置70を用いて電縫管溶接を行った際に、第1の誘導コイル3で発生した磁束Mが、強磁性体(第5の強磁性体)12に通じる際の磁束方向を説明する概略側断面図である。
本実施形態においては、上述した第1,2の実施形態に対し、さらに誘導加熱効率を向上させるため、以下に例示するような構成を採用する。本実施形態においては、第1、2の実施形態と同様の構成については同じ符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する。
図34に示すように、本実施形態の電縫管溶接装置70は、第5の強磁性体12が、第1の誘導コイル3に囲まれた空間及び開口部2に挿入されるように配置される。第5の強磁性体12は、オープン管1の内側に配置され、走行方向Rに延びる内側部12aと、オープン管1の外側に配置され、走行方向Rに延びる外側部12bと、これらの内側部12a及び外側部12b間でオープン管1の管内外方向(図では垂直方向)に延びる中間部12cと、を有する。第5の強磁性体12は、第1の誘導コイル3よりも下流側の接合部(溶接部)6側に向かって延び、第1の誘導コイル3及び開口部2を跨ぐように配置されている。また、第5の強磁性体12は、オープン管1の走行方向Rにおける側面側の断面形状が角張った横向きUの字状又は横向きUの字形状(図34及び図35に示す例においては角張った横向きUの字状)とされている。第5の強磁性体12は、横向きH字形状又は横向きh字形状としてもよい。図34及び図35に示す例では、断面形状が角張った横向きUの字状の強磁性体12は、その開放部(開放空間)側がオープン管1の走行方向Rの下流側に向けられ、一次電流回路の下流部の上方の空間と、一次電流回路の上流部と下流部の間の空間と、接合部6の下方の管内空間とにわたるように配置されている。また、第5の強磁性体12は、内側部12a及び外側部12bの先端(下流側の端部)が接合部6近傍まで延びていることが望ましい。また、第5の強磁性体12の厚みは磁束飽和しない程度以上に厚くするのが望ましいが、スクイズロール7等に当たらない程度の厚みに抑える必要がある。
図34に例示するように、本実施形態の電縫管溶接装置70は、図5及び図6に例示した電縫管溶接装置50と同様、第1の誘導コイル3に一次電流が通電される(図34中の矢印を参照)。この際、図35に示すように、第1の誘導コイル3で発生した磁束Mは、第1の誘導コイル3を跨ぐように接合部(溶接部)6側に延在された第5の強磁性体12を通じて、開口部2に臨む両端面部2a,2b近傍を通過して誘導電流を発生させる。また、オープン管1を通過した磁束Mは、図35中の矢印で示すように、第5の強磁性体12において、オープン管1の管内に配置される内側部12aと、管外に配置される外側部12bと、中間部12cとを含めて、管内外を結ぶ磁気回路を形成する。このような第5の強磁性体12は、透磁率が高い材料からなることから、第1の誘導コイル3から発散される磁束Mを引き込む効果があるため、磁束Mを効率よく接合部6側におけるオープン管1の両端面部2a,2bを貫通させることができ、誘導電流を効率的に発生させることが可能となる。
なお、図34及び図35の例では、第5の強磁性体12は、互いに一体化された内側部12a、外側部12b及び中間部12cから構成されているが、これらは別体として形成してもよい。また、内側部12a、外側部12b及び中間部12cを別体として形成した場合には、内側部12a、外側部12b及び中間部12cの相互間は、直に接している必要はなく、上述したような磁束Mの閉回路が形成される限りにおいて互いに離間していても、相互間に他の部材が介在していてもよい。例えば、図36に示すように、オープン管1内に、走行方向Rに延びるインピーダー8が配置されている場合には、当該インピーダー8を第5の強磁性体12の内側部12aとして代用することができる。図36の例では、インピーダー8は、インピーダーケース13内に収容されており、中間部12cは、上記内側部12aとして機能するインピーダー8と直に接してはいないが、磁束Mの閉回路は形成される。
次いで、図37に、上述したような第5の強磁性体12の支持構造の一例を示す。図示例においては、第5の強磁性体12の外側部12bと中間部12cとが一体として形成されるか又は互いに固着されており、内側部12aはこれらとは別体として形成されている。第5の強磁性体12を組み付けるにあたって、まず、管内中央付近に設置されたマンドレル24に、第5の強磁性体12の内側部12aが取り付けられる。そして、オープン管1の開口部2の上方に第1の誘導コイル3(図34を参照)をセットした後、外側部12bを開口部2の上方に配置された台座26上に載置する。これにより、第5の強磁性体12が可動で懸架支持された状態となる。この際、外側部12bと一体に形成された中間部12cは、その下端が、内側部12aの上面に形成された凹部内面に接する。このような構成を採用することにより、第5の強磁性体12の一部がオープン管1の端面部2a,2bに接触した場合でも、強磁性体12が自在に移動するので、強磁性体12の損傷や、オープン管1の端面部2a,2bに大きな疵が生じるのを防止することができる。さらに、第5の強磁性体12において、オープン管1の端面部2a,2bと接触する可能性のある中間部12cを、ガラステープやベーク板からなる絶縁材で保護することが、装置の損傷防止や、スパークが生じるのを防止できる観点から好ましい。なお、本実施形態では、設置の容易性を考慮して第5の強磁性体12を分割した形態を例に説明しているが、例えば、一体物の断面が角張った横向きUの字状の形状として第5の強磁性体12を構成し、上記例と同様に、台座26に載せて使用しても構わない。
また、本実施形態では、図38に示すように、第5の強磁性体コア12を、接合部6近傍において、内側部12a及び外側部12bの少なくとも何れか一方が、平面視でオープン管1の端面部2a,2b近傍の外側に向かうように分割された形状としても良い。即ち、強磁性体12の内側部12a及び外側部12bの少なくとも何れか一方が、その下流側の端部12a1,12b1において、接合部6を避けるように二叉に分岐された形状(略V字状または略U字状等)とされていても良い。また、内側部12a及び外側部12bの両方を下流側の端部12a1,12b1において二叉に分岐された形状とすることがより好ましい。
上記形状を採用することが好ましい理由としては、第5の強磁性体12の外側部12bの下流側の端部12b1を分岐させることで、接合部(溶接部)6の様子を上部からモニター等で観察し易くなることが挙げられる。また、第5の強磁性体12の内側部12aの下流側端部12a1を分岐させることで、接合部6近傍において溶融した金属が、誘導電流に伴って発生する電磁力によって排出されて管内に落下した場合に、当該溶融金属が第5の強磁性体12の内側部12aに接触して内側部12aが損傷するおそれを低減することができるからである。また、排出された溶融金属が、管上方へ飛び出すこともあるが、この場合でも、第5の強磁性体12の外側部12bの下流側端部12b1を分岐させることで、外側部12bに直接溶融金属が接触することを抑制でき、外側部12bの損傷が低減される効果もある。
本実施形態では、図38に例示するように、第5の強磁性体12の内側部12a及び外側部12bの双方において、下流側の端部12a1,12b1を、両端面部2a,2b近傍の両外側に向かうように分岐させ、オープン管1の開口部2から少し外れた位置へ配置する形状としている。これにより、第5の強磁性体12の内側部12aへの溶接金属の落下、堆積が生じるのを抑制でき、さらに、接合部6の状態を目視確認することが可能となる。従って、第5の強磁性体12の磁気機能の低下を防止でき、安定して性能を維持し続けることが可能になり、さらに、工程において、常時、溶接部の状態を確認することが可能となる。
また、本実施形態において、第5の強磁性体12の内側部12a及び外側部12bは、上掲図では、オープン管1に沿ってほぼ水平に形成しているが、内側部12a及び外側部12bの少なくとも何れか一方は、下流に向かうにつれて、内側部12a及び外側部12b間の距離が漸増又は漸減するよう傾斜して配置することもできる(図示省略)。なお、良好な磁気回路を形成する、つまり磁気抵抗を低減する観点では、内側部12a及び外側部12b間の距離は、下流に向かうにつれて漸減されることが好ましい。また、同様の観点で、図39に示すように、外側部12bの下流側の端部に、内側部12aへ向けて突出する張出部12b2を設けることもできる。
ところで、本実施形態において備えられる第5の強磁性体12は、図40に示す例のように、上述した第2の実施形態のような、第1の誘導コイル3及び導体35を備える構成に適用することも可能である。また、図41に示す例のように、導体35内側に第4の強磁性体11が備えられた構成において、第1の誘導コイル3及び開口部2に挿入するように配置された第5の強磁性体12を備えた構成を採用することも可能である。
さらに、本実施形態では、図42に示すように、上述した第2の実施形態における、図25に示す例の第1の誘導コイル30及びオープン管1の開口部2に挿入するように、第5の強磁性体12を備えた構成を採用することも可能である。さらに、図43に示すように、図42中に示す導体部34A,34Bの間に、第4の強磁性体11を設置した構成を採用することも可能である。さらに、詳細な図示を省略するが、図32に示す構成に、第5の強磁性体12を備えた構成を適用することも可能である。
以上説明したように、本発明に係る電縫管溶接装置によれば、オープン管1の両端面部2a,2b近傍における開口部2の両外側に、オープン管1内を流れる誘導電流からなる少なくとも2つ以上の閉回路が形成されるように、開口部2から管外方向に離間した位置に、円筒状のオープン管1の外周を周回せず、即ち、この外周における周回数を1周未満として、開口部2を跨ぐように少なくとも1ターン以上の閉回路が形成された第1の誘導コイル3が配置された構成を採用している。これにより、従来のワークコイル方式に比べて、走行する金属帯板1を曲げながら筒状にして電縫管溶接する際の加熱効率を、製造する電縫管の径が大きな場合であっても、簡単な装置で効果的に向上させることができ、また、セットアップも容易となる。また、製造する電縫管の寸法や形状に合わせて誘導コイルの形状を変える必要が少ないことから、保有するワークコイル(誘導コイル)の本数を減らすことができるので、大容量の電気設備を有する必要もなく設備コストを抑制することが可能になるとともに、既設の電源を用いた場合であっても安価なコストで導入できる。
そして、上述のような加熱効率の向上に伴い、電力使用量を低減することで省エネが実現可能となるか、あるいは、同じ電力を投入した場合にはライン速度を上げることができ、生産性が向上できる。さらに、従来、電源容量の制限やインピーダー焼損の制限から製造が困難であったサイズの電縫管を製造することも可能になることから、その産業上の効果は計り知れない。
本発明においては、上述のように、簡単な構成の電縫管溶接装置で小径から大径までの電縫管を製造することが可能であるが、特に、製造時において加熱効率が低下する、径が大きな電縫管を効率よく製造するのに有効である。また、誘導コイルの上流へ流れる電流によってロールが損傷するのを防止でき、さらに、従来のように誘導コイルの中に金属帯板を通す必要もなく、誘導コイルのセットや取り替えが容易である等の優れた効果を有する。
以下、本発明に係る電縫管溶接蔵置の実施例を挙げ、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、もとより下記実施例に限定されるものではなく、前、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本実施例においては、本発明の効果について、静止加熱実験によって確認を行った。
[実施例1]
「被加熱材」
本実施例では、被加熱材として、外径:318.5mm、肉厚:6.9mm、長さ:1mの配管用炭素鋼管(SGP管)上部に、図44に示すように、レーザー加工によって開口部の形状を模擬したもの(以下、オープン管という。)を用いた。この際のレーザー加工は、図44中における左側端部から、平行開口部の間隔:50mm、長さ:200mmで、その後、接合部にみたてた頂点と両端部との角度:5.7度で、500mmの長さで開口した(開口部は合計700mm)。また、頂点部は0.5Rとした。
「電縫管溶接装置」
本実施例で用いた電縫管溶接装置では、誘導コイルとして、φ10mmの水冷銅管を、上下流方向に200mm、且つ、周方向に200mmとして、図5〜図7に示すように折り曲げたものを用い、銅管とオープン管との間を10mm離して配置した。また、加熱の際は、周波数200kHz−20kWの電力を投入し、静止加熱で最高温度が1000℃になるまでの時間を計測した。また、加熱温度は、オープン管の開口部に臨む端面部に、50μmのK熱電対を、接合部から20mmピッチで溶着して測温した。また、インピーダーとしては、図7に示す例とは異なる、厚さ8mmのフェライトコアを、水冷可能なエポキシ樹脂製のカバーに5層で積層して入れ、接合部の直下から上流側に向けて400mmの範囲で配置した。
「実験手順」
まず、本発明例1として、上記誘導コイルを、接合部6から上流側(開口部側)に50mm離れた位置に、誘導コイルの下流側(接合部側)の端部を配置して加熱を行った。
また、本発明例2として、本発明例1と同様に上記誘導コイルを配置するとともに、図15及び図16に示すような、第2の強磁性体としての湾曲板状のフェライトコア(厚さ:15mm、幅(周方向):150mm、長さ(上下流方向):250mm)を誘導コイルから5mm離して、誘導コイルの背面(上面)側に2個使用して、開口部を境に両端に配置して加熱を行った。
また、本発明例3として、本発明例1と同様に上記誘導コイルを配置するとともに、第1の強磁性体としての、図8(a)および図10に示すようなフェライト製のT字型コア(長さ(走行方向R):150mm、水平部幅:100mm、水平部厚さ:20mm、垂直部足の長さ:50mm、垂直部幅:30mm)を誘導コイル上流50mmに配置して加熱を行った。
また、本発明例4として、本発明例2と同様に上記誘導コイル、並びに、誘導コイルの上方のフェライトコア(第2の強磁性体)を配置するとともに、誘導コイルの上流側50mmに、本発明例3で用いたT字型コア(第1の強磁性体)を配置して加熱を行った。
また、比較例1として、従来と同様、円筒状にオープン管の外周を囲む様にして1T(ターン)とした誘導コイル(長手方向幅:200mm、内径:340mm、厚さ:10mmの水冷銅板製誘導コイル)を、接合部の上流側50mmに配置して加熱した。
また、比較例2として、比較例1と同様に、円筒状にオープン管の外周を囲む様にした1Tの誘導コイルを、接合部の上流側250mmに配置して加熱した。
また、上記各実験においては、接合部の昇温速度と、接合部から上流側に150mm離れた位置の開口部の端面部での昇温速度を比較した。なお、各実験においては、ロール7は設けない状態で行った。
上記本発明例1〜4及び比較例1、2の結果を下記表1に示す。
表1に示す昇温速度比は、本発明例1における接合部と上記開口部の端面部のそれぞれにおける加熱速度を1とした時の、各実験の昇温速度の割合を示したものであり、加熱速度は、変態熱の影響、放散熱の影響を考慮して、接合部から150mmの位置の温度が500℃まで加熱する時の加熱速度とし、500℃に至らない場合には、最大200秒までの加熱速度とした。
表1に示すように、比較例1の場合、鋼管全体が暖まるため、鋼管端面部においても、また、接合部においても、200秒では500℃に達することはなかった。
また、比較例2では、誘導コイルを接合部から250mm離しており、鋼管端面の温度は多少上昇するものの、顕著な温度上昇は見られないことがわかる。
一方、本発明の電縫管溶接装置を適用した本発明例1では、誘導コイルが鋼管全体を周回しないため、ロスが小さいことと、開口部両端に生じる閉回路が誘導コイル内にあり、且つ、鋼管端面に電流が廻ることから、昇温速度が速いことがわかる。
また、本発明例2では、第2の強磁性体を配置することで磁束が誘導コイル直下に集中することから、本発明例1に比べて2倍以上の昇温速度が得られることがわかる。
さらに、第1の強磁性体を配置することで、本発明例3(第2の強磁性体無し)及び本発明例4(第2の強磁性体有り)は、誘導コイルの上流に流れる電流を防止することができることから、それぞれ、本発明例1(第2の強磁性体無し)及び本発明例2(第2の強磁性体有り)と比べて、10%前後の加熱速度の向上が見られる。
[実施例2]
本実施例では、実施例1の本発明例1〜4においては、溶接部(接合部)から50mmの位置に誘導コイルを設置したのに対し、実機においてはスクイズロールやトップロール等が設置されており、誘導コイルを溶接部から近い位置に設置できないケースもあることから、溶接部から離れた位置に誘導コイルを設置する場合を想定して実験を行った。
本実施例においては、図5に示すような装置だと、誘導コイル(符号3参照)に囲まれたオープン管1の両端面部2a,2bの温度上昇は大きくなるが、接合部の温度上昇は小さくなることから、接合部へ向かう電流量を増すため、図25及び図26に示すような、互いに電気的に接続された第1の誘導コイル30及び導体34を備えた構成の電縫管溶接装置60を用いて実験を行った。また、本実施例では、インピーダーを用いず、誘導コイルのみを用いた実験を行った。また、本実施例では、誘導コイルを上記構成とし、インピーダーを用いなかった点以外は、上記実施例1と同様の条件で電縫管溶接を行った。
具体的には、上下流方向の長さ:100mm、且つ、周方向の幅:200mmとされた第1の誘導コイル30と、上下流方向の長さ:200mm、高さ:20mm、厚さ:3mmの鋼板からなる導体34を接続した。
そして、本発明例5として、このようになる誘導コイル及び導体を、接合部6から上流側(開口部側)に150mm離れた位置に、誘導コイルの下流側(接合部側)の端部を配置して加熱を行った。
また、本発明例6として、本発明例5と同様に上記誘導コイル及び導体を配置するとともに、図27に示すように、導体34を構成する2つの導体部34A,34B間に、走行方向Rの長さ:200mm、高さ:20mm、厚さ:5mmのフェライトコア(第4の強磁性体)を配置して加熱を行った。
また、本発明例7として、本発明例5と同様に上記誘導コイル及び導体を配置するとともに、走行方向Rの長さ:200mm、幅:15mm、高さ:90mmの角張った横向きUの字状を有するフェライトコア(第5の強磁性体:図34等を参照)を、第1の誘導コイル30及びオープン管1の開口部2に挿入するように配置して加熱を行った。
また、本発明例8として、本発明例6と同様に導体34を構成する2つの導体部34A,34B間にフェライトコア(第4の強磁性体)を配置するとともに、本発明例7と同様に、角張った横向きUの字状のフェライトコア(第5の強磁性体)を第1の誘導コイル30及びオープン管1の開口部2に挿入するように配置して加熱を行った。
また、比較例3として、上記比較例2と同様に、円筒状にオープン管の外周を囲む様にした1Tの誘導コイルを、接合部の上流側250mmに配置して、同じ電流で通電加熱を行い、昇温速度を比較した。
上記本発明例5〜8及び比較例3の結果を下記表2に示す。
表2に示す昇温速度比は、比較例3における加熱速度を1とした時の、各実験の昇温速度の割合を示した。
表2に示すように、本発明例5では、従来のような鋼管(オープン管)の外周を囲む誘導コイル形式の比較例1、2に比べ、加熱速度が45%速くなることが確認できた。
また、本発明例6では、上流側の導体34をなす2つの導体部34A、34の間に第4の強磁性体としてのフェライトコアを挿入することで、さらに、加熱速度が15%速くなることが確認できた。
また、本発明例7、8では、上述した角張った横向きUの字状の、第5の強磁性体としてのフェライトコアを第1の誘導コイル30及びオープン管1の開口部2に挿入することで、上記本発明例5、6に比べて、それぞれ2倍以上の加熱速度が得られることが確認でき、効率的な加熱が可能となることが明らかとなった。
なお、本実施例においては、鋼管(オープン管)の上方に誘導コイルを設置するだけで簡単にセットが済むこと、並びに、鋼管径が±10%程度で変化した場合でも、加熱速度は大きく変わらないことも確認できた。
[実施例3]
本実施例では、外径318.5mm、肉厚6.9mm、長さ1mの鋼管(オープン管)上に、外径10mm、内径8mmの銅管からなる長さ250mm、幅200mmの矩形の誘導コイル(第1の誘導コイル)を配置した。この際、オープン管との距離が10mm(一定)となるように誘導コイルを湾曲させ、鞍型の形状とした。誘導コイル内には、冷却水を流して冷却をした。誘導コイルは、接合部から150mm離した位置に設置した。オープン管の開口部は、実施例1の場合と同形状である。本発明例9ではさらに、誘導コイル内側かつ開口部内に、図13に示すように、幅(周方向)10mm、長さ(走行方向R)65mm、高さ30mmの、第3の強磁性体としてのフェライトコアを、オープン管の端面部近傍の管外表面から上方に10mm出るようにし、接合部から190mm(誘導コイルから30mm)位置から255mmの位置まで設置して、溶接電流800Aで10秒間静止加熱を行った。
本発明例10では、フェライトコアの長さを130mmとし、接合部から190mm(誘導コイルから30mm)の位置から320mmの位置まで設置し、同様に静止加熱を行った。
本発明例11では、フェライトコアの長さを195mmとし、接合部から190mm(誘導コイルから30mm)の位置から385mmの位置まで設置し、同様に静止加熱を行った。
また、基準としての本発明例12では、オープン管の開口部内に上述したようなフェライトコアを配置せずに、同様の静止加熱を行った。
評価は、上記発明例9〜12につき、オープン管の端面の、誘導コイルで囲まれた部分の走行方向における中間位置での温度変化と、オープン管の端面の、誘導コイルの下流側端と接合部との中間位置(接合部から75mmの位置)での温度変化とをそれぞれ測定し、本発明例9〜11について、本発明例12の昇温温度に対する、各点の昇温温度割合を求めて評価した。結果を表3に示す。
表3の結果より、第3の強磁性体としてのフェライトコアを誘導コイルで囲まれたオープン管の端面間に設置することにより、誘導コイル内に位置する、オープン管の端面の箇所の温度上昇が緩やかとなる一方、接合部により近い側の、オープン管の端面の箇所の温度上昇が向上している。これは、誘導コイル内に位置する、オープン管の端面を流れる電流が減少し、その分、接合部側へ流れる電流が増加していることを示しており、第3の強磁性体であるフェライトコアを設置することにより、本発明の電縫管溶接装置の効率がより向上していることを示している。
1…金属帯板、オープン管、
2…開口部、
2a,2b…オープン管の端面部、
6…接合部(溶接部)、
50,60,70…電縫管溶接装置、
3…第1の誘導コイル、
3’…第2の誘導コイル、
3’’…第3の誘導コイル、
3A…第1の誘導コイルの背面(上面)、
30,31,32,33…第1の誘導コイル、
34…導体、
34A,34B…導体部、
35…導体、
7…ロール、
8…インピーダー、
9…第1の強磁性体、
9’…第3の強磁性体、
10…第2の強磁性体、
11…第4の強磁性体、
12…第5の強磁性体、
4a,4b,4a’,4b’,5a,5b,5a’,5b’,5c,5d,5c’,5d’…誘導電流、
4a’(E),4b’(E),5a’(E),5b’(E),5c’(E),5d’(E)…誘導電流(金属板端面部を流れる誘導電流)、
M…磁束、

Claims (5)

  1. 走行方向に延びる開口部を有するオープン管の、該開口部に両側から相互に臨む管素材の端面部の双方を、誘導加熱手段によって発生させた誘導電流により溶融させるとともに、前記開口部の間隔を次第に狭めながら前記端面部同士を接合部において接触させて溶接する、電縫管を製造するための電縫管溶接装置であって、
    前記誘導加熱手段が、少なくとも1つの誘導コイルを有し、該少なくとも1つの誘導コイルのうち、前記接合部の最も近くに位置する第1の誘導コイルは、内部に磁性体コアを伴わない空芯コイルであり、前記開口部を跨いで一次電流回路が形成されるように、前記オープン管の外周を周回せずに、前記開口部の上方に配置されており、
    前記第1の誘導コイルに高周波電流を流すことで一次電流回路を形成した際に、前記オープン管の、前記第1の誘導コイルの下方でかつ前記開口部の両外側の部分に、前記オープン管の、少なくとも前記端面部を通る誘導電流を有する二次電流の閉回路が、両方の前記端面部の近傍に各々1つ以上形成されるように、前記一次電流回路が形成されており、
    前記第1の誘導コイルの上方に、該第1の誘導コイルを少なくとも部分的に覆う第2の強磁性体を備え、前記第2の強磁性体は、前記オープン管の開口部に対応する位置で、前記第1の誘導コイルの略半部を覆う第1の半部と、該第1の誘導コイルの残りの略半部を覆う第2の半部とに分割された構成を有する電縫管溶接装置。
  2. 前記高周波電流の周波数は、100kHz以上である、請求項1に記載の電縫管溶接装置。
  3. 前記オープン管の走行方向において前記第1の誘導コイルよりも上流側で、且つ、対向する両端面部の間に配置された第1の強磁性体を備える、請求項1又は2に記載の電縫管溶接装置。
  4. 前記第1の強磁性体の断面形状が、前記オープン管の走行方向と垂直な断面において、T字状、逆T字状、I字状、又は、横向きH字状である請求項3に記載の電縫管溶接装置。
  5. 前記第1の誘導コイルは、前記開口部から側方に向かうにつれて前記オープン管との隙間が広がるよう形成されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の電縫管溶接装置。
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