JPH11285856A - 小径厚肉電縫管の製造方法 - Google Patents

小径厚肉電縫管の製造方法

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JPH11285856A
JPH11285856A JP8963798A JP8963798A JPH11285856A JP H11285856 A JPH11285856 A JP H11285856A JP 8963798 A JP8963798 A JP 8963798A JP 8963798 A JP8963798 A JP 8963798A JP H11285856 A JPH11285856 A JP H11285856A
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JP
Japan
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welding
heating coil
frequency current
preheating
impeder
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JP8963798A
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English (en)
Inventor
Tomotaka Hayashi
智隆 林
Tatsuhiko Uezono
龍彦 上薗
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】肉厚tと外径Dの比(t/D)が12%以上の
小径厚肉管製造時におけるインピーダ焼損と管全体加熱
による溶接部へのインピーダ冷却水吹き返しがなく、良
好な溶接部品質を有する小径厚肉電縫管の製造方法を提
供する。 【解決手段】管状に形成された金属帯の両端面部を、両
端面が当接する溶接衝合点を経由しない開ループの高周
波電流を誘起させる予熱用の第1加熱コイルと、溶接衝
合点を経由する閉ループの高周波電流を誘起させる溶接
用の第2加熱コイルとで予熱溶融加熱する際、少なくと
も第1加熱コイルの出側から上流端までの部分が金属磁
性体製であり、かつ第2加熱コイルの出側から溶接衝合
点までの部分が磁性酸化物製で構成されたインピーダを
用いる一方、第1加熱コイルには40〜100kHzの
高周波電流を印加して金属帯の両端面部を300℃以
上、キューリー点未満の温度に予熱し、その後第2加熱
コイルに150kHz以上の高周波電流を印加して衝合
溶接する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肉厚tと外径Dと
の比(t/D)が12%以上の小径厚肉電縫管の溶接方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】電縫管は、一般に、電気抵抗加熱または
高周波誘導加熱によりオープンパイプ状に成形された金
属帯の両端面部を加熱し、スクイズロールにより加圧し
て衝合溶接することによって製造される。この電縫管の
製造においては、例えば特開平4−288978号公報
に示されるように、溶接速度が20m/min未満にな
ると溶接欠陥が発生しやすくなる傾向がある。このた
め、厚肉の電縫管を製造する際には、大きな溶接出力で
溶接する必要がある。
【0003】ところで、電縫管の衝合溶接は、溶接すべ
き金属帯の両端面部に高周波電流を集中させて行われる
が、加熱手段が高周波誘導加熱の場合、溶接すべき金属
帯の両端面部以外に流れる電流が多くなる。このため、
誘導加熱コイルに対応する管内には、磁性酸化物または
磁性金属体からなるインピーダと称される部材を配置し
て、溶接すべき金属帯の両端面部に対する高周波電流の
集中度を高める方法がとられる。
【0004】特に、上記の(t/D)が12%以上の小
径厚肉管の場合には、管の内断面積が小さいために管内
に配置すべきインピーダの充填率を高く設定することが
できない。このため、インピーダの本来機能が十分に発
揮されず、金属帯の両端面部以外に電流が多く流れて管
全体が加熱され、管内の温度が高くなってインピーダ冷
却水が沸騰して溶接部に逆流し、局部的な溶接不良が発
生する。また、管内の温度上昇に伴ってインピーダの本
来機能が低下するだけでなく、著しい場合にはインピー
ダ自体が焼損するなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の(t/D)が12%以上の小径厚肉管を製造する場合
において、管全体が加熱されてインピーダ冷却水が沸騰
することがなく、局部的な溶接不良が発生することがな
い小径厚肉電縫管の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
小径厚肉電縫管の製造方法にある。
【0007】素材の金属帯をオープンパイプ状に曲げ成
形し、このオープンパイプ状に成形された金属帯に、そ
の両端面が相互に当接する溶接衝合点を経由することが
ない開ループの高周波電流を誘起させる予熱用の第1加
熱コイルと、前記の溶接衝合点を経由する閉ループの高
周波電流を誘起させる溶接用の第2加熱コイルとからな
る高周波加熱手段により金属帯の両端面部を溶融加熱す
る一方、スクイズロールにより加圧して衝合溶接する肉
厚tと外径Dとの比(t/D)が12%以上の小径厚肉
電縫管の製造方法であって、少なくとも前記第1加熱コ
イルの出側から上流端までの部分が金属磁性体製であ
り、かつ第2加熱コイルの出側から溶接衝合点までの部
分が磁性酸化物製で構成されたインピーダを用いる一
方、前記の第1加熱コイルには40〜100kHzの高
周波電流を印加して金属帯の両端面部を300℃以上、
キューリー点未満の温度に予熱し、その後第2加熱コイ
ルに150kHz以上の高周波電流を印加して衝合溶接
することを特徴とする小径厚肉電縫管の製造方法。
【0008】上記の本発明は、以下に述べる知見を基に
完成された。
【0009】インピーダ冷却水は、素材である金属帯
(溶接管)の移動方向に向けて供給され、その流動方向
が金属帯(溶接管)の移動方向と同じである。このた
め、インピーダ冷却水の単位体積当たりの加熱量は、金
属帯(溶接管)の単位長さ当たりの溶接入熱量に比例す
る。
【0010】ところが、電縫管の溶接は、アーク溶接の
ような点熱源ではなく、オープンパイプ状に成形された
金属帯の両端面部に高周波電流を流して行う線熱源で熱
量を与える。このため、その溶接入熱量は、金属帯(溶
接管)の移動速度、すなわち溶接速度の約1/2乗に比
例する。つまり、溶接速度を速くすれば、溶接速度の約
1/2乗分だけ溶接効率が改善される。このことから考
え合わせると、さらなる大入熱溶接を行って、溶接速度
を速くすれば、溶接効率の向上に伴って管全体が加熱さ
れるのが抑制されので、上記インピーダ冷却水の沸騰現
象は生じないはずである。
【0011】しかし、溶接速度と溶接入熱量との関係を
調べた結果、肉厚tと外径Dとの比(t/D)が12%
以上の溶接管を溶接する場合には、溶接速度を速くすれ
ばするほど溶接入熱量が大きくなって溶接効率が向上
し、インピーダ冷却水の沸騰現象はほとんど生じない。
これに対し、上記の比(t/D)が12%未満の溶接管
を溶接する場合には、溶接速度を速くすればするほど溶
接入熱量が小さくなって溶接効率が低下し、インピーダ
冷却水の沸騰現象が激しくなり、インピーダ冷却水が溶
接部に逆流するという事実を確認した。
【0012】図4は、溶接速度と溶接入熱量との関係を
調べた結果の一例を示す図で、縦軸に下式より求められ
る比入熱量K(単位溶接長さ、単位肉厚当たりの溶接入
熱量)を溶接機の出力500kW時の比入熱量K0 で除
して求められる無次元化値[K/K0 」、横軸に溶接機
の出力(kW)をとって示した図である。
【0013】K=溶接機出力/(肉厚×溶接速度) また、図4に示す結果は、C:0.4重量%、Mn:
1.0重量%の炭素鋼からなり、肉厚が種々(3.0m
m、5.5mm、6.35mm、8.0mm)異なる外
径50.8mmの溶接管を、全体が磁性酸化物(フェラ
イト)製のインピーダおよび溶接衝合点を経由する閉ル
ープの高周波電流を誘起させる溶接用のみの誘導加熱コ
イルとを用い、この誘導加熱コイルに周波数280kH
zの高周波電流を種々の出力(500〜700kW)で
印加して衝合溶接した場合の結果である。
【0014】図4に示すように、(t/D)が5.90
%(肉厚3.0mm)および10.80%(肉厚5.5
mm)の場合には、溶接機の出力増加、換言すれば溶接
速度の増加に連れて[K/K0 ]が小さくなっており、
溶接速度の増加代分だけ溶接効率が向上する。これに対
し、(t/D)が12.50%(肉厚6.35mm)お
よび15.70%(肉厚8.0mm)の場合には、溶接
速度の増加につれて[K/K0 ]が減少するどころか、
逆に増加傾向を示し、溶接効率が極端に低下することが
わかる。
【0015】ここで、(t/D)が12%以上の小径厚
肉管の場合に溶接効率が低下する原因は、従来、前述し
たように、管の内断面積が小さく、管内に配置すべきイ
ンピーダの充填率を高く設定することができず、インピ
ーダの効果である高周波電流の溶接すべき金属体の両端
面部への集中度を高くする機能が不十分で、管全体が加
熱されるためと単純に考えられていた。
【0016】確かに、(t/D)が12%以上の小径厚
肉管の場合、管の内断面積が小さいために、管内に配置
すべきインピーダの充填率を高く設定することができな
い。一方、厚肉材では、溶接速度を速くしようとする
と、必然的に非常に大きな高周波電流の印加が必要にな
る。
【0017】このため、インピーダの飽和磁束密度を遥
かに超える磁束がオープンパイプ状に成形された金属帯
の両端面部に流れるようになり、まったくインピーダの
機能を果たさなくなってしまい、高周波電力量が大きく
なればなるほど溶接効率が低下していく。つまり、溶接
速度を速くしようとして大電力の高周波電流を印加すれ
ばするほど、インピーダの性能劣化を招き、インピーダ
本来の目的である溶接速度向上による管全体の加熱防止
を抑制できず、逆に悪化させてしまっていることが判明
した。
【0018】これを防止するためには、単純には飽和磁
束密度の高いインピーダ材質の適用が考えられるが、本
来インピーダとして必要な高透磁率かつ高抵抗の両特性
を兼ね備えた実用化された材質はない。
【0019】そこで、発明者らは、インピーダに負荷さ
れる単位当たりの磁束量の低減方法について検討した。
その結果、薄肉材に適用した場合には、加熱長が長いた
めに素材の金属帯への熱拡散が大きくなって溶接効率が
低くなる「高周波予熱+高周波溶接方法」が、厚肉材に
適用した場合には、加熱長が長いために、逆にインピー
ダ単位長さ当たりに負荷される磁束量が小さくなって溶
接効率を高くすることができるという新たな知見を得
た。
【0020】その際、上記の高周波予熱手段には、オー
プンパイプ状に成形された金属帯に、その両端面が相互
に当接する溶接衝合点を経由することがない開ループの
高周波電流を誘起させる誘導加熱コイルを用い、このコ
イルに40〜100kHzの高周波電流を印加して金属
帯の両端面部を300℃以上、キューリー点未満の温度
に予熱する必要があること。また、溶接用には、溶接衝
合点を経由する閉ループの高周波電流を誘起させる誘導
加熱コイルを用い、このコイルに150kHz以上の高
周波電流を印加して衝合溶接する必要があること。さら
に、少なくとも予熱用の誘導加熱コイルの出側から上流
端までの部分が金属磁性体(具体的にはアモルフアス)
製であり、かつ溶接用の誘導加熱コイルの出側から溶接
衝合点までの部分が磁性酸化物(具体的にはフェライ
ト)製で構成されたインピーダを配置する必要があるこ
とを知見した。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の小径厚肉電縫管の製造方法について詳細に説明する。
【0022】図1は、本発明になる小径厚肉電縫管の製
造方法の実施態様の一例を示す模式的平面図である。図
1に示すように、スクイズロール1、1の上流側(図中
の左方)には複数ターンの環状に成形された溶接用の第
2加熱コイル2が配置され、その上流側には予熱用の第
1加熱コイル3が配置されており、さらにオープンパイ
プ状に成形された金属帯4の内部にはインピーダ5が配
置されている。
【0023】上記の第1加熱コイル3は、図に示すよう
に、それぞれが約1/2周で、一方の対向端部を高周波
電源3dに接続する一方、他方の対向端部をオープンパ
イプ状に成形された金属帯4の下方に位置させた左右一
対の上流側コイル半体3a、3aと、ほぼ1周で、その
対向端部を、上記と同様に、オープンパイプ状に成形さ
れた金属帯4の下方に位置させた下流側コイル3bとを
対向配置し、金属帯4の下方に位置させた対向端部同士
を金属帯4の軸長方向に平行に配置した2条の連結導体
3c、3cで接続した構造とされている。
【0024】上記構造の第1加熱コイル3においては、
高周波電源3dから印加された高周波電流は、該部の拡
大図中に細破線矢符で示すように、一方の上流側コイル
半体3a、一方の連結導体3c、下流側コイル3b、他
方の連結導体3c、他方の上流側コイル半体3aの順で
流れ、上流側コイル半体3a、3aと下流側コイル3b
における電流通流方向が逆になる。
【0025】したがって、この第1加熱コイルによる場
合、オープンパイプ状に成形された金属帯4には、その
拡大図中に細実線矢符で示すように、左右一対の上流側
コイル半体3a、3aと下流側コイル3bの直下部を両
コイル間の両端面部との間を開ループを描くように誘導
電流が流れ、その誘導電流が溶接衝合点Vを経由するこ
とはない。
【0026】一方、溶接用の第2加熱コイル2は、前述
したように、複数ターンの環状に成形ており、高周波電
源2dから印加される高周波電流の通流方向は各ターン
とも同じである。したがって、この第2加熱コイルによ
る場合の誘導電流は、図中に細実線矢符で示すように、
溶接衝合点Vを経由する閉ループを描く。
【0027】本発明においては、(t/D)が12%以
上の厚肉管を電縫溶接する際、如何にインピーダに負荷
をかけず、しかも管全体が加熱されないように効率よく
電縫溶接を行うかにある。そのためには、予熱用にはそ
の誘導電流が溶接衝合点Vを経由することがない上記の
第1加熱コイル3を用い、この第1加熱コイル3に印加
する高周波電流は40〜100kHzとする必要がある
が、その理由は以下のとおりである。
【0028】前述したように、高周波電流による電縫溶
接本来の姿としては、溶接衝合点Vを経由する誘導電流
経路が最も効率のよい溶接であるが、厚肉管では溶接衝
合点V直下のインピーダにかかる負荷が大きく、インピ
ーダの性能低下を起こす。
【0029】そこで、本発明では、加熱長をわざと長く
して溶接衝合点V直下のインピーダにかかる負荷を軽減
させるのであるが、予熱のための誘導電流が溶接衝合点
Vを経由したのではその目的が達成されないので、予熱
用には上記の構造からなら第1加熱コイル3を用いるこ
とにした。
【0030】また、この第1加熱コイル3に印加する高
周波電流の周波数が40kHz未満では、予熱による低
効率溶接が問題となる。逆に、100kHzを超える周
波数の高周波電流を印加すると、管内に配置されたイン
ピーダが発熱し、その特性が急激に低下するようにな
る。このため、第1加熱コイル3に印加する高周波電流
の周波数を40〜100kHzと定めた。
【0031】さらに、第1加熱コイル3による金属帯4
の両端面部の予熱温度は、300℃以上、キュリー点未
満とする必要がある。これは、予熱温度がキュリー点
(非磁性化温度で、鋼の場合ほぼ800℃近辺)以上に
なると、高周波電流のオープンパイプ状に成形された金
属帯4の両端面部への集中度が極端に低下し、効率のよ
い溶接を行うことができないからである。一方、予熱温
度が300℃未満では、予熱による加熱長の延長効果が
得られず、予熱する意味がなくなる。このため、第1加
熱コイル3によるオープンパイプ状に成形された金属帯
4の両端面部の予熱温度は、300℃以上、キュリー点
未満と定めた。なお、予熱温度はできるだけ高くするの
が好ましい。
【0032】一方、溶接用の第2加熱コイル2には、周
波数150kHz以上の高周波電流を印加する必要があ
る。これは、周波数150kHz未満の高周波電流を印
加したのでは、HAZ部の幅が広くなって金属帯4の両
端面部近傍の剛性が低下し、スクイズロール1、1によ
り十分なアプセット量を付与しても、HAZ部が周方向
に変形してアプセット量の多くがこの変形部分に吸収さ
れてしまい、溶接端面に生成した酸化物の排出が不十分
となって良好な溶接部品質の確保ができなくなる。この
ため、第2加熱コイル2に印加する高周波電流の周波数
は、その下限を150kHzと定めた。
【0033】なお、第2加熱コイル2に印加する高周波
電流は、その周波数を高すればするほど溶接効率は向上
するが、後述するインピーダの領域を構成する磁性酸
化物の本来特性を低下させることはない。このため、印
加する際の周波数は、できる高くするのが望ましく、そ
の上限を特に定める必要はない。ただし、周波数を余り
高くしすぎると、装置の高出力設計が困難になる他、漏
洩磁束規制対策が必要で設備費が高くなるので、高くて
も450kHz程度にとどめるのが好ましい。
【0034】さらに、インピーダ5は、図2に示す領域
〜のうち、少なくとも領域、すなわち前記第1加
熱コイル3の出側から上流端までの部分が、アモルファ
スに代表される金属磁性体であり、かつ前記第2加熱コ
イル2の出側から溶接衝合点Vまでの部分が、例えばM
n−Znベースのフェライトに代表される磁性酸化物か
らなるものを用いる必要がある。その理由は、以下のと
おりである。
【0035】オープンパイプ状に成形された金属帯4の
両端面部への誘導電流の集中度をより高める観点から
は、全体が磁性酸化物に比べて比透磁率の優れた金属磁
性体からなるインピーダを用いるのが好ましい。しか
し、金属磁性体は、磁性酸化物に比べて抵抗値が小さ
く、その抵抗値を高めるために、その薄膜の積層体や細
線の集束体にするなど、如何に工夫しても高周波の渦電
流によって発熱する。
【0036】なかでも、大きな磁気負荷がかかる領域
とのうち、特に大きな磁気負荷がかかる領域、すな
わち溶接用の第2加熱コイル2の出側から溶接衝合点V
までの部分の発熱が大きく、当該部分が焼損、特に溶接
衝合点Vの直前が著しく焼損し、その特性が著しく低下
してインピーダ冷却水の沸騰を招き、インピーダ冷却水
が溶接部に吹き返すようになるだけでなく、やがてイン
ピーダとしての機能失い使用に耐えなくなる。
【0037】このため、インピーダ5としては、少なく
とも上記の領域が、金属磁性体に比べて高磁気負荷下
での耐久性(耐焼損性)が優れ、焼損の恐れのない磁性
酸化物であり、かつ領域が金属磁性体からなるものを
用いることにした。
【0038】なお、領域とは、金属磁性体または磁
性酸化物のいずれであってもよい。ただし、領域につ
いては、第2加熱コイル2による金属帯4の両端面部へ
の誘導電流の集中度を高める観点からは金属磁性体、発
熱抑制の観点からは磁性酸化物とするのが好ましい。一
方、領域については、溶接衝合点Vが溶接中に位置変
動するので、磁性酸化物とするのが好ましい。
【0039】また、領域は、必ずしも必要でなく、省
略してもよいが、この場合、領域の下流端は、溶接衝
合点Vの溶接中の位置変動量を考慮した位置とする必要
があることはいうまでもない。
【0040】
【実施例】《実施例1》図1に示す装置を用い、C:
0.4重量%、Mn:1.0重量%の炭素鋼からなり、
外径50.8mm、肉厚8mm(t/D=15.7%)
の溶接管の製造実験を行った。
【0041】その際、予熱用の第1加熱コイル3には、
種々の周波数(20、40、100および280kH
z)の出力700kWの高周波電流を印加し、金属帯4
の両端面部を種々の温度(200、300、750、8
00および1000℃)に予熱した。
【0042】一方、溶接用の第2加熱コイル2には、種
々の周波数(100、150および280kHz)の出
力700kWの高周波電流を印加し、金属帯4の両端面
部を溶融温度に加熱した。
【0043】インピーダ5には、後述する実施例2で準
備した表2中のNo. 7を用いた。また、溶接速度は20
m/min一定とし、スクイズロール1、1ではアプセ
ット量2.0mmを付与した。
【0044】なお、比較のために、予熱用の第1加熱コ
イルで予熱を行わない場合と、図3に示すように、予熱
用の第1加熱コイル3が溶接用の第2加熱コイルと同じ
構造の装置を用いて予熱を行う場合の製造実験も行っ
た。
【0045】そして、インピーダ冷却水の沸騰による溶
接部への吹き返し有無を、得られた溶接管の溶接部を目
視観察することにより判定した。
【0046】また、溶接部の品質は、製管後、長さ55
00mmに定尺切断された各試番の溶接管1000本を
対象に、その溶接部をJIS G 0582に規定され
る鋼管の超音波探傷検査方法にしたがって探傷感度区分
UAで探傷し、有害欠陥が検出された溶接管本数を検査
対象の1000本で除した値に100を乗じ、溶接欠陥
の発生率(%)を求めた。
【0047】以上の調査結果を、溶接条件と併せて、表
1に示した。
【0048】
【表1】
【0049】表1中、No. 1とNo. 2は、予熱の有無が
インピーダ冷却水の沸騰に及ぼす影響を調べた例であ
り、本発明例のNo. 1では、インピーダ冷却水の吹き返
しが見られず、溶接欠陥は発生しなかった。これに対
し、予熱用の第1加熱コイル3で予熱を行うことなく、
溶接用の第2加熱コイル2のみで溶接を行った比較例の
No. 2では、インピーダ冷却水の激しい吹き返しが発生
し、溶接欠陥が1.5%発生した。
【0050】No. 3〜5は、予熱用の第1加熱コイル3
に印加する高周波電流の周波数がインピーダ冷却水の沸
騰に及ぼす影響を調べた例であり、予熱周波数が本発明
で規定する範囲内の100kHzである本発明例のNo.
3では、上記のNo. 1と同様に、インピーダ冷却水の吹
き返しが見られず、溶接欠陥は発生しなかった。これに
対し、予熱周波数が280kHzおよび20kHzで、
本発明で規定する範囲を外れる比較例のNo. 4および5
では、いずれの場合もインピーダ冷却水の激しい吹き返
しが発生し、溶接欠陥が1.0%発生した。
【0051】No. 6は、予熱方法がインピーダ冷却水の
沸騰に及ぼす影響を調べるため、前述の図3に示す装置
(予熱用の第1加熱コイル3が溶接用の第2加熱コイル
2と同じ構造で、その誘導電流が溶接衝合点Vを経由す
る予熱方法)を用いて製造を行った比較例であるが、こ
の比較例ではインピーダ冷却水の激しい吹き返しが発生
し、溶接欠陥が1.0%発生した。
【0052】No. 7〜10は、第1加熱コイルによる予
熱温度がインピーダ冷却水の沸騰に及ぼす影響を調べた
例であり、予熱温度が本発明で規定する範囲内の300
℃である本発明例のNo. 7では、インピーダ冷却水の吹
き返しはほとんど見られず、溶接欠陥も0.1%しか発
生しなかった。これに対し、予熱温度が200℃、80
0℃および1000℃で、本発明で規定する範囲を外れ
る比較例のNo. 8〜10では、いずれの場合もインピー
ダ冷却水の激しい吹き返しが発生し、溶接欠陥が0.6
〜1.0%発生した。
【0053】No. 11とNo. 12は、加熱用の第2加熱
コイル2に印加する高周波電流の周波数がインピーダ冷
却水の沸騰に及ぼす影響を調べた例であり、溶接周波数
が本発明で規定する範囲内の150kHzである本発明
例のNo. 11では、上記のNo. 1と同様に、インピーダ
冷却水の吹き返しが見られず、溶接欠陥は発生しなかっ
た。これに対し、溶接周波数が100kHzで、本発明
で規定する範囲を外れる比較例のNo. 12では、インピ
ーダ冷却水の激しい吹き返しが発生し、溶接欠陥が0.
8%発生した。
【0054】なお、詳細なデータの記載は省略するが、
第1加熱コイル3と第2加熱コイル2に対する出力を7
00kWから600kWに低減し、溶接速度を18m/
minにして溶接を行った場合にも、結果は上記と同じ
であった。
【0055】また、外径が上記と同じ50.8mmで、
肉厚6.35mm(t/D=12.5%)および10m
m(t/D=19.7%)の溶接管の製造実験を行った
が、結果は上記と同じであった。
【0056】《実施例2》図2に示す領域〜の材質
組み合わせが表2に示す組み合わせで、Mn−Znベー
スのフェライト(磁性酸化物)部分が一体物の筒体、ア
モルファス(金属磁性体)部分が線径0.05mmの集
束体からなり、上記の筒体と集束体の外径がいずれも2
5mm、内径が10mmの11種類のインピーダ5を準
備した。
【0057】これらのインピーダ5を、図1に示す装置
にセットし、C:0.4重量%、Mn:1.0重量%の
炭素鋼からなり、インピーダ冷却水の吹き返しがより生
じやすい外径50.8mm、肉厚10mm(t/D=1
9.7%)の溶接管の製造実験を行った。
【0058】その際、予熱用の第1加熱コイル3には、
周波数40kHzの出力700kWの高周波電流を印加
し、金属帯4の両端面部を750℃に予熱した。
【0059】一方、溶接用の第2加熱コイル2には、2
80kHzの出力700kWの高周波電流を印加し、金
属帯4の両端面部を溶融温度に加熱した。
【0060】また、溶接速度は12m/min一定と
し、スクイズロール1、1ではアプセット量2.5mm
を付与した。
【0061】そして、インピーダ冷却水の沸騰による溶
接部への吹き返し有無、インピーダの焼損有無を、前者
については得られた溶接管の溶接部を、後者については
溶接使用後のインピーダ外面を目視観察するこにより、
その有無を判定した。
【0062】また、溶接部の品質は、実施例1の場合と
同様の方法により、溶接欠陥の発生率(%)を調べた。
【0063】以上の調査結果を、各インピーダの材質組
み合わせとともに、表2に示した。
【0064】
【表2】
【0065】表2に示す結果から明らかなように、本発
明で規定するインピーダ(No. 6〜9およびNo. 11)
を用いた場合には、インピーダ自体が焼損することがな
く、インピーダ冷却水の吹き返しも見られず、溶接欠陥
もほとんど発生しなかった。
【0066】これに対し、領域とがともにフェライ
トである比較例のインピーダ(No.1、3、5および1
0)を用いた場合には、インピーダ自体が焼損すること
はなかったが、溶接効率が悪いために、インピーダ冷却
水が溶接部に吹き返し、溶接欠陥が0.8〜1%発生し
た。
【0067】また、領域がアモルファスの比較例のイ
ンピーダ(No. 2および4)を用いた場合には、領域
の部分が焼損し、その特性が著しく低下したために、イ
ンピーダ冷却水が溶接部に吹き返し、溶接欠陥が1.5
%も発生した。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、肉厚tと外径Dとの比
(t/D)が12%以上の小径厚肉管を電縫溶接する際
の管全体の加熱昇温を防止でき、インピーダ冷却水が沸
騰して溶接部に吹き返すことがない。したがって、局部
的な溶接欠陥発生を確実に防止することができ、溶接部
の品質が優れた溶接管を高能率に製造することが可能で
ある。また、インピーダ自体が焼損することがなく、交
換の必要がないので、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様を示す模式的平面図である。
【図2】インピーダの各領域を示す模式的平面図であ
る。
【図3】一般的な予熱併用電縫管製造装置を示す模式的
平面図である。
【図4】溶接機出力(溶接速度)とヒート係数との関係
の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 :スクイズロール、 2 :溶接用の第2加熱コイル、 2d:予熱用の高周波電源、 3 :予熱用の第1加熱コイル、 3a:上流側コイル半体、 3b:下流側コイル 3c:連結導体、 3d:溶接用の高周波電源、 4 :金属帯、 5 :インピーダ、 V :溶接衝合点。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】素材の金属帯をオープンパイプ状に曲げ成
    形し、このオープンパイプ状に成形された金属帯に、そ
    の両端面が相互に当接する溶接衝合点を経由することが
    ない開ループの高周波電流を誘起させる予熱用の第1加
    熱コイルと、前記の溶接衝合点を経由する閉ループの高
    周波電流を誘起させる溶接用の第2加熱コイルとからな
    る高周波加熱手段により金属帯の両端面部を溶融加熱す
    る一方、スクイズロールにより加圧して衝合溶接する肉
    厚tと外径Dとの比(t/D)が12%以上の小径厚肉
    電縫管の製造方法であって、少なくとも前記第1加熱コ
    イルの出側から上流端までの部分が金属磁性体製であ
    り、かつ第2加熱コイルの出側から溶接衝合点までの部
    分が磁性酸化物製で構成されたインピーダを用いる一
    方、前記の第1加熱コイルには40〜100kHzの高
    周波電流を印加して金属帯の両端面部を300℃以上、
    キューリー点未満の温度に予熱し、その後第2加熱コイ
    ルに150kHz以上の高周波電流を印加して衝合溶接
    することを特徴とする小径厚肉電縫管の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006341286A (ja) * 2005-06-09 2006-12-21 Fuji Electric Systems Co Ltd コンタクト式電縫管溶接電源装置
WO2014027564A1 (ja) * 2012-08-17 2014-02-20 新日鐵住金株式会社 電縫管溶接装置

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JP2006341286A (ja) * 2005-06-09 2006-12-21 Fuji Electric Systems Co Ltd コンタクト式電縫管溶接電源装置
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