JP6094133B2 - 液滴吐出ヘッドの製造方法及びその製造方法によって製造された液滴吐出ヘッドを有する画像形成装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッドの製造方法及びその製造方法によって製造された液滴吐出ヘッドを有する画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる液滴吐出ヘッドの製造方法及びその製造方法によって製造された液滴吐出ヘッドを有する画像形成装置に関する。
近年、液滴吐出ヘッドのノズルの密度について、低コスト・高精細化のために高密度化が進んでいる。その構成の一つに、リソグラフィー法を用いて流路・圧力発生素子を形成するものが広く用いられている。また、圧力発生素子として、撓みモードの圧電素子を用いて振動板を振動させる方式のものも知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
また、一般的に、流路形成基板の圧電素子側の面には、圧電素子を封止して、加工プロセス中に加工用の薬液等によって圧電素子がダメージを受けるのを保護する目的、加工プロセス中の基板全体の強度を確保する目的、完成品としての液滴吐出ヘッドを製品に組み込んで使用しているとき、その使用環境による影響から圧電素子を保護するための基板(保護基板)を接合している。
この保護基板には、インク供給路として用いるためのもの、電気的実装部として用いるためのものとして、貫通部が形成されている。従来、保護基板としてシリコン基板を用い、そのシリコン基板にKOH、TMAH(Tetramethylammonium Hydroxide)等のアルカリ水溶液を用いて、異方性エッチングを行って貫通部を形成していた。
ところが、近年、ICP(誘導結合プラズマ)をプラズマ源とするシリコン深堀り用エッチャーの高エッチングレート(エッチングレートとは単位時間当たりのエッチング深さをいう)化が進み、生産性が向上したことから、ドライエッチングにより貫通部を形成する方法が実用化されてきている。
この方法で貫通部を形成すると、シリコン基板をその厚さ方向(ほぼ垂直方向)にエッチングできるので、従来のウェットエッチングによる加工方法に比べて、液滴吐出ヘッドの小型化が可能となっている。
通常、この種の液滴吐出ヘッドは、シリコンウェハ等の基板にこの吐出ヘッドを多数作成した後、ダイシング等で個片化される。液滴吐出ヘッドが小型化することにより、1枚の基板から作成できる液滴吐出ヘッドの個数(取れ数)が増加する。その結果、1個の液滴吐出ヘッド当たりのコストを低減できる。また、液滴吐出ヘッドを搭載する画像形成装置等の製品の設計上の小型化要求にも対処できる。
一方、このようなドライエッチング加工を行うと、幅の広い開口の方が幅の狭い開口よりもエッチングレートが大きくなるというマイクロローディング効果(パターン寸法と深さの比が増大するとエッチング速度が低下する現象)と呼ばれる現象が起きる。この現象に起因して以下のような問題が派生的に発生する。
幅の広い開口部に対して幅の狭い開口を貫通するまでエッチングを行うと、幅の広い開口部の方が過大にオーバーエッチングされる。 このとき、“ノッチ”と呼ばれる加工形状異常、すなわち、基板の厚さ方向に対して直角方向へのエッチングが生じ、望ましい寸法精度が得られないという問題が発生する。
液滴吐出ヘッドでは、インク供給路として用いる貫通部、電気的実装部として用いる貫通部等の異なる用途の貫通部が存在し、一般的にそれらの貫通部の開口幅は異なっている。
そこで、”ノッチ”等の加工形状の異常を解消するため、幅の広い開口部に対して、その幅の開口部の全部をエッチングするのではなく、開口部の辺又は縁に沿って狭い開口部と概略同じ幅の枠溝形成用マスクによって縁取りし、かつ、枠溝が形成されるようにエッチングを行って、その後、枠溝の内側(中央)に残った島状残存部を取り除いて、液滴吐出ヘッドを製造する製造方法が提案されている(特許文献1、特許文献3参照)。
その特許文献1、特許文献3に開示の技術によれば、マイクロローディング効果に起因する加工形状異常の発生を防止することができる。また、エッチングすべき開口面積が小さくてすむので、エッチングレートが向上し、エッチング時間も短縮できる。
しかし、その特許文献1、特許文献3に開示の技術によれば、その島状残存部の除去を、島状残存部を支えている膜状支持体をエッチングすることによって行う方法であるので、ウェットエッチングの際にはエッチング層の貫通部に島状残存部の一部が飛散し、ドライエッチングの際にはエッチングチャンバーへ島状残存部の一部が飛散して、完成品にゴミとして付着する、島状残存部が完成品として液滴吐出ヘッドに接触して液滴吐出ヘッドを傷つける、更には細かいゴミ、異物が発生して、液滴吐出ヘッドに付着する等の不具合が懸念される。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、ドライエッチング加工の際に起因する液滴吐出ヘッドへのゴミの付着、液滴吐出ヘッドの傷の発生を防止し、ひいては、加工精度と生産性の向上とを図ることのできる液滴吐出ヘッドの製造方法及びその製造方法によって製造された液滴吐出ヘッドを有する画像形成装置を提供することにある。
請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法は、相対的に開口幅の広い貫通部と前記開口幅の広い貫通部に対して相対的に開口幅の狭い貫通部とを有する保護基板の製作の際に、前記相対的に開口幅の広い貫通部に対して前記相対的に開口幅の狭い貫通部と実質的に等しい同幅の枠溝形成用パターンマスクを用いて保護基板の表面を縁取りし、かつ、ドライエッチングによって枠溝が前記保護基板に形成されることにより枠溝の内側に残存する島状残存部を除去するフィルム基板を、枠溝形成用パターンマスクを設けた表面とは反対側の裏面に貼り付け、前記両貫通部を形成した後に前記フィルム基板から前記島状残存部を剥離することにより該島状残存部を除去することを特徴とする。
本発明によれば、幅の広い貫通部を縁取りしてドライエッチングした際に枠溝の内側に残った島状残存部をフィルム基板に貼り付けた状態で除去できるので、ドライエッチング加工の際に起因する液滴吐出ヘッドへのゴミの付着、液滴吐出ヘッドの傷の発生を防止し、ひいては、加工精度と生産性の向上とを図ることができる。
図1は本発明に係る製造方法が適用される液滴吐出ヘッドの一例を模式的に示す断面図である。 図2は図1の矢印A−A’線に沿って断面した液滴吐出ヘッドを模式的に示す説明図である。 図3は図1、図2に示す保護基板を上面から目視した平面図である。 図4aは図1に示す保護基板の製作に用いるシリコン基板に枠溝形成用パターンマスクを形成した状態を示す断面図である。 図4bは図4aに示すシリコン基板にフィルム基板を貼り付けると共に図1に示す凹処に対応する箇所にレジスト膜を形成した状態を示す断面図である。 図4cは図4bに示すシリコン基板に貫通部を形成した状態を示す断面図である。 図4dは図4cに示すシリコン基板に凹処を形成した状態を示す断面図である。 図4eは図4dに示す支持基板を除去した状態を示す断面図である。 図4fは図4eに示すシリコン基板から島状残存部を取り除く状態を示す断面図である。 図4gは保護基板の完成状態を示す断面図である。 図5は枠溝形成用マスクパターンの一例を示す平面図である。 図6は図4aないし図4dに示すフィルム基板の一例を示す拡大断面図である。 図7は図4cに示すレジスト膜の平面図である。 図8は図2に示す液滴吐出ヘッドを搭載した画像形成装置の一例を概略示す斜視図である。 図9は図8に示す画像形成装置の断面図である。
(実施例1)
(液滴吐出ヘッドの構造)
図1、図2は本発明の実施例に係る製造方法が適用される液滴吐出ヘッドの一例を模式的に示す断面図である。
図3は本発明の実施例に係る製造方法が適用された保護基板を上面から目視した状態を示す図である。
この実施例に係る液滴吐出ヘッド100は、ノズル板1と、流路形成基板(第1基板)2と、保護基板(第1基板)3とから構成されている。ノズル板1には、複数のノズル孔4が形成されている。
そのノズル板1には、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス等の材料を使用することができる。この実施例では、厚さが30μmのステンレス材料をプレス加工してノズル孔4を形成後に、液滴吐出側の面に撥液膜としてフッ素系の樹脂を蒸着して成膜している。このノズル板1は、接着剤によって流路形成基板2に貼り合わされている。
流路形成基板2には、保護基板3と対面する側の面に、振動板5が設けられている。その流路形成基板2には、ノズル孔4に連通する加圧液室(圧力発生室)6、加圧液室6に流体抵抗部7を介して連通する共通液室(液供給部)8が形成されている。
その流路形成基板2には、面方位<100>の単結晶シリコン基板が用いられ、加圧液室(圧力発生室)6、流体抵抗部7、共通液室(液供給部)8は、フォトリソ/エッチングプロセスにより一体的に形成される。
その振動板5には、加圧液室6に対応する位置に圧電素子9が形成されている。その圧電素子9は圧電体層9aと、個別電極としての上電極膜9bと、共通電極としての下電極膜9cとから構成されている。
その圧電素子9の上面には、絶縁膜9dが形成され、圧電素子の吸湿防止、引き出し配線10と下電極膜9cとの電気的短絡防止の役割を果たしている。引き出し配線10の接続部に下電極膜9c及び上電極膜9bを接続するために、絶縁膜9dには下電極膜9c及び上電極膜9bを接続部に接続するための接続孔が開孔され、これにより、下電極膜9c及び上電極膜9bが引き出し配線10に接続されている。
引き出し配線10の圧電素子9に接続される接続端部と反対側は電極端子11となっている。電極端子11と、ドライバーIC12の電極端子12aとが接合されるようにして、ドライバーIC12はフリップチップ実装される。この流路形成基板2は保護基板3に接着剤により貼り合わされる。
保護基板(封止基板ともいう)3には、図1、図3に示すように、振動板5の振動を許容するため振動板5と対応する位置に凹部13が形成され,共通液室8にインク液を供給するため共通液室8に対応する位置に共通液体供給路14が形成され、ドライバーIC12が実装される位置にドライバIC実装用の配置空間15、外部との接続空間16(図2参照)が形成されている。なお、そのドライバーIC12は、アンダーフィル剤17を介して流路形成基板2にフリップチップ実装され、ドライバーIC12は接続空間16に引き出された電極端子18を介して外部に電気的に接続される。
この保護基板3には、ドライエッチングによって加工し易い材料が用いられ、この実施例では、面方位<100>の単結晶シリコン基板が用いられている。流路形成基板2と保護基板3とに同一材料が用いられているので、熱膨張差によるストレス、反り等の発生が防止される。
凹部13は底のある溝を単結晶シリコン基板に形成することにより形成され、共通液体供給路14、配置空間15、接続空間16は貫通部を単結晶シリコン基板に形成することにより形成される。その凹部13、貫通部の形成には、この実施例では、シリコン深堀用のICPエッチャーが用いられ、凹部13、貫通部はドライエッチングにより形成される。
保護基板3の形成に用いる単結晶シリコン基板には、配置空間15、接続空間16として用いるために相対的に開口幅の広い貫通部と、共通液体供給路14として用いるために相対的に開口幅の狭い貫通部とが形成される。
完成品としての液滴吐出ヘッドの構造は、従来から公知の液滴吐出ヘッドの構造と同一であるので、その他の構成要素については、適宜説明を割愛し、以下、この発明の実施例に係る保護基板3の製造方法について説明する。
(保護基板3の製造方法)
図4aないし図4gは保護基板3の製造工程を示す説明図である。
図4aは保護基板3に用いるシリコン単結晶基板3’の表面にフォトリソ・エッチングプロセスを用いて熱酸化により、酸化膜3a’を形成する工程を示している。なお、この熱酸化の際、シリコン単結晶基板3’の裏面にも酸化膜3a”が形成される。
その酸化膜3a’には、図5に示す枠溝形成用パターンマスク20を構成している。枠溝形成用パターンマスク20は矩形状に形成されている。この枠溝形成用パターンマスク20には、配置空間15に対応する相対的に開口幅の広い貫通部を形成するための矩形状の枠溝形成用開口15’と、接続空間16に対応する相対的に開口幅の広い貫通部を形成するための矩形状の枠溝形成用開口16’と、共通液体供給路14に対応する相対的に開口幅の狭い貫通部を形成するための矩形状の開口14’と、矩形状の凹処形成用の開口13’とからなる。枠溝形成用開口15’の幅W1と凹処形成用開口13’の幅W2とは実質的に等しい幅とされている。ここでは、枠溝形成用開口16’の幅W3と枠溝形成用開口15’の幅W1も実質的に等しいものとされている。
その枠溝形成用開口15’の開口によって配置空間15に対応する貫通部が縁取られ、その枠溝形成用開口16’によって配置空間15に対応する貫通部が縁取られ、その矩形状の開口14’によって共通液体供給路14に対応する貫通部が縁取られ、その凹処形成用の開口13’によって凹部13が縁取られている。
その枠溝形成用開口15’に囲まれた内側部分に後述する島状残存部15”に対応する酸化膜3a’が形成され、その枠溝形成用開口16’に囲まれた内側部分に島状残存部16”に対応する酸化膜3a’が形成される。図4aにはこの枠溝形成用開口16’に囲まれた内側部分に島状残存部16”に対応する酸化膜3a’は図示されていない。
この図5に示す枠溝形成用パターンマスク20は、熱酸化により酸化膜3a’が形成された状態を示しているが、この枠溝形成用パターンマスク20をシリコン単結晶基板3’の表面に形成するためのマスク部材(図示を略す)には、これに対して反転した形状のマスク部材を用いる。なお、必要に応じて、適宜の開口を形成しても良い。
その図4aに示す単結晶シリコン基板3’の裏面に図4bに示すようにフィルム基板21を貼り付ける。このフィルム基板21には、図6に示すように、支持基板21aと、熱剥離粘着層21bと、フィルム基体21cと、感圧粘着層21dとから構成されているものを用いる。
フィルム基体21cを境にして、熱剥離粘着層21bは支持基板21aの側に位置し、感圧粘着層21dはシリコン単結晶基板3’の側に位置する。
この種のフィルム基板には、たとえば、日東電工株式会社製の「リバアルファ」(商品名)がある。
そのフィルム基体21cは、貫通部を形成したときに枠溝形成用開口15’、16’に囲まれた内側部分に残存することとなる矩形状の島状残存部15”、16”を除去するのに用いられる。これについて後で詳述する。
ついで、図4aにおいて形成された酸化膜3a’のうち、凹処形成用の開口13’に対応する部分を、図4b、図7に示すレジスト膜22によって被覆する。このレジスト膜22のパターン形成も公知のフォトリソプロセスにより行う。フォトリソプロセスの際のベーク温度よりも、フィルム基板21の熱剥離温度が高いフィルム基板21の製品を選択すれば、この図4bに示すパターン形成工程においてフィルム基板21の剥離は生じない。
ついで、図4bに示す工程において、製作されたシリコン単結晶基板3’をシリコン深堀用のICPエッチャーを用いて、ドライエッチングによりエッチングする。これにより、図4cに示すように、配置空間15を形成するための相対的に開口幅の広い貫通部に対応する枠溝23aと、共通液体供給路14を形成するための相対的に開口幅の狭い貫通部に対応する開口溝23bとが形成される。同時に、接続空間16に対応する貫通部も形成されるが、接続空間16に対応する貫通部も形成については説明を省略する。このドライエッチングによって、その枠溝23aによって囲まれた内側の部分が島状残存部15”として残る。同様にして、島状残存部16”も形成される。
この図4cの工程においては、枠溝23a、開口溝23bが裏面側の酸化膜3a”に達するまで貫通させることにより、貫通部を形成することとして説明したが、枠溝23a、開口溝23bが裏面側の酸化膜3a”に達する前でドライエッチングを停止し、図4dに示す凹部13の形成工程において、枠溝23a、開口溝23bが裏面側の酸化膜3a”に達するまで貫通するようにしても良い。
ついで、図4dに示すように、酸素プラズマを用いたアッシングによってレジスト膜22を除去する。その後、シリコン単結晶基板3’を所定の深さドライエッチングすることにより凹部13を形成する。この際、共通液体供給路14に対応する貫通部(枠溝23b)、配置空間15に対応する貫通部(枠溝23a)はオーバーエッチングがされることとなるが、この凹部13のエッチング量は僅かであるので、形状異常(ノッチ)の発生はほとんどない。
なお、この図4dには、凹部13が説明の便宜のため誇張して深目の長さで描かれているが、実際には圧電素子9の振動を妨げない程度の深さで良い。なお、図4c、図4dの工程は、この順に必ずしも行う必要はなく、同一のICPエッチャー内で処理の順序を変えて連続的に行うことも可能である。
ついで、図4dにおいて製作されたシリコン単結晶基板3’を、図4eに示すように、ホットプレート等の剥離用加熱部材25に載置して、フィルム基板21を加熱する。フィルム基板21を熱剥離粘着層21bの剥離温度以上の温度で加熱すると、支持基板21aがフィルム基体21cから剥離する。
フィルム基体21cはシリコン単結晶基板3’に貼り合わさった状態で残る。
ついで、図4fに示すように、点Oを基準にしてシリコン単結晶基板3’からフィルム基体21cを引き剥がす。
適切な感圧粘着層21dを選択し、図4eの工程において加熱された余熱で、かつ、室温よりも高い温度の状態で、シリコン単結晶基板3’からフィルム基体21cを引き剥がすことにすると、フィルム基体21cをシリコン単結晶基板3’から容易に引き剥がすことができる。
その際、周囲をドライエッチングして取り残された島状残存部15”、16”はフィルム基体21cに貼りついた状態で、単結晶シリコン基板3’から除去される。
その際、シリコン単結晶基板3’の裏面側に形成されている酸化膜3a”も島状残存部15”、16”の縁辺の部分から容易に破壊される。
そのシリコン単結晶基板3’すなわち、保護基板3の厚さをt、貫通部の開口幅をW1、枠溝形成用開口15’の幅をWとしたとき、以下の関係式を満たす寸法関係としておけば、フィルム基体21cを湾曲させて、シリコン単結晶基板3’から引きはがす場合、シリコン単結晶基板3’に島状残存部15”が衝突することが回避される。
なお、フィルム基体21cの引き剥が方向は図4fに示す矢印方向に限るものではなく、例えば、フィルム基体21cの引き剥がし時にシリコン単結晶基板3’が割れにくい方向等を適宜選択することができる。ついで、シリコン単結晶基板3’の表面及び裏面に残った熱酸化膜3a’、3a”を緩衝フッ酸で除去する。
このとき、図4fの工程で破壊された部分から飛散してシリコン単結晶基板3’に付着した熱酸化膜の破片も同時に除去され、ゴミとして残ることが防止される。
このようにして、図4gに示すように、相対的に幅の狭い貫通部に対応する共通液体供給路14、相対的に幅の広い貫通部に対応する配置空間15、相対的に幅の広い貫通部に対応する接続空間16(図示を略す)、凹処13を有する保護基板3が形成される。
(実施例2)
図8は図1に示す液滴吐出ヘッド100を搭載した画像形成装置(インクジェット記録装置)の一例を示す斜視図である。
その図8において、41はインクジェット記録装置である。このインクジェット記録装置41の本体の内部には、印字機構部42、用紙搬送機構部43が設けられている。
そのインクジェット記録装置41には、その本体の下部に給紙カセット(又は給紙トレイ)41’が抜き差し可能に装着される。その給紙カセット41’には複数枚の用紙42’が積載可能である。その本体には、排紙トレイ43’が設けられている側を手前側として、その本体の背面側に、手差しトレイ44’が設けられている。
用紙42’は給紙カセット(又は給紙トレイ)41’或いは手差しトレイ44’から印字機構部42に給送され、この印字機構部42を経由して排紙トレイ43’に向けて排出される。
そのインクジェット記録装置41の用紙搬送機構部43は、図9に示すように、給紙ローラ51、フリクションパッド52、ガイド部材53、搬送ローラ54、搬送コロ55、先端コロ56、印写受け部材57、搬送コロ58、拍車59、排紙ローラ60、拍車61、排紙経路を構成するガイド部材62、63から大略構成されている。
給紙ローラ51はフリクションパッド52と協働して用紙42’を分離し、ガイド部材53は用紙42’を搬送ローラ54に向けて案内する。搬送ローラ54は図示を略す副走査モータと図示を略すギヤ列とにより回転駆動される。
その搬送ローラ54は搬送コロ58と協働して用紙42’を反転させて搬送する。先端コロ56は、用紙42’の送り出し角度を規定する。印写受け部材57は、用紙42’を液滴吐出ヘッド100の下方に向けて案内する。
搬送コロ58と拍車59とは、用紙42’の搬送方向下流側に配置されて回転駆動される。用紙42’はこの搬送コロ58と拍車59とによってガイド部材62、63に移送され、排紙ローラ70、拍車71によって排紙トレイ43’に向けて排出される。
印字機構部42は、主ガイドロッド83、従ガイドロッド84、主走査モータ85、駆動プーリ86、従動プーリ87、タイミングベルト88、キャリッジ89から大略構成されている。従ガイドロッド84は用紙搬送方向の上流側に位置し、主ガイドロッド83は用紙搬送方向の下流側に位置している。
駆動プーリ86は、主走査モータ85の出力軸に固定され、従動プーリ87は本体内部の適宜箇所に配設されている。タイミングベルト88は駆動プーリ86と従動プーリ87とに張架されている。
キャリッジ89は、タイミングベルト88に固定されると共に、主ガイドロッド83、従ガイドロッド84に長手方向(主走査方向)に摺動可能に載置されている。ここでは、キャリッジ89には、液滴吐出ヘッド100が下方に向けて形成されている。そのキャリッジ89はその主走査モータ85、駆動プーリ86、従動プーリ87、タイミングベルト88によって、主ガイドロッド83の長手方向に沿って往復駆動される。
その液滴吐出ヘッド100には、ノズル孔4としての複数個のインク吐出口が主走査方向と交差する方向に配列形成され、そのインク吐出口からインク滴が下方に向けて吐出される。そのキャリッジ89には、液滴吐出ヘッド100にインクを供給するための複数個のインクカートリッジ30が交換可能かつ装着されている。
そのインクカートリッジ30の内部には多孔質体が設けられ、この多孔質体にはインクが充填されている。そのインクはそれぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色からなる。その各色のインクカートリッジ30は、主走査方向に配列してキャリッジ89に装着される。
そのインクカートリッジ30は、その上方には大気に連通する大気連通孔を有し、その下方には液滴吐出ヘッド100にインクを供給する供給口を有する。その多孔質体は、液滴吐出ヘッド100に供給されるインクを毛管現象によりわずかな負圧に維持する。
このインクジェット記録装置41では、その記録時には、用紙42’を所定位置に停止させた状態で、キャリッジ89を主走査方向に移動させながら、画像信号に応じて液滴吐出ヘッド100を駆動することにより、用紙42’にインクを吐出させ、1行分の印字を実行し、1行分の印字終了後、所定量副走査方向に用紙42’を搬送して用紙42’を停止させ、次の行の印字を実行する。
この印字処理を例えば記録終了信号を受け取るまで実行し、1枚分の用紙42’の印字が終了すると、用紙42’を排出トレイ43’に排出する。
そのインクジェット記録装置41の内部には、キャリッジ89の主走査方向の記録領域から外れた位置に、回復装置90が設けられている。この回復装置90は、液滴吐出ヘッド1の吐出不具合を回復するのに用いる。
この種の画像形成装置(画像記録装置)では、液滴吐出ヘッド100の製造コストが、画像形成装置のコストに直接的につながる。
この画像形成装置に本発明の製造方法によって製作された液滴吐出ヘッド100を用いると、低価格の画像形成装置を提供できる。
この実施例1による液滴吐出ヘッド100の製造方法によれば、幅の広い貫通部を縁取りしてドライエッチングした際に枠溝の内側に残った島状残存部15”、16”がフィルム基板21に貼り付けた状態で除去できるので、液滴吐出ヘッド100の製品の歩留まりが向上し、ドライエッチング加工の際に起因する液滴吐出ヘッドへのゴミの付着、液滴吐出ヘッドの傷の発生を防止し、ひいては、加工精度と生産性の向上とを図ることができる。
また、この実施例1による液滴吐出ヘッド100の製造方法によれば、フィルム基板21が、支持基板21aと、熱剥離粘着層21bと、フィルム基体21cと、感圧粘着層21dとから構成され、このフィルム基板21を加熱して反らせることにより、シリコン単結晶基板3’に対するフィルム基体21cの剥離の容易化を図ることができる。
更に、保護基板3の厚さt、貫通部の開口幅W1、枠溝形成用開口15’の幅Wが、既述の関係式を満たすように設計されているので、フィルム基体21cを湾曲させて、シリコン単結晶基板3’から引きはがす場合、シリコン単結晶基板3’に島状残存部15”が衝突することが回避される。
その結果、液滴吐出ヘッド100に傷が発生すること、異物が付着することが極力回避され、またその後の工程において異物の除去が可能となり、ひいては、低コストの液滴吐出ヘッド100が得られる。
更に、この画像形成装置では、この液滴吐出ヘッドによって作成された低コストの液滴吐出ヘッド100を用いているので、低価格の画像形成装置を提供することができる。
100…液滴吐出ヘッド
2…流路形成基板
3…保護基板
6…加圧液室
8…共通液室
16”…島状残存部
21…フィルム基板
23a…枠溝
特開2007−062291号公報 特開2009−274226号公報 特開平08−328236号公報

Claims (5)

  1. 対的に開口幅の広い貫通部と前記開口幅の広い貫通部に対して相対的に開口幅の狭い貫通部とを有する保護基板の製作の際に、
    前記保護基板の相対的に開口幅の広い貫通部について開口の周辺を相対的に開口幅の狭い貫通部と実質的に同一幅の枠溝による縁取り形状のパターンマスクを形成する工程と、
    前記パターンマスクが形成された保護基板にフィルム基板を貼り付けた状態でドライエッチングすることにより縁取り形状の枠溝からなる貫通部を加工形成すると共に前記縁取り形状に枠溝が形成されて内側に島状残存部を加工形成する工程と、
    前記フィルム基板を前記保護基板から剥離するときに、前記縁取り形状に枠溝が形成されて内側に残った島状残存部を同時に除去する工程と、
    を含むことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  2. 前記フィルム基板に、フィルム支持基板と、該フィルム支持基板と接着される熱剥離層と、前記保護基板に接着される感圧粘着層とを有するフィルム基体と、から構成されたフィルム製品を用いることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  3. 前記保護基板に対する前記フィルム基板の剥離の際に、前記島状残存部を加工形成後に前記フィルム基板を加熱することにより、前記フィルム支持基板を剥離する工程を含むこと、を特徴とする請求項2に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記フィルム支持基板を加熱して剥離した後、前記フィルム基体を前記保護基板から引き剥がすことにより、前記島状残存部を除去して相対的に開口幅の広い貫通部を形成する工程を含むこと、を特徴とする請求項3に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  5. 前記保護基板の厚さをt、前記貫通部の開口幅をW1、前記枠溝形成用開口の開口幅をWとしたとき、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
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