JP2006076170A - 液滴吐出ヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコンウエハ等の基板からの、加圧液室形成部材の取れ数を多くして、液滴吐出ヘッドの小型化・高密度化・低コスト化を実現するとともに、この液滴吐出ヘッドの高信頼性を維持する。
【解決手段】複数のノズル孔102が形成されたノズル板101と、ノズル孔に連通する加圧液室が形成された板状の加圧液室形成部材103と、加圧液室内の液体(インク)に適宜の力を付与し、該液体を加圧液室形成部材に形成された液体供給口(インク供給口)114を介してノズル孔から液滴(インク液滴)として吐出するためのアクチュエータとを備えてなる液滴吐出ヘッドであって、液体供給口114を、加圧液室形成部材の前記液体に接触する外周壁面502に形成する。
【選択図】図8

Description

本発明は液滴吐出ヘッド、液体カートリッジ、インクカートリッジ、液滴吐出式記録装置および、インクジェット記録装置及びインクジェット記録装置に関し、特に液滴吐出ヘッドを構成する加圧液室形成部材における液体供給口の形成技術に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いるインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルに連通する加圧液室と、この加圧液室内のインクを加圧するための駆動手段(圧力発生手段)とを備えた、液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドを搭載したものである。
なお、液滴吐出ヘッドとしては例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあるが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明をする。
インクジェットヘッドには、(a)圧力発生手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用い、液室の壁面を形成している振動板を変形変位させることでインク滴を吐出させるピエゾ型のもの、(b)液室内に配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用い、インク膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させるバブル型(サーマル型)のもの、(c)液室の壁面を形成する振動板(又はこれと一体の電極)と、これに対向する電極とを用いて静電力で変形させることで、インク滴を吐出させる静電型のものなどがある。
従来のインクジェットヘッドにおいては、加圧液室や各液室に連通する共通液室などを感光性樹脂、樹脂モールド、金属、ガラスなどの材料で形成していた。しかしながら樹脂製の液室は剛性が低いため、近傍の液室間でクロストークが発生し易く、良好な画像品質が得られないという問題を生じていた。このため上記加圧液室には、金属やガラス等の剛性が高く、クロストークの問題が発生しない材料が使用されることが多い。これらの中でもシリコンが、加圧液室の形成に特に好適な材料として使用されている。
ところで従来、インクジェット記録装置に関しては、多数の発明が特許公報に開示されている。そのうち本発明との関連性が強い発明としては、例えば以下の特許文献1〜特許文献5に記載されたものが挙げられる。
特許文献1に開示された発明は、中性インクは勿論のこと、良質な発色性を有するアルカリ水溶性のインクを利用することが可能なインクジェット記録ヘッドを提供することを目的としている。
そして、このインクジェット記録ヘッドの構成では、シリコン基板に形成され、インクが収容されるインクキャビティと、インクキャビティ内の圧力を変化させ、インクキャビティ内に収容されたインクを外部に吐出させる圧電素子とを備え、インクキャビティの内壁表面に、親水性および耐アルカリ性を備えた膜として、例えばニッケル酸化膜やシリコン酸化膜が形成されていることを特徴としている。
特許文献2に開示された発明は、水熱合成法を使用して圧電体素子を結晶化させる場合において、製造された圧電体素子の信頼性の高めることを目的としている。
この発明の構成では、電界を加えることにより変形可能に構成されている圧電体素子において、Ni等からなる基板の上下面に、パラジウムを含む金属からなる保護層を設けることによりキャビティ(圧力室)を形成するとともに、上記基板の上面に圧電体素子を設置したものである。上記パラジウムを含む金属は、アルカリ溶液を使用する水熱合成法により圧電体素子を結晶化させる場合に、このアルカリ溶液に対して耐性があるだけでなく、基板本体との密着性も良く、剥離することがないという利点がある。
特許文献3に開示された発明は、小型化・高密度化に適し、インク吐出応答性の高いインクジェットヘッドを提供することが目的である。
このインクジェットヘッド構成では、一端がインク供給路を介してインク溜まりに連通し、他端はインク滴を吐出するノズルに連通した複数のインク圧力室を有するインクジェットヘッドにおいて、結晶方位(110)面が表面となる単結晶シリコン基材には、前記供給路と前記圧力室を形成する空間を具備し、前記供給路を形成する空間は前記基材の表面に対して傾斜した二つの(111)面の壁面によって形成され、前記圧力室を形成する空間は前記シリコン基材の表面に対し垂直である、少なくとも二つの(111)面の壁面によって形成されていることを特徴としている。また、このインクジェットヘッドでは、基材に形成された供給路の二つの(111)面は、V字型の溝を成していることが好ましいとされている。
特許文献4に開示された発明は、耐腐食性に優れ、液の性質によらず、あらゆる液を輸送することができ、インクジェット記録等に有効に用いられるマイクロポンプを提供することを目的としている。
そしてその構成では、液を吐出するための複数のノズルが形成されたノズル板と、エネルギー発生手段を利用して液を吐出する、前記ノズルに連通した個別液室と、該個別液室に連通する共通液室が形成された流路形成部材と、からなるマイクロポンプにおいて、前記流路形成部材の液が接する側の全ての表面に、液に対して耐腐食性をもつ有機樹脂膜が形成され、該有機樹脂膜表面は接着剤吸収構造を有し、前記ノズル板と流路形成部材は前記有機樹脂膜を介して接着剤で貼り合わされていることを特徴としている。
特許文献5に開示された発明は、液体による腐食を防止した、信頼性の高い液滴吐出ヘッドおよびヘッド一体型のインクカートリッジを提供するとともに、信頼性に優れたインクジェット記録装置を提供しようとするもので、その構成では、流路形成基板のインクと接触する面となる加圧液室、インク供給路、共通液室の各面に、有機樹脂膜からなる耐液性薄膜を成膜している。
このように、特許文献1〜特許文献3には、加圧液室や共通液室をシリコン基板(シリコンウエハ)の異方性エッチングで形成することが記載されている。シリコンは剛性が高く、しかも異方性エッチングを用いることによって微細な加工が可能である。また、特に(110)面方位のシリコンウエハを用いることによって、垂直な壁面を形成することができるので、加圧液室を高密度に配置することができるという利点がある。
特開平10−264383号公報 特開2000−244031号公報 特許第3141652号公報 特開2003−145751号公報 特開2002−347247号公報
ところで、インクジェットヘッドは一般的に、外部からインクを共通液室に供給し、この共通液室から供給口を介してインクを、加圧液室(これは加圧室、圧力室、インク流路、個別液室、吐出室などとも称される)に供給する構造となっている。上記加圧液室を形成している部材は、シリコンウエハからなり、その表面に耐インク性の被膜を形成することで、インクによる侵食に耐えるようにしている。
しかしながら、シリコンウエハを加圧液室形成部材として分割すると、加圧液室形成部材の外周壁面には耐インク膜が施されていない状態となる。このためインク供給口を加圧液室形成面と同一の面に設けるのが一般的であるが、このことにより、加圧液室形成部材そのものの寸法が大きくなり、シリコンウエハ内の加圧液室形成部材の取れ数が減少する結果、インクジェットヘッドがコスト高となったり、ヘッドサイズを大きくしなければならなくなったりする問題が生じる。以下これについて、図面を参照して説明する。
図15はインクジェットヘッドの従来例を示す断面図で、このインクジェットヘッドを構成する流路ユニット800は、ノズル形成部材としてのノズル板(ノズルプレート)801、加圧液室形成部材(流路基板)803、振動板806、アクチュエータ(圧電素子)811等の部品からなる。このインクジェットヘッドでは、圧力発生手段として圧電振動子811の変位を利用して振動板806を弾性変形させ、加圧液室804内に圧力を発生させることで、液溜め部(共通液室)813内のインクを、流路ユニット800に形成されたインク供給口814および貫通孔805を介してノズル802からインク滴を吐出する。
上記流路ユニット800においてインク供給口814は、加圧液室形成部材803の上下両面のうち、加圧液室804を形成する側の面(振動板806と対向する面)の外周部分に、かつ加圧液室形成部材803の厚さ方向に形成されている。インク供給口814をこのような態様で形成するためには、当然のことながら加圧液室形成部材803は、このインク供給口814よりも外周側に延長している寸法のものにする必要があり、その結果、加圧液室形成部材803の寸法(上記基板の上下面に沿う方向の寸法)が大きくなり、シリコンウエハからの加圧液室形成部材の取れ数を大きくするのが難しくなる。
本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、金属プレートやシリコンウエハ等の基板からの加圧液室形成部材の取れ数を多くして、液滴吐出ヘッドの小型化・高密度化・低コスト化を実現するとともに、この液滴吐出ヘッドの高信頼性を維持することにある。
本発明の第2の目的は、上記液滴吐出ヘッドを設けて構成される液体カートリッジ、インクカートリッジおよび、これらのカートリッジを備えてなる液滴吐出式記録装置、インクジェト記録装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、単一または複数のノズル孔(液滴吐出口)が形成されたノズル形成部材(例えば、ノズル板)と、前記ノズル孔に連通する加圧液室が形成された板状の加圧液室形成部材と、加圧液室内の液体に適宜の力を付与し、該液体を加圧液室形成部材に形成された液体供給口(例えば、インク供給口)を介して前記ノズル孔から液滴として吐出するためのアクチュエータとを備えてなる液滴吐出ヘッドにおいて、前記液体供給口が、加圧液室形成部材の前記液体に接触する外周壁面(板体の厚さ方向に沿う面)に形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッドである。
請求項2に係る発明は、前記加圧液室形成部材が金属製板体からなることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッドである。
請求項3に係る発明は、前記加圧液室形成部材がシリコン基板(シリコンウエハ)からなることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッドである。
請求項4に係る発明において、前記加圧液室形成部材は、ノズル形成部材との接合面が(110)面方位のシリコン基板からなることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出ヘッドである。
請求項5に係る発明は、前記加圧液室形成部材の外周壁面が、複数の加圧液室形成部材が形成されたシリコン基板を個々の加圧液室形成部材に分割する際に形成されたものであることを特徴とする請求項3または4に記載の液滴吐出ヘッドである。
請求項6に係る発明は、前記加圧液室形成部材のすべての外周壁面が、複数の加圧液室形成部材が形成されたシリコン基板をダイシングにより個々の加圧液室形成部材に分割する際に形成されたものであることを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出ヘッドである。
請求項7に係る発明は、前記加圧液室形成部材の外周壁面のうち、加圧液室の長手方向に沿う外周壁面が、シリコン基板をダイシングにより個々の加圧液室形成部材に分割する際に形成されたものであり、加圧液室の長手方向と直交する外周壁面が、ウェットエッチングより個々の加圧液室形成部材に分割する際に形成されたものであることを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出ヘッドである。
請求項8に係る発明は、前記加圧液室形成部材の外周壁面に、耐液性膜(前記液体に対する耐久性を有する被膜)が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドである。
請求項9に係る発明は、前記加圧液室形成部材の外周壁面に、耐液性膜として有機膜が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の液滴吐出ヘッドである。
請求項10に係る発明は、前記加圧液室形成部材の外周壁面に、耐液性膜として金属膜が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の液滴吐出ヘッドである。
請求項11に係る発明は、前記加圧液室形成部材の外周壁面に、耐液性膜としてシリコン酸化膜が形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の液滴吐出ヘッドである。
請求項12に係る発明は、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、この液滴吐出ヘッドに液体を供給するタンクとを一体化した液体カートリッジにおいて、前記液滴吐出ヘッドが請求項1〜11のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とする液体カートリッジである。
請求項13に係る発明は、請求項12に記載の液体カートリッジを備えてなることを特徴とする液滴吐出式記録装置である。
請求項14に係る発明は、インク液滴を吐出するインク液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)と、このインク液滴吐出ヘッドにインクを供給するインクタンクとを一体化したインクカートリッジにおいて、前記インク液滴吐出ヘッドが請求項1〜11のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするインクカートリッジである。
請求項15に係る発明は、請求項14に記載のインクカートリッジを備えてなることを特徴とするインクジェット記録装置である。
請求項1の発明に係る液滴吐出ヘッドでは、加圧液室形成部材の液体供給口が、この加圧液室形成部材のうち、ノズル孔から吐出されるべきインク等の液体に接触する外周壁面(加圧液室形成部材を形成する板体の厚さ方向に沿う面)に形成されている。
本発明のこのような加圧液室形成部材と、前出の図15に示される従来の加圧液室形成部材を比較(たとえば、図15と後記する図1を対比)すると、従来の加圧液室形成部材では、インク供給口を開口するための基板実体部である、いわば「開口しろ」を該部材の外周部に設ける必要があるのに対し、本発明の加圧液室形成部材では、インク供給口を該部材の上下面のいずれでもなく、外周部側面に開口するものであるから、上記のような「開口しろ」は必要ない。
このように、本発明に係る加圧液室形成部材では、上記「開口しろ」の分だけ、従来のそれに比べて寸法が小さくてすみ、加圧液室形成部材サイズの縮小化が図られ、低コストで小型の液滴吐ヘッドを提供することができる。
請求項2の発明に係る液滴吐出ヘッドでは、加圧液室形成部材が金属製板体からなるため、ニッケル板等の金属プレートをプレス加工することにより簡便・安価に加圧液室形成部材を作製することができる。
請求項3の発明に係る液滴吐出ヘッドは、加圧液室形成部材がシリコン基板からなるものである。したがって、シリコン基板に微細加工を施すことにより、形状・寸法が高精度の加圧液室形成部材を得ることができる。またこの加圧液室形成部材は、樹脂製のそれと比較して剛性が高く、クロストークやたわみを的確に抑えることができるため、安定した液滴噴射性能が得られる液滴吐出ヘッドを提供することが可能である。
請求項4の発明に係る液滴吐出ヘッドは、加圧液室形成部材のノズル形成部材との接合面が(110)面方位のシリコン基板(シリコンウエハ)からなる。したがって、この加圧液室形成部材では加圧液室の外周壁面が、(110)面方位のシリコンウエハの<112>方向のエッチングにより形成されるから、この外周壁面をシリコンウエハの厚さ方向に対し垂直な(ウエハ表面に対し垂直な)面に、容易に加工することができ、結果として幅が高精度な加圧液室を形成することが可能である。
請求項5の発明に係る液滴吐出ヘッドでは、加圧液室形成部材の外周壁面が、複数の加圧液室形成部材が形成されたシリコン基板を個々の加圧液室形成部材に分割する際に形成されたものであるから、この外周壁面の形成工程が簡略化される。
請求項6の発明に係る液滴吐出ヘッドでは、加圧液室形成部材のすべての外周壁面が、複数の加圧液室形成部材が形成されたシリコン基板をダイシングにより個々の加圧液室形成部材に分割する際に形成されたものであるため、加圧液室形成部材のエッジ部分の精度が良く、他の部品との位置合わせを行う際の突き当ての精度が良くなる。また、ダイシング断面はテーパなどにならずシリコン基板表面に対し垂直になっているので、突き当て時の加圧液室形成部材の欠けが防止される。
請求項7の発明に係る液滴吐出ヘッドでは、加圧液室形成部材の外周壁面のうち、加圧液室の長手方向と直交する外周壁面が、ウェットエッチングより個々の加圧液室形成部材に分割する際に形成されるものであるから、上記ウェットエッチングのマスクとしてシリコン酸化膜あるいは窒化膜を使用することができ、マスク形成工程が簡単になるため、低価格の液滴吐出ヘッドを提供することが可能となる。
請求項8の発明に係る液滴吐出ヘッドでは、加圧液室形成部材の外周壁面に耐液性の被膜(保護膜)が形成されているから、加圧液室形成部材の耐久性が向上し(たとえば耐薬品性が向上する。あるいは液体に接触しても溶解や変形が生じない。)、液滴吐出ヘッドによる液滴吐出の精度が長期間、良好なものに維持される。
請求項9の発明に係る液滴吐出ヘッドでは、加圧液室形成部材の外周壁面に耐液性膜として有機膜が形成されている。したがって、この耐液性膜の選択肢が広がることにより、ノズルから吐出するべき液体の特性に合わせた耐液性膜を形成することが可能になり、多種の液体に耐え得る信頼性の高い液滴吐出ヘッドを、低コストで提供することが可能となる。
請求項10の発明に係る液滴吐出ヘッドでは、加圧液室形成部材の外周壁面に、耐液性膜として金属膜が形成されている。このためこの加圧液室形成部材の作製に際しては、半導体装置製造のためのスパッタリング技術を採用することができ、緻密で高い耐液性の保護膜を簡便な工程により低コストで形成することが可能となり,高い信頼性の液滴吐出ヘッドを提供することができる。
請求項11の発明に係る液滴吐出ヘッドでは、シリコンからなる加圧液室形成部材の外周壁面に、耐液性膜としてシリコン酸化膜が形成されているから、この加圧液室形成部材では、ノズルから吐出するべき液体がアルカリ系インクである場合でも、この加圧液室形成部材を構成するシリコンの溶出が防止され、高信頼性の液滴吐出ヘッドを提供することができる。
請求項12の発明に係る液体カートリッジは、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、この液滴吐出ヘッドに液体を供給するタンクとを一体化した液体カートリッジにおいて、液滴吐出ヘッドとして、請求項1〜11のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを備えている。したがって、この発明によれば、これら液滴吐出ヘッドの利点を生かすことができ、小型で高性能・高耐久性の液体カートリッジを安価に提供することができる。
また、請求項13の発明に係る液滴吐出式記録装置は、請求項12に記載の液体カートリッジを備えている。したがって、この発明によれば、この液体カートリッジの利点を生かした液滴吐出式記録装置を提供することができる。
請求項14の発明に係るインクカートリッジは、インク液滴を吐出するインク液滴吐出ヘッドと、このインク液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)にインクを供給するインクタンクとを一体化したインクカートリッジにおいて、インク液滴吐出ヘッドとして請求項1〜11のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを備えている。したがって、この発明によれば、これらインク液滴吐出ヘッドの利点を生かすことができ、小型で高性能・高耐久性のインクカートリッジを安価に提供することができる。
また、請求項15の発明に係るインクジェット記録装置は、請求項14に記載のインクカートリッジを備えている。したがって、この発明によれば、このインクカートリッジの利点を生かしたインクジェット記録装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1はインクジェットヘッドの断面図である。図2は流路ユニット100の分解斜視図であり、この流路ユニットは、ノズル形成部材としてのノズル板(ノズルプレート)101、加圧液室形成部材(流路基板)103、振動板106、アクチュエータ(圧電素子)111等の部品からなる。なお、このインクジェットヘッドの基本的構造は従来公知のものと同様であるから、以下では図1についての詳細な説明は省略し、本発明において重要な構成等について説明する。
ノズル板101には、インク滴を吐出させるための微細孔である多数のノズル(ノズル孔)102が、加圧液室形成部材103に形成された各加圧液室104の先端部分に対応して形成されており、このノズル102の径は例えば20〜35μmである。ノズル板101には例えば樹脂フィルムを用いており、樹脂フィルムの表面に撥水性のフッ素系膜を形成し、ノズル表面に付着したインクを除去するためのワイピング時に上記フッ素系膜が剥離しないように、このフッ素系膜の表面にSiO2粒子を付着させて耐久性を向上させている。ノズル102は、レーザー加工で開口されたものである。上記樹脂フィルムの他にはシリコンや、電鋳工法によって製造したニッケル製金属プレートを用いることができる。加圧液室形成部材103には加圧液室104が形成され、この加圧液室とノズル102を連通する貫通孔(ノズル連通孔)105が形成されている。
なお図1、図2に示す符号について説明すると、107は圧電素子内の非駆動部に接合する梁部、108は圧電素子内の駆動部と接合する島状凸部、109は島状凸部108とこの周囲に形成した、厚み2〜10μm程度の最薄膜部分(ダイヤフラム領域)、110はスペーサー部材、112は圧電素子からなる支柱部材、113は液溜め部、114は加圧液室形成部材103の外周壁面に形成されたインク供給口(液体供給口)である。
このインクジェットヘッドでは、圧力発生手段として圧電振動子111の変位を利用して振動板106を弾性変形させ、加圧液室104内に圧力を発生させることで、液溜め部113内のインクを、インク供給口114および貫通孔105を介してノズル102からインク滴を吐出する。
上記加圧液室部材103は金属材料からなる。この金属材料としては軽くて、加工が容易であり、耐薬品性があるものがよい。加工の方法としては切削やプレス等が一般的であるが、微細加工の量産性からプレス加工が望ましい。このような観点から、本実施形態ではニッケル材を利用した。詳細な製造方法を以下に示す。
図3(a)に示すように、加圧液室形成部材103となる板材(ニッケル板)301と、第1、第2の金型302および303を用意し、図3(b)に示すように、板材301の上下両面を金型302,303でプレス加工することにより、これら金型の凹凸面を板材301の両面に転写する。
より具体的には、上下両面が平面状である板材301と、上記加圧液室104およびインク供給口114に対応する凸部31を複数備えた第1の金型302と、ノズル連通孔105とインク供給口114との間で加圧液室104を形成し得る領域をカバーできる単一の凸部32が形成された第2の金型303とを用意する。そして、図3(b)に示すように、板材301を上記一対の金型でプレス加工することにより、金型302の凸部31で複数の加圧液室104およびインク供給口114となる凹部を形成するとともに、金型303の凸部32により加圧液室104領域全体に単一の凹部を形成する。その後、加圧液室形成部材103をラッピング等で平坦化する。最後に加圧液室104とノズル孔102を連通する貫通孔105をレーザー加工により形成する。
図1のインクジェットヘッドにおいては、図2に示すように、加圧液室形成部材103の共通の液溜め部113(図1参照)にある液と接触する領域に、インク供給口114となる凹部が形成されている。このように、この加圧液室形成部材103ではインク供給口114を、加圧液室104を形成する側の面に形成するのではなく、該部材103の外周壁(側面)に設けるので、図15に示す従来の加圧液室形成部材803に比べて大きさを縮小することが可能となる。また、形成された加圧液室形成部材103はニッケルからなるため、アルカリ性インクに対し優れた耐性を有しているので、耐性付与用の接液膜を個別に形成する必要がなく、安価な液滴吐出ヘッドを製作することが可能となる。
[第2の実施形態]
次に、シリコン基板を用いて加圧液室形成部材103を作製する実施形態について説明する。
図4はインクジェットヘッドの要部構造を示す断面図である。図5は図4のA部、すなわち加圧液室形成部材103の製造工程を示す断面図である。図6は、図5の方法により加圧液室形成部材が複数形成されたシリコン基板(加圧液室基板)の平面図である。なお、この「加圧液室基板」とは、ダイシング等により分割して個々の加圧液室形成部材とする前のシリコン基板をいう。図7は、図6の加圧液室基板をダイシングして得た基板(ただし、個々の加圧液室形成部材までには分割されていない)を示す平面図である。図8は、図7のシリコン基板を更にダイシングして得た個々の加圧液室形成部材と、ノズル板と、振動板とにより作製された流路ユニットを示す斜視図である。なお、上記第1の実施形態に係るインクジェットヘッドと共通する部分については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
図4に示す加圧液室形成部材103はシリコン基板(シリコンウエハ)501(図6)で作られており、シリコン基板の面方位は(110)を採用している。(110)基板にアルカリによるウェットエッチングを施す場合には、ノズル孔102のピッチ方向に対して垂直に加圧液室104を形成することができるため微細化・狭ピッチ化に有利となる。また、加圧液室形成部材103には、加圧液室104とノズル孔102を連通する貫通孔105が形成されている。この加圧液室形成部材103の表裏には、耐インク性膜としてシリコン酸化膜が膜厚700〜1000nmで形成された後、加圧液室形成部材103の外周壁面には耐インク性膜として、ポリイミド或いはポリベンゾオキサゾールの被膜が形成されている。
上記加圧液室形成部部材103をシリコン基板で製造する方法の一例を、図5を参照して説明する。
ステップ1:Si基板501を熱酸化し表面に酸化膜(SiO2 膜)405を形成する。次に、SiN膜(窒化膜)404をCVDにより形成し、フォトリソエッチング技術によりSiN膜とSiO2 膜を加工して所望のパターンを得る〔図5(a)〕。
ステップ2:レジストパターニング後に、ICPドライエッチャーを使用してノズル連通孔401形状のパターニングを行う〔図5(b)〕。
ステップ3:図5(c)に示すように、レジスト402を除去し、水酸化カリウム水溶液を使用するシリコンの異方性エッチングによりノズル連通孔105を形成する。
ステップ4:図5(d)に示すように、加圧液室形成面に形成された加圧液室104を含むインク供給部403の酸化膜をウェットエッチングで除去する。
このインク供給部403の端部つまり入り口は、流路ユニット100における上記インク供給口114となるものである。
ステップ5:その後図5(e)に示すように、加圧液室形成部材103に形成された加圧液室104を含むインク供給部403を形成する。
ステップ6:最後に、図5(f)に示すように窒化膜404/酸化膜405の除去を行い、その後耐インク接液膜としてシリコン酸化膜を1μmの厚さで形成してインクジェット用の加圧液室形成部材を作製した。この時のシリコン基板501すなわち加圧液室基板の形態は、図6に示すとおりである。なお、実施例ではインク供給口114形成時のシリコンの異方性エッチングを、水酸化カリウム水溶液濃度35%、処理温度85℃で行った。
本実施形態では、上記シリコン基板を個々の加圧液室基板に分割する方法としてダイシング工法を用いる。図7はダイシングにより、図6において縦方向のダイシングを行う場合の拡大図である。このときインクに触れる面502はシリコン(Si)が露出した状態となっている。インクによってはSiを溶解させるものがあることから、この部分を保護するための手段が必要である。
そこで本実施形態では、ダイシングが完了した時点で耐インク性のある有機膜を成膜する。成膜方法としてはスピンコート、ポッティングが一般的であるが、実施例では、薄く均一に立体構造に成膜できるスプレーコートにより成膜した。有機膜用の有機材料としてはポリイミド(等)が一般的であり、この実施例でもそれを使用した。図8は、このようにして作製される流路ユニット100の外径を示す概略斜視図である。この図で明らかなようにインク供給口114は、上記したインクに触れる面502(加圧液室形成部材103の厚さ方向に沿う外周壁面)つまり、この加圧室形成部材103の側面に形成されている。
[第3の実施形態]
本実施形態では、加圧液室基板をシリコン基板とし、加圧液室104およびインク供給口114を形成する時と同様に、加圧液室104の長手方向と直交する外周壁側に分離線を形成する。この分離線は、シリコン基板を分割して複数の加圧液室形成部材103を作製するためのもので、シリコン基板に分離線貫通溝(これは貫通孔である)を形成した後、シリコンの異方性エッチング(ウェットエッチング)により上記分離線貫通溝同士を連ねて分離線を形成する。
この分離線の形成方法を、図9〜図11を参照して具体的に説明する。上記分離線貫通溝は、シリコン基板(加圧液室基板)601を複数の加圧液室形成部材103に分割するための分離線を形成するべき貫通孔(これは、たとえば郵便切手に形成された点線状の孔:ミシン目に相当する。)であり、これら分離線貫通溝同士を繋げることにより分離線が形成される。この場合、加圧液室形成部材(流路基板)103を、(110)面方位のシリコン基板601を用いて作製する。図9はシリコン基板601内の、複数の加圧液室形成部材103の配置を示す平面図、図10(a)〜図10(c)は加圧液室形成部材103の拡大図、図11はシリコン基板601を上記した分離線により分割して作製された加圧液室形成部材103の一つを示す平面図である。
ここでは(110)面方位の基板を使っているので、基板の異方性エッチングにおいては、加圧液室104・104間の隔壁が垂直な(111)面として現れるようにパターニングする。これにより加圧液室104・104間の隔壁が垂直となるので、加圧液室104を高密度に並べることができる。図9および図10(a)〜図10(c)中の縦方向(<111>方向)はシリコン基板の結晶方向と一致していないので、縦につながった分離線貫通溝を形成することができない。そこで、小さな平行四辺形の貫通孔605aを並べることで、チップ分離線形成用の分離線貫通溝としている。ただし、この平行四辺形が小さすぎると(111)面のテーパが入り、V溝でエッチングが停止してしまうので、シリコンウエハの厚さを考慮して平行四辺形の貫通孔605aの大きさを決める必要がある。また、図10(b)に示すように、貫通孔605bの形状である平行四辺形の向きを図10(a)の貫通孔605aのそれと反対にしてもよい。あるいは図10(c)に示すように貫通孔606を六角形としてもよい。
上記分離線貫通溝同士をつなげるためのチップ分離線形成用のスリットを設けたパターンマスクをシリコン酸化膜、あるいは窒化膜により形成し、水酸化カリウム水溶液によるシリコンの異方性エッチングを行うことで、平方四辺形部分がつながって分離線が形成されることになる。上記のようにして分離線を形成することで、加圧液室104の長手方向と直交する外周壁が露出した、図11に示す形状の加圧液室形成部材103が得られる。
その後、加圧液室形成部材103の外周壁面に、耐インク性膜(接液膜)としてチタン、クロム、ニッケル、ステンレス等の金属膜を例えばスパッタリング法を用いて形成する。スパッタリング法とは、高エネルギーの粒子を固体(ターゲット)に照射した時にターゲット構成原子がターゲット表面から放出される現象(スパッタという)を利用して薄膜形成を行う技術であり、このスパッタ法には、電極の構造スパッタする粒子の発生方法により高周波スパッタやDCスパッタ等の多くの方式があるが、その方式は限定されない。
最後に、シリコン基板601の上下面にダイシングフィルムを重ね、図9および図10(a)〜図10(c)において横方向に、つまり直線L1,L2,L3,La,Lb等に沿ってダイシングすることにより、加圧液室形成部材103を完全に分割することができる。
[第4の実施形態]
本実施形態では、第3の実施形態と同様の工程により、図11に示す形状の加圧液室形成部材103を得る。その後、この加圧液室形成部材の外周壁面に耐インク性膜(接液膜)としてシリコン酸化膜を形成する。この場合、加圧液室104の長手方向と直交する外周壁面は露出しているので、上記シリコン酸化膜の形成は容易に行うことができる。
[第5の実施形態]
次に、本発明に係るインクカートリッジについて、図12の斜視説明図を参照して説明する。このインクカートリッジ724は、ノズル712等を有する、上記各実施形態で説明したいずれかの液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッド(記録ヘッド)723と、このインクジェットヘッド723に対してインクを供給するインクタンク711とを一体化したものである。
[第6の実施形態]
次に、上記インクジェットヘッド723を搭載したインクジェット記録装置の一例について図13および図14を参照して説明する。図13は同記録装置の斜視説明図、図14は同記録装置の機構部の側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、記録装置本体713の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ722、このキャリッジに搭載した上記インクカートリッジ724等で構成される印字機構部714等を収納し、記録装置本体713の下方部には前方側から多数枚の用紙715を積載可能な給紙カセット716(或いは給紙トレイでもよい。)を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙715を手差しで給紙するための手差しトレイ717を開倒することができ、給紙カセット716或いは手差しトレイ717から給送される用紙715を取り込み、印字機構部714によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ718に排紙する。
印字機構部714は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド719と従ガイドロッド721とでキャリッジ722を主走査方向(図14で紙面に垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ722にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する、本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッド723を、複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ722にはヘッド723に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ724を交換可能に装着している。
インクカートリッジ724は上方に大気と連通する大気口を、下方にはインクジェットヘッド723へインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体をそれぞれ有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッド723へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッドを用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ722は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド719に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド721に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ722を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ725で回転駆動される駆動プーリ726と従動プーリ727との間にタイミングベルト728を張装し、このタイミングベルト728をキャリッジ722に固定しており、主走査モータ725の正逆回転によりキャリッジ722が往復駆動される。
一方、給紙カセット716にセットした用紙715をヘッド723の下方側に搬送するために、給紙カセット716から用紙715を分離給送する給紙ローラ729及びフリクションパッド731と、用紙715を案内するガイド部材732と、給紙された用紙715を反転させて搬送する搬送ローラ733と、この搬送ローラ733の周面に押し付けられる搬送コロ734及び搬送ローラ733からの用紙715の送り出し角度を規定する先端コロ735とを設けている。搬送ローラ733は副走査モータ736によってギヤ列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ722の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ733から送り出された用紙715を記録ヘッド723の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材737を設けている。この印写受け部材737の用紙搬送方向下流側には、用紙715を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ738及び拍車739を設け、さらに用紙715を排紙トレイ718に送り出す排紙ローラ741及び拍車742と、排紙経路を形成するガイド部材743,744とを配設している。
記録時には、キャリッジ722を移動させながら画像信号に応じてインクジェットヘッド(記録ヘッド)723を駆動することにより、停止している用紙715にインクを吐出して1行分を記録し、用紙715を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙715の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙715を排紙する。この場合、インクジェットヘッド723はインク滴噴射の制御性が向上し、特性変動が抑制されているので、安定して高い画像品質の画像を記録することができる。
また、キャリッジ722の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド723の吐出不良を回復するための回復装置745を配置している。回復装置745はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ722は印字待機中にはこの回復装置745側に移動されてキャッピング手段でヘッド723をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド723の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、このインクジェット記録装置においては、本発明に係るインクジェットヘッドを搭載しているので、低コスト化が図れる。
なお、上記実施形態においては、液滴吐出ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用した例で説明したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドとして、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどの他の液滴吐出ヘッドや、シリコンウエハから形成したチップを含むマイクロマシンデバイス、センサー、アクチュエータにも適用することができる。
本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図である。 図1のインクジェットヘッドを構成する流路ユニットの分解斜視図である。 図2の流路ユニットを構成する加圧液室形成部材を、ニッケル板を使用して作製する方法を示した説明図である。 本発明の別の実施形態に係るインクジェットヘッドの要部断面図である。 図4に示す加圧液室形成部材を、シリコン基板(シリコンウエハ)を使用して作製する方法を断面で示す説明図である。 図5の方法により加圧液室形成部材が複数形成されたシリコン基板(加圧液室基板)の平面図である。 図6のシリコン基板をダイシングして得た基板(ただし、個々の加圧液室形成部材までには分割されていない)を示す平面図である。 図7のシリコン基板を更にダイシングして得た個々の加圧液室形成部材と、ノズル板と、振動板とにより作製された流路ユニットを示す斜視図である。 シリコン基板を用いて別の方法で作製された加圧液室形成部材を示す平面図であって、シリコン基板を個々の加圧液室形成部材に分割する前のものである。 図9のシリコン基板により作製された加圧液室形成部材の形状例を示す平面図である。 図9に示すシリコン基板を所定の方法で分割して得られた加圧液室形成部材の形状を示す平面図である。 本発明に係るインクカートリッジの外形を示す斜視である。 図12のインクカートリッジを搭載したインクジェット記録装置の全体形状を示す斜視である。 図13のインクジェット記録装置に配備された機構部の構造を示す側面図である。 インクジェットヘッドの従来例を示す断面図である。
符号の説明
31,32 凸部
100 流路ユニット
101 ノズル板
(ノズルプレート、ノズル形成部材)
102 ノズル(ノズル孔)
103 加圧液室形成部材(流路基板)
104 加圧液室
105 貫通孔(ノズル連通孔)
106 振動板
107 梁部
108 島状凸部
109 ダイヤフラム領域
110 スペーサー部材
111 アクチュエータ(圧電素子、圧電振動子)
112 支柱部
113 液溜め部
114 インク供給口(液体供給口)
301 ニッケル板
302 第1の金型
303 第2の金型
401 ノズル連通孔形状
402 レジスト
403 インク供給部
404 窒化膜
405 酸化膜
501 シリコン基板(シリコンウエハ)
502 インクに触れる面
601 シリコン基板
605a 貫通孔
605b 貫通孔
606 貫通孔
711 インクタンク
712 ノズル
713 記録装置本体
714 印字機構部
722 キャリッジ
723 インクジェットヘッド(記録ヘッド)
724 インクカートリッジ
800 流路ユニット
801 ノズル板(ノズルプレート)
802 ノズル
803 加圧液室形成部材(流路基板)
804 加圧液室
805 貫通孔
806 振動板
811 アクチュエータ(圧電素子)
813 液溜め部(共通液室)
814 インク供給口

Claims (15)

  1. 単一または複数のノズル孔が形成されたノズル形成部材と、前記ノズル孔に連通する加圧液室が形成された板状の加圧液室形成部材と、加圧液室内の液体に適宜の力を付与し、該液体を加圧液室形成部材に形成された液体供給口を介して前記ノズル孔から液滴として吐出するためのアクチュエータとを備えてなる液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記液体供給口が、加圧液室形成部材の前記液体に接触する外周壁面に形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 前記加圧液室形成部材は、金属製板体からなることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  3. 前記加圧液室形成部材は、シリコン基板からなることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 前記加圧液室形成部材は、ノズル形成部材との接合面が(110)面方位のシリコン基板からなることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出ヘッド。
  5. 前記加圧液室形成部材の外周壁面は、複数の加圧液室形成部材が形成されたシリコン基板を個々の加圧液室形成部材に分割する際に形成されたものであることを特徴とする請求項3または4に記載の液滴吐出ヘッド。
  6. 前記加圧液室形成部材のすべての外周壁面は、複数の加圧液室形成部材が形成されたシリコン基板をダイシングにより個々の加圧液室形成部材に分割する際に形成されたものであることを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出ヘッド。
  7. 前記加圧液室形成部材の外周壁面のうち、加圧液室の長手方向に沿う外周壁面は、シリコン基板をダイシングにより個々の加圧液室形成部材に分割する際に形成されたものであり、加圧液室の長手方向と直交する外周壁面は、ウェットエッチングより個々の加圧液室形成部材に分割する際に形成されたものであることを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出ヘッド。
  8. 前記加圧液室形成部材の外周壁面に、耐液性膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  9. 前記加圧液室形成部材の外周壁面に、耐液性膜として有機膜が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の液滴吐出ヘッド。
  10. 前記加圧液室形成部材の外周壁面に、耐液性膜として金属膜が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の液滴吐出ヘッド。
  11. 前記加圧液室形成部材の外周壁面に、耐液性膜としてシリコン酸化膜が形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の液滴吐出ヘッド。
  12. 液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、この液滴吐出ヘッドに液体を供給するタンクとを一体化した液体カートリッジにおいて、前記液滴吐出ヘッドが請求項1〜11のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とする液体カートリッジ。
  13. 請求項12に記載の液体カートリッジを備えてなることを特徴とする液滴吐出式記録装置。
  14. インク液滴を吐出するインク液滴吐出ヘッドと、このインク液滴吐出ヘッドにインクを供給するインクタンクとを一体化したインクカートリッジにおいて、前記インク液滴吐出ヘッドが請求項1〜11のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするインクカートリッジ。
  15. 請求項14に記載のインクカートリッジを備えてなることを特徴とするインクジェット記録装置。

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