JP6092515B2 - 食品のための改善された製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、食品に関する。より具体的には、本発明は、食品の製造に特に有用な成分を製造する方法、より具体的には、低アレルゲン又はアレルゲンフリー食品の製造に用いることができる方法に関する。
食品を製造する方法は、多くの場合、様々な異なる環境及び設定に適合させる必要がある。食物アレルギー及び/又は食物不耐性は、様々な食材からもたらされ、かかる食材は魚及び甲殻類(エビ、ロブスター、カニ等)、ピーナッツ、木の実、小麦(グルテン)、卵、大豆、胡麻及び乳製品を含む。食物アレルギー及び食物不耐性の人口はますます増加している。例えば、人口の0.5%は、ピーナッツに対するアレルギーがあると推定される。食物アレルギー及び食物不耐性の医学的続発症は、鼻閉等の軽い反応から、アナフィラキシーショック及び死亡する可能性までの範囲に及ぶことがある。
食物アレルギー及び食物不耐性が増えているために、市場における消費者の需要は、食物アレルギー患者が摂取しても安全な加工食品を提供するニーズがあることを露呈した。しかしながら、アレルゲン性が低レベルであることと、味及び栄養が高レベルであることの両方を兼ね備えた植物性食品成分は、いまだ広く入手可能にはなっていない。この好適な製品の不足は、許容可能な官能特性を有する低アレルゲン成分又はアレルゲンフリー成分を効率的かつ低コストの植物変換方法から製造することが困難であることに起因し得る。
Grain Foods CRC名義の特許文献1は、非ナッツ系植物性材料を高温にするステップを含むナッツフリーの塗り広げ可能な食品(spreadable food product)の製造方法を説明する。
国際公開第2008/009061号
食物アレルゲン反応を有する人、又は食物不耐性の人が摂取しても安全な食品を提供する市場ニーズが存在する。同時に、これらの製品が商業的に成功するためには、味が良く、かつ栄養価が高い代替品を提供するべきである。
本発明は、広い意味では、食品、好ましくは低アレルゲン又はアレルゲンフリー食品に配合するための植物性材料を乾燥する方法に向けられる。
他の広範囲の形態において、本発明は、低アレルゲン性又はアレルゲンフリーの植物性材料から、低アレルゲン性又はアレルゲンフリーの植物性材料及び/又は成分を製造する方法に向けられる。より具体的には、本発明は、ばらつきのない結果をもたらす制御された条件下での方法に向けられる。この非ナッツ系植物性材料及び/又は成分は、その後、様々なアレルゲンフリー又は低アレルゲン性食品を製造するために用いることができる。
第1の態様において、本発明は、食品に用いられる粒子状植物性材料を乾燥させる方法であって、流体流れ内に懸濁された粒子状植物性材料を高温にし、それによって上記粒子状植物性材料を乾燥させるステップを含む方法を提供する。
第2の態様において、本発明は、非ナッツ系マメ科粒子状植物性材料を乾燥させる方法であって、流体流れ内に懸濁された非ナッツ系マメ科植物性材料を高温にして、それによって非ナッツ系マメ科植物性材料を乾燥させるステップを含む方法を提供する。
非ナッツ系マメ科植物性材料はリョクトウ(mungbean)であることが好ましい。
第3の態様において、本発明は、第1の態様の方法により製造された、食品に用いられる乾燥粒子状植物性材料を提供する。
第4の態様において、本発明は、第2の態様の方法により製造された乾燥マメ科粒子状植物性材料を提供する。
第5の態様において、本発明は、第3の態様の乾燥粒子状植物性材料を含む食品を提供する。
第6の態様において、本発明は、第4の態様の乾燥マメ科粒子状植物性材料を含む食品を提供する。
第7の態様において、本発明は、食品を製造する方法であって、粒子状植物性材料を高温にして粒子状植物性材料を乾燥させ、それによって食品を製造するステップを含む方法を提供する。
第8の態様において、本発明は、第7の態様の方法により製造された食品を提供する。
上述の態様の好ましい実施形態において、粒子状植物性材料又は非ナッツ系マメ科粒子状植物性材料は、約1000μm未満の平均粒径を有する。平均粒径は、約30μmと約800μmの間にある、ことがより好ましい。平均粒径は、約80μmと約600μmの間にある、ことがさらにより好ましい。さらに、平均粒径は、約150μmと約490μmの間にある、ことがさらにより好ましい。他の好ましい実施形態において、平均粒径は、240μmと約450μmの間にある。
好ましい実施形態においては、粒子状植物性材料又は非ナッツ系マメ科粒子状植物性材料は、連続的な流体流れ内、より好ましくは流動化している流れ内に懸濁される。流体流れは、液体又は気体であることが好ましい。流体流れは、気体であることがより好ましい。さらに、気体は、空気であることがより好ましい。
高温は、約100℃と約400℃の間にあることが好ましい。高温は、約140℃と約370℃の間にあることがより好ましい。さらに、高温は、約190℃と約350℃の間にあることがより好ましい。さらに、高温は、約250℃と約300℃の間にあることがさらにより好ましい。さらに好ましい実施形態において、高温は約270℃である。
上述の態様の好ましい実施形態において、粒子状植物性材料(particular plant material)は、非ナッツ系植物性材料(non-nut plant material)である。
粒子状植物性材料は、植物種子、穀粒(cereal grain)及びマメ科植物(legume)からなる群から選択されることが好ましい。
植物種子は、ヒマワリ(sunflower)種子、アマランサス(amaranth)種子、キノア(quinoa)種子、テフ(tef)種子、チア(chiatah)種子、ソバ(buckwheat)種子及びかぼちゃ(pumpkin)種子からなる群から選択されることが好ましい。
好ましい実施形態において、穀粒は、小麦(wheat)、大麦(barley)、米(rice)、トウモロコシ(maize)、モロコシ(sorghum)、ライ麦(rye)、粟(millet)及びオートムギ(otats)からなる群から選択される。
非ナッツ系植物性材料がマメ科植物である他の好ましい実施形態において、マメ科植物は、ピーナッツでもなく、その他いずれのナッツでもない。
特定の好ましい実施形態において、マメ科植物は、豆(bean)、メスキート(mesquite)、ソラマメ(broad bean)、エンドウマメ(pea)、ルピナス(lupin)及びレンズマメ(lentil)からなる群から選択される。
豆は、大豆(soybean)、小豆(adzuki bean)、アナサジ(anasazi)、ライマメ(lima bean)、ササゲ(cow pea)、ツルアズキ(rice bean)、ウーラット豆(urad bean)、モスビーン(moth bean)、テパリービーン(tepary bean)、ベニバナインゲン(runner bean)、フジマメ(hyacinth bean)、黒豆(black bean)、ソラマメ(fava bean)、ソラマメ(faba bean)、インゲンマメ(kidney bean)及びリョクトウ(mungbean)からなる群から選択されることが好ましい。豆は、リョクトウであることが好ましい。
好ましい実施形態において、乾燥粒子状植物性材料又は乾燥非ナッツ系マメ科植物性材料は、食品にロースト風味又はナッツに似た風味を与える。
好ましい実施形態において、食品は、穀物ベースの食品、乳製品ベースの食品、シリアル、焼いた製品、健康バー、栄養補助バー、スナックバー、シリアル、液体食品、半流動体食品、ソース、粉及び塗り広げ可能な食品からなる群から選択される。
好ましい実施形態において、食品は塗り広げ可能な食品であり、ナッツ風味の塗り広げ可能な食品であることが好ましい。乾燥粒子状植物性材料又は乾燥非ナッツ系マメ科植物性材料は、ナッツ風味の塗り広げ可能な食品にナッツ風味を与えることが好ましい。
本明細書全体を通して、文脈からそれ以外であることが要求されない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」は、言及した整数又は整数の群を包含することを含意すると解されるが、その他の整数又は整数の群を除外するものではない。
本発明を容易に理解し、かつ実際に実行するために、ここで、添付図面を参照して、例として好ましい実施形態を説明し、図中、同様の符号は同様の部分を指す。
本発明の好ましい実施形態にしたがって非ナッツ系植物性材料を乾燥させるシステム及び装置の概略図である。
本発明は、少なくとも部分的には、粒子状植物性材料に対して迅速かつ一様に熱を分配することで、粒子状植物性材料がむらなく熱処理されるという知見から生じる。その結果、ナッツフリーの植物性材料を製造すること又はナッツフリーの植物性材料にナッツに似た風味を与えることができ、あるいは、適切な食品に配合するための乾燥植物性材料を製造するために、望ましくない生の風味(例えば、豆のような風味)を有する植物性の出発原料を、中和された又ははっきりしない(neutral)風味、刺激の少ない(bland)風味、ナッツに似た風味又はロースト風味に変換することができる。乾燥粒子状植物性材料は、低アレルゲン又はアレルゲンフリー食品に配合することが想定される。
従って、本発明の方法は、(上述した)特許文献1に記載された手法を含めた、高温を用いて食品成分を製造するその他の手法の幾つかの欠点及び限界を克服する。より具体的には、本明細書において本発明について説明する条件下での高温による粒子状植物性材料の処理は、望ましくない風味を有する原料を望ましい風味を有する処理済み材料に変換すると同時に、粒子状植物性材料を許容可能なレベルまで乾燥させる、迅速かつ比較的低コストの手段を与える。このような方法は、風味に悪影響を与えることなく、乾燥粒子状植物性材料をより高レベルで食品に添加することを可能にすることができる。
特定の形態において、本発明のさらに別の利点は、非ナッツ系粒子状植物性材料を迅速かつ一様な方法で高温にすることにより、望ましくない風味の発生の原因となる非ナッツ系粒子状植物性材料の表面の焼け焦げを最小にし又は排除する、ナッツに似た風味を非ナッツ系粒子状植物性材料に与える方法である。その結果、望ましくない焼け焦げ風味によって味が損なわれない、魅力的なナッツ風味又はロースト風味を有する非ナッツ系粒子状植物性材料が得られる。しかしながら、本発明の方法はまた、ロースト風味、中和された風味及び刺激の少ない風味といった、その他の風味特性を与えることもできることが認識されよう。
本明細書で説明される方法により製造される乾燥粒子状植物性材料は、好ましくは嗜好性及び食味の受け入れやすさといった消費者基準を満たす、様々な食品での使用に適することが理解されるであろう。
一般的な態様において、本発明は、流体流れ内に懸濁された粒子状植物性材料を高温にし、それによって粒子状植物性材料を乾燥させるステップを含む、食品に用いられる粒子状植物材料を乾燥させる方法を提供する。
他の一般的な態様において、本発明は、流体流れ内に懸濁された非ナッツ系マメ科粒子状植物性材料を高温にし、それによって非ナッツ系マメ科粒子状植物性材料を乾燥させるステップを含む、非ナッツ系マメ科粒子状植物材料を乾燥させる方法を提供する。
好ましい実施形態において、乾燥粒子状植物性材料又は乾燥非ナッツ系マメ科粒子状植物性材料は、食品、より好ましくはナッツ風味の塗り広げ可能な食品に、ロースト風味又はナッツ風味を与える。
「供する(subject)」、「供している(subjecting)」又は「供された(subjected)」は、本発明の方法に従って、粒子状植物性材料、又は粒子状植物性材料由来の粉及び/又はセモリナを、処理すること又は曝すことを意味する。
上記のことを鑑みて、本発明はまた、広い意味で、食物アレルギー及び/又は食物不耐性を有する人による摂取に適した特定の特徴を有する、乾燥粒子状植物性材料を製造する方法にも向けられる。アレルギー反応又は食物不耐性に関連する反応を誘発することがある食物の非限定的な例は、ナッツ(nuts)、小麦(wheat)及び特にグルテン(gluten)、乳製品(dairy)(例えば、ミルク)、卵、魚及び甲殻類を含み、ナッツは、例えば、ピーナッツ(peanuts)及び木の実(tree nuts)(アーモンド(almonds)、カシュー(cashews)、ハシバミ(hazels)、クルミ(walnuts)及びペカン(pecans)等)を含む。
従って、具体的な実施形態において、本発明は、潜在的に有害な食品成分の代用品になり得る、低アレルゲン性、アレルゲンフリー又は実質的にアレルゲンを含まない食品成分又は材料を、乾燥又は製造する方法を意図する。代替的な実施形態において、乾燥粒子状食物性材料は、ナッツ風味のナッツフリー食品にナッツ風味を与えることができる。上記のことを鑑みて、本発明の方法により製造される乾燥粒子状植物性材料は、これらに限定されるものではないが、大豆、卵、小麦(グルテン)及び乳製品(乳糖)のような様々な潜在的にアレルゲン性の成分又は食物不耐性成分の代用品として用いることができることが認識されるであろう。
好ましい実施形態において、粒子状植物性材料は、非ナッツ系である。他の好ましい実施形態において、粒子状植物性材料は、非ナッツ系マメ科植物性材料である。
本明細書で用いられる「ナッツ」という用語は、1個の種子と厚く堅い果皮(殻)とを有する、非裂開性(完熟したときに明確な継ぎ目に沿って裂開しない)の乾果を指すことができる。「ナッツ」という用語は、種々の堅い殻を有する果実又は種子を指すのにも用いられる。「ナッツ」は、熟したときに開かない骨状、木材状又は皮革状の被覆で囲まれた種子を有する、特定の木又は灌木の果実の場合もある。例えば、ハシバミ(hazel)、ブナ(beech)、ナラ(oak)及びクリ(chestnut)のナッツのような、堅く、乾燥した、1つの小室を持ち、1つの種子を持つ果実である。「ナッツ」という用語はまた、真の植物学的意味でのナッツを指すこともあり、又は、料理に関して若しくは一般に用いられる意味において知られるナッツを指すこともある。例として、ブラジルナッツは、料理的な意味ではナッツとして一般に知られているが、植物学的分類では種子でもある。「ナッツ」という用語は、石果と呼ばれる果実の、種子を保持する堅い内側層(内果皮)を指すこともある。「ナッツ」は、松果のような、ナッツ様の裸子植物種子を指すこともある。好ましい実施形態において、ナッツは、ピーナッツ、木の実、カシュー、アーモンド、クルミ、マカダミア、ハシバミの実(ヘーゼルナッツ)、ブラジルナッツ、クリ、松果、ココナッツ及びピスタチオからなる群から選択される。
上述のように、乾燥粒子状植物性材料は、食物アレルギー及び/又は食物不耐性を有する個人による摂取に特に適した食品での使用に好適なものとすることができる。従って、特定の実施形態において、本発明の方法において、アレルゲンフリー、実質的にアレルゲンフリー、又は低アレルゲン性のいずれかの植物性材料を使用することが望ましい場合がある。
「アレルゲンを実質的に含まない」又は「実質的にアレルゲンフリー」は本発明の状況において、潜在的にアレゲン性の食品、及び/又は潜在的に食物不耐性反応を引き起こすことがある食物を摂取したときに、アレルゲン、又は食物不耐性若しくは食物過敏反応に関連付けられる若しくは結びつけられるその他の化合物に関連付けられる、アレルギー反応、食物過敏反応又は食物不耐性反応を引き起こさないような、アレルゲン、又は食物不耐性若しくは食物過敏反応に関連付けられる若しくは結びつけられるその他の化合物のレベルを意味する。アレルギー反応又は食物不耐性反応を引き起こすことがある食物の非限定的な例は、魚、甲殻類、ナッツ、木の実、大豆、小麦(グルテン)、乳製品及び卵を含む。好ましい実施形態において、アレルゲンは、ピーナッツ・アレルゲンのようなナッツアレルゲンであるか、あるいは、アーモンド、カシュー、ハシバミ、クルミ、ペカン及びマカダミアのような木の実由来の木の実アレルゲンであるが、これらに限定されるものではない。他の実施形態において、アレルゲンは、汎アレルゲン(pan-allergen)又は交差反応性アレルゲンの場合がある。「実質的に含まない」は、食物アレルゲンを含まない若しくは食物アレルゲンを欠く、又は低いアレルゲン性を有するとみなすことができる、アレルゲン、又は食物不耐性反応に関連付けられる若しくは結びつけられるその他の化合物のレベルとすることができることが認識されるであろう。典型的には、食物アレルギーは、一般にIgE応答を伴う免疫系媒介反応に関連付けられる古典的アレルギーであると考えることができることが認識されよう。特定の状況において、IgE応答は、食物特異的又はアレルゲン特異的IgEであり得る。典型的には、食物不耐性は、特定の食物が引き金となって引き起こされる症状(頭痛、筋肉及び関節の痛み及び疼痛、及び疲労感等)の集合を指すことができることもまた認識されるであろう。いずれかの特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、食物不耐性の症状は、食物アレルギーの症状のように見え、そのように感じられるが、免疫系がこれらの症状を引き起こすのではない。例として、セリアック病は、小麦、大麦及びライ麦含有の食物を食することにより引き起こされるグルテン不耐性症候群であり、一方、乳糖(ミルクの中に見出される糖)は、乳糖を分解する能力を欠く特定の個体におけるミルクに対する不耐性を引き起こすことがある。食物アレルギーと食物不耐性とは、同じ又は類似の症状を引き起こすことがあるが、異なる症候群であることが認識されるであろう。例えば、乳糖不耐性はアレルギーではないが、腹部の痙攣痛及び下痢といった、ミルクアレルギーと同じ症状の幾つかを引き起こす。
一般的な実施形態において、粒子状植物性材料は、これらに限定されないが、植物種子、穀粒及びマメ科植物を含む。粒子状植物性材料は、外皮が除去されたものでもよく、あるいは、外皮、さや又は外側の覆いが存在していてもよい。
当業者であれば、食品に特に適した粒子状植物性材料は穀粒とすることができること、及び、好ましい実施形態において、穀粒は、小麦、大麦、米、トウモロコシ、モロコシ、ライ麦、粟及びオートムギから選択されることを容易に認識するであろう。
具体的な実施形態において、本発明は、ナッツではないマメ科の粒子状植物性材料、特に、ピーナッツではないマメ科植物(すなわち、非ナッツ系又は非ピーナッツ系マメ科粒子状植物性材料)の乾燥に特に適している。
好ましい実施形態において、マメ科粒子状植物性材料は、豆、メスキート、ルピナス、ソラマメ、エンドウマメ及びレンズマメからなる群から選択される。
特定の好ましい実施形態において、レンズマメは、茶レンズマメ、緑レンズマメ、ピュイ産レンズマメ、黒レンズマメ、剥皮レンズマメ、及び黄レンズマメからなる群から選択することができる。
特に好ましい実施形態においては、豆は、大豆、小豆、アナサジ、ライマメ、ササゲ、ツルアズキ、ウーラット豆、モスビーン、テパリービーン、ベニバナインゲン、フジマメ、黒豆、ソラマメ、ソラマメ、インゲンマメ及びリョクトウからなる群から選択される。
マメ科粒子状植物性材料は、リョクトウであることが好ましい。特に好ましい実施形態においては、非ナッツ系マメ科植物性材料は外皮が除去されたリョクトウである。
好適なリョクトウの種類の非限定的な例は、Berken、Satin、Regur、Celera、Delta、Emerald、Green Diamond及びWhite Goldである。
他の好ましい実施形態において、マメ科粒子状植物性材料は、エンドウマメ類、例えば、これに限られないがヒヨコマメ(chickpea)である。
特定の実施形態において、粒子状植物性材料は、植物種子であり、好ましくは食用の植物種子であることが認識されるであろう。「種子」は、胚芽を含む、熟した植物の胚珠を指すことができることが理解されるであろう。
植物種子は、ヒマワリ種子、アマランサス種子、キノア種子、テフ種子、チア種子、ソバ種子及びかぼちゃ種子からなる群から選択されることがより好ましい。
上記のことを鑑みて、特定の好ましい実施形態において、本発明の方法において使用される粒子状植物性材料は、粉(flour)及び/又はセモリナに対応するものとすることができることが認識されるであろう。「セモリナ」という用語は、粉がふるい分けられた後で残る小麦の大きく堅い粒に対応する粒径を有する植物材料を指すことができることが認識されるであろう。
粒子状植物性材料は、約1000μm(すなわち、約1mm)未満の平均粒径を有することが好ましい。
粒子状植物性材料は、約30μm、50μm、70μm、90μm、100μm、120μm、150μm、170μm、190μm、200μm、220μm、240μm、250μm、260μm、270μm、280μm、290μm、300μm、310μm、320μm、330μm、340μm、350μm、360μm、370μm、380μm、390μm、400μm、410μm、420μm、430μm、440μm、450μm、460μm、470μm、480μm、490μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、及び約950μmの平均粒径を有することがより好ましい。
本発明の内容において、「流体流れ内に懸濁される」とは、粒子状植物性物質又は粒子状植物性材料が、流体流れ又は流体場の中で、分配され、混合され、分散され、浮遊し、又はそれ以外の仕方で維持され、その結果、流体−粒子混合物が流体様の特性で挙動し又は流体様の特性を示すことを意味する。例えば、これは、加圧流体を、粒子の重量を流動化状態で支持するのに十分な率又は速度で、粒子状媒体を通して導入することにより達成することができる。その上、流体流れ内に懸濁された粒子状物質に高温を適用することにより、均一又は一様な温度場を維持する一方で、顕著かつ迅速な熱容量及び熱伝達で粒子の流動化がもたらされる。このような条件下での熱伝達は、むらのない制御された粒子の熱処理をもたらし、それにより、焼け焦げた粒子及び不均一な熱処理を排除し又は最小化することが認識されるであろう。特に好ましい実施形態において、粒子状植物性材料は、流体流れにより懸濁される。
上記のことを鑑みて、好ましい実施形態において、粒子状植物性材料は流動化状態にあることが認識されるであろう。
他の好ましい実施形態においては、粒子状植物性材料は、連続的な流体流れ内に懸濁される。
流体は、気体又は液体であることが意図される。流体は気体であることが好ましく、気体は空気であることがより好ましい。
上述のように、流体様特性を示す流体−粒子混合物を生成する、特に粒子状物質を支持するのに十分な速度の、加圧流体を用いることができる。一般的な実施形態によれば、速度は、約2m/秒から約7m/秒までの間にあることが好ましく、約3m/秒、4m/秒、5m/秒、又は6m/秒であることがより好ましい。
特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、流体流れ内に懸濁された粉、セモリナ又は他の粒子状植物性材料を、流動層(流動床)乾燥機を用いて高温にすることができる。
本発明の方法で用いるのに適した流動層乾燥機システム1の非限定的な例である図1を参照する。流動層乾燥機1は、保持容器2と、供給物入口3と、製品出口12とを含む。供給物入口3は、ホッパー4経由で未処理の粒子状植物性材料5をその後の処理のための保持容器2の中に供給する。製品出口12は、処理済みの粒子状植物性材料11を保持容器2から他の下流の処理ステップへ、あるいは後で使用するための貯蔵場所へ運ぶ。好ましい実施形態において、供給物入口3及び製品出口12は、コンベヤ機構により動作することが想定される。代替的な実施形態において、未処理の粒子状植物性材料5は、回転弁を経由して保持容器2に入る。
保持容器2は、熱源7及び流体源8をさらに含む。加熱された流体、特に空気を熱源7の上に通すことにより発生させた熱風13が、多孔板分散器6を通して供給される。多孔板分散器6は、上向きに流れる熱風13を拡散させ、拡散した熱風が、安定で一様な流動層の生成を助ける。熱風(高温空気)13は、未処理の粒子状植物性材料5の層の中を、粒子状物質の流動化を開始させ且つ支持する速度で流れ、これにより粒子状物質の流動層9を発生させる。この環境において、粒子状物質の流動層9の中に泡が形成され、それが崩壊し、粒子の移動を促進させるので、熱風−粒子状物質混合物は流体に似た特性を示す。この方法の副産物は、排気筒10を経由して保持容器2から排出される湿潤空気である。
流動層により与えられる特有の利点は、気体と粒子状材料との間の高レベルの接触を促進する能力であり、これによって対流性熱伝達を利用した高い熱移動が生じ、その結果、十分に混合された気体と類似であり得る熱的一様性が可能になる。
当業者には認識されるように、熱処理前及び熱処理後の粒子状植物性材料の含水率は、本発明の方法におけるさらなる考慮事項である。一般的な実施形態によれば、粒子状植物性材料の開始時の含水率は、約7%と約20%の間にあることが好ましく、約9%と約17%の間にあることがより好ましく、約16%、15%、14%、13%、12%、11%又は10%であることがさらにより好ましい。さらに、出発材料の含水率は、約13%であることがさらにより好ましい。
上述の方法に従う高温での処理から得られる粒子状植物性材料の含水率は、約5%未満であることが好ましく、約4%未満であることがより好ましく、3%未満であることがさらになお好ましい。
粒子状植物性材料を高温にするステップは、バッチシステム又は連続システムのいずれかで行うことができる。このステップは、バッチシステムで行うことが有利である。
上記のことを鑑みて、好ましい実施形態によれば、粒子状植物性材料は、本発明の方法に適した粒度分布、又は、下流側における乾燥粒子状植物性材料の使用に適した粒度分布を達成するために、所望の粒径に粉砕又は再粉砕することができることが認識されるであろう。本発明の方法はさらに、上述のような一定の平均粒径を有する粉及び/又はセモリナを製造するために、粒子状植物性材料、特に粉砕された粒子状植物性材料を、所定サイズのふるいを通して選別又はふるい分けすることを含むことができる。
粉砕ステップとふるい分けステップとの組み合わせはまた、規格外製品の量を最小化し、従って収率低下及び廃棄物の量を最小化する一方で、所望の全体としての粒径を達成するため利用することもできることが認識されるであろう。上記のことを鑑みて、粉砕、ふるい分け及び/又は選別ステップは、従来の製粉機で行うことができることも認識されるであろう。
熱処理された又は乾燥された粒子状植物性材料が、所望の食品又はその他の食品に配合するのにふさわしくない平均粒径を有する実施形態においては、熱処理された粒子状植物性材料に対して粉砕又は再粉砕のいずれかを行って、滑らかな舌触りである必要がある食品に配合するのに適した平均粒径を有する粉を製造することができる。これらの特定の実施形態によれば、本発明の方法は、乾燥粒子状植物性材料を約100μm未満の平均粒径を有する粉に粉砕又は再粉砕することをさらに含む。乾燥粒子状植物性材料を、約30μmと約80μmの間の平均粒径を有する粉に粉砕又は再粉砕することがより好ましい。乾燥粒子状植物性材料を、約50μmの平均粒径を有する粉に粉砕又は再粉砕することがさらになお好ましい。
特に好ましい実施形態において、粒子状植物性材料は、外皮が除去される。外皮が除去された粒子状植物性材料が意図される実施形態において、粒子状植物性材料の外皮は必ずしも完全に除去されなくてもよく、従って、少量の外皮が粒子状植物性材料上に残っていてもよく、方法の後段でこれを取り除いてもよいことが認識されるであろう。
粒子状植物性材料の外皮の除去は、剥皮機、又は、米の外皮を除去して精米するために用いられるものと同様の精米機のような代替的な研磨方法を用いて行うことができる。外皮除去方法は、連続方法又はバッチ方法のいずれとすることもできる。
一般的な実施形態において、粒子状植物性材料を水分に、好ましくは12時間と24時間との間の時間にわたって、曝すことによって、粒子状植物性材料を調質するのがよい。調質は、粒子状植物性材料の水分を高温処理に必要とされるレベルまで上昇させること、及び、外皮を除去し易くして粒子状植物性材料の損失を減らすために粒子状植物性材料の外皮をゆるめることによって、本発明の方法を補助することができることが認識されるであろう。
流体流れ内に懸濁された粒子状植物性材料を高温にすることは、所望の風味及び/又は特性を粒子状植物性材料に与えるための手段である。例として、特定の実施形態において、ナッツ風味のナッツフリー・塗り広げ可能な食品に使用するために、ナッツに似た風味を非ナッツ系粒子状植物性材料に与える。他の実施形態において、ロースト風味を粒子状植物性材料に与える。さらに別の実施形態において、生の粒子状植物性材料の風味を中和させる。さらに、温度処理の様々なパラメータは、色及び風味の要求に応じて変化させるのがよい。特定の好ましい実施形態において、高温を、焙焼(ロースト)によって達成することができる。
高温は、約100℃から約400℃までの間にあることが好ましい。更に好ましくは、高温は、約120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃、250℃、260℃、270℃、280℃、290℃、300℃、310℃、320℃、330℃、340℃、350℃、360℃、370℃、380℃又は約390℃である。
粒子状植物性材料を高温にする持続時間は、乾燥粒子状植物性材料に要求される特性及び/又は風味を発現させるためのさらなる要因である。好ましい実施形態において、処理時間は、約3分間と約25分間との間であり、更に好ましくは、約4分間、5分間、6分間、7分間、8分間、9分間、10分間、11分間、12分間、13分間、14分間、15分間、16分間、17分間、18分間、19分間、20分間、21分間、22分間、23分間及び約24分間である。更に好ましくは、処理時間は、約4.5分間である。
それだけに限らないが、典型的には、粒子状植物性材料は種子であり、従って胚芽と外被とで構成される。本発明の代替的な好ましい実施形態において、外被は、高温での処理の前に、植物性材料、特にリョクトウから除去される。本実施形態によれば、外被は、最終含量の5%w/wを超えて含まれることはないが、食品、好ましくは塗り広げ可能な食品の1%w/w未満であることが好ましい。
好ましい実施形態において、粒子状植物性材料、より具体的には種子を、処理に先立って発芽させるが、当業者であれば、多くの粒子状食物材料、特にマメ科植物を発芽させることができることを認識するであろう。発芽ステップを取り入れることで、幾つかの食品の栄養価を高めることができる。発芽は、種子に多くの顕著な生化学的変化をもたらす複雑な方法である。一般に、発芽を支持する条件は、十分な水分、温かい温度、及び通常は光がほとんどないこと又は全くないことである。ほとんどの種子は、暗闇で最も良く発芽するが、ある種のものは光を必要とする。発芽は、制御された条件下で粒子状植物性材料を水分に曝すことにより誘発することができる。発芽は、光欠乏条件下で室温にて行われることが好ましい。
発芽の持続時間は様々に変化させることができる。発芽は、12時間から48時間までの間で行われることが好ましい。発芽は、24時間かけて進行させることがより好ましい。
本発明の方法により製造される乾燥粒子状植物性材料は、味が良く、かつ栄養価が高い食品の基礎を形成することができることを容易に認識することができる。さらに、本明細書において本発明について説明した方法は、特定の要件に適するように粒子状植物性材料に適用することができる。例えば、大豆フリー食品が要求される場合には、非大豆系粒子状材料を出発原料として用いることができる。非限定的な食品の例は、焼いた製品(ケー粟スケット、ケーキとビスケットの混合物、パン、ペストリーを含む)、飲料等の液体食品、ソース等の半流動体食品、粉、朝食用シリアル、ソーセージの構成材料、栄養サプリメント、栄養補給バー又はエネルギー補給バー、スナックバー、及びディップその他のスプレッドのような塗り広げ可能な食品を含む。本発明の食品の組成は、種々の味の要求に合わせて適合することができることが意図される。例えば、1つの実施形態において、意図される塗り広げ可能な食品は、ナッツフリーのピーナッツバター代用品とすることができる。別の実施形態において、塗り広げ可能な食品は、チョコレート風味のナッツフリー・塗り広げ可能な食品とすることができる。
本発明を容易に理解し、かつ実際に実行するために、以下の非限定的な実施例を提示する。
〔実施例〕
本発明者らは、以下の条件を流動層乾燥機で試験した。以下の成分を有する外皮を除去したリョクトウを用いた。
たんぱく質含量 25%
炭水化物 57%
脂肪 1.1%
粗繊維 0.6%
灰分 3.5%
処理のためのリョクトウの開始時の水分を9%、13%及び17%に調整した。リョクトウの粒径は、85ミクロンよりも小さいものと、150ミクロンよりも小さいものと、250から450ミクロンのものであった。入口地点で測定した、流動層に送給される空気の温度は、160℃、190℃、210℃、220℃、230℃、240℃、250℃、260℃及び270℃であった。試験した処理時間は、3.5分から20分までであった。気流速度は、2.1から5m/秒であった。
望ましい最終製品を生成するには、以下の条件が最も有効であることが見出された。
水分 13%
粒径 250から450ミクロン
温度 270℃
気流速度 3m/秒
時間 4.5分
リョクトウ粉の最終水分 3%よりも小さい。
スプレッドの場合の成分として用いるためには、この材料は、熱処理後に再粉砕され、50ミクロンまで粉砕されることに留意されたい。
本明細書全体を通して、本発明をいずれか1つの実施形態又は特定の特徴の集合に限定することなく、本発明の好ましい実施形態を説明することが目的である。従って、当業者であれば、本開示を鑑みて、本発明の範囲から逸脱することなく、例証された特定の実施形態に対して種々の修正及び変更を行うことができることを認識するであろう。
本明細書で言及されるすべてのコンピュータプログラム、アルゴリズム、特許及び科学文献は、引用により本明細書に組み入れられる。

Claims (7)

  1. 食品に用いられる粒子状非ナッツ系マメ科植物性材料を熱処理する方法であって、粉砕又は製粉され且つ流動層乾燥機内の流体流れ内に懸濁された粒子状非ナッツ系マメ科植物性材料を4〜10分間にわたって180〜300℃の高温にして、所望のナッツ風味特性を前記粒子状非ナッツ系マメ科植物性材料に発現させるステップを含み、それにより、前記粒子状非ナッツ系マメ科植物性材料を熱処理し、
    前記粒子状非ナッツ系マメ科植物性材料は、ヒヨコマメ(chickpea)、ソラマメ(faba bean)、インゲンマメ(kidney bean)及びリョクトウ(mungbean)からなる群から選択される、方法。
  2. 前記粒子状非ナッツ系マメ科植物性材料が、1000μm未満の平均粒径を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記粒子状非ナッツ系マメ科植物性材料が、リョクトウである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記粒子状非ナッツ系マメ科植物性材料が、外皮が除去されたものである、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記高温が、250℃と300℃の間にある、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記高温が、270℃である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  7. 食品を製造するのに使用される、請求項1に記載の方法。
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