JP6090685B1 - 超硬合金および被覆超硬合金 - Google Patents

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Abstract

Zrの炭酸化物を含む超硬合金及び被覆超硬合金であって、耐欠損性を有する超硬合金を提供する。本発明の超硬合金は、炭化タングステンを主成分とする硬質相と、Co、NiおよびFeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を主成分とする結合相とを含む超硬合金であり、超硬合金の表面から500μmの深さの位置よりも内部の領域において、硬質相75質量%以上95質量%以下と、結合相5質量%以上25質量%以下とを含み、硬質相は、Zrの炭酸化物を含み、超硬合金の表面から500μmの深さまでの範囲の表面領域におけるZrの炭酸化物の平均含有量(体積%)をZrsur、表面領域よりも内部の内部領域におけるZrの炭酸化物の平均含有量(体積%)をZrinとしたとき、Zrsur/Zrinは、0.25以上0.80以下である。

Description

本発明は超硬合金および被覆超硬合金に関するものである。
航空機部品等に使用されるチタン合金、発電機用のタービンブレードに使用されるニッケル基耐熱合金やコバルト基耐熱合金等のような難削材を、切削加工により加工する機会が増えている。ニッケル基耐熱合金やコバルト基耐熱合金等の熱伝導率が低い難削材の切削加工においては、切削温度が高くなりやすい。そのような高温の加工においては、切削工具の刃先の強度が低下することにより、欠損が生じるため、これまでの一般鋼の加工よりも工具寿命が極端に短くなる。そこで、難削材の切削においても切削工具の長寿命を達成するために、切削工具の高温強度を高めることが要求されている。
例えば、特許文献1には、超硬合金において、Zrを含む炭酸化物と、ZrとWとを含む複炭化物との平均粒子径の比を制御することにより、超硬合金の高温強度を改善する方法が提案されている。
特開2009−74121号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の超硬合金では、Zrを含む炭酸化物の分散状態が制御されていないため、耐欠損性が不十分であり、その結果、工具寿命が短いという問題がある。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、Zrの炭酸化物を含む超硬合金及び被覆超硬合金であって、耐欠損性を有する超硬合金及び被覆超硬合金を提供することを目的とする。
本発明者は、超硬合金および被覆超硬合金について種々の検討を行った。その結果、本発明者は、超硬合金の組織を工夫することにより、Zrの炭酸化物を含むにもかかわらず、耐欠損性を有する超硬合金を得ることができることを明らかにし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)炭化タングステンを主成分とする硬質相と、Co、NiおよびFeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を主成分とする結合相とを含む超硬合金であり、前記超硬合金の表面から500μmの深さの位置よりも内部の領域において、硬質相75質量%以上95質量%以下と、結合相5質量%以上25質量%以下とを含み、前記硬質相は、Zrの炭酸化物を含み、前記超硬合金の表面から500μmの深さまでの範囲の表面領域における前記Zrの炭酸化物の平均含有量(体積%)をZrsur、前記表面領域よりも内部の内部領域における前記Zrの炭酸化物の平均含有量(体積%)をZrinとしたとき、Zrsur/Zrinは、0.25以上0.80以下である、超硬合金。
(2)前記超硬合金の表面から500μmの深さの位置よりも内部の領域において、前記Zrの炭酸化物の含有量は、前記内部の領域の全体に対して、0.05質量%以上3.5質量%以下である、(1)の超硬合金。
(3)前記結合相は、Coを主成分として含み、前記超硬合金の表面から5μmの深さまでの範囲の領域におけるCoの平均含有量(質量%)をCosur、前記超硬合金の表面から5μmの深さの位置よりも内部の領域におけるCoの平均含有量(質量%)をCoinとしたとき、Cosur/Coinは、0.60以上0.90以下である、(1)または(2)の超硬合金。
(4)前記硬質相は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、CrおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素の炭化物、窒化物または炭窒化物をさらに含む、(1)〜(3)のいずれかの超硬合金。
(5)(1)〜(4)のいずれかの超硬合金と、前記超硬合金の表面に形成された、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、AlおよびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素と、C、N、OおよびBからなる群より選ばれる少なくとも1種の非金属元素との化合物からなる被覆層と、を含む被覆超硬合金。
(6)前記被覆層が、単層または2層以上の積層である、(5)の被覆超硬合金。
(7)前記被覆層全体の平均厚さが1.0μm以上10μm以下である、(5)または(6)の被覆超硬合金。
本発明によると、Zrの炭酸化物を含む超硬合金及び被覆超硬合金であって、耐欠損性を有する超硬合金および被覆超硬合金を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
本実施形態の超硬合金は、炭化タングステン(WC)を主成分とする硬質相と、結合相とを含む超硬合金である。超硬合金の表面から500μmの深さの位置よりも内部の領域において、上記内部の領域全体(100質量%)に対する硬質相の割合は、75質量%以上95質量%以下である。一方、超硬合金の表面から500μmの深さの位置よりも内部の領域において、上記内部の領域全体(100質量%)に対する結合相の割合は、5質量%以上25質量%以下であり、硬質相の残部を占めることが好ましい。
本実施形態の超硬合金の上記領域において、硬質相の割合が75質量%以上であると、超硬合金の耐摩耗性が優れたものとなり、硬質相の割合が95質量%以下であると、超硬合金の耐欠損性が向上すると共に、相対的に残部の結合相量が多くなるため、超硬合金の製造の際の原料の焼結性が高くなる。その中でも、同様の観点から、硬質相の割合が86質量%以上95質量%以下であって、結合相の割合が残部であると、より好ましい。
本実施形態の超硬合金における硬質相は、炭化タングステンを主成分として含み、さらにZrの炭酸化物を含む。ここで、「主成分」とは、硬質相全体を100質量%としたとき、50質量%を超えて多く含むことを指す。硬質相における炭化タングステンの含有量は、硬質相全体を100質量%としたとき、70質量%以上であると好ましく、85質量%以上であるとより好ましい。本実施形態の超硬合金における硬質相は、炭化タングステンおよびZrの炭酸化物以外に、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、CrおよびMoからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素の炭化物、窒化物または炭窒化物をさらに含むと、耐摩耗性および耐塑性変形性が向上する傾向にあるため、好ましい。同様の観点から、上記金属元素は、Ti、TaおよびCrからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素であるとより好ましく、炭化物であるとより好ましい。
本実施形態の超硬合金における硬質相は、Zrの炭酸化物を含むことにより、その高温強度が向上する。そのため、このような超硬合金を材料とする工具は、熱伝導率が低い難削材の加工において、耐欠損性に優れる。本実施形態の超硬合金は、その超硬合金の表面から500μmの深さまでの範囲の表面領域におけるZrの炭酸化物の平均含有量(体積%)をZrsur、その超硬合金の表面から500μmの深さの位置よりも内部の領域(すなわち、表面領域よりも内部の内部領域)におけるZrの炭酸化物の平均含有量(質量%)をZrinとしたとき、Zrsur/Zrinが0.25以上0.80以下であると、耐欠損性が向上する。Zrsur/Zrinが0.25以上であると、耐欠損性が向上する一方、Zrsur/Zrinが0.80以下であると、巣孔の増加を抑制するため、やはり耐欠損性が向上する。同様の観点から、Zrsur/Zrinが0.50以上0.80以下であるとより好ましく、0.60以上0.80以下であると更に好ましい。
本実施形態の超硬合金の表面から500μmの深さの位置よりも内部の領域において、Zrの炭酸化物の含有量は、上記内部の領域の全体に対して、0.05質量%以上であると、高温強度がさらに向上する傾向を示し、3.5質量%以下であると、Zrの炭酸化物が破壊の起点となるのを抑制し、耐欠損性が向上しやすくなる。そのため、Zrの炭酸化物の含有量は、上記内部の領域の全体に対して、0.05質量%以上3.5質量%以下であると好ましく、0.10質量%以上3.0質量%以下であるとより好ましく、0.10質量%以上2.0質量%以下であると更に好ましい。
本実施形態の超硬合金における結合相は、Co、NiおよびFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を主成分とする結合相を含む。ここで、「主成分」とは、結合相全体を100質量%としたとき、50質量%を超えて多く含むことを指す。結合相における上記元素の含有量は、結合相全体を100質量%としたとき、75質量%以上であると好ましく、90質量%以上であるとより好ましい。
本実施形態の超硬合金における結合相は、Coを主成分として含むと、焼結性および超硬合金の靱性が向上することにより、工具の耐欠損性に更に優れるので好ましい。本実施形態の超硬合金において、超硬合金の表面から5μmの深さまでの範囲の領域におけるCoの平均含有量(質量%)をCosur、超硬合金の表面から5μmの深さの位置よりも内部の領域におけるCoの平均含有量(質量%)をCoinとしたとき、Cosur/Coinは、0.60以上0.90以下であると、切削工具の材料として用いた場合に、切りくずの溶着量が一層減少するため、好ましい。Cosur/Coinが、0.60以上であると、靭性が高くなり、その結果、耐欠損性が向上する。一方、Cosur/Coinが、0.90以下であると、切りくずの溶着量が減少する傾向があり、その結果、耐欠損性が向上する。
本実施形態の超硬合金の表面から500μmの深さの位置よりも内部の領域における硬質相および結合相の割合、硬質相および結合相の各組成は、以下のようにして求める。超硬合金の表面から深さ方向に500μmよりも内部の断面組織を、エネルギー分散型X線分光器(EDS)付き走査電子顕微鏡(SEM)にて観察し、EDSにより超硬合金の硬質相および結合相の各組成を測定する。その結果から、超硬合金の硬質相および結合相の割合を求めることができる。
なお、本実施形態の超硬合金におけるZrの炭酸化物は、以下のようにしてその存在を確認することができ、また、その含有量を求めることができる。超硬合金をその表面に対して直交する方向に研磨し、それにより現れた断面組織をSEMにて観察し、SEMに付属するEDSを用いて、Zrの炭酸化物の存在を確認することができ、また、その含有量を求めることができる。より具体的には、まず、超硬合金の表面から500μmの深さの位置よりも内部の領域におけるZrの炭酸化物の含有量については、超硬合金の表面から深さ方向に500μmよりも内部の断面組織を、エネルギー分散型X線分光器(EDS)付き走査電子顕微鏡(SEM)にて観察し、EDSにより超硬合金の硬質相および結合相の各組成を測定する。その結果から、超硬合金の硬質相および結合相の割合を求めることができる。また、Zrsur/Zrinについては、まず、SEMを用いて2,000倍〜5,000倍に拡大した超硬合金の断面組織を反射電子像で観察する。SEMに付属しているEDSを用いると、白色領域は炭化タングステンであり、濃灰色領域は結合相であり、黒色領域はZrの炭酸化物であることを特定することができる。その後、SEMを用いて超硬合金の表面から深さ方向に500μmまでの領域における断面組織の写真を撮影する。得られた断面組織の写真から市販の画像解析ソフトを用いて、超硬合金の表面から500μmの深さまでの領域におけるZrの炭酸化物の含有量(体積%)を求めることができる。その超硬合金において、少なくとも3箇所の、表面から500μmの深さまでの領域におけるZrの炭酸化物の含有量(体積%)を求め、その平均値を平均含有量Zrsurとする。次に、超硬合金において、少なくとも5箇所の、表面から深さ方向に500μmよりも内部におけるZrの炭酸化物の含有量(体積%)を求め、得られた値の平均値を平均含有量Zrinとし、Zrsur/Zrinを求める。
本実施形態の超硬合金におけるCosur/Coinは、以下のようにして求めることができる。超硬合金をその表面に対して直交する方向に研磨し、それにより現れた断面組織をSEMにて観察し、SEMに付属するEDSを用いて、Cosur/Coinを求めることができる。より具体的には、超硬合金において、10箇所の、表面から5μmの深さまでの領域におけるCo含有量を測定し、その平均値を平均含有量Cosurとする。また、超硬合金において、10箇所の、表面から500μmの位置よりも内部におけるCo含有量を測定し、その平均値を平均含有量Coinとし、Cosur/Coinを求める。
本実施形態の被覆超硬合金は、上記の超硬合金とその超硬合金の表面に形成された被覆層とを含む。かかる被覆超硬合金は、耐摩耗性を更に向上させたものである。本実施形態に係る被覆層は、単層であってもよく、2層以上の積層であってもよい。本実施形態に係る被覆層全体の平均厚さは、1.0μm以上であると耐摩耗性が向上し、10μm以下であると耐欠損性が向上する。そのような観点から、被覆層全体の平均厚さは1.0μm以上10μm以下であると好ましく、1.5μm以上8.0μm以下であるとより好ましく、2.5μm以上6.0μm以下であると更に好ましい。
本実施形態に係る被覆層は、被覆工具の被覆層として使用されるものであれば特に限定されない。その中でも、被覆層が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、AlおよびSiからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素と、C、N、OおよびBからなる群より選択される少なくとも1種の非金属元素とからなる化合物層であると、耐摩耗性が向上するため、好ましい。同様の観点から、被覆層が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、AlおよびSiからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素とN元素とからなる化合物層であるとより好ましい。
本実施形態に係る被覆層を構成する各層の厚さおよび被覆層全体の厚さは、被覆超硬合金の断面組織から光学顕微鏡、SEM、透過型電子顕微鏡(TEM)などを用いて測定することができる。なお、本実施形態の被覆超硬合金における各層の平均厚さおよび被覆層全体の平均厚さは、3箇所以上の断面から、各層の厚さおよび被覆層全体の厚さを測定して、その平均値を計算することで求めることができる。
また、本実施形態の被覆超硬合金における被覆層を構成する各層の組成は、本実施形態の被覆超硬合金の断面組織から、EDSや波長分散型X線分析装置(WDS)などを用いた測定により決定することができる。
本実施形態に係る被覆層は、化学蒸着法によって形成してもよく、物理蒸着法によって形成してもよい。その中でも、被覆層を物理蒸着法によって形成するのが好ましい。物理蒸着法としては、例えば、アークイオンプレーティング法、イオンプレーティング法、スパッタ法およびイオンミキシング法が挙げられる。その中でも、アークイオンプレーティング法は、超硬合金と被覆層との密着性により優れるので好ましい。
次に、本実施形態の超硬合金又は被覆超硬合金の製造方法について、具体例を用いて説明する。なお、本実施形態の超硬合金又は被覆超硬合金の製造方法は、当該超硬合金の構成を達成し得る限り特に制限されるものではない。
例えば、本実施形態の超硬合金又は被覆超硬合金の製造方法は、以下の工程(A)〜(K)を含む。
工程(A):平均粒径0.5〜5.0μmのZrの炭化物粉末を0.02kPa〜2.0kPaの酸素雰囲気にて、400℃〜700℃の温度に保持して5分〜60分加熱し、Zrの炭化物の周囲に酸素を吸着させる工程。
工程(B):平均粒径0.5μm〜5.0μmの炭化タングステン粉末67.0質量%〜95.0質量%と、上記工程(A)を経た平均粒径0.5μm〜5.0μmのZrの炭化物粉末0.05質量%〜4.0質量%と、平均粒径0.5μm〜3.0μmのCo、NiおよびFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属粉末5.0質量%〜25.0質量%と、任意に、平均粒径0.5μm〜5.0μmのTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、CrおよびMoからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物または炭窒化物の粉末0質量%〜5.0質量%とを配合(ただし、これらの合計は100質量%である)して配合粉末を得る工程。
工程(C):工程(B)において用意した配合粉末を溶媒とともに湿式ボールミルにより10時間〜40時間混合して混合物を得る混合工程。
工程(D):工程(C)において得られた混合物を、100℃以下で加熱および乾燥しながら溶媒を蒸発させて乾燥混合物を得る工程。
工程(E):工程(D)において得られた乾燥混合物に1.5質量%のパラフィンワックスを添加し、所定の工具の形状に成形して成形体を得る成形工程。
工程(F):工程(E)において得られた成形体を、70Pa以下の真空条件下にて、1200℃〜1400℃の温度まで昇温する第1昇温工程。
工程(G):工程(F)を経た成形体を、50Pa〜1330Paの一酸化炭素雰囲気下にて、1200℃〜1400℃の温度に保持して30分〜120分加熱する保持工程。
工程(H):工程(G)を経た成形体を、50Pa〜1330Paの不活性ガス雰囲気下にて、1400℃〜1600℃の温度まで昇温する第2昇温工程。
工程(I):工程(H)を経た成形体を、50Pa〜1330Paの不活性ガス雰囲気下にて、1400℃〜1600℃の温度に保持して30分〜120分焼結する焼結工程。
工程(J):工程(I)を経た成形体を、100kPa〜500kPaの不活性ガス雰囲気下にて、1400℃〜1600℃の温度から1200℃の温度まで、50℃〜100℃/分の速度で冷却する第1次冷却工程。
工程(K):工程(J)を経た成形体を、大気圧の不活性ガス雰囲気下にて、1200℃の温度から常温まで冷却する第2次冷却工程。
なお、工程(A)および工程(B)において使用される原料粉末の平均粒径は、米国材料試験協会(ASTM)規格B330に記載のフィッシャー法(Fisher Sub-Sieve Sizer(FSSS))により測定されたものである。
工程(A)〜(K)は、以下の意義を有する。
工程(A)では、Zrの炭化物の粉末を所定の条件で酸化処理することにより、Zrの炭化物の表面に酸素が拡散する。工程(A)を経た段階では、Zrの炭化物の内部まで酸素が拡散していないため、便宜上、Zrの炭化物と表記する。なお、所定の条件よりも温度または圧力が高くなると、酸化ジルコニウムが生成される。
工程(B)において、炭化タングステン粉末と、Co、NiおよびFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属粉末と、上記工程(A)を経たZrの炭化物の粉末と、任意に、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、CrおよびMoからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物または炭窒化物の粉末とを所定の配合割合で用いることにより、超硬合金の組成を特定の範囲に調整することができる。
工程(C)では、硬質相の平均粒径を調整することができる。また、工程(C)では、工程(B)で用意した原料粉末を均一に混合した混合物を得ることができる。
工程(D)では、混合物を加熱および乾燥することにより、溶媒を蒸発させた乾燥混合物を得ることができる。
工程(E)では、乾燥混合物にパラフィンワックスを添加し、所定の工具の形状に成形する。パラフィンを添加することにより、成形性が向上する。得られた成形体を、以下の焼結工程(工程(I))で焼結する。
工程(F)では、成形体を、70Pa以下の真空で昇温する。これにより、成形体における液相出現前および液相出現直後での脱ガスを促進するとともに、以下の焼結工程(工程(I))における焼結性を向上させる。また、昇温している過程で、Zrの炭化物の表面に拡散している酸素が、Zrの炭化物の内部に拡散することにより、Zrの炭酸化物を得ることができる。
工程(G)では、成形体を、一酸化炭素雰囲気下、1200℃〜1400℃の温度に保持する。これにより、成形体の表面領域におけるCo、NiまたはFeの酸化物における酸素と一酸化炭素とが反応し、表面領域におけるその中の酸素濃度が減少する。この反応により、Zrの炭酸化物がCo、NiまたはFe中に溶解し、表面領域において酸素を供給するとともに、Co、NiまたはFe中のZrの濃度も増加する。その結果、Zrが内部領域に拡散し、表面領域と内部領域のZrの炭酸化物の濃度を制御することができる。なお、後述の工程(K)の冷却時にZrの炭酸化物が析出する。
工程(H)では、成形体を、不活性ガス雰囲気下で1400℃〜1600℃の温度まで昇温する。
工程(I)では、成形体を、不活性ガス雰囲気下で1400℃〜1600℃の温度で焼結する。これにより、成形体は緻密化し、成形体の機械的強度が高まる。また、工程(I)でCo、NiまたはFe中に溶解したZrの炭酸化物が内部領域に拡散し、析出するので、Zrsur/Zrinを制御することができる。さらに、成形体の表面近傍におけるCo、NiまたはFeを蒸発させることにより、表面近傍のCo、NiまたはFeの濃度が減少する。
工程(J)では、成形体を、100kPa〜500kPaの不活性ガス雰囲気下で、1400℃〜1600℃の温度から1200℃の温度まで、5〜30℃/minの速度にて急冷する。これにより、成形体の内部から表面近傍にCo、NiまたはFeが浸み出すのを抑制することができる。工程(I)と工程(J)の条件を組み合わせることにより、Cosur/Coinを制御することができる。
工程(K)では、成形体を、大気圧の不活性ガス雰囲気下で、1200℃の温度から常温まで冷却して超硬合金を得る。これにより、超硬合金が酸化するのを防ぐことができる。
工程(A)から工程(K)を経て得られた超硬合金に対して、必要に応じて、研削加工や刃先のホーニング加工を施してもよい。
次に、本実施形態の被覆超硬合金の製造方法について、具体例を用いて説明する。なお、本実施形態の被覆超硬合金の製造方法は、当該被覆超硬合金の構成を達成し得る限り特に制限されるものではない。
工具形状に加工した本実施形態の超硬合金を物理蒸着装置の反応容器内に収容し、反応容器内をその圧力が1×10−2Pa以下の真空になるまで真空引きする。真空引きした後、反応容器内のヒーターにより超硬合金をその温度が200〜800℃になるまで加熱する。加熱後、反応容器内にArガスを導入して、反応容器内の圧力を0.5〜5.0Paとする。圧力0.5〜5.0PaのArガス雰囲気下にて、超硬合金に−200〜−1000Vのバイアス電圧を印加し、反応容器内のタングステンフィラメントに5〜20Aの電流を流して、超硬合金の表面にArガスによるイオンボンバードメント処理を施す。超硬合金の表面にイオンボンバードメント処理を施した後、反応容器内をその圧力が1×10−2Pa以下の真空になるまで真空引きする。
次いで、超硬合金をその温度が200℃〜600℃になるまで加熱する。その後、窒素ガスなどの反応ガスを反応容器内に導入し、反応容器内の圧力を0.5〜5.0Paに調整する。そして、超硬合金に−10〜−150Vのバイアス電圧を印加し、被覆層の金属成分に応じた金属蒸発源を80〜150Aのアーク放電により蒸発させて、超硬合金の表面に被覆層を形成する。こうして、被覆超硬合金を得る。
本実施形態の超硬合金および被覆超硬合金は、特に難削材の加工において、優れた加工性能を有するものであるため、工具の構成材料として好適に用いることができる。本実施形態の超硬合金および被覆超硬合金を、例えば切削工具の構成材料として用いた場合、特に難削材の切削加工に対し優れた性能を有する。また、熱伝導率が低い難削材を加工するための工具(例えば切削工具)の材料として本実施形態の超硬合金および被覆超硬合金を用いた場合、その超硬合金および被覆超硬合金は、優れた高温強度および耐欠損性を有するので、特に有用である。
(実施例1)
[超硬合金の製造]
原料粉末として、市販されている、平均粒径1.5μmの炭化タングステン粉末、平均粒径3.0μmのZrの炭化物(以下、「ZrC」と表記する。)の粉末、平均粒径3.0μmのTiC粉末、平均粒径3.0μmのTaC粉末、平均粒径3.0μmのCr粉末および平均粒径1.5μmのCo粉末を用意した。なお、原料粉末の平均粒径は、米国材料試験協会(ASTM)規格B330に記載のフィッシャー法(Fisher Sub-Sieve Sizer(FSSS))により測定されたものである。
発明品1〜17、並びに、比較品2、3、5、6、8、9、11および13については、用意したZrC粉末を酸素雰囲気に制御できる炉に収容した後、70Pa以下の真空にて室温から500℃まで昇温した。炉内温度が500℃に達した後、炉内圧力が0.5kPaになるまで炉内に酸素を導入した。炉内圧力が0.5kPaの酸化雰囲気下にて、ZrCを酸化処理した。これにより、表面に酸素が拡散したZrCの粉末を得た。
用意した原料粉末を下記表1の配合組成になるように秤量して、秤量した原料粉末をアセトン溶媒と超硬合金製ボールと共にステンレス製ポットに収容し、湿式ボールミルで5〜40時間の混合および粉砕を行った。このとき、発明品1〜17、並びに、比較品2、3、5、6、8、9、11および13については、酸化処理の工程を経たZrC粉末を用いた。比較品12については、酸化処理していないZrC粉末を用いた。湿式ボールミルによる混合・粉砕後、アセトン溶媒を蒸発して得られた乾燥混合物に、パラフィンワックスを1.5質量%添加し、焼結後の形状がISO規格インサート形状CNMG120408になる金型を用いて、圧力196MPaでプレス成形して、混合物の成形体を得た。
Figure 0006090685
*「配合組成」の欄における「ZrC」とは、酸化処理の工程を経ているため、表面に酸素が拡散しているZrCを意味する(ただし、ZrCの内部まで酸素は拡散していない)。
混合物の成形体を焼結炉内に収容した後、70Pa以下の真空にて室温から下記表2(a)に記載の昇温温度T1(℃)まで昇温した。炉内温度が昇温温度T1(℃)になった後、炉内圧力が表2(b)に記載の炉内圧力P1(Pa)になるまで一酸化炭素ガスを焼結炉内に導入した。それらの温度T1及び炉内圧力P1の一酸化炭素雰囲気下にて、60分間保持した。その後、一酸化炭素ガスを排気して、炉内圧力が表2(c)に記載の炉内圧力P2(Pa)になるまでアルゴンガスを炉内に導入することで、一酸化炭素ガスをアルゴンガスにより置換した。アルゴンガス雰囲気に置換した後、表2(d)に記載の焼結温度T2(℃)まで炉内を昇温し、その温度T2(℃)にて60分間保持した。これにより、成形体を焼結した。焼結後、炉内圧力が表2(e)に記載の炉内圧力P3(kPa)になるまでアルゴンガスを炉内に導入して加圧し、焼結温度がT2(℃)から1200℃まで表2(f)に記載の冷却速度R(℃/min)で冷却した。
Figure 0006090685
上記のようにして混合物の成形体を焼結することにより、超硬合金が得られた。湿式ブラシホーニング機により、得られた超硬合金の刃先にホーニング処理を施した。
[被覆層の形成]
アークイオンプレーティング装置の反応容器内に、金属蒸発源を設置した。金属蒸発源の組成は、Ti:Al=50:50(原子比)であった。上記のようにして作製した超硬合金を、アークイオンプレーティング装置の反応容器内のホルダーに取り付けた。反応容器内の圧力を、1×10−2Pa以下の真空にした。炉内ヒーターにより、超硬合金を500℃に加熱した。超硬合金の温度が500℃になった後、反応容器内の圧力が5Paになるまで、反応容器内にArガスを導入した。反応容器内の超硬合金に−1000Vのバイアス電圧を印加して、超硬合金の表面にArイオンボンバードメント処理を施した。イオンボンバードメント条件は、以下の通りにした。
反応容器内の雰囲気:Ar雰囲気
反応容器内の圧力 :5Pa
Arイオンボンバードメント処理後、Arガスを排出して反応容器内の圧力を1×10−2Pa以下の真空にした。その後、反応容器内にNガスを導入して、反応容器内を圧力3Paの窒素雰囲気にした。次に、炉内ヒーターにより、超硬合金を600℃に加熱した。超硬合金を加熱した後、超硬合金に−50Vのバイアス電圧を印加するとともに、150Aのアーク放電によって金属蒸発源を蒸発させた。これにより、超硬合金の表面に被覆層を形成した。被覆層を形成した後、試料を冷却した。試料温度が100℃以下になった後、反応容器内から試料を取り出した。
得られた試料(被覆超硬合金からなる切削工具)を、その表面に対して直交する方向に鏡面研磨した。
金属蒸発源に対向する面の刃先から、当該面の中心部に向かって50μmの位置の近傍において、上記鏡面研磨により現れた面(以下、「鏡面研磨面」という。)を観察した。鏡面研磨面の観察には、光学顕微鏡およびFE−SEMを用いた。観察された鏡面研磨面の画像から、被覆層の厚さを3箇所で測定した。測定された被覆層の厚さの平均値を算出した。被覆層の組成を、FE−SEM付属のEDS、および、FE−SEM付属のWDSを用いて測定した。全ての試料の被覆層の組成は、(Ti0.5Al0.5)Nであった。また、全ての試料の被覆層全体の平均厚さは、3.0μmであった。
得られた試料を、表面に対して直交する方向に鏡面研磨した。
その鏡面研磨面について、超硬合金の表面(被覆超硬合金における被覆層と超硬合金との界面)から深さ方向に500μmよりも内部の断面(鏡面研磨面)組織を、EDS付きSEMにて観察した。
EDSにより被覆超硬合金における超硬合金の硬質相および結合相の各組成を測定した。その結果から、超硬合金の硬質相および結合相の割合を求めた。その結果を、表3に示す。
Figure 0006090685
被覆超硬合金をその表面に対して直交する方向に研磨した。EDS付きSEMにて3,000倍に拡大した被覆超硬合金の断面(研磨により現れた面)組織を反射電子像で観察した。EDS付きSEMにて、白色領域は炭化タングステンであり、濃灰色領域は結合相であり、黒色領域はZrの炭酸化物であることを特定した。その後、SEMを用いて超硬合金の表面(被覆超硬合金における被覆層と超硬合金との界面)から500μmの深さまでの領域における断面組織の写真を撮影した。得られた断面組織の写真から市販の画像解析ソフトを用いて、超硬合金の表面(被覆超硬合金における被覆層と超硬合金との界面)から500μmの深さまでの領域におけるZrの炭酸化物の含有量(体積%)を求めた。同様の方法にて、少なくとも3箇所の、超硬合金の表面(被覆超硬合金における被覆層と超硬合金との界面)から500μmの深さまでの領域におけるZrの炭酸化物の含有量(体積%)を求め、その平均値をZrsurとした。次に、少なくとも5箇所の、超硬合金の表面(被覆超硬合金における被覆層と超硬合金との界面)から500μmの深さの位置よりも内部におけるZrの炭酸化物の含有量(体積%)をそれぞれ求め、得られた値の平均値をZrinとした。その結果から、Zrsur/Zrinを求めた。その結果を、表4に示す。
引き続き、超硬合金の表面に対して直交する方向に研磨して現れた断面組織をEDS付きSEMにて観察した。超硬合金の表面(被覆超硬合金における被覆層と超硬合金との界面)から5μmの深さまでの領域における10箇所のCo含有量(質量%)を測定し、その平均値をCosurとした。また、超硬合金の表面(被覆超硬合金における被覆層と超硬合金との界面)から5μmの深さの位置よりも内部の領域における任意の10箇所のCo含有量(質量%)を測定し、その平均値をCoinとした。その結果から、Cosur/Coinを求めた。その結果を、表4に示す。
Figure 0006090685
得られた試料を用いて、切削試験を行った。切削試験は切込み境界部における耐欠損性を評価する試験である。切削試験の条件を下記に、結果を表5に示す。
[切削試験]
加工形態:旋削、
工具形状:CNMG120408、
被削材:インコネル718(インコネル:登録商標)、
被削材形状:400mm×Φ120mm(形状:丸棒)、
切削速度:30m/min、
送り:0.10mm/rev、
切り込み:1.0mm、
クーラント:使用、
評価項目:試料が欠損に至るまでの加工時間を測定した。
Figure 0006090685
表5に示す結果より、発明品の加工時間は、いずれの試料も11.3分以上であり、比較品よりも加工時間が長く、耐欠損性に優れることが分かる。
(実施例2)
実施例1の発明品1〜17と同じ条件で作製した超硬合金の表面にアークイオンプレーティング装置を用いて被覆層を形成した。具体的には、まず、アークイオンプレーティング装置の反応容器内に、金属蒸発源を設置した。金属蒸発源の組成は、表6に示す被覆層の組成に対応するものとした。発明品1〜17と同様に作製した超硬合金の表面に、表6に示す厚さの被覆層を形成したものを発明品18〜34とした。被覆層は、組成及び平均厚さを表6に示すようにした以外は、実施例1の条件と同じ条件で形成した。発明品18〜34について、実施例1と同じ切削試験を行った。その結果を表7に示す。
Figure 0006090685
Figure 0006090685
表7に示す結果より、発明品18〜34の加工時間は、いずれの試料も11.5分以上であり、比較品よりも加工時間が長く、耐欠損性に優れることが分かる。
本発明の超硬合金および被覆超硬合金は、Zrの炭酸化物を含むことにより高温強度が向上するだけでなく、耐欠損性にも優れる。そのため、特に難削材の加工において、切削工具として好適に利用することができるので、その点において産業上の利用価値が高い。

Claims (7)

  1. 炭化タングステンを主成分とする硬質相と、Co、NiおよびFeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を主成分とする結合相とを含む超硬合金であり、
    前記超硬合金の表面から500μmの深さの位置よりも内部の領域において、前記硬質相75質量%以上95質量%以下と、前記結合相5質量%以上25質量%以下とを含み、
    前記硬質相は、Zrの炭酸化物を含み、
    前記超硬合金の表面から500μmの深さまでの範囲の表面領域における前記Zrの炭酸化物の平均含有量(体積%)をZrsur、前記表面領域よりも内部の内部領域における前記Zrの炭酸化物の平均含有量(体積%)をZrinとしたとき、Zrsur/Zrinは、0.25以上0.80以下である、超硬合金。
  2. 前記超硬合金の表面から500μmの深さの位置よりも内部の領域において、前記Zrの炭酸化物の含有量は、前記内部の領域の全体に対して、0.05質量%以上3.5質量%以下である、請求項1に記載の超硬合金。
  3. 前記結合相は、Coを主成分として含み、
    前記超硬合金の表面から5μmの深さまでの範囲の領域におけるCoの平均含有量(質量%)をCosur、前記超硬合金の表面から5μmの深さの位置よりも内部の領域におけるCoの平均含有量(質量%)をCoinとしたとき、Cosur/Coinは、0.60以上0.90以下である、請求項1または2に記載の超硬合金。
  4. 前記硬質相は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、CrおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素の炭化物、窒化物または炭窒化物をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の超硬合金。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の超硬合金と、前記超硬合金の表面に形成された、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、AlおよびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素と、C、N、OおよびBからなる群より選ばれる少なくとも1種の非金属元素との化合物からなる被覆層と、を含む被覆超硬合金。
  6. 前記被覆層が、単層または2層以上の積層である、請求項5に記載の被覆超硬合金。
  7. 前記被覆層全体の平均厚さが1.0μm以上10μm以下である、請求項5または6に記載の被覆超硬合金。
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