JP6969732B1 - 超硬合金およびそれを含む切削工具 - Google Patents

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Abstract

第1硬質相粒子と、第2硬質相粒子と、第3硬質相粒子と、金属結合相と、を備える超硬合金であって、前記超硬合金は合計70個の単位領域を有し、前記合計70個の前記単位領域のうち、合計70個の前記単位領域の内部に存する前記第2硬質相粒子および前記第3硬質相粒子の合計個数に対する、それぞれの前記単位領域の内部に存する前記第2硬質相粒子および前記第3硬質相粒子の合計個数の百分率が0.43%未満または2.43%超となる前記単位領域の数が10以下であり、縦方向の4行目に存在する合計10個の前記単位領域において、前記第2硬質相粒子、および、前記第3硬質相粒子の合計個数に対する、前記第3硬質相粒子の個数の百分率が5%以上15%以下である、超硬合金である。

Description

本開示は、超硬合金およびそれを含む切削工具に関する。本出願は、2020年4月15日に出願した日本特許出願である特願2020−072993号に基づく優先権を主張する。当該日本特許出願に記載された全ての記載内容は、参照によって本明細書に援用される。
チタン(Ti)を含む硬質材料として超硬合金、サーメットなどが知られている。これらの硬質材料は、耐摩耗性に優れるため、切削工具、耐摩耗性工具などに好適に用いられている。たとえば国際公開第2011/136197号(特許文献1)には、Tiを含む複合炭窒化物からなる第1硬質相と、炭化タングステン(WC)からなる第2硬質相と、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)の両方またはいずれか一方を主成分とする結合相とからなるサーメットが開示されている。さらに国際公開第2017/191744号(特許文献2)には、WCを主成分とする第一硬質相と、TiおよびWを含む複合炭窒化物を主成分とする第二硬質相とを備えた超硬合金が開示されている。
国際公開第2011/136197号 国際公開第2017/191744号
本開示の超硬合金は、
第1硬質相粒子と、第2硬質相粒子と、第3硬質相粒子と、金属結合相と、を備える超硬合金であって、
前記第1硬質相粒子は、炭化タングステンを含み、
前記第2硬質相粒子は、粒状の芯部と、前記芯部の少なくとも一部を被覆する周辺部と、を有し、
前記芯部は、Ti1-X-ZNbXZ1-YYで示される第1複合炭窒化物からなり、
前記周辺部は、前記芯部と組成が異なり、少なくともチタン、ニオブおよびタングステンを含む炭窒化物である第2複合炭窒化物からなり、
前記Mは、バナジウム、クロムおよびモリブデンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、
前記Xは、0.1以上0.2以下であり、
前記Yは、0.3以上0.6以下であり、
前記Zは、0以上0.02以下であり、
前記第3硬質相粒子は、前記第1複合炭窒化物からなり、
前記金属結合相は、鉄族元素を含み、
前記超硬合金は合計70個の単位領域を有し、
前記合計70個の前記単位領域は、前記超硬合金の任意の断面を1500倍の倍率で撮影した電子顕微鏡像中に、1辺が8μmである正方形からなる前記単位領域を縦方向に7個、かつ横方向に10個連続して並べることにより設けられ、
前記合計70個の前記単位領域のうち、百分率が0.43%未満または2.43%超となる前記単位領域の数は10以下であり、
前記百分率は、それぞれの前記単位領域における、前記合計70個の前記単位領域の内部に存する前記第2硬質相粒子の個数および前記第3硬質相粒子の個数の合計個数に対する、前記単位領域の内部に存する前記第2硬質相粒子の個数および前記第3硬質相粒子の個数の合計個数の百分率であり、
前記単位領域の内部に存する前記第2硬質相粒子の個数は、前記単位領域の内部に存する芯部の粒径が0.2μm以上3μm以下の前記第2硬質相粒子の個数であり、
前記単位領域の内部に存する前記第3硬質相粒子の個数は、前記単位領域の内部に存する粒径が0.5μm以上2.5μm以下の前記第3硬質相粒子の個数であり、
前記超硬合金は、合計70個の前記単位領域のうち、縦方向の4行目に存在する合計10個の前記単位領域において、芯部の粒径が0.2μm以上3μm以下の前記第2硬質相粒子の個数、および、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の前記第3硬質相粒子の個数の合計個数に対する、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の前記第3硬質相粒子の個数の百分率が5%以上15%以下である、超硬合金である。
本開示の切削工具は、上記の超硬合金を含む、切削工具である。
図1は、本実施形態に係る超硬合金の一断面を模式的に示した模式図である。 図2は、電子顕微鏡像中に設けた各単位領域に存する芯部の粒径が0.2μm以上3μm以下の第2硬質相粒子の個数(上段)、および、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の第3硬質相粒子の個数(下段)を示した図である。 図3は、電子顕微鏡像中に設けた合計70個の単位領域に存する第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の合計個数に対する各単位領域に存する第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の合計個数を百分率で示した説明図である。 図4は、本実施形態に係る切削工具の構成の一例を示す部分断面図である。
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1の硬質材料において複合炭窒化物は、(Ti1-x-yxMoy)(C1-zz)で表されるコアを有する。この化学式において、LはZr、Hf、NbおよびTaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、xは0.01以上0.5以下であり、yは0.03以上0.05以下であり、zは0.05以上0.75以下である。したがって上記複合炭窒化物は、全金属元素(Ti、L、Mo)に占めるMoの原子比が0.03以上である。しかしながらMoは、炭窒化物そのものの耐鋼反応性(以下、「耐溶着性」とも記す)を劣化させるので、その含有量が少ないことが好ましい。
特許文献2では、TiおよびWを含む複合炭窒化物を主成分とする第二硬質相について、最近接する二つの粒子の重心間距離(σ2)を小さくすることにより、上記第二硬質相を超硬合金の全体にわたり均一に分散させ、もって耐欠損性を向上させたことが開示されている。しかしながら特許文献2は、超硬合金の耐鋼反応性に関して言及していない。このため、未だ優れた耐鋼反応性を備えた硬質材料は得られておらず、その開発が切望されている。
上記実情に鑑み、本開示は、優れた耐欠損性および優れた耐鋼反応性を備える超硬合金およびそれを含む切削工具を提供することを目的とする。
[本開示の効果]
本開示によれば、優れた耐欠損性および優れた耐鋼反応性を備える超硬合金およびそれを含む切削工具を提供することができる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の超硬合金は、
第1硬質相粒子と、第2硬質相粒子と、第3硬質相粒子と、金属結合相と、を備える超硬合金であって、
前記第1硬質相粒子は、炭化タングステンを含み、
前記第2硬質相粒子は、粒状の芯部と、前記芯部の少なくとも一部を被覆する周辺部と、を有し、
前記芯部は、Ti1-X-ZNbXZ1-YYで示される第1複合炭窒化物からなり、
前記周辺部は、前記芯部と組成が異なり、少なくともチタン、ニオブおよびタングステンを含む炭窒化物である第2複合炭窒化物からなり、
前記Mは、バナジウム、クロムおよびモリブデンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、
前記Xは、0.1以上0.2以下であり、
前記Yは、0.3以上0.6以下であり、
前記Zは、0以上0.02以下であり、
前記第3硬質相粒子は、前記第1複合炭窒化物からなり、
前記金属結合相は、鉄族元素を含み、
前記超硬合金は合計70個の単位領域を有し、
前記合計70個の前記単位領域は、前記超硬合金の任意の断面を1500倍の倍率で撮影した電子顕微鏡像中に、1辺が8μmである正方形からなる前記単位領域を縦方向に7個、かつ横方向に10個連続して並べることにより設けられ、
前記合計70個の前記単位領域のうち、百分率が0.43%未満または2.43%超となる前記単位領域の数は10以下であり、
前記百分率は、それぞれの前記単位領域における、前記合計70個の前記単位領域の内部に存する前記第2硬質相粒子の個数および前記第3硬質相粒子の個数の合計個数に対する、前記単位領域の内部に存する前記第2硬質相粒子の個数および前記第3硬質相粒子の個数の合計個数の百分率であり、
前記単位領域の内部に存する前記第2硬質相粒子の個数は、前記単位領域の内部に存する芯部の粒径が0.2μm以上3μm以下の前記第2硬質相粒子の個数であり、
前記単位領域の内部に存する前記第3硬質相粒子の個数は、前記単位領域の内部に存する粒径が0.5μm以上2.5μm以下の前記第3硬質相粒子の個数であり、
前記超硬合金は、合計70個の前記単位領域のうち、縦方向の4行目に存在する合計10個の前記単位領域において、芯部の粒径が0.2μm以上3μm以下の前記第2硬質相粒子の個数、および、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の前記第3硬質相粒子の個数の合計個数に対する、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の前記第3硬質相粒子の個数の百分率が5%以上15%以下である、超硬合金である。
本開示の超硬合金は、優れた耐欠損性および優れた耐鋼反応性を備えることができる。
(2)前記周辺部の平均厚みは、10nm以上100nm以下であることが好ましい。これによると、第2硬質相粒子と金属結合相との界面強度の低下が抑制され、超硬合金の機械的特性が向上する。
(3)前記芯部の平均粒径は、0.2μm以上2μm以下であることが好ましい。これによると、超硬合金の耐鋼反応性が更に向上する。
(4)前記第3硬質相粒子の平均粒径は、0.5μm以上2.5μm以下であることが好ましい。これによると、超硬合金の耐鋼反応性が更に向上する。
(5)前記超硬合金は、前記第2硬質相粒子を2体積%以上10体積%以下含むことが好ましい。これによると、超硬合金の耐鋼反応性が更に向上する。
(6)前記超硬合金は、前記第3硬質相粒子を3体積%以上20体積%以下含むことが好ましい。これによると、超硬合金の耐鋼反応性が更に向上する。
(7)本開示の切削工具は、上記超硬合金を含む。このような切削工具は、超硬合金が元来有する優れた機械的強度に加え、優れた耐鋼反応性も備えることができる。
(8)上記切削工具は、上記超硬合金からなる基材と、上記基材を被覆する被膜とを含むことが好ましい。このような切削工具も、超硬合金が元来有する優れた機械的強度に加え、優れた耐鋼反応性も備えることができる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態(以下「本実施形態」とも記す)の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、必ずしも実際の寸法関係を表すものではない。
本明細書において「A〜B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。
本明細書において化合物などを化学式で表す場合、原子比を特に限定しないときは従来公知のあらゆる原子比を含むものとし、必ずしも化学量論的範囲のもののみに限定されるものではない。たとえば「WC」と記載されている場合、WCを構成する原子数の比はW:C=1:1に限られず、従来公知のあらゆる原子比が含まれる。このことは、「WC」以外の化合物の記載についても同様である。
本実施形態において、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、バナジウム(V)などの金属元素と、窒素(N)または炭素(C)などの非金属元素とは、必ずしも化学量論的な組成を構成している必要がない。
本明細書において「機械的強度」とは、超硬合金の耐摩耗性、耐欠損性および曲げ強さなどの諸特性を含む機械的な強さを意味する。
本発明者らは、TiおよびNbを含有する炭窒化物(以下、「TiNbMCN」とも記す。Mは、バナジウム、クロムおよびモリブデンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示す。)を新たな原料として添加した炭化タングステン(WC)を含む超硬合金を開発した。この超硬合金は、TiNbMCNを含むことにより従来のTi系化合物に比べて耐鋼反応性に優れることを見出した。さらに、TiNbMCNにおけるNbおよびNの組成を適切に制御することにより、耐鋼反応性と機械的強度とを両立させることができることを見出した。
ただしTiNbMCNは、超硬合金中で凝集しやすい。これを防ぐためにTiNbMCNの粒径を微粒とした場合、超硬合金を製造するための焼結工程において、TiNbMCN中のTiおよびNbがWCの結晶中に固溶する傾向があることを新たに知見した。
この知見に基づき、本発明者らは鋭意検討の結果、TiNbMCNをWCの結晶中に固溶させず、TiNbMCNが超硬合金中で偏りなく分散し、耐鋼反応性がより向上した超硬合金を得た。該超硬合金の詳細について、下記に説明する。
[実施形態1:超硬合金]
図1に示されるように、本開示の一実施形態(以下、「本実施形態」とも記す。)に係る超硬合金5は、
第1硬質相粒子1と、第2硬質相粒子2と、第3硬質相粒子3と、金属結合相4と、を備える超硬合金であって、
該第1硬質相粒子1は、炭化タングステンを含み、
該第2硬質相粒子2は、粒状の芯部21と、該芯部21の少なくとも一部を被覆する周辺部22と、を有し、
該芯部21は、Ti1-X-ZNbXZ1-YYで示される第1複合炭窒化物からなり、
該周辺部22は、該芯部と組成が異なり、少なくともチタン、ニオブおよびタングステンを含む炭窒化物である第2複合炭窒化物からなり、
該Mは、バナジウム、クロムおよびモリブデンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、
該Xは、0.1以上0.2以下であり、
該Yは、0.3以上0.6以下であり、
該Zは、0以上0.02以下であり、
該第3硬質相粒子3は、該第1複合炭窒化物からなり、
該金属結合相4は、鉄族元素を含み、
該超硬合金5は合計70個の単位領域Rを有し、
該合計70個の該単位領域Rは、該超硬合金5の任意の断面を1500倍の倍率で撮影した電子顕微鏡像中に、1辺が8μmである正方形からなる該単位領域Rを縦方向に7個、かつ横方向に10個連続して並べることにより設けられ、
該合計70個の該単位領域Rのうち、百分率が0.43%未満または2.43%超となる該単位領域Rの数は10以下であり、
該百分率は、それぞれの該単位領域Rにおける、該合計70個の該単位領域Rの内部に存する該第2硬質相粒子2の個数および該第3硬質相粒子3の個数の合計個数に対する、該単位領域Rの内部に存する該第2硬質相粒子2の個数および該第3硬質相粒子3の個数の合計個数の百分率であり、
該単位領域Rの内部に存する該第2硬質相粒子2の個数は、該単位領域Rの内部に存する芯部の粒径が0.2μm以上3μm以下の該第2硬質相粒子2の個数であり、
該単位領域Rの内部に存する該第3硬質相粒子3の個数は、該単位領域Rの内部に存する粒径が0.5μm以上2.5μm以下の該第3硬質相粒子3の個数であり、
該超硬合金5は、合計70個の該単位領域Rのうち、縦方向の4行目に存在する合計10個の該単位領域Rにおいて、芯部21の粒径が0.2μm以上3μm以下の該第2硬質相粒子2の個数、および、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の該第3硬質相粒子3の個数の合計個数に対する、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の該第3硬質相粒子3の個数の百分率が5%以上15%以下である、超硬合金5である。
このような特徴を有する超硬合金は、優れた耐欠損性及び優れた耐鋼反応性を備えることができる。
<第1硬質相粒子>
(第1硬質相粒子の組成)
第1硬質相粒子1は、炭化タングステン(WC)を含む。好ましくは第1硬質相粒子1は、その主成分がWC(炭化タングステン)である。第1硬質相粒子1は、WCの他、WCの製造過程で混入する不可避元素、微量の不純物元素などを含むことができる。第1硬質相粒子1におけるWCの含有量は、本開示の効果を奏する観点から、99質量%以上が好ましく、実質的に100質量%であることがより好ましい。第1硬質相粒子1に含み得るWおよびC以外の元素としては、たとえばモリブデン(Mo)、クロム(Cr)などが挙げられる。
(第1硬質相粒子の体積比率)
超硬合金5において、第1硬質相粒子1の体積比率は、65〜95体積%であることが好ましい。超硬合金中の第1硬質相粒子1の体積比率が65体積%以上であると、機械的強度が向上する。超硬合金中の第1硬質相粒子1の体積比率が95体積%以下であると、靱性が向上する。超硬合金中の第1硬質相粒子1の好ましい体積比率は、75〜85体積%である。
超硬合金5における第1硬質相粒子1の体積比率(体積%)は、次の測定方法を用いて求めることができる。アルゴンのイオンビーム等を用いて超硬合金をCP(Cross Section Polisher)加工することにより、平滑な断面を有する試料を得る。この試料の上記断面に対し、電界放出形走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FE−SEM、商品名:「JSM−7000F」、日本電子株式会社製)を用いて5000倍で撮像することにより、上記試料の断面の電子顕微鏡像(SEM−BSE像)を得るとともに、この電子顕微鏡像中の第1硬質相粒子1の外縁を特定する。
次に、画像解析ソフト(商品名:「Mac−View」、株式会社マウンテック製)を用いた2値化処理に基づき、上記断面の総面積に対する上記電子顕微鏡像中の第1硬質相粒子1の粒子すべての面積の和(総面積)の面積比率(面積%)を算出する。該2値化処理の詳細は以下の通りである。上記電子顕微鏡像では、硬質相粒子の種類の違いによって連続的な階調(濃淡:黒〜灰〜白色)を生じているが、これを白と黒の2階調に分離(=2値化)する。電子顕微鏡像で判別できる第1硬質相粒子に該当する画素のみが白となるように閾値を設定し、その閾値未満の値を有する画素は黒となるようにする。閾値の設定条件には周知の自動閾値決定法の一つである「大津の判別分析法」を適用する。「大津の判別分析法」の具体的な方法は、田中成彦ら、「濃度共起ヒストグラムを用いた大津の判別分析法」、「画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2011)」、日本、画像の認識・理解シンポジウム(MIRU)、2011年7月、IS1−3:93〜96に記載の通りである。
上記断面の総面積に対する上記電子顕微鏡像中の第1硬質相粒子1の粒子すべての面積の和(総面積)の面積比率(面積%)が、超硬合金中の第1硬質相粒子1の体積比率(体積%)に該当すると見做す。上記試料の断面において、重複する撮像部分が現れないようにして5枚(5視野)の電子顕微鏡像を準備し、この5視野において、それぞれ第1硬質相粒子1の体積比率(体積%)を算出する。5視野の第1硬質相粒子1の体積比率(体積%)の平均値を、本実施形態における超硬合金中の第1硬質相粒子1の体積比率(体積%)とする。
本発明者らは、本実施形態の超硬合金の複数のサンプルにおいて「大津の判別分析法」により閾値を設定したところ、該閾値は約170であった。該閾値は、画像の有するコントラスト等に影響される値であるため、参考値である。なお、閾値として、170前後の値を採用しても、測定結果にほとんど影響がないことが確認されている。
なお、出願人が測定した限りでは、同一の試料において測定する限りにおいては、第1硬質相粒子の体積比率(体積%)の測定を、測定視野の選択個所を変更して複数回行っても、測定結果のばらつきはほとんどなく、任意に測定視野を設定しても恣意的にはならないことが確認された。
<第2硬質相粒子>
(第2硬質相粒子の構成)
第2硬質相粒子2は、粒状の芯部21と、芯部21の少なくとも一部を被覆する周辺部22とを含む。
(第2硬質相粒子の体積比率)
超硬合金5において、第2硬質相粒子2の体積比率は、2体積%以上10体積%以下であることが好ましい。超硬合金中の第2硬質相粒子2の体積比率が2体積%以上であると、耐鋼反応性が向上する。超硬合金中の第2硬質相粒子2の体積比率が10体積%以下であると、機械的強度が向上する。超硬合金中の第2硬質相粒子2の体積比率の下限は、2体積%以上、4体積%以上、5体積%以上とすることができる。超硬合金中の第2硬質相粒子2の体積比率の上限は、10体積%以下、7体積%以下とすることができる。
超硬合金における第2硬質相粒子の体積比率(体積%)は、第1硬質相粒子の体積比率を測定する方法において、第1硬質相粒子に代えて第2硬質相粒子を特定することにより求めることができる。具体的な測定方法は、第1硬質相粒子の体積比率の測定方法と同一であるため、その説明は繰り返さない。
(芯部の組成)
芯部21は、Ti1-X-ZNbXZ1-YYで示される第1複合炭窒化物からなり、上記Mは、バナジウム(V)、クロム(Cr)およびモリブデン(Mo)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、上記Xは、0.1以上0.2以下であり、上記Yは、0.3以上0.6以下であり、上記Zは、0以上0.02以下である。超硬合金は、第2硬質相粒子2における粒状の芯部21の組成(Ti、Nb、CおよびN)が上述した範囲の原子比である場合に、優れた耐欠損性および優れた耐鋼反応性を備えることができる。
芯部21は、Tiが主成分であり、Nbが副成分である。上記Mは、V、CrおよびMoからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。Tiの原子比(1−X−Z)は、副成分の添加量を固溶限界以下とし、かつ添加金属元素であるTiおよびNbの効果を十分に引き出す観点から、0.8以上0.9以下である。第1複合炭窒化物中の窒素(N)の原子比を表わすYは、優れた耐鋼反応性を得る観点から、0.3以上0.6以下である。芯部21の組成は、本開示の効果を奏し、上述した範囲の原子比(X、Y、Z)であって、かつ周辺部22と組成が相違している限り、特に制限されるべきではないが、たとえばTi0.85Nb0.150.50.5、Ti0.8Nb0.20.450.55などを挙げることができる。
ここで芯部21のTi1-X-ZNbXZ1-YYで示される第1複合炭窒化物に関し、Xは、0.12以上0.18以下であることが好ましい。さらにXは、0.14以上0.16以下であることがより好ましい。Yは、0.4以上0.55以下であることが好ましい。これにより耐鋼反応性に優れるとともに、耐摩耗性および耐欠損性などの機械的な強さにおいても好ましい特性を得ることができる。
Ti1-X-ZNbXZ1-YYで示される第1複合炭窒化物において、Mは、V、CrおよびMoからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。したがって芯部21は、V、CrおよびMoからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む場合がある。この場合、上記Zは、0以上0.02以下であること、すなわちTi、Nb、V、CrおよびMoの総量に占めるV、CrおよびMoの合計量が2原子%未満である。これにより、超硬合金の耐鋼反応性に悪影響のある元素であるV、CrおよびMoを十分に抑制することができる。
芯部21に含まれる第1複合炭窒化物の組成およびその原子比は、次の測定方法を用いて求めることができる。第1硬質相粒子の体積比率を求める場合と同様の方法で、試料の断面の電子顕微鏡像(SEM−BSE像)を得る。該電子顕微鏡像に対し、これに現れた第2硬質相粒子2に含まれる芯部21を上記の電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)に付帯したエネルギー分散型X線分光装置(EDX)または電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて分析することにより同定することができる。第1硬質相粒子の組成、後述する第2硬質相粒子の周辺部の組成、第3硬質相粒子の組成および金属結合相における鉄族元素の組成も、上記電子顕微鏡像に現れた第1硬質相粒子1、第2硬質相粒子の周辺部、金属結合相を対象とすることにより、同じ測定方法によってこれらの組成を同定することができる。
(芯部の平均粒径)
芯部は、その平均粒径が0.2μm以上2μm以下であることが好ましい。これにより、超硬合金の耐鋼反応性が更に向上する。芯部の平均粒径は、0.6μm以上1.6μm以下であることがより好ましく、0.8μm以上1.4μm以下であることがさらに好ましい。芯部の平均粒径が0.2μm以上であると、耐鋼反応性が更に向上する。芯部の平均粒径が2μm以下であると、機械的強度が向上する。
芯部の平均粒径を算出するにあたり、各芯部の粒径は、次の方法を用いて求めることができる。第1硬質相粒子の体積比率を求める場合と同様の方法で、試料の断面の電子顕微鏡像(SEM−BSE像)を得る。該電子顕微鏡像に対し、第1硬質相粒子の体積比率の測定で活用した画像解析ソフトを用いて2値化処理することにより、芯部を特定する。該2値化処理においては、電子顕微鏡像で目視で判別できる芯部に該当する画素のみが白となるように閾値を設定し、その閾値未満の値を有する画素は黒となるようにする。さらに当該芯部の面積と等しい面積をもつ円の直径(円相当径)を算出し、この円相当径を芯部の粒径とする。芯部の平均粒径については、上記電子顕微鏡像に現れたすべての芯部の円相当径を算出し、この算出された円相当径の平均値とする。
上記では、電子顕微鏡像上で芯部を目視にて判別している。複数の観察者により、同一の電子顕微鏡像上で芯部を目視にて判別したところ、同一の結果が得られることが確認されている。よって、電子顕微鏡像上で芯部を目視にて判別しても、観察者による結果のばらつきは生じない。
本発明者らは、本実施形態の超硬合金の複数のサンプルにおいて上記の方法で閾値を設定したところ、該閾値は約65であった。該閾値は、画像の有するコントラスト等に影響される値であるため、参考値である。なお、閾値として、65前後の値を採用しても、測定結果にほとんど影響がないことが確認されている。
なお、出願人が測定した限りでは、同一の試料において測定する限りにおいては、芯部の平均粒径の測定を、測定視野の選択個所を変更して複数回行っても、測定結果のばらつきはほとんどなく、任意に測定視野を設定しても恣意的にはならないことが確認された。
以下、本明細書において、「粒径」とは、上記と同様の方法で測定される「円相当径」を意味する。
(周辺部)
第2硬質相粒子2は、芯部21の少なくとも一部を被覆する周辺部22を含む。周辺部は、芯部21と組成が異なり、少なくともチタン、ニオブおよびタングステンを含む炭窒化物である第2複合炭窒化物からなる。
周辺部22は、後述する超硬合金の焼結工程(第4工程)において形成される。周辺部22は、液相焼結時に第1複合炭窒化物からなる粒子と周囲のWC粒子とが相互固溶および溶解再析出することにより、芯部21の第1複合炭窒化物(Ti1-X-ZNbXZ1-YY)の組成よりも、WおよびCに富む組成として芯部21の周囲に形成される。このため周辺部22は、芯部21の少なくとも一部を被覆することとなり、かつ芯部21と組成が相違する。
周辺部22は、第2硬質相粒子2と金属結合相4との密着強度を高める密着層として機能する。これにより、第2硬質相粒子2と金属結合相4との界面強度が低下することを抑制することができ、もって超硬合金の機械的特性を向上させることができる。周辺部22は、本開示の効果を奏する限り、芯部21を被覆するのが一部であってもよく、全部であってもよい。周辺部22の組成は、本開示の効果を奏し、かつ芯部21と組成が相違する限り、特に制限されるべきではないが、たとえばTi1-a-cNbac1-bb(aは0.05以上0.15以下、bは0.2以上0.5以下、cは0以上5以下である。)などを挙げることができる。
周辺部22の平均厚みは10nm以上100nm以下が好ましい。これによると、第2硬質相粒子と金属結合相との界面強度の低下が抑制され、超硬合金の機械的特性が向上する。周辺部の平均厚みの下限は15nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、30nm以上が更に好ましい。周辺部の平均厚みの上限は90nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましく、70nm以下が更に好ましい。
周辺部の平均厚みを算出するにあたり、各周辺部の厚みは、次の方法を用いて測定することができる。第1硬質相粒子の体積比率を求める場合と同様の方法で、試料の断面の電子顕微鏡像(SEM−BSE像)を得る。該電子顕微鏡像に対し、第1硬質相粒子の体積比率の測定で活用した画像解析ソフトを用いて、各周辺部において任意の3箇所の厚みを測定し、これらの平均値を各周辺部の厚みとする。なお、各周辺部が芯部の全体を覆っていない場合は、周辺部が存在している領域内において、任意の3箇所の周辺部の厚みを測定し、これらの平均値を各周辺部の厚みとする。周辺部の平均厚みについては、上記電子顕微鏡像に現れたすべての周辺部の厚みを算出し、この算出された厚みの平均値とする。
なお、出願人が測定した限りでは、同一の試料において測定する限りにおいては、測定視野の選択個所を変更して複数回行っても、測定結果のばらつきはほとんどなく、任意に測定視野を設定しても恣意的にはならないことが確認された。
<第3硬質相粒子>
(第3硬質相粒子の組成)
第3硬質相粒子は、Ti1-X-ZNbXZ1-YYで示される第1複合炭窒化物からなる。すなわち、第3硬質相粒子の組成は、第2硬質相粒子の芯部と同一の組成式で示され、X、Y、Zの範囲も同様とすることができるため、その説明は繰り返さない。
なお、上記X、Y、Zの値は、それぞれの上記の範囲内である限り、第3硬質相粒子と第2硬質相粒子の芯部とにおいて、同一でも、異なっていてもよい。
(第3硬質相粒子の体積比率)
超硬合金5において、第3硬質相粒子3の体積比率は、3体積%以上20体積%以下であることが好ましい。超硬合金中の第2硬質相粒子2の含有量が3体積%以上であると、耐鋼反応性が向上する。超硬合金中の第3硬質相粒子3の含有量が20体積%以下であると、機械的強度が向上する。超硬合金中の第3硬質相粒子3の好ましい含有量は、5体積%以上15体積%以下である。
第3硬質相粒子の体積比率(体積%)は、第1硬質相粒子の体積比率を測定する方法において、第1硬質相粒子に代えて第3硬質相粒子を特定することにより求めることができる。具体的な測定方法は、第1硬質相粒子の体積比率の測定方法と同一であるため、その説明は繰り返さない。
(第3硬質相粒子の平均粒径)
第3硬質相粒子3は、その平均粒径が0.5μm以上2.5μm以下であることが好ましい。これにより、超硬合金の耐鋼反応性が更に向上する。第3硬質相粒子3の平均粒径は、0.8μm以上2.3μm以下であることがより好ましく、1.0μm以上2.0μm以下であることがさらに好ましい。第3硬質相粒子3の平均粒径が1.2μm以上であると、耐鋼反応性が更に向上する。第3硬質相粒子3の平均粒径が1.5μm以下であると、機械的強度が更に向上する。
第3硬質相粒子の平均粒径は、第2硬質相粒子の平均粒径の測定方法において、芯部に代えて第3硬質相粒子を特定し、その円相当径を算出し、これに基づき平均粒径を求めて得る。具体的な測定方法は、第2硬質相粒子の平均粒径の測定方法と同一であるため、その説明は繰り返さない。
<金属結合相>
金属結合相4は、鉄族元素を含む。すなわち金属結合相4は、その主成分が鉄族元素である。金属結合相4は、鉄族元素の他、第1硬質相粒子1、第2硬質相粒子2および第3硬質相粒子3から混入する不可避元素、微量の不純物元素などを含むことができる。金属結合相4における鉄族元素の含有量は、金属である状態を維持して脆性的な中間化合物の形成を避ける観点から、90原子%以上が好ましく、95原子%以上がより好ましい。金属結合相4における鉄族元素の含有量の上限は、100原子%である。ここで鉄族元素とは、第4周期の第8族、第9族および第10族の元素、すなわち、鉄(Fe)、コバルト(Co)、およびニッケル(Ni)をいう。金属結合相4に含有される鉄族元素以外の元素は、たとえば、チタン(Ti)、タングステン(W)などが挙げられる。
金属結合相4は、その主成分がCoであることが好ましい。金属結合相4におけるCoを除く鉄族元素の含有量は、1体積%未満が好ましく、0.5体積%未満がより好ましい。
超硬合金において、金属結合相4の含有量は、7〜15体積%であることが好ましい。超硬合金中の金属結合相4の含有量が7体積%以上であと、十分な密着強度が得られ、靱性が向上する。超硬合金中の金属結合相4の含有量が15体積%以下であると、硬度が向上する。超硬合金中の金属結合相4のより好ましい含有量は、9〜13体積%である。金属結合相4の含有量(体積%)は、第1硬質相粒子1の含有量を測定する方法と同じ方法によって求めることができる。
さらに、第1硬質相粒子1、第2硬質相粒子2および金属結合相4の含有量の合計は、95体積%以上であることが好ましく、98体積%以上であることがさらに好ましく、100体積%であることが最も好ましい。これにより、優れた耐鋼反応性を歩留まりよく備えることができる。
<第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の分散度>
本実施形態に係る超硬合金5は合計70個の単位領域Rを有し、
該合計70個の該単位領域Rは、該超硬合金5の任意の断面を1500倍の倍率で撮影した電子顕微鏡像中に、1辺が8μmである正方形からなる該単位領域Rを縦方向に7個、かつ横方向に10個連続して並べることにより設けられ、
該合計70個の該単位領域Rのうち、百分率が0.43%未満または2.43%超となる該単位領域Rの数は10以下であり、
該百分率は、それぞれの該単位領域Rにおける、該合計70個の該単位領域Rの内部に存する該第2硬質相粒子2の個数および該第3硬質相粒子3の個数の合計個数に対する、該単位領域Rの内部に存する該第2硬質相粒子2の個数および該第3硬質相粒子3の個数の合計個数の百分率であり、
該単位領域Rの内部に存する該第2硬質相粒子2の個数は、該単位領域Rの内部に存する芯部の粒径が0.2μm以上3μm以下の該第2硬質相粒子2の個数であり、
該単位領域Rの内部に存する該第3硬質相粒子3の個数は、該単位領域Rの内部に存する粒径が0.5μm以上2.5μm以下の該第3硬質相粒子3の個数である。
ここで、上記百分率が0.43%未満または2.43%超となる単位領域Rの数が10以下であると、超硬合金中に、第2硬質相粒子および第3硬質相粒子が偏りなく、均一に分散していると判断することができる。本発明者らは、この場合に超硬合金が優れた耐鋼反応性を備えることを見出した。さらに上記単位領域の数が11以上となる場合、超硬合金は、所望される優れた耐鋼反応性を備えることが困難となる傾向も見出した。本明細書では、超硬合金中に芯部が偏りなく、均一に分散されているか否かを、超硬合金中の「芯部の分散度」の用語を用い、その高低により説明する場合がある。
以下、本実施形態において芯部の分散度の高低を評価する方法(以下、「分散度測定方法」とも記す)を、図2及び図3を用いて説明する。
アルゴンのイオンビームを用いて超硬合金をCP加工することにより、超硬合金の平滑な断面を準備する。この断面に対し、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM、商品名:「JSM−7000F」、日本電子株式会社製)を用いて1500倍で撮像することにより、電子顕微鏡像(SEM−BSE像)を得る。
次に図2に示されるように、電子顕微鏡像中に縦方向に7個、横方向に10個の単位領域Rを並べることにより合計70個の単位領域Rを設ける。各単位領域Rの大きさは、一辺が8μmの正方形とする。
画像解析ソフト(商品名:「Mac−View」、株式会社マウンテック製)を用いて画像解析することにより、各単位領域Rの内部に存する芯部の粒径が0.2μm以上3μm以下の第2硬質相粒子の個数、および、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の第3硬質相粒子の個数をカウントする。図2において、第2硬質相粒子の個数は各単位領域R内の上段に示され、第3硬質相粒子の個数は各単位領域R内の下段に示される。
第2硬質相粒子と第3硬質相粒子とは、組成像のコントラストの違いから判別ができる。黒色粒子のみであれば第3硬質相粒子であり、黒色粒子の周囲にグレー部があれば第2硬質相粒子である。なお第1硬質相粒子は白色である。
ここで、芯部の粒径とは、芯部の面積と等しい面積をもつ円の直径(円相当径)を意味する。芯部の粒径の算出方法は、上記の芯部の粒径の算出にあたり用いられる方法と同一であるため、その説明は繰り返さない。第3硬質相粒子の粒径とは、第3硬質相粒子の面積と等しい面積をもつ円の直径(円相当径)を意味する。第3硬質相粒子の粒径の算出方法は、上記の第3硬質相粒子の粒径の算出にあたり用いられる方法と同一であるため、その説明は繰り返さない。
続いて、合計70個の単位領域Rの内部に存する芯部および第3硬質相粒子の総個数を求めるとともに、図3に示されるように、該総個数に対するそれぞれの単位領域Rの内部に存する第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の合計個数の百分率を算出する。
上記電子顕微鏡像には、縦方向に7個、横方向に10個の合計70個の単位領域Rが設けられているため、超硬合金中に第2硬質相粒子および第3硬質相粒子がまったく偏りがなく、均一に分散される場合、各単位領域Rにおける上記百分率で示される第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の合計個数は、1.43%(1/70×100%)となる。このため単位領域Rにおいてカウントした第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の合計個数(百分率)が1.43%からプラスマイナス1%以内である0.43〜2.43%以内となる場合、当該単位領域Rにおいて第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の合計個数に偏りがないと判断する。一方、単位領域Rにおいてカウントした第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の合計個数(百分率)が1.43%からプラスマイナス1%を超える0.43%未満または2.43%超過となる場合、当該単位領域Rにおいて第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の合計個数に偏りがあると判断する。
次に、このような判断の下で、上記百分率で示される第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の合計個数が0.43%未満または2.43%超過となる単位領域Rの数を求める(以下、該単位領域Rの数を「第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の分散度」とも記す。)。これにより第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の合計個数が0.43%未満または2.43%超過となる単位領域Rの数が少ないほど、上記電子顕微鏡像を供した超硬合金は、第2硬質相粒子および第3硬質相粒子が偏りなく、均一に分散されていると評価することができる。換言すれば、第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の合計個数が0.43%未満または2.43%超過となる単位領域Rの数が10以下(単位領域Rの総数の15%以下)となる超硬合金は、第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の分散度が高くなるため、優れた耐鋼反応性を備えることができる。以上から、上記電子顕微鏡像において上記百分率が0.43%未満または2.43%超過となる単位領域Rの数が10以下であるか否かを分析することにより、超硬合金中の第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の分散度の高低を評価することができる。
図3において、上記百分率が0.43%未満または2.43%超過となる単位領域Rの数は、6個(単位領域Rの総数の8.6%)である。このため上記電子顕微鏡像に供した超硬合金は、第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の分散度が高いと評価することができ、もって優れた耐鋼反応性を備えることができる。
上記分散度測定方法、および、後述の第3硬質相粒子の個数百分率の測定方法では、芯部の粒径が0.2μm以上3μm以下の第2硬質相粒子の個数、および、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の第3硬質相粒子の個数をカウントする。この理由は、第1硬質相粒子を構成する炭化タングステンの結晶中に固溶していない芯部および第3硬質相粒子(Ti1-XNbX1-YYで示される第1複合炭窒化物)のみを対象とするためである。
芯部の粒径が0.2μm未満である第2硬質相粒子、および、粒径が0.5μm未満である第3硬質相粒子は、超硬合金中で凝集を引き起こし耐鋼反応性に不利となる影響を与える傾向がある。芯部の粒径が3μm超である第2硬質相粒子、および、粒径が2.5μm超である第3硬質相粒子は、超硬合金中で微細な分散が困難となることにより耐鋼反応性に不利となる影響を与える傾向がある。
上記分散度測定方法、および、後述の第3硬質相粒子の個数百分率の測定方法では、隣接する単位領域Rに第2硬質相粒子の芯部および第3硬質相粒子が跨がって存在した場合、該第2硬質相粒子および第3硬質相粒子は、跨がって存在する単位領域Rのうち、最も個数が少ない単位領域Rに含まれているとみなしてカウントする。
上記分散度測定方法では、超硬合金の一断面に対し、重複する撮像部分が現れないようにして5枚(5視野)の電子顕微鏡像を準備する。この5視野は、上記一断面の中央部分の1視野と、この1視野に対して上下および左右に位置する4視野とすることが好ましい。上記分散度測定方法では、上記5視野において百分率が0.43%未満または2.43%超過となる単位領域Rの数をそれぞれ求め、5視野中3視野以上で当該単位領域Rの数が10以下である場合に限り、上記電子顕微鏡像を供した超硬合金において、百分率が0.43%未満または2.43%超となる単位領域の数が10以下であると判断する。
なお、出願人が測定した限りでは、同一の試料において測定する限りにおいては、測定視野の選択個所を変更して複数回行っても、測定結果のばらつきはほとんどなく、任意に測定視野を設定しても恣意的にはならないことが確認された。
<第3硬質相粒子の個数百分率>
本実施形態に係る超硬合金は、合計70個の単位領域のうち、縦方向の4行目に存在する合計10個の単位領域において、芯部の粒径が0.2μm以上3μm以下の第2硬質相粒子、および、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の第3硬質相粒子の合計個数に対する、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の第3硬質相粒子の個数の百分率(以下、「第3硬質相粒子の個数百分率」とも記す)が5%以上15%以下である。
ここで、第3硬質相粒子の個数百分率が5%以上15%以下であると、超硬合金中に周辺部を有する第2硬質相粒子が十分に存在していると判断することができる。本発明者らは、この場合に超硬合金が優れた耐欠損性を備えることを見出した。さらに第3硬質相粒子の個数百分率が5%未満の場合は、十分な耐鋼反応性を発揮できず、15%を超えると、十分な耐欠損性が発揮できなくなる傾向も見出した。
以下、本実施形態において第3硬質相粒子の個数百分率を評価する方法(以下、「個数百分率測定方法」とも記す)を、図2および図3を用いて説明する。
上記の分散度測定方法と同様の方法で、電子顕微鏡像を得、図2に示されるように合計70個の単位領域Rを設定する。合計70個の単位領域Rのうち、縦方向の4行目に存在する合計10個の単位領域(図2において、背景がハッチングされている10個の単位領域)において、芯部の粒径が0.2μm以上3μm以下の第2硬質相粒子、および、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の第3硬質相粒子の合計個数に対する、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の第3硬質相粒子の個数の割合を算出する。
図2では、合計10個の単位領域中において、第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の合計個数が97個であり、第3硬質相粒子の個数は10個である。従って、第3硬質相粒子の個数百分率は10.3%である。このため上記電子顕微鏡像に供した超硬合金中には、周辺部を有する第2硬質相粒子が十分に存在していると判断することができ、該超硬合金は優れた耐欠損性を備えることができる。
上記個数百分率測定方法は、上記分散度測定方法と同様に5視野の電子顕微鏡像に対して行う。該5視野中3視野以上で第3硬質相粒子の個数百分率が5%以上15%以下である場合に限り、上記電子顕微鏡像を供した超硬合金において、第3硬質相粒子の個数百分率が5%以上15%以下であると判断する。
なお、出願人が測定した限りでは、同一の試料において測定する限りにおいては、測定視野の選択個所を変更して複数回行っても、測定結果のばらつきはほとんどなく、任意に測定視野を設定しても恣意的にはならないことが確認された。
[実施形態2:超硬合金の製造方法]
実施形態1に係る超硬合金は、次の方法で作製することができる。超硬合金の製造方法は、Ti1-X-ZNbXZ1-YYで示される第1複合炭窒化物の粉末を得る工程(第1工程)と、上記第1複合炭窒化物の粉末と、WC粉末と、鉄族元素の粉末とをボールミルを用いて15時間超20時間以下混合することにより、混合粉末を得る工程(第2工程)と、上記混合粉末を加圧成形することにより成形体を得る工程(第3工程)と、上記成形体を焼結することにより焼結体を得る工程(第4工程)とを含む。上記Ti1-X-ZNbXZ1-YYにおいて、Mは、V、CrおよびMoからなる群より選択される少なくとも1種の不純物元素であり、Xは、0.1以上0.2以下であり、Yは、0.3以上0.6以下であり、Zは、0以上0.02以下である。このような製造方法により、優れた耐鋼反応性を備える超硬合金を製造することができる。
<第1工程>
第1工程は、Ti1-X-ZNbXZ1-YYで示される第1複合炭窒化物の粉末を得る工程である。第1工程は、次の各工程をさらに含む。すなわち第1工程である上記第1複合炭窒化物の粉末を得る工程は、TiとNbとを含む第1粉末と、少なくともグラファイトを含む第2粉末とを混合することにより、第3粉末を得る工程(混合工程)と、この第3粉末を造粒することにより造粒体を得る工程(造粒工程)と、この造粒体を、窒素ガスを含む雰囲気下かつ1800℃以上で熱処理することにより上記第1複合炭窒化物からなる粉末前駆体を得る工程(熱処理工程)と、この粉末前駆体を解砕することにより上記第1複合炭窒化物の粉末を得る工程(解砕工程)とを含む。
(混合工程)
混合工程では、TiとNbとを含む第1粉末と、少なくともグラファイトを含む第2粉末とを混合することにより、第3粉末を得る。
第1粉末は、TiとNbとを含む。第1粉末は、TiとNbとを含有する酸化物であることが好ましい。第1粉末が酸化物である場合、後述する解砕工程によって得られる第1複合炭窒化物の粉末の一次粒径を微細にすることが容易となり、もって平均粒径を、たとえば0.2〜2μmとすることができる。さらに第1粉末は、製造に用いる設備などからの混入成分としてV、Cr、Moからなる群から選ばれる1種類以上の不純物元素を含む場合がある。この場合において第1粉末は、Ti、Nb、V、Cr、Moの総量に対し、V、CrおよびMoの合計量が2原子%未満であることが好ましい。第1粉末としては、具体的にはTi0.9Nb0.12などの複合酸化物を挙げることができる。第1粉末は、TiO2、Nb25などの酸化物の粉末を含有する混合粉末であってもよい。各元素の酸化数、不純物元素の含有量などは、目的に反しない限り変更が可能である。
第2粉末は、少なくともグラファイトを含む。混合工程では、この第2粉末および上記第1粉末を混合することにより、第3粉末を得る。これにより後述する熱処理工程において、上記酸化物の還元反応、還元された酸化物におけるTiおよびNbの相互拡散による固溶化反応、ならびに固溶化されたTiおよびNbの炭窒化反応を同時かつ連続して進行させることができる。その結果、複合炭窒化物を効率的に得ることができる。
第1粉末および第2粉末を混合する混合方法は、従来公知の方法を用いることができる。ただし、第3粉末の平均粒径を小さくする観点から、粉砕作用の高い乾式ボールミルによる混合方法、湿式ボールミルによる混合方法を好適に用いることができる。さらに粉砕作用の低い回転羽式流動混合機などを用いた混合方法も適用することができる。第3粉末の平均粒径は、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて10000倍の倍率で観察した観察像に現れたすべての第3粉末の粒子に基づいて求めることができる。この観察像に現れた第3粉末のすべての粒子について、上述した画像解析ソフトを用いて粒子の円相当径を算出し、その平均値を第3粉末の平均粒径とすることができる。第1粉末および第2粉末の混合比(体積比)は、第1粉末を1とした場合、第2粉末が0.3〜0.4であることが好ましい。
(造粒工程)
造粒工程では、上記第3粉末を造粒することにより造粒体を得る。造粒工程における造粒方法は、従来公知の造粒方法を用いることができる。たとえば、スプレードライヤー、押出し造粒機などの既知の装置を用いた方法を挙げることができる。さらに造粒に際し、たとえば、蝋材のようなバインダー成分を結合材として適宜使用することができる。造粒体の形状および寸法は特に限定されるべきではない。造粒体は、たとえば直径が0.5〜5mm、長さが5〜20mmの円柱形状とすることができる。
(熱処理工程)
熱処理工程では、上記造粒体を窒素ガスを含む雰囲気下かつ1800℃以上で熱処理することにより上記第1複合炭窒化物からなる粉末前駆体を得る。熱処理工程では、窒素ガスを含む雰囲気下において、上記造粒体に含まれる第1粉末における酸化物中の酸素が、第2粉末中のグラファイトと反応し、第1粉末中のTiおよびNbが還元される。さらに還元されたTiおよびNbに対し、相互拡散によって相互に固溶化反応が進む。これと同時に還元されたTiおよびNbに対し、雰囲気中の窒素および第2粉末中のグラファイトと反応する炭窒化反応も起こる。これにより上述したTi1-X-ZNbXZ1-YYで示される第1複合炭窒化物からなる粉末前駆体が形成される。
ここで熱処理工程において、第1粉末に代えて、TiおよびNbを含む金属粉末、またはTiの炭窒化物およびNbの炭窒化物を含む粉末を第2粉末と混合した混合粉末を上述した条件の下で熱処理しても、上記第1複合炭窒化物からなる粉末前駆体は得られない。なぜならTiおよびNbを含む金属粉末は、熱処理によって早々と炭窒化反応が進行するため、TiおよびNbの相互拡散による固溶化反応が進行しないからである。さらに、Tiの炭窒化物およびNbの炭窒化物を含む粉末は、2000℃を超える高温領域においても化学的に安定であるため、TiおよびNbの相互拡散による固溶化反応が進行しないからである。
熱処理工程における熱処理の雰囲気は、窒素ガスを含む雰囲気である限り、特に限定されるべきではない。純粋なN2ガスであってもよく、N2ガスに、水素ガス(H2ガス)、アルゴンガス(Arガス)、ヘリウムガス(Heガス)、一酸化炭素ガス(COガス)などが混合された混合ガスでもよい。
熱処理工程における熱処理の温度は、第1粉末の還元反応、固溶化反応および炭窒化反応を進行させ、かつこれを促進させる観点から、1800℃以上であり、2000℃以上であることが好ましい。ただし熱処理により得られる粉末前駆体の過度の凝集を防ぐ観点から、2400℃以下であることが好ましい。
熱処理工程における熱処理の時間は、第3粉末の平均粒径によって調整することが好ましい。たとえば、第1粉末および第2粉末を混合した第3粉末の平均粒径が0.3〜0.5μmである場合、上述の熱処理の時間は15〜60分が好適である。第3粉末の平均粒径の値が小さい程、熱処理工程における熱処理の時間を短くし、第3粉末の平均粒径の値が大きい程、熱処理工程における熱処理の時間を長くすることが好ましい。
熱処理工程では、ロータリーキルンなどの回転式の連続的な熱処理装置を用いることが好ましい。この熱処理装置は、傾斜した回転式反応管を備えている。さらに回転式反応管を加熱する加熱機構、窒素を含むガスを回転式反応管へ導入するためのガス導入口、窒素を含むガスを回転式反応管から排出するためのガス排出口、回転式反応管内に造粒体を入れるための投入口および粉末前駆体を回転式反応管から取り出すための取出口なども備える。このような熱処理装置は、造粒体を一定条件の下で熱処理することができるため、品質が安定した複合炭窒化物の粉末前駆体を連続的に効率よく製造できるので好ましい。
熱処理工程では、上記熱処理装置を用いる場合、まず加熱機構を用いて回転式反応管を1800℃以上に加熱するとともに、窒素ガスを含むガスをガス導入口から導入することにより、回転式反応管の内部を窒素雰囲気とする。さらに回転式反応管の上部の投入口から造粒体を連続的に供給し、回転式反応管を回転させ、造粒体に回転式反応管の内部を移動させることにより、造粒体を熱処理する。これにより、第1複合炭窒化物粉末からなる粉末前駆体を形成することができる。この粉末前駆体は、回転式反応管の下部の取出口から取り出すことができる。
(解砕工程)
解砕工程では、上記で得られた粉末前駆体を解砕することにより上記第1複合炭窒化物の粉末を得る。粉末前駆体を解砕する方法は、従来公知の解砕方法を用いることができる。これによりTi1-X-ZNbXZ1-YYで示される複合炭窒化物の粉末を得ることができる。上記Ti1-X-ZNbXZ1-YYにおいて、Mは、V、CrおよびMoからなる群より選択される少なくとも1種の不純物元素であり、Xは、0.1以上0.2以下であり、Yは、0.3以上0.6以下であり、Zは、0以上0.02以下である。
<第2工程>
第2工程は、上記第1複合炭窒化物の粉末と、WC粉末と、鉄族元素の粉末とをボールミルを用いて15時間超20時間以下混合することにより、混合粉末を得る工程である。これらの粉末は、ボールミルを用いる従来公知の混合方法を用いることができる。たとえば、粉砕作用の高い乾式ボールミルによる混合方法、湿式ボールミルによる混合方法を用いることが好ましい。このボールミルを用いた混合時間は、15時間超20時間以下とする。ボールミルを用いた混合時間は、16時間以上18時間以下であることが好ましい。これにより後述する焼結工程(第4工程)を経て製造される超硬合金において、第1複合炭窒化物(芯部)の分散度を高めることができる。
ボールミルを用いた混合時間が15時間以下である場合、混合不足により、焼結工程(第4工程)を経て製造される超硬合金において第1複合炭窒化物(芯部)の分散度が十分高まらない恐れがある。ボールミルを用いた混合時間が20時間を超える場合、混合過多により、焼結工程(第4工程)を経て製造される超硬合金において所望の機械的強度、特に所望の靱性が得られない恐れがある。
<第3工程>
第3工程は、上述の混合粉末を加圧成形することにより成形体を得る工程である。上記混合粉末の加圧成形方法は、従来公知の加圧成形方法を用いることができる。たとえば、混合粉末を金型に充填し、所定の圧力で所定の形状に成形することができる。成形方法としては、乾式加圧成形法、冷間静水圧成形法、射出成形法、押出成形法などが挙げられる。この成形時の圧力は、0.5ton重/cm2(約50MPa)以上2.0ton重/cm2(約200MPa)以下程度が好ましい。成形体の形状は、求められる製品の形状に応じればよく、過度に複雑形状とならない形状を選択する。
<第4工程>
第4工程は、上述の成形体を焼結することにより焼結体を得る工程である。成形体を焼結する焼結方法は、液相の生じる温度域で成形体を所定時間保持して行なうことが好ましい。焼結温度は1350℃以上1500℃以下であることが好ましい。保持時間は0.2時間以上0.5時間未満であることが好ましく、0.3時間以上0.4時間以下であることがより好ましい。焼結時の雰囲気は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気または真空(0.5Pa以下程度)とすることが好ましい。これにより焼結体を得た後、機械加工を必要に応じて行なうことにより、最終的な製品として超硬合金を得ることができる。このような製造方法により得られる超硬合金は、優れた耐鋼反応性を備えることができる。
ここで複合炭窒化物の粉末における組成およびその原子比は、従来公知の成分分析技術により求めることができる。たとえば、誘導プラズマ発光分光法、高周波燃焼法、熱伝導度法を用いることにより、それぞれ粉末中の組成(金属、炭素および窒素など)およびその含有量を同定することができる。
複合炭窒化物の粉末の平均粒径は、ハンドリングしやすさ、ならびに後述する切削工具として適用する場合に耐鋼反応性を良好とする観点から、0.5μm以上3.5μm以下に粒径制御することが好ましい。複合炭窒化物の粉末の平均粒径は、第3粉末の平均粒径を測定する方法と同じ方法によって求めることができる。
[実施形態3:切削工具]
本実施形態に係る切削工具は、実施形態1の超硬合金を含む。本実施形態の切削工具は、実施形態1の超硬合金を含むことから、超硬合金が元来有する優れた機械的強度に加え、優れた耐鋼反応性も備えることができる。
上記切削工具は、ドリル、エンドミル、ドリル用刃先交換型切削チップ、エンドミル用刃先交換型チップ、フライス加工用スローアウェイチップ、旋削加工用スローアウェイチップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップ、切削バイト、耐摩工具、摩擦撹拌接合用ツールなどに適用することができる。
切削工具が刃先交換型切削チップなどである場合、基材は、チップブレーカを有するものも、有さないものも含まれる。さらに被削材を切削する際に切削の中心部となる刃先稜線部は、その形状がシャープエッジ(すくい面と逃げ面とが交差する稜)、ホーニング(シャープエッジに対してアールを付与したもの)、ネガランド(面取りをしたもの)、ホーニングとネガランドとを組み合わせたもののいずれのものも含まれる。
さらに本実施形態に係る切削工具は、実施形態1の超硬合金からなる基材と、この基材を被覆する被膜とを含む。図4は、本実施形態に係る切削工具10の構成の一例を示す部分断面図である。図4に示されるように、切削工具10は、実施形態1の超硬合金からなる基材11と、基材11に接して基材11を被覆する被膜12とを備える。この切削工具10は、超硬合金が元来有する優れた機械的強度、優れた耐鋼反応性に加え、被膜12をさらに含むことから耐摩耗性および耐欠損性においてより優れる。ここで被膜12は、基材11の全面に被覆されていてもよく、一部(たとえば切削性能に大きく寄与する領域である刃先)のみに被覆されていてもよい。さらに、基材11を被覆する被膜12の組成は、特に限定されるべきではなく、従来公知の被膜12を任意に採用することができる。たとえば基材11を被覆する被膜12の組成としては、AlTiSiN、AlCrN、TiZrSiN、CrTaN、HfWSiN、CrAlN、TiN、TiBNO、TiCN、TiCNO、TiB2、TiAlN、TiAlCN、TiAlON、TiAlONC、Al23などを例示することができる。
超硬合金からなる基材に被膜を被覆する方法は、従来公知の方法を用いることができる。たとえば、物理気相成長(PVD)法、化学気相成長(CVD)法などにより被覆することができる。特にPVD法としては、たとえば抵抗加熱蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線成長(MBE)法、イオンめっき法、イオンビーム堆積法、スパッタ法などを用いることができる。
本実施の形態を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例により本実施の形態が限定されるものではない。
≪実施例1≫
<試料1〜試料7の作製>
(第1工程)
第1粉末として、TiO2粉末(サイズ約0.5μm、株式会社高純度化学研究所製)およびNb25粉末(サイズ約1μm、株式会社高純度化学研究所製)を準備した。第2粉末としてグラファイト粉末(サイズ約5μm、株式会社高純度化学研究所製)を準備した。これらを表2の「第1複合炭窒化物の組成」欄にされる組成となるような配合比でそれぞれ混合することにより第3粉末を得た(混合工程)。混合は、ボールミル法により行なった。
次に、第3粉末を押出し造粒機(押出し穴径:φ2.5mm)を用いて造粒することにより、平均直径が2.4mmで平均長さが10mm程度の円柱形状の造粒体を得た(造粒工程)。造粒体の平均直径および平均長さは、マイクロメータにより測定した。
次に、造粒体を上述したロータリーキルンを用いて窒素雰囲気中、1800℃で熱処理することにより第1複合炭窒化物からなる粉末前駆体を得た(熱処理工程)。造粒体がロータリーキルン内の加熱区間を通過する通過時間は約30分であった。
最後に、粉末前駆体を公知の解砕機(転動ボールミル、粉砕メディアとしてφ4.5mmの超硬ボールを使用)を用いて乾式解砕することにより表2の「第1複合炭窒化物の組成」欄に示す組成を有する第1複合炭窒化物の粉末を得た(解砕工程)。各試料の第1複合炭窒化物の組成は、上述した方法により測定した。
(第2工程)
上述の第1複合炭窒化物の粉末と、市販のWC粉末(商品名:「WC−25」、日本新金属株式会社製)と、鉄族元素の粉末として市販のCo粉末(サイズ約5μm、株式会社高純度化学研究所製)とを、表1の「第1複合炭窒化物:WC:Co(質量比)」欄に示される質量比で混合することにより混合粉末を得た。この混合は、湿式ボールミル法で行った。混合時間を表1の「混合時間」欄に示す。
(第3工程)
上記の混合粉末を樟脳とエタノールとを用いて造粒し、1ton重/cm2(約98MPa)の圧力でプレス成形することにより、成形体を得た。
(第4工程)
成形体を、液相焼結法を用いて真空(0.1Pa)雰囲気の下、表1の「第4工程」の「焼結温度(℃)/保持時間(時間)」欄に示される温度及び時間で焼結することにより焼結体を得た。例えば、試料1では、成形体を焼結温度1400℃かつ保持時間0.25時間の条件で焼結することにより焼結体を得た。続いて、この焼結体の焼肌を番号(♯)400(番号(#)は砥粒の細かさを意味し、数字が大きくなるほど砥粒が細かくなる)のダイヤモンドホイールを用いて研削除去することにより、SNGN120408の形状とした超硬合金からなる切削工具(試料1〜試料7)を得た。
Figure 0006969732
<測定>
(組成)
得られた切削工具(超硬合金)において、第2硬質相粒子の芯部、周辺部および第3硬質相粒子の組成を上述の方法によりEDXを用いて分析した。第2硬質相粒子の芯部および第3硬質相粒子の組成は、表2に示した第1複合炭窒化物の組成と一致した。第2硬質相粒子の周辺部の組成を表2の「周辺部の組成」欄に示す。なお、周辺部は芯部の少なくとも一部を被覆していることを電子顕微鏡像において目視により確認した。
(第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の分散度、第3硬質相粒子の個数百分率)
得られた切削工具(超硬合金)において、第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の分散度および第3硬質相粒子の個数百分率を上述の方法により算出した。結果を表2の「分散度」および「第3硬質相粒子の個数百分率」欄に示す。
(周辺部の平均厚み)
得られた切削工具(超硬合金)において、周辺部の平均厚みを上述の方法により測定した。結果を表2の「周辺部の平均厚み(nm)」欄に示す。
(芯部の平均粒径、第3硬質相粒子の平均粒径)
得られた切削工具(超硬合金)において、芯部の平均粒径および第3硬質相粒子の平均粒径を上述の方法により測定した。結果を表2の「芯部の平均粒径(μm)」および「第3硬質相粒子の平均粒径(μm)」欄に示す。
(第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の体積比率)
得られた切削工具(超硬合金)において、第2硬質相粒子および第3硬質相粒子の体積比率を上述の方法で測定した。結果を表2の「第2硬質相粒子(体積%)」および「第3硬質相粒子(体積%)」欄に示す。
Figure 0006969732
<切削試験>
得られた切削工具に対し、下記の条件の下で耐欠損性試験および耐鋼反応性試験を行なった。
(耐欠損性試験)
被削材:SCM435穴付き
周速 :200m/min
送り :0.5mm/rev
切込み:2mm
切削油:なし。
耐欠損性試験では、各試料の切削工具における刃先の欠損が動力計および切削音で確認されるまでに刃先にかかった衝撃回数(単位は回)を寿命として判定した。この回数が多いほど、耐欠損性に優れると評価される。結果を表3の「耐欠損性(回)」欄に示す。
(耐鋼反応性試験)
被削材:SCM435
周速 :100m/min
送り :0.15mm/rev
切込み:1.5mm
切削油:なし。
耐鋼反応性試験では、溶着摩耗を評価する目的で各試料の切削工具における刃先の逃げ面摩耗幅が0.2mm以上となるまでの切削時間(単位は、分)を計測した。この時間が長い程、耐鋼反応性に優れると評価される。結果を表3の「耐鋼反応性(分)」欄に示す。
Figure 0006969732
<考察>
試料1〜試料3は実施例に該当する。試料4〜試料6は、分散度が10超であり、比較例に該当する。試料7は、分散度が10超、かつ、第3硬質相粒子の個数百分率が5%未満であり比較例に該当する。試料1〜試料3(実施例)の切削工具は、試料4〜試料7(比較例)の切削工具に比べ、耐欠損性および耐鋼反応性に優れることが確認された。
以上のように本開示の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせたり、様々に変形することも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 第1硬質相粒子、2 第2硬質相粒子、21 芯部、22 周辺部、3 第3硬質相粒子、4 金属結合相、5 超硬合金、10 切削工具、11 基材、12 被膜、R 単位領域

Claims (8)

  1. 第1硬質相粒子と、第2硬質相粒子と、第3硬質相粒子と、金属結合相と、を備える超硬合金であって、
    前記第1硬質相粒子は、炭化タングステンを含み、
    前記第2硬質相粒子は、粒状の芯部と、前記芯部の少なくとも一部を被覆する周辺部と、を有し、
    前記芯部は、Ti1-X-ZNbXZ1-YYで示される第1複合炭窒化物からなり、
    前記周辺部は、前記芯部と組成が異なり、少なくともチタン、ニオブおよびタングステンを含む炭窒化物である第2複合炭窒化物からなり、
    前記Mは、バナジウム、クロムおよびモリブデンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、
    前記Xは、0.1以上0.2以下であり、
    前記Yは、0.3以上0.6以下であり、
    前記Zは、0以上0.02以下であり、
    前記第3硬質相粒子は、前記第1複合炭窒化物からなり、
    前記金属結合相は、鉄族元素を含み、
    前記超硬合金は合計70個の単位領域を有し、
    前記合計70個の前記単位領域は、前記超硬合金の任意の断面を1500倍の倍率で撮影した電子顕微鏡像中に、1辺が8μmである正方形からなる前記単位領域を縦方向に7個、かつ横方向に10個連続して並べることにより設けられ、
    前記合計70個の前記単位領域のうち、百分率が0.43%未満または2.43%超となる前記単位領域の数は10以下であり、
    前記百分率は、それぞれの前記単位領域における、前記合計70個の前記単位領域の内部に存する前記第2硬質相粒子の個数および前記第3硬質相粒子の個数の合計個数に対する、前記単位領域の内部に存する前記第2硬質相粒子の個数および前記第3硬質相粒子の個数の合計個数の百分率であり、
    前記単位領域の内部に存する前記第2硬質相粒子の個数は、前記単位領域の内部に存する芯部の粒径が0.2μm以上3μm以下の前記第2硬質相粒子の個数であり、
    前記単位領域の内部に存する前記第3硬質相粒子の個数は、前記単位領域の内部に存する粒径が0.5μm以上2.5μm以下の前記第3硬質相粒子の個数であり、
    前記超硬合金は、合計70個の前記単位領域のうち、縦方向の4行目に存在する合計10個の前記単位領域において、芯部の粒径が0.2μm以上3μm以下の前記第2硬質相粒子の個数、および、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の前記第3硬質相粒子の個数の合計個数に対する、粒径が0.5μm以上2.5μm以下の前記第3硬質相粒子の個数の百分率が5%以上15%以下である、超硬合金。
  2. 前記周辺部の平均厚みは、10nm以上100nm以下である、請求項1に記載の超硬合金。
  3. 前記芯部の平均粒径は、0.2μm以上2μm以下である、請求項1または請求項2に記載の超硬合金。
  4. 前記第3硬質相粒子の平均粒径は、0.5μm以上2.5μm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超硬合金。
  5. 前記超硬合金は、前記第2硬質相粒子を2体積%以上10体積%以下含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の超硬合金。
  6. 前記超硬合金は、前記第3硬質相粒子を3体積%以上20体積%以下含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の超硬合金。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超硬合金を含む、切削工具。
  8. 前記超硬合金からなる基材と、前記基材を被覆する被膜とを含む、請求項7に記載の切削工具。
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