JP6086226B2 - 回転電機の導体接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コイル用導体を複数個用い、回転電機のコイルを形成するために、異なるコイル用導体の端部同士を接合する方法に関する。また、コイル用導体の端部同士を接合することによって形成されたコイルに関する。
回転電機にコイル用の導体線を配接する方式として、コイル用導体(セグメントコイル)と称される導体を利用したものがある。この方式では、例えば松葉形状やU字状に折り曲げた平角線などによって構成されたコイル用導体が、複数本、磁性体のコアに形成されたスロットに対して軸方向に挿入される。そして、コイル用導体の開放側において、重なり合う他のコイル用導体の開放端同士が接合されることによって連続したコイルが形成される。特開2008−154433号公報(特許文献1)や特開2004−25303号公報(特許文献2)に記載されているように、コイル用導体の接合には、しばしばアーク溶接の一種であるTIG溶接(Tungsten Inert Gas溶接)が用いられる(特許文献1:第2−3、36−37段落、図1−2等、特許文献2:第3段落、図1等)。
ところで、一般的に、コイル用導体の表面には絶縁被膜が施されているが、溶接の際には、接合されるコイル用導体の端部の絶縁被膜が除去される(特許文献1:第6段落、特許文献2:図1等)。また、溶接の際に発生する熱は、コイル用導体を伝搬するため、直接溶接される箇所から一定範囲の絶縁被覆も除去される。溶接の際に発生する熱が高いと、熱が伝導する範囲も広くなり、絶縁被覆の溶融を防ぐために絶縁被膜を除去して裸線とする部分の長さが長くなる。裸線の部分はコアの軸方向に突出したコイルエンドを構成することになる。従って、裸線の部分が長くなると、コイルエンドも軸方向に長くなり、回転電機の小型化の妨げとなる。また、コイルを構成する導体線の総延長も長くなるため、材料コストや銅損が増加する可能性がある。
特開2008−154433号公報 特開2004−25303号公報
上記背景に鑑みて、コイル用導体を複数個用い、異なるコイル用導体の端部同士を接合して回転電機のコイルを形成する際に、接合される部分の肥大化を抑制し、コイルを小型化することのできる技術が望まれる。
上記課題に鑑みた本発明に係る回転電機の導体接合方法の特徴構成は、
絶縁被膜が施されたコイル用導体を複数個用い、回転電機のコイルを形成するために、異なる前記コイル用導体の端部である導体端部同士を接合する回転電機の導体接合方法であって、
前記導体端部において2つの前記コイル用導体が対向する対向面の前記絶縁被膜と、2つの前記コイル用導体の一方において接合のためにエネルギービームが照射される被照射部の前記絶縁被膜と、が少なくとも除去された2つの前記コイル用導体を、前記対向面同士が対向する状態で保持する導体保持工程と、
前記対向面同士が重複して見える方向から前記エネルギービームを前記被照射部に対し
て照射し、照射方向手前側の前記コイル用導体から照射方向奥側の前記コイル用導体の順に溶融させて、2つの前記コイル用導体を溶接するエネルギービーム照射工程と、
を備え
少なくとも前記照射方向手前側の前記コイル用導体の延在方向に直交する断面形状は多角形状であり、
前記エネルギービーム照射工程では、当該照射方向手前側の前記コイル用導体の角部を前記被照射部として、前記エネルギービームを照射する点にある。
アーク溶接では、接合対象の2つのコイル用導体の両方に対してほぼ同時に熱を加えて溶融させる必要がある。このため、2つのコイル用導体の導体端部の端面が不揃いとなると、2つのコイル用導体の溶け方が異なり、好ましい接合結果が得られない場合がある。本特徴構成によれば、例えばレーザーや電子ビームなどのエネルギービームを一方のコイル用導体に対して照射し、照射方向手前側のコイル用導体から照射方向奥側のコイル用導体の順に溶融させて、2つのコイル用導体を溶接する。従って、2つのコイル用導体の導体端部の端面が不揃いであっても、良好な接合結果を得ることができる。つまり、2つのコイル用導体を対向させて保持した際の位置誤差による接合への影響を抑制することができる。
また、エネルギービームを利用した溶接では、アーク溶接に比べて、コイル用導体を溶融させるためのエネルギーを狭い領域に高い密度で与えることができる。その結果、必要以上に導体が溶融し、その後凝固することによって生じる導体形状の変化を小さくすることができる。例えば、溶融した導体は、液状化するために表面張力が働き、丸みを帯びやすくなる。その結果、コイル用導体の延在方向に沿った先端部分への盛り上がりや、延在方向に対して直交する側方へのはみ出しが生じ易くなる。先端部分の盛り上がりは、回転電機のコイルの端部(コイルエンド)が増大することにつながるため、回転電機の小型化には好ましくない。また、側方へのはみ出しは、コイル用導体の導体端部間の距離を縮めることになる。導体端部間の絶縁距離を確保するために、はみ出しを考慮して導体端部の隙間を広げると、やはり小型化に好ましくなく、磁気的性能にも影響を与える。上述したように、レーザーを利用した溶接では、限られた領域に集中してエネルギーを与えることができる。従って、溶融する導体の量や溶融する領域も制御し易く、コイル用導体の先端部分の盛り上がりや、側方へのはみ出しを抑制することができる。
また、導体の温度上昇も制御し易く、アーク溶接に比べて温度上昇を抑制することも可能であるから、絶縁被膜の溶融を考慮して設定される絶縁被膜の剥離長を短くすることができる。従って、裸導体端部の長さが短くなり、コイルエンドも小型化することが可能となる。その結果、コイル用導体の材料費の軽減や、銅損の軽減が可能となる。このように、本特徴構成によれば、コイル用導体を複数個用い、異なるコイル用導体の端部同士を接合して回転電機のコイルを形成する際に、2つのコイル用導体を対向させた際に生じる誤差による接合への影響を抑制することができると共に、接合される部分の肥大化を抑制し、コイルを小型化することが可能となる。
上述したように、本発明に係る回転電機の導体接合方法においては、少なくとも前記照射方向手前側の前記コイル用導体の延在方向に直交する断面形状は多角形状であり、前記エネルギービーム照射工程では、当該照射方向手前側の前記コイル用導体の角部を前記被照射部として、前記エネルギービームを照射する。
エネルギービームの一種としてのレーザーは、固体金属に対して照射された場合には反射が大きくなり照射対象としてのコイル用導体に対する入熱量が少なくなる傾向がある。一方、コイル用導体が溶融し、金属が液化した場合には照射されるレーザーの反射はほとんどなくなり、入熱量は飛躍的に増大する。当然ながら、レーザーにより加熱される対象物の体積が小さいほど熱容量は小さく、加熱による温度上昇も大きくなる。コイル用導体が角部を有するような断面形状を有する場合には、その角部を被照射部とすることで、熱容量の小さい場所を最初に加熱することができ、コイル用導体を早く溶融させ始めることができる。溶融が早く始まると、その後に照射されるレーザーの入熱量も大きくなるからコイル用導体を迅速に溶融させることができる。エネルギービームの一種としての電子ビームは、照射対象が固体であっても液体であっても入熱量に大きな差はないが、熱容量の小さい部位を最初に加熱する方が溶け始めが早くなることに変わりはない。従って、エネルギービームは熱容量の小さい部位を被照射部として照射されることが好ましい
エネルギービームのエネルギーは照射光の焦点において最も強力であるから、被照射部が焦点となるように照射されると好ましい。1つの態様として、本発明に係る回転電機の導体接合方法では、前記エネルギービーム照射工程において照射される前記エネルギービームの焦点が、前記照射方向手前側の前記コイル用導体の角部に設定されていると好適である。
エネルギービームによる入熱量は被照射部において最も高く、照射方向に沿ってコイル用導体の内部に進むに従って次第に弱くなる。従って、コイル用導体の溶融領域の照射方向に直交する断面形状は、照射方向奥側へと進むほど小さくなっていく。コイル用導体の断面形状が多角形状であり、被照射部がその角部に設定されている場合、2つのコイル用導体の対向面は、照射方向に対して直交する面とは一致しない可能性が高い。つまり、対向面は照射方向に対して斜めの面(90度からずれた角度を有する面)となる。その結果、照射方向に対して直交する面に沿った溶融領域の断面に比べて、対向面に沿った溶融領域の断面の方が広い面積を有する面となる。対向面に沿った溶融領域の断面は2つのコイル用導体の接合面となるから、広い接合面積を得るためには、対向面に対して垂直な方向を照射方向とするよりも、角部から斜め方向(対向面に対して90度以外の方向)を照射方向とすることが好ましい。1つの態様として、コイル用導体の延在方向に直交する断面形状が多角形状である本発明に係る回転電機の導体接合方法においては、前記エネルギービーム照射工程では、前記対向面同士が対向する状態で保持された2つの前記コイル用導体により構成されたコイル用導体対の断面の外縁を形成する多角形の対角線に沿った方向を前記照射方向として前記エネルギービームを照射すると好適である。
また、本発明に係る回転電機の導体接合方法の前記エネルギービーム照射工程では、予め規定された規定照射時間に亘って前記エネルギービームを照射する照射フェーズと、予め規定された休止時間に亘って前記エネルギービームの照射を休止する休止フェーズとを繰り返すパルス照射によって前記エネルギービームを照射すると好適である。エネルギービームの照射を利用した溶接の場合でも、エネルギービームの照射時間が長くなると与えられるエネルギー量が増えて温度上昇も大きくなる。エネルギービーム照射工程においてパルス照射が行われると、休止期間では、既に溶融した領域(溶融領域)の熱を、溶融領域に隣接する非溶融領域に伝搬させて、溶融領域の熱を下げ、全体の温度上昇を抑制することができる。そして、次の照射フェーズでは、溶融領域、及び溶融領域に隣接して予備加熱されている非溶融領域にエネルギーが追加されることで、容易に溶融領域を拡大させることができる。つまり、全体の温度上昇を抑制しながら必要な領域を溶融させることができる。
エネルギービームの照射を利用した溶接を行う場合に、エネルギービームのエネルギー量が多すぎると接合対象のコイル用導体を通過してエネルギービームが他のコイル用導体や回転電機のコアを構成する電磁鋼板などに達してしまう可能性がある。これにより、他のコイル用導体が溶融したり、コアが減磁したりすると、回転電機の性能劣化を招くこととなる。従って、エネルギービームが接合対象のコイル用導体の内部に留まるように、エネルギー量が設定されていると好適である。1つの態様として、本発明に係る回転電機の導体接合方法の前記エネルギービーム照射工程では、前記照射方向奥側の前記コイル用導体の前記照射方向に沿った厚さの1/2以上であって当該厚さ未満の範囲を溶融させるように前記エネルギービームを照射すると好適である。
コイル用導体の先端部の側面図 コイル用導体の接合方法の一例を示すフローチャート エネルギービームの照射条件の一例を模式的に示す説明図 回転電機のコイルの一例を示す部分図 回転電機のコイルの一例を示す部分図 回転電機のコイルの一例を示す部分図 コイル用導体の接合形態の一例を示す説明図 コイル用導体の接合形態の一例を示す説明図 エネルギービームの照射方向と熱容量との関係を示す説明図 エネルギービームの照射方向と熱容量との関係を示す説明図 エネルギービームの照射方向と接合面積との関係を示す説明図 エネルギービームの照射方向と接合面積との関係を示す説明図 溶接形態の違いによる接合結果の比較例を示す図 エネルギービームの照射形態と溶融状態との関係を示す説明図 コイル用導体の接合形態の他の例を示す説明図
以下、コイル用導体を複数個用い、異なるコイル用導体の端部同士を接合して回転電機のコイルを形成する本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明では、アーク溶接に比べて、コイル用導体を溶融させるためのエネルギーを狭い領域に高い密度で与えることができる溶接方法、具体的にはレーザービームや電子ビームなどのエネルギービームを照射する溶接方法を利用する。後述するように、エネルギービームの照射による溶接では、必要以上に導体が溶融した後に凝固することによって生じる導体形状の変化を小さくすることができる。
図1は、接合される2本のコイル用導体7を示している。コイル用導体7は、複数相の交流回転電機の各相のコイルを複数に分割したものに相当する導体である。複数のコイル用導体7を接合することにより各相のコイルが構成される。コイル用導体7は、通電方向にほぼ等価な延在方向に直交する断面の形状が多角形状である。本実施形態では、例えば長辺が3〜3.2[mm]、短辺が1.1〜1.8[mm]程度の矩形状(長方形状)である。より詳しくは、コイル用導体7は、断面の角部を円弧状とした矩形状の線状導体(平角線)である。また、コイル用導体7は、屈曲部を除いて、基本的に、延在方向の位置にかかわらず同じ断面形状である。この線状導体は、例えば銅やアルミニウム等の金属製の無酸素鋼(OFC)である。また、線状導体の表面(特に延在方向の周囲)は、例えばエナメルやポリアミドイミド等の、融点が200〜230[℃]程度の樹脂からなる絶縁被膜7hにより被覆されている。被覆の厚みは、0.04〜0.05[mm]程度である。2つのコイル用導体7の接合の際には、接合部の絶縁被膜7hが除去される。絶縁被膜7hが除去された後のコイル用導体7の端部を裸導体端部7nと称する。
コイル用導体7は、図2に例示するような大きく2つの工程を有する接合方法により接合される。第1の工程は、導体保持工程#10である。導体保持工程#10では、例えば図3に示すように、接合対象導体となる2つのコイル用導体7が、裸導体端部7nの対向面Po同士が隣り合って対向するように保持される。好適には、導体保持工程#10においては、図3に模式的に示すようなクランプ治具100によってコイル用導体7が保持される。尚、接合対象導体には、導体端部7tの先端から予め規定された剥離長の領域の絶縁被膜7hが除去された裸導体端部7nを有するコイル用導体7が用いられる。このため、例えば、図2に示すように、導体保持工程#10に先行して、被膜除去工程#5が実施されてもよい。
第2の工程は、クランプ治具100によって保持されたコイル用導体7の対に対してビームヘッド200からエネルギービームBを照射して裸導体端部7n同士を溶接するエネルギービーム照射工程#20である。図3に示す例では、2つのコイル用導体7の導体端部7tの先端面が基準平面Prに沿って並ぶ状態に保持される。そして、エネルギービームBは、基準平面Prに直交する方向に対して予め規定された角度で傾斜した照射角度で、裸導体端部7nの2つの対向面Poの一方に照射される。クランプ治具100によって保持された後の2つの裸導体端部7nの対向面Po同士の間隔(クリアランス)は、0.08〜0.13[mm]程度である。
エネルギービームBは、基準平面Pr上における2つの対向面Poの中間点を通るように照射される。このエネルギービームBの照射により、2つの対向面Poの内、エネルギービームBが照射された一方の対向面Poの一部が溶融する。2つの対向面Poの隙間は微細であるから、一方の対向面Poにおいて溶融した導体が他方の対向面Poに接触する。この接触によって、エネルギービームBが照射された一方の対向面Poから他方の対向面Poに熱伝導が起こり、エネルギービームBが直接照射されていない他方の対向面Poも溶融する。これにより、2つの裸導体端部7n同士を溶接することができる。ここでは、エネルギービームB照射工程#20におけるエネルギービームBの照射角度は、基準平面Prに直交する方向に設定された照射基準軸Xcを基準とすれば、この照射基準軸Xcに対して6〜10[°]である(図3の“θc”に対応する。)。一方、基準平面Prを基準とすれば80〜84[°]である(図3の“θp”に対応する。)。
ところで、回転電機の軸方向に突出したコイルエンドの形態には種々のものがある。図4〜図6は、分布巻の一種である重ね巻きによるコイルのコイルエンド部を示している。また、図5のコイルエンド部は、拝み継手と称される形態で接続され、図6のコイルエンド部は、L字継手と称される形態で接続される形態を示している。以下の説明では、図4〜図6に示すように回転電機のステータコア2の軸心に沿った方向を軸方向L、円筒状のステータコア2の周に沿った方向を周方向C、径に沿った方向を径方向Rと称して説明する。
図4に示す回転電機では、特許文献2と同様に、コイル用導体7が接合されるコイルエンド部が径方向R及び周方向Cに沿って並んでいる。従って、エネルギービームBを照射する方向は、軸方向Lに沿った方向に限られる。しかし、図5及び図6に示す回転電機では、コイル用導体7が接合されるコイルエンド部は、径方向Rに沿って並ばず、それぞれ独立して配置されている。従って、エネルギービームは、軸方向Lに沿った方向に限らず、径方向Rに沿った方向からも照射可能である。
例えば、コイルエンド部が図5に示す拝み継手と称される形態では、図7に示すように、径方向Rに沿った方向からエネルギービームBを照射して、貫通溶接を行うことができる。また、コイルエンド部が図6に示すL字継手と称される形態でも、図8に示すように、径方向Rに沿った方向からエネルギービームBを照射して貫通溶接を行うことができる。符号“7m”は、エネルギービームBの照射によって溶融するコイル用導体7の領域、溶融領域を示している。尚、エネルギービームBがレーザーの場合、エネルギービームBのコイル用導体7の表面での全反射光がビームヘッド200に入光することをすることを抑制するために、エネルギービームBは、6〜8[°]程度の傾きを有して照射されると好適である。また、図7及び図8に例示した形態では、1箇所にエネルギービームBを照射しているが、当然ながら複数箇所にエネルギービームBが照射されて複数箇所で接合されてもよい。この際、複数箇所に形成される溶融領域7mが1つの溶融領域7mを形成してもよい。
このようにコイル用導体7の側方からエネルギービームBが照射される場合も、コイル用導体7は、図2に例示するように、導体保持工程#10とレーザー照射工程#20との大きく2つの工程を有する接合方法により接合される。導体保持工程#10では、図7及び図8に示すように、2つのコイル用導体7が、対向面Po同士が対向する状態でクランプ治具100によって保持される。この際、2つのコイル用導体7の接合部の絶縁被膜7hが除去され、裸導体端部7nが形成される。図7及び図8では、図3と同様に、裸導体端部7nが形成される形態を例示しているが、導体端部7tにおいては、2つのコイル用導体7が対向する対向面Poの絶縁被膜7h、及び接合のためにエネルギービームBが照射される被照射部7gの絶縁被膜7h、が少なくとも除去されていればよい。部分的であっても、エネルギービームBの照射前には絶縁被膜7hを除去する必要があるので、上述したように、導体保持工程#10に先行して、被膜除去工程#5が実施されてもよい。
エネルギービーム照射工程#20では、対向面Po同士が重複して見える方向からエネルギービームBを被照射部7gに対して照射する。エネルギービーム照射工程#20では、照射方向手前側のコイル用導体7(第1コイル用導体7A)から照射方向奥側のコイル用導体7(第2コイル用導体7B)の順に溶融させて溶融領域7mを形成して、2つのコイル用導体7を溶接する。
特許文献1や特許文献2のように、アーク溶接を利用して2つのコイル用導体7を溶接する場合には、接合対象の2つのコイル用導体7の両方に対してほぼ同時に熱を加えて溶融させる必要がある。従って、図3に例示したような基準平面Prにおいて2つのコイル用導体の導体端部7tの端面が比較的高い精度で揃っていることが好ましい。また、図3に例示したように、導体端部7tの先端面にエネルギービームBを照射する場合も、導体端部7tの端面が比較的高い精度で揃っていることが好ましい。2つのコイル用導体7の導体端部7tの端面が不揃いとなると、2つのコイル用導体7の溶け方が異なり、導体形状が大きく変化したり、接合強度が不充分となったりする可能性がある。
しかし、図7及び図8に示したように、対向面Po同士が重複して見える方向からエネルギービームBを照射する方法であれば、2つのコイル用導体7の導体端部7tの端面が不揃いであっても、良好な接合結果を得ることができる。つまり、2つのコイル用導体7を対向させて保持した際の位置誤差による接合への影響を抑制することができる。
ところで、エネルギービームBの一種としてのレーザーは、固体金属に対して照射された場合には反射が大きくなり照射対象としてのコイル用導体7に対する入熱量が少なくなる傾向がある。一方、コイル用導体7が溶融し、金属が液化した場合には照射されるレーザーの反射はほとんどなくなり、入熱量は飛躍的に増大する。当然ながら、レーザーにより加熱される対象物の体積が小さいほど熱容量は小さく、加熱による温度上昇も大きくなる。本実施形態のように、コイル用導体7の延在方向に直交する断面形状が多角形状の場合には、コイル用導体7が角部(CR)を有する。その角部を被照射部とすることで、熱容量の小さい場所を最初に加熱することができ、コイル用導体7を早く溶融させ始めることができる。
図9は、照射方向手前側の第1コイル用導体7Aの側面PにエネルギービームBを照射する例を示しており、図10は、照射方向手前側の第1コイル用導体7Aの角部CRにエネルギービームBを照射する例を示している(図10(b)はさらにコイル用導体対の断面の外縁7Pの対角線に沿って照射した例。)。エネルギービームBが第1コイル用導体7Aに当たった位置を中心とした基準円を設定すると、エネルギービームBを側面Pに照射した場合に比べて、角部CRに照射した場合の方が当該基準円に含まれるコイル用導体7の領域(体積、断面における面積)が小さい。つまり、角部CRにエネルギービームBを照射した場合の方が側面Pに照射した場合に比べて、照射位置近傍において母材の占める割合が小さくなる。このため、角部CRに照射した場合の方がエネルギービームBの単位入熱量に対して、母材の溶融量が大きくなる。また、当然ながら溶け始めも早くなる。
上述したように、エネルギービームBがレーザーの場合、コイル用導体7が溶融し、金属が液化した場合には照射されるレーザーの反射はほとんどなくなり、入熱量は飛躍的に増大する。コイル用導体7が早く溶け始めると、その後に照射されるレーザーの入熱量も大きくなるからコイル用導体7を迅速に溶融させることができる。エネルギービームBの一種としての電子ビームは、照射対象が固体であっても液体であっても入熱量に大きな差はない。しかし、熱容量の小さい部位を最初に加熱する方が、溶け始めが早くなることに変わりはない。従って、エネルギービームBは、熱容量の小さい部位を被照射部7gとして照射されることが好ましい。尚、エネルギービームBのエネルギーは照射光の焦点において最も強力であるから、エネルギービームBは、被照射部7gが焦点となるように照射されると好ましい。つまり、エネルギービームBの焦点は、照射方向手前側のコイル用導体7(第1コイル用導体7A)の角部CRに設定されていると好適である。
ところで、エネルギービームBによる入熱量は被照射部7gにおいて最も高く、照射方向に沿ってコイル用導体7の内部に進むに従って次第に弱くなる。従って、コイル用導体7の溶融領域7mの照射方向に直交する断面形状は、照射方向奥側へと進むほど小さくなっていく。コイル用導体7の断面形状が多角形状であり、被照射部7gがその角部CRに設定されている場合、2つのコイル用導体の対向面Poは、照射方向に対して直交する面とは一致しない可能性が高い。つまり、対向面Poは照射方向に対して斜めの面(90度からずれた角度を有する面)となり、照射方向に対して直交する面に沿った溶融領域7mの断面に比べて、対向面Poに沿った溶融領域7mの断面の方が広い面積を有する面となる。
図11及び図12は、エネルギービームBを照射した場合の溶融領域7mを模式的に示している。図11は、コイル用導体7の側面PにエネルギービームBを照射した場合の溶融領域7mを模式的に示しており、図12は、角部CRにエネルギービームBを照射した場合の溶融領域7mを模式的に示している。図11及び図12では、エネルギービームBの照射方向に対する溶融領域7mの形状はほぼ同じであるものと仮定して図示している(“H1”の長さを同じとして作図。)。図11及び図12の比較より明らかなように、角部CRに対してエネルギービームBを照射する場合には、側面PにエネルギービームBを照射する場合と比べて、接合面Jの面積をより大きくとることができる(H2<H3)。
接合面Jの面積は、エネルギービームBの照射方向と対向面Poとのなす角が浅くなる(90度から0度側に近づく)方が広くなる。従って、エネルギービームBの照射方向は、エネルギービームBがコイル用導体7を貫通して抜け出ることがないように、コイル用導体7の対(コイル用導体対)の中で最大の経路を辿り、且つ、照射方向と対向面Poとのなす角が浅くなるように設定されると好適である。具体的には、エネルギービームBの照射方向は、図10の(b)に示すように、対向面Po同士が対向する状態で保持された2つのコイル用導体7により構成されたコイル用導体対の断面の外縁7Pを形成する多角形の対角線に沿った方向であると好適である。
図13は、コイル用導体7を保持したクランプ状態と接合方法との関係を示している。ここでは、クランプ状態は、5つの状態を例示している。左から2番目の列の「標準」は標準的なクランプ状態を示している。「突出し最小」の状態は、アーク溶接の電極やエネルギービームBのビームヘッド200の方向への導体端部7tの突出量(クランプ治具100からの突出量)が最小で、当該電極やビームヘッドから導体端部7tまでの距離が最も長くなる状態である。「突出し最大」の状態は、これとは逆に、電極やビームヘッド200に対する突出量が最大で、電極やビームヘッド200から導体端部7tまでの距離が最も短くなる状態である。
「表段差最大」及び「裏段差最大」は、2つのコイル用導体7の導体端部7tの突出量が異なり、2つの導体端部7tに段差が生じている状態である。「表段差」、「裏段差」の区別は、エネルギービームBの照射方向に応じた呼称である。コイル用導体7の側方からエネルギービームBを照射する場合における照射方向手前側のコイル用導体7(第1コイル用導体7A)が突出し最小で、照射方向奥側のコイル用導体7(第2コイル用導体7B)が突出し量最大の場合には、ビームヘッド200から見て段差が見えるので「表段差」と称し、突出量が逆方向の場合にはビームヘッド200から見て段差が見えないので「裏段差」と称している。
図13において、上段はコイル用導体7の側方からエネルギービームBを照射した場合の実験結果を示し、中段は導体端部7tの側から端面にエネルギービームBを照射した場合の実験結果を示し、下段は導体端部7tの側から端面にアーク溶接(TIG溶接)を行った場合の実験結果を示している。図13では、「接合面積」と「熱影響」とにより簡略化して良否を判定した例を示している。
「接合面積」は、2つのコイル用導体7の接合部分の面積であり、例えば接合部分の面積が2.5〜3[mm]程度の基準値以上であることを良判定の基準としている。「熱影響」は絶縁被膜7hを溶融させるような温度上昇がコイル用導体7に生じる範囲を規定するための導体端部7tの先端面からの長さであり、例えば当該範囲が導体端部7tの先端面から6〜10[mm]程度の基準値以下であることを良判定の基準としている。尚、「接合面積」の良否判定には、接合部の形状や強度(例えば200[N]以上であること)も含む。従って、コイル用導体7の外縁を超えるような膨張や、接合強度の低下などが見られる場合には、上述したような基準値以上の接合面積を得られていても、良判定としていない。
図13を参照すると、「標準」状態では、どの溶接方法においても、良好な接合結果が得られている。一方、「突出し最小」状態では、エネルギービームBを利用した溶接方法では、良好な接合結果が得られているが、アーク溶接では、接合面積が不足している。「突出し最大」状態では、エネルギービームBを利用した溶接方法では、良好な接合結果が得られているが、TIG溶接では、接合面積は基準値を満足するものの、熱影響が大きくなり、基準値を超えてしまっている。つまり、エネルギービームBを利用した溶接方法では、突出し量に拘わらず基準を満足する接合が可能であるが、アーク溶接では突出し量の大小によって接合結果が基準を満足しない場合がある。
導体端部7tに段差が生じている場合、アーク溶接では、接合面積は基準を満足しても、一方のコイル用導体7に過剰な溶融が生じるなどにより、コイル用導体7の外縁を超えるような膨張が生じることがあり、異形となることによって強度も低下する可能性がある。また、一方のコイル用導体7に過剰な溶融が生じることによって、熱影響も基準を満たさなくなる場合がある。導体端部7tの先端面からエネルギービームBを照射する場合には、一方のコイル用導体7のみが溶融して2つのコイル用導体7の接合ができなくなった。尚、エネルギービームBの入熱量を40%程度強くすることによって、接合面積の基準を満たすことは可能であったが、一方のコイル用導体7(第1コイル用導体7A)に偏って溶融することによる接合強度の低下や、接合後の形状の異形化などが見られた。また、入熱量の上昇により熱影響も大きくなり、基準値を満足しなくなった。
一方、コイル用導体7の側方からエネルギービームBを照射した場合には、「表段差最大」及び「裏段差最大」の何れの状態で段差が生じた場合でも、接合面積及び熱影響の基準値を満足する良好な接合結果が得られた。
アーク溶接では、図13に示すように、突出し量によってコイル用導体7の接合品質が大きく影響を受ける。導体端部7tの端面側からエネルギービームBを照射する形態では、突出し量による接合品質への影響はアーク溶接よりも軽微であり、充分実用的であるが、導体端部7tの先端部における段差への耐性は不充分である。これらに対して、コイル用導体7の側方からエネルギービームBを照射する形態では、導体端部7tの先端部における段差に拘わらず、良好な接合を実現することができる。
図4〜図6に例示したようにコイル用導体7としての平角線を接合してコイルを形成する回転電機では、標準状態に対して第1コイル用導体7A及び第2コイル用導体7Bの導体端部7tの先端がそれぞれ±1[mm]程度、出退した状態となる可能性がある。つまり、接合対象となる2つのコイル用導体7(コイル用導体対)の先端は最大で2[mm]程度の段差を生じる可能性がある。この段差(位置合わせの誤差)を導体保持工程#10よりも上流の製造工程において抑制するためには、コイル用導体7を巻きつける工程での精度向上や、巻きつける工程の後に端面合わせのための工程の追加や、ビームヘッド200と導体端部7tの先端との距離の最適化調整などが必要となり、生産コストが高くなる可能性がある。しかし、コイル用導体7の側面側からエネルギービームBを照射する方法であれば、このような導体端部7tの先端の段差に拘わらず、安定した接合品質を安価に得ることができる。
ところで、図14に示すように、エネルギービーム照射工程#20では、予め規定された規定照射時間T1(例えば0.2〜0.3[ms])に亘ってエネルギービームBを照射する照射フェーズと、予め規定された休止時間T2(例えば0.05〜0.1[ms])に亘ってエネルギービームBの照射を休止する休止フェーズとを総照射時間T(例えば100〜150[ms])に亘って繰り返すパルス照射によってエネルギービームBを照射すると好適である。エネルギービームBの照射を利用した溶接の場合でも、エネルギービームBの照射時間が長くなると与えられるエネルギー量が増えて温度上昇も大きくなる。エネルギービーム照射工程#20においてパルス照射が行われると、休止期間では、既に溶融した領域(溶融領域7m)の熱を、溶融領域7mに隣接する非溶融領域に伝搬させて、溶融領域7mの熱を下げ、全体の温度上昇を抑制することができる。そして、次の照射フェーズでは、溶融領域7m、及び溶融領域に隣接して予備加熱されている非溶融領域にエネルギーが追加されることで、容易に溶融領域7mを拡大させることができる。つまり、全体の温度上昇を抑制しながら必要な領域を溶融させることができる。
図14では、エネルギービームBとして電子ビームを利用し、連続照射とパルス照射とを行った場合に形成される溶融領域7mの断面形状を比較している。連続照射の場合に印可される電流“E1”は例えば35〜40[mA]であり、パルス照射の照射フェーズの電流“E2”は例えば45〜50[mA]である。“E1”は“E2”に比べて小さい値であるが、総照射時間“T1”におけるエネルギーは連続照射とパルス照射とでほぼ同一である。また、電子ビームを加速させるための加速電圧は例えば50〜60[kV]である。図14において符号“7e”は溶融領域7mに隣接する熱影響部を表している。連続照射の場合には、熱伝導によって照射部に近い側(図示上部側)において溶融領域7mが横方向に広がり易い。その結果、熱影響部も横に広がり易く、図7や図8に示したように、コイル用導体7の側方からエネルギービームBを照射する場合には、絶縁被膜7hの熱影響が生じやすくなる。一方、熱が横方向に広がる分だけ、照射方向(深さ方向)への熱伝導が少なくなり、溶融領域7mの深さ方向への成長が抑制される。つまり、2つのコイル用導体7の接合に際して、第1コイル用導体7Aから第2コイル用導体7Bへの溶融領域7mの成長が抑制される。
これに対して、パルス照射の場合には、休止期間において、既に溶融した領域(溶融領域7m)の熱が、溶融領域7mに隣接する非溶融領域に伝搬され、溶融領域7mの熱を下げることで全体の温度上昇が抑制されるので、照射部に近い側(図示上部側)において溶融領域7mが横方向に広がることが抑制される。その結果、熱影響部の横方向への広がりも抑制され、図7や図8に示したように、コイル用導体7の側方からエネルギービームBを照射する場合の絶縁被膜7hの熱影響も抑制される。また、熱が横方向に広がりにくいので、照射方向(深さ方向)への熱伝導が多くなり、溶融領域7mの深さ方向への成長が促進される。即ち、2つのコイル用導体7の接合に際して、第1コイル用導体7Aから第2コイル用導体7Bへの溶融領域7mの成長が促成されて高い接合強度を得ることができる。尚、熱影響が許容され、必要な接合強度が得られる場合には、パルス照射ではなく、連続照射が採用されることを妨げるものではない。
ここではエネルギービームBとして電子ビームを利用した場合を例として、パルス照射の利点を説明したが、当然ながらエネルギービームBとしてレーザーを利用した場合も同様である。エネルギービームBとしてレーザーを利用する場合の照射方法には、シングルモードと称される照射モードと、マルチモードを称される照射モードとがある。シングルモードと称される照射モードは、1つの励起光で増幅されたレーザー光を用いるモードである。シングルモードでは、エネルギー分布がガウス分布となり、レーザー光の径を小さくすることができ、エネルギー密度も大きくすることができる。これに対して、マルチモードと称される照射モードでは、複数の励起光で増幅されたレーザー光が用いられる。マルチモードのエネルギー分布は、等脚台形を上底及び下底の中点を通る直線を回転軸として回転させたようなトップハット型の分布となる。このため、容易に出力を大きくすることができるが、レーザー光の径は大きく(太く)なる。本実施形態では、アーク溶接に比べて、コイル用導体7を溶融させるためのエネルギーを狭い領域に高い密度で与えることが好ましいため、照射モードとしてはシングルモードを採用している。
シングルモードによって、レーザー光がコイル用導体7に照射されると、導体が気化し、導体の内部から溶融が始まる。さらにレーザー光の照射を続けると、溶融領域7mが次第に拡大していく。このように、シングルモードでは、導体の内部から溶融し、細く深い領域に溶融が拡大する。一方、マルチモードでは、導体の表面から溶融し、広く浅い領域で溶融することになる。また、マルチモードでは、レーザーを照射している側から溶融すること、溶融領域が広く浅い領域となることなどから、液状化した導体の温度がさらに上昇して沸点に達し、気化した導体によって液状化した導体が吹き飛ばされてボイド(穴空き)が生じる可能性が、シングルモードよりも高くなる。
シングルモードでは、上述したように、溶融領域7mが細く深い形状となるため、母材であるコイル用導体7への熱伝導が大きくなり、液状化した導体が沸点に達する可能性も抑制される。即ち、溶融領域7mの温度を母材の融点から沸点までの温度に制御することが容易である。シングルモードでは、中央が鋭く尖ったガウス分布に従った高いエネルギー密度を有するレーザーを照射することができ、母材の内部まで高いエネルギー密度を維持することができる。発明者らによる実験によれば、シングルモードでのボイドの発生率は5%以下であった。
また、発明者らの実験によれば、シングルモードでは、レーザーの焦点距離が長くなっても、高いエネルギー密度を維持できることが確認されている。このため、ビームヘッド200を接合対象導体から離すことが可能となり、溶接の際のワークディスタンスを確保し易くなるので、生産性が向上する。尚、当然ながらレーザーの出力が大きいほど、コイル用導体7は早く溶融する。そして、コイル用導体7の母材が液体状態となることによって、反射が少なくなりレーザーのエネルギーの吸収率も高くなる。従って、レーザーの出力は、例えば2000[W]以上に設定されると好適である。また、好適な態様として、レーザーの波長は0.3〜1.1[μm]、焦点の径は10〜200[μm]であるとよい。
尚、エネルギービームBとしてレーザーを利用した溶接では溶接部分の金属の酸化を抑制するために、アルゴン、ヘリウム、窒素などの不活性ガスがシールドガスとして吹き付けられる。一方、エネルギービームBとして電子ビームが利用される場合には、真空状態で溶接を行う必要がある。真空状態で溶接を行うことにより、コイル用導体7の溶融によって生じたボイドに空気が封入されることを抑制することができる。
ところで、回転電機のコイルの形状は図4〜図6に例示される形態に限定されるものではない。図4〜図6に例示した形態では、コイル用導体7は概ねコイルエンド部において軸方向Lに沿った状態となっていたが、図15に示すように、径方向Rに沿った状態であってもよい。図15のような形態では、コイルエンド部が径方向Rに突出するため、回転電機の軸方向Lの長さを短縮することができる。コイルエンド部がこのような形態の場合、径方向Rから導体端部7tの端面へエネルギービームBを照射すること、及び軸方向Lからコイル用導体7の側面(角部CRを含む)へエネルギービームBを照射すること、が可能である。
図13を利用して上述したように、クランプ状態に拘わらず良好な接合を実現する上では、軸方向Lからコイル用導体7の側面(角部CRを含む)へエネルギービームBを照射することが好ましい。但し、この際に、エネルギービームBが2つのコイル用導体7を貫通してしまうと、エネルギービームBがステータコア2に照射され、ステータコア2を構成する電磁鋼鈑を損傷させたり、減磁させたりしてしまう可能性がある。従って、エネルギービームBは、2つのコイル用導体7を貫通しないように、その出力が制御されることが好ましい。例えば、射方向奥側のコイル用導体7(第2コイル用導体7B)の照射方向に沿った厚さの1/2以上であって当該厚さ未満の範囲を溶融させるようにエネルギービームBが照射されると好適である。
本発明は、コイル用導体を複数個用い、異なるコイル用導体の端部同士を接合して、回転電機のコイルを形成するために利用することができる。
7 :コイル用導体
7A :第1コイル用導体(照射方向手前側のコイル用導体)
7B :第2コイル用導体(照射方向奥側のコイル用導体)
7g :被照射部
7h :絶縁被膜
7m :溶融領域
7t :導体端部
B :エネルギービーム
CR :角部
J :接合面
L :軸方向
Po :対向面
T1 :規定照射時間
T2 :休止時間
#10 :導体保持工程
#20 :エネルギービーム照射工程

Claims (5)

  1. 絶縁被膜が施されたコイル用導体を複数個用い、回転電機のコイルを形成するために、異なる前記コイル用導体の端部である導体端部同士を接合する回転電機の導体接合方法であって、
    前記導体端部において2つの前記コイル用導体が対向する対向面の前記絶縁被膜と、2つの前記コイル用導体の一方において接合のためにエネルギービームが照射される被照射部の前記絶縁被膜と、が少なくとも除去された2つの前記コイル用導体を、前記対向面同士が対向する状態で保持する導体保持工程と、
    前記対向面同士が重複して見える方向から前記エネルギービームを前記被照射部に対して照射し、照射方向手前側の前記コイル用導体から照射方向奥側の前記コイル用導体の順に溶融させて、2つの前記コイル用導体を溶接するエネルギービーム照射工程と、
    を備え
    少なくとも前記照射方向手前側の前記コイル用導体の延在方向に直交する断面形状は多角形状であり、
    前記エネルギービーム照射工程では、当該照射方向手前側の前記コイル用導体の角部を前記被照射部として、前記エネルギービームを照射する、
    回転電機の導体接合方法。
  2. 記エネルギービーム照射工程では、前記対向面同士が対向する状態で保持された2つの前記コイル用導体により構成されたコイル用導体対の断面の外縁を形成する多角形の対角線に沿った方向を前記照射方向として前記エネルギービームを照射する請求項1記載の回転電機の導体接合方法。
  3. 前記エネルギービーム照射工程において照射される前記エネルギービームの焦点は、前記照射方向手前側の前記コイル用導体の角部に設定されている請求項1又は2に記載の回転電機の導体接合方法。
  4. 前記エネルギービーム照射工程では、予め規定された規定照射時間に亘って前記エネルギービームを照射する照射フェーズと、予め規定された休止時間に亘って前記エネルギービームの照射を休止する休止フェーズとを繰り返すパルス照射によって前記エネルギービームを照射する請求項1からの何れか一項に記載の回転電機の導体接合方法。
  5. 前記エネルギービーム照射工程では、前記照射方向奥側の前記コイル用導体の前記照射方向に沿った厚さの1/2以上であって当該厚さ未満の範囲を溶融させるように前記エネルギービームを照射する請求項1からの何れか一項に記載の回転電機の導体接合方法。
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