JP6593280B2 - 平角線のレーザ溶接方法 - Google Patents
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Description
絶縁被覆された第1及び第2の平角線において絶縁被膜がそれぞれ剥離された端部側面同士を突き合わせ、前記第1及び第2の平角線の端面にレーザビームを照射することにより、前記端部側面同士を溶接する平角線のレーザ溶接方法であって、
前記第1及び第2の平角線の端面にレーザビームを照射する際、
前記第1の平角線の端面内において、レーザビームをループ状に走査させて第1の溶融池を形成し、前記レーザビームを走査させるループ状の軌跡の径を大きくしていき、前記第1の溶融池を前記端部側面同士の突き合わせ面に到達させるステップと、
所定の時間冷却させるステップと、
前記第1の平角線の端面内、又は前記第2の平角線の端面内において、他のレーザビームをループ状に走査させて第2の溶融池を形成し、前記レーザビームを走査させるループ状の軌跡の径を大きくしていき、前記第2の溶融池を前記端部側面同士の突き合わせ面に到達させるステップと、
を備える。
このような構成によれば、レーザの照射回数が2回であり、且つ、1回目の照射と2回目の照射との間に冷却時間が設けられている。そのため、突き合わせた端部同士への入熱量の偏りが抑制され、一方の平角線の端部の温度と、他方の平角線の端部の温度とのバランスが良好である。
まず、本実施形態に係る平角線のレーザ溶接方法を用いて溶接されたセグメントコイルを備えるステータの構成の一例について説明する。
図1は、ステータの概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、モータの固定子であるステータ1は、ステータコア10と複数のセグメントコイル20とを有する。
なお、当然のことながら、図2及び図3に示した右手系xyz座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。図1のz軸方向と図2及び図3のz軸方向は一致している。通常、z軸プラス向きが鉛直上向き、xy平面が水平面である。
具体的には、接合部25において、絶縁被膜21aが剥離された平角線(セグメントコイル)20aの突き合わせ面(端部側面)23aと、絶縁被膜21bが剥離された平角線(セグメントコイル)20bの突き合わせ面(端部側面)23bと、を突き合わせる。そして、レーザビームを平角線20aの端面24aに対して、鉛直下向き(z軸マイナス方向)に照射する。図の例では、レーザビームを、平角線20aの端面24aにおいて、紙面に向かって左側の一部位に、連続して照射する。平角線20aの端面24a内においてループ状にレーザビームを走査することにより、溶融池30を形成する。ループ状とは、環状(閉ループ)もしくは螺旋状(開ループ)であることを意味する。図の例では、レーザビームの走査軌跡が円状である。
また、レーザビームは連続して照射されているため、本ステップにおいてレーザビームの照射が完了するまで、第1の溶融池30は、凝固することなく、溶融したままである。
すなわち、この段階では、突き合わせ面23a、23bにレーザビームLBは照射されていない上、突き合わせ面23a、23bの間の隙間が溶融池30により充填されている。そのため、突き合わせ面23a、23bの間の隙間にレーザビームLBが侵入することが抑制されている。
具体的には、レーザビームを平角線20bの端面24bに対して、鉛直下向き(z軸マイナス方向)に照射する。また、レーザビームを、平角線20bの端面24bにおいて、溶融池30の隣に照射する。図の例では、レーザビームを、平角線20bの端面24bにおいて、紙面に向かって溶融池30の右側に、連続して照射する。平角線20aの端面24a内においてループ状にレーザビームを走査することにより、溶融池40を形成する。ループ状とは、環状(閉ループ)もしくは螺旋状(開ループ)であることを意味する。図の例では、レーザビームの走査軌跡が円状である。
また、レーザビームは連続して照射されているため、本ステップにおいて第2の溶融池40は、凝固することなく、溶融したままである。
すなわち、この段階では、レーザビームLBは溶融池40に照射されて、吸収されているため、突き合わせ面23a、23bにレーザビームLBは照射されていない上、突き合わせ面23a、23bの間の隙間が溶融池40により充填されている。そのため、突き合わせ面23a、23bの間の隙間にレーザビームLBが侵入することが抑制されている。
さらに、溶融池30及び溶融池40を成長させることにより、溶融池30及び溶融池40の径を深さに対し大きくすることができる。そのため、溶融池30及び溶融池40の表面張力が大きくなり、スパッタの発生を抑制することができる。
図7A及び図7Bを参照して、第1の実施形態の変形例について説明する。図7Aは、第1の実施形態に係る平角線のレーザ溶接方法における平角線20a、20bの接合部25の変形例を示す側面図である。図7Bは、図7Aの断面図である。なお、図7A及び図7Bに示した右手系xyz座標は、図2〜図5と一致している。
比較例では、照射時間について4水準計測した。照射時間が約0.04secである条件では、接合面積が3mm2を下回り、良好でないと判断された。照射時間が0.07secを超えた条件では、接合面積が3mm2以上であるものの、絶縁被膜側面温度が被膜樹脂の分解温度450℃を超えており、良好でないと判断された。一方、レーザ照射時間が約0.06sec、約0.065secである条件では、接合面積が3mm2以上でありつつ、絶縁被膜側面温度が被膜樹脂の分解温度が450℃以下である。この2つの条件では、接合面積及び絶縁被膜側面温度は、ともに良好と判断される。すなわち、照射時間の条件が限定されており、良品の生産条件のロバスト性が低下している。
次に、第1の実施形態に係る平角線のレーザ溶接方法の一具体例について説明する。本具体例は、量産するときに用いられる。図11は、第1の実施形態に係る平角線のレーザ溶接方法の一具体例を適用されるステータコアを示す平面図である。図12は、第1の実施形態に係る平角線のレーザ溶接方法の一具体例における一工程を示す断面図である。
具体的には、まず、第1の溶融池形成ステップS1を実施し、接合部25dにおいて溶融池30を形成する。その後、接合部25dと異なる接合部へクランプ治具50を移動させて接合部をクランプする移動クランプステップと、クランプした接合部において第1の溶融池形成ステップS1とを、7回繰り返す。ここで、接合部25dと異なる7つの接合部において、溶融池30を形成する。接合部25dへクランプ治具50を移動させて接合部をクランプした後で、接合部25dにおいて第2の溶融池形成ステップS3を実施する。第1の溶融池形成ステップS1、第2の溶融池形成ステップS3、クランプ治具50を移動させて接合部をクランプする移動クランプステップは、0.5secとすると、第1の溶融池形成ステップS1と、接合部25dにおける第2の溶融池形成ステップS3との間のステップは、0.8secが経過するため、冷却ステップS2と同等に、接合部25dを冷却させる。以上のステップを、接合部25a、25b、25c等の他の接合部にも適用することができる。すなわち、第1の溶融池形成ステップS1と、第2の溶融池形成ステップS3との間に、冷却ステップS2を設けることによって、量産への影響は少ないと考えられる。
20a、20b 平角線 21a、21b 絶縁被膜
22a、22b 導体部 23a、23b 突き合わせ面
24a、24b 端面
30、40 溶融池
LB レーザビーム
S1 第1の溶融池形成ステップ S2 冷却ステップ
S3 第2の溶融池形成ステップ
Claims (1)
- 絶縁被覆された第1及び第2の平角線において絶縁被膜がそれぞれ剥離された端部側面同士を突き合わせ、前記第1及び第2の平角線の端面にレーザビームを照射することにより、前記端部側面同士を溶接する平角線のレーザ溶接方法であって、
前記第1及び第2の平角線の端面にレーザビームを照射する際、
前記第1の平角線の端面内において、レーザビームをループ状に走査させて第1の溶融池を形成し、前記レーザビームを走査させるループ状の軌跡の径を大きくしていき、前記第1の溶融池を前記端部側面同士の突き合わせ面に到達させるステップと、
所定の時間冷却させるステップと、
前記第1の平角線の端面内、又は前記第2の平角線の端面内において、他のレーザビームをループ状に走査させて第2の溶融池を形成し、前記レーザビームを走査させるループ状の軌跡の径を大きくしていき、前記第2の溶融池を前記端部側面同士の突き合わせ面に到達させるステップと、
を備えた、
平角線のレーザ溶接方法。
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