JP6086147B2 - 鋼矢板 - Google Patents

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Description

本発明は、断面形状がU形またはハット形の鋼矢板(U-shaped steel sheet pile or hat-shaped steel sheet pile)に関するものである。
U形、ハット形などの鋼矢板については、その断面形状が鋼矢板壁(steel sheet pile wall)の法線に対して非対称であることから、地盤に打設(drive)する際、曲がり(warp)(図18参照)や回転(rotation)(ねじれ(torsion))などが生じる場合がある。
特に鋼矢板の打設長さが長くなると、上記の傾向が顕著になる。その結果、鋼矢板打設時の地盤抵抗(貫入抵抗(penetration resistance))や隣接する鋼矢板継手(joint)間の接触抵抗(contact resintance)が大きくなり、打設が困難になるなどの問題が生じる。
これらの問題が発生するのを防止するために、鋼矢板の断面形状(サイズ)に応じて打ち込み(drive)可能長さなどが設定されている(非特許文献1参照)。
例えば、油圧圧入工法(hydraulic press-in construction method)の場合、U形鋼矢板IIW型では打ち込み可能長さが10mであり、U形鋼矢板VIL型では打ち込み可能長さが30mである。
一方、厚い軟弱地盤層(soft ground layer)上に堤防(embankment)を築造する場合などにおいて、堤防補強工(reinforcing work for embankment)やあるいは周辺構造物への沈下(subsidence)影響防止のため、30m以上の長尺の鋼矢板を打設することが必要となる場合がある。
長尺の鋼矢板を打設するためには鋼矢板の施工性(workability)を向上させる必要がある。このような必要性を満たす従来技術として、高圧の水を噴射させ周辺地盤を柔らかくしつつ、鋼矢板を打設するウォータージェット工法(water jet construction method)がある(特許文献1参照)。
また、鋼矢板表面の摩擦抵抗(frictional resistance)を低減する技術としては、特許文献2のように、吸水性樹脂(water-absorbing resin)とアルカリ水可溶性樹脂(alkaline water-soluble resin)とを必須成分とする摩擦低減材(friction reducing material)を表面に塗布または貼り付けるものがある。
鋼管杭協会(Japanese Association for Steel Pipe Piles):鋼矢板 設計から施工まで、pp.337-338、2007
特許第4239566号公報 特開2008-303628号公報
従来の鋼矢板は、構造設計上では十分な必要性能を有する鋼矢板断面形状(サイズ)であるにもかかわらず、打設時の施工性の問題から、断面形状(サイズ)をより大きなものにせざるを得ないケースがあり、経済性を損なっているという問題がある。
また、鋼矢板を打設する際の施工性を向上するために、特許文献1に開示されたウォータージェット工法を用いると以下のような問題がある。高圧水を通すジェットノズルの設置作業やノズルホルダを鋼矢板に付設する作業などにより、現地での施工準備時間が長くなることや、高圧の水を噴射することで周辺地盤が乱れ、地耐力(soil bearing power)が低下し、不安定な構造となるおそれがある。
また、特許文献2では、軟弱地盤での地盤圧密沈下(ground consolidation settlement)に起因して鋼矢板に生じる引込み力(ネガティブフリクション)(negative friction)を低減することを目的として、鋼矢板表面全長に摩擦低減材を設置する構造になっている。
しかしながら、このような構造は、鋼矢板の直進性を改善することにより打設性(drivability)を向上するという観点からは、必ずしも合理的ではない。特に打設長が長い鋼矢板の場合、摩擦低減材の設置面積が大きくなり、コストが膨大となる。ここで直進性とは、鋼矢板打設時に、鋼矢板の曲がりや回転(ねじれ)が発生せず、鋼矢板がまっすぐに地中に貫入する(penetrate)程度を表すものである。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、周辺地盤への悪影響を及ぼすことなく、打設施工時の鋼矢板の直進性を高めることで、打設施工中の曲がりや倒れなどが防止でき、従来工法よりも打設長さの長い施工を可能にする鋼矢板を得ることを目的としている。
発明者は、鋼矢板の打設に際して直進性を阻害する要因について検討した。図30A、図30B、図31はU形断面の鋼矢板打設時の状態を説明する説明図である。
鋼矢板の打設時において、貫入抵抗が増大する大きな要因の一つとして、図30A、図30Bおよび図31に示すように、鋼矢板11の下端部において、ウェブ(web)およびフランジ(flange)によって形成される隅角部(corner)内側に土13が詰まることで鋼矢板下端部内側が閉塞し、当該部位の摩擦抵抗が増大することが考えられる。
鋼矢板11の内周面の摩擦抵抗が、外周面の摩擦抵抗より大きくなると、より抵抗の小さい鋼矢板外側方向に鋼矢板が曲がる挙動が生じ、直進性が損なわれる。鋼矢板の打設施工は、先行鋼矢板を打設した後、後続の鋼矢板を先行鋼矢板に継手嵌合させて打設する。従って、先行鋼矢板が曲がった状態で打設された場合、後続の鋼矢板の継手嵌合部(joints fitting portion)の抵抗が増大し、施工が困難となる。
上記のように、鋼矢板の直進性を阻害する大きな要因が鋼矢板下端部内側に土が閉塞することであることから、この閉塞を防止することで直進性を確保することができる。鋼矢板下端部内側の閉塞を防止する方法として、鋼矢板下端部における鋼矢板表面の摩擦を低減することで、鋼矢板の内周面にある隅角部内側での土の詰まりを防止し、下端部内側の閉塞を抑制することが可能となる。これにより、鋼矢板下端部内側での閉塞が防止でき、さらには鋼矢板の内周面および外周面における摩擦抵抗が均衡化(balance)され、鋼矢板の直進性が高まり、施工中の曲がりや倒れなどを防止できる。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
(1)本発明に係る鋼矢板は、断面形状がU形またはハット形の鋼矢板であって、
地中に打設する場合における鋼矢板下端位置から、鋼矢板断面幅以上かつ鋼矢板全長の1/3以下の長さに亘り、鋼矢板表面の少なくとも内周面側に摩擦低減処理を施したものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記摩擦低減処理を鋼矢板表面の内周面側のみに施したものである。
(3)また、上記(2)に記載のものにおいて、前記摩擦低減処理を鋼矢板表面の内周面側における隅角部のみに施した。
本発明においては、地中に打設する場合における鋼矢板下端位置から、鋼矢板断面幅以上かつ鋼矢板全長の1/3以下の長さに亘り、鋼矢板表面の少なくとも内周面側に摩擦低減処理を施したことにより、周辺地盤への悪影響を及ぼすことなく、打設施工時の鋼矢板の直進性を高め、施工中の曲がりや倒れなどを防止することができる。その結果、複数枚の鋼矢板を施工現場にて溶接などにより縦継ぎして打設する場合にも、本発明を用いることで、従来工法よりも打設長さを長くすることが可能となる。
図1Aは、本発明の一実施の形態に係るU形鋼矢板の説明図である。 図1Bは、本発明の一実施の形態に係るU形鋼矢板の説明図である。 図2は、本発明の一実施の形態に係るU形鋼矢板の摩擦低減処理の一態様の説明図である(その1)。 図3は、本発明の一実施の形態に係るU形鋼矢板の摩擦低減処理の他の態様の説明図である(その2)。 図4は、本発明の一実施の形態に係るU形鋼矢板の摩擦低減処理の他の態様の説明図である(その3)。 図5は、本発明の一実施の形態に係るU形鋼矢板の摩擦低減処理の他の態様の説明図である(その4)。 図6は、本発明の一実施の形態に係るU形鋼矢板の摩擦低減処理の他の態様の説明図である(その5)。 図7は、本発明の一実施の形態に係るU形鋼矢板の摩擦低減処理の他の態様の説明図である(その6)。 図8は、本発明の一実施の形態に係るU形鋼矢板の摩擦低減処理の他の態様の説明図である(その7)。 図9は、本発明の一実施の形態に係るハット形鋼矢板の説明図である。 図10は、本発明の一実施の形態に係るハット形鋼矢板の摩擦低減処理の一態様の説明図である(その1)。 図11は、本発明の一実施の形態に係るハット形鋼矢板の摩擦低減処理の他の態様の説明図である(その2)。 図12は、本発明の一実施の形態に係るハット形鋼矢板の摩擦低減処理の他の態様の説明図である(その3)。 図13は、本発明の一実施の形態に係るハット形鋼矢板の摩擦低減処理の他の態様の説明図である(その4)。 図14は、本発明の一実施の形態に係るハット形鋼矢板の摩擦低減処理の他の態様の説明図である(その5)。 図15は、本発明の一実施の形態に係るハット形鋼矢板の摩擦低減処理の他の態様の説明図である(その6)。 図16は、本発明の一実施の形態に係るハット形鋼矢板の摩擦低減処理の他の態様の説明図である(その7)。 図17Aは、本発明の実施例1に係る実験条件の説明図であって、U形鋼矢板の摩擦低減処理の態様の説明図である。 図17Bは、本発明の実施例1に係る実験条件の説明図であって、U形鋼矢板の摩擦低減処理の態様の説明図である。 図17Cは、本発明の実施例1に係る実験条件の説明図であって、U形鋼矢板の摩擦低減処理の態様の説明図である。 図17Dは、本発明の実施例1に係る実験条件の説明図であって、U形鋼矢板の摩擦低減処理の態様の説明図である。 図17Eは、本発明の実施例1に係る実験条件の説明図であって、U形鋼矢板の摩擦低減処理の態様の説明図である。 図18は、本発明の実施例1に係る実験結果の評価方法の説明図である。 図19は、本発明の実施例1に係る実験結果に基づいたグラフである(その1)。 図20は、本発明の実施例1に係る実験結果に基づいたグラフである(その2)。 図21は、本発明の実施例1に係る実験結果に基づいたグラフである(その3)。 図22は、本発明の実施例1に係る実験結果に基づいたグラフである(その4)。 図23は、本発明の実施例1に係る実験結果に基づいたグラフである(その5)。 図24Aは、本発明の実施例2に係る実験条件の説明図であって、ハット形鋼矢板の摩擦低減処理の態様の説明図である。 図24Bは、本発明の実施例2に係る実験条件の説明図であって、ハット形鋼矢板の摩擦低減処理の態様の説明図である。 図24Cは、本発明の実施例2に係る実験条件の説明図であって、ハット形鋼矢板の摩擦低減処理の態様の説明図である。 図24Dは、本発明の実施例2に係る実験条件の説明図であって、ハット形鋼矢板の摩擦低減処理の態様の説明図である。 図24Eは、本発明の実施例2に係る実験条件の説明図であって、ハット形鋼矢板の摩擦低減処理の態様の説明図である。 図25は、本発明の実施例2に係る実験結果に基づいたグラフである(その1)。 図26は、本発明の実施例2に係る実験結果に基づいたグラフである(その2)。 図27は、本発明の実施例2に係る実験結果に基づいたグラフである(その3)。 図28は、本発明の実施例2に係る実験結果に基づいたグラフである(その4)。 図29は、本発明の実施例2に係る実験結果に基づいたグラフである(その5)。 図30Aは、本発明が解決しようとする課題を説明する説明図である(その1)。 図30Bは、本発明が解決しようとする課題を説明する説明図である(その2)。 図31は、本発明が解決しようとする課題を説明する説明図である(その3)。 図32は、鋼矢板長さの影響による摩擦低減効果の違いを評価するためのグラフである。
本発明の一実施の形態に係るU形鋼矢板1は、地中に打設する場合における鋼矢板下端位置から、鋼矢板断面幅以上かつ鋼矢板全長の1/3の長さに亘り、鋼矢板表面の少なくとも内周面側に摩擦低減処理を施してあることを特徴とするものである。
以下、本実施の形態に係るU形鋼矢板1について詳細に説明する。
U形鋼矢板1は、図1Aに示すように、断面形状が略U字形になっており、ウェブ部(web portion)1aと、ウェブ部1aの両側に設けられたフランジ部(flange portion)1bと、フランジ部1bの先端に設けられた継手部1cとを有している。
U形鋼矢板1は、図1Bに示す通り、鋼矢板長さをL、鋼矢板断面幅をBとしている。
U形鋼矢板1の下端部には、摩擦低減処理が施された摩擦低減材3を有している。この摩擦低減処理の態様は以下の通りである。
<摩擦低減処理の態様>
摩擦低減処理は、樹脂性材料、アスファルト材料(asphalt)、塗料などの従来から存在する摩擦低減材を塗布すること、あるいは鋼矢板の表面に化学処理を施したり、鋼矢板の化学成分を調整するなどの方法、あるいは摩擦低減可能な板状の部材などを鋼矢板表面に貼り付けることなどの態様を含む。
なお、摩擦低減材を塗布する場合には、塗布膜が鋼矢板の打設によって剥がれない硬質のものである必要がある。
<摩擦低減処理を施す範囲>
摩擦低減処理を施す区間の長さ(摩擦低減処理区間長S)は、地中に打設する場合における鋼矢板下端位置から、鋼矢板断面幅B以上かつ鋼矢板全長Lの1/3以下にするのが好ましい。複数枚の鋼矢板を縦継ぎして打設して用いる場合は、複数枚の総計長さを鋼矢板全長Lとする。
その理由は、後述する実施例において実証するように、鋼矢板全長Lの1/3を超えて摩擦低減処理を行っても直進性を向上させる効果が少なく、コストが高くなるからである。
一方、摩擦低減処理を施す長さが鋼矢板断面幅B未満では、本発明の目的である直進性を確保する効果が十分得られないからである。
また、摩擦低減処理は、鋼矢板表面の少なくとも内周面側に施す必要がある。本実施の形態においては、図2に示すように、鋼矢板1の内周面側と外周面側の両面に摩擦低減材3を施工した例を示している。摩擦低減材3の施工とは、上記の摩擦低減処理の態様のうち摩擦低減材を塗布するもの、摩擦低減部材を貼り付けるものを含む。
なお、摩擦低減材3の施工は、工場などで予め行うことで、現地での施工準備時間を短くすることができる。
本実施の形態においては、鋼矢板1の下端位置から、鋼矢板断面幅B以上かつ鋼矢板全長Lの1/3の長さに亘り、鋼矢板表面の少なくとも内周面側に摩擦低減材3を施工したことにより、打設施工時の貫入抵抗を低減し、鋼矢板の直進性を高めることが可能となり、その結果、鋼矢板施工中の曲がりや倒れなどを抑止できる。
また、ウォータージェット工法(water jet construction method)を実施する場合のような周辺地盤への悪影響を与えることなく、長い鋼矢板の施工が可能になる。
これらの効果については、後述する実施例において実証している。
なお、厚い軟弱地盤層上に堤防を築造する場合などにおいて、堤防補強工やあるいは周辺構造物への沈下影響防止のため、30m以上の鋼矢板を打設する場合があるが、車両で運搬できる鋼矢板の長さは通常15m程度であり、施工現場にて溶接などにより複数枚の鋼矢板を縦継ぎ(longitudinally joint)していくこととなる。
上記の説明では、U形鋼矢板1の表面全周に摩擦低減材3を施工した例を挙げたが(図2参照)、摩擦低減材3は、U形鋼矢板1の表面の少なくとも内周面側に施工すればよく、図3に示すように、U形鋼矢板1の内周面側のみに施工してもよい。
この場合、摩擦低減材3の塗布量等を減じてコスト低減が可能であると同時に、図2の構造に準ずる貫入抵抗の低減効果を得ることができる。
また、施工中の曲がりや倒れなどを防止するという観点では、鋼矢板の下端からの一定部位の表面全周に摩擦低減材3を施工する場合よりも、鋼矢板の下端からの一定部位の表面の内周面側にのみ摩擦低減材3を施工した方が、鋼矢板の内周面および外周面における摩擦抵抗が均衡化され、鋼矢板の直進性がより高まり、施工中の曲がりが抑えられる効果も期待できる。この点は、後述の実施例において実証している。
なお、摩擦低減材3を鋼矢板1の内周面側のみ施工する場合において、内周面の全面に施工する必要はない。以下に、摩擦低減材3を鋼矢板1の内周面のみ施工する場合の好ましい態様について詳細に説明する。
図4は、図3の変形例であり、継手部1cの内周面への摩擦低減材3の施工を省略したものである。継手部1cの内周面の摩擦抵抗は、土の拘束効果(effect of constraining soil)に対する寄与は小さいと考えられるためである。
図5に示す例は、U形鋼矢板1の内周面側における隅角部1dのみに摩擦低減材3を施工したものである。ここで隅角部1dとは、ウェブ部1aとフランジ部1bによって鈍角を形成している部位である。片側の隅角部1dのどの部分に摩擦低減材3を施工するかは、改良効果と経済性の観点から、決めればよい。施工する範囲については、例えばウェブ部1aについては、ウェブ部1a全長の1/5以上、1/3以下、フランジ部1bについてはフランジ部1b全長の1/3以上、2/3以下にするのが好適である。
隅角部1dの摩擦抵抗は、土の拘束効果への寄与が大きいと考えられるので、当該部位に摩擦低減材3を施工することは打設施工中の曲がり抑止および貫入抵抗の低減効果が高い。
つまり、図5に示す例では、図4の場合と比較して摩擦低減材3の施工量をさらに減じることができ、一層のコスト低減が可能であると同時に、図2、図3の構造に準ずる鋼矢板施工中の曲がり抑止および貫入抵抗の低減効果が期待できる。
図6に示す例は、図5で示した隅角部1dに加えてU形鋼矢板1のウェブ部1aの内周面側中央部分にも摩擦低減材3を施工したものである。
ウェブ部1aの内周面中央部分における摩擦抵抗も土の拘束効果への寄与があると考えられるので、当該部位に摩擦低減材3を施工することは鋼矢板施工中の曲がり抑止および貫入抵抗の低減に効果的である。
図7に示す例は、U形鋼矢板1のウェブ部1aの内周面のみに摩擦低減材3を施工した例である。U形鋼矢板1のウェブ部1aの内周面に摩擦低減材3を施工することで、隅角部1dの片側(ウェブ部1a側)において摩擦低減がなされ、隅角部1dで土の拘束が生ずるのを防止できる効果が期待できる。
図8に示す例は、U形鋼矢板1のフランジ部1bの内周面のみに摩擦低減材3を施工した例である。この場合も、図7に示した例と同様に、隅角部1dで土の拘束が生ずるのを防止できる効果が期待できる。
上記では本発明の対象の鋼矢板としてU形鋼矢板1を例に挙げて説明したが、ハット形鋼矢板5においても同様である。
ハット形鋼矢板5の断面形状は、図9に示すように、ウェブ部5aと、ウェブ部5aの両側に設けられたフランジ部5bと、フランジ部5bから屈曲して幅方向に延びるアーム部5cと、アーム部5cの先端に設けられた継手部(joint portion)5dとを有している。
ハット形鋼矢板5の場合の摩擦低減処理の態様を以下に説明する。
図10は、ハット形鋼矢板5の表面全周に摩擦低減材3を施工したものである。
図11は、ハット形鋼矢板5の表面の内周面側全面に摩擦低減材3を施工したものである。
図12は、ハット形鋼矢板5の表面の内周面のうち、アーム部(arm portion)5cへの摩擦低減材3の施工を省略したものである。アーム部5cにおける摩擦抵抗は土の拘束効果への寄与は小さいと考えられるためである。
図13は、U形鋼矢板1の場合(図5参照)と同様に、ハット形鋼矢板5の内周面における隅角部5eのみ、摩擦低処理を施したものである。図13の例では、U形鋼矢板1の図5の場合と同様に、摩擦低減材3の施工量を低減できると共に、図10、図11の構造に準ずる施工中の曲がり抑止および貫入抵抗の低減効果が得られる。
図14は、U形鋼矢板1の図6の場合と同様に、隅角部5eに加えてハット形鋼矢板5のウェブ部5aの内周面中央部分にも摩擦低減材3を施工したものである。
図15は、U形鋼矢板1の図7の場合と同様に、ハット形鋼矢板5のウェブ部5aの内周面のみに摩擦低減材3を施工した例である。この場合も、U形鋼矢板1の場合と同様に、隅角部5eの片側(ウェブ部5a側)における摩擦低減がされることで、隅角部5eで土の拘束が生ずるのを防止できる効果が期待できる。
図16は、U形鋼矢板1の図8の場合と同様に、フランジ部5bの内周面のみに摩擦低減材3を施工した例である。この場合も、図15に示した例と同様に、隅角部5eで土の拘束が生ずるのを防止できる効果が期待できる。
本発明の効果検証を行うため、U形鋼矢板1についての模型実験(実際のスケールの1/10)を行ったのでその結果について以下に説明する。
実験は、実際の施工を模擬して行った。土槽(soil box)に深度1.5m(実スケール換算15m)の均質な砂地盤(sand ground)を作成して、摩擦低減処理の条件を変えた鋼矢板模型を油圧により、全長、砂地盤に貫入し、条件毎の打設時の貫入抵抗比(ratio of penetration resistance)および鋼矢板の曲がり(warp)を評価項目として実験結果を取得した。
実験は、摩擦低減材施工パターン、および、鋼矢板下端からの摩擦低減材3の施工区間長(摩擦低減処理区間長S)を変化させて行った。
実験では、鋼矢板全長を打設長さとした。
摩擦低減材施工パターンについて図17A〜17Eに基づいて説明する。図17A〜17E中の各寸法は、実スケール換算で表記している。なお、板厚は実スケールで20mmとした。
摩擦低減材施工パターンは、摩擦低減材3を施工しないパターンN(図17A参照)、U形鋼矢板1の下端から摩擦低減処理区間長Sの全表面に摩擦低減材3を施工したパターンA(図17B参照)、U形鋼矢板1の下端から摩擦低減処理区間長S表面の内周面側のみに摩擦低減材3を施工したパターンB(図17C参照)、U形鋼矢板1の下端から摩擦低減処理区間長Sの表面の内周面側における隅角部1dのみに摩擦低減材3を施工したパターンC(図17D参照)、U形鋼矢板1の下端から摩擦低減処理区間長Sの表面の内周面側におけるウェブ部1aのみに摩擦低減材3を施工したパターンD(図17E参照)の5通りとした。
摩擦低減処理区間長Sは、0m(摩擦低減材3を施工しないもの)、0.2m(=1/3×B、B:鋼矢板断面幅)、0.6m(=B)、1.2m(=0.1×L、L:鋼矢板長さ)、4m(=1/3×L)、6m(=1/2×L)、12m(=L、摩擦低減材3を鋼矢板全長に亘って施工したもの)の7通りとした。
次に、評価項目である打設時の貫入抵抗比および鋼矢板の曲がりについて説明する。
打設時の貫入抵抗比は、摩擦低減材3なしのケース(U形-N-0(比較例1))における最大貫入抵抗力を基準(=1.0)とした場合における、摩擦低減材3を施工したケースにおける最大貫入抵抗力の比率である。貫入抵抗比の値が小さいものほど貫入抵抗が小さく好適であることを意味している。
鋼矢板の曲がり(warp)(rad)は、図18に示すように、鋼矢板頭部と鋼矢板下端の水平方向の変位を曲がり量Δとした場合におけるΔ/Lであり、値が小さいものほど鋼矢板の曲がりが小さく好適であることを意味している。
上記実験条件および実験結果をまとめたものを表1に示す。
Figure 0006086147
なお、表1において、鋼矢板断面幅B、鋼矢板長さL、摩擦低減処理区間長Sは、実スケール換算した値(実際の鋼矢板模型サイズを10倍した値)を表記している。
表1に示す実験結果(評価項目)に基づいて種々のグラフを作成し、該各グラフに基づいて評価を行ったので、その結果について以下に説明する。
図19は、摩擦低減処理区間長S毎の違いを評価するためのグラフであり、横軸が摩擦低減処理区間長S(m)を示し、縦軸が鋼矢板の曲がり(rad)を示している。
図19においては、表1に示したもののうち、摩擦低減材施工パターンがパターンNのもの(比較例1)とパターンAのもの(比較例2〜比較例4、本発明例1〜本発明例3)についての実験結果をプロットしている。
図19に示す通り、摩擦低減処理区間長Sが長くなれば、総じて鋼矢板の曲がりは減少する傾向にある。ただし、摩擦低減処理区間長Sが4m(=1/3×L)より長くなると鋼矢板の曲がりの減少度合いは僅かであり、摩擦低減材3の施工コストを考慮すると、上記実施の形態で説明したように、摩擦低減処理区間長Sを1/3×L以下とすることが好適な条件となる。
また、同図より摩擦低減処理区間長Sを0.2m(=1/3×B)とした比較例2では、摩擦低減材3の施工なしの比較例1と比べて鋼矢板の曲がりの低減効果が小さいのに対し、摩擦低減処理区間長Sを0.6m(=B)とした本発明例1では鋼矢板の曲がりの低減効果が顕著であった。このことから、摩擦低減処理区間長SをB(鋼矢板断面幅)以上とすることが好適であることが確認された。
図20は、摩擦低減材施工パターン毎の鋼矢板の曲がりを比較するためのグラフであり、摩擦低減材3を施工しないパターンNと、摩擦低減材3を施工したケース(パターンA〜パターンD)を比較している。また、摩擦低減材施工パターンの影響のみを評価するために、パターンAについての実験結果は、摩擦低減処理区間長SがパターンB〜パターンDと同じ0.12mのもの(本発明例2)を使用した。
図20において、縦軸は鋼矢板の曲がり(rad)を表している。
図20に示す通り、摩擦低減材3を施工していないパターンNに比べて、摩擦低減材3を施工したパターンA〜パターンDでは鋼矢板の曲がりが減少しており、その効果の大きさ(鋼矢板の曲がり低減効果)は、大きい順にパターンB⇒パターンA⇒パターンC⇒パターンDの順であり、パターンBが最も効果的であった。
パターンAよりもパターンBの方が鋼矢板の曲がり抑止効果が高かったのは、鋼矢板の内周面および外周面における摩擦抵抗が均衡化され、鋼矢板の直進性がより高まり、施工中の曲がりが抑えられたためであると推察される。つまり、摩擦低減材3を施工していない状態において、鋼矢板の外周面は内周面よりも摩擦抵抗が小さいため、摩擦低減材3を内周面のみに施工することで鋼矢板の内周面および外周面における摩擦抵抗が均衡化されたものと考えられる。
図21は、摩擦低減材施工パターンごとの貫入抵抗比を比較するためのグラフであり、図20と同様に、摩擦低減材3を施工していないパターンNと、摩擦低減材3を施工したケース(パターンA〜パターンD)を比較している。パターンAについての実験結果は、本発明例2のものを採用した。
図21に示す通り、摩擦低減材3を施工していないパターンNに比べて、摩擦低減材3を施工したパターンA〜パターンDでは貫入抵抗比が減少しており、その効果の大きさ(貫入抵抗比低減効果)は、大きい順にパターンA⇒パターンB⇒パターンC⇒パターンDの順であった。
図22は、摩擦低減材3を施工したケース(パターンA〜D)における摩擦低減材3を施工した周長と鋼矢板の曲がりの関係を示すグラフである。
図22において、パターンAおよびパターンDの各プロットは、パターンBのプロットとパターンCのプロットを通る直線P1よりも上方に位置している。このことは、パターンAおよびパターンDの場合、パターンBおよびパターンCの場合よりも、摩擦低減材3の施工周長に対する鋼矢板の曲がり抑制効果が小さいことを意味している。
従って、鋼矢板の曲がり抑止の観点から、摩擦低減材施工パターンとしては、パターンB、パターンCの形状とすることが好ましいと言える。
図23は、摩擦低減材3を施工したケース(パターンA〜パターンD)の摩擦低減材3の施工周長と貫入抵抗比の関係を示すグラフである。パターンA、パターンB、パターンCでは摩擦低減材3の施工周長が長くなるにしたがってほぼ直線的(図23中の直線P2参照)に貫入抵抗比が低減しているが、パターンDのプロットは、パターンA、パターンB、パターンCを結んだ直線P2の上方に位置している。このことは、パターンDが他のパターンに比較して摩擦低減材3の施工周長に対する貫入抵抗低減効果が小さいことを意味している。従って、貫入抵抗比低減の観点から、摩擦低減材施工パターンとしては、パターンA、パターンB、パターンCの形状とするのが好ましい。
ハット形鋼矢板5について、本発明の効果検証を行うために、実施例1と同様の模型実験を行ったので、その結果について説明する。
実験のパラメータは、摩擦低減材施工パターンおよび摩擦低減処理区間長Sである。
実験では、鋼矢板全長を打設長さとした。
摩擦低減材施工パターンを図24A〜24Eに示す。図24A〜24E中の各寸法は、実スケールで表記している。なお、板厚は実スケールで20mmとした。
摩擦低減材施工パターンは、実施例1のU形鋼矢板1の場合と同様であり、図24A〜24Eに示すとおり、摩擦低減材3を施工しないパターンN(図24A参照)、ハット形鋼矢板5の下端から摩擦低減処理区間長Sの全表面に摩擦低減材3を施工したパターンA(図24B参照)、ハット形鋼矢板5表面の下端から摩擦低減処理区間長Sの内周面側のみに摩擦低減材3を施工したパターンB(図24C参照)、ハット形鋼矢板5の下端から摩擦低減処理区間長Sの表面の内周面側における隅角部5eのみに摩擦低減材3を施工したパターンC(図24D参照)、ハット形鋼矢板5の下端から摩擦低減処理区間長Sの表面の内周面側におけるウェブ部5aのみに摩擦低減材3を施工したパターンD(図24E参照)の5通りとした。
摩擦低減処理区間長Sは、0m(摩擦低減材3を施工しないもの)、0.9m(=B:鋼矢板断面幅)、2.4m(=0.2×L、L:鋼矢板長さ)、4m(=1/3×L)、6m(=1/2×L)の5通りとした。
評価項目(打設時の貫入抵抗比、鋼矢板の曲がり)は、実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
実験条件および実験結果をまとめたものを表2に示す。
Figure 0006086147
表2に示す値に基づいて、実施例1の各グラフに対応するグラフを作成し、該各グラフに基づいて評価を行ったので、その結果について以下に説明する。
図25は、実施例1の図19に対応するものであり、摩擦低減処理区間長Sと鋼矢板の曲がりの関係を図示したものである。
図25に示す通り、実施例1と同様に、摩擦低減処理区間長Sが長くなれば、総じて貫入抵抗比は小さくなる傾向にあるが、摩擦低減処理区間長Sが4m(=1/3×L)より長くなるケースでは鋼矢板の曲がりの減少度合いは僅かであるであることから、摩擦低減材3の施工コストを考慮して、摩擦低減処理区間長Sを4m(=1/3×L)以下とすることが好適な条件となる。
図26は、実施例1の図20に対応するものであり、摩擦低減材施工パターン毎の鋼矢板の曲がりの関係を図示したものであり、摩擦低減材3を施工しないパターンNと、摩擦低減材3を施工したケース(パターンA〜パターンD)を比較している。パターンAにおける実験結果は本発明例9のものを採用した。
図26に示す通り、摩擦低減材3を施工しないパターンNに比べて、摩擦低減材3を施工したケース(パターンA〜パターンD)では鋼矢板の曲がりが減少しており、その効果の大きさ(鋼矢板の曲がり低減効果)は、大きい順にパターンB⇒パターンA⇒パターンC⇒パターンDの順であった。鋼矢板の曲がり抑止にはパターンBが最も効果的であった。したがって、ハット形鋼矢板5の場合でも、U形鋼矢板1と同様に直進施工性の観点からは、摩擦低減材3をパターンBで施工するのが最も好ましい。
図27は、実施例1の図21に対応するものであり、摩擦低減材施工パターン毎の貫入抵抗比を示したものである。
図27に示す通り、摩擦低減材3を施工しないパターンNに比べて、摩擦低減材3を施工したケース(パターンA〜D)では貫入抵抗比が減少しており、その効果の大きさ(貫入抵抗比低減効果)は、大きい順にパターンA⇒パターンB⇒パターンC⇒パターンDの順であった。
図28は、実施例1の図22に対応するものであり、摩擦低減材3を施工したケース(パターンA〜パターンD)の摩擦低減材3の施工周長と鋼矢板の曲がりの関係を示したものである。
図28において、パターンAおよびパターンDの各プロットは、パターンBのプロットとパターンCのプロットを通る直線P3よりも上方に位置している。このことは、パターンAおよびパターンDの場合、パターンBおよびパターンCの場合よりも、摩擦低減材3の施工周長に対する鋼矢板の曲がり低減効果が小さいことを意味している。
従って、鋼矢板の曲がり抑止の観点から、実施例1と同様に、摩擦低減材施工パターンとしてはパターンB、パターンCの形状とすることが好適である。
図29は、実施例1の図23に対応するものであり、摩擦低減材3を施工したケース(パターンA〜パターンD)の摩擦低減材3の施工周長と貫入抵抗比の関係を示したものである。
パターンA、パターンB、パターンCでは摩擦低減材3の施工周長に応じて、ほぼ直線的(図29中の直線P4参照)に貫入抵抗比が低減しているが、パターンDのプロットは、パターンA、パターンB、パターンCを結んだ直線P4の上方に位置している。このことは、パターンDが他のパターンに比較して摩擦低減材3の施工周長に対する貫入抵抗低減効果が小さいことを意味している。従って、貫入抵抗比低減の観点から、摩擦低減材施工パターンとしては、パターンA、パターンB、パターンCの形状とすることが好適となる。
本発明の効果について、鋼矢板長さが変化した場合の影響について検証を行うため、U形鋼矢板1についての模型実験(実際のスケールの1/20)を行ったのでその結果について以下に説明する。
実験は、実際の施工を模擬して行った。土槽(soil box)に深度2.0m(実スケール換算40m)の均質な砂地盤を作成して、長さLを実スケール換算でそれぞれ、12m、24m、36mに変えた鋼矢板模型を、油圧により、全長、砂地盤に貫入し、条件毎の打設時の貫入抵抗比および鋼矢板の曲がりを評価項目として実験結果を取得した。
実験は、鋼矢板長さの他、摩擦低減処理有り/無しを変化させて行った。
実験では、鋼矢板全長を打設長さとした。
摩擦低減材有りのケースについて、その摩擦低減材施工パターンは、全てパターンA(図17B参照、実スケール換算で表記)とした。また、摩擦低減処理区間長は0.1×L(L:鋼矢板長さ)としている。
次に、評価項目である打設時の貫入抵抗比および鋼矢板の曲がりについて説明する。
打設時の貫入抵抗比は、摩擦低減材3なしのケース(U形12-N-0(比較例7)、U形24-N-0(比較例8)、U形36-N-0(比較例9))における最大貫入抵抗力を基準(=1.0)とした場合における、摩擦低減材3を施工したケースにおける最大貫入抵抗力の比率であり、値が小さくなるほど貫入抵抗低減効果が大きく、好適であることを意味している。
鋼矢板の曲がり(rad)は、図18に示すように、鋼矢板頭部と鋼矢板下端の水平方向の変位を曲がり量Δとした場合におけるΔ/Lであり、値が小さいものほど鋼矢板の曲がりが小さく好適であることを意味している。
なお、U形36-N-0(比較例9))では、施工途中の深度28m(実スケール換算)で、鋼矢板の変形により貫入不能となったため、最終的な鋼矢板の曲がりは計測できなかった。
上記実験条件および実験結果をまとめたものを表3に示す。
Figure 0006086147
なお、表3において、鋼矢板断面幅B、鋼矢板長さL、摩擦低減処理区間長Sは、実スケール換算した値(実際の鋼矢板模型サイズを20倍した値)を表記している。
図32は、鋼矢板長さの影響による摩擦低減効果の違いを評価するためのグラフであり、横軸が鋼矢板長さL(m)を示し、縦軸が貫入抵抗比を示している。
図32に示す通り、鋼矢板長さLが長くなれば、貫入抵抗比は減少しており、鋼矢板長さが長くなるほど摩擦低減材による効果が高まる傾向にあり、本発明の適用が好適となることが確認できた。
以上のように、本発明の鋼矢板によれば、鋼矢板の直進性が高まり、施工中の曲がりや倒れなどを抑止できることが実証されている。
1 U形鋼矢板
1a ウェブ部
1b フランジ部
1c 継手部
1d 隅角部
3 摩擦低減材
5 ハット形鋼矢板
5a ウェブ部
5b フランジ部
5c アーム部
5d 継手部
5e 隅角部
11 鋼矢板(従来例)
13 土

Claims (4)

  1. 断面形状がU形またはハット形の鋼矢板であって、
    地中に打設する場合における鋼矢板下端位置から、鋼矢板断面幅以上かつ鋼矢板全長の20%以下の長さに亘り、鋼矢板表面の少なくとも内周面側に摩擦低減処理を施してある、施工中における曲がりを低減することのできる鋼矢板。
  2. 前記摩擦低減処理を鋼矢板表面の内周面側のみに施した請求項1記載の鋼矢板。
  3. 前記摩擦低減処理を鋼矢板表面の内周面側における隅角部のみに施した請求項2記載の鋼矢板。
  4. 前記鋼矢板全長は、12m以上であ請求項1から3までのいずれか一項に記載の鋼矢板。
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