JP6083380B2 - ポリアミック酸エステルを含む液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents

ポリアミック酸エステルを含む液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアミック酸エステルを含む液晶配向剤、より詳しくは、ジカルボン酸ジエステルとジアミンとを特定の縮合剤の存在下に重縮合させて得られるポリアミック酸エステルを含む液晶配向剤に関する。
ポリイミドは、優れた耐熱性・機械的強度・絶縁性を有することから、エレクトロニクス材料や航空機材料など幅広く用いられている。代表的なポリイミドとしては、ポリ-4,4’-オキシジフェニレンピロメリットイミドなどの芳香族ポリイミドが知られている。このような芳香族ポリイミドは、有機溶媒に溶解せず、溶融もしないため、成型加工が困難である。そこで、有機溶媒に可溶なポリイミド前駆体の段階で成型加工した後、加熱処理または化学的手法で閉環反応させることによりポリイミドを得る方法が広く実施されている。
ポリイミドの前駆体として、ポリアミック酸(ポリアミド酸)が知られている。ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応させることにより合成できる。具体的には、芳香族ジアミンをN-メチルピロリドン(NMP)のような極性溶媒に溶解させた後に、テトラカルボン酸二無水物を加えて室温攪拌することで容易に高分子量のポリアミック酸が得られ、工業的に広く利用されている。
しかし、上記のようにして製造されたポリアミック酸は2つの問題点を有する。1つ目の問題点は、溶液の保存安定性が悪いことである。ポリアミック酸溶液を室温で保存すると、数時間から数日間で粘度が徐々に低下していくため、粘度を一定に維持するためには−20℃程度の冷凍保存が必要である。2つ目の問題点は、ポリイミドを製造する場合の脱水閉環のための加熱処理時にポリアミック酸の分子量が低下することである。この2つの問題は、原因が共通しており、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの反応は、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重合によるポリアミック酸の生成反応と、ポリアミック酸の解重合とによってテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンに戻る逆反応を有する平衡反応であるためである。
上記のようなポリアミック酸の問題点を解決するポリイミド前駆体として、ポリアミック酸エステルが知られている。ポリアミック酸エステルは、ポリアミック酸のカルボキシル基がエステルに置き換わった構造の高分子である。この分子構造の違いにより、ポリアミック酸エステルは解重合を起こさないため、室温での保存安定性に優れ、加熱処理時にも分子量低下が起こらないといった特長を有する。
一方、ポリアミック酸エステルの合成法は、3種類の方法に大別される。1つ目の合成法は、ジエステルジカルボン酸クロリドとジアミンとを反応させる方法である(特許文献1、2参照)。ジエステルジカルボン酸クロリドは、テトラカルボン酸二無水物よりもジアミンとの反応性が高いことから、この合成法ではポリアミック酸よりも更に短時間で高分子量のポリアミック酸エステルが得られる。しかし、その反応性の高さのために、ジエステルジカルボン酸クロリドは加水分解によってジエステルジカルボン酸へと容易に変化してしまう。そのため、重合系中に水分が混入すると、得られるポリアミック酸エステルの分子量が低下し、その結果、分子量の再現性が乏しくなる。
2つ目の合成法は、ポリアミック酸のカルボキシル基をエステルに変換する方法である。この方法では、テトラカルボン酸二無水物とジアミンからポリアミック酸を合成した後に、所望のエステル化剤を加えて反応させることで、ポリアミック酸エステルが得られる(特許文献3参照)。しかし、問題点として、エステル化の簡便な反応追跡方法が無く、全てのカルボキシル基を定量的にエステル化させることが困難であるということが挙げられる。
3つ目の合成法は、ジエステルジカルボン酸とジアミンとを縮合剤を用いて塩基の存在下に重縮合させる方法である。縮合剤としては、カルボニルジイミダゾールなどが知られている(非特許文献1参照)。この方法では、再現性良く高分子量のポリアミック酸エステルが得られる反面、縮合剤由来の不純物を工業的に簡便な方法で除去し、高純度のポリアミック酸エステルを得るのが困難である。
一方、液晶配向膜に液晶配向性を付与するために、膜表面を布で擦る、いわゆるラビング処理を行う方法があり、現在、工業的に広く用いられている。ラビング処理で、液晶配向膜が削れた場合、それによって発生する粉塵や液晶配向膜に付いた傷が、表示品位を低下させるという問題がある。そのため、液晶配向膜にはラビング耐性に優れることが求められる。
特許文献1:日本特開平11−315140号公報
特許文献2:日本特開2000−273172号公報
特許文献3:日本特開平10−60109号公報
非特許文献1:Polyimides and Other High-Temperature Polymers, pp.45-50(1991)
発明者らは検討の結果、4−(4,6−ジアルコキシー1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−アルキルモルホリニウムハライドを縮合剤とし、塩基の存在下でジカルボン酸ジエステルとジアミンとを重縮合させる場合、上記縮合剤は反応系から容易に除去し得るので、製造されるポリアミック酸エステルは、高純度かつ高収率で得られることを見出した。しかし、この方法で得られるポリアミック酸エステルを含む液晶配向膜は、上記したラビング処理における問題を有し、ラビング耐性が悪いということが見出された。
本発明の目的は、ジエステルジカルボン酸とジアミンとを重縮合させて、高収率、高純度にて、目的物であるポリアミック酸エステルを得るとともに、ラビング耐性に優れた液晶配向膜を得ることが出来る液晶配向剤を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を進めたところ、特定の縮合剤を使用し、塩基の存在下に、ジカルボン酸ジエステルとジアミンとを重縮合させたポリアミック酸エステルを用いた場合、ラビング耐性に優れた液晶配向膜を得ることが出来る液晶配向剤を製造できることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づくものであり、下記の要旨を有する。
(1)ジフェニル(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホナート及び塩基の存在下に、下記式(A−1)、(A−13)、(A−25)、(A−43)、(A−61)又は(A−80)で表されるジエステルジカルボン酸とジアミンとを重縮合したポリアミック酸エステルを含むことを特徴とする液晶配向剤。
Figure 0006083380
(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基である。)
)前記ジエステルジカルボン酸が、(A−1)又は(A−25)である上記(1)に記載の液晶配向剤。
3)前記ジアミンが、下記式(2)で表される上記(1)又は(2)に記載の液晶配向剤。
N−Y―NH・・・(2)
(上記式中、Yは、2価の有機基であり、下記式(B−7)、(B−8)、(B−13)、(B−18)、(B−19)、(B−42),(B−43)、(B−45)、(B−55)、(B−59)、(B−74)、(B−78)、(B−79)、(B−80)、(B−81)、又は(B−82)で表される。)
Figure 0006083380
(4)前記ジアミンが、(B−7)、(B−8)、(B−13)、(B−18)、(B−19)、(B−42),(B−43)、(B−45)、(B−55)、(B−59)、(B−74)、(B−81)、又は(B−82)である、上記(3)に記載の液晶配向剤。
5)前記塩基が、トリエチルアミン又はN−メチルモルホリンである、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
6)前記縮合剤の使用量が、ジエステルジカルボン酸に対して2.0倍モル〜4倍モルである、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
)上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
)上記()の液晶配向膜を具備した液晶表示素子。

本発明によれば、ジエステルジカルボン酸とジアミンとを重縮合させることにより、高収率、高純度にて、安定的に、かつ分離回収も容易な方法によりポリアミック酸エステルを製造することができ、この方法により得られる液晶配向剤はラビング耐性に優れる。
本発明によって得られる効果のメカニズムについては必ずしも明らかではないが、以下のことが要因のひとつとして考えられる。縮合剤を用いたポリアミック酸エステル合成では、一部の末端アミノ基が縮合剤によって修飾されることが解っており、一般的な縮合剤を用いた場合、末端アミノ基が縮合剤と反応することでラビング耐性が低下する。しかし、本発明の縮合剤を用いた場合には、縮合後のポリマー末端構造の違いによるものか、ラビング耐性の低下が起こらない。
〔ジエステルジカルボン酸〕
本発明において使用されるジエステルジカルボン酸は、好ましくは下記の式(1−1)及び/又は式(1−2)で表される。
Figure 0006083380
上記式中、Xは4価の有機基であり、Rは、炭素数1〜20、好ましくは1〜3のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
上記式(1−1)及び式(1−2)の具体的な構造としては以下のA−1〜A−93があげられるが、これに限るものではない。なかでも、重合反応性、ポリマーの溶解性の観点からして、好ましくはA−1、A−13、A−25、A−26、A−27、A−31、A−34、A−43、A−46、A−47、A−48、A−49、A−60、A−61、A−62、A−67、A−68、A−71、A−80、A−82、A−83、A−84、又はA−85の構造である。更に好ましくはA−1、A−13、A−25、A−43、A−61、又はA−80の構造であり、特に好ましくは、A−25の構造である。
Figure 0006083380
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(上記式(A−1)〜(A−93)中、Rは、炭素数1〜20、好ましくは1〜3のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。)
〔ジアミン〕
本発明において、使用されるジアミンは、好ましくは、下記の式(2)で表される。
N−Y―NH・・・(2)
上記式中、Yは、2価の有機基である。具体的な構造は、以下のB−1〜B−106が例として挙げられるが、これに限るものではない。この中でも、ジアミンの反応性、ポリマーの溶解性の観点から、B−7、B−8、B−13、B−18、B−19、B−42,B−43、B−45、B−55、B−59、B−74、B−78、B−79、B−80、B−81、又はB−82の構造のジアミンを用いると好ましく、B−43が特に好ましい。
Figure 0006083380
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(上記式(B−64)および(B−73)中、nは1〜20、好ましくは1〜10であり、特に好ましくは1〜5である。)
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〔ジカルボン酸〕
本発明において、後記するように、ポリアミック酸エステルと同様にして、ポリアミド−ポリアミック酸エステルを製造する場合に使用されるジカルボン酸は、好ましくは、以下の式(3)で表わされる。
HOOC−Z―COOH・・・(3)
上記式(3)中、Zは、2価の有機基である。
上記式(3)の具体的な構造は、マロン酸、蓚酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ムコン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライイン酸、セバシン酸、ベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,1−シクロプロパンジカルボン酸、1,2−シクロプロパンジカルボン酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、3,4−ジフェニル−1,2−シクロブタンジカルボン酸、2,4−ジフェニル−1,3−シクロブタンジカルボン酸、3,4−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,2−シクロブタンジカルボン酸、2,4−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−シクロブタンジカルボン酸、1−シクロブテン−1,2−ジカルボン酸、1−シクロブテン−3,4−ジカルボン酸、1,1−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−(2−ノルボルネン)ジカルボン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジカルボン酸、2,5−ジオキソ−1,4−ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、4,8−ジオキソー1,3−アダマンタンジカルボン酸、2,6−スピロ[3.3]ヘプタンジカルボン酸、1,3−アダマンタン二酢酸、カンファー酸ジハライド等の脂環式ジカルボン酸;
o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−アミノイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−アントラセンジカルボン酸、1,4’−アントラキノンジカルボン酸、2,5−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,5−ビフェニレンジカルボン酸、4,4''−ターフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルプロパンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビベンジルジカルボン酸、4,4’−スチルベンジルカルボン酸、4,4’−トランジルカルボン酸、4,4’−カルボニル二安息香酸、4,4’−スルホニル二安息香酸、4,4’−ジチオ二安息香酸、p−フェニレン二酢酸、3,3’−p−フェニレンジプロピオン酸、4−カルボキシ桂皮酸、p−フェニレンジアクリル酸、3,3’−(4−4’−(メチレンジ−p−フェニレン))ジプロピオン酸、4,4’−(4,4’−(オキシジ−p−フェニレン))ジプロピオン酸、4,4’−(4,4’−(オキシジーp−フェニレン))二酪酸、(イソプロピリデンジ−p−フェニレンジオキシ)二酪酸、ビス(p−カルボキシフェニル)ジメチルシラン、1,5−(9−オキソフルオレン)ジカルボン酸、3,4−フランジカルボン酸、4,5−チアゾールジカルボン酸、2−フェニル−4,5−チアゾールジカルボン酸、1,2,5−チアジアゾール−3,4−ジカルボン酸、1,2,5−オキサジアゾール−3,4−ジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、6−ピリジンジカルボン酸などが挙げられる。
なかでも、重合反応性ポリマーの溶解性の観点からして、イソフタル酸、またはテレフタル酸が好ましい。
〔重縮合反応〕
本発明において、上記ジエステルジカルボン酸と上記ジアミンとを、以下に示す縮合剤及び塩基の存在下において、重縮合反応させることによりポリアミック酸エステルが製造される。
Figure 0006083380
上記縮合剤の中でも、縮合剤の入手性等の観点から、ジフェニル(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホナートを用いると好ましい。
本発明において、この場合、さらに、上記ジカルボン酸を共存させて重縮合反応させることにより、ポリアミド-ポリアミック酸エステルを製造することができる。以下、本発明では、重縮合反応で製造されるポリアミック酸エステル及びポリアミド-ポリアミック酸エステルを総称して単にポリマーともいう場合がある。
上記縮合剤の使用量は、ジエステルジカルボン酸に対して好ましくは、2.0倍モル〜4倍モル、より好ましくは2.1倍モル〜2.5倍モルが好適である。
上記塩基としては、反応性の観点からpKaが好ましくは6〜13、より好ましくは6.5〜12、特に好ましくは7〜11である。好ましい塩基としては、トリエチルアミン(pKa=10.7)などのトリアルキルアミン、またはN−メチルモルホリン(pKa=7.4)などのN−アルキルモルホリンが好ましい。
上記塩基の使用量は、少量であると分子量が上がりにくいため、ジエステルジカルボン酸に対して好ましくは、2.0倍モル〜4倍モル、より好ましくは2.1倍モル〜2.5倍モルが好適である。
重縮合反応は、有機溶媒を使用して行うのが好ましい。有機溶媒としては、モノマーであるジエステルジカルボン酸、ジアミン及びジカルボン酸に対する溶解性の観点から、N−メチルー2−ピロリドン、γ―ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、またはヘキサメチルスルホキシドが好ましい。これらは1種または2種以上用いてもよい。
本発明における重縮合反応は、好ましくは−20℃〜80℃、より好ましくは−10℃〜60℃、とりわけ好ましくは0℃〜40℃で行うのが好適である。重縮合反応は、通常、0.5時間〜48時間、好ましくは1.5時間〜36時間、とりわけ好ましくは3時間〜24時間にて行われる。
本発明におけるジエステルジカルボン酸、ジアミン、さらに、ジカルボン酸(以下、これらを総称して単にモノマーともいう。)との重縮合におけるモノマーの濃度は、使用するモノマーが十分に溶解し、また、生成するポリマーが析出しないようにするのが好ましい。モノマーの濃度が高すぎると、ポリマーが析出してしまい、一方、濃度が低すぎるとポリマーの分子量が上がらない。
本発明において、重縮合反応液中におけるモノマーの濃度は、反応液の合計質量に対して2質量%〜15質量%が好ましく、より好ましくは3質量%〜12質量%であり、特に好ましくは4質量%〜10質量%である。
上記のようにして、ジエステルジカルボン酸とジアミン、さらにはジカルボン酸とを重縮合させることにより、生成したポリマーを含む溶液を、好ましくは、貧溶媒に撹拌下に加えることによりポリマーを析出させて容易に分離、回収することができる。
上記の貧溶媒は特に限定されず、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられるが、減圧乾燥などによって除去しやすいため、特に、メタノール、またはエタノールが好ましく用いられる。貧溶媒の使用量は、ポリマーを含む溶液量に対して3倍質量〜40倍質量が好ましく、より好ましくは4倍質量〜20倍質量、とりわけ好ましくは5倍質量〜15倍質量である。
本発明では、析出したポリマーは、好ましくは濾取した後、好ましくは上記析出に使用した貧溶媒を用いて洗浄することにより、使用した縮合剤や塩基由来の不純物を容易により取り除くことができる。洗浄に用いる貧溶媒の量は、ポリマーに対し、0.8倍質量〜5倍質量が好ましく、より好ましくは1.2倍質量〜4倍質量であり、とりわけ好ましくは1.5倍質量〜3.5倍質量である。
ポリマーの洗浄回数は多いほど、より不純物の少ないポリマー粉末を得ることができる。洗浄回数としては、2回〜10回が好ましく、より好ましくは3回〜8回、とりわけ好ましくは4回〜6回である。
ポリマーは、洗浄後に好ましくは20℃〜140℃、より好ましくは40℃〜100℃好ましくは真空下で、乾燥することにより、ポリアミック酸エステルまたはポリアミド−ポリアミック酸エステル共重合体の粉末が得られる。
〔液晶配向剤〕
本発明の液晶配向剤は、上記ポリアミック酸エステルまたはポリアミド-ポリアミック酸エステル共重合体の粉末が有機溶媒中に溶解された溶液の形態を有する。ポリアミック酸エステルまたはポリアミド-ポリアミック酸エステル共重合体の分子量は、質量平均分子量で2,000〜500,000が好ましく、より好ましくは5,000〜300,000であり、さらに好ましくは、10,000〜100,000である。また、数平均分子量は、好ましくは、1,000〜250,000であり、より好ましくは、2,500〜150,000であり、さらに好ましくは、5,000〜50,000である。
本発明の液晶配向剤中のポリマー濃度は、形成させようとする塗膜の厚みの設定によって適宜変更することができるが、均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点から1質量%以上であることが好ましく、溶液の保存安定性の点からは10質量%以下とすることが好ましい。
本発明の液晶配向剤は、上記特定の縮合剤の存在下で重縮合したポリアミック酸エステルを1.5〜8質量%含むのが好ましく、2〜7質量%含むのがさらに好ましい。
本発明の液晶配向剤に含有される有機溶媒は、ポリアミック酸エステルまたはポリアミド-ポリアミック酸エステル共重合体が均一に溶解するものであれば特に限定されない。その具体例を挙げるならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。また、単独ではポリマー成分を均一に溶解できない溶媒であっても、ポリマーが析出しない範囲であれば、上記の有機溶媒に混合してもよい。
本発明の液晶配向剤は、ポリマー成分を溶解させるための有機溶媒の他に、液晶配向剤を基板へ塗布する際の塗膜均一性を向上させるための溶媒を含有してもよい。かかる溶媒は、一般的に上記有機溶媒よりも低表面張力の溶媒が用いられる。その具体例を挙げるならば、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル等が挙げられる。これらの溶媒は2種類上を併用してもよい。
本発明の液晶配向剤には、上記の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、重合体以外のポリマー、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体若しくは導電物質、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる目的のシランカップリング剤、液晶配向膜にした際の膜の硬度や緻密度を高める目的の架橋性化合物、さらには塗膜を焼成する際にポリアミック酸エステルのイミド化を効率よく進行させる目的のイミド化促進剤等を添加しても良い。
〔液晶配向膜〕
本発明の液晶配向膜は、上記のようにして得られた液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥、焼成して得られた塗膜であり、この塗膜面をラビング処理することで得られる。
本発明の液晶配向剤を塗布する基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板、アクリル基板やポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることができ、液晶駆動のためのITO電極等が形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミ等の光を反射する材料も使用できる。本発明の液晶配向剤の塗布方法としては、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などが挙げられる。
本発明の液晶配向剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択することができる。通常は、含有される有機溶媒を十分に除去するために50℃〜120℃で1分〜10分乾燥させ、その後150℃〜300℃で5分〜120分焼成される。焼成後の塗膜の厚みは、特に限定されないが、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5〜300nm、好ましくは10〜200nmである。
〔液晶表示素子〕
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向剤から液晶配向膜付き基板を得、配向処理を行った後、公知の方法で液晶セルを作成し、液晶表示素子としたものである。
液晶セルの製造方法は特に限定されないが、一例を挙げるならば、液晶配向膜が形成された1対の基板を、液晶配向膜面を内側にして、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmのスペーサーを挟んで設置した後、周囲をシール剤で固定し、液晶を注入して封止する方法が一般的である。液晶封入の方法については特に制限されず、作製した液晶セル内を減圧にした後液晶を注入する真空法、液晶を滴下した後封止を行う滴下法などが例示できる。
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではないことはもちろんである。
以下に、使用した各化合物の略号を示す。
DE−1:下記式(DE−1)
DE−2:下記式(DE−2)
DE−3:下記式(DE−3)
DA−1:下記式(DA−1)
DA−2:下記式(DA−2)
DA−3:下記式(DA−3)
DA−4:下記式(DA−4)
DA−5:下記式(DA−5)
DA−6:下記式(DA−6)
DMT−MM:4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド
DBOP:ジフェニル(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホナート
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
Figure 0006083380
以下に、粘度、固形分、分子量、ラビング削れ特性の各測定方法を示す。
[粘度]
合成例において、ポリマー溶液の粘度はE型粘度計TVE−22H(東機産業株式会社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE−1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
[固形分濃度]
合成例において、ポリマー溶液の固形分濃度の算出は以下のようにして行った。
持手付アルミカップNo.2(アズワン社製)に溶液をおよそ1.1g量り取り、オーブンDNF400(Yamato社製)で200℃2時間加熱した後に室温5分間放置し、アルミカップ内に残った固形分の質量を計量した。この固形分質量、および元の溶液質量の値から固形分濃度を算出した。
[分子量]
ポリマーの分子量はGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量(以下、Mnとも言う。)と質量平均分子量(以下、Mwとも言う。)を算出した。
GPC装置:(株)Shodex社製(GPC−101)
カラム:Shodex社製(KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・HO)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(質量平均分子量(Mw) 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp) 約12,000、4,000、1,000)。測定は、ピークが重なるのを避けるため、900,000、100,000、12,000、1,000の4種類を混合したサンプル、および150,000、30,000、4,000の3種類を混合したサンプルの2サンプルを別々に測定した。
[ラビング削れ特性]
ポリマー溶液を1.0μmのフィルターで濾過した後、ITO蒸着ガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間の乾燥、温度230℃で20分間の焼成を経て膜厚100nmのポリイミド膜を得た。このポリイミド膜をレーヨン布でラビング(ロール径120mm、回転数1000rpm、移動速度20mm/sec、押し込み長0.4mm)した。共焦点レーザー顕微鏡を用いて膜表面状態を観察し、倍率10倍でラビングによる削れカス量を確認した。
(実施例1)
撹拌子を入れた100mLの四つ口フラスコにDE−1を2.45g(9.40mmol)投入した後、NMP59.2gを加えて撹拌して溶解させた。次いで、トリエチルアミンを2.23g(22.0mmol)、及びDA−1を2.00g(10.0mmol)加えて撹拌して溶解させた。
この溶液を撹拌しながら、DBOPを8.43g(22.0mmol)添加し、更にNMPを10.59g加え、室温で3.0時間撹拌してポリアミック酸エステルの溶液を得た。このポリミック酸エステル溶液の温度25℃における粘度は16.4mPa・sであった。
このポリミック酸エステル溶液をメタノール{509g}中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄した後に温度100℃で減圧乾燥し、ポリアミック酸エステルの粉末を得た。このポリアミック酸エステルの分子量はMn=10,900、Mw=27,000であった。
このポリアミック酸エステル粉末1.60gを撹拌子の入った100mL三角フラスコに取り、NMP11.8gを加え、室温で18時間撹拌して溶解させた。続いて、NMP6.75gおよびBCS4.76gを加え、2時間撹拌して固形分濃度6.00質量%のポリアミック酸エステル溶液からなる液晶配向剤1を得た。
液晶配向剤1であるポリアミック酸エステル溶液を1.0μmのフィルターで濾過した後、ITO蒸着ガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間の乾燥、温度230℃で20分間の焼成を経て膜厚100nmのポリイミド膜からなる液晶配向膜1を得た。この液晶配向膜1をレーヨン布でラビング(ロール径120mm、回転数1000rpm、移動速度20mm/sec、押し込み長0.4mm)した。共焦点レーザー顕微鏡を用いて膜表面状態を観察し、倍率10倍でラビングによる削れカス量を確認した。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
撹拌子を入れた100mL四つ口フラスコにDE−1を0.82g(3.12mmol)、DE−3を3.08g(9.10mmol)取り、NMP67.1g加え、撹拌して溶解させた。次いで、トリエチルアミンを2.61g(25.7mmol)、DA−3を0.52g(2.60mmol)、DA−5を0.77g(3.90mmol)、DA−6を1.90g(6.50mmol)加え、撹拌して溶解させた。この溶液を撹拌しながらDBOPを9.84g(25.7mmol)添加し、更にNMPを9.42g加え、室温で16時間撹拌してポリアミック酸エステルの溶液を得た。このポリアミック酸エステル溶液の温度25℃における粘度は12.3mPa・sであった。
得られたポリアミック酸エステル溶液を2−プロパノール{575g}中に攪拌しながら投入し、析出した沈殿物を濾別した。この沈殿物を2−プロパノールで洗浄した後に温度100℃で減圧乾燥し、ポリアミック酸エステル粉末を得た。このポリアミック酸エステルの分子量はMn=7800、Mw=20000であった。
得られたポリアミック酸エステル粉末を2.87g、撹拌子の入った100mL三角フラスコに取り、NMPを21.1g加え、室温で20時間撹拌して溶解させた。続いて、NMPを10.8g、BCSを14.3g加え、6時間撹拌して固形分濃度5.0質量%のポリアミック酸エステル溶液からなる液晶配向剤2を得た。
液晶配向剤2を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド膜からなる液晶配向膜2を得て、ラビングによる削れカス量を確認した。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
撹拌子を入れた100mL四つ口フラスコにDE−1を1.49g(5.72mmol)、DE−3を2.20g(6.50mmol)取り、NMPを68.5g加え、撹拌して溶解させた。次いで、トリエチルアミンを2.61g(25.7mmol)、DA−3を0.52g(2.60mmol)、DA−4を1.49g(5.20mmol)、DA−6を1.53g(5.20mmol)加え、撹拌して溶解させた。この溶液を撹拌しながらDBOPを9.83g(25.7mmol)添加し、更にNMPを9.53g加え、室温で16時間撹拌してポリアミック酸エステルの溶液を得た。このポリアミック酸エステル溶液の温度25℃における粘度は24.3mPa・sであった。
得られたポリアミック酸エステル溶液を2−プロパノール{585g}中に攪拌しながら投入し、析出した沈殿物を濾別した。この沈殿物を2−プロパノールで洗浄した後に温度100℃で減圧乾燥し、ポリアミック酸エステル粉末を得た。このポリアミック酸エステルの分子量はMn=9000、Mw=24500であった。
得られたポリアミック酸エステル粉末を2.87g、撹拌子の入った100mL三角フラスコに取り、NMPを21.0g加え、室温で20時間撹拌して溶解させた。このポリアミック酸エステル溶液の固形分濃度は10.6質量%であった。続いて、NMPを11.0g、BCSを14.3g加え、室温で6時間撹拌して固形分濃度5.0質量%のポリアミック酸エステル溶液からなる液晶配向剤3を得た。
液晶配向剤3を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド膜からなる液晶配向膜3を得て、ラビングによる削れカス量を確認した。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
撹拌子を入れた500mL四つ口フラスコにDE−2を10.51g(37.2mmol)取り、NMPを207.3g加え、撹拌して溶解させた。次いで、トリエチルアミンを8.07g(79.8mmol)、DA−2を11.34g(38.0mmol)加え、撹拌して溶解させた。この溶液を撹拌しながらDBOPを30.59g(79.8mmol)添加し、更にNMPを28.5g加え、室温で28時間撹拌してポリアミック酸エステルの溶液を得た。このポリアミック酸エステル溶液の温度25℃における粘度は17.0mPa・sであった。
得られたポリアミック酸エステル溶液をメタノール{889g}中に攪拌しながら投入し、析出した沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄した後に温度100℃で減圧乾燥し、ポリアミック酸エステル粉末を得た。このポリアミック酸エステルの分子量はMn=13500、Mw=34600であった。
得られたポリアミック酸エステル粉末を6.59g、撹拌子の入った100mL三角フラスコに取り、NMPを48.5g加え、室温で20時間撹拌して溶解させた。このポリアミック酸エステル溶液の固形分濃度は10.8質量%であった。続いて、NMPを24.0g、BCSを19.6g加え、室温で6時間撹拌して固形分濃度6.0質量%のポリアミック酸エステル溶液からなる液晶配向剤4を得た。
液晶配向剤4を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド膜からなる液晶配向膜4を得て、ラビングによる削れカス量を確認した。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
撹拌子を入れた500mLの四つ口フラスコにDE−1を11.5g(44.2mmol)投入した後、NMP278gを加えて撹拌して溶解させた。次いで、トリエチルアミンを2.38g(23.5mmol)、及びDA−1を9.41g(47.0mmol)加えて撹拌して溶解させた。
この溶液を撹拌しながら、DMT−MM(15±2質量パーセント水和物)を39.0g(141mmol)添加し、更にNMPを49.8g加え、室温で4.0時間撹拌してポリアミック酸エステルの溶液を得た。このポリミック酸エステル溶液の温度25℃における粘度は17.8mPa・sであった。
このポリミック酸エステル溶液をメタノール{2340g}中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄した後に温度100℃で減圧乾燥し、ポリアミック酸エステルの粉末を得た。このポリアミック酸エステルの分子量はMn=9,240、Mw=23,900であった。
このポリアミック酸エステル粉末1.60gを撹拌子の入った100mL三角フラスコに取り、NMP11.7gを加え、室温で18時間撹拌して溶解させた。続いて、NMP6.82gおよびBCS4.75gを加え、2時間撹拌して固形分濃度6.00質量%のポリアミック酸エステル溶液からなる液晶配向剤5を得た。
液晶配向剤5を用いて、実施例1と同様にしてポリイミド膜からなる液晶配向膜5を得て、ラビングによる削れカス量を確認した。得られた結果を表1に示す。
Figure 0006083380
本発明により製造されるポリアミック酸エステル、及びポリアミド−ポリアミック酸エステルは、これをイミド化することにより、それぞれ、容易にポリイミド、及びポリアミド−ポリイミドが得られる。これらのポリイミド、及びポリアミド−ポリイミドは、優れた耐熱性・機械的強度・絶縁性を有することから、エレクトロニクス材料や航空機材料など幅広く用いられている。
また、本発明のポリアミック酸エステルを含む液晶配向剤は、ラビング耐性に優れる液晶配向膜を形成し、広く液晶表示素子に使用される。
なお、2011年8月31日に出願された日本特許出願2011−189450号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (8)

  1. ジフェニル(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホナート及び塩基の存在下に、下記式(A−1)、(A−13)、(A−25)、(A−43)、(A−61)、又は(A−80)で表されるジエステルジカルボン酸とジアミンとを重縮合したポリアミック酸エステルを含むことを特徴とする液晶配向剤。
    Figure 0006083380
    (式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基である。)
  2. 前記ジエステルジカルボン酸が、(A−1)又は(A−25)である請求項に記載の液晶配向剤。
  3. 前記ジアミンが、下記式(2)で表される請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
    N−Y―NH・・・(2)
    (上記式中、Yは、2価の有機基であり、下記式(B−7)、(B−8)、(B−13)、(B−18)、(B−19)、(B−42),(B−43)、(B−45)、(B−55)、(B−59)、(B−74)、(B−78)、(B−79)、(B−80)、(B−81)、又は(B−82)で表される。)
    Figure 0006083380
  4. 前記ジアミンが、(B−7)、(B−8)、(B−13)、(B−18)、(B−19)、(B−42),(B−43)、(B−45)、(B−55)、(B−59)、(B−74)、(B−81)、又は(B−82)である、請求項に記載の液晶配向剤。
  5. 前記塩基が、トリエチルアミン又はN−メチルモルホリンである、請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
  6. 前記縮合剤の使用量が、ジエステルジカルボン酸に対して2.0倍モル〜4倍モルである、請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
  8. 請求項の液晶配向膜を具備した液晶表示素子。
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