JP2004086184A - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、液晶表示素子の表示特性に大きな影響を及ぼす液晶配向剤について、適度なプレチルト角を有し、電気特性特に残留電荷、電圧保持率に優れ焼き付きの少ない液晶配向膜を与える液晶配向剤及び該液晶配向膜を用いた液晶表示素子を提供することである。
【解決手段】下記(a)及び(b)から構成されるテトラカルボン酸二無水物(a)芳香族テトラカルボン酸二無水物、15〜35ル%
(b)2種以上の脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物、85〜65モル%と長鎖分岐を有さないジアミンとを反応させて得られるポリアミド酸(ポリアミド酸(A))または該ポリアミド酸(A)と特定構造の長鎖分岐を有するポリアミド酸(ポリアミド酸(B))を含有する液晶配向剤、それらを用いた液晶配向膜並びに液晶表示素子。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気特性に優れた液晶配向膜、その原料であるポリアミド酸を含有する液晶配向剤、該液晶配向剤と有機溶剤とからなるワニス、並びに該液晶配向膜を有する液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、現在ネマチック液晶を用いた表示素子が主流であり、液晶が90°ツイストしたTN(Twisted Nematic)型液晶表示素子、通常180°以上ツイストしたSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子、薄膜トランジスタ−を使用した、いわゆるTFT(Thin Filmed Transistor)型液晶表示素子、さらに昨今では、視角特性を改良した横電界型のIPS(In Plain Switching)型液晶表示素子、垂直配向状態を利用したVA(Vertical Aliment)型液晶表示素子、或いはベンド配向状態を利用したOCB(Optically Compensated Bend もしくは Optically Compensated Birefringence)型液晶表示素子等の種々の方式による表示素子が実用化、あるいは検討されている。液晶表示素子の進展は単にこれらの方式の進展のみならず液晶表示素子の特性向上に向けてその周辺材料での改良も活発に行われている。また、液晶配向膜は、液晶表示素子の表示品質に係わる重要な要素の一つであり、表示素子の高品質化が要求されるにつれ一層液晶配向膜の役割が大きくなっている。
【0003】
本発明においては液晶配向剤とは液晶配向膜に用いられるポリアミド酸若しくは可溶性ポリイミド等のポリマーを液晶配向剤と称する。液晶配向膜は、液晶配向剤より調製されるが、液晶配向剤は、有機溶剤に溶解させたワニスの形態として主として使用される。このようなワニスを基板に塗布した後、加熱などの手段により溶剤を蒸発させて成膜し液晶配向膜とする。液晶配向剤の一成分にポリアミド酸を用いる場合には、更に加熱することにより脱水閉環反応させてイミド化して液晶配向膜とする。ポリイミド以外の種々の液晶配向膜も検討されているが、耐熱性、耐薬品性(耐液晶性)、塗布性、液晶配向性、電気特性、表示特性等の点から、ほとんど実用化されていない。
【0004】
ポリアミド酸を液晶配向剤として用いている例として、特許文献1には2価の芳香族基または脂環構造を有するジアミノ化合物と芳香族構造または脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物とを付加重合させて得られるポリアミド酸が開示されている。この様なポリアミド酸は、ラビングによる傷の発生が焼成条件に依存しにくいという特性を有するが、電気的特性を向上させるための具体的方法について開示されていない。
【0005】
また、特許文献2には特定の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物70〜95モル%、芳香族環含有テトラカルボン酸二無水物30〜5モル%からなるテトラカルボン酸二無水物と有機ジアミンとを反応させることにより得られるポリアミド酸及びそのイミド化重合体の少なくとも一方を含有していることを特徴とする液晶配向剤が開示されている。
【0006】
該ポリアミド酸は、ラビング処理する際に発生する静電気を速やかに除去することができ、形成される液晶配向膜の表面にラビング処理に伴う傷がつきにくく、液晶配向性に優れた液晶表示素子を構成することができ、保存安定性にも優れた液晶配向剤である旨記載されているが、電気特性を向上させるための具体的な方法がないばかりか、該公報実施例にあるような芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂環式テトラカルボン酸二無水物との2成分のみからなるテトラカルボン酸二無水物を用いて得られたポリアミド酸では、電気特性の顕著な向上が見られない。また、この公報では複数の脂環式構造を含有するポリアミド酸の具体例は記載されていない。
【0007】
一方、電気特性を向上させる試みとして、特許文献3には、電気特性に優れたポリイミドを与えるポリアミド酸と側鎖を有するジアミンを用いたポリアミド酸とからなるポリアミド酸組成物が開示されている。該ポリアミド酸組成物を用いた液晶表示素子の電気特性は十分実用可能な領域に達している。しかし、液晶配向膜に要求される性能も年々厳しくなってきており、更なる性能の向上された液晶配向膜の開発が強く望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−222367号公報
【特許文献2】
特開平8−122793号公報
【特許文献3】
特開平11−193346号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上の記述から明らかなように本発明の目的は、液晶表示素子の表示特性に大きな影響を及ぼす液晶配向剤について、適度なプレチルト角を有し、電気的特性、特に残留電荷、電圧保持率、焼き付きに優れた液晶配向剤並びに該液晶配向剤を用いた液晶表示素子を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するために、本発明者らがポリアミド酸に使用されるテトラカルボン酸およびジアミンの構造並びにその共重合比について鋭意検討した結果、液晶表示素子に使用される液晶配向膜として、下記の構成によるポリアミド酸を含有する液晶配向剤を使用することにより達成出来ることを見いだした。
【0011】
すなわち、
本発明における第1の発明は下記(a)及び(b)から構成されるテトラカルボン酸二無水物
(a)芳香族テトラカルボン酸二無水物、15〜35モル%
(b)2種以上の脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物、85〜65モル%
と長鎖分岐を有さないジアミンとを反応させて得られるポリアミド酸(以下ポリアミド酸(A)と略称する)を含有する液晶配向剤である。
【0012】
本発明における好ましい態様は、脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物が、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、メチル化シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、およびブタンテトラカルボン酸二無水物からなる群より選択される2種以上の化合物である上記液晶配向剤である。
【0013】
本発明における別の好ましい態様は、脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物が、上に列挙されたテトラカルボン酸二無水物から選択された任意の2種類の化合物からなる上記液晶配向剤である。
【0014】
本発明における別の好ましい態様は、脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物が、上に列挙されたテトラカルボン酸二無水物から選択された任意の3種類の化合物からなる上記液晶配向剤である。
【0015】
本発明における別の好ましい態様は、芳香族テトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸二無水物である上記液晶配向剤である。
【0016】
本発明における別の好ましい態様は、長鎖分岐を有さないジアミンが下記一般式(1)で表されるジアミンを含有するジアミンである上記液晶配向剤である。
【0017】
【化8】
Figure 2004086184
【0018】
(一般式(1)中、Xは、炭素数1〜3の炭化水素基、酸素原子、または>C=Oであり、pおよびqは独立に0〜2である)。
【0019】
本発明における別の好ましい態様は、長鎖分岐を有さないジアミンが下記一般式(2)で表されるジアミンを含有するジアミンである上記液晶配向剤である。
【化9】
Figure 2004086184
(一般式(2)中、Rは2価の炭素数1〜5の脂肪族基、またはフェニレンであり、R、Rは炭素数1〜12の脂肪族基、または炭素数6〜12の芳香族基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。mは1〜20の数を表す。)
【0020】
本発明における第2の発明は、互いに異なる2種以上のポリアミド酸からなる混合物であって、その内の一つであるポリアミド酸(A)は、下記(a)及び(b)から構成されるテトラカルボン酸二無水物
(a)芳香族テトラカルボン酸二無水物、15〜35モル%
(b)2種以上の脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物、85〜65モル%
と長鎖分岐を有さないジアミンとを反応させて得られるポリアミド酸であり、別のポリアミド酸であるポリアミド酸(B)は、テトラカルボン酸二無水物と下記一般式(3)もしくは一般式(4)で示されるジアミンを含有するジアミン類とを反応させることにより得られるポリアミド酸であり、これらポリアミド酸(A)及び(B)を必須成分として含有する液晶配向剤である。
【0021】
【化10】
Figure 2004086184
【0022】
(一般式(3)中、Rは水素または炭素数1〜12のアルキル、Yは単結合または−CH−、環Aはベンゼン環またはシクロヘキサン環、各Zは互いに独立に単結合、−CH−、−CHCH−または酸素を示し、rは0〜3、sは0〜5、tは0〜3である。また、任意のベンゼン環またはシクロヘキサン環の水素は低級アルキルで置換されていてもよい。低級アルキルとは好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキルである。)。
【0023】
【化11】
Figure 2004086184
(一般式(4)中、X、Xはそれぞれ独立して単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−NH−、−CONH−または炭素数1〜12のアルキレンを示し、B、Bはそれぞれ独立して単結合または1〜3個の芳香族環および/または脂環式環を含む二価の基を示し、Rは水素、フッ素、−CN、−OH、炭素数1〜12のアルキル、フルオロアルキル、またはアルコキシを示す)。
【0024】
本発明における別の好ましい態様は、前記ポリアミド酸(A)に用いられる長鎖分岐を有さないジアミン、またはポリアミド酸(B)に用いられる前記一般式(3)もしくは(4)以外のジアミンが、前記一般式(1)および/または一般式(2)で表されるジアミンを含有するジアミンである液晶配向剤である。
【0025】
本発明における別の好ましい態様は、ポリアミド酸全体に占めるポリアミド酸(A)の割合が85〜99重量%である上記液晶配向剤である。
【0026】
本発明における第3の発明は、上記ポリアミド酸と有機溶剤とからなるワニスである。
本発明における好ましい態様はポリアミド酸の濃度が0.1〜40重量%である上記ワニスである。
本発明における第4の発明は、上記液晶配向剤もしくはワニスより得られた液晶配向膜である。
本発明における第5の発明は、上記液晶配向膜を用いてなる液晶表示素子である。
本発明における好ましい態様は、フッ素系液晶組成物を含有する上記液晶表示素子である。尚、フッ素系液晶組成物とは分子中にフッ素原子を含有する液晶性化合物を1種類以上含有する液晶組成物である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の液晶配向剤について詳述する。本発明の液晶配向剤の構成成分であるポリアミド酸は、有機溶媒中、ほぼ等モルのテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることによって容易に得ることができる。本発明のポリアミド酸(A)で使用するテトラカルボン酸二無水物は、芳香族系のテトラカルボン酸二無水物の1種以上と脂肪族テトラカルボン酸二無水物もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物の2種以上の合計3種以上からなることを特徴とする。
【0028】
芳香族系のテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物等である。以上に掲げたテトラカルボン酸二無水物は、単独もしくは複数選択したものを組合せて使用することができ、特にピロメリット酸二無水物が好ましい。
【0029】
次に、脂肪族テトラカルボン酸二無水物もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、メチル化シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ジシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(ジカルボキシシクロヘキシル)エーテル二無水物、ビス(ジカルボキシシクロヘキシル)スルホン二無水物、ビス(ジカルボキシシクロヘキシル)メタン二無水物、1,2−ジカルボキシ−4−スクシニック−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン二無水物、1,2−ジカルボキシ−4−メチル−4−スクシニック−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン二無水物、1,4−シクロへキシレン−ビスコハク酸、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボキシリックアンハイドライド、2,3,5−トリカルボキシシクロペンタン酢酸二無水物、5,6−ジカルボキシ−1−メチル−3−スクシニック−1−シクロヘキセン二無水物、2,3,5,6−テトラカルボキシビシクロ[2・2・1]シクロペンタン二無水物等を挙げることができる。
【0030】
これらのなかで好ましくはシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、メチル化シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物である。2種以上の脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物を使用することで、本発明の優れた電気特性を有する液晶配向剤を得ることができる。
【0031】
ここで2種以上の脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸二無水物とは、全てが脂肪族の場合、全てが脂環式の場合、あるいは両者を含む場合がある。具体的には、2種類の組合せとして好ましい組合せはシクロブタンテトラカルボン酸二無水物とメチル化シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物とシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物とブタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物とシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、およびブタンテトラカルボン酸二無水物とメチル化シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等の各組合せである。
【0032】
3種類の組合せとしては、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物とシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物とブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物とメチル化シクロブタンテトラカルボン酸二無水物とブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物とメチル化シクロブタンテトラカルボン酸二無水物とブタンテトラカルボン酸二無水物等の各組み合わせが挙げられる。本発明は、これらの組合せに限定されることはなく、その効果を損なわない限り4種以上の組合せを実施することができる。
【0033】
以上挙げられたテトラカルボン酸二無水物の中にはカルボン酸基が付く位置や置換基の付く位置、あるいは立体的な構造の違いによって数種の異性体を含むものがあるが、これらの異性体についても本発明に包含される。
【0034】
ポリアミド酸(A)では、芳香族テトラカルボン酸二無水物のテトラカルボン酸二無水物全体に占める割合は15〜35モル%、好ましくは17〜30モル%である。芳香族テトラカルボン酸二無水物の量が15モル%を下回る量では、残留電荷の絶対値の増大や電圧保持率の低下が見られる場合があり、35モル%を超えて使用しても本発明の特徴である電気特性の顕著な効果が見られない場合がある。また、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸二無水物の1種としてシクロブタンテトラカルボン酸二無水物を使用する場合には、テトラカルボン酸二無水物全体に占める割合を20〜60モル%とするのが好ましい。
【0035】
ポリアミド酸(A)で使用できるジアミンとしては、長鎖分岐を有しないジアミンを使用することができる。長鎖分岐を有しないとは、主鎖から分岐した置換基を全く有しないか、たとえ有していてもそれがメチル、フェニル、ハロゲン等の短い基である場合である。このような構造の公知のジアミンを使用することができる。
【0036】
しかし、特に、前記一般式(1)で表されるジアミンが好ましい。一般式(1)で表されるジアミンとしては、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)エタン、4,4’−ジアミノジフェニル−2,2−プロパン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0037】
また、該長鎖分岐を有しないジアミンの別の好適な例として、上記一般式(2)で表されるジアミノシリコーン化合物を挙げることができる。該式(2)におけるRは2価の炭素数1〜5脂肪族基または炭素数6以上の芳香族基であるが、入手の容易性からメチレン、エチレン、プロピレンまたはフェニレンが好ましい。また、RおよびRは互いに同一であっても異なっていてもよい一価の脂肪族基または芳香族基を表すが、好ましくは炭素数1〜6のアルキルまたはフェニルであり、より好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、t−ブチル、フェニルである。mは1〜20の数を表すが、好ましくはmが1のものである。そのようなジアミノシリコーン化合物のより具体的な例としては、1,3−ビス(3−アミノメチル)−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノエチル)−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノエチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノメチル)−1,1,3,3−テトラ(2−プロピル)ジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノエチル)−1,1,3,3−テトラ(2−プロピル)ジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラ(2−プロピル)ジシロキサン、等を挙げることができる。
【0038】
該ジアミノシリコーン化合物の好適な使用割合は、ポリアミド酸(A)単独で使用する場合には、ジアミン全体を100モル%とした場合に0.5〜10モル%、ポリアミド酸(A)とポリアミド酸(B)とを組み合わせて使用する場合には、ポリアミド酸(B)に含有させたほうがより好ましく、その場合のポリアミド酸(B)に使用するジアミン全体を100モル%とした時に0.5〜20モル%である。
【0039】
上記一般式(1)および(2)に掲げたジアミン以外にも例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)サルファイド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ベンジジン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,5−ジアミノナフタレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(4−(4−アミノベンジル)フェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス−p−アミノフェニルアニリン等の公知のジアミンもポリアミド酸(A)及びポリアミド酸(B)のジアミンの一成分として使用することができる。
【0040】
上記長鎖分岐を有さないジアミンの中で特に好ましいジアミンとしては、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、または1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、並びに1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンである。
【0041】
上記詳述した長鎖分岐を有さないジアミンは2種類以上併用してもよく、併用する場合にもビス(4−アミノフェニル)エーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、または1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの1種以上と併用することが好ましい。
【0042】
この様にして得られるポリアミド酸(A)は、それ単独で使用することもできるが、液晶のプレチルト角を調整するために以下に述べるポリアミド酸(B)と混合して使用することもできる。
【0043】
一方、ポリアミド酸(B)は、原料ジアミンとして前記一般式(3)及び(4)で表わされるジアミンから選択された1種以上のジアミンを含有することが必須条件である。
【0044】
一般式(3)で表わされる化合物としては1,1−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)−4−プロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−(4−アミノベンジル)フェニル)シクロヘキサン、4−n−ブチル−1,1−ビス(4−(4−アミノベンジル)フェニル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
また、一般式(4)で表わされる化合物としては、4−n−プロピルシクロヘキシル−3’,5’−ジアミノジフェニルメタン、4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル−3’,5’−ジアミノジフェニルメタン等を挙げることができる。
【0045】
それ以外にも他のジアミンを含有することができる。その他のジアミンとしては特に制限はなく、ポリアミド酸(A)のところで挙げられた長鎖分岐を有さないジアミン、脂肪族若しくは脂環式ジアミンを挙げることができる。
【0046】
該脂肪族若しくは脂環式ジアミンとしては、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノ−2−ブチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2−ドデシロキシベンゼン、4,4’−ジアミノ−3−オクチルジフェニルメタン、等を用いることができる。
【0047】
上述した長鎖分岐を有さないジアミン、それ以外の芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミンのうちで一般式(3)若しくは(4)で表わされるジアミンと組合せるジアミンとしては4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、またはこれらの2種以上の組合せが好ましい。
【0048】
ポリアミド酸(B)で用いられるテトラカルボン酸二無水物としては特に制限はなく公知のテトラカルボン酸二無水物を使用することができる。即ち、ポリアミド酸(A)で使用された芳香族、脂肪族若しくは脂環式のテトラカルボン酸二無水物を例示することができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独若しくは複数選択したものを組合せて使用することができ、特にピロメリット酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物またはこれらの組合せが好ましい。
【0049】
前述したテトラカルボン酸二無水物とジアミンとからポリアミド酸を得るためには、公知の方法を応用することができ、例えば以下の方法によって得ることができる。すなわち、反応器に、有機溶剤、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンを装入して、不活性ガス気流中、攪拌下に1〜60時間、−10℃〜100℃で反応させることによって粘調なポリアミド酸溶液を得ることができる。
【0050】
さらに本発明を構成するポリアミド酸を製造する過程で、上記テトラカルボン酸二無水物およびジアミン以外にポリアミド酸の反応末端を形成するモノアミン、および/またはモノカルボン酸無水物を適宜添加して反応を終了させることも可能である。また、基板への密着性または耐ラビング性を良くするために、本発明の液晶配向剤へ有機シリコン化合物を添加して用いることもできる。該有機シリコン化合物としては、例えばアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、および2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、ジメチルポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、およびポリジフェニルシロキサンなどのシリコーンオイルが挙げられる。
【0051】
本発明に包含されるポリアミド酸の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で10,000〜500,000程度、さらに好ましくは20,000〜200,000であり、数平均分子量(Mn)との比である多分散度(Mw/Mn)は1.2〜3.6である。
【0052】
以上の様にして得られたポリアミド酸(ポリアミド酸(A)若しくは(B))の内、ポリアミド酸(A)は、それ自体電気特性の良好な横電界駆動型(IPS型)液晶表示素子用の液晶配向膜を与える液晶配向剤として好適に使用することができる。しかし、これだけではプレチルト角の大きい配向膜を得ることができない。プレチルト角をコントロールすることが必要なTN用、OCB用およびVA用等の液晶配向剤として適用する場合には、プレチルト角のコントロール性を有するポリアミド酸(B)と組み合わせて使用することが好ましい。ポリアミド酸(B)で使用される側鎖を有するジアミンとしては、前述したように一般式(3)また(4)で示されるジアミンを挙げることができる。該一般式(3)で表される本発明のジアミンの具体例として、R、Y、環A、Z、r、sおよびtの組合せを下記の表1〜表14に示す。表1〜14中に記載の化合物においては環Aに記載のBはベンゼン環、Chはシクロヘキサン環の意味を表す。
【0053】
【表1】
Figure 2004086184
【0054】
【表2】
Figure 2004086184
【0055】
【表3】
Figure 2004086184
【0056】
【表4】
Figure 2004086184
【0057】
【表5】
Figure 2004086184
【0058】
【表6】
Figure 2004086184
【0059】
【表7】
Figure 2004086184
【0060】
【表8】
Figure 2004086184
【0061】
【表9】
Figure 2004086184
【0062】
【表10】
Figure 2004086184
【0063】
【表11】
Figure 2004086184
【0064】
【表12】
Figure 2004086184
【0065】
【表13】
Figure 2004086184
【0066】
【表14】
Figure 2004086184
【0067】
本発明にかかわる式(3)で示されるジアミンはこれらに限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で他にも種々の態様が存在することは言うまでもない。また、これらのジアミンは単独で、または2以上を組み合わせて用いることができる。これらのジアミンにおいて、rが0で、Rが水素または短鎖のアルキルの場合はプレチルト角が小さくなる傾向があり、rが1〜3の場合は、Rが水素であってもプレチルト角が大きくなる傾向がある。
【0068】
プレチルト角が小さい場合はIPS型液晶表示素子に好適であり、プレチルト角が3〜8°程度の場合は、TN型液晶表示素子に好適である。また、STN型液晶表示素子、VA型液晶表示素子、OCB型液晶表示素子の場合は、さらに大きなプレチルト角が要求される場合もあるが、この場合は側鎖の長い成分を用いれば良い。
【0069】
また、前記一般式(4)で表される本発明のジアミンの具体例として、X、X、B、BおよびRの組み合わせを下記の表15〜表27に示す。表15〜21に記載の化合物においては、Bはベンゼン環、Chはシクロヘキサン環の意味を表す。B、Bのベンゼン環、シクロヘキサン環はすべて1、4−位で他の基と結合しており、ジアミノベンゼンの2個のアミノ基は1、3−位に、Xはジアミノベンゼンの5−位に結合したものである。また、例えばBに「B−Ch」と記載する場合、XにBのベンゼン環が、XにBのシクロヘキサン環が結合することを意味する。さらに、例えばBに「B−Ch」と記載する場合、XにBのベンゼン環が、RにBのシクロヘキサン環が結合することを意味する。
【0070】
【表15】
Figure 2004086184
【0071】
【表16】
Figure 2004086184
【0072】
【表17】
Figure 2004086184
【0073】
【表18】
Figure 2004086184
【0074】
【表19】
Figure 2004086184
【0075】
【表20】
Figure 2004086184
【0076】
【表21】
Figure 2004086184
【0077】
【表22】
Figure 2004086184
【0078】
【表23】
Figure 2004086184
【0079】
【表24】
Figure 2004086184
【0080】
【表25】
Figure 2004086184
【0081】
【表26】
Figure 2004086184
【0082】
【表27】
Figure 2004086184
【0083】
本発明にかかわる式(4)で示されるジアミンはこれらに限定されることなく、本発明目的が達成される範囲内で他にも種々の態様が存在することは言うまでもない。また、これらのジアミンは単独で、または2以上を組み合わせて用いることができる。
【0084】
前記一般式(3)および/または一般式(4)で表される側鎖付きのジアミンは単独で反応させることも可能であるが、他のジアミンを組み合わせることもできる。このときの配合割合は、所望するプレチルト角によって任意に設定することが可能である。
【0085】
本発明の液晶配向剤の構成成分である電気特性に優れたポリアミド酸(A)と適切なプレチルト角発現能を有するポリアミド酸(B)とを組み合わせた材料である場合の(A)/(B)の割合は、重量比で99/1〜80/20である。(B)の割合が下限を下回ると、プレチルト角が増大しないことがあり、上限を超えて配合してもプレチルト角の更なる向上は見られない場合がある。
【0086】
本発明のポリアミド酸を液晶配向剤として使用する場合、前記ポリアミド酸のほかに、本発明の効果が損なわれない限り他の高分子化合物と併用して用いても何ら問題とならない。特に、ポリアミド、可溶性ポリイミド、及びポリアミドイミドは併用して使用することにより更なる電気的特性の向上が見られることもある。
【0087】
尚、本発明の効果を損なわない限り、本発明のポリアミド酸は可溶性ポリイミド、ポリアミド酸エステル等の態様で使用することもできる。本発明で用いることのできる液晶配向剤は基板への塗布後、加熱処理によりイミド化される。したがって、本発明の液晶配向剤の構成成分であるポリアミド酸の全部もしくは一部を、無水酢酸/ピリジン等の触媒を用いて可溶性のポリイミドとすること、またはアルコール類を予め該ポリアミド酸と反応させてポリアミド酸エステルとしても、液晶表示素子を作製する過程で加熱処理をし、ポリイミドを主成分とする液晶配向膜が形成されるので、本発明の効果が得られることは言うまでもない。
【0088】
本発明の第3の発明であるワニスは、上述したポリアミド酸もしくは上記可溶性ポリイミドやポリアミド酸エステル等の態様であるポリアミド酸誘導体(以下総称して高分子化合物と略す)である液晶配向剤と有機溶剤とからなる。透明電極付き基板上に液晶配向膜として形成するためには、該高分子化合物が有機溶剤に溶解されたワニスの状態で用いられることがほとんどである。この場合、該ワニス中のポリアミド酸の濃度は、0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜10重量%が適する。該液晶配向剤を基板に塗布する際には、膜厚調整のため予め有機溶剤で希釈する操作が必要とされる場合があるが、スピンナ−法や印刷法の場合には良好な薄膜、すなわち平坦で均一な膜厚を保つためには、通常10重量%以下とすることが多い。その他の塗布方法、例えばディッピング法では10重量%よりさらに低濃度とすることもあり得る。
【0089】
一方、ポリアミド酸の濃度が0.1重量%未満では、得られる液晶配向膜の膜厚が薄くなり過ぎると言う問題を生じ易い。従ってワニス中の高分子化合物の濃度は、通常のスピンナ−法や印刷法等では0.1重量%以上、好ましくは0.5〜10重量%程度が適する。しかし、ワニスの塗布方法によっては、さらに希薄な濃度や高濃度で使用しても良い。
【0090】
該液晶配向剤において上記高分子化合物と共に用いられる溶剤は、該高分子化合物を溶解する能力を持った溶剤であれば格別制限なく適用可能である。かかる溶剤は、該高分子化合物の製造工程やその用途で通常使用されている溶剤を広く含み、使用目的に応じて、適宜溶剤を選択される。
【0091】
これらの溶剤の例として、ポリアミド酸、可溶性ポリイミド、ポリアミド酸エステル、または併用される他の高分子化合物に対し良溶剤である非プロトン性極性有機溶剤、例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミドゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、またはγ−ブチルラクトン等を用いることができ、また、塗布性改善等を目的とした他の溶剤、例えば乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキル若しくはフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、マロン酸ジエチル等のマロン酸ジアルキル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、あるいはこれらのアセテート類等のエステル系化合物を挙げることができる。
【0092】
また、該有機溶媒の種類、2種以上の使用する場合の混合割合は、所望する溶液の表面張力、粘度、印刷性、塗布性、ぬれ性、および薄膜形成後の膜の均一性等の液晶配向剤に要求されるその他の特性を考慮して任意に設定することができる。中でも、溶解性、印刷性、塗布性および膜の均一性を考慮すると、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、γ−ブチロラクトン(GBL)、エチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれた2種以上の組合せが好ましい。
【0093】
本発明の液晶配向剤には、必要により各種の添加剤を添加することができる。例えば、塗布性の向上を望む場合にはかかる目的に沿った界面活性剤を、帯電防止の向上を必要とする場合には帯電防止剤を、基板との密着性の向上望む場合にはシランカップリング剤やチタン系のカップリング剤を、またOCB型表示素子やVA型表示素子において核(ドメイン)形成が必要な場合には、無機もしくは有機微粒子からなる核形成材料を適宜、任意量配合してもよい。
【0094】
このようにして得られる液晶配向剤は、主にアクティブマトリックス方式であるTFT用液晶配向膜(TN型、IPS型、VA型、およびOCB型)の形成にとって好適なものとなるが、所望するプレチルト角を与えることができることからパッシブマトリックス方式のTN型液晶表示素子用、STN型液晶表示素子用、強誘電性または反強誘電性液晶表示素子用の液晶配向膜を形成するに際しても有用であり、さらに液晶表示素子としての電気特性に優れることから、保護膜や絶縁膜等にも使用することができる。
【0095】
本発明の液晶配向剤を用いて基板上に形成した液晶配向膜を、これと同一であっても異なっていてもよい液晶配向膜を形成させた1対の基板とを対向配置し、その間に液晶を挟み込んで液晶挟持基板とし、公知の方法により液晶表示素子とすることができる。すなわち、液晶配向剤を基板上へ塗布する工程、これに続く乾燥工程および脱水・閉環反応させるための加熱処理を施す工程によって液晶表示素子を得ることができる。このとき、透明電極付基板の一方または両方にカラーフィルター、オーバーコート、層間絶縁膜、突起物などが適宜配置されていてもよい。
【0096】
かかる塗布工程の方法としてスピンナー法、印刷法、ディッピング法または滴下法等が一般に知られているが、これらの方法は本発明においても適用可能である。また、乾燥工程および脱水・閉環反応させるための加熱処理を施す工程の方法として、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法やホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られているが、これらの方法も本発明において適用可能である。
【0097】
乾燥工程は溶剤の蒸発が可能な範囲内の比較的低温、例えば50〜100℃で実施することが好ましく、また加熱処理工程は150〜300℃程度の温度下で行うことが好ましい。
【0098】
本発明の液晶表示素子において好ましく用いられる液晶組成物は、例えばSTN型液晶表示素子用としては特開平8−157828号公報、特開平8−231960号公報、特開平9−241644号公報、および特開平9−302346号公報を挙げることができる。また、TFT用液晶表示素子用(TN型、IPS型、VA型、またはOCB型)としては、特許第3086228号、特許第2635435号、特表平5−501735号公報、特開平8−199168号公報、特開平9−235552号公報、特開平9−241643号公報、特開平9−255956号公報、特開平10−204016号公報、特開平10−204436号公報、特開平10−231482号公報、特開2000−087040号公報、特開2001−48822号公報、並びに特開2001−192657号公報に開示されている液晶組成物が挙げられる。
【0099】
上記公報に記載されたTFT用液晶表示素子用液晶組成物を本発明の液晶配向剤から得られる液晶配向膜と組み合わせて形成される液晶表示素子は、特に高い電圧保持率が要求される分野において好適であり、しかも焼き付き改善の効果が大きい。すなわち、本発明の液晶配向剤は、これらに記載された末端に−OCFを有する化合物やフッ素原子を1〜3個あるいはそれ以上有する化合物などを含有する高い電圧保持率を有するフッ素系液晶組成物と組み合わせて用いることが特に好ましい。
また、前記液晶組成物に1種以上の光学活性化合物を含有して使用することも何ら差し支えない。
【0100】
【実施例】
以下に本発明を具体的に説明するが本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。実施例を具体的に記載する前に、合成例、実施例、および比較例で使用した材料およびその略号、並びに評価方法について詳述する。
【0101】
1.材料およびその略号
(1)テトラカルボン酸二無水物
ピロメリット酸二無水物(PMDA)
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)
1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(CHDA)
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物(BDA)
メチル化シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(メチル化度1.5)(CMDA)
【0102】
(2)ジアミン
4,4’−ジアミノジフェニルメタン(DPM)
1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン(DPEt)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)
1,1−ビス{4−[(4−アミノフェニル)メチル]フェニル}−4−ブチルシクロヘキサン(4Ch)
5−{4−[4−(4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニル}メチル―1,3―ジアミノベンゼン(5Ch)
1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(APDS)
【0103】
(3)溶剤
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ:BC)
γ−ブチロラクトン(GBL)
【0104】
(4)液晶組成物
使用した液晶組成物の組成を下記に示した。この組成物のNI点は100.0℃であり、また、複屈折は0.093であった。
【0105】
【化12】
Figure 2004086184
【0106】
2.評価方法
2−1 縦電界型液晶表示素子での評価方法
(1) 残留電荷の測定
30Hz、2Vの矩形波に3Vの直流電圧を1時間重畳した直後のフリッカー消去電圧、並びに30分後のフリッカー消去電圧を測定し、この値の絶対値を残留電荷とした。残留電荷が小さいほど焼付きが少なく良好といえる。
【0107】
(2)電圧保持率の測定
「水嶋他、第14回液晶討論会予稿集 p78」に記載されている方法に準拠して行った。測定条件は、ゲ−ト幅69μs 、周波数60Hz、波高±4.5Vであり、測定温度は60℃である。この値が高いほど電気特性が良好といえる。
【0108】
(3)プレチルト角の測定方法
液晶のプレチルト角の測定は、クリスタルローテーション法にて測定した。
【0109】
(4)配向性の評価
偏光顕微鏡下で観察し、配向不良の有無を目視で判定した。すなわち、配向性の良好なものを○、配向性不良なものを×として表記した。
【0110】
2−2 横電界型液晶表示素子での評価方法
DC焼付きの測定
実施各例、比較各例で作製した素子を60℃に設定したオーブンに設置し、該素子に対して電圧100mV、周波数1kHzの正弦波を有する交流電圧に、0V〜10Vの直流電圧を1Vステップで重畳し(0〜10Vまでの昇圧時間は3秒)、該電圧で30分駆動した。その後、直流成分を10V〜0Vまで1Vステップで降圧した(10〜0Vまでの降圧時間は3秒)。残留電荷は液晶素子のキャパシタンスに比例することから、直流電圧印加前のキャパシタンス(pF)と直流電圧印加後のキャパシタンス(pF)の差を残留電荷とした。この値が小さいほどDC焼付きが少ないといえる。
【0111】
AC焼付きの測定(配向性の評価)
実施各例、比較各例で作製した素子を60℃に設定したオーブンに設置し、該素子に対して周波数1kHzの正弦波を有する交流電圧を用いて0.1V〜10.1Vに昇圧(昇圧に要した時間は3秒)し、その範囲のキャパシタンスを1V毎に測定した。次いで10.1Vで1時間駆動させた後、10.1V〜0.1Vに降圧(降圧に要した時間は3秒)し、その範囲のキャパシタンスを1V毎に測定した。2.1V〜3.1Vの間のキャパシタンスの積分値を昇圧時及び降圧時のそれぞれについて求め、それらの差を中間調における平均のヒステリシスとした。該ヒステリシスの値が小さいほど配向性が良好といえる。
【0112】
電圧保持率の測定
前記2−1縦電界素子での評価方法に準拠した。
【0113】
合成例1〔ポリアミド酸の合成〕
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた100mlの四つ口フラスコにDPM 2.4849gおよび脱水NMP55.0gを入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。反応系の温度を20℃以下に保ちながらPMDA0.4921g、CBDA1.2781g、およびBDA0.7449を順次添加し、30時間反応させた後、BC40.0gを加えてポリマー濃度が5重量%のポリアミド酸(PA1)を合成した。原料の反応中に反応温度により温度が上昇する場合は、反応温度を約70℃以下に抑えて反応させた。尚、得られたポリマ−の重量平均分子量は56,000、粘度は30cpであった。
【0114】
合成例2〜13
下記表28に示した割合でテトラカルボン酸二無水物並びにジアミンを使用した以外は合成例1に準拠してポリアミド酸を合成した。合成例1を含めた結果を表28にまとめた。
【0115】
【表28】
Figure 2004086184
【0116】
合成例14
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた1000mlの四つ口フラスコにDDEt 24.4658gおよび脱水NMP200gを入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。反応系の温度を20℃以下に保ちながらPMDA9.1578g、CBDA7.0758g、およびBDA8.3185を順次添加し、30時間反応させた後、GBL550g、およびBC200.0gを加えてポリマー濃度が5重量%のポリアミド酸(PA14)を合成した。原料の反応中に反応温度により温度が上昇する場合は、反応温度を約70℃以下に抑えて反応させた。尚、得られたポリマ−の重量平均分子量は70,000、粘度は40cpであった。
【0117】
合成例15〜23
下記表29に示した割合でテトラカルボン酸二無水物並びにジアミンを使用した以外は合成例14に準拠してポリアミド酸を合成した。合成例14を含めた結果を表29にまとめた。
【0118】
【表29】
Figure 2004086184
【0119】
実施例1(縦電界素子の作製およびその評価)
合成例1で合成した固形分濃度5重量%のポリアミド酸(A)の溶液(PA1)を90重量%、合成例6で合成したポリアミド酸(B)の溶液(PB1)を10重量%の割合で混合し、更にNMP/BCの重量比(1/1)の混合溶媒で希釈して固形分濃度3重量%とし、液晶配向剤とした。該液晶配向剤を透明電極(ITO)付きガラス基板に該液晶配向剤をスピンナ−にて塗布し、80℃で約5分間乾燥後220℃で30分間加熱処理を行ってイミド化を行い配向膜を形成した。次いで、配向膜が形成された基板の表面をラビング装置にてラビング処理して配向処理を行った。該基板をエタノールで洗浄後120℃で乾燥し、次いで7μmのギャップ材を散布し、配向膜を形成した面を内側にして周辺を液晶注入孔を残してエポキシ硬化剤でシ−ルし、セル間隔が7μmのアンチパラレル(逆平行)セルを作製した。該セルに前記液晶組成物を注入し、注入口を光硬化剤で封止しUV照射して、液晶注入孔を硬化した。最後に110°Cで30分間加熱処理(アイソトロピック処理)を行い、液晶表示素子を得た。該液晶表示素子を電気特性の各種評価へ供した。また、ギャップ材として20μmのギャップ材を用いて、20μmのセル間隔を有するアンチパラレルセルを作製し、前記と同様の操作をして液晶表示素子を得た。該液晶表示素子をプレチルト角測定へ供した。結果を表30に示した。
【0120】
実施例2〜14、比較例1〜5
下記の表30に示したポリアミド酸溶液を該表に示した割合で使用した以外は実施例1に準拠して液晶配向剤を作製した。該液晶配向剤を用いて、電気特性評価用の液晶表示素子並びにプレチルト角測定用液晶表示素子を作製し、各種評価を行った。結果を表30に示した。
【0121】
【表30】
Figure 2004086184
【0122】
実施例15(横電界素子の作製およびその評価)
合成例14で合成した固形分濃度5重量%のポリアミド酸(A)の溶液(PA9)にNMP/BCの重量比(1/1)の混合溶媒で希釈して固形分濃度3重量%とし、液晶配向剤とした。該液晶配向剤を櫛形の透明電極(ITO)付きガラス基板に該液晶配向剤をスピンナ−にて塗布し、80℃で約5分間乾燥後220℃で30分間加熱処理を行ってイミド化を行い配向膜を形成した。また、対抗側として透明電極が付いていないガラス基板にも同様に塗布・加熱処理を行って配向膜を形成した。次いで、配向膜が形成された透明電極付きガラス基板の表面を電極に対して15°(電界が発生する方向に対して75°)傾斜させてラビング装置にてラビング処理して配向処理を行った。また、対抗側のガラス基板にもラビング処理を行った。該基板をエタノールで洗浄後120℃で乾燥し、次いで4μmのギャップ材を散布し、配向膜を形成した面を内側にして周辺を液晶注入孔を残してエポキシ硬化剤でシ−ルし、セル間隔が4μmのパラレル(平行)セルを作製した。該セルに前記液晶組成物を注入し、注入口を光硬化剤で封止しUV照射して、液晶注入孔を硬化した。最後に110℃で30分間加熱処理(アイソトロピック処理)を行い、液晶表示素子を得た。該液晶表示素子を電気特性の各種評価へ供した。結果を表31に示した。
【0123】
実施例16〜19、比較例6
下記の表31に示したポリアミド酸溶液を使用した以外は実施例15に準拠して液晶表示素子を作製し、各種評価を行った。結果を表31に示した。
【0124】
【表31】
Figure 2004086184
【0125】
実施例1〜14によると、本発明の液晶配向剤を用いた液晶表示素子の特性は、適度なプレチルト角を有し、初期の残留電荷が小さく、30分後の残留電荷がなくなっていることがわかる。また電圧保持率も98%以上あり、良好な電気特性を有していることが明らかである。配向性も良好であることがわかる。一方、比較例1〜5によると初期の残留電荷が大きく、30分後であっても依然として電荷が残っていることがわかる。また電圧保持率が低い場合や配向性が悪い場合もあることがわかる。
【0126】
実施例15〜19によると、本発明の液晶配向剤を用いた液晶表示素子の特性は、DC負荷による残留電荷が少なく、AC負荷によるヒステリシスの発生もほとんど発生していない。また、電圧保持率も高いことから、高配向かつ焼付きがない良好な電気特性を有することがわかる。一方、比較例6によるとDC特性、AC特性共に悪いことがわかる。
【0127】
以上のことから、本発明のポリアミド酸を用いた実施例の液晶配向剤の特性は、比較例のものより電気特性に関し顕著な効果があることがわかる。すなわち、従来の技術にあるような芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物との2成分のみから得られたポリアミド酸を利用した液晶配向剤(比較例1および比較例4)、単に脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物のみからなるポリアミド酸を利用した液晶配向膜用材料(比較例2および比較例5)、または本発明の特許請求の範囲から外れた組成比からなる材料(比較例3および比較例6)はいずれも、電気特性が悪いことは明確である。
【0128】
【発明の効果】
本発明のポリアミド酸を含有した液晶配向剤からなる液晶配向膜を用いることにより、適度なプレチルト角を有し、配向性が良く、残留電荷が小さく、電圧保持率の高い液晶表示素子を得ることが出来る。そのため TFT用液晶表示素子(TN型、IPS型、VA型、OCB型)において、特に、好ましく用いられるが、電気特性に優れ、プレチルト角も任意に調節可能であるため、STN型液晶表示素子、強誘電性液晶、反強誘電性液晶表示素子用材料としても使用可能である。また、本液晶配向剤による薄膜は、電気特性が優れることから保護膜、絶縁膜として用いても良い。

Claims (17)

  1. 下記(a)及び(b)から構成されるテトラカルボン酸二無水物
    (a)芳香族テトラカルボン酸二無水物、15〜35モル%
    (b)2種以上の脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物、85〜65モル%
    と長鎖分岐を有さないジアミンとを反応させて得られるポリアミド酸(以下ポリアミド酸(A)と略称する)を含有する液晶配向剤。
  2. 脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物が、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、メチル化シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、およびブタンテトラカルボン酸二無水物からなる群より選択される2種以上の化合物である請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. 脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物が、請求項2に列挙されたテトラカルボン酸二無水物から選択された任意の2種類の化合物からなる請求項2に記載の液晶配向剤。
  4. 脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物が、請求項2に列挙されたテトラカルボン酸二無水物から選択された任意の3種類の化合物からなる請求項2に記載の液晶配向剤。
  5. 芳香族テトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸二無水物である請求項1に記載の液晶配向剤。
  6. 長鎖分岐を有さないジアミンが下記一般式(1)で表されるジアミンを含有するジアミンである請求項1に記載の液晶配向剤。
    Figure 2004086184
    (一般式(1)中、Xは、炭素数1〜3の炭化水素基、酸素原子、または>C=Oであり、pおよびqは独立に0〜2である)。
  7. 長鎖分岐を有さないジアミンが下記一般式(2)で表されるジアミンを含有するジアミンである請求項1に記載の液晶配向剤。
    Figure 2004086184
    .(一般式(2)中、Rは2価の炭素数1〜5の脂肪族基、またはフェニレンであり、R、Rは炭素数1〜12の脂肪族基、または炭素数6〜12の芳香族基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよく、mは1〜20の数を表す。)
  8. 互いに異なる2種以上のポリアミド酸からなる混合物であって、その内の一つであるポリアミド酸(A)は、下記(a)及び(b)から構成されるテトラカルボン酸二無水物
    (a)芳香族テトラカルボン酸二無水物、15〜35モル%
    (b)2種以上の脂肪族もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物、85〜65モル%と長鎖分岐を有さないジアミンとを反応させて得られるポリアミド酸であり、別のポリアミド酸であるポリアミド酸(B)は、テトラカルボン酸二無水物と下記一般式(3)もしくは一般式(4)で示されるジアミンを含有するジアミンとを反応させることにより得られるポリアミド酸であり、これらポリアミド酸(A)及び(B)を必須成分として含有する液晶配向剤。
    Figure 2004086184
    (一般式(3)中、Rは水素または炭素数1〜12のアルキル、Yは単結合または−CH−、環Aはベンゼン環またはシクロヘキサン環、各Zは互いに独立に単結合、−CH−、−CHCH−または酸素を示し、rは0〜3、sは0〜5、tは0〜3である。また、任意のベンゼン環またはシクロヘキサン環の水素は低級アルキルで置換されていてもよい)。
    Figure 2004086184
    (一般式(4)中、X、Xはそれぞれ独立して単結合、酸素、−COO−、−OCO−、−NH−、−CONH−
    または炭素数1〜12のアルキレンを示し、B、Bはそれぞれ独立して単結合または1〜3個の芳香族環および/または脂環式環を含む二価の基を示し、Rは水素、フッ素、CN、OH、炭素数1〜12のアルキル、フルオロアルキル、またはアルコキシを示す)。
  9. ポリアミド酸(A)に用いられる長鎖分岐を有さないジアミンが、下記一般式(1)で表されるジアミンを含有するジアミンである請求項8に記載の液晶配向剤。
    Figure 2004086184
    (一般式(1)中、Xは、炭素数1〜3の炭化水素基、酸素原子、または>C=Oであり、pおよびqは独立に0〜2である)。
  10. ポリアミド酸(A)に用いられる長鎖分岐を有さないジアミンが、下記一般式(2)で表されるジアミンを含有するジアミンである請求項8に記載の液晶配向剤。
    Figure 2004086184
    (一般式(2)中、Rは2価の炭素数1〜5の脂肪族基、またはフェニレンであり、R、Rは炭素数1〜12の脂肪族基、または炭素数6〜12の芳香族基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。mは1〜20の数を表す。)
  11. ポリアミド酸(B)に用いられる前記一般式(3)もしくは(4)以外のジアミンが、下記一般式(2)で表されるジアミンを含有するジアミンである請求項8に記載の液晶配向剤。
    Figure 2004086184
    (一般式(2)中、Rは2価の炭素数1〜5の脂肪族基、またはフェニレンであり、R、Rは炭素数1〜12の脂肪族基、または炭素数6〜12の芳香族基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。mは1〜20の数を表す。)
  12. ポリアミド酸全体に占めるポリアミド酸(A)の割合が85〜99重量%である請求項8に記載の液晶配向剤。
  13. 請求項1〜11の何れか1項に記載のポリアミド酸と有機溶剤とからなるワニス。
  14. ワニス中のポリアミド酸の濃度が0.1〜40重量%である請求項13に記載のワニス。
  15. 請求項1〜12に記載された液晶配向剤もしくは請求項13〜14に記載されたワニスより得られた液晶配向膜。
  16. 請求項15に記載された液晶配向膜を有する液晶表示素子。
  17. フッ素系液晶組成物を含有する請求項16に記載された液晶表示素子。
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