JP3882327B2 - 反強誘電性液晶表示素子用配向剤、該配向剤を用いた配向膜、及び該配向膜を有する反強誘電性液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反強誘電性液晶分子の配向性に優れた、液晶表示素子に関するものである。特に、反強誘電性液晶表示素子用の配向膜、及びこの配向膜用の配向剤を提供するものである。
【0002】
【背景技術】
従来の液晶表示素子はネマチック液晶を用いた表示素子が殆どである。
ネマチック液晶表示素子と比較して反強誘電性液晶表示素子の大きく異なる特徴は、極めて早い応答速度と広い視野角特性を有する点にある。従って、反強誘電性液晶表示素子は、ネマチック液晶表示素子では達成出来ない新たな表示素子としての期待が持たれている。ネマチック液晶表示素子と比較して強誘電性液晶表示素子の大きく異なる特徴は、極めて早い応答速度とメモリー性を有する点にある。しかし、現時点においては、強誘電性液晶及び反強誘電性液晶表示素子とも、殆ど実用化されていない。
強誘電性液晶及び反強誘電性液晶は層構造を有しているので、通常のネマティック液晶と比較して、均一な配向を得ることが難しく、また液晶表示素子の厚み(セルの厚み)がネマチック液晶表示素子に比べて薄い事によりセル厚の不均一性が表示斑に大きく影響する等の問題がある。
配向性が悪い事の弊害として、表示画面に配向状態の異なるドメインが現れ、画面が見づらくなる。あるいは、電界の印加に対して、コントラストが小さくなる等の問題が発生する。
強誘電性液晶の場合は、カイラルスメクチックC相よりも高温側にスメクチックA相及びネマチック相を有する液晶材料を用い、ネマチック相の状態まで昇温して液晶分子を配向させ、その状態から徐々に温度を下げて、スメクチックA相を経てカイラルスメクチックC相にすることで好ましい配向状態とする方法が行われている。一方、反強誘電液晶材料においては、今のところカイラルスメクチックCA相(反強誘電性液晶相)より高温側にネマチック相を有する液晶性化合物が見いだされていないので、液晶分子の配向が一層困難である。
強誘電性液晶用の配向膜の形成には、種々の方法が試みられている。例えば、真空蒸着法による無機化合物薄膜あるいは有機化合物薄膜の形成方法、ラングミュアブロジェット法(LB膜形成法)による薄膜の形成方法、あるいは、ポリイミド薄膜をラビング処理や光照射処理する方法等である。これらの中で、真空蒸着法やLB膜形成法は作業性に難点があり、せん断力による方法や温度勾配法は、配向性の持続性に難点がある。、ポリイミド膜をラビング処理して配向膜とする方法は、ネマチック液晶表示素子の作成方法として工業的に実施されている方法であり、作業性も良く、反強誘電性液晶表示素子においても最も現実的な方法であると考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況にある反強誘電性液晶の配向性を向上させる事を目的とするものであり、ひいては、モノドメインを有する優れた反強誘電性液晶表示素子を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような点に鑑み、ラビング処理によるポリイミド配向膜用のポリイミドの分子構造に注目して鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、式(1)で表される繰り返し単位を有する、ポリイミド前駆体あるいは該前駆体を部分イミド化したポリマーを溶剤に溶解した配向剤(以下単にワニスということがある)を電極付き基板に塗布し、加熱により溶剤除去、脱水・閉環してイミド化した後、ラビング処理を施して配向膜とする事により、配向性に優れた反強誘電性液晶素子を提供するものである。
【0005】
【化3】
【0006】
(式中、Xは芳香族テトラカルボン酸残基を示し、Yは下記式(2)で表されるジアミン残基を示す。)
【化4】
(式中、Rは水素、又はメチル基を示す。)
上記式(1)で表されるポリアミド酸はネマチック液晶表示素子の配向膜用ポリイミドの原料として知られているが、このポリアミド酸又はその部分イミド化ポリマーをイミド化した配向膜が反強誘電性液晶に対しても優れた配向性能を有することは知られていない。
【0007】
Xで表される芳香族テトラカルボン酸残基を与える好ましい化合物として、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及びナフタレンテトラカルボン酸二無水物を例示できる。
又、本発明の効果を損なわない限りにおいて、これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物の一部を他の芳香族テトラカルボン酸、脂環式テトラカルボン酸、脂肪族テトラカルボン酸あるいは、シロキサン系テトラカルボン酸等で置換する事も可能である。
【0008】
そのような他のテトラカルボン酸として、下記の化合物が例示できる。
3、3’、4、4’ージフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2、3、6、7ーナフタレン酸無水物等のナフタレン酸二無水物、3、3’ー4、4’ービフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルスルフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;
エチレンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ(2,2,2)−オクト(7)−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ビシクロヘキシル−1,1’,2,2’−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2,−c]−フラン−1,3−ジオン、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、等の脂肪族及び脂環族テトラカルボン酸二無水物。
これらの酸二無水物による置換量は、好ましくは50モル%以下である。これらのテトラカルボン酸が50モル%を越えると反強誘電性液晶分子の配向が阻害されやすくなる。
【0009】
式(2)で示されるジアミン残基を与える化合物として下記の化合物が例示できる。
4、4’−ジアミノ−ジメチルジフェニルエタン、4、4’−ジアミノ2、2’−ジメチルジフェニルエタン4、4’−ジアミノ3、3’−ジメチルジフェニルエタン、4、4’−ジアミノ2、3’−ジメチルジフェニルエタン。
これらのジアミンはそれぞれ単独で使用することもできるが、2種類以上を混合して使用することもできる。又、本発明の効果を阻害しない範囲内において、上記のジアミンの一部を他の芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、シロキサン系ジアミン等のジアミンに置換することができる。その置換量は好ましくは、50モル%以下に抑えるべきである。50モル%を越えると反強誘電性液晶分子の配向性が阻害されやすくなる。更に好ましくは、30モル%以下である。
【0010】
上記のジアミンと置換することのできる他のジアミンとして、下記の化合物が例示できる。
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−エチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−プロピルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−ペンチルシクロヘキサン、ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−エチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−nプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−nブチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−nペンチルシクロヘキサン、4,4’−パラアミノフェノキシ−ビフェニル1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−エチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−プロピルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−ペンチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−ヘキシルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−へプチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−オクチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン。
【0011】
更に、これらのテトラカルボン酸二無水物及びジアミン以外にポリアミド酸の反応末端を形成する、モノアミン化合物、又は、/及び、モノカルボン酸無水物を併用する事も可能である。基板への密着性を良くするために、アミノシリコン化合物またはジアミノシリコン化合物を導入することも出来る。
アミノシリコン化合物としては、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ジアミノシリコン化合物としては、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,1−テトラフェニルシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,1−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)−1,1,1−テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、より具体的に本発明の実施の形態を述べる。
式(1)の繰り返し単位は、芳香族テトラカルボン酸二無水物及び4、4’ージアミノジフェニルエタン、4、4’ージアミノ3、3’ージメチルジフェニルエタン、あるいは、4、4’ージアミノ2、2’ージメチルジフェニルエタンを反応させる事により得る事が出来る。
又、本発明のポリマーに他の構造のポリマーを混合して用いる事も出来るが、この場合でも、本発明のポリマーが主成分になる事が必要である。好ましくは、60%以上、更に好ましくは、80%以上本発明のポリマーを含有する事が好ましい。ここに他の構造のポリマーとは、他のポリアミド酸、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルアミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルアミド、ポリエステルイミド、ポリアミド等を挙げる事が出来る。
【0013】
本発明で用いられる反強誘電性液晶表示素子用配向剤は、式(1)で示されるポリアミド酸またはその部分イミド化物を溶剤に溶解したワニスであり、その濃度が0.1ー40重量%の範囲のモノが好ましく、さらに好ましくは、0.5ー20重量%である。ポリマー濃度が、0.1%以下では、配向膜としての膜厚が薄くなりすぎて好ましくない。濃度が10%以上のワニスでは、これを直接塗布すると膜厚が厚くなりすぎるきらいがあるので、使用時に適宜希釈する。更に、40%以上では、粘度が高すぎて、希釈に用いる溶剤とうまく混合出来ない等の弊害が出てきて好ましくない。ワニスに使用される溶剤は、ポリアミド酸あるいは可溶性ポリイミドの溶剤として通常使用されている下記の溶剤を使用する事が出来る。ポリアミド酸に対して親溶剤である、Nーメチルー2ーピロリドン(NMP)、ジメチルイミドゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、N,Nジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、及びγ−ブチルラクトン等の非プロトン性極性有機溶剤;塗布性改善などの目的で、乳酸アルキル、3−メチル,3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノアルキルエーテル(エチレングリコールモノブチルエーテル等)、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(ジエチレングリコールモノエチルエーテル等)、エチレングリコールモノアルキル又はフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエステル等)、マロン酸ジアルキル(マロン酸ジエチル等)等の表面張力の低い溶剤。本発明のワニスには、イミド化を促進する等の目的で触媒を添加する事も可能であり、更に、塗布性を改良する等の目的で界面活性剤を配合すること、帯電防止の目的等で帯電防止剤を配合すること、更に、基板との密着性を向上させる為にシランカップリング剤あるいはチタン系のカップリング剤を配合することも出来る。
以 上
【0014】
これらの溶剤で溶解されたワニスを液晶配向素子を形成する基板へ塗布する方法として、スピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法等の通常使用されている方法が使用可能である。
ワニスを塗布した後は、比較的低温で溶剤を蒸発させた後、150ー300゜C程度の温度で加熱処理する事が好ましい。これら溶剤の乾燥や脱水・閉環反応に要する加熱処理には、オーブン、ホットプレート、赤外線炉等の、通常ポリアミド酸のイミド化に使用している方法で実施する事が可能である。
本発明は、反強誘電性液晶表示素子用配向膜として好ましく用いられるが、ブックシェルフ型配列を有する強誘電性液晶表示素子用配向膜としても使用する事が出来る。
【0015】
【実施例】
以下に、ポリアミド酸の合成に用いたテトラカルボン酸二無水物及びジアミンとその略号を記載する。
[酸二無水物]
ピロメリット酸 :PMDA
シクロブタンテトラカルボン酸二無水物 :CBDA
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 :BPDA
[ジアミン]
4,4’ージアミノジフェニルエタン :DPE
4,4’ージアミノー3、3’ージメチルージフェニルエタン:DMDPE
4,4’ージアミノジフェニルメタン :DPM
2,2’ービス〔(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン:DPOP
【0016】
実施例1
(ポリアミド酸の合成)
温度計、攪拌機、及び窒素ガス導入口を備えた200ml三つ口フラスコにDPEを1.4797g(6.970mmol)、脱水NMP94.17gを入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。反応系の温度を10℃に保ちながらPMDAを1.5203g(6.970mmol)を添加し、反応温度を約60゜C以下に抑えて30時間反応させて、ポリマー濃度3%のポリアミド酸母液1を合成した。母液11の粘度は345mPa・s(E型粘度計を使用、25℃)であった。また、ゲルパーミエションクロマトグラフィ法により測定した結果、ポリアミド酸の重量平均分子量は32.7万であった。
(ワニスの調製)
上記の母液1にγーブチロラクトン及びブチルセロソルブを添加して、ポリアミド酸1.5%、NMP 48.5%、γーブチロラクトン 16.7%、ブチルセロソルブ 33.3%のワニス1を調合した。
【0017】
(セルの作成)
ITO(Indium Tin Oxide)電極付き基板2枚(30×40mm、30×30mm各一枚)のITO電極側にワニスをスピンナーで塗布し、80゜Cのホットプレート上で溶剤を乾燥し、更に、200゜Cにセットされたオーブン中で90分加熱処理した。30×30mmの基板のポリイミド膜の表面をレーヨン系の布でラビングして一軸配向処理を行った。2μのシリカスペーサーをラビング処理した基板側のポリイミド膜側に散布し、ラビング処理していない基板(30×40mm)のポリイミド膜側を内側にして組み合わせ、エポキシシール剤で周辺を部分的にシールして配向性評価用開放セルを作成した(ラビング処理していない基板のポリイミド膜面(10×30mm)が現れている)。
(配向性評価)
前記の開放セルのラビング処理していない基板のポリイミド膜上に反強誘電性液晶(CSー4001:チッソ(株)製)を滴下し、毛管現象でセル内へ浸透させた後、100゜Cにセットしたホットプレート上で加熱して、反強誘電性液晶をアイソトロピック相に転移させ、次いでセルを室温まで放冷した。
無電界時に直交ニコル下で暗黒状態になる位置にセルを設定し、+10V/μm又はー10V/μmの電界を印加した時の配向性を偏光顕微鏡下で観察した。その結果、無電界時では、全面的に暗視野状態であり、電界印加時においては全面的に明視野となる状態が観察された。又、液晶の配向方向の異なる領域を示すドメインは観察されなかった。
【0018】
実施例2
DMDPE3.1455g(13.087mmol)、脱水NMP91.25g、PMDA2.8545g(13.087mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリマー濃度6%のポリアミド酸母液2を合成した。母液2の粘度は980mPa・sであり、ポリアミド酸の重量平均分子量は18.4万であった。
得られた母液2に更に、NMP、γーブチロラクトン、ブチルセロソルブを添加して、ポリアミド酸1.5%、NMP 48.5%、γーブチロラクトン 16.7%、ブチルセロソルブ 33.3%のワニス2を調合した。
以下、実施例1と同様にして、解放セルを作製し、配向性の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0019】
実施例3
DPM0.9335g(4.708mmol)、DPE1.4992g(7.062mmol)、脱水NMP92.22g、PMDAを2.5673g(11.770mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリマー濃度5%のポリアミド酸母液3を合成した。母液3の粘度は285mPa・sであり、ポリアミド酸の重量平均分子量は30.1万であった。
得られ母液3に更に、NMP、γーブチロラクトン、ブチルセロソルブを添加して、ポリアミド酸1.5%、NMP 48.5%、γーブチロラクトン 16.7%、ブチルセロソルブ 33.3%のワニス3を調合した。
以下、実施例1と同様にして、解放セルを作製し、配向性の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0020】
実施例4
DPE2.5308g(11.92mmol)、脱水NMP92.22g、PMDA1.3002g(5.961mmol)、及びCBDA1.1690g(5.961mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリマー濃度5%のポリアミド酸母液4を合成した。母液4の粘度は450mPa・sであ
り、ポリアミド酸の重量平均分子量は38.8万であった。
得られ母液4に更に、NMP、γーブチロラクトン、ブチルセロソルブを添加して、ポリアミド酸1.5%、NMP 48.5%、γーブチロラクトン 16.7%、ブチルセロソルブ 33.3%のワニス4を調合した。
以下、実施例1と同様にして、解放セルを作製し、配向性の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0021】
実施例5
DPE:2.0956g(9.871mmol)、脱水NMP:92.22g、BPDA:2.9044g(9.872mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリマー濃度5%のポリアミド酸母液5を合成した。母液5の粘度は980mPa・sであり、ポリアミド酸の重量平均分子量は29.5万であった。
得られ母液5に更に、NMP、γーブチロラクトン、ブチルセロソルブを添加して、ポリアミド酸1.5%、NMP 48.5%、γーブチロラクトン 16.7%、ブチルセロソルブ 33.3%のワニス5を調合した。
以下、実施例1と同様にして、解放セルを作製し、配向性の評価を行った。
このセルは、実施例1と同様の性能を示した。
その結果を表1に示した。
【0022】
比較例1
DPE2.5990g(12.243mmol)、脱水NMP92.22g、及びCBDA2.410g(12.243mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリマー濃度5%のポリアミド酸母液6を合成した。母液6の粘度は220mPa・sであり、ポリアミド酸の重量平均分子量は25.0万であった。
得られ母液6に更に、NMP、γーブチロラクトン、ブチルセロソルブを添加して、ポリアミド酸1.5%、NMP 48.5%、γーブチロラクトン 16.7%、ブチルセロソルブ 33.3%のワニス6を調合した。
以下、実施例1と同様にして、解放セルを作製し、配向性の評価を行った。
このセルでは、電圧無印加状態において、液晶配向の異なるドメインが多く、全面が均一に暗視野にならなかった。
その結果を表1に示した。
【0023】
比較例2
DPM:2.3808g(12.008mmol)、脱水NMP:92.22g、PMDA:2.6192g(12.008mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリマー濃度5%のポリアミド酸母液7を合成した。母液7の粘度は190mPa・sであり、ポリアミド酸の重量平均分子量は18.2万であった。
得られ母液7に更に、NMP、γーブチロラクトン、ブチルセロソルブを添加して、ポリアミド酸1.5%、NMP 48.5%、γーブチロラクトン 16.7%、ブチルセロソルブ 33.3%のワニス8を調合した。
以下、実施例1と同様にして、解放セルを作製し、配向性の評価を行った。
DPEとDPMは構造的にかなり似ているが、意外にも配向性には効果がない事が判った。
の結果を表1に示した。
【0024】
比較例3
DPOP:3.2651g(7.954mmol)、脱水NMP:92.22g、PMDA:1.7349g(7.954mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリマー濃度5%のポリアミド酸母液8を合成した。母液8の粘度は685mPa・sであり、ポリアミド酸の重量平均分子量は40.5万であった。
得られ母液8に更に、NMP、γーブチロラクトン、ブチルセロソルブを添加して、ポリアミド酸1.5%、NMP 48.5%、γーブチロラクトン 16.7%、ブチルセロソルブ 33.3%のワニス8を調合した。
以下、実施例1と同様にして、解放セルを作製し、配向性の評価を行った。
DPOPとDPMは比較的構造が似ているが、意外にも配向性には効果がない事が判った。その結果を表1に示した。
【0025】
比較例4
ワニス1に代えて、PVAの1.5%水溶液を用い、焼成温度を150℃で60分行った以外は実施例1と同様の方法で解放セル25を作成し、以下実施例1と同様の方法で配向性を評価した。その結果は比較例1と同様であった。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】
実施例及び比較例から判る様に、ジアミン化合物として、DPE、あるいはDMDPEを用い、テトラカルボン酸二無水物にPMDA、あるいはBPDAを用いると、反強誘電性液晶分子は配向性が向上する。一方、類似の構造を有する4、4’ージアミノジフェニルメタンあるいはプロパンにおいては、このような優れた配向性は見られなかった。
Claims (5)
- 式(1)及び式(2)において、Xがフェニル基またはビフェニル基であり、Rが水素である請求項1に記載の反強誘電性液晶表示素子用配向剤。
- 式(1)及び式(2)においてXがフェニル基またはビフェニル基であり、Rがメチル基である請求項1に記載の反強誘電性液晶表示素子用配向剤。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の反強誘電性液晶表示素子用配向剤を塗布し、焼成して得られる反強誘電性液晶表示素子用配向膜。
- 請求項4に記載の配向膜を有する反強誘電性液晶表示素子。
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