JP6079150B2 - めっきによる貫通孔の銅充填方法 - Google Patents

めっきによる貫通孔の銅充填方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子回路基板、さらに詳しくは電子回路基板に開けて、基板の両面の回路を接続するために設けた銅金属で充填された貫通孔(スルーホール)の銅充填方法に関する。
昨今の電子回路基板では、高密度実装のため高精細の回路作製が行われている。回路の最小ライン/スペースは、20/20μmか、またはそれ以下まで微細化が進んでいる。このような高密度実装基板は、内部に回路の層を多数有しており、それらの層間はビアで接続される。このようなビアは、層間に開けられた孔を銅めっきで導電化して作製されるが、孔の壁面のみに銅を析出するのでなく、ビア内部を銅めっきで埋めるフィルドビア技術が用いられる場合がある。このフィルドビアは、ビアの表面をパッドとして利用でき、さらに直上にビアを設けるなどの利点がある。また、ビア内に絶縁体が含まれないことから、容量成分が含まれず、線路として利用する場合に伝送特性が良好である。これは、径に対してビア長が長い場合に顕著となる。
従来の有機樹脂を基材として使用したもののほかに、シリコン基板やガラス基板を用いた電子回路基板(インターポーザ)を使用する場合が増えてきている。これは、半導体チップを三次元的に積層するような高密度実装の場合に、放熱性がよいことや、半導体との熱膨張率差が小さいことによる実装性が向上すること、および、従来プロセスを用いて高密度の配線形成が行いやすいという利点によるものである。このようなシリコンインターポーザ、ガラスインターポーザでは、基板を貫通するビアを設けてその表裏面に回路を作製するが、特に伝送特性を考慮した場合には、そのビアには配線材料である銅が充填されていることが望ましい。
一般的に、銅で内部を充填されたビアは、ブラインドビアホールの内壁面を導電化して電気銅めっきを行うことで作製される。この電気銅めっきでは、めっき液中に促進剤と抑制剤からなる添加剤を含有させ、それらの働きによってブラインドビアホール内に銅めっきが優先的に析出して充填されるという効果が生まれる。促進剤としては、SPS(Bis−(3−sulfopropyl) disulfide)、抑制剤としては、PEG(Polyethyleneglycol)が代表的に使用される。この効果については、既に多くの研究が行われて添加剤のメカニズムが示されている。例えば非特許文献1、2に示されている。充填されたブラインドビアホールは、裏面から基板を研磨することで端部が露出して、貫通孔として利用される。
一方、基板にスルーホール形状の孔を開けておき、それを銅めっきで充填するという方法も取ることができる。この場合、裏面を研磨して電極端部を露出させるという工程が不要となり、有機材料やガラスなどの精密な研磨が困難な基板材料の場合では有用である。
スルーホールをめっきで充填する方法としては、特許文献1に開示されるようにスルーホールの形状を内部が狭くなるようなテーパ形状としたり、特許文献2に開示されるように表面および裏面から露出するスルーホールの重心軸を互いにずらしたネック部を有する形状とする手法がある。しかし、これらの手法では、孔の開け方が特殊であるため、生産性が悪く、また表裏面からの孔加工の精度管理が難しい。
特許文献3には、ガラス基板に設けたスルーホールの一方を金属で閉塞して、その部分から他方に向けてめっきで金属を堆積して孔内を充填する手法が開示されている。しかし、この手法では、一方を金属で閉塞するためのめっき工程では、孔径が大きい場合には閉塞させるために相当な時間がかかり、その面上に相当厚い金属が堆積してしまう。
特許文献4には、剥離層を形成した導電性基板の表面に貫通孔を有する基板を配し、めっき液中で貫通孔底面に露出した導電性基板をめっき電極として、電気めっき法により貫通孔内に金属を充填し、その後、導電性基板から貫通孔を有する基板を剥離する手法が開示されている。しかし、この方法では、基板間の密着性と剥離時に貫通孔内の金属の脱落の調整が困難である。
特許文献5には、銅張多層基板において、20〜100μm径の貫通孔をUVレーザで明け、次いで、無電解めっきおよび電気めっきで貫通孔内に銅めっきし、その後、電気めっきにより両孔壁からせり出しためっき析出層により孔中央部を閉鎖し、次いでリバースパルス電源による電気めっきを行い貫通孔内上下に残る空間を充填する手法が開示されている。しかし、この方法では、比較的アスペクト比が小さい銅張多層基板の貫通孔に適用できても、内層がなく、貫通孔が高アスペクト比のシリコンやガラス基板に適用すると孔中央部でめっき析出層がせり出すことが起こりにくい。
このように、スルーホールのめっき析出による充填方法は、いろいろと提案されているが、いずれも十分なものはない。
T.P.Moffat,D.Wheeler,M.D.Edelstein,D.Josell;IBM J.Res Dev.,49(Jan,2005) K.Kondo,T.Matsumoto,K.Watanabe; J.Electrochem.Soc,151(4)C250(2004)
WO2010−076875号公報 特開2012−060150号公報 WO2005−027605号公報 特開2003−188532号公報 特開2005−045046号公報
シリコンインターポーザやガラスインターポーザに設けられたスルーホールをめっきにより充填する方法としては、スルーホールのサイズや析出された銅の品質、そして、これまでの工業的実績を鑑みて、ブラインドビアホールに適用されているフィルドビア銅めっきを応用することが適切である。このフィルドビア銅めっきは、めっき液中に促進剤と抑制剤の両方を含み、それらの効果によってビアの埋め込みが可能となるプロセスである。しかし、そのままの概念でスルーホールに適用することは困難であり、それは理論的にも実験的にも支持される。
本願発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、サイズが孔径10〜100μm、孔長50〜1000μm、アスペクト比(長さ/径)1〜20である貫通孔を電気銅めっきで充填する方法を提供することにある。
具体的には、電気めっきプロセスで貫通孔を充填するため、基板の導電化のためのプロセスも蒸着やスパッタなどの乾式プロセスではなく、めっきプロセスを採用することが好適であるため、導電化プロセスも無電解めっきによるものを基本として、そのめっき析出メカニズムを考察し、そのメカニズムに基づいて実行される。
発明は、めっきによる貫通孔の銅充填方法である。この方法は、
表裏面を貫通して開けた貫通孔を有する基板であって前記貫通孔のサイズが孔径10〜100μm、孔長50〜1000μm、アスペクト比(長さ/径)1〜20である基板に対して、無電解めっきで前記基板の表裏面および前記貫通孔壁面にシード層を形成する工程と、この工程後の、前記貫通孔に電気銅めっきフィリングで銅金属を充填する工程を含み
前記貫通孔に電気銅めっきフィリングで銅金属を充填する工程が、順次連続した、(A)めっき開始段階、(B)貫通孔内部の優先析出段階、(C)貫通孔内部での析出接続段階、および(D)内部から表面へのフィリング段階を含み、
前記(A)めっき開始段階は、前記基板の表面めっき厚が1μmとなるまでの段階であり、この段階(A)は、めっき液を、銅濃度10〜30g/L、硫酸濃度150〜300g/L、電気伝導度0.4S/cm以上で、促進剤と抑制剤の両方を含有し、液温を常温またはそれ以下、液流を基板表面に対して平行流、電流を電流波形が直流、電流密度1A/dm 2 以下、アノードを含リン銅アノードまたは不溶解性アノードとする、めっき液組成およびめっき条件により実施され、
前記(B)貫通孔内部の優先析出段階は、前記貫通孔内部の最小間隙が0μmとなるまでの段階であり、この段階(B)は、めっき液を銅濃度10〜30g/L、硫酸濃度150〜300g/L、電気伝導度0.4S/cm以上、促進剤と抑制剤の両方を含有し、その濃度比率を時間の経過と共に徐々に変化させ、液温を常温またはそれ以下、液流を基板表面に対して両側から等速の垂直流、電流を電流波形パルスリバース、平均電流密度1A/dm 2 以下、アノードを不溶解性アノードとして、貫通孔内の液流をモニターする、めっき液組成およびめっき条件により実施され、
前記(C)貫通孔内部での析出接続段階は、前記貫通孔内部の接続部が貫通孔の孔長の1/4となるまでの段階であり、この段階(C)は、めっき液を銅濃度30g/L以上、硫酸濃度10〜100g/L、電気伝導度0.1S/cm以上、促進剤と抑制剤の両方を含有し、液温を常温またはそれ以下、液流を任意、電流を電流波形が直流またはパルスリバース、電流密度を1A/dm 2 以下、アノードを不溶解性アノードとする、めっき液組成およびめっき条件により実施され、
前記(D)内部から表面へのフィリング段階は、表面の窪みがほぼなくなるまでの段階であり、この段階(D)は、めっき液を銅濃度30g/L以上、硫酸濃度10〜100g/L、電気伝導度0.1S/cm以上、促進剤と抑制剤の両方を含有し、液温を30℃以上、液流を任意、電流を電流波形がパルスリバース、電流密度1〜5A/dm 2 、アノードを不溶解性アノードとする、めっき液組成およびめっき条件で実施される
ことを特徴とする。
発明は、上述のめっきによる貫通孔の銅充填方法の(A)めっき開始段階と(B)貫通孔内部の優先析出段階を同じ液中で連続的に実施することを特徴とする。
発明は、上記のめっきによる貫通孔の銅充填方法の(C)貫通孔内部での析出接続段階と(D)内部から表面へのフィリング段階を同じ液中で連続的に実施することを特徴とする。
本願発明によれば、本発明のめっきによる貫通孔の銅充填方法を用いることで、表面が導電化された基板の、サイズが孔径10〜100μm、孔長50〜1000μm、アスペクト比(長さ/径)1〜20である貫通孔を電気銅めっきで充填することができ、しかも、貫通孔の銅めっきによる充填性が向上され、従来法と比較すると、同じ時間であればボイドやシームなどの欠陥が少なく、同程度の品質狙いであれば、より生産性を上げるために時間を短縮したプロセス設計が可能となる。また、本願発明によれば、導電化方法として無電解めっきを用いた場合、乾式プロセスを用いないめっきによる一連の処理ができ、且つ、スルーホールをめっきで充填できるため、裏面を研磨して電極端部を露出させるという工程が不要となり、有機材料やガラスなどの精密な研磨が困難な基板材料の場合では非常に有用となり、使用の多様化を図ることができる。
本発明の一実施の形態に係るめっきによる貫通孔の銅充填方法を説明するために示した工程説明図である。 図1の銅めっきの充填過程における添加剤の作用を説明するために示した図である。 貫通孔の充填を含むセミアディティブ法による回路作製工程を説明するために示した図である。 パルスリバース電流波形を示した図である。
以下、本発明の実施の形態に係るめっきによる貫通孔の銅充填方法について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るめっきによる貫通孔の銅充填方法を示すもので、基材1は貫通孔2が設けられる(同図(a)参照)。ここで、電気銅めっきフィリングで銅金属を充填する工程の前段階として、無電解めっき3で基板表裏面および、貫通孔壁面にシード層を形成する(図1(b)参照)。ここで、貫通孔2内に電気銅めっきフィリングで銅金属を充填する銅めっきを施す工程に移行される。この工程では、4段階(A)〜(D)の作業を連続して実行し、貫通孔2内に銅めっき4を充填する(図1(c)〜(f)参照)。
ここで、電気銅めっきフィリングで銅金属を充填する工程における4段階(A)〜(D)の作業を実施するに先立ち無電解めっきで基板表裏面および、貫通孔壁面にシード層が形成される(図1(a)(b)参照)。
上記基板1としては、そのサイズが孔径10〜100μm、孔長50〜1000μm、アスペクト比(長さ/径)1〜20の貫通孔2が設けられる。その材料は、特に指定されないが、このようなサイズの孔を開けることのできるものとしては、シリコン、ガラス、および有機樹脂、金属(銅、ステンレス、ニッケル、アルミニウムなど)が挙げられる。導電性のあるシリコンや金属は、表面に酸化物層や有機膜層を付けることで絶縁性を持たせて使用する。絶縁性であるガラスや有機樹脂は絶縁処理を行わず、そのまま使用できる。
基板1への孔明け方法は、特に指定されないが、各基板材料と狙いの貫通孔2のサイズに対して最適な方法を用いる必要がある。シリコン基板に対しては、ドライエッチング法である深堀反応性イオンエッチング(D−RIE)がアスペクト比の高い貫通孔を設けるのに適当である。ガラスに対しては、レーザや放電加工が用いられる。有機樹脂にはレーザ、ドリル加工などが用いられる。金属に対してはドリル加工、ウェットエッチングなどが用いられる。
基板1に設けた貫通孔2の内部に銅めっき4を施した場合、回路基板として使用された時に加熱され、バイアスがかかった状態では、孔壁の材料に銅が拡散して絶縁特性を劣化させる場合がある。そこで、孔壁にはバリア層と呼ばれる薄膜層を設ける。例えば、シリコン基板の場合は、その表面に絶縁層としてシリコン酸化膜を熱酸化法または、CVD法で付け、その表面にTi、TiN、Ta、TaNなどの層をスパッタ法で付けることが一般的である。これにより、銅がシリコン酸化物に拡散することを妨げる。しかるに、本発明ではこのバリア層を形成する方法として、無電解ニッケルめっきを使用する。貫通孔2に対しては、ウェットプロセスである無電解めっきを使用することは、スパッタなどのドライプロセスよりも孔内の膜厚均一性の点で有利である。それは、ドライプロセスでは析出させる物質は、そのソースであるターゲットから孔口を通って孔内に供給させなければならないため、孔口近傍に厚く析出する傾向があるが、無電解めっき3では孔内にめっき液を十分な流量で供給することで、溶液中に含まれる成分を孔内面に均一に供給することができる。ブラインドビアホールでは、孔内に供給されためっき液の排出を同時に行うため、孔内での液流動の低下、成分の不均一化が起こりやすいが、貫通孔2では、そのような不具合が起こりにくい。そして、無電解ニッケルめっきで付けたバリア層は、十分厚くする(>300nm)ことで後続の電気めっきの給電層としても利用することができる。
本発明における上記無電解めっき3は、無電解ニッケルめっきが好ましい。無電解めっきを絶縁体表面に析出させるには、そのような表面に無電解めっき反応を開始させるための触媒処理を施す必要があり、物質としてはパラジウムが好適である。パラジウム触媒を付与する方法として、例えば次のような方法がある。
(1)パラジウム/すずコロイド溶液に基板1を浸漬する。
(2)パラジウム(II)塩水溶液に浸漬してパラジウム(II)イオンを吸着させた後、還元剤溶液に浸漬してパラジウム金属微粒子を付与する。還元剤としては、ジメチルアミンボラン、ナトリウムボロンハイドライド、スズ(II)などが選択できる。
なお、これらの浸漬処理の前には、基板表面へのパラジウムの吸着性を増進するため、界面活性剤溶液に浸漬して表面の帯電状態を変化させるとよい。
(3)基板表面にパラジウム(II)イオン錯化能を有するシランカップリング剤を付与した後、パラジウム(II)塩溶液に浸漬し、それを還元剤溶液に浸漬してパラジウム金属微粒子を付与する。還元剤としては、ジメチルアミンボラン、ナトリウムボロンハイドライド、スズ(II)などが選択できる。
触媒処理を施した基板表面に、無電解ニッケルめっき3を行う。無電解ニッケルめっき3は、ニッケル(II)塩、錯化剤、還元剤、pH調整剤、添加剤を含む溶液に浸漬してニッケル合金被膜を析出させる。一般的に無電解ニッケルめっき被膜は、ニッケルと還元剤由来の成分との合金になる。例えば、還元剤に次亜リン酸塩を用いると、Ni−P合金被膜が析出し、還元剤にジメチルアミンボランを使用するとNi−B合金被膜が析出する。めっき膜厚は、各成分の濃度、液温、およびめっき時間で調整する。前述のように、300nm以上に十分厚く析出させた無電解ニッケルめっき層は,後続の電気めっき層の給電層として利用できる。
次に、表面を導電化した貫通孔2内に銅を充填するための電気銅めっきを、順次連続する4段階(A)〜(D)の作業が、それぞれのめっき液組成およびめっき条件を表1に示すように調整して施される。
Figure 0006079150
(A)めっき開始段階(図1(c)参照)、表面めっき厚が1μmまでにおいては、
めっき液 : 銅濃度10〜30g/L、硫酸濃度150〜300g/L
電気伝導度0.4S/cm以上
促進剤と抑制剤の両方を含有
液温 : 常温またはそれ以下(<30℃)
液流 : 基板表面に対して平行流
電流 : 電流波形 直流、電流密度1A/dm以下
アノード : 含リン銅アノードまたは不溶解性アノード
このめっき開始段階は、表面めっき厚が1μmまでの段階であり、貫通孔に対して孔の内部と外部での膜厚差がなく、できるだけ均一となるように銅めっきを析出させる必要がある。貫通孔におけるめっき厚均一化には、液の電気伝導度を高くすることが必要であるため、この段階では0.4S/cm以上の電気伝導度を有するめっき液とする必要がある。そして、これは、銅濃度10〜30g/L、硫酸濃度150〜300g/Lとすることで実現できる。電気伝導度が高い液を使用することで貫通孔の内部、特に中央部の膜厚が薄くなることを抑制できる。これは、液の電気伝導度が高いほど貫通孔の内部に電流線が浸透しやすくなるためである。しかし、めっき厚均一化のためには、電気伝導度の向上のみならず、添加剤である促進剤と抑制剤の寄与も必要である。これらは、その吸着作用によって、膜厚の不均一性を緩和する効果を持つ。また、さらに薄いシード層がめっき液中の酸により溶解して欠陥を生じないようにする必要があるため、定電圧設定で液に投入し、全て浸漬された後に電流密度を1A/dmを超えない範囲で増大させる。
(B)孔内部の優先析出段階(図1(d)参照)、孔内部の最小間隙が0μmまでにおいては、
めっき液 : 銅濃度10〜30g/L、硫酸濃度150〜300g/L
電気伝導度0.4S/cm以上
促進剤と抑制剤の両方を含有し、その濃度比率を時間の経過と共
徐々に変化。
液温 : 常温またはそれ以下(<30℃)
液流 : 基板表面に対して両側から等速の垂直流
電流 : 電流波形 パルスリバース、平均電流密度1A/dm以下
アノード : 不溶解性アノード
モニター : 孔内の液流をモニターする
この孔内部の優先析出段階は、貫通孔内部において孔口に近い部分よりも優先的な銅めっき析出を行わせ、孔内部での最小間隙が0μmになるまでの段階である。この段階では、貫通孔内部への電流線の浸透を促すことに加え、孔内部での促進剤の働きを強化することで、貫通孔の内部での優先的な銅めっき析出を行う。そのためには、段階(A)の場合と同様に電気伝導度の高い液を使用することに加え、促進剤の関連成分を孔の内部で生成させ、かつ孔内に残存させる。ここで、促進剤の関連成分とは、めっき析出反応が起こっている表面で銅イオンとの作用により生成するCu(I)錯体であり、これがめっき反応の活性化エネルギーを下げて反応を促進させる物質である。この物質の局部的な濃度が高い部分でめっきの優先析出が起こり、その局部的な濃度はめっき液中の抑制剤との相互作用によって部位によって変化する。抑制剤は、液流の影響が強い表面部で供給されやすく、そこでは促進剤と置換される。一方、ブラインドビアホールなどの液交換が起こりにくい部分では、この物質はめっき時間の経過と共に孔内に蓄積するため、ボトムアップ析出が起こる。貫通孔においても、この物質の孔内濃度を孔外部に比較して相対的に高めるために、銅イオンの供給を妨げない状態を保ちつつ、孔内では液交換が起こりにくい状態を作り出す。そのため、基板表面に対して両側から等速の垂直流を与える。
(C)孔内部での析出接続段階(図1(e)参照)、孔内部の接続部が孔長の1/4までにおいては、
めっき液 : 銅濃度30g/L以上、硫酸濃度 10〜100g/L
電気伝導度0.1S/cm以上
促進剤と抑制剤の両方を含有
液温 : 常温またはそれ以下(<30℃)
液流 : 任意
電流 : 電流波形 直流またはパルスリバース、電流密度1A/dm以下
アノード : 不溶解性アノード
この孔内部での析出接続段階は、段階(B)で孔内部の最小間隙が0μmになった後、孔内部で両壁面から成長して合わさった銅めっき層の接続部が孔長の1/4になるまでの段階である。この間はその接続部にボイド(局所領域に物質が存在しない空隙)やシーム(素材のキズ起因でめっき表面に線状の凹凸として現れたもの)などの欠陥が入らないように、めっき液組成やめっき条件を設定する。ここでは、段階(B)で、貫通孔内部の一部が接続しているため、貫通孔内部への電流線の浸透よりも、孔内への銅イオン供給を促すことを重視すべきである。したがって、めっき液の電気伝導度よりも、液中銅濃度を高めた銅濃度30g/L以上、硫酸濃度10〜100g/L、電気伝導度 0.1S/cm以上のものが好適である。銅濃度、硫酸濃度とも高めることは、液中の塩の溶解度の点で不能であるため、優先する機能により使い分けるものである。ここでも、めっき液中には促進剤と抑制剤が含まれ、その作用によって孔内部での銅めっきの優先析出が行われる。
(D)内部から表面へのフィリング段階(図1(f)参照)、表面の窪みがほぼなくなるまでにおいては、
めっき液 : 銅濃度30g/L以上、硫酸濃度10〜100g/L
電気伝導度0.1S/cm以上
促進剤と抑制剤の両方を含有
液温 : 30℃以上(30〜65℃)
液流 : 任意
電流 : 電流波形 パルスリバース、電流密度1〜5A/dm
アノード : 不溶解性アノード
この内部から表面へのフィリング段階は、孔の内部から析出した銅めっきがボトムアップ析出して表面の窪みがほぼなくなるまで行われる。段階(C)で孔の内部が接続し、基板の両面に対してブラインドビアホールが形成された形態であり、この段階(C)と同様の液中銅濃度を高めた銅濃度30g/L以上、硫酸濃度10〜100g/L、電気伝導度0.1S/cm以上のめっき液が好適である。しかし、段階(C)は、接続部にボイドやシームなどの欠陥が入らないようにすることを重視するのに対し、この段階では、なるべく迅速に孔内を充填してしまうことを重視する。そのため、拡散による孔内への銅イオンの供給をさらに増進するため、液温を30℃以上、好ましくは30〜65°Cに上げる。まためっきの電流波形はパルスリバースとする。これにより、リバース電流時に析出した銅の表面が溶解し、表面に存在する促進剤との作用でCu(I)錯体が生成されるため、めっき析出の局部的な促進ができる。
以下に、表1に示す各段階(A)〜(D)における各因子の変化による影響について説明する。
(めっき液組成)
銅めっきの膜厚の均一性は、その部位に対する銅イオンの供給度合いと電流分布によって変化する。銅イオンの供給は、電流分布によって決まるその部位の電流密度に対して十分な量であればよいが、不十分であれば不均一性が増す。銅濃度は高い方が拡散速度が高くなり、めっきされる面への銅イオンが供給されやすくなる。部位に対する銅イオンの供給は、孔の内部のような液流が増やせない部位では、銅イオン供給は拡散による度合いが大きくなるため、銅濃度は高い方が有利である。硫酸濃度は高い方がめっき液の電気伝導度が高くなり、これにより貫通孔の孔口と孔内部のめっき付き回りは改善できる。しかし、電気銅めっき液では硫酸濃度が高くなると銅(II)塩濃度の溶解度は低下するため、硫酸濃度を大きくして電気伝導度を上げるには、銅(II)塩濃度は硫酸濃度に合わせて下げる必要がある。このように、銅濃度/硫酸濃度の比は、部位に対する銅イオンの供給度合いと電流分布に直接的に影響するので、孔内のめっき均一性に大きな影響を与える。ところが、その寄与の現れ方に関しては貫通孔とブラインドビアホールでは大きく異なる。貫通孔に対しては、めっき液の電気伝導度を高めること、一方でブラインドビアホールに対しては、液中の銅濃度を高めることが、相対的に孔内めっき厚均一化に対する寄与が大きい。本発明では、貫通孔のめっき充填において孔の形状は変化し、それに伴って相対的に影響度の高い因子が変わることが見出されたことにより完成されたものである。
(電気伝導度)
電気伝導度は、めっきにおける電流分布の大きな影響因子であるため、めっき膜厚に大きく影響する。前述のようにめっき液の主成分である銅/硫酸の濃度比が電気伝導度に影響するほか、めっき液の液温も影響し、温度の上昇によって電気伝導度は増大する。
(添加剤)
本発明では、促進剤と抑制剤が共に添加剤として配合されためっき液を使用する。促進剤としては、ビス(3−スルフォプロピル)ジスルフィド(以下「SPS」と略称する)が主に使用でき、濃度は0.001〜10mg/Lが適当である。この他の促進剤としては、2硫化ビススルフォ二ナトリウム、2硫化ビス(2−スルフォエチル)二ナトリウム、2硫化テトラメチルチウラム、2硫化テトラエチルチウラムなどが使用できる。抑制剤としては、ポリエーテル化合物が使用でき、好ましくは、ポリエチレングリコール(以下「PEG」と略称する)(分子量200〜10000)、または、PEGとポリプロピレングリコールの共重合体(分子量400〜10000)が適当である。濃度は0.1〜100mg/Lが適当である。また、この電気銅めっき液には、上記の成分以外に、主にめっき表面の光沢度等の要求に応じて、他の添加剤として、ヤヌスグリーンB、第3アルキルアミンとポリエピクロルヒドリンからなる第4アンモニウム塩付加物、ポリアルキルエチレンイミン、アミド化合物なども使用される。もちろん、市販の添加剤も使用することができる。例としては、Cu−BriteTF II(荏原ユージライト製)、トップルチナTHF(奥野製薬製)などが挙げられる。
微小な孔内に銅めっきが充填されるのは、促進剤と抑制剤の孔の内外での働きの違いによるものと解釈されている。図2は、この充填過程における添加剤の作用を示したものであり、文献(T.Okubo,K.Watanabe,K.Kondo;Technical Digest of 3D−SIC 2008,p105(2008))に記載されている。
すなわち、孔の外部では抑制剤が、孔の内部では促進剤がより働き、内部の析出速度が外部よりも大きくなる。添加剤の働きにこのような相違が生じることついては、カソード反応の過程で副生成物として生成したCu(I)錯体が孔内に蓄積し、それ自体が促進剤として働くものと考えられる。これは、図2(a)に示す(x)において銅が析出する全面でCu(I)錯体が生成され、次に同図(b)に示す(y)において孔内ではCu(I)錯体が蓄積するのに対し、孔外では液流によって抑制剤と置換することによって、孔内外のCu(I)錯体の濃度、すなわち、析出促進度の差が大きくなり、次に、図2(c)に示す(z)において孔内の優先的析出が起こるものと考えられている。
(液温)
液温を上昇させることは、めっき液の電気伝導度を増大させることと、銅(II)塩の溶解度を上げられることによって銅イオンの拡散を促すことができるため利点がある。その一方、めっき液による腐食速度も大きくなり、特にめっきの初期(段階(A))ではめっきする基材が液中に投入された瞬間に、表面の薄い無電解ニッケルめっき膜が溶解してボイドなどの欠陥になる可能性が高くなる。そこで、段階(A)ではめっき液の温度は、30℃以下に下げて、このような欠陥の発生を抑えることが望ましい。しかし、段階(D)では、既に銅めっき層が厚くなっているため、銅めっき速度を増大させるために液温を上げることが可能である。なお、液温の向上は、銅イオンの拡散速度を上げるだけでなく、添加剤の拡散速度や吸着能も向上するため、添加剤濃度は温度の上昇と共に低減させるとバランスがよい。これは、温度上昇時には不溶解性アノードを用い、添加剤を補給せずに使用することで実質的に可能である。添加剤の消耗速度は、アノードの面積や電流で調整が可能である。段階(B)ではこのようにして、添加剤成分組成を変化させる。
(液流)
液流の効果は、液の成分である銅イオンや添加剤を強制的にめっき部位に運ぶことである。しかし、微小な孔などでは液流は内部まで浸透せず、孔内外で生じる濃度勾配による拡散によって孔内に移動する。液流が十分であれば、孔の入り口近傍での濃度減少はなくなるため、相対的に孔内への拡散を促すことができる。貫通孔のめっきによる充填では、還元析出される銅イオンは、十分に供給される必要があるため、孔入り口近傍では十分な液流を与える必要がある。一方、前述の添加剤の作用メカニズムより、孔外では抑制剤の供給を十分に行う必要があるが、孔内ではCu(I)錯体を蓄積させることが望ましい。ブラインドビアホールでは、孔表面で比較的強力でも孔内部まで液流が及ぶことはない。しかし、貫通孔の場合では、孔内部で液が流動して、Cu(I)錯体が蓄積されにくい状況が生じる。そこで、段階(B)においては、基板表面に対して両側から等速の垂直流を与えることで、孔入り口近傍では十分な液流を与え、かつ、孔内部で液が流動しにくい状況を作る。
(電流密度)
電流密度は、めっきの析出速度と比例する。全体の析出速度を高くして生産性を上げるには、電流密度を大きくする。しかし、析出された銅めっきの外観や特性も電流密度によって変化するので、品質の良好な銅めっき物を得るには、適切な電流密度範囲を選択する必要がある。また、電流密度は、被めっき物表面上で均一ではなく、めっき槽内での位置、部位や形状、および添加剤の影響などによって分布が生じる。一般的に、電流密度が低い方が分布は小さくすることができる。このように、電流密度は、目的によって適宜調整する。本発明においては、段階(A)〜(C)では、めっきの分布をできるだけ小さくすることが必要であるため、電流密度は<1A/dmと小さくするが、段階(d)ではなるべく迅速に孔内を充填してしまうことを重視し、拡散による孔内への銅イオンの供給をさらに増進するため、液温を30℃以上に上げているために電流密度の増大が可能となる。
(電流波形)
多くの場合、電気めっきは直流電流で行われるが、めっき品質の改善の目的でパルス電流やパルスリバース電流が用いられる。本発明においても、段階(B)〜(D)ではパルスリバース電流を用いることが望ましい。これは、リバース電流時に一旦析出した銅を溶解させると、その溶解の過程で生じたCu(I)錯体の表面濃度が高まり、特に孔内部での優先析出性を向上できるためである。しかるに、段階(A)では、銅析出層が薄いため、リバース電流時に銅層の溶解が不均一な状態で起こると、部分的なボイドが生じる可能性があるため、この表面めっき厚が1μmまでの段階では直流を用いる方がよい。
(パターン形成)
本発明の対象となる電子回路基板では、貫通孔の充填を行った後、表層面に回路パターンを作製する。その方法としては、サブトラクティブ法とセミアディティブ法があり、それぞれ図1および図3に示す。サブトラクティブ法では、貫通孔の充填のための銅めっきと同時に表層全面にも銅層が析出され、それをエッチングで回路パターン作製する。エッチングの前にレジスト塗工→露光→現像といった方法でパターンを形成し、ウェットエッチングで銅を溶解すると、レジストで覆われた部分の銅が残り回路が形成される。
一方、セミアディティブ法では、図3に示すように、無電解めっきによるシード層形成をしてから表層にめっきレジスト5を形成し、貫通孔の充填のためのめっきを行い(同図(a)〜(f)参照)、充填された後にレジスト5を剥離、そして、シード層のウェット処理によるクイックエッチングで回路を作製する(同図(g)(h)参照)。なお、ここでは、本発明の貫通孔の充填めっきと同時に表層に銅パターン形成のための銅膜形成することを示したが、銅めっきによる貫通孔2の充填を行ったあと、表層の銅層は全て除去し、そして改めて表層に回路パターンを形成するという方法を取ることもできる。また、表層の回路パターン形成と絶縁層形成を繰り返すことで多層の回路パターンを形成できる。この場合の絶縁層としては、酸化シリコン、有機樹脂が使用でき、上下層間の接続はビア孔を作って銅めっきで接続する方法で行われる。
このようにして、基板に設けた孔径10〜100μm、孔長50〜1000μm、アスペクト比(長さ/径)1〜20である貫通孔を電気銅めっきで充填し、それによって表裏の回路を接続する電子回路基板を作製できた。本発明の方法を用いることで貫通孔の銅めっきによる充填性が向上し、従来法と比較すると、同じ時間であればボイドやシームなどの欠陥が少なく、また、同程度の品質狙いであれば、より生産性を上げるために時間を短縮したプロセス構築が可能となる。
次に、貫通孔の銅めっきによる充填性に関して、本発明による充填方法と従来法を比較検討する。
2種の貫通孔を銅めっきで充填することを試みた。ここでは、サンプル(a)として熱酸化法で500nmの酸化層を形成したシリコン基板に孔径20μmの孔をD−RIEで開け、100μm厚さまで裏面から研削して貫通孔を形成した(アスペクト比5)。また、サンプル(b)として400μm厚さのガラス基板に孔径50μm(アスペクト比8)の貫通孔を設けた。
20mm角に切断したこれらのサンプル(a)、(b)に無電解Niめっき処理によるシード層を形成した。その方法は、前処理として、基板表面にシランカップリング剤(TAS:3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリメトキシシラン)を付与した後、塩化パラジウム(II)0.2g/L溶液に浸漬し、さらにそれをジメチルアミンボラン0.075mol/L溶液に浸漬してパラジウム金属微粒子を付与した。前処理後の基板を次の組成の無電解Niめっき液に浸漬し、約300nm厚さの無電解Ni−B合金めっき層を析出させた。
クエン酸 0.3mol/L
硫酸ニッケル 0.15mol/L
ジメチルアミンボラン(DMAB)0.075mol/L
(TMAHにてpH=9に調整)
液温 80℃、時間 5分
前記のようにして作製された、無電解Niめっきシード層付きのサンプルの貫通孔に対し電気銅めっきによる充填を行った。電気銅めっき液として(1)〜(3)の3種を用意した。
(1) 硫酸銅 64g/L (銅として 16g/L)
硫酸 220g/L
塩素 30mg/L
添加剤 SPS 2mg/L、PEG 600mg/L
電気伝導度 0.62S/cm
(2) 硫酸銅 240g/L (銅として 80g/L)
硫酸 50g/L
塩素 30mg/L
添加剤 SPS 2mg/L、PEG 600mg/L
電気伝導度 0.15S/cm
(3) 硫酸銅 100g/L (銅として 25g/L)
硫酸 150g/L
塩素 30mg/L
添加剤 SPS 2mg/L、PEG 600 mg/L
電気伝導度 0.31S/cm
これらの液を用いて表2の条件で2種のサンプル(a)、(b)に対してめっきを行った。表2中の「めっき液」の欄は、上記(1)、(2)、(3)の各液を示す。「めっき条件」は、概ね表3に示す標準のめっき条件とし、これに対して変更を加えた場合は表2の「めっき条件」の欄に記述している。なお、パルスリバース電流は、図4に示す(1a)〜(3a)の波形で定義され、ごく短い時間での順電流(還元電流)、逆電流(酸化電流)、静止(電流停止)の周期を繰り返す。パルスリバース電流の標準条件は、表4に示す。
Figure 0006079150
Figure 0006079150
Figure 0006079150
実験の結果は、表2に示すように孔内の充填性を、断面観察(n=10)によって評価した。実施例1〜4では、完全充填されているが、比較例1〜7では、いずれも孔内にボイドやシームが発生している。その発生機構は、それぞれ異なるが、銅めっきが孔口の方で析出しやすい場合は、孔内の優先析出が行われずに孔口が塞がり、内部にボイドが残る。また、壁面からコンフォーマル析出する傾向が強い場合には、孔の中心部にシームが残る傾向が見られた。
このように、上記めっきによる貫通孔の銅充填方法は、基板に設けた貫通孔に対して、無電解めっきで基板表裏面および、貫通孔壁面にシード層を形成した後、貫通孔に電気銅めっきフィリングで銅金属を充填する工程において、順次連続されるめっき開始段階、孔内部の優先析出段階、孔内部での析出接続段階、内部から表面へのフィリング段階におけるめっき液組成およびめっき条件を、段階毎に調整するようにした。
これによれば、表面が導電化された基板のサイズが孔径10〜100μm、孔長50〜1000μm、アスペクト比(長さ/径)1〜20である貫通孔を電気銅めっきで充填することができる。また、貫通孔の銅めっきによる充填性が向上し、従来法と比較すると、同じ時間であればボイドやシームなどの欠陥が少なく、同程度の品質狙いであれば、より生産性を上げるために時間を短縮したプロセス設計が可能となる。さらに、導電化方法として無電解めっきを用いていることにより、乾式プロセスを用いないめっきによる一連の処理ができる。そして、スルーホールをめっきで充填できるため、裏面を研磨して電極端部を露出させるという工程が不要となり、有機材料やガラスなどの精密な研磨が困難な基板材料の場合、非常に有用な効果が期待される。
なお、本発明は、上記実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより、種々の発明が抽出され得る。
例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
本発明によれば、表面が導電化された基板の、サイズが孔径10〜100μm、孔長50〜1000μm、アスペクト比(長さ/径)1〜20である貫通孔を電気銅めっきで銅を充填することができる。
1 … 基板
2 … 貫通孔
3 … 無電解めっきオーバーコート層
4 … 銅めっき
5 … レジスト

Claims (3)

  1. めっきによる貫通孔の銅充填方法であり、前記方法は、
    表裏面を貫通して開けた貫通孔を有する基板であって前記貫通孔のサイズが孔径10〜100μm、孔長50〜1000μm、アスペクト比(長さ/径)1〜20である基板に対して、無電解めっきで前記基板の表裏面および前記貫通孔壁面にシード層を形成する工程と、この工程後の、前記貫通孔に電気銅めっきフィリングで銅金属を充填する工程を含み
    前記貫通孔に電気銅めっきフィリングで銅金属を充填する工程が、順次連続した、(A)めっき開始段階、(B)貫通孔内部の優先析出段階、(C)貫通孔内部での析出接続段階、および(D)内部から表面へのフィリング段階を含み、
    前記(A)めっき開始段階は、前記基板の表面めっき厚が1μmとなるまでの段階であり、この段階(A)は、めっき液を、銅濃度10〜30g/L、硫酸濃度150〜300g/L、電気伝導度0.4S/cm以上で、促進剤と抑制剤の両方を含有し、液温を常温またはそれ以下、液流を基板表面に対して平行流、電流を電流波形が直流、電流密度1A/dm 2 以下、アノードを含リン銅アノードまたは不溶解性アノードとする、めっき液組成およびめっき条件により実施され、
    前記(B)貫通孔内部の優先析出段階は、前記貫通孔内部の最小間隙が0μmとなるまでの段階であり、この段階(B)は、めっき液を銅濃度10〜30g/L、硫酸濃度150〜300g/L、電気伝導度0.4S/cm以上、促進剤と抑制剤の両方を含有し、その濃度比率を時間の経過と共に徐々に変化させ、液温を常温またはそれ以下、液流を基板表面に対して両側から等速の垂直流、電流を電流波形パルスリバース、平均電流密度1A/dm 2 以下、アノードを不溶解性アノードとして、貫通孔内の液流をモニターする、めっき液組成およびめっき条件により実施され、
    前記(C)貫通孔内部での析出接続段階は、前記貫通孔内部の接続部が貫通孔の孔長の1/4となるまでの段階であり、この段階(C)は、めっき液を銅濃度30g/L以上、硫酸濃度10〜100g/L、電気伝導度0.1S/cm以上、促進剤と抑制剤の両方を含有し、液温を常温またはそれ以下、液流を任意、電流を電流波形が直流またはパルスリバース、電流密度を1A/dm 2 以下、アノードを不溶解性アノードとする、めっき液組成およびめっき条件により実施され、
    前記(D)内部から表面へのフィリング段階は、表面の窪みがほぼなくなるまでの段階であり、この段階(D)は、めっき液を銅濃度30g/L以上、硫酸濃度10〜100g/L、電気伝導度0.1S/cm以上、促進剤と抑制剤の両方を含有し、液温を30℃以上、液流を任意、電流を電流波形がパルスリバース、電流密度1〜5A/dm 2 、アノードを不溶解性アノードとする、めっき液組成およびめっき条件で実施される
    ことを特徴とするめっきによる貫通孔の銅充填方法。
  2. 前記(A)めっき開始段階と前記(B)貫通孔内部の優先析出段階を同じ液中で連続的に実施することを特徴とする請求項1に記載のめっきによる貫通孔の銅充填方法。
  3. 前記(C)貫通孔内部での析出接続段階と前記(D)内部から表面へのフィリング段階を同じ液中で連続的に実施することを特徴とする請求項1または2に記載のめっきによる貫通孔の銅充填方法。
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