JP6076250B2 - 磁歪発電薄膜片の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁歪材料を用いて振動から電力を生成する磁歪発電薄膜片の製造方法に関する。
従来、身近な振動から発電を行うための技術の開発が盛んに行われており、その技術の1つとして圧電素子を用いた発電方法が知られている。
圧電素子を利用した発電方法の多くは、圧電素子に何らかの方法で外部から力を加えることにより、圧電素子を変形させて発電するものである。圧電素子を変形させるには、例えば、圧電素子に振動を加えて変形させる方法、風圧や音圧などの圧力を間接的に与える方法、錘などの物体を圧電素子に衝突させる方法、変形する物体に圧電素子を取り付ける方法などがある。
また、近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)によるセンサの小型化、省電力化が進んでおり、発電素子にもMEMS技術による小型化が求められている。
例えば、特許文献1では、音による空気の圧力変動を利用して圧電素子により発電する音力発電装置、および、振動による圧力変動を利用して圧電素子により発電する振動力発電装置が開示されている。
また、例えば、特許文献2では、2極に着磁されたバイアス磁石と、外部からの力を加えることで逆磁歪効果により透磁率が変化して磁束の流れが変化する磁歪材料と、磁歪材料を磁気的な異方性を有する方向に周期的に圧縮する圧縮手段と、この周期的に変化する磁束により電流を誘起するコイル手段とを備えた発電素子が開示されている。
特開2006−166694号公報 特開2008−72862号公報
しかしながら、特許文献1では、圧電材料は、脆性材料であり、曲げや衝撃に対して弱い材料である。そのため、過度な負荷を加えることができず、発電量を増加するために大きな曲げや衝撃を加えることが難しいという問題がある。また、圧電素子は、電気的に容量性の負荷であるため、低周波数でインピーダンスが高く、圧電素子より低いインピーダンスを有する負荷を繋いだときに、負荷に発生する電圧が小さくなるため、発電により得られる電力が小さくなり、発電の効率が低いという欠点を有している。
また、特許文献2では、上記特許文献1の欠点は解消できるが、当該発電素子は、MEMSによるセンサに搭載できるほど小型ではない。また、小型化で微細な部品の組み合わせにより、組立て作業やそれに関する設備が煩雑で緻密になることから、不良率が高くなる問題があるため、当該発電素子を量産することは困難である。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、小型化、量産が可能であり、かつ、曲げや衝撃にも強く、発電量が多い磁歪発電薄膜片の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係る磁歪発電薄膜片の製造方法は、振動から電力を生成する磁歪発電薄膜片の製造方法であって、磁歪薄帯を周回するコイルを構成する配線パターンのうち、前記磁歪薄帯の上面に対向する配線パターンである上面配線パターンを2つの樹脂層で挟んだ構造を有する上面フレキシブル基板を製作する第1製作工程と、前記コイルを構成する配線パターンのうち、前記磁歪薄帯の下面に対向する配線パターンである下面配線パターンを2つの樹脂層で挟んだ構造を有する下面フレキシブル基板を製作する第2製作工程と、前記磁歪薄帯を挟んで、前記上面フレキシブル基板と前記下面フレキシブル基板とを貼り合わせる貼り合わせ工程とを含み、前記貼り合わせ工程では、前記上面配線パターンと前記下面配線パターンとが、前記上面フレキシブル基板及び前記下面フレキシブル基板の周縁部に設けられた複数のスルーホールを介して電気的に接続されるように、前記上面フレキシブル基板と前記下面フレキシブル基板とを貼り合わせる。
また、本発明の他の形態に係る磁歪発電薄膜片の製造方法は、振動から電力を生成する磁歪発電薄膜片の製造方法であって、上面基板上に、平行に走る複数の配線パターンから構成される上面配線パターンを形成する上面配線パターン形成工程と、下面基板上に、平行に走る複数の配線パターンから構成される下面配線パターンを形成する下面配線パターン形成工程と、前記上面配線パターンと前記下面配線パターンとが内側になるように、前記上面基板と前記下面基板とで磁歪材料からなる磁歪薄帯の挟み込みを行う挟込工程とを含み、前記挟込工程では、前記上面配線パターンを構成する複数の配線パターンのそれぞれと、前記下面配線パターンを構成する複数の配線パターンのそれぞれとが、前記磁歪薄帯の側面近傍で接合されるように前記挟み込みを行う。
このような製造方法によって製造される一形態に係る磁歪発電薄膜片は、振動から電力を生成する磁歪発電薄膜片であって、磁歪材料からなる磁歪薄帯と、前記磁歪薄帯を周回する導電性の配線パターンから構成されるコイルと、前記磁歪薄帯と前記配線パターンとの間に介在する絶縁層とを備え、前記磁歪薄帯、前記コイル及び前記絶縁層を含む厚みが500μm以下のシート構造を有する。
これにより、磁歪発電薄膜片の小型化、量産が可能となる。また、圧電素子の代わりに磁歪薄帯を用いることによって、曲げや衝撃にも強い磁歪発電薄膜片を提供することができる。さらに、磁界中で磁歪薄帯を用いることによって、発電量が多い磁歪発電薄膜片を提供することができる。
ここで、前記コイルと前記絶縁層とは、前記磁歪薄帯を挟んで貼り合わされた上面フレキシブル基板と下面フレキシブル基板とから構成され、前記上面フレキシブル基板は、前記配線パターンのうち、前記磁歪薄帯の上面に対向する配線パターンである上面配線パターンを、2つの樹脂層で挟んだ構造を有し、前記下面フレキシブル基板は、前記配線パターンのうち、前記磁歪薄帯の下面に対向する配線パターンである下面配線パターンを、2つの樹脂層で挟んだ構造を有し、前記上面配線パターンと前記下面配線パターンとで前記コイルが構成されていてもよい。
これにより、磁歪発電薄膜片のコイルがフレキシブル基板で構成されるので、機械的な機構が最小化され、磁歪発電薄膜片の高耐久性(長寿命化)が実現される。また、フレキシブル基板は量産技術が確立された枯れた技術であるため、磁歪発電薄膜片の量産化が可能となる。さらに、フレキシブル基板の柔軟性を活かして、平面だけでなく、曲面に対しても磁歪発電薄膜片を取り付けることができ、設置の容易性と多様な応用性が実現される。
また、前記上面配線パターンは、前記磁歪薄帯の上面を横切る複数の直線状の配線パターンから構成され、前記下面配線パターンは、前記磁歪薄帯の下面を横切る複数の直線状の配線パターンから構成され、前記上面配線パターンを構成する複数の直線状の配線パターンと前記下面配線パターンを構成する複数の直線状の配線パターンとは、前記上面フレキシブル基板及び前記下面フレキシブル基板の周縁部に設けられた複数のスルーホールを介して電気的に接続され、前記上面配線パターンを構成する複数の直線状の配線パターンのそれぞれは、2つのスルーホールを介して、前記下面配線パターンを構成する複数の直線状の配線パターンのうちの対応する一つの配線パターンと電気的に接続されていてもよい。
これにより、スルーホールが二重化され、その結果、振動に対する耐性が強化され、磁歪発電薄膜片の耐久性が向上される。また、上面配線パターンと下面配線パターンとの接触抵抗が下がり、その結果、コイルのインピーダンスが下がるので、発電される電圧として、より大きな電圧が出力される。
また、前記上面配線パターン及び前記下面配線パターンの少なくとも一方には、配線パターンの走行方向を90度曲げる屈曲箇所が含まれ、前記屈曲箇所では、円弧状に配線パターンの走行方向が90度曲げられていてもよい。
これにより、コイルを形成する配線パターンにおける90度曲げ配線では、Rが設けられる(円弧形状に配線パターンが形成される)ので、磁歪発電薄膜片が振動を受けたときにコイルの配線が切れてしまうことが抑制される。
また、前記コイルは、MEMSデバイスであり、前記配線パターンは、前記磁歪薄帯の上面に対向して設けられた上面配線パターンと、前記磁歪薄帯の下面に対向して設けられた下面配線パターンとが貼り合わされて構成されている。
これにより、MEMS技術によって、薄型の連結された一本のコイル(配線パターン)を構成することができる。
また、前記上面配線パターンを構成する複数の配線パターンのそれぞれと、前記下面配線パターンを構成する複数の配線パターンのそれぞれとが、半田材料を介して、前記磁歪薄帯の側面近傍で接合されていることが好ましい。
これにより、上面配線パターンと下面配線パターンとの接合の品質を向上させることができ、振動に対する耐久性が確保される。
また、前記磁歪薄帯と、前記上面配線パターン及び前記下面配線パターンのうち少なくとも一方とが、前記絶縁層を介して接着されていることが好ましい。
これにより、構造体からの振動に対する感受性を向上させることできるので、磁歪薄帯の変形能を向上させることができ、発電量を増加させることができる。
さらに、前記磁歪薄帯及び前記コイルを挟むように、上面基板と下面基板とを備える。
これにより、SOI基板等の基板を用いたMEMS技術によってコイルを形成することができる。そして、構造体に磁歪発電薄膜片を取り付けることができる構造が完成される。
また、前記上面基板及び前記下面基板のうち少なくとも一方には、前記磁歪薄帯に対向する面に凹部が設けられていることが好ましい。
これにより、磁歪薄帯の厚みを吸収することができるので、より小型化することができる。また、上面配線パターンと下面配線パターンとの接合部を大きくすることができるので、接合の品質をより向上させることもできる。
さらに、前記磁歪薄帯に磁界を印加する磁界発生部を備える。
これにより、磁歪薄帯に磁界を印加することができ、磁歪発電薄膜片から、より大きな電力が発電され得る。
また、前記磁歪材料は、長方形の平板構造を有し、前記平板構造の長手方向に平行な磁化容易軸を有することが好ましい。
また、前記磁界発生部は、前記平板構造の長手方向に磁界を印加するように設置されたN極磁石とS極磁石とを備えることが好ましい。
上記により、磁歪材料の磁化容易軸に磁界を印加することにより、発電量を増加させることができる。
また、前記コイルは、アミンダ状のコイルシートで形成されており、前記磁歪薄帯は、前記コイルシートに、編み込まれるように挿入されていてもよい。
これにより、磁歪薄帯を周回するコイルが、1枚のコイルシートで構成されるため、2枚のコイル層を貼り合わせることで生じるコンタクト部の不具合が生じにくい。また、MEMS技術及びフレキシブル基板で作成する銅線は、流動性をあげるために不純物が混じっているために抵抗値が高いが、このような磁歪発電薄膜片では、コイルシートに純銅を用いることができるので、コイルの抵抗値を下げることができる。
また、前記絶縁層は、前記磁歪薄帯をコーティングしており、前記コイルは、前記絶縁層でコーティングされた前記磁歪薄帯の上面及び下面に、直配線方式で形成された配線パターンであってもよい。
これにより、配線パターンは絶縁膜上に強固に形成される。
なお、本発明は、フレキシブル基板を用いた磁歪発電薄膜片の製造方法として実現したり、MEMS技術を用いた磁歪発電薄膜片の製造方法として実現したりすることもできる。また、本発明は、上述のような磁歪発電薄膜片と、その磁歪発電薄膜片が備えるコイルで発生した交流電圧から所定の直流電圧を生成する電源回路とを備える磁歪発電モジュールとして実現することもできる。
本発明によって、小型化、量産が可能であり、かつ、曲げや衝撃にも強く、発電量が多い磁歪発電薄膜片を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る磁歪発電薄膜片を含む発電システムの概略図(断面図)である。 図2は、図1のA部分を拡大した図(断面図)である。 図3は、本発明の実施の形態1に係る磁歪発電薄膜片を用いた発電システムの発電原理を示した図である。 図4は、本発明の実施の形態1に係る磁歪材料の磁化容易軸を示す図である。 図5は、本発明の実施の形態1に係る磁歪発電薄膜片の概略図(上面図)である。 図6は、本発明の実施の形態1に係る磁歪発電薄膜片の概略図(図5におけるA−A’断面図)である。 図7は、本発明の実施の形態1に係る磁歪発電薄膜片の概略図(図5におけるB−B’断面図)である。 図8は、本発明の実施の形態1に係る磁歪発電薄膜片の概略図(図5における矢視C−C’から見た側面図)である。 図9は、本発明の実施の形態1に係る磁歪発電薄膜片のコイルの配線パターンを示す概略図(上面図)である。 図10は、本発明の実施の形態1に係る磁歪発電薄膜片の製造工程を示す図である。 図11Aは、磁歪薄帯を通過する磁力線の向きが図3のケースと異なるケースを示す図である。 図11Bは、バイアス磁界の加え方に関する他のケースを示す図である。 図12は、本発明の実施の形態2に係る磁歪発電薄膜片の基本構成を示す摸式図である。 図13は、図12に示された磁歪発電薄膜片のA−A'線における断面図である。 図14は、フレキシブル基板に形成された配線パターンの特徴を示す図である。 図15は、磁歪発電薄膜片をモーターの筐体(曲面)に貼り付けて使用する例を示す図である。 図16は、本発明の実施の形態2における磁歪発電薄膜片の製造方法を示すフローチャートである。 図17は、磁歪発電薄膜片を用いた磁歪発電モジュールの基本構成を示す図である。 図18は、図17に示された磁歪発電モジュールの実装例を示す図である。 図19は、図17に示された磁歪発電モジュールの設置例を示す図である。 図20は、図17に示された磁歪発電モジュールを応用したシステム例を示す図である。 図21は、図17に示された磁歪発電モジュールを応用した別のシステム例を示す図である。 図22は、磁界発生部(磁石層)の別の配置例を示す図である。 図23は、コイルシートを用いた磁歪発電薄膜片を説明する図である。 図24は、直配線方式によるコイルの形成方法を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る磁歪発電薄膜片を含む発電システムについて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る磁歪発電薄膜片を含む発電システムの概略図(断面図)である。この発電システムは、磁歪発電薄膜片1と、構造体2と、電極3と、磁石層(本発明の磁界発生部にも相当する)20とを備えている。
磁歪発電薄膜片1は、図2に示されるように、厚みが500μm以下のシート構造を有し、磁歪材料からなる膜状の磁歪素子である磁歪薄帯10と、基板30と、絶縁層40と、コイル(本発明の配線パターンにも相当する)50とを備えている。また、基板30は、上面基板30Aと下面基板30Bとを備えている。さらに、コイル50は、上面配線パターン50Aと下面配線パターン50Bとを備えている。ここで、本実施の形態では、磁歪発電薄膜片の厚さ(磁歪薄帯10、コイル50及び絶縁層40を含む厚さ、つまり、図2における、上面基板30Aの上面から下面基板30Bの下面までの長さ)は、500μm以下、より好ましくは300μm以下(本実施の形態では、250μm)である。このような薄膜化によって、小型で柔軟な磁歪発電薄膜片が実現され、平面だけでなく、曲面を含む様々な振動源に貼り付けて使用することが可能となる。なお、本発明は、磁歪発電薄膜片1の構造に特徴を有しており、後で図4〜図9を用いて詳細に説明する。
構造体2は、例えば、橋や自動車などの振動する構造物(振動体)であり、磁歪発電薄膜片1は、構造体2に設置される。このとき、磁歪発電薄膜片1は、磁歪発電薄膜片1中の下面基板30Bと構造体2とが接着されるように設置される。
電極3は、磁歪発電薄膜片1中のコイル50と接続されており、磁歪発電薄膜片1によって発電された電力を取り出すための電極である。
磁石層20は、ネオジム磁石シート等であり、磁歪発電薄膜片1を挟んで、構造体2とは反対側に設置される。磁石層20は、例えば、片側着磁であるN極磁石とS極磁石とが図2に示すように磁歪発電薄膜片1の長手方向に、交互に設置されることにより、磁歪発電薄膜片1の長手方向に磁界を印加している。なお、磁歪発電薄膜片1の長手方向に磁界が印加されていればよく、磁歪発電薄膜片1に磁界を印加する上記方法は、上記のものに限られない。
図3は、本実施の形態に係る磁歪発電薄膜片1を用いた発電システムの発電原理を示した図である。
磁歪発電薄膜片1の発電の原理は、磁歪材料の逆磁歪効果を利用している。ここで、逆磁歪効果とは、磁化している磁歪材料に応力を加えると、磁化が変化する効果である。この磁化の変化により、コイル50に誘導電圧(または誘導電流)が発生し、発電される。
具体的には、以下の手順により、発電される。
1.磁歪発電薄膜片1に磁石層20によって磁界が印加されている。
2.構造体2の振動により、磁歪発電薄膜片1に圧縮応力が生じる。
3.逆磁歪効果により、磁歪材料の透磁率が減少する。
4.磁歪材料の磁束が減少する。
5.コイル50の鎖交磁束が変化することにより、誘導電圧が発生し、発電される。
次に、本実施の形態に係る磁歪発電薄膜片1の構造について、図4〜図9を用いて説明する。
磁歪薄帯10は、図4に示すように、長方形の平板構造を有しており、平板構造の長手方向に磁化容易軸を有する磁歪材料からなる。磁歪薄帯10は、発電量を増加させるため、磁化容易軸と磁石層20からの磁界とが平行になり、かつ、磁界が磁歪薄帯10の中を通過するように設置される。また、磁歪薄帯10は、断面が10mm×40mmで、厚さ20μmの直方体(薄膜または薄帯)状の形状を有している。磁歪材料は、例えば、アモルファス系の磁歪薄帯(成分例:(Fe1−xCo7814)である。なお、磁歪材料は、Metglass(商品名)や金属ガラス、Fe−Ga合金やFe−Co合金の薄帯、あるいは、Fe−Ga合金やFe−Al合金の薄膜、Fe−Si−B合金の薄帯でもよい。
基板30は、図6に示すように、磁歪薄帯10及びコイル50を挟むように、上面基板30Aと下面基板30Bとを備えている。上面基板30A及び下面基板30Bは共に、平面寸法が30mm×12mmで、厚さが50μmの薄片状の形状を有している。なお、磁歪薄帯10に効果的に磁石層20からの磁界を印加するため、上面基板30Aは、できるだけ薄いほうがよい。また、図5及び図7に示すように、磁歪発電薄膜片1によって発電された電力を取り出すために、上面基板30Aには電極3が取り付けられている。さらに、磁歪薄帯10の厚みを吸収し、また、後に説明する上面配線パターン50Aと下面配線パターン50Bとの接合部を大きくするため、図8に示すように、上面基板30Aは、磁歪薄帯10に対向する面に凹部が設けられている。なお、上面基板30A及び下面基板30Bの材料に関しては、後で図10を用いて詳細に説明する。
絶縁層40は、磁歪薄帯10とコイル50とが導通するのを防ぐため、磁歪薄帯10とコイル50との間に設けられている。絶縁層40は、例えば、磁歪薄帯10の表面に被覆されている。絶縁層40の厚さは2μmであり、材料はポリイミドである。
コイル50は、磁歪薄帯10の上面に対向して設けられた上面配線パターン50Aと、磁歪薄帯10の下面に対向して設けられた下面配線パターン50Bとが貼り合わされて構成されている。上面配線パターン50A及び下面配線パターン50Bは、上面から見ると、図9に示すようにジグザグに配置されている。また、図8に示すように、側面から見ると、上面配線パターン50Aは、磁歪薄帯10の厚みを避けるため、上面基板30Aに設けられた凹部に沿って配置されており、下面配線パターン50Bは、下面基板30Bに沿って配置されている。さらに、図6に示すように、上面配線パターン50A及び下面配線パターン50Bは、上面基板30A及び下面基板30B上における、磁歪薄帯10に対向する面に形成されている。
さらに、コイル50の材料は、例えば、Cuである。コイル50の配線パターンは、断面が15μm×30μmの直方体状の形状であり、配線パターンの間隔(各配線パターンの中心間の距離)は30μmである。
そして、上面配線パターン50Aを構成する複数の配線パターンのそれぞれと、下面配線パターン50Bを構成する複数の配線パターンのそれぞれとは、半田材料、例えば、Sn−Ag系合金を介して、磁歪薄帯10の側面近傍で接合されている。上面配線パターン50Aと下面配線パターン50Bとが直接接合される場合、酸化膜層ができるため、接合の品質が悪くなる。したがって、Sn−Ag系合金を用いることにより、酸化膜層ができるのを防ぐことができるため、接合の品質を向上させることができる。
さらに、構造体2に接着されている下面基板30Bに形成されている下面配線パターン50Bと磁歪薄帯10とが、絶縁層40を介して強固に接着されている。これにより、構造体2からの振動に対する感受性を向上させることできるので、磁歪薄帯10の変形能を向上させることができ、発電量を増加させることができる。
そして、図5及び図7に示すように、下面配線パターン50Bの始点及び終点は、上面基板30Aを貫通させることにより、上面基板30Aに取り付けられている電極3に接続されている。
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る磁歪発電薄膜片1の製造方法について図10を用いて説明する。
図10は、本実施の形態に係る磁歪発電薄膜片1の製造工程を示す図である。本実施の形態に係る磁歪発電薄膜片1は、MEMS技術によって製造されている。
まず、SOI(Silicon On Insulator)基板2組(30A’及び30B’)及び磁歪薄帯10(アモルファス系の磁歪薄帯)を用意する。ここで、上面基板30A’は、Si結晶層30A1とSiO絶縁層30A2とSi基板層30A3とを備えている。また、下面基板30B’は、Si結晶層30B1とSiO絶縁層30B2とSi基板層30B3とを備えている。また、上面基板30A’及び下面基板30B’は、例えばポリイミドのような有機材料でもよい。
次に、図10には図示していないが、図8に示すように、上面基板30A’における、磁歪薄帯10に対向する面に凹部を設ける工程(本発明の基板加工工程に相当する)を行う。これにより、磁歪薄帯10の厚みを吸収することができるので、より小型化することができる。また、上面配線パターン50Aと下面配線パターン50Bとの接合部を大きくすることができるので、接合の品質をより向上させることもできる。
次に、半導体プロセスにおける、フォトリソグラフィー工程によって、上面基板30A’上に上面配線パターン50Aを形成する工程(S10:本発明の上面配線パターン形成工程に相当する)を行う。同様に、半導体プロセスにおける、フォトリソグラフィー工程によって、下面基板30B’上に下面配線パターン50Bを形成する工程(S11:本発明の下面配線パターン工程に相当する)を行う。また、磁歪薄帯10の表面に、堆積(デポジション)又は塗布によって絶縁層40が被覆される工程(S12)を行う。なお、S10、S11及びS12は、S10、S11、S12の順に製造される必要はない。また、S10、S11及びS12の一部又は全てが、同時(並列)に製造されてもよい。
次に、上面配線パターン50Aと下面配線パターン50Bとが内側になるように、上面基板30A’と下面基板30B’とで、絶縁層40が被覆された磁歪薄帯10を挟み込む工程(S20:本発明の挟込工程に相当する)を行う。
具体的には、以下の手順により、S20が行われる。
1.下面配線パターン50Bを構成する複数の配線パターンのそれぞれのコンタクト部(上面配線パターン50Aと下面配線パターン50Bとが接合される磁歪薄帯10の側面近傍)に半田材料であるSn−Ag系合金を、例えばメッキ法で形成する。
2.上面配線パターン50Aを構成する複数の配線パターンのそれぞれと、下面配線パターン50Bを構成する複数の配線パターンのそれぞれとのコンタクト部を圧接しながら、高温下でSn−Ag系合金を溶かして接合する。このとき、上面配線パターン50A及び下面配線パターン50Bは、上面から見ると、図9に示すようにジグザグに配置されるようにする。
最後に、エッチングによりSi基板層30A3及び30B3を溶かし、または研磨により除去する工程(S30)を行うことで、上面基板30A及び下面基板30Bが形成され、磁歪発電薄膜片1が製造される。このように、Si基板層30A3及び30B3を除去することにより、磁歪発電薄膜片1を薄くすることができる。また、SiO絶縁層30A2及び30B2を表面に露出させることによって、構造体2が導電体であっても磁歪発電薄膜片1の取り付けが可能となる。
以上より、MEMS技術によって、磁歪発電薄膜片の小型化、量産が可能となる。また、圧電素子の代わりに磁歪薄帯を用いることによって、曲げや衝撃にも強い磁歪発電薄膜片を提供することができる。さらに、磁界中で磁歪薄帯を用いることによって、発電量が多い磁歪発電薄膜片を提供することができる。
以上、本発明の実施の形態1に係る磁歪発電薄膜片及びその製造方法について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態は、磁歪発電薄膜片1は、下面基板30Bと構造体2とが接着されるように設置されるとしていたが、磁歪発電薄膜片1は、上面基板30Aと構造体2とが接着されるように設置されてもよい。
また、上面基板30Aは、磁歪薄帯10に対向する面に凹部が設けられていたが、下面基板30Bまたは上面基板30Aと下面基板30Bとの両方が、磁歪薄帯10に対向する面に凹部が設けられていてもよい。
また、上面配線パターン50Aまたは上面配線パターン50Aと下面配線パターン50Bとの両方と、磁歪薄帯10とが、絶縁層40を介して強固に接着されていてもよい。
また、下面配線パターン50Bと下面基板30Bと絶縁層40とで囲まれた空間にアンダーフィル材を充填してもよい。これにより、下面配線の腐食防止と磁歪薄帯の強固な接着と、安定的な電気的コンタクトの確保が得られる。
また、上面配線パターン50A及び下面配線パターン50Bにおける、磁歪薄帯10に対向する面に、絶縁層40が被覆されていてもよい。この場合には、図10において、ステップS12は省略され、代わりに、ステップS20の前に、上面配線パターン50A及び下面配線パターン50Bにおける、磁歪薄帯10に対向する面に、堆積(デポジション)又は塗布によって絶縁層40が被覆される工程(本発明の絶縁層被覆工程に相当する)を行う。
また、図10において、下面基板30Bを土台として、下面配線パターン50B、絶縁層40が被覆された磁歪薄帯10、上面配線パターン50A,上面基板30Aの順に積層していくことによって、磁歪発電薄膜片1を製造してもよい。
また、ステップS10及びS11における、基板上にコイルを形成する工程は、半導体プロセスにおける、フォトリソグラフィー工程には限定されない。
また、上記記載寸法は、一例であり、これには限られない。
また、上記磁歪発電薄膜片1の構成は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、本発明に係る磁歪発電薄膜片は、上記構成の全てを必ずしも備える必要はない。言い換えると、本発明に係る磁歪発電薄膜片は、本発明の効果を実現できる最小限の構成のみを備えればよい。
同様に、図10は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記工程の全てを必ずしも含む必要はない。言い換えると、図10は、本発明の効果を実現できる最小限の工程のみを含めばよい。
また、図3では、磁歪薄帯10の面内を通る磁力線として、図面に向かって右方向に向かう磁力線と左方向に向かう磁力線とが交互に並んでいたが、磁力線の方向としては、このような方向に限られない。磁石層20を構成するN極磁石及びS極磁石のサイズ、相互の位置関係、及び、磁歪薄帯10との位置関係によっては、図11Aに示されるように、磁歪薄帯10の面内を一方向に磁力線が通る場合もある。この場合には、構造体2の振動により磁歪発電薄膜片1に圧縮応力が生じると、逆磁歪効果により、磁歪薄帯10の面内を通過する磁束が減少する。これにより、コイル50の鎖交磁束が変化することにより、コイル50に誘導電圧が発生し、発電される。
より具体的には、図11Aに示される発電システムを作成するために、磁歪発電薄膜片1を磁性体で構成された構造体2に貼り付ける。なお、磁歪発電薄膜片1を貼り付けるモーターや機械のフレームなどは鉄で構成されていることが多い。また、磁歪発電薄膜片1の上面に、磁石層20として、面方向に着磁されたシート上の永久磁石を被せる。磁石層20の磁力線はシート(磁石層20)の一方の端部もしくは側面から出てもう一方の端部もしく側面へ戻るループを形成している。なお、側面から出る磁力線は漏れ磁束で図中には記述していない。これらの磁力線は、磁歪薄帯10を面内一方向、及び、磁性体の構造体2に分岐して流れる。磁歪薄帯10に流れる一方向の磁力線は適度なバイアスになる。
ここで、構造体2が振動し、変形すると、たとえば収縮すると、磁歪薄帯10には面内方向に圧縮応力が付加される。このとき、逆磁歪効果で磁力線が減少する。この磁力線の時間変化によりコイル50に電圧が発生する。このように、図11Aに示される発電システムでは、磁歪薄帯10と磁性体(構造体2)が閉磁気回路を構成していることで、磁歪薄帯10の磁力線の変化が発生しやすい。
なお、バイアス磁界の加え方として、図11Bに示される方式であってもよい。図11Bに示される発電システムでは、磁歪発電薄膜片1の上面に適度な厚みの板、もしくは、薄帯状の磁性体70を被せる。磁性体70の長さは、磁歪発電薄膜片1の長さと同じか、若干長くする。磁性体70の両端に、厚み方向に着磁された2個の永久磁石71a及び71bを配置する。2個の永久磁石71a及び71bの着磁方向は互いに逆である。このような構成とすることで、永久磁石71a及び71bの端部から流れ出る磁力線は、磁性体の面内一方向を環流し、他方の端部に戻るループを形成するが、磁性体70の厚みが薄いため、一部は漏れる。この漏れ磁束は、磁歪薄帯10の面内方向を一方向に通り、バイアスとなる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る磁歪発電薄膜片について説明する。本実施の形態における磁歪発電薄膜片は、2枚のフレキシブルプリント基板(FPC、以下、単に「フレキシブル基板」という。)が貼り合わされて、磁歪薄帯を周回するコイルを形成している点に特徴を有する。
図12は、本発明の実施の形態2に係る磁歪発電薄膜片101の基本構成を示す摸式図である。ここでは、磁歪発電薄膜片101を上面から見た透視的な構成、つまり、磁歪薄帯110と、その磁歪薄帯110を周回するコイル150との位置関係を示す摸式的な構造が示されている。なお、磁歪薄帯110は、実施の形態1における磁歪薄帯10と同一物であってもよい。
本図に示されるように、磁歪薄帯110を周回するコイル150は、上面配線パターン150Aと下面配線パターン150Bとがスルーホール151を介して接続されて構成されている。
下面配線パターン150Bは、コイル150を構成する配線パターンのうち、磁歪薄帯110の下面に対向する配線パターンであり、本実施の形態では、磁歪薄帯110の下面を横切る(つまり、長方形の平板構造をもつ磁歪薄帯110の長手方向に対して直交する方向に走る)、平行に配置された複数の直線状の配線パターンから構成される。
上面配線パターン150Aは、コイル150を構成する配線パターンのうち、磁歪薄帯110の上面に対向する配線パターンであり、本実施の形態では、磁歪薄帯110の上面を横切る(つまり、長方形の平板構造をもつ磁歪薄帯110の長手方向に対してほぼ直交する方向に走る)、平行に配置された複数の直線状の配線パターンから構成される。本図に示されるように、上面配線パターン150Aを構成する複数の直線状の配線パターンが走る方向は、下面配線パターン150Bを構成する複数の直線状の配線パターンが走る方向に対してわずかにずれている(斜めに交差している)。その結果、上面配線パターン150Aを構成する複数の直線状の配線パターンのそれぞれは、下面配線パターン150Bを構成する複数の直線状の配線パターンのうちの対応する2本の隣接する配線パターンの一方の上端と他方の下端とを電気的に接続している。これにより、上面配線パターン150Aと下面配線パターン150Bとは、スルーホール151を介して接続されることで、磁歪薄帯110を周回するコイル150を形成している。
なお、本実施の形態では、図12に示されるように、下面配線パターン150Bには、コイル150で発生した誘導電圧を取り出すための2つの電極103が設けられている。
図13は、図12に示された磁歪発電薄膜片101のA−A’線における断面図である。なお、本図では、断面図の右横に、各層ごとの厚みと名称が示されている。
本図に示されるように、磁歪薄帯110は、SAFG(ハロゲンフリー半硬化シート接着剤)等の接着剤105を介して、磁歪薄帯110の上面に積層される上面フレキシブル基板130Aと、磁歪薄帯110の下面に積層される下面フレキシブル基板130Bとが貼り合わされている。磁歪発電薄膜片101の厚み(図13に示される全ての層の厚みの合計)は、500μm以下、より好ましくは300μm以下(本実施の形態では、278μm)に設計されている。このような薄膜化によって、小型で柔軟な磁歪発電薄膜片が実現され、平面だけでなく、曲面を含む様々な振動源に貼り付けて使用することが可能となる。
上面フレキシブル基板130Aは、図12に示される上面配線パターン150Aを樹脂層で挟んだ構造を有し、本実施の形態では、下層から上層に向けて順に、上面ベースポリイミド140A、上面配線パターン150A、上面カバーレイ接着層141A及び上面カバーレイポリイミド142Aから構成される。上面配線パターン150Aは、上面ベースポリイミド140Aの上面に印刷された銅箔とその銅箔の上面を覆う銅めっきとの2層構造からなる。
下面フレキシブル基板130Bは、図12に示される下面配線パターン150Bを樹脂層で挟んだ構造を有し、本実施の形態では、上層から下層に向けて順に、下面ベースポリイミド140B、下面配線パターン150B、下面カバーレイ接着層141B及び下面カバーレイポリイミド142Bから構成される。下面配線パターン150Bは、下面ベースポリイミド140Bの下面に印刷された銅箔とその銅箔の下面を覆う銅めっきとの2層構造からなる。
上面配線パターン150Aを構成する複数の直線状の配線パターンと下面配線パターン150Bを構成する複数の直線状の配線パターンとは、上面フレキシブル基板130A及び下面フレキシブル基板130Bの周縁部に設けられた複数のスルーホール151を介して電気的に接続されている。
このように、本実施の形態では、実施の形態1においてコイル50と絶縁層40とで構成されたものが、これらに代えて、磁歪薄帯110を挟んで貼り合わされた上面フレキシブル基板130Aと下面フレキシブル基板130Bとで構成されている。つまり、上面フレキシブル基板130Aに形成された上面配線パターン150Aと下面フレキシブル基板130Bに形成された下面配線パターン150Bとがスルーホール151を介して電気的に接続されることで、薄型のコイル150が形成されている。
図14は、上面フレキシブル基板130A及び下面フレキシブル基板130Bにおける配線パターンの特徴を示す図である。ここでは、現実に製作された下面配線パターン150B(下面フレキシブル基板130Bの下面から見た下面配線パターン150B)が示されている。
ここで、特徴の一つは、上面フレキシブル基板130A及び下面フレキシブル基板130Bの周縁部に設けられたスルーホール151のそれぞれにおいて、隣接して配置した2つのスルーホール(スルーホールの対)を介して、上面配線パターン150Aと下面配線パターン150Bとが電気的に接続されている点である(図14における右下の拡大図参照)。つまり、上面配線パターン150Aを構成する複数の直線状の配線パターンのそれぞれは、2つのスルーホールを介して、下面配線パターン150Bを構成する複数の直線状の配線パターンのうちの対応する一つの配線パターンと電気的に接続されている。
このようなスルーホールの二重化により、構造体2からの振動を受けて磁歪発電薄膜片101が振動し続けた場合に、上面配線パターン150Aと下面配線パターン150Bとが断線してしまうことが回避され、磁歪発電薄膜片101の耐久性を向上(長寿命化)させることができる。また、上面配線パターン150Aと下面配線パターン150Bとの接触抵抗が下がるので、磁歪発電薄膜片101のインピーダンス(発電装置としての出力インピーダンス)が下がるという効果も発揮される。
また、特徴の他の一つは、上面配線パターン150A及び下面配線パターン150Bの少なくとも一方(本実施の形態では、下面配線パターン150B)には、配線パターンの走行方向を90度曲げる屈曲箇所が含まれ、その屈曲箇所では、円弧状に(つまり、Rをつけて)配線パターンの走行方向が90度曲げられている(図14における右上の拡大図参照)。
このように、Rをつけた90度の曲げ配線により、振動を受け続けた場合における配線切れの可能性を低減することができ、磁歪発電薄膜片101の耐久性を向上(長寿命化)させることができる。
以上のように、本実施の形態では、フレキシブル基板を用いて磁歪発電薄膜片101が構成されているので、以下の特徴がある。
(1)高耐久性、長寿命
磁歪材料を用いた発電では、磁歪材料をコア材とするコイルに振動を伝える必要がある。従来のカンチレバー方式等の発電方法では、機械的な構造を必要とするために、耐久性及び長寿命化において問題がある。
それに対し、本実施の形態では、フレキシブル基板の柔軟性を利用してコイルそのものを振動させることで発電するため、機械的な機構を最小にできる。つまり、フレキシブル基板は、小さい力で繰り返し変形させることが可能であり、柔軟で自在に曲げることができ、また、変形した場合にもその電気的特性を維持することができ、さらに、薄くて軽いという特徴がある。
よって、本実施の形態における磁歪発電薄膜片101によれば、機械的な構造を有する磁歪発電装置に比べ、劣化及び摩耗する箇所が少ないため、長寿命化が期待できる。
(2)量産性
大量に安価に生産するにあたり、従来の磁歪材料を用いた発電方式では、簡素な発電原理であるにも拘らず、振動伝達機構が複雑となり、量産性向上の妨げになっている。
これに対し、本実施の形態では、磁歪薄帯を2枚のフレキシブル基板で挟むという簡素な構造で磁歪発電薄膜片101が製作される。フレキシブル基板自体は、考案されてから長い歴史をもつ枯れた技術であり、量産技術が確立している。そして、フレキシブル基板は、機械的な機構をもたない。よって、本実施の形態における磁歪発電薄膜片101によれば、簡素な発電原理を活かし、単純な構造での量産が可能になる。
(3)設置の容易性と多様な応用性
世の中には多様な振動源が存在するが、それらの振動を実際の発電に応用するのに、機械的な振動伝達機構を用いたのでは、応用可能な振動源が限られてしまう。
これに対し、本実施の形態の磁歪発電薄膜片101は、磁歪薄帯が2枚のフレキシブル基板で挟まれた構造を有するので、フレキシブル基板の柔軟性を活かして、平面だけでなく、曲面に対しても密着した設置が可能であり、その結果、微小の振動を取得することができる。たとえば、図15に示されるように、本実施の形態の磁歪発電薄膜片101を、モーター60の筐体(曲面)に貼りつけて使用することができる。よって、本実施の形態における磁歪発電薄膜片101は、設置が容易であり、多様な応用性をもっている。
次に、以上のように構成された本実施の形態における磁歪発電薄膜片101の製造方法について説明する。図16は、本実施の形態における磁歪発電薄膜片101の製造方法を示すフローチャートである。
まず、上面フレキシブル基板130Aを製作する(第1製作工程;S100)。具体的には、コイル150を構成する配線パターンのうち、磁歪薄帯110の上面に対向する配線パターンである上面配線パターン150Aを2つの樹脂層(上面ベースポリイミド140A、上面カバーレイポリイミド142A)等で挟んだ構造を有する上面フレキシブル基板130Aを製作する。
次に、下面フレキシブル基板130Bを製作する(第2製作工程;S102)。具体的には、コイル150を構成する配線パターンのうち、磁歪薄帯110の下面に対向する配線パターンである下面配線パターン150Bを2つの樹脂層(下面ベースポリイミド140B、下面カバーレイポリイミド142B)等で挟んだ構造を有する下面フレキシブル基板130Bを製作する。なお、ステップS100とステップS102とは、逆の順序でもよいし、同時(並行)であってもよい。
最後に、磁歪薄帯110を挟んで、上面フレキシブル基板130Aと下面フレキシブル基板130Bとを貼り合わせる(S104)。具体的には、上面配線パターン150Aと下面配線パターン150Bとが、上面フレキシブル基板130A及び下面フレキシブル基板130Bの周縁部に設けられた複数のスルーホール151を介して電気的に接続されるように、上面フレキシブル基板130Aと下面フレキシブル基板130Bとを貼り合わせる。
より詳しくは、この貼り合わせ工程(S104)は、磁歪薄帯110に位置決め用穴を形成する工程(S105)と、形成した位置決め用穴を用いて上面フレキシブル基板130A及び下面フレキシブル基板130Bに対する磁歪薄帯110の位置決めを行い、上面フレキシブル基板130Aと下面フレキシブル基板130Bとを圧着して貼り合わせる工程(S106)とを含む。
以上の製造方法により、本実施の形態における磁歪発電薄膜片101が完成される。
なお、本実施の形態における磁歪発電薄膜片101は、そのまま、構造体2に貼り付けて使用してもよいし、実施の形態1と同様に、その上面に界磁用の磁石層20を設けたうえで構造体2に貼り付けて使用してもよい。一般に、磁石層20を設けることで磁歪発電薄膜片101からより大きな電圧を取り出せるが、磁石層20は、発電のために必ずしも必要な構成要素というわけではない。磁歪発電薄膜片101が受ける振動の大きさ、あるいは、磁歪薄帯110及びコイル150の仕様等によっては、磁石層20を設けることなく、磁歪発電薄膜片101だけで発電し得る。
次に、本実施の形態における磁歪発電薄膜片101を用いたモジュール(磁歪発電モジュール)について、説明する。
磁歪発電薄膜片101は、電源回路や応用のための回路(センサ、無線回路等)と組み合わせて使用することが必須となる。本実施の形態における磁歪発電薄膜片101であれば、フレキシブル基板で構成されているので、既存の技術を用いて、各種回路と一体化(モジュール化)することが容易である。たとえば、接続用コネクタとして、市販品を使用したり、フレキシブル基板上に部品を実装することで回路を構成することもできる。
図17は、本実施の形態における磁歪発電薄膜片101を用いた磁歪発電モジュール200の基本構成を示す図である。
この磁歪発電モジュール200は、磁歪発電薄膜片101と、電源回路部160と、必要に応じて設けられるアプリケーション回路部170とを備える。
電源回路部160は、磁歪発電薄膜片101が備えるコイル150で発生した交流電圧から所定の直流電圧を生成する電源回路であり、例えば、昇圧回路161、AC−DC変換回路162、蓄電回路163、及び、レギュレーション回路164の少なくとも一つの回路を含む。
昇圧回路161は、磁歪発電薄膜片101のコイル150から出力される交流電圧を昇圧するトランス等である。AC−DC変換回路162は、磁歪発電薄膜片101のコイル150から出力される交流電圧、または、昇圧回路161で昇圧された交流電圧を直流電圧に変換する整流平滑化回路等である。蓄電回路163は、AC−DC変換回路162で生成された直流電圧を蓄電する蓄電池等である。レギュレーション回路164は、AC−DC変換回路162で変換された直流電圧、または、蓄電回路163で蓄電されている直流電圧を入力とし、アプリケーション回路部170で必要とされる直流の定電圧を生成する定電圧電源である。
アプリケーション回路部170は、本実施の形態における磁歪発電モジュールを用いて動作する応用回路であり、例えば、センサ/無線モジュール171である。センサ/無線モジュール171は、例えば、温度等の各種物理量を検知するセンサと、センサで得られた情報を無線で送信する通信回路とを有する。
図18は、図17に示された磁歪発電モジュール200の実装例を示す図である。図18の(a)に示される磁歪発電モジュール201では、電源回路部160は、磁歪発電薄膜片101が備える上面フレキシブル基板130Aまたは下面フレキシブル基板130Bの上に形成されている。図18の(b)に示される磁歪発電モジュール202では、電源回路部160は、磁歪発電薄膜片101が備える上面フレキシブル基板130A及び下面フレキシブル基板130B(つまり、コイル150)とコネクタ180を介して接続された回路基板上に形成されている。なお、本図では、磁歪発電薄膜片101に、電源回路部160だけが付随しているが、図17に示したように、さらに、アプリケーション回路部170が付随してもよい。
図19は、図17に示された磁歪発電モジュール200の設置例を示す図である。
図19の(a)に示される磁歪発電モジュール201では、振動体190に貼り付けられた磁歪発電薄膜片101とコネクタ180を介して接続された基板182が固定体191に取り付けられている。基板182には、電源回路部160(必要に応じて、さらに、アプリケーション回路部170)を構成する部品181が実装されている。
図19の(b)に示される磁歪発電モジュール201では、磁歪発電薄膜片101と基板182との接続は図19の(a)と同じであるが、ここでは、磁歪発電薄膜片101だけでなく、基板182も、振動体190に取り付けられている。ただし、この例では、基板182の振動を抑えるために、振動体190と基板182との間に弾性材料183が挿入されている。
図19の(c)に示される磁歪発電モジュール202では、部品181は、磁歪発電薄膜片101に用いられているフレキシブル基板(上面フレキシブル基板130Aまたは下面フレキシブル基板130B、あるいは、その両方)の上に実装されている。この例では、部品181の実装を確実にするために、部品181を実装するフレキシブル基板の下には固定用基材184が設けられ、その固定用基材184の下には、振動を抑制するための弾性材料183が設けられている。
図20は、図17に示された磁歪発電モジュール200を応用したシステム例を示す図である。ここでは、4箇所の振動源のそれぞれに設けられた磁歪発電モジュール200A〜200DとPC(パーソナルコンピュータ)203とから構成される無線通信システム205が示されている。
磁歪発電モジュール200A〜200Dのそれぞれは、例えば、図18に示される磁歪発電モジュール201(201A〜201D)とアプリケーション回路部170(170A〜170D)とを備え、内蔵のセンサで検知した温度の情報を無線でPC203に送信する。
PC203は、アプリケーション回路部170(170E)を備え、4つの磁歪発電モジュール200A〜200Dから送信されてくる温度の情報をアプリケーション回路部170Eで受信し、受信した情報を記録して表示する。
このような無線通信システム205により、商用電源やバッテリーがない箇所であっても、磁歪発電モジュールで生成された電源によってアプリケーション回路部(センサと無線モジュール)を動作させることができる。
図21は、図17に示された磁歪発電モジュール200を応用した別のシステム例を示す図である。ここでは、3箇所の振動源のそれぞれに設けられた磁歪発電モジュール201A〜201Cと、一つのアプリケーション回路部170(170F)と、PC(パーソナルコンピュータ)213とから構成される無線通信システム215が示されている。
3つの磁歪発電モジュール201A〜201Cのそれぞれは、例えば、図18に示される磁歪発電モジュール201であり、磁歪発電薄膜片101(101A〜101C)と電源回路部160(160A〜160C)とを備え、発電した電力をアプリケーション回路部170Fに供給する。
アプリケーション回路部170Fは、3つの磁歪発電モジュール201A〜201Cから供給される電力の下で動作し、例えば、内蔵のセンサで検知した温度の情報を無線でPC213に送信する。
PC213は、アプリケーション回路部170(170G)を備え、アプリケーション回路部170Fから送信されてくる温度の情報をアプリケーション回路部170Gで受信し、受信した情報を記録して表示する。
このような無線通信システム215により、商用電源やバッテリーがない箇所であっても、磁歪発電モジュールで生成された電源によってアプリケーション回路部(センサと無線モジュール)を動作させることができる。
以上、本発明に係る磁歪発電薄膜片、その製造方法及び磁歪発電モジュールについて、実施の形態1及び2に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
たとえば、上記実施の形態では、磁界発生部(磁石層20)は、磁歪薄帯10の長手方向に並べて設置されたN極磁石とS極磁石とから構成されたが、磁界発生部の構成としては、これに限られない。図22の(a)に示すように、磁界発生部(磁石層20A)が、磁歪薄帯110の上面及び下面と直交する方向(磁歪薄帯110の面直方向)に並べて設置されたN極磁石とS極磁石とから構成されてもよい。図22の(a)に示される磁石層20Aでは、磁歪薄帯110の面直方向に、下層がN極で上層がS極の磁石と、それとは逆に、下層がS極で上層がN極の磁石とが、磁歪薄帯110の長手方向に、交互に並べて配置されている。このケースでは、磁歪薄帯110に界磁される磁束の向きは、図22の(a)に示されるように、磁石層20Aを構成する一対の磁石の単位で、磁束の向きが反転する。
つまり、このような磁石層20Aによれば、磁歪薄帯110の厚み方向に磁極が着磁されており、面方向(長手方向)に数ミリ間隔(磁極ピッチ間隔)でその向きが替わる。このように、磁石層20Aを磁歪薄帯110の上に配置することで、例えばN極磁石から出た磁力線は、コイル150(磁気的に空隙と見なせる)と磁歪薄帯110の高い透磁率の差から、屈曲して磁歪薄帯110入り、磁歪薄帯110の面内方向を通って漏洩し、隣り合うS極磁石に入る。これにより、磁石層20Aの断面積に対して磁歪薄帯110の厚さが非常に薄いので、磁歪薄帯110には十分なバイアス磁束が通る。
図22の(b)は、このような磁歪発電薄膜片に用いられるコイル150の巻き線方向を示す図である。コイル150は、界磁の向きの反転に伴って、等間隔(磁極ピッチ間隔)で結線の仕方を変え、コイル150の巻き線方向を切り替えている。これによって、界磁の向きの反転に伴ってコイル150の巻き線方向が反転され、コイル150には、同一方向の誘導電圧(あるいは、誘導電流)が発生する。つまり、磁極ピッチ間隔でコイル150の巻き線の向きを逆転しておくことで、同方向の電圧として加算し、磁歪発電薄膜片101全体のコイル150で電力を取り出すことができる。
また、実施の形態2における磁歪発電薄膜片101では、界磁用の磁石層が設けられていなかったが、実施の形態1と同様に、磁歪薄帯110の長手方向にN極とS極とが並ぶ磁石層20、あるいは、図22に示されたように、磁歪薄帯110の面直方向にN極とS極とが並ぶ磁石層20Aを設けてもよい。
また、2枚の分離したコイル層(配線パターン)間でのコンタクトをより確実にした磁歪発電薄膜片として、図23の(c)又は(e)に示される構造であってもよい。
図23の(c)に示される磁歪発電薄膜片310は、磁歪薄帯10(図23の(a))と、ミアンダ状(あるいは、ジグザグ状)の一枚のコイルシート301(図23の(b))とから構成される(ただし、ここでは、バイアス磁界の発生部を省略している)。このような磁歪発電薄膜片310を製造するには、図23の(c)に示されるように、コイルシート301に、磁歪薄帯10を編み込む。コイルシート301は、図23の(b)に示されるように、銅の薄帯、もしくは、薄い板で、互いに逆方向に切れ込みが入っている(ミアンダ状になっている)。また、磁歪薄帯10もしくはコイルシート301の一方もしくは両方は、絶縁体でコーティングされている。なお、ここでの絶縁体によるコーティングは、絶縁性を有する接着剤でもよい。磁歪薄帯10をコイルシート301の切れ込みに垂直方向に編み込むように(コイルシート301と磁歪薄帯10とが、各切れ込みごとに、隣どうしで上下関係が互い違いになるように)挿入し、それらを接合(例えば、接着剤を融解し固化)する。その結果、磁歪薄帯10を巻くようにコイルが形成され、磁歪発電薄膜片310が完成される。
このような構造をもつ磁歪発電薄膜片310の長所として、磁歪薄帯10を周回するコイルが、1枚のコイルシートで構成されているため、2枚のコイル層を貼り合わせることで生じるコンタクト部の不具合が生じにくい。また、MEMS技術及びフレキシブル基板で作成する銅線は、流動性をあげるために不純物が混じっているため、抵抗値が高いが、この磁歪発電薄膜片310では、コイルシート301に純銅を用いることができるので、コイルの抵抗値を下げることができる。
なお、このような磁歪発電薄膜片310では、磁歪薄帯10の半分の領域において、コイルが巻かれていない部分が生じる。しかしながら、この磁歪発電薄膜片310を、図223の(d)に示される別のコイルシート302の中に編み込むことで、図23の(e)に示されるように、磁歪薄帯10の全面にコイルが形成された磁歪発電薄膜片311が完成する。
ここで、コイルシート302の切れ込みの方向は、コイルシート301と逆にしておく。また、コイルシート301が巻かれていない磁歪薄帯10の箇所にコイルシート302を配置することで、厚みの増加を抑えることができる。さらに、コイルシート301の端子301a及び301bから取り出す電圧と、コイルシート302の端子302a及び302bから取り出す電圧の向きとは、逆になるが、これらの2枚のコイルシート301及び302で形成される2つのコイルを直列に、かつ、逆に結線することで、2倍の電圧を取り出すことができる。
また、コイルの形成方法としては、上記実施の形態に限られず、いわゆる直配線方式で形成、つまり、絶縁膜(絶縁層40)でコーティングされた磁歪薄帯10の上面及び下面に、直接、配線パターン(50A、50B)を形成してもよい。これにより、配線パターンは絶縁膜上に強固に形成される。そして、配線パターンと磁歪薄帯10との間に介在する絶縁膜が薄いため、振動源の振動をより直接的に磁歪薄帯10に伝達することができ、発電効率が向上される。つまり、配線下及び配線上の絶縁膜は、絶縁が確保できる範囲で、可能な限り薄く形成する(例えば、パリレン、エポキシ樹脂等で、5μmの厚みをもつ絶縁膜を形成する)。これにより、振動源の振動が忠実に磁歪薄帯10に伝わる。
なお、このような直配線においては、磁歪薄帯10に位置合せマークを予め加工しておくことが、位置合せ精度を上げる上で重要である。ただし、コストを優先する場合は、位置合せ形成のための磁歪薄帯10への加工を避けてもよい。その場合、図24に示すように、位置合せマーク720を絶縁膜に形成する。そのために、絶縁膜の幅は磁歪薄帯10の幅より広くしておく。
また、配線の形成方法については、手法を問わない。電界メッキ、無電界メッキ、スクリーン印刷、インクジェット印刷、メタルマスクなどのいずれの手法であってもよい。いずれの方法にするかは、このようにして完成される磁歪発電薄膜片320の用途やサイズに応じて選択すればよい。
また、エッジにおける配線パターンのコンタクトとして、以下の方法が考えられる。
(1)レジストのスプレーコートによる立体パターン形成(メッキ法)
(2)パターン転写技術を用いる
(3)ノズル噴射により、導電性ペーストでスポット的に表裏の配線をつなぐ
なお、図24に示される寸法は、一例であり、これに限定されるものではない。
また、上記実施の形態では、磁歪薄帯を周回するコイルは、1層であったが、ターン数を上げるために、多層で構成してもよい。たとえば、1層目のコイル上に絶縁膜を形成し、その絶縁膜に、1層目のコイルと2層目のコイルとを接続するためにコンタクト窓を形成する。そして、その絶縁膜上及びコンタクト窓に2層目のコイル(配線パターン)を形成することで、1層目のコイルと2層目のコイルとが直列に接続された多層コイルを形成することができる。さらに、このような工程を繰り返すことで、3層以上の多層コイルを形成することができる。これにより、同じ振動を受けた場合であっても、より大きな発電量(電圧/電流)を発生する磁歪発電薄膜片が実現される。
本発明は、例えば、橋や自動車などの構造体に、センサと一体化して取り付けることにより、振動から電力を生成し、センサ用電源として使用することができる磁歪発電薄膜片及び磁歪発電モジュールとして利用することができる。
1 磁歪発電薄膜片
2 構造体
3 電極
10 磁歪薄帯
20、20A 磁石層
30 基板
30A、30A’上面基板
30B、30B’下面基板
30A1、30B1 Si結晶層
30A2、30B2 SiO絶縁層
30A3、30B3 Si基板層
40 絶縁層
50 コイル
50A 上面配線パターン
50B 下面配線パターン
60 モーター
70 磁性体
71a、71b 永久磁石
101 磁歪発電薄膜片
103 電極
105 接着剤
110 磁歪薄帯
130A 上面フレキシブル基板
130B 下面フレキシブル基板
140A 上面ベースポリイミド
140B 下面ベースポリイミド
141A 上面カバーレイ接着層
141B 下面カバーレイ接着層
142A 上面カバーレイポリイミド
142B 下面カバーレイポリイミド
150 コイル
150A 上面配線パターン
150B 下面配線パターン
151 スルーホール
160、160A〜160C 電源回路部
161 昇圧回路
162 AC−DC変換回路
163 蓄電回路
164 レギュレーション回路
170、170A〜170F アプリケーション回路部
171 センサ/無線モジュール
180 コネクタ
181 部品
182 基板
183 弾性材料
184 固定用基材
190 振動体
191 固定体
200、201、201A〜201D、202 磁歪発電モジュール
203、213 PC
205、215 無線通信システム
301、302 コイルシート
301a、301b、302a、302b 端子
310、311、320 磁歪発電薄膜片

Claims (5)

  1. 振動から電力を生成する磁歪発電薄膜片の製造方法であって、
    磁歪薄帯を周回するコイルを構成する配線パターンのうち、前記磁歪薄帯の上面に対向する配線パターンである上面配線パターンを2つの樹脂層で挟んだ構造を有する上面フレキシブル基板を製作する第1製作工程と、
    前記コイルを構成する配線パターンのうち、前記磁歪薄帯の下面に対向する配線パターンである下面配線パターンを2つの樹脂層で挟んだ構造を有する下面フレキシブル基板を製作する第2製作工程と、
    前記磁歪薄帯を挟んで、前記上面フレキシブル基板と前記下面フレキシブル基板とを貼り合わせる貼り合わせ工程とを含み、
    前記貼り合わせ工程では、前記上面配線パターンと前記下面配線パターンとが、前記上面フレキシブル基板及び前記下面フレキシブル基板の周縁部に設けられた複数のスルーホールを介して電気的に接続されるように、前記上面フレキシブル基板と前記下面フレキシブル基板とを貼り合わせる
    磁歪発電薄膜片の製造方法。
  2. 前記貼り合わせ工程は、
    前記磁歪薄帯に位置決め用穴を形成する工程と、
    前記位置決め用穴を用いて、前記上面フレキシブル基板及び前記下面フレキシブル基板に対する前記磁歪薄帯の位置決めを行い、前記上面フレキシブル基板と前記下面フレキシブル基板とを貼り合わせる工程とを含む
    請求項に記載の磁歪発電薄膜片の製造方法。
  3. 振動から電力を生成する磁歪発電薄膜片の製造方法であって、
    上面基板上に、平行に走る複数の配線パターンから構成される上面配線パターンを形成する上面配線パターン形成工程と、
    下面基板上に、平行に走る複数の配線パターンから構成される下面配線パターンを形成する下面配線パターン形成工程と、
    前記上面配線パターンと前記下面配線パターンとが内側になるように、前記上面基板と前記下面基板とで磁歪材料からなる磁歪薄帯の挟み込みを行う挟込工程とを含み、
    前記挟込工程では、前記上面配線パターンを構成する複数の配線パターンのそれぞれと、前記下面配線パターンを構成する複数の配線パターンのそれぞれとが、前記磁歪薄帯の側面近傍で接合されるように前記挟み込みを行う
    磁歪発電薄膜片の製造方法。
  4. さらに、
    前記挟込工程の前に、前記上面配線パターン及び前記下面配線パターンにおける、前記磁歪薄帯に対向する面に、絶縁層を被覆する絶縁層被覆工程を含む
    請求項に記載の磁歪発電薄膜片の製造方法。
  5. さらに、
    前記上面配線パターン形成工程または前記下面配線パターン形成工程の前に、前記上面基板及び前記下面基板のうち少なくとも一方に、前記磁歪薄帯に対向する面に凹部を設ける基板加工工程を含む
    請求項またはに記載の磁歪発電薄膜片の製造方法。
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