JP6075765B2 - 圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、精密位置決め装置、光学装置の光路長制御、流量制御用バルブ、ポンプ、超音波モータ、エンジンの燃料噴射装置、自動車等のブレーキ装置、インクジェットプリンタのインク吐出ヘッド等に好適に用いられる圧電素子に関する。
圧電アクチュエータは、電圧を印加して発生する歪みおよび力を機械的駆動源とするものであるため、電磁モータを用いた変位素子などに比べて高精度であり、しかも小型、薄型化にも有利であることから、例えば、上述した、エンジンの燃料噴射装置やインクジェットプリンタのインク吐出ヘッドなど多くの機器に利用されている。
従来、圧電アクチュエータに用いる圧電材料としてはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が主流であったが、近年、鉛が環境に与える影響を考慮して、PZTに代わる鉛を含まない圧電材料が望まれており、その中で、チタン酸バリウム(BaTiO)を主成分とする圧電材料が種々提案されている。
例えば、本出願人は、以前、BaおよびTiを主成分とし、これにZrおよびCuを含有し、結晶粒子の平均粒径を2〜7μmとした圧電磁器を提案しているが(下記の特許文献1を参照)。この圧電磁器は圧電歪定数(d31)が100p・m/V以下と低いという問題がある。
山口らは、BaTiOを主成分とし、これにCuを含ませた圧電磁器を開示しているが、この圧電磁器は1300℃程度の高温で焼結させて得られるものであるため、圧電磁器を構成する結晶粒子のサイズが大きく、このため圧電磁器の絶縁抵抗が低いという問題がある(下記の特許文献2を参照)。
小木曽らは、Ba、Tiを主成分とし、これにSnを固溶させた圧電磁器を提案しているが、この圧電磁器の場合は、焼結性を高めようとすると、焼成温度を高く設定する必要があることから結晶粒子の粒成長が避けられず、絶縁抵抗が低くなるという問題がある。一方で、結晶粒子の粒成長を抑えるように低温焼成を行った場合には、圧電磁器の気孔率が高くなり、この場合も絶縁抵抗が低くなるという問題がある(下記の特許文献3を参照)。
唐木らは、ナノサイズのチタン酸バリウム粉末を用いて作製した成形体を2段階の焼結温度での焼成を行うことにより、結晶粒子の粒成長を抑えた緻密な圧電磁器を開示しているが(下記の特許文献4を参照)、この圧電磁器は、主成分が純粋なチタン酸バリウムであるため、キュリー温度(約125℃)付近に比べて、これよりも低い温度領域である室温付近での比誘電率が低いために、圧電歪定数が低いという問題がある。
特開2000−72539号公報 特開2001−172077号公報 特開2003−128459号公報 特開2008−150247号公報
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、絶縁抵抗および圧電歪定数の高い圧電素子を提供することを目的とする。
本発明の圧電素子は、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子および該結晶粒子間に形成された粒界とを有し、前記結晶粒子の平均粒径が1〜10μmであるとともに、気孔率が1%以下である圧電磁器からなる圧電体層と、該圧電体層の主面に設けられた導体層とを備え、前記圧電磁器を、組成式Ba 1−x−y Ca Bi Ti 1−b−c (Zr 1−a Sn (Cu 1/3 2/3 (但し、MはNbまたはSb)で表したときに、x、y、a、b、cが、0≦x≦0.11、0<y≦0.014、0≦a≦10≦b≦0.09、0<c≦0.015であることを特徴とする。
本発明によれば、絶縁抵抗および圧電歪定数の高い圧電素子を得ることができる。
本発明の圧電素子の一実施形態を模式的に示した断面図である。 本実施形態の圧電素子を圧電アクチュエータに適用したときの一例を示す断面図である。
図1は、本発明の圧電素子の一実施形態を模式的に示した断面図である。本実施形態の圧電素子1は、平板状の圧電体層3と、この圧電体層3の対向する2つの主面を挟持するように設けられた導体層5とを有している。この場合、分極方向は圧電体層3の厚み方向である。
ここで、この実施形態の圧電素子1の圧電体層3となる圧電磁器は、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子と、この結晶粒子間に形成された粒界とを有するものであり、助剤成分として、ビスマス(Bi)と、ジルコニウム(Zr)と、スズ(Sn)と、銅(Cu)と、ニオブ(Nb)およびアンチモン(Sb)のうちのいずれかとを含んでいる。
また、結晶粒子の平均粒径が1〜10μmであるとともに、気孔率が1%以下である。
本実施形態の圧電素子1は、これを構成する圧電磁器がチタン酸バリウムを主成分とするものであっても、助剤成分として、ビスマス(Bi)と、ジルコニウム(Zr)と、スズ(Sn)と、銅(Cu)と、ニオブ(Nb)およびアンチモン(Sb)のうちのいずれかとを含んでいるために、誘電率および結合係数が高いことから、高い圧電歪定数(d31、以下同じ)を得ることができる。
また、この圧電磁器は、緻密なセラミック焼結体であり、圧電磁器を構成する結晶粒子のサイズ(平均粒径)が10μm以下と微粒である。このため圧電体層5は結晶粒子が多くの粒界を介して連結された組織を有していることから、粒界が障壁となって電気伝導性を抑制し、高い絶縁性を得ることができる。
これに対し、圧電磁器に含まれる助剤成分のうち1つでも欠けたときには、圧電磁器として、圧電歪定数が低下する。
また、圧電磁器の気孔率が1%より高くなった場合には、圧電歪定数が小さくなるとともに絶縁抵抗も低くなる。
また、圧電磁器を構成している結晶粒子のサイズが10μmよりも大きくなった場合に
は、圧電歪定数は大きくなるものの、絶縁抵抗が大きく低下する。
なお、結晶粒子の平均粒径が1μmよりも小さくなると、絶縁抵抗は高められるものの、結晶粒子中に形成されるドメインのサイズが小さくなることから、この場合にも圧電歪定数が低くなる。
また、本実施形態の圧電素子を構成する圧電磁器の組成を、組成式Ba1−yBi
1−b−c(Zr1−aSn(Cu1/32/3(但し、MはNbま
たはSb)で表したときに、y、a、b、cが、0<y≦0.014、0≦a≦1、0≦b≦0.09、0<c≦0.015としたときには、チタン酸バリウムが本来持つ斜方晶から正方晶への相転移温度を−20〜50℃にすることができるとともに、正方晶から立方晶への相転移温度を90〜120℃にすることができる。これにより圧電特性の得られる結晶構造である正方晶の温度範囲を圧電素子1が使用される温度領域(−30℃〜85℃)に対して広い範囲にすることが可能となり、この温度領域における圧電歪定数を向上させることができる。特に、−30℃〜50℃の範囲における圧電歪定数を大きくすることができる。
この場合、Tiサイトに固溶させるCuと、NbおよびSbとは、これらの成分を合わせたときに、Tiの価数と同じく4価になる組成にするのが良いが、許容範囲として、CuおよびM(NbまたはSb)ともに、Cu1/32/3を中心組成から±10%以内の範囲であればモル量がずれていても良い。
また、本実施形態の圧電素子1を構成する圧電磁器は、上記組成をベースとして、圧電磁器にさらにカルシウムを含有させるのが良く、その量としては、バリウム1モルに対する置換量として0.11モル以下であることが望ましい。
すなわち、組成式Ba1−x−yCaBiTi1−b−c(Zr1−aSn(Cu1/32/3(但し、MはNbまたはSb)で表したときに、x、y、a、b、cが、0≦x≦0.11、0<y≦0.014、0≦a≦1、0≦b≦0.09、0<c≦0.015の範囲であることが望ましい。Ba1−yBiTi1−b−c(Zr1−aSn(Cu1/32/3(但し、MはNbまたはSb)で表される圧電磁器にカルシウム(Ca)を含ませると、チタン酸バリウムが本来持つ斜方晶−正方晶の相転移温度をさらに低温側にシフトさせることが可能になり、正方晶の温度範囲を広げることができることから、圧電歪定数の温度特性をさらに安定化することが可能となる。この場合、CaのBaに対する置換量は0.01以上(0.01≦x≦0.11)であることが好ましい。
この実施形態の圧電素子を構成する圧電磁器の気孔率(開気孔率)はJIS R−1634の方法によって求める。
圧電磁器を構成する結晶粒子の平均粒径は、圧電磁器の表面または断面を走査型電子顕微鏡観察により撮影した写真上で対角線を引き、その対角線上に存在する結晶粒子の輪郭を画像処理し、各結晶粒子の面積を求め、同じ面積を持つ円に置き換えたときの直径を算出し、算出した結晶粒子10〜50個の平均値から求める。
圧電磁器の圧電特性は、測定サンプルを以下のようにして作製した圧電素子を用いる。まず、圧電磁器を厚さ1mm程度に研磨して圧電体層3に相当するサンプルを作製する。次に、研磨加工を施した圧電磁器の両主面(円板の上下面)に銀(Ag)を主成分とする導体層5を形成する。次に、圧電磁器の両主面に形成した導体層にリード線を付けて、約50℃のシリコンオイル中に浸す。次に、この状態で圧電磁器の導体層5に直流電界を印
加して分極処理を行う。このときの電界強度は圧電磁器の厚さ方向に対して約3.0kV/mmとする。
次に、作製した圧電素子をインピーダンスアナライザを用いて共振法により常温時(25℃)の圧電歪定数(d31)を求める。圧電特性の測定は日本電子材料工業会標準規格EMASに準じて行う。
圧電磁器の絶縁抵抗は作製した圧電素子に0〜2kV/mmの直流電界を印加して測定する。
また、本実施形態の圧電素子1を構成する圧電磁器では、粒界に非晶質相および結晶粒子以外の結晶相が実質的に存在していないことが望ましい。圧電磁器を、粒界に非晶質相および結晶粒子以外の結晶相が実質的に存在していないような結晶組織にすると、圧電磁器の時間変化に伴う絶縁抵抗の低下を小さくすることが可能となる。
この場合、粒界に非晶質相および結晶粒子以外の結晶相が実質的に存在していないとは、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子の示すX線回折ピークの近傍におけるノイズレベルの平均値の2倍以下である場合をいい、2倍よりも大きいときには結晶粒子以外の結晶相が実質的に存在しているものとする。ノイズレベルの平均値はチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子の示すX線回折ピークの近傍におけるノイズ領域のX線回折パターンのカウントを平均して求める。粒界に非晶質相および結晶粒子以外の結晶相が実質的に存在していない状態を単相と表す場合がある。
次に、本実施形態の圧電素子を製造する方法についてその一例を説明する。まず、原料粉末として、BaCO、TiO、ZrO、SnO、Bi、CuO、SbおよびNbのうちのいずれかを準備し、所定の割合になるように配合して原料混合物を調製する。この場合の組成はBaCOおよびTiOが主成分となり、他の成分であるZrO、SnO、Bi、CuO、SbおよびNbのうちのいずれかが助剤となるようにそれぞれ少量配合して調整する。なお、原料粉末はこれらに限定されるものではなく、焼成により酸化物を生成する硝酸塩などの金属塩類やゾルゲル法などにより用いられる金属アルコキシドを用いることもできる。これらの原料粉末に対して必要に応じてカルシウム成分としてCaCOを加えてもよい。
次に、調製した原料混合物について一旦粉砕処理を行う。このときの粒径としてはメジアン径(D50)を0.3〜1.0μmの範囲とするのがよい。
次に、この粉砕処理した原料混合物を1000〜1200℃の温度条件で仮焼を行った後、粉砕処理を行う。このときの粒径もメジアン径(D50)が0.3〜1.0μmの範囲とするのがよい。
なお、仮焼粉末は、これのX線回折測定(Cukα線)を行ったときに、BaTiO系結晶の(101)ピーク(2θ≒32°)の回折強度をI1とし、(111)のピーク(2θ≒38°)の回折強度をI2としたときに、仮焼粉末のI2/I1比が0.250〜0.300であるのがよい。I2/I1が0.250〜0.300の範囲内であると、添加成分であるビスマス(Bi)が焼成時にチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子中に取り込まれ、1150℃以下の焼結温度範囲においても液相成分をほとんど残存させることなく焼結が進行し、緻密に焼結した圧電磁器を得ることができる。
次に、粉砕処理を行った仮焼粉末に有機バインダを加えて湿式混合を行い造粒粉末を作製する。
次に、作製した造粒粉末を、プレス成形、テープ成形等、周知の成形方法を用いて成形体を作製し、その後、焼成を行う。このときの焼成条件としては、酸化性雰囲気中にて最高温度を1030〜1180℃とするのが良い。こうして焼結体である圧電磁器を得ることができる。
次に、圧電磁器(圧電体層3)の対向する両主面に導体ペーストを塗布し、焼き付けを行って導体層5を形成する。こうして本実施形態の圧電素子1を得ることができる。導体層5の組成としては、銀(Ag)単独もしくは銀(Ag)とパラジウム(Pd)との合金組成を用いるのがよい。
図2は、本実施形態の圧電素子を圧電アクチュエータに適用したときの一例を示す断面図である。この圧電アクチュエータは、上述した圧電素子1を振動板11上に設置したものである。分極方向は圧電素子1の厚み方向(導体層5が設けられている圧電体層3の主面に垂直な方向)である。
このような圧電アクチュエータは、上述のように作製した圧電磁器の厚み方向に分極を施して圧電素子1を作製し、導体層5を形成した後に振動板11に接着する、または、圧電磁器に導体層5を形成して振動板11に接着したのち、圧電磁器の厚み方向に分極することによっても得ることができる。この圧電アクチュエータの導体層5間に電圧を印加することによって、圧電素子1がその厚みに垂直な平面方向に縮み、振動板11を屈曲させることでアクチュエータとして駆動させることができる。
また、上述した圧電素子は、精密位置決め装置、光学装置の光路長制御、流量制御用バルブ、ポンプ、超音波モータ、エンジンの燃料噴射装置、自動車等のブレーキ装置、インクジェットプリンタのインク吐出ヘッド等に使用される薄型(例えば、圧電体層の平均厚みが20μ以下)の圧電アクチュエータなどに好適に用いることができる。
まず、原料粉末として、純度がいずれも99.9%のBaCO粉末、CaO粉末、TiO粉末、ZrO粉末、SnO粉末、Bi粉末、CuO粉末、Nb粉末、Sb粉末を準備した。
これらの原料粉末を、表1に示す割合となるように秤量した。秤量した原料粉末を、純度99.9%のZrOボールおよびイソプロピルアルコール(IPA)と共にポリポットに投入し、回転ミルで16時間混合した。この混合物をポリポットから取り出して乾燥した後、大気中にて900〜1100℃の温度で3時間の仮焼を行った。得られた仮焼粉末を上述と同様な方法で再度20時間粉砕した。この後、粉砕した仮焼粉末に有機バインダとしてポリビニルアルコール(PVA)を混合し、造粒粉末を作製した。なお、仮焼粉末はX線回折測定(Cukα線)の結果、BaTiO系結晶の(101)ピーク(2θ≒32°)の回折強度をI1とし、(111)のピーク(2θ≒38°)の回折強度をI2としたときに、900℃の温度で仮焼を行った試料以外は全てI2/I1比が0.250〜0.300の範囲に入っていた。
次に、得られた造粒粉末を40MPaの圧力で、直径16mm、厚さ1.5mmの円板状に成形した。この成形体を、大気中において表1および表2に示す温度にて3時間保持する条件で焼成することにより圧電磁器を得た。
得られた圧電磁器の組成は、ICP発光分光分析にて定量分析を行い、原料の調合組成と同じであることを確認した。
また、得られた圧電磁器について、X線回折(XRD)を行い、X線回折パターンから結晶相の同定を行った。この場合、2θ=4〜110°の範囲内において、異相の回折強度がチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子の示すX線回折ピークの近傍におけるノイズレベルの平均値の2倍以下であるときに単相であるとし、2倍よりも大きいときに異相が存在することとした。
また、得られた圧電磁器の気孔率(開気孔率)をJIS R−1634の方法によって求めた。
また、得られた圧電磁器を構成する結晶粒子の平均粒径は、圧電磁器の表面または断面を走査型電子顕微鏡観察により撮影した写真上で対角線を引き、その対角線上に存在する結晶粒子の輪郭を画像処理し、各結晶粒子の面積を求め、同じ面積を持つ円に置き換えたときの直径を算出し、算出した結晶粒子10〜50個の平均値から求めた。
圧電磁器の圧電特性は、測定サンプルを以下のようにして作製した圧電素子を用いた。まず、圧電磁器を厚さ1mm程度に研磨して圧電体層に相当するサンプルを作製した。次に、研磨加工を施した圧電磁器の両主面(円板の上下面)に銀(Ag)を主成分とする導体層を形成した。次に、圧電磁器の両主面に形成した導体層にリード線を付けて、約50℃のシリコンオイル中に浸した。次に、この状態で圧電磁器の導体層に直流電界を印加して分極処理を行った。このときの電界強度は圧電磁器の厚さ方向に対して約3.0kV/mmとした。
次に、作製した圧電素子をインピーダンスアナライザを用いて共振法により常温時(25℃)の圧電歪定数(d31)を求めた。圧電特性の測定は日本電子材料工業会標準規格EMASに準じて行った。
圧電磁器の絶縁抵抗は作製した圧電磁器を一旦厚み約0.1mmの厚さに研磨したものから圧電素子を作製し、これに0〜2kV/mmの直流電界を印加して測定した。
Figure 0006075765
Figure 0006075765
表1、2の結果から明らかなように、チタン酸バリウムを主成分とし、これにビスマスと、銅と、ニオブおよびアンチモンのうちのいずれかとを含み、結晶粒子の平均粒径が4〜9μmであるとともに、気孔率が1%以下である圧電磁器の試料(試料No.2〜4、6〜17、19および20)は、いずれも圧電歪定数(d31)が103p・m/V以上、絶縁抵抗が11×10Ω以上であった。
この中で、圧電磁器中に異相が認められなかった(粒界に、非晶質相および結晶粒子以外の結晶相が実質的に存在していなかった)試料(試料No.2〜4、6〜17および20)では、圧電歪定数(d31)が103p・m/V以上、絶縁抵抗が12×10Ω以上であった。また、100時間後においても絶縁抵抗には初期値からの変化が見られなかった。
また、圧電磁器の組成を式Ba1−yBiTi1−b−c(Zr1−aSn(Cu1/32/3(但し、MはNbまたはSb)で表したときに、y、a、b、cが、0<y≦0.014、0≦a≦1、0≦b≦0.09、0<c≦0.015とした試料(試料No.)では、圧電歪定数(d31)が103p・m/V以上、絶縁抵抗が15×10Ω以上であった。
さらに、上記組成の圧電磁器に、バリウム1モルに対してカルシウムの置換量を0.05〜0.11モルだけ置換した試料(試料No.2〜4および7〜17)では、チタン酸バリウムが本来持つ斜方晶−正方晶の相転移温度が、カルシウムを含まない試料(試料No.6)に比較して10℃以上低温側にシフトしていた。
これに対し、以下に示す比較例はいずれも圧電磁器の気孔率が1%以下であったが、圧電歪定数(d31)が103p・m/V以上、絶縁抵抗が11×10Ω以上のいずれかの特性を満足しなかった。なお、特性を測定した試料のサイズは上記と同じとした。
原料粉末として、上記した原料粉末のうち、BaCO粉末、TiO粉末、ZrO粉末およびCuO粉末を用いて、主成分をBa(Ti0.95Zr0.05)Oとし、この主成分100質量部に対し、CuO粉末を0.2質量部添加して作製した成形体を大気中1270℃の温度で焼成して得られた圧電磁器の試料は、結晶粒子の平均粒径は7.0μmであり、絶縁抵抗は11×10Ωであったが、圧電歪定数(d31)が95p・m/Vであった。
なお、BaCO粉末、TiO粉末およびCuO粉末を用いて、主成分をBaTiOの主成分100質量部に対し、CuO粉末を0.5質量部添加して作製した成形体は大気中1300℃の温度で焼成したときに、気孔率は0.8%であったが、結晶粒子の平均粒径が45μmとなった。この試料は圧電歪定数(d31)は140p・m/Vであったが、絶縁抵抗が10×10Ωであった。
原料粉末として、上記した原料粉末のうち、BaCO粉末、TiO粉末およびSnO粉末を用いて、Ba(Ti0.925Sn0.075)Oとして作製した成形体を大気中1250℃の温度で焼成して得られた圧電磁器の試料は、結晶粒子の平均粒径は3.5μmであり、絶縁抵抗は12×10Ωであったが、圧電歪定数(d31)が101p・m/Vであった。
なお、この試料を作製した成形体を大気中1300℃の温度にて焼成した試料は、圧電歪定数(d31)は152p・m/Vであったが、結晶粒子が粒成長して30μmとなり、絶縁抵抗が25×10Ωであった。
また、上記した原料粉末のうち、BaCO粉末およびTiO粉末を用いて、BaTiOとして作製した成形体を、大気中、第1の焼結温度を1300℃とし、第2の焼結
温度を1150℃の2段焼成法により焼成して得られた圧電磁器の試料は、結晶粒子の平均粒径は2μmであり、絶縁抵抗は15×10Ωであったが、室温(25℃)付近における圧電歪定数(d31)が80p・m/Vであった。
1・・・・・・圧電素子
3・・・・・・圧電体層
5・・・・・・導体層
11・・・・・振動板

Claims (2)

  1. チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子および該結晶粒子間に形成された粒界とを有し、前記結晶粒子の平均粒径が1〜10μmであるとともに、気孔率が1%以下である圧電磁器からなる圧電体層と、該圧電体層の主面に設けられた導体層とを備え
    前記圧電磁器を、
    組成式Ba 1−x−y Ca Bi Ti 1−b−c (Zr 1−a Sn (Cu 1/3 2/3 (但し、MはNbまたはSb)で表したときに、x、y、a、b、cが、
    0≦x≦0.11、
    0<y≦0.014
    0≦a≦1
    0≦b≦0.09
    0<c≦0.015
    であることを特徴とする圧電素子。
  2. 前記粒界には、非晶質相および前記結晶粒子以外の結晶相が実質的に存在していないことを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
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