JP6434335B2 - 圧電磁器およびそれを用いた圧電素子 - Google Patents

圧電磁器およびそれを用いた圧電素子 Download PDF

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Description

本発明は、圧電磁器およびそれを用いた圧電素子に関する。
圧電体を利用した製品としては、例えば、フィルタ、センサ、アクチュエータ等があり、特にアクチュエータは、精密工作機械における位置決め、光学装置の光路長制御、流量制御用バルブ、ポンプ、超音波モータ、エンジンの燃料噴射装置、自動車のブレーキ装置、インクジェットプリンタのインク吐出ヘッド等、種々の用途に使用される。圧電アクチュエータは、サブミクロン単位で磁器の変位を精密に制御可能なことに加えて、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する変換効率が高いために、応答速度が速く小さい消費電力でも大きな発生力が得られるという利点も有することから、インクジェットプリンタのヘッドやディーゼルエンジンのインジェクタ等に利用されている。
圧電アクチュエータには、従来から圧電性の高いPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系材料やPT(チタン酸鉛)系材料が使用されていた。しかし、PZT系材料やPT系材料は、鉛を約60質量%の割合で含有しているため、酸性雨に曝される事等により鉛の溶出が起こり、環境汚染を招く危険性が指摘されている。そこで、鉛を主成分としない非鉛圧電材料に高い期待が寄せられている。
圧電性の高い非鉛アクチュエータ用圧電材料として、ペロブスカイト型結晶構造(一般式ABO)を有するBaTiO(チタン酸バリウム)系材料の利用が検討されている。例えば、特許文献1では、BaTiOのBaの一部をCaで置換し、Tiの一部をZrで置換する事で、いずれも強誘電相である斜方晶と正方晶との相転移点を、5℃付近から室温付近に移動させる事により、室温付近で大きな歪み量を示すことが開示されている。また、特許文献2では、BaTiOのTiの一部をZrで置換し、さらにCuOを添加する事で、上記特許文献1と同様の効果を得られる事が開示されている。
特開2009−215111公報 特開平11−180766公報
しかしながら、特許文献1、2に開示された発明は、BaTiO材料をベースにしている為、非常に硬く変形しにくいことが確認されている。このような硬い材料をアクチュエータとして使用した場合、変形量が大きくなると磁器が破壊するという課題があった。
また、緻密な圧電性の高い磁器を得るには、1200℃以上という高温で焼成する必要がある。特に圧電体と内部電極等の導体とを同時焼成して圧電素子を作製する場合、BaTiO材料が緻密化するような高温で焼成するためには、導体材料としてパラジウム(Pd)比率の高い銀−パラジウム(Ag−Pd)材料(Pd比率50%以上)や、還元雰囲気中で焼成を行うニッケル(Ni)材料等を使用する必要がある。しかし、パラジウムは高温で酸化還元反応を示すため、Pdを含む導体と圧電材料とを高温で同時焼成すると、圧電磁器中に酸素空孔が発生し、圧電特性が変動するという課題があった。また、還元雰囲気中で焼成すると、圧電磁器内に酸素空孔が生成し圧電特性が変動するという課題があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、鉛を含有しないペロブスカイト型の結晶構造を有し、低温で緻密化できるとともに、圧電定数および変形性の高い圧電磁器及び圧電素子を提供することを目的とする。
本発明の圧電磁器は、一般式ABOで表されるペロブスカイト型結晶構造を有する圧電磁器であって、Ba、CaBiおよびSrが前記ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを構成し、TiCu、Zr、Sn、Mg、Zn、NbおよびSbが前記ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを構成するとしたとき、前記Aサイト及び前記Bサイトを構成する元素の合計100モル%に対し、前記Aサイトを構成する元素および前記Bサイトを構成する元素の含有量が、
Ba:43.7〜46.9モル%、
Ca:1.5〜5.0モル%、
Bi:0.2〜0.4モル%
Ti:45.1〜46.9モル%、
Cu:0.7〜1.0モル%
Zr:0.5〜4.0モル%
Sn:0.6〜2.1モル%、
Mg、Zn、NbおよびSb:いずれも0.1モル%以下、
Sr:1.3モル%以下、であるとともに、前記Bサイトを構成する元素に対する前記Aサイトを構成する元素の割合であるA/B比が、0.994以下であることを特徴とする。
本発明の圧電素子は、一対の対向面を有する圧電体と、該圧電体の前記対向面に、互いに対向するように設けられた一対の電極と、を備え、前記圧電体が、上述の圧電磁器からなることを特徴とする。
本発明によれば、鉛を含有しないペロブスカイト型の結晶構造を有し、低温で緻密化するとともに、圧電定数および変形性の高い圧電磁器及び圧電素子を提供できる。
(a)は、本発明の一実施形態である圧力センサ素子を模式的に示す斜視図、(b)は、本発明の別の実施形態であるアクチュエータを示す概略縦断面図である。 3点曲げ試験の概略を示す図である。
本発明の圧電磁器およびそれを用いた圧電素子の具体的な実施形態について、図を参照しつつ詳細を説明する。
図1に、圧力センサ素子および圧電アクチュエータを示す。図1(a)は、圧力センサ素子の概略斜視図であり、圧電磁器からなる圧電基体1の対向する一対の主面に、互いに対向するように配置された一対の電極2、3を備えた圧力センサ素子を示している。圧電基体1は主面に垂直な方向に分極されており、主面間に加わる圧力により各主面に電荷が生じ、この電荷を測定することにより、圧力センサ素子では主面間に加わっている圧力を測定することができる。
図1(b)は、アクチュエータの概略縦断面図であり、圧電基体11の一方の主面に電極12を、他方の主面に電極13を配し、振動板14上に設置した圧電アクチュエータを示している。圧電基体1は厚み方向に分極されている。このような圧電アクチュエータは、圧電磁器の厚み方向に分極を施して圧電基体11を作製し、電極12、13を配して振動板14に接着する、または、圧電磁器に電極12、13を配して振動板14に接着したのち、圧電磁器の厚み方向に分極することにより作製できる。このようなアクチュエータは、電極12と電極13との間に電圧を加えることにより、圧電基体11がその厚みに垂直な平面方向に縮み、振動板14を屈曲させることでアクチュエータとして働く。
本実施形態では、圧電磁器として、一般式ABOで表されるペロブスカイト型結晶構
造(以下、ペロブスカイト構造という場合もある)を有するものを用いる。圧電磁器は、構成元素として少なくともBa、Ca、Ti、Bi及びCuを含んでいる。構成元素のうち、Ba、CaおよびBiがペロブスカイト型結晶構造のAサイトを構成し、TiおよびCuが前記ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを構成するとしたとき、Aサイト及びBサイトを構成する元素の合計100モル%に対し、Baの含有量は41.2〜47.8モル%、Caの含有量は0.2〜7.6モル%、Biの含有量は0.1〜0.5モル%、Tiの含有量は43.8〜49.4モル%、Cuの含有量は0.5〜1.2モル%の範囲である。なお、以下、モル%という場合は、すべてペロブスカイト構造のAサイト及びBサイトを構成する元素の合計100モル%に対する比率をさす。また、Bサイトを構成する元素に対するAサイトを構成する元素の割合(以下、A/B比という)は、0.994以下である。
本実施形態では、圧電磁器の構成元素の含有量をこのような範囲とする事により、高い圧電定数を有し、変形率が高く変形に対する耐久性に優れた圧電磁器とすることができる。本実施形態の圧電磁器は、例えば厚さ1mm以下の平板形状の圧電磁器の試験片を用いてJIS R 1602に準じた3点曲げ試験を実施した際、支点間距離Lに対する荷重点の最大変位yの比率である変形率(y/L)が、10%以上となる(図2を参照。破線は変形前の試験片の形状および荷重用ロールの位置を示す)。なお、荷重点の最大変位とは、試験片が破壊する直前の荷重点の変位を意味する。
本実施形態においては、BaTiO系のペロブスカイト構造において、Aサイトを構成するBaの一部をCaおよびBiで置換している。
Baをの一部をCaで置換することにより、圧電特性が向上する。これは、Caのイオン半径がBaより小さく、ペロブスカイト構造の単位格子に歪が生じるためである。このような効果は、Caの含有量を0.2モル%以上とすることで得られる。一方、Caの含有量が7.6モル%を超えると焼結性が著しく低下するため、Caの含有量は0.2〜7.6モル%の範囲とする。このような効果は、Baの一部をさらにSrで置換することでも得られる。Srはイオン半径がCaよりも大きいが、Baと比べると小さいため、Baの一部をSrで置換することで、Caの場合と同様にペロブスカイト構造の単位格子に歪みが生じる。Srの場合は、含有量が2.5モル%を超えると焼結性が著しく低下するため、その含有量は0〜2.5モル%とする事が望ましい。
Biは、Baの一部と置換することにより、結晶の共有結合性を高めて安定化することができる。これは、Biの電気陰性度が1.9であり、Baの電気陰性度0.9に比して大きいことに起因する。本実施形態では、Biを0.1モル%以上含有し、Baの一部をBiと置換することにより、少なくとも25℃〜80℃の温度範囲において、強誘電相である正方晶(tetragonal)を安定して存在させる効果がある。さらに、Biは6s2孤立電子対を持つため、Biを含む化合物は結晶構造に大きな歪を有する。したがって、Baの一部をBiで置換することにより、結晶構造全体の歪が大きくなって圧電特性が向上するという効果が得られる。一方、Biの含有量が0.5モル%より多くなると、Biが粒界に残存して絶縁性が低下し、アクチュエータとして安定した動作が得られないため、Biの含有量は0.1〜0.5モル%の範囲とする。
本実施形態においては、BaTiO系のペロブスカイト構造において、Bサイトを構成するTiの一部をCuで置換している。Tiの一部をCuで置換することにより、圧電磁器の焼結性や比誘電率の温度特性、耐熱性が向上する。特に、A/B比を0.994以下とし、Cuの含有量を0.5〜1.2モル%とすることで、より低温で磁器の焼結(緻密化)が可能となり、融点の低い電極材料との同時焼成が可能となる。また、大気中で焼成した場合でも還元反応が起こりにくく、圧電特性の劣化を抑制でき、磁器特性のバラツ
キを小さく抑え、磁器を安定して製造することができる。本実施形態では、1100℃程度の低温での焼成により、密度が5.3g/cm以上の緻密な圧電磁器とすることができる。
なお、A/B比が0.994より大きいと、焼結性が低下するとともに、圧電特性が低下する。また、A/B比は0.931以上であることが好ましい。A/B比が、0.931よりも小さくなると、化学量論的なバランスから逸脱して焼結性が低下する懸念がある。Cuが1.2モル%を超えると、2価のCuがBサイトに過剰に存在することになり、圧電特性が低下する。
Bサイトを構成するTiは、さらにその一部がZr、Sn、Mg、Zn、Nb、Sbからなる元素群(以下、Bサイト置換元素群という)のうち、少なくともいずれか1種で置換されていることが好ましい。
Tiの一部を上述のBサイト置換元素群で置換することにより、強誘電相である正方晶(tetragonal)と常誘電相である立方晶(cubic)の相転移点(キュリー温度Tc)を90〜
120℃の範囲に制御できるとともに、斜方晶(orthorhombic)と正方晶(tetragonal)との相転移点(以下、O−T相転移点という)を、−20〜50℃の範囲に制御することができる。すなわち、正方晶の温度範囲がアクチュエータとして使用される温度領域(通常、−20〜80℃)に対して十分に広いものとなる。Bサイト置換元素群は、酸素との六配位状態においてTiに比べ大きなイオン半径を有し、Tiの一部と置換することにより結晶構造内部に歪を形成するため、圧電特性の向上にも寄与している。
Zrの含有量は、4.2モル%以下、Snの含有量は、4.3モル%以下であることが好ましい。Zr、Snの含有量がこの範囲よりも多くなると、キュリー温度Tcが90℃以下となる一方で、O−T相転移点が60℃以上となる。このようにキュリー温度TcとO−T相転移点とが近接すると、正方晶が存在する温度範囲が狭くなり、場合によっては、正方晶を介さず斜方晶と立方晶との相転移が直接起こる。このような場合、アクチュエータとして安定した動作が得られなくなる。
Mg、Zn、Nb、Sbの含有量は、いずれも0.2モル%以下であることが好ましい。0.2モル%以下とすることで、ペロブスカイト構造を維持したまま、結晶構造内部に大きな歪を形成できる。
なお、Aサイトを構成する元素およびBサイトを構成する元素の含有量は、
Ba:43.7〜46.9モル%、
Ca:1.5〜5.0モル%、
Bi:0.2〜0.4モル%
Ti:45.1〜46.9モル%、
Cu:0.7〜1.0モル%
Zr:0.5〜4.0モル%
Sn:0.6〜2.1モル%
Mg、Zn、Nb、Sb:いずれも0.1モル%以下、
Sr:1.3モル%以下、
であることが好ましい。このような範囲とすることで、室温での圧電歪定数(d31)を100pm/V以上とすることができる。
圧電磁器を構成する結晶粒子の平均粒径は、6μm以下であることが好ましい。平均粒径を6μm以下とすることで、圧電磁器が変形した際に粒内破壊を防ぎ、圧電磁器の変形率を高めることができる。平均粒径は、圧電磁器の破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)
写真から、画像解析ソフトを用いて結晶粒子の専有面積とそれを円換算した粒径を算出し、たとえば10〜20個の結晶粒子の粒径の平均値を求めればよい。なお、平均粒径を評価する破断面は、必要に応じ鏡面加工やサーマルエッチング処理(例えば温度は900℃程度)されたものであってもよい。また、圧電磁器の焼き肌面の粒径が、圧電磁器の内部の粒径と大差ない場合は、焼き肌面で平均粒径を評価してもよい。
圧電磁器は、工程上の不可避不純物としてSi、Ce、Al、Na、Fe、Ni、Cr、Mo等の元素を含有する場合がある。本実施形態においては、これらの元素を合計で0.5質量%以下の範囲で含有していてもよい。これらの元素は、圧電磁器中の含有量が合計で0.5質量%以下であれば、圧電磁器の特性には影響しない。
圧電磁器の組成や不純物元素の含有量は、蛍光X線分析やICP発光分光分析などの元素分析により確認できる。
本実施形態の圧電磁器の製法の一例について説明する。本実施形態の圧電磁器を作製するには、原料として、BaCO、CaCO、MgCOなどの炭酸塩や、TiO、ZrO、SnO、Bi、MgO、CuO、ZnO、SbおよびNbなどの酸化物を用いればよい。なお、原料はこれらに限定されるものではなく、焼成により酸化物を生成する硝酸塩などの金属塩類や、ゾルゲル法などに用いられる金属アルコキシドでもよい。
上記のような原料を用いて、ペロブスカイト構造のAサイト及びBサイトを構成する元素の合計100モル%に対し、各元素の含有量が、Baは41.2〜47.8モル%、Caは0.2〜7.6モル%、Biは0.1〜0.5モル%、Tiは43.8〜49.4モル%の範囲であり、Srは2.5モル%以下、Cuは0.5〜1.2モル%、Zrは4.2モル%以下、Snは4.3モル%以下、Mg、Zn、NbおよびSbはいずれも0.2モル%以下となるように秤量する。また、A/B比は0.994以下となるようにする。
秤量した原料を混合し、平均粒径(D50)が0.3〜1.0μmの範囲となるように粉砕する。粉砕した混合物を1000〜1100℃で仮焼し合成物を得る。得られた合成物を粉砕し、平均粒径(D50)が0.3〜1.0μmの範囲となるように調整する。その後、所定のバインダを加えて湿式混合し、造粒粉末を得る。
得られた造粒粉末を、プレス成形、テープ成形等、周知の成形方法により所定形状に成形し、大気中等の酸化性雰囲気において、1050〜1130℃の温度範囲で1〜5時間焼成することにより、本実施形態の圧電磁器が得られる。成形したテープに電極パターンを印刷した後積層し、圧電磁器と電極材料とを同時焼成して積層体を作製してもよい。
なお、本実施形態の圧電磁器は、ペロブスカイト型結晶構造を有するものであれば、単一の組成を有する結晶粒子からなるものであってもよいし、本発明の範囲内であって、組成の異なる2種以上の結晶粒子が複合化した複合体であってもよい。複合体は、たとえば組成の異なる2種以上の合成物を合成し、これら2種以上の合成物を粉砕・混合して圧電磁器を作製すればよい。また、圧電磁器が単一の組成を有する結晶粒子からなるか、組成の異なる2種以上の結晶粒子の複合体であるかについては、たとえば、圧電磁器を構成する各結晶粒子の組成を分析したり、圧電磁器のX線回折パターンを解析することにより判断できる。
圧電素子は、例えば上述のようにして作製した圧電磁器を、対向面を有する形状に必要に応じて加工し、その対向面に、互いに対向するように一対の電極を設け、この一対の電極間に直流電圧を印加して圧電磁器を分極することにより得られる。分極処理の電界強度
は、電極の材料は、導電性を有するものであればいずれでもよく、たとえばAu、Ag、Pd、Pt、Cu、Al、Niやそれらの合金などを用いることができる。
以下、本発明の圧電磁器について、実施例に基づき詳細に説明する。まず、原料粉末として、純度99.9%のBaCO粉末、TiO粉末、CaCO粉末、SrCO粉末、ZrO粉末、SnO粉末、Bi粉末、MgCO粉末、ZnO粉末、Nb粉末、Sb粉末及びCuO粉末を準備した。
これらの原料粉末を、ペロブスカイト構造のAサイト及びBサイトを構成する元素の合計100モル%に対し、各元素の含有量が表1に示す量となるように秤量し調合した。
Figure 0006434335
調合した原料粉末を、純度99.9%のZrOボールおよびイソプロピルアルコール(IPA)と共にポリポットに投入し、回転ミルで16時間混合した。この混合物をポリポットから取り出して乾燥した後、大気中にて1000〜1100℃の温度で3時間仮焼して合成物を得た。得られた合成物を、上述と同様な方法で20時間粉砕して合成粉末とした。
粉砕した合成粉末に、バインダとしてポリビニルアルコール(PVA)を混合し、造粒粉末を作製した。得られた造粒粉末を40MPaの圧力で、直径16mm、厚さ1.5mmの円板状に成形した。また、合成粉末を用いて厚さ50μmのグリーンシートを作製した。この成形体およびグリーンシートを、大気中において表2に示す最高温度で3時間焼成することにより、圧電磁器を得た。
得られた圧電磁器について、以下のような分析、評価を行った。組成は、ICP発光分光分析にて定量分析を行い、原料粉末の調合組成と同じであることを確認した。結晶構造は、X線回折(XRD)測定により得られた回折パターンを同定した結果、いずれの試料もペロブスカイト型の結晶構造を有していることを確認した。密度はアルキメデス法により測定した。平均粒径は、焼き肌面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を画像解析することにより算出した。
圧電特性は、以下のようにして評価した。研磨加工により円板状の圧電磁器の厚さを1mmとした後、圧電磁器の両主面(円板の上下面)にAg電極を形成した。50℃のシリコンオイル中で対向する電極間に3.0kV/mmの直流電界を印加し、円板状の圧電磁器の厚さ方向に分極処理を行い、圧電素子を作製した。
作製した圧電素子について、インピーダンスアナライザを用いて、共振法により常温(25℃)での圧電歪定数(d31)を求めた。なお、圧電特性の測定は、日本電子材料工業会標準規格EMASに準じて行った。
圧電磁器の変形率は、島津製作所製オートグラフAG−IS(5kN)を用いた3点曲げ試験により測定した。グリーンシートを焼成した厚さ(t)40μmの圧電磁器を、長さ(L)38mm、幅(w)9mmの試験片に加工して3点曲げ試験を行い、破壊直前の荷重点の変位yを測定した。変形率は、yの支点間距離Lに対する比率y/Lとした。焼成条件、圧電磁器の評価結果を表2に示す。
Figure 0006434335
試料No.1〜28は、ペロブスカイト構造のAサイト及びBサイトを構成する元素の合計を100モル%としたとき、各元素の含有量が、
Baは41.2〜47.8モル%、
Caは0.2〜7.6モル%、
Biは0.1〜0.5モル%、
Tiは43.8〜49.4モル%
Cuは0.5〜1.2モル%、
Srは2.5モル%以下、
Zrは4.2モル%以下、
Snは4.3モル%以下、
Mg、Zn、NbおよびSbはいずれも0.2モル%以下の範囲であるとともに、
A/B比が0.994以下であることから、
1100℃という比較的低温の焼成温度で密度が5.3g/cm以上の緻密な磁器が得られ、その圧電歪定数d31は90ppm/Vを超えていた。また、変形率が10%を超え、変形に対する耐久性に優れたものとなった。
さらに、試料No.15〜28では、各元素の含有量が、
Baは43.7〜46.9モル%、
Caは1.5〜5.0モル%、
Biは0.2〜0.4モル%、
Tiは45.1〜46.9モル%、
Cuは0.7〜1.0モル%
Srは1.3モル%以下、
Zrは0.5〜4.0モル%
Snは0.6〜2.1モル%
Mg、Zn、Nb、Sbはいずれも0.1モル%以下の範囲であることから、d31が100ppm/Vを超えるものとなった。
一方、各元素の含有量やA/B比が上述の範囲外である試料No.29〜32は、1125℃の焼成では充分に緻密化せず、d31も低いものとなった。試料No.29は、1300℃という高温で緻密化したものの粒成長し、変形率が10%よりも小さく変形に対する耐久性に劣るものであった。また、試料No.30〜32は、変形率は10%を超えるものの、低密度でd31が非常に小さいものであった。
1、11:圧電基体(圧電磁器)
2、3、12、13:電極
14 :振動板
P :分極の向き

Claims (4)

  1. 般式ABOで表されるペロブスカイト型結晶構造を有する圧電磁器であって、
    Ba、CaBiおよびSrが前記ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを構成し、TiCu、Zr、Sn、Mg、Zn、NbおよびSbが前記ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを構成するとしたとき、
    前記Aサイト及び前記Bサイトを構成する元素の合計100モル%に対し、
    前記Aサイトを構成する元素および前記Bサイトを構成する元素の含有量が、
    Ba:43.7〜46.9モル%、
    Ca:1.5〜5.0モル%、
    Bi:0.2〜0.4モル%
    Ti:45.1〜46.9モル%、
    Cu:0.7〜1.0モル%
    Zr:0.5〜4.0モル%
    Sn:0.6〜2.1モル%、
    Mg、Zn、NbおよびSb:いずれも0.1モル%以下、
    Sr:1.3モル%以下、であるとともに、
    前記Bサイトを構成する元素に対する前記Aサイトを構成する元素の割合であるA/B比が、0.994以下であることを特徴とする圧電磁器。
  2. 前記A/B比が、0.931以上であることを特徴とする請求項1に記載の圧電磁器。
  3. 結晶粒子の平均粒径が、6μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電磁器。
  4. 一対の対向面を有する圧電体と、該圧電体の前記対向面に、互いに対向するように設けられた一対の電極と、を備え、前記圧電体が、請求項1〜のいずれかに記載の圧電磁器からなることを特徴とする圧電素子。
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