以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の移植機の一例として玉葱苗を移植する玉葱苗移植機10を示す側面図であり、図2は、玉葱苗移植機10の平面図である。
尚、以下の説明では、操縦ハンドル47を配置した側を後とし、その反対側、すなわちエンジン41を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
本実施の形態1の玉葱苗移植機10は、機体を前進走行可能とする走行車体40と、走行車体40の後部に設けた歩行操縦用の操縦ハンドル47と、圃場に苗を植付ける植付装置42と、植付装置42に苗を供給する苗供給装置43を備えている。
走行車体40は、エンジン41と、エンジン41の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の駆動車輪である後輪44と、後輪44の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪45とを備えている。
エンジン41の後側には、ミッションケース39が配置されている。ミッションケース39は、その左側部からエンジン41の左側方に延びるケース部分を有しており、このケース部分がエンジン41の左側部と連結している。このケース部分にエンジン41の出力軸が入り込んでミッションケース39内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。
ミッションケース39の左右両側部には、前後に長い走行用伝動ケース38の前部が回動自在に取り付けられている。具体的には、走行用伝動ケース38の前部の機体内側部に、走行用伝動ケース38と一体回転可能に回転するアクスルケース11を設け、このアクスルケース11をミッションケース39の左右両側部に回動自在に取付けて、走行用伝動ケース38をミッションケース39の左右両側部に対応して回動自在に取付けている。そして、この走行用伝動ケース38の後部側方に突出させた後輪車軸12に後輪44を装着している。
走行用伝動ケース38の前部の回動軸心位置には、ミッションケース39から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで、ミッションケース39内の走行部系変速伝動部を経た走行用の動力が走行用伝動ケース38内の伝動機構に伝達している。そして、走行用の動力は走行用伝動ケース38内の伝動機構を介して、走行用伝動ケース38の後端車軸12に伝動し、後輪44が駆動回転する構成としている。
尚、ミッションケース39内に設けた左右それぞれのサイドクラッチ(図示せず)により、左右の各後輪44の駆動を断つことが出来る構成になっている。従って、機体を旋回させるときには、サイドクラッチにより旋回内側となる左右一方の後輪44を非駆動状態にしてスムーズに旋回出来る構成としている。
又、走行用伝動ケース38には、走行用伝動ケース38の前部側を回動支点として後輪44を上下させる、上下回動する駆動手段が連結している。具体的には、走行用伝動ケース38のミッションケース39への取付部には、上方に延びるアーム13が一体的に取り付けられており、アーム13がミッションケース39に固定された昇降用油圧シリンダーのピストンロッド先端に取り付けた連結体の左右両側部と連結している。左右一方側(右側)は、連結ロッドで連結し、他方側(左側)は、機体の傾斜に対応して伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダーで連結している。
昇降用油圧シリンダーが作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右のアーム13は後方に回動し、これに伴い走行用伝動ケース38が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダーのピストンロッドが機体前方に移動してシリンダー内に引っ込むと、左右のアーム13は前方に回動し、これに伴い走行用伝動ケース38が上方に回動して、機体が下降する。
この昇降用油圧シリンダーは、畝面に接地して機体と畝面との上下間隔の変動に伴って動作するセンサー14によって作動する。センサー14の動作は機体の位置を基準とした畝上面高さを検出する動作となり、そのセンサー14の検出動作に基づいて機体を畝上面高さに対応して設定高さになる構成で昇降用油圧シリンダーが作動する構成としている。
又、左右水平制御用油圧シリンダーが伸縮作動すると、その左右水平制御用油圧シリンダーと連結する左側のアーム13が回動して、左側の後輪44のみを上下動させ、機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダーは、左右水平を基準として機体の左右傾斜を検出するセンサーの検出結果に基づいて作動して、機体を左右水平にする構成としている。
エンジン41下方の左右中央位置で前後方向の軸心回りに回動自在に取り付けた横フレーム16の左右両側部に、上下に長い縦フレーム17が取付けられており、左右前輪45は、縦フレーム17の下端部側方に固着した前輪車軸18に回転自在に取り付けられている。従って、左右前輪45は、機体の左右中央の前後方向の軸心回りにローリング動自在となっている。又、横フレーム16の左右両側部を基準として、縦フレーム17が上下調節可能に設けられており、前輪45の高さ調節をすることが出来る構成としている。
前記操縦ハンドル47は、機体後部に設けられており、後輪44の後輪車軸12より機体後側に位置している。具体的には、ミッションケース39に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けられている。
機体フレーム19は、機体の左右中央で後方に延び、又、前後中間部から斜め後上方に延びている。
操縦ハンドル47は、機体フレーム19の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル47のグリップ部としている。
尚、図2では、グリップ部を左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル47の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
植付装置42は、先端が下方に向かう嘴状の複数の植付具と、植付具の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに植付具を上下動させる上下動機構21と、嘴状の植付具の下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容可能する閉状態と植付具の下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出可能とする開状態とに植付具を開閉する開閉機構とを備える。
本実施の形態1の植付装置42は、植付具を左右に複数体並べて配備した複数条植の構成としている。本実施の形態1では、植付具を左右に設定間隔で四体並べて配備した4条植えの構成としており、これらの植付具を、機体左側から順に第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dとする。
4体の第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dは、ミッションケース39から伝動される伝動ケース26の左右両側部に設けられた上下動機構21に2体ずつ装着されている。尚、伝動ケース26は、機体フレーム19に下部を固定した取付部材の上部に固着されている。
上下動機構21は、伝動ケース26を基準として前部が上下回動自在に装着され、後部の左右両側に植付具が連結した昇降リンクを備えている。そして、別途設けた駆動機構により伝動ケース26内からの動力で昇降リンクを上下動させ、昇降リンクの左右に連結した、第1植付具20a及び第2植付具20b、又は、第3植付具20c及び第4植付具20dが上下動する構成となっている。
この上下動の上昇位置では各植付具20a〜20dの下端部が圃場面より上方に位置し、下降位置では各植付具20a〜20dの下端部が圃場面より下方に位置する。
各植付具20a〜20dの開閉機構は、伝動ケース26内からの動力で作動し、上下動機構21の作動に連動して、各植付具20a〜20dが下降して下端位置に達するとその植付具20a〜20dの下部側を左右に開いて下方に開放状態とし、各植付具20a〜20dが上昇して上端位置に達するとその植付具20a〜20dの下部側を閉じて閉塞状態とする構成である。
4体の植付具のうち、左右内側に配置された第2植付具20b及び第3植付具20cは、左右外側に配置された第1植付具20a及び第4植付具20dよりも後側に位置している。又、左右の上下動機構21は、180度位相を異ならせて作動する構成となっており、左右一方の外側の第1植付具20a又は第4植付具20dと、左右他方の内側の第3植付具20c又は第2植付具20bとが、それぞれ圃場において同じ前後位置に苗を植付ける構成としている。
苗供給装置43は、苗を上方から受け入れて内側に苗を収容する複数の苗収容体22と、苗収容体22を、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの上方を通過させて周回移動させる移動機構23と、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの上方位置で苗収容体22の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの何れかに苗を供給させる苗落下機構とを備える。
各苗収容体22は、上下に開口する筒状体と、その筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋とを有し、互いにループ状に連結している。
移動機構23は、連結した各苗収容体22が各植付具20a〜20dの上方近傍を通過する状態で、機体平面視で左右に長い長円形状のループ状の軌跡で、連結した苗収容体22を左回りに周回動させる。
苗落下機構は、苗収容体22の底蓋を、その苗収容体22に対応する、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの何れかの上方位置で開放する。
本実施の形態1では、苗収容体22の外周に円筒外周部を形成し、その円筒外周部に外側から回動自在に接続する係合部(丸孔)を設けて、2つの苗収容体22を連結する連結体を複数形成した。そして、その連結体の係合部を苗収容体22の円筒外周部に回動自在に接続し、その円筒外周部を回動軸として隣の苗収容体22が回動自在に連結する状態として、複数の苗収容体22を互いに連結した構成としている。すなわち、苗収容体22と連結体とで無端チェーンの如く連結した構成である。
これにより、苗収容体22は、直線的に移動する直線状部分28でも円弧状に移動する円弧状部分29でも隣接する苗収容体22との間隔が変わらないので、苗収容体22から各植付具20a〜20dに苗を供給する個所で、苗収容体22の各植付具20a〜20dを基準とした位置ズレが生じ難くなり、苗供給が適正に行われて適確な苗の植え付けが出来る。
苗供給装置43の移動機構23は、無端チェーンの如く互いに連結する苗収容体22を、左右に設けたスプロケットの外周の円弧状切欠部に巻き掛け、この左右のスプロケットを伝動ケース26内から取り出した動力で駆動回転することにより、各苗収容体22を周回動させる構成としている。
苗収容体22が周回する周回移動経路は、平面視で左右方向に延びる直線状部分28と、スプロケットにより直線状部分28から前側又は後側に円弧状に曲がる円弧状部分29とを備えた長円状であり、左右の後輪44より機体内側に配置されている。
又、各植付具20a〜20dは、後輪車軸12の位置よりも後側に配置している。
苗供給装置43は、4体の第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dに合わせて苗収容体22が一回りで周回移動して苗を供給する構成としている。
図2に示すとおり、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dは、それぞれ、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dで、苗収容体22から苗が落下供給される。
そして、各植付具20a〜20dに対応して落下供給する苗を収容する苗収容体22を各別に設けており、苗収容体22が対応する各植付具20a〜20dの上方にきたときのみ底蓋が開き、対応しない各植付具20a〜20dの上方では底蓋が開かない構成としている。
すなわち、第1植付具20aに対応する苗収容体22は第1落下供給位置31aにきたときのみ、第2植付具20bに対応する苗収容体22は第2落下供給位置31bにきたときのみ、第3植付具20cに対応する苗収容体22は第3落下供給位置31cにきたときのみ、第4植付具20dに対応する苗収容体22は第4落下供給位置31dにきたときのみに、それぞれの底蓋が開いて、対応する植付具20a〜20dにのみ苗が供給される構成となっている。
移動機構23の作動周期は、上下動機構21の作動周期に同期する設定にされており、各植付具20a〜20dに対応する苗収容体22を合わせて1つの苗収容体ユニットとして、その苗収容体ユニットを複数連結した構成とすることにより、苗収容体22が4箇所の落下供給位置31a〜31dを直列的に通過しながら、4体の植付具20a〜20dに対応して苗供給漏れが生じることなく苗を供給出来、且つ4箇所の落下供給位置31a〜31dを通過した後に苗が供給されなかった苗収容体22が生じなくすべく、余すことなく4体の植付具20a〜20dに対応して苗を供給出来る構成としている。
本実施の形態1の玉葱苗移植機10は、各植付具20a〜20dが植付けた苗に合わせて覆土鎮圧することに利用される覆土鎮圧輪37を各植付具20a〜20dの苗植付け個所の各後方左右両側近傍位置に設けている。
又、苗供給装置43に苗を補給する作業者が乗車して苗補給作業が行えるべく、作業者が座る作業者用座席46を設けている。具体的には、苗供給装置43の前側となる機体左右中央位置に後向きに作業者用座席46を配置している。作業者用座席46に座る作業者は、苗供給装置43の前側部に向って後側向き姿勢で着座して、苗供給装置43の前側部、特に苗収容体22の周回移動経路における前側の直線状部分28に対応して苗補給作業を行う。
作業者用座席46の左右両側で機体側面視で後輪44の後輪車軸12の上方位置に、苗供給装置43に補給する苗を収容可能な苗載台50を設けている。
次に、本実施の形態1の玉葱苗移植機10の上下動機構21の構成及び動作について説明する。
図3に、第1植付具20a及び第2植付具20bへの苗供給時の上下動機構21部分の斜視図を示し、図4に、第1植付具20a及び第2植付具20bの苗植付け時の上下動機構21部分の斜視図を示す。図3及び図4は、機体の左斜め後方から見た斜視図を示している。
又、図5に、機体左側の上下動機構21への第1植付具20a及び第2植付具20bの取り付け構成を示す平面図を示す。
伝動ケース26の左側に設けた上下動機構21には、第1植付具20a及び第2植付具20bが装着されている。同様に、伝動ケース26の右側に設けた上下動機構21には、第3植付具20c及び第4植付具20dが装着されている。
ここでは、機体左側に配置される上下動機構21について説明する。第3植付具20c及び第4植付具20dを上下動させる機体右側に配置される上下動機構21も、同様の構成である。
第1植付具20a及び第2植付具20bの上方には、それぞれ苗ガイド65が設けられている。苗ガイド65は、苗供給装置43から供給された苗を第1植付具20a及び第2植付具20b内に案内する。苗ガイド65は、苗の供給口(上側)が広く、苗の案内口(下側)が狭くなった筒状体であり、苗供給装置43から落下供給される苗を受け入れて、適確に第1植付具20a及び第2植付具20b内に苗を案内し供給することが出来る。
機体左側の上下動機構21は、伝動ケース26の左側方に突出した回動支点軸63及び従動支点軸69に、それぞれ前部を上下回動自在に装着し、後部を第2植付具20bに連結した上リンク61及び下リンク62を備える。
上リンク61及び下リンク62の回動先端部(後端部)は、それぞれ上連結軸67及び下連結軸68によって、右側植付具支持プレート66が連結している。そして、右側植付具支持プレート66に第2植付具20bが取り付けられている。
又、図3及び図4では図示していないが、図5に示すとおり上連結軸67及び下連結軸68の左側にも左側植付具支持プレート57が取り付けられており、左側植付具支持プレート57に第1植付具20aが取り付けられている。
すなわち、上リンク61及び下リンク62の右側に第2植付具20bが取り付けられ、左側に第1植付具20aが取り付けられている。
伝動ケース26側方に突出する駆動軸と一体回転する構成で取付けられた駆動アーム64の回転外周側端部に、下リンク62に回動自在に連結する連結アームの他端が回動自在に連結している。駆動アーム64が駆動回転すると、上リンク61及び下リンク62が上下動して、左右に取り付けられた第1植付具20a及び第2植付具20bが上下動する。
又、上リンク61の前端が連結する回動支点軸63は、伝動ケース26から突出して回転駆動する植付出力軸の先端部に、植付出力軸の中心軸心より偏心させた位置に設けられている。回動支点軸63は、植付出力軸の回転によって植付出力軸の軸芯を中心として偏心量(回動支点軸63と植付出力軸の軸芯との間隔)を半径として回転しながら移動する。従って、上リンク61及び下リンク62の上下動中に回動支点軸63が前後に移動することにより、第1植付具20a及び第2植付具20bをその昇降動中に前後に傾け、第1植付具20a及び第2植付具20bの先端部を側面視8の字状の第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bで上下動させる構成となっている。
図3に示す側面視8の字状の第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bは、玉葱苗移植機10が走行せず停止しているときの、第1植付具20a及び第2植付具20bの先端部の各静軌跡を示している。
図3に示すとおり、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bは、それらの軌跡の上下方向の上部で交差する8の字状の軌跡である。すなわち、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bは、いずれも、それぞれの軌跡の最上点と最下点の真中よりも上方の位置で交差する。
第1植付具20a及び第2植付具20bは、各先端が第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bの交差点よりも上方にあるときに苗収容体22から苗が落下供給される。
8の字状の第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bのそれぞれの交差点が、各軌跡の上方に位置する構成としているので、それらの交差点よりも上方における前後の移動距離は小さくなる。すなわち、苗収容体22から苗が供給される際の、第1植付具20a及び第2植付具20bの前後方向の移動距離が抑制され、苗収容体22から苗を落下供給するタイミングの幅が広がるので、苗収容体22から第1植付具20a及び第2植付具20bへ苗を確実に供給させることができる。
このとおり、第1植付具20a及び第2植付具20bの各先端が、側面視で上部で交差する8の字状の軌跡を描く構成で動作させることで、第1植付具20a及び第2植付具20bの作動を円滑にしながら、上死点近くで前後移動幅を抑えることができ、第1植付具20a及び第2植付具20bへの苗の受け渡しが安定して適正に行える。
図6(a)及び図6(b)に、それぞれ、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bに、第1植付具20a及び第2植付具20bの先端の移動タイミングを示した図を示す。
図6(a)及び図6(b)において、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15b上に示すプロット位置は、同じ所定時間間隔における第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15b上の、第1植付具20a及び第2植付具20bの各先端の位置を示している。すなわち、各プロット間の距離が長い部分は、各植付具20a及び20bの先端が速く移動しており、各プロット間の距離が短い部分は、各植付具20a及び20bの先端が遅く移動していることを示している。
図6(a)及び図6(b)に示すとおり、各植付具20a及び20bの先端は、8の字状の交差点より下方では速く移動し、8の字状の交差点より上方では遅く移動する構成としている。すなわち、交差点より上方における各植付具20a及び20bの先端の平均移動速度が、交差点より下方における各植付具20a及び20bの先端の平均移動速度よりも遅くなる構成としている。
この構成により、第1植付具20a及び第2植付具20bは、苗収容体22から苗が供給される上死点付近の位置にあるときには、それらの移動速度が遅くなるので、苗収容体22から苗を落下供給するタイミングの幅が広がり、苗収容体22から第1植付具20a及び第2植付具20bへ、苗を安定して適正に受け渡すことができる。
又、図6(a)及び図6(b)に示すとおり、交差点より上方において各作動軌跡15a及び15bの最大となる前後幅が、交差点より下方において各作動軌跡15a及び15bの最大となる前後幅よりも小さくなる構成としている。
この構成により、第1植付具20a及び第2植付具20bは、苗収容体22から苗が供給される上死点付近の位置にあるときには、前後方向の移動距離が小さくなり、苗収容体22から苗を安定して適正に供給することができる。
又、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bの下部では所望の大きな前後移動幅を得ることができるので、走行しながら苗を植え付ける際に、圃場の植付穴を小さくして苗の植付姿勢の適正化が図れる。
図7に、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bのそれぞれに対応する、機体が走行しているときの動軌跡を示す。
第1走行先端軌跡24aは、機体が左へ走行しているときの第1植付具20aの先端が描く動軌跡を示しており、第2走行先端軌跡24bは、機体が左へ走行しているときの第2植付具20bの先端が描く動軌跡を示している。
図6(a)及び図6(b)に示すとおり、各作動軌跡15a及び15bの最大となる前後幅の位置は、植え付け時に圃場面の位置になると予測される高さの位置に合わせている。例えば、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bの最下点の位置から鉛直上方30mmの位置でそれぞれの軌跡の前後方向の幅が最大となる設定とする。
図6(a)及び図6(b)に示すとおりの静軌跡とすることにより、図7に示すとおり、走行時の動軌跡である第1走行先端軌跡24a及び第2走行先端軌跡24bは、第1植付具20a及び第2植付具20bの先端の土中への突入位置と土中からの退出位置を近づけることができ、圃場の植付穴を小さくして植付姿勢の適正化が図れる。
又、図6(a)及び図6(b)に示すとおり、各作動軌跡15a及び15bは、それぞれの下部において後方側に膨らみを設けた形状としている。
第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bをこのとおりの形状とすることにより、第1植付具20a及び第2植付具20bの先端部の土中における前後の移動量を小さくすることができる。
又、第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bの上下幅、すなわち各軌跡の最上点から最下点までの鉛直方向の長さを、植え付ける苗の草丈以上の長さとする。第1作動軌跡15a及び第2作動軌跡15bの上下幅を、適応苗の草丈以上とすることにより、第1植付具20a及び第2植付具20bが、圃場に植え付けた後の苗に接触してその苗を倒すことを防止することができる。
本実施の形態1の左右に配置した2つの上下動機構21は、上記したとおり180度位相を異ならせて作動する構成としているので、第1植付具20a及び第2植付具20bが上方にあるときには第3植付具20c及び第4植付具20dは下方に位置し、逆に、第1植付具20a及び第2植付具20bが下方にあるときには第3植付具20c及び第4植付具20dは下方に位置する構成で動作する。
植付装置42を停止する際には、各植付具20a〜20dを、いずれも上下移動範囲の中央部の位置で停止させる。すなわち、各植付具20a〜20dの先端の上下方向の位置が揃う位置で、各植付具20a〜20dを停止させる。
各植付具20a〜20dを上下移動区間の中央部で停止させることにより、停止状態で各植付具20a〜20dが土壌に干渉することを抑制することができる。
又、図5に示すとおり、上リンク61及び下リンク62の左右両側に取り付けられた第1植付具20a及び第2植付具20bは、第1植付具20aの方が前方に位置する構成で配置されている。
第1植付具20a及び第2植付具20bの前後の位置をずらすことにより、図2に示すとおり前後の位置が異なる第1落下供給位置31a及び第2落下供給位置31bから落下する苗の位置に、各植付具20a、20bの位置を合わせることが出来る。
又、第1植付具20a及び第2植付具20bを、直線状部分28に限らず苗収容体22の周回移動経路に沿って配置することが出来るので、機体の前後長さを小さく出来る。
第1植付具20a及び第2植付具20bによって同時に植え付けが行なわれるので、第1植付具20aと第2植付具20bとの前後方向の距離を植付具前後間隔70としたとき、植付具前後間隔70を、p×株間+株間/2(pは、0以上の整数)とすることにより、4体の第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dによって千鳥植えを行なうことが出来る。
又、植付具前後間隔70を、p×株間とすることにより、4体の第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dによって並木植えを行なうことが出来る。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、苗を植え付けた後に、内側に苗が収容される植付具の内面を自動的に清掃するスクレーパー機能を備えた移植機の構成について説明する。
本実施の形態2の移植機は、例えば、実施の形態1と同様の玉葱苗を移植する玉葱苗移植機である。
本実施の形態2の玉葱苗移植機の全体構成は実施の形態1と同様であり、側面図及び平面図は図1及び図2に示す通りである。本実施の形態2では、スクレーパー機構の部分について詳細に説明する。
図8及び図9に、本実施の形態2の植付具とスクレーパー機構の関係の説明に用いる植付具付近の図を示す。図8及び図9は、植付具が下降して植え付け位置付近にあるときの図を示しており、図8は機体後方から視た背面図を、図9は機体の左側方から視た側面図を示している。これらの図では、植付具とスクレーパー機構との前後の位置関係をわかり易く説明するので、透視して記載した図としている。
本実施の形態2の玉葱苗移植機も、実施の形態1と同様に、1つの上下動機構21の両側に植付具が2体ずつ装着される構成であるが、実施の形態1では、図5に示すとおり上下動機構21の両側の2体の第1植付具20a及び第2植付具20bの前後の位置を異ならせた構成としたが、本実施の形態2では、上下動機構21の両側に装着する2体の第5植付具20e及び第6植付具20fを、機体の前後方向の同じ位置に装着した構成について説明する。すなわち、上下動機構21の両側の第5植付具20e及び第6植付具20fによって並木植えができる構成である。
又、実施の形態1の各植付具20a〜20dは、苗を植え付ける際に先端部が機体の左右方向に開く構成について説明したが、本実施の形態2の第5植付具20e及び第6植付具20fは、苗を植え付ける際に先端部が機体の前後方向に開く構成である。
又、図10に、本実施の形態2のスクレーパー機構の側面斜視図を示し、図11に、スクレーパー機構上部の左側前方から視た斜視図を示す。又、図12に、スクレーパー機構上部を左側前方上方から視た斜視図を示し、図13に、スクレーパー機構上部を右側前方上方から視た斜視図を示す。又、図14に、スクレーパー機構下部を左側前方上方から視た斜視図を示す。
図8〜図14を用いて、本実施の形態2のスクレーパー機構の構成及び動作について説明する。
本実施の形態2のスクレーパー機構は、上部において、機体フレーム19に固定された連携部材支持軸80に、開閉ストッパー板74及び主幹部材板71−2が、それぞれ回動自在に支持されている。
主幹部材板71−2には、主幹筒部71−1の上端部が固定されており、主幹筒部71−1と主幹部材板71−2で主幹部材71を構成している。又、主幹筒部71−1の下端部には、スクレーパー支持板81が溶接されている。そして、スクレーパー支持板81には、両端部が後方に向いたU字状のアーム支持棒81−1が溶接されている。
端部にスクレーパーゴム75が取り付けられた2つのスクレーパーステー82が、その中央部に設けられた孔によって、アーム支持棒81−1の両端部から所定距離の位置で、アーム支持棒81−1に回動自在に支持されている。アーム支持棒81−1のスクレーパーステー82の前後には所定数の座金83が挿入されている。スクレーパーステー82の前後に挿入する座金83の数を変更することにより、スクレーパーステー82の前後の位置を調節することができる。
なお、連携部材支持軸80が、本発明の回動軸の一例にあたる。又、スクレーパーゴム75が、本発明のスクレーパーの一例にあたり、スクレーパーステー82が、本発明の支持レバーの一例にあたる。又、主幹筒部71−1が、本発明の筒部の一例にあたり、アーム支持棒81−1が、本発明の支点部材の一例にあたる。又、開閉ストッパー板74が、本発明の規制部材の一例にあたる。
摺動ロッド77−3が、主幹筒部71−1内を通っており、摺動ロッド77−3の下部は前方に折れ曲がっており、その端部にU字状のスクレーパー支持棒77−5が溶接されている。又、摺動ロッド77−3の上端部は、スプリングステー77−1に固定されている。
スクレーパー支持棒77−5の前方を向いた2つの棒状部分が、各スクレーパーステー82の端部に設けられた長孔に挿入されており、摺動ロッド77−3の上下動に対応して、スクレーパーステー82の端部が上下動し、スクレーパーステー82がアーム支持棒81−1を中心に回動する構成となっている。
なお、スクレーパーステー82の端部が連結しているスクレーパー支持棒77−5が、本発明の、ロッド部材の下端部の一例にあたる。
上下動機構21のリンクの第5植付具20eに連結する後端部、例えば図3の上リンク61の後端部が連結する上連結軸67に、摺動ステー72−4の端部に設けられたリンク連結部72−5が連結される。又、摺動ステー72−4の他端側に設けられたボス部72−1が主幹筒部71−1に外嵌して、主幹筒部71−1に連結しており、摺動ステー72−4は、主幹筒部71−1に沿って上下動可能な構成となっている。
第5植付具20eが上下動機構21のリンクに連結する部分でリンク連結部72−5によって連結されているので、摺動ステー72−4は、第5植付具20eの昇降に伴って前後に傾動しながら昇降する第5植付具20eとの位置関係を保ちながら昇降する。摺動ステー72−4の前後傾動に伴って主幹筒部71−1も前後に傾動するので、第5植付具20eとスクレーパーゴム75との前後方向の位置関係が保たれる。第6植付具20fは第5植付具20eとともに昇降するので、スクレーパーゴム75は、第5植付具20e及び第6植付具20fとの前後方向の位置関係を保ちながら前後に傾動することになる。
スプリングステー77−1の上部には、スプリング支持軸77−4が、スプリングステー77−1の左右方向の両側に伸びる構成で設けられており、スプリング支持軸77−4と主幹部材板71−2との間にロッド付勢スプリング78が掛けられており、ロッド付勢スプリング78によってスプリングステー77−1が下方へ付勢されている。すなわち、ロッド付勢スプリング78によって、主幹筒部71−1内を通っている摺動ロッド77−3が下方へ付勢される。
又、開閉ストッパー板74には左方向に突出する解除ロッド支持軸74−2が設けられており、前後方向に長い支持長孔73−2を上端部に有するストッパー解除ロッド73が、支持長孔73−2に解除ロッド支持軸74−2が挿入されることにより、開閉ストッパー板74に支持されている。支持長孔73−2は前後方向に長い長孔なので、ストッパー解除ロッド73は、解除ロッド支持軸74−2を基準として前後に揺動可能である。
ストッパー解除ロッド73は、棒状であり、長手方向に沿って、上端付近から下端付近に至るロッド孔部73−1が形成されている。
なお、ストッパー解除ロッド73が、本発明の係止解除部材の一例にあたる。
ロッド孔部73−1には、摺動ステー72−4のボス部72−1近傍の上下の位置に設けられた2つの摺動ピン72−3が挿入されて、摺動ステー72−4がストッパー解除ロッド73と連結しており、摺動ステー72−4が昇降する際、2つの摺動ピン72−3はロッド孔部73−1内を摺動する。
開閉ストッパー板74の上端前方部分には、切り欠かれた係止部74−1が設けられている。スプリング支持軸77−4と開閉ストッパー板74との間に係止保持スプリング79が掛けられており、係止保持スプリング79によって開閉ストッパー板74の上部が前方へ付勢されている。
又、摺動ステー72−4のボス部72−1近傍には、端部が上方を向いた突き上げプレート72−2が設けられ、開閉ストッパー板74には、摺動ステー72−4が上方へ移動した際に突き上げプレート72−2が接触する位置に、下向きに突出したロッド押上突部77−2が設けられている。
ボス部72−1、突き上げプレート72−2、摺動ピン72−3、摺動ステー72−4及びリンク連結部72−5により上下動部材72を構成している。
又、スプリングステー77−1、ロッド押上突部77−2、摺動ロッド77−3、スプリング支持軸77−4、及びスクレーパー支持軸77−5によってロッド部材77を構成している。
なお、主幹部材71、上下動部材72、ロッド付勢スプリング78、及び係止保持スプリング79を合わせた構成が、本発明の連携部材の一例にあたる。又、ロッド付勢スプリング78が、本発明のロッド付勢バネの一例にあたり、係止保持スプリング79が、本発明の係止保持バネの一例にあたる。又、突き上げプレート72−2が、本発明のロッド突き上げ部の一例にあたる。
図8に示すとおり、第5植付具20e及び第6植付具20fの開閉する嘴状部分の上下動機構21に面する側の中央部には、スクレーパーゴム75を第5植付具20e及び第6植付具20f内にスムーズに入り込ませる目的の切欠部90が設けられている。又、切欠部90を覆う構成で、第5植付具20e及び第6植付具20fの嘴状部分の内側部分にPVC(ビニール)製の遮蔽フィルム91が装着されている。
切欠部90を設けたことにより、第5植付具20e及び第6植付具20fの嘴状部分の開閉が狭くても、スクレーパーゴム75を嘴状部分の内部に進入させることができる。又、嘴状部分の内側に遮蔽フィルム91を装着したことにより、苗が落下供給される際の切欠部90による苗の引っ掛かりを防止できる。
図8は、スクレーパーゴム75が、第5植付具20e及び第6植付具20fの嘴状部分の内部に入り込んだ、スクレーパー機構が作用している状態を示している。
本実施の形態2のスクレーパー機構は、第5植付具20e及び第6植付具20fが下降してきたときに、スクレーパーゴム75が作用状態となって、第5植付具20e及び第6植付具20fの嘴状部分の内部へ入り込み、第5植付具20e及び第6植付具20fが上昇しながらスクレーパーゴム75によって第5植付具20e及び第6植付具20fの嘴状部分の内面の泥土が掻き落とされた後、スクレーパーステー82が回動してスクレーパーゴム75が下向きになり非作用状態となる。
なお、スクレーパーゴム75が下向きになっている非作用状態が、本発明の待機状態の一例にあたる。
以下に、本実施の形態2のスクレーパー機構の動作内容について説明する。
図10及び図12は、スクレーパーゴム75が左右に開いた、スクレーパー機構が作用している状態を示している。
このとき、スプリングステー77−1のスプリング支持軸77−4は、開閉ストッパー板74の係止部74−1には係止されておらず、スプリング支持軸77−4がロッド付勢スプリング78によって下方に付勢されているので、ロッド部材77は、主幹筒部71−1の上端部によって規制される、最下位置にある。
図8に示す状態から第5植付具20e及び第6植付具20fが上昇するとき、ロッド部材77の上下方向の位置はロッド付勢スプリング78の付勢力によって最下位置に保持されるが、第5植付具20e及び第6植付具20fの前後への傾動に対応して摺動ステー72−4も前後動し、摺動ステー72−4の前後動に対応してボス部72−1が外嵌している主幹筒部71−1も前後に傾動する。したがって、第5植付具20e及び第6植付具20fの前後への傾動に伴って、主幹筒部71−1に通っている摺動ロッド77−3も傾動するので、スクレーパーゴム75の第5植付具20e及び第6植付具20fを基準とする前後の位置関係は保持される。
この第5植付具20e及び第6植付具20fとスクレーパーゴム75との位置関係により、第5植付具20e及び第6植付具20fの上方への移動に伴って、スクレーパーゴム75が第5植付具20e及び第6植付具20fの内面に接触する位置が、第5植付具20e及び第6植付具20fの嘴状部分の内面の上方から下方へ移動していき、第5植付具20e及び第6植付具20fの嘴状部分の内面に付着した泥土が掻き落とされていく。
又、第5植付具20e及び第6植付具20fが上昇していくと、摺動ステー72−4に設けられている突き上げプレート72−2の先端がロッド押上突部77−2に接触して押し上げ、係止保持スプリング79に抗してスプリングステー77−1が押し上げられる。
スプリングステー77−1が押し上げられると、図14に示すとおり、摺動ロッド77−3が引き上げられ、スクレーパー支持棒77−5が上方へ移動する。スクレーパー支持棒77−5が上方へ移動すると、2つのスクレーパーステー82がアーム支持棒81−1を中心に回動し、スクレーパーステー82の端部に取り付けられたスクレーパーゴム75が下方へ移動し、非作用の状態となる。そして、第5植付具20e及び第6植付具20fが上昇することにより、スクレーパーゴム75が非作用になった状態で、スクレーパーゴム75が第5植付具20e及び第6植付具20fの外部へと脱けていく。
又、スプリングステー77−1が押し上げられていくと、スプリング支持軸77−4が開閉ストッパー板74の係止部74−1に係止される。図11及び図13は、スプリング支持軸77−4が係止部74−1に係止されている状態を示している。
その後、第5植付具20e及び第6植付具20fに苗が供給されて下降し始め、突き上げプレート72−2の先端がロッド押上突部77−2から離れて下降したときでも、開閉ストッパー板74は、係止保持スプリング79によって前方への回動が付勢されているので、スプリング支持軸77−4の係止部74−1への係止状態は保持される。つまり、このとき、ロッド部材77は、係止部74−1によって規制される、最上位置に保持されるので、スクレーパーゴム75は、非作用の状態が維持される。
スクレーパーゴム75の非作用の状態を維持できるので、スクレーパーゴム75が、第5植付具20e及び第6植付具20fの嘴状の先端部を摺り動くことを防止できる。
そして、第5植付具20e及び第6植付具20fが下降して植え付け位置にきたとき、下に配置された摺動ピン72−3がロッド孔部73−1の下端部に達して、ストッパー解除ロッド73を引き下げる。ストッパー解除ロッド73が引き下げられることにより、支持長孔73−2に挿入されている解除ロッド支持軸74−2が引き下げられ、係止保持スプリング79に抗して、開閉ストッパー板74を図11において右回りに回動させる。
開閉ストッパー板74が右回りに回動すると、スプリング支持軸77−4の係止部74−1への係止が外れ、ロッド付勢スプリング78の付勢力によって、ロッド部材77が勢いよく下方へ移動する。
摺動ロッド77−3が下方へ移動することにより、スクレーパーステー82が回動し、苗を植え付けて嘴状部分が開いている状態の第5植付具20e及び第6植付具20fの内部にスクレーパーゴム75が入る。
そして、上記したとおり、第5植付具20e及び第6植付具20fの上昇に伴って嘴状部分の内面の泥土を掻き落とす動作が繰り返し行われる。
なお、図10に示すとおり、スクレーパー支持板81の前端部は、位置安定用スプリング76によって覆土鎮圧輪37のロッドに連結されている。この構成により、主幹筒部71−1の左右方向のガタつきが抑制され、主幹筒部71−1の内部を摺動する摺動ロッド77−3の左右方向のガタつきを防止できる。
又、部品精度によって、個体毎の突き上げ量は変わるので、図11に示すロッド押上突部77−2は、突出量の調整可能なボルトとするのが望ましい。突出量の調整可能なボルトとすることにより、第5植付具20e及び第6植付具20fが上方へ移動したときのロッド部材77の突き上げ量を調整することができる。
又、スクレーパーゴム75に代えて、スクレーパーステー82の先端に、回転自在の転がり用のローラーを設ける構成としてもよい。スクレーパーステー82の端部が第5植付具20e及び第6植付具20fの内部に入り、第5植付具20e及び第6植付具20fが上昇するとともに、転がり用のローラーが第5植付具20e及び第6植付具20fの嘴状部分の内面を転がり、内面に付着した泥を落とす。
又、図9に示すとおり、第5植付具20e及び第6植付具20fの嘴状部分の外面に接触する部分に、機体フレームなどに固定された外面スクレーパーゴム84を設けてもよい。第5植付具20e及び第6植付具20fが、苗の植え付け後に上昇する際に、第5植付具20e及び第6植付具20fの嘴状部分の外面に付着した泥土を掻き落とすことができる。
又、本実施の形態2では、第5植付具20e及び第6植付具20fを、機体の前後方向の同じ位置に左右に並べて装着する構成としたが、実施の形態1で説明した、機体の前後方向にずらした位置に2つの第1植付具20a及び第2植付具20bを装着した構成のときでも、スクレーパーステー82の前後に挿入する座金83の数を左右の植付具側で異ならせることにより、本実施の形態2のスクレーパー機構を適用することができる。
スクレーパーステー82の前後に挿入する座金83の数を異ならせることで、第5植付具20e及び第6植付具20fの前後方向の位置に対応させて、左右のスクレーパーゴム75の前後の位置を自由に調整することができる。
又、上記では、第5植付具20e及び第6植付具20fが植え付け位置まで下降した際に、スプリング支持軸77−4の係止部74−1への係止状態を解除する目的の、開閉ストッパー板74を係止保持スプリング79に抗して回動させる構成として、摺動ピン72−3によってストッパー解除ロッド73を引き下げる構成としたが、本発明の係止解除部材として、ストッパー解除ロッド73の代わりに、開閉ストッパー板74の解除ロッド支持軸74−2と上下動部材72をワイヤーで連結し、第5植付具20e及び第6植付具20fが植え付け位置まで下降した際に、上下動部材72によってそのワイヤーを引っ張り、開閉ストッパー板74を回動させる構成としてもよい。
尚、各実施の形態では、本発明の移植対象物として玉葱苗を例に説明したが、本発明の植付装置は、玉葱苗以外の移植対象物を植え付ける植付装置としても適用出来る。例えば、植付装置を利用する種芋用の植付装置としても適用出来る。