以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態の移植機の一例として玉葱苗を移植する玉葱苗移植機10を示す側面図であり、図2は、玉葱苗移植機10の平面図である。
尚、以下の説明では、操縦ハンドル47を配置した側を後とし、その反対側、すなわちエンジン41を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
本実施の形態の玉葱苗移植機10は、機体を前進走行可能とする走行車体40と、走行車体40の後部に設けた歩行操縦用の操縦ハンドル47と、圃場に苗を植付ける植付装置42と、植付装置42に苗を供給する苗供給装置43を備えている。
走行車体40は、エンジン41と、エンジン41の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の駆動車輪である後輪44と、後輪44の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪45とを備えている。
エンジン41の後側には、ミッションケース39が配置されている。ミッションケース39は、その左側部からエンジン41の左側方に延びるケース部分を有しており、このケース部分がエンジン41の左側部と連結している。このケース部分にエンジン41の出力軸が入り込んでミッションケース39内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。
ミッションケース39の左右両側部には、前後に長い走行用伝動ケース38の前部が回動自在に取り付けられている。具体的には、走行用伝動ケース38の前部の機体内側部に、走行用伝動ケース38と一体回転可能に回転するアクスルケース11を設け、このアクスルケース11をミッションケース39の左右両側部に回動自在に取付けて、走行用伝動ケース38をミッションケース39の左右両側部に対応して回動自在に取付けている。そして、この走行用伝動ケース38の後部側方に突出させた後輪車軸12に後輪44を装着している。
走行用伝動ケース38の前部の回動軸心位置には、ミッションケース39から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで、ミッションケース39内の走行部系変速伝動部を経た走行用の動力が走行用伝動ケース38内の伝動機構に伝達している。そして、走行用の動力は走行用伝動ケース38内の伝動機構を介して、走行用伝動ケース38の後端車軸12に伝動し、後輪44が駆動回転する構成としている。
尚、ミッションケース39内に設けた左右それぞれのサイドクラッチ(図示せず)により、左右の各後輪44の駆動を断つことが出来る構成になっている。従って、機体を旋回させるときには、サイドクラッチにより旋回内側となる左右一方の後輪44を非駆動状態にしてスム−ズに旋回出来る構成としている。
又、走行用伝動ケース38には、走行用伝動ケース38の前部側を回動支点として後輪44を上下させる、上下回動する駆動手段が連結している。具体的には、走行用伝動ケース38のミッションケース39への取付部には、上方に延びるアーム13が一体的に取り付けられており、アーム13がミッションケース39に固定された昇降用油圧シリンダーのピストンロッド先端に取り付けた連結体の左右両側部と連結している。左右一方側(右側)は、連結ロッドで連結し、他方側(左側)は、機体の傾斜に対応して伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダーで連結している。
昇降用油圧シリンダーが作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右のアーム13は後方に回動し、これに伴い走行用伝動ケース38が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダーのピストンロッドが機体前方に移動してシリンダー内に引っ込むと、左右のアーム13は前方に回動し、これに伴い走行用伝動ケース38が上方に回動して、機体が下降する。
この昇降用油圧シリンダーは、畝面に接地して機体と畝面との上下間隔の変動に伴って動作するセンサー14によって作動する。センサー14の動作は機体に対する畝上面高さを検出する動作となり、そのセンサー14の検出動作に基づいて機体を畝上面高さに対応して設定高さになるよう昇降用油圧シリンダーが作動する構成としている。
又、左右水平制御用油圧シリンダーが伸縮作動すると、その左右水平制御用油圧シリンダーと連結する左側のアーム13が回動して、左側の後輪44のみを上下動させ、機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダーは、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出するセンサーの検出結果に基づいて作動して、機体を左右水平にする構成としている。
エンジン41下方の左右中央位置で前後方向の軸心回りに回動自在に取り付けた横フレーム16の左右両側部に、上下に長い縦フレーム17が取付けられており、左右前輪45は、縦フレーム17の下端部側方に固着した前輪車軸18に回転自在に取り付けられている。従って、左右前輪45は、機体の左右中央の前後方向の軸心回りにローリング動自在となっている。又、横フレーム16の左右両側部を基準として、縦フレーム17が上下調節可能に設けられており、前輪45の高さ調節をすることが出来る構成としている。
前記操縦ハンドル47は、機体後部に設けられており、後輪44の後輪車軸12より機体後側に位置している。具体的には、ミッションケース39に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けられている。
機体フレーム19は、機体の左右中央で後方に延び、又、前後中間部から斜め後上方に延びている。
操縦ハンドル47は、機体フレーム19の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル47のグリップ部としている。
尚、図2では、グリップ部を左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル47の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
植付装置42は、先端が下方に向かう嘴状の複数の植付具と、植付具の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに植付具を上下動させる上下動機構21と、嘴状の植付具の下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容可能する閉状態と植付具の下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出可能とする開状態とに植付具を開閉する開閉機構とを備える。
本実施の形態の植付装置42は、植付具を左右に複数体並べて配備した複数条植の構成としている。本実施の形態では、植付具を左右に設定間隔で四体並べて配備した4条植えの構成としており、これらの植付具を、機体左側から順に第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dとする。
4体の第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dは、ミッションケース39から伝動される伝動ケース26の左右両側部に設けられた上下動機構21に2体ずつ装着されている。尚、伝動ケース26は、機体フレーム19に下部を固定した取付部材の上部に固着されている。
上下動機構21は、伝動ケース26を基準として前部が上下回動自在に装着され、後部の左右両側に植付具が連結した昇降リンクを備えている。そして、別途設けた駆動機構により伝動ケース26内からの動力で昇降リンクを上下動させ、昇降リンクの左右に連結した、第1植付具20a及び第2植付具20b、又は、第3植付具20c及び第4植付具20dが上下動する構成となっている。
この上下動の上昇位置では各植付具20a〜20dの下端部が圃場面より上方に位置し、下降位置では各植付具20a〜20dの下端部が圃場面より下方に位置する。
各植付具20a〜20dの開閉機構は、伝動ケース26内からの動力で作動し、上下動機構21の作動に連動して、各植付具20a〜20dが下降して下端位置に達するとその植付具20a〜20dの下部側を左右に開いて下方に開放状態とし、各植付具20a〜20dが上昇して上端位置に達するとその植付具20a〜20dの下部側を閉じて閉塞状態とする構成である。
4体の植付具のうち、左右内側に配置された第2植付具20b及び第3植付具20cは、左右外側に配置された第1植付具20a及び第4植付具20dよりも後側に位置している。又、左右の上下動機構21は、180度位相を異ならせて作動する構成となっており、左右一方の外側の第1植付具20a又は第4植付具20dと、左右他方の内側の第3植付具20c又は第2植付具20bとが、それぞれ圃場において同じ前後位置に苗を植付ける構成としている。
苗供給装置43は、苗を上方から受け入れて内側に苗を収容する複数の苗収容体22と、苗収容体22を、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの上方を通過させて周回移動させる移動機構23と、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの上方位置で苗収容体22の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの何れかに苗を供給させる苗落下機構24とを備える。
各苗収容体22は、上下に開口する筒状体と、その筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋27とを有し、互いにループ状に連結している。
移動機構23は、連結した各苗収容体22が各植付具20a〜20dの上方近傍を通過する状態で、機体平面視で左右に長い長円形状のループ状の軌跡で、連結した苗収容体22を左回りに周回動させる。
苗落下機構24は、苗収容体22の底蓋27を、その苗収容体22に対応する、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの何れかの上方位置で開放する。
本実施の形態では、苗収容体22の外周に円筒外周部を形成し、その円筒外周部に外側から回動自在に接続する係合部(丸孔)を設けて、2つの苗収容体22を連結する連結体を複数形成した。そして、その連結体の係合部を苗収容体22の円筒外周部に回動自在に接続し、その円筒外周部を回動軸として隣の苗収容体22が回動自在に連結する状態として、複数の苗収容体22を互いに連結した構成としている。すなわち、苗収容体22と連結体とで無端チェーンの如く連結した構成である。
これにより、苗収容体22は、直線的に移動する直線状部分28でも円弧状に移動する円弧状部分29でも隣接する苗収容体22との間隔が変わらないので、苗収容体22から各植付具20a〜20dに苗を供給する個所で、苗収容体22の各植付具20a〜20dに対する位置ズレが生じ難くなり、苗供給が適正に行われて適確な苗の植え付けが出来る。
苗収容体22の個数と周回動する範囲を設定したうえで、苗収容体22の上側開口部を可能な限り広く形成出来て、機体のコンパクト化を図りつつ苗収容体22への苗補給作業を出来るだけ容易に行えるものとなる。
苗供給装置43の移動機構23は、無端チェーンの如く互いに連結する苗収容体22を、左右に設けたスプロケットの外周の円弧状切欠部に巻き掛け、この左右のスプロケットを伝動ケース26内から取り出した動力で駆動回転することにより、各苗収容体22を周回動させる構成としている。
苗収容体22が周回する周回移動経路は、平面視で左右方向に延びる直線状部分28と、スプロケットにより直線状部分28から前側又は後側に円弧状に曲がる円弧状部分29とを備えた長円状であり、左右の後輪44より機体内側に配置されている。
又、各植付具20a〜20dは、後輪車軸12の位置よりも後側に配置している。
苗供給装置43は、4体の第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dに合わせて苗収容体22が一回りで周回移動して苗を供給する構成としている。
図3〜図5を用いて、苗落下機構24による各植付具20a〜20dへの苗の供給動作について説明する。
図3は、苗落下機構24による苗の供給動作を説明する図であり、苗供給装置43を上から見た模式図である。
各植付具20a〜20dに対応して落下供給する苗を収容する苗収容体22を各別に設けている。
図3の各苗収容体22に記載の数字1〜4は、苗を落下供給する各植付具20a〜20dに対応する苗収容体22の区別を表している。
図2に示すとおり、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dは、それぞれ、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dで、苗収容体22から苗が落下供給される。
図3において、番号1の苗収容体22は、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dでは底蓋27は開かず、第1落下供給位置31aでのみ底蓋27が開き、第1落下供給位置31aで内側に収容している苗が第1植付具20aへ落下供給される。
同様に、番号2の苗収容体22は、第3落下供給位置31cでのみ底蓋27が開き、第3落下供給位置31cで内側に収容している苗が第3植付具20cへ落下供給される。番号3の苗収容体22は、第2落下供給位置31bでのみ底蓋27が開き、第2落下供給位置31bで内側に収容している苗が第2植付具20bへ落下供給される。番号4の苗収容体22は、第4落下供給位置31dでのみ底蓋27が開き、第4落下供給位置31dで内側に収容している苗が第4植付具20dへ落下供給される。
番号1〜4で区別した苗収容体22ごとに対応する落下供給位置でのみ苗を落下供給させる構成例について説明する。
図4(a)〜(d)に、苗収容体22の底蓋27部分の構成を示す。図4(a)〜(d)は、それぞれ、図3に示した番号1、3、2及び4の苗収容体22に対応する底蓋27部分を示している。それぞれ、図4の上側を苗収容体22の周回移動経路の内側向きとして記載し、左に平面図を示し、右に側面図を示している。
図4(a)〜(d)に示すとおり、底蓋27には、周回移動経路の内側又は外側に突出する開閉規制板部が設けられている。
図4(a)及び図4(b)に示すとおり、番号1及び番号3で区別される苗収容体22の底蓋27には、何れも周回移動経路の内側に向けて突出する第1開閉規制板部56a及び第2開閉規制板部56bが設けられており、第2開閉規制板部56bが低位で周回移動経路の内側に向けて突出する構成であり、第1開閉規制板部56aが第2開閉規制板部56bよりも高位で突出する構成である。
又、図4(c)及び図4(d)に示すとおり、番号2及び番号4で区別される苗収容体22の底蓋27には、何れも周回移動経路の外側に向けて突出する第3開閉規制板部56c及び第4開閉規制板部56dが設けられており、第4開閉規制板部56dが低位で周回移動経路の外側に向けて突出する構成であり、第3開閉規制板部56cが第4開閉規制板部56dよりも高位で突出する構成である。
一方、図3に示すとおり、苗収容体22の周回移動経路の内側に沿って、内側上支持軸51及び内側下支持軸52が、上下に離れて配置されている。又、苗収容体22の周回移動経路の外側に沿って、外側上支持軸53及び外側下支持軸54が、上下に離れて配置されている。
図4(a)に示す番号1で区別される苗収容体22は、底蓋27に内側に向けて突出して設けられた第1開閉規制板部56aが内側上支持軸51に支持されながら周回移動経路を移動する。
内側上支持軸51は、第1落下供給位置31aに対応する部分に第1支持軸欠如部55aがあり、この部分では内側上支持軸51が途切れている。
図5(a)は、番号1で区別される苗収容体22の底蓋27と、内側上支持軸51及び内側下支持軸52との関係を示す断面模式図であり、下図は、第1支持軸欠如部55aの部分を通過するときの断面図を示し、上図は、内側上支持軸51の第1支持軸欠如部55a以外の部分を通過するときの断面図を示している。
番号1で区別される苗収容体22は、図5(a)に示すとおり、内側上支持軸51の第1支持軸欠如部55a以外の部分を通過するときには、第1開閉規制板部56aが内側上支持軸51に支持されているので、底蓋27は閉じた状態が維持される。
一方、番号1で区別される苗収容体22が、第1支持軸欠如部55aの部分を通過するときには、第1開閉規制板部56aを支持する内側上支持軸51が欠如しているので、第1開閉規制板部56aの支持が解放される。このとき、第1開閉規制板部56aは、端部が内側下支持軸52に干渉しない長さで構成されているので、底蓋27が開き、苗が下方へ落下する。
図4(b)に示す番号3で区別される苗収容体22は、底蓋27に内側に向けて突出して設けられた第2開閉規制板部56bが内側下支持軸52に支持されながら周回移動経路を移動する。
内側下支持軸52は、第2落下供給位置31bに対応する部分に第2支持軸欠如部55bがあり、この部分では内側下支持軸52が途切れている。
図5(b)は、番号3で区別される苗収容体22の底蓋27と、内側上支持軸51及び内側下支持軸52との関係を示す断面模式図であり、上図は、第2支持軸欠如部55bの部分を通過するときの断面図を示し、下図は、内側下支持軸52の第2支持軸欠如部55b以外の部分を通過するときの断面図を示している。
番号3で区別される苗収容体22は、図5(b)に示すとおり、内側下支持軸52の第2支持軸欠如部55b以外の部分を通過するときには、第2開閉規制板部56bが内側下支持軸52に支持されているので、底蓋27は閉じた状態が維持される。
一方、番号3で区別される苗収容体22が、第2支持軸欠如部55bの部分を通過するときには、第2開閉規制板部56bを支持する内側下支持軸52が欠如しているので、第2開閉規制板部56bの支持が解放され、底蓋27が開き、苗が下方へ落下する。
このとおりの構造により、番号1で区別される苗収容体22の内側に収容された苗は、周回移動経路のうち、第1落下供給位置31aでのみ底蓋27が開いて苗が下方へ落下し、番号3で区別される苗収容体22の内側に収容された苗は、周回移動経路のうち、第2落下供給位置31bでのみ底蓋27が開いて苗が下方へ落下する。
同様の構造により、番号2及び番号4で区別される苗収容体22についても、それぞれ、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dでのみ底蓋27が開いて苗が下方へ落下する。
すなわち、外側上支持軸53の第3落下供給位置31cの部分に第3支持軸欠如部55cがあり、番号2で区別される苗収容体22がこの部分を通過するときに、第3開閉規制板部56cの支持が解放されて、底蓋27が開いて苗が下方へ落下する。又、外側下支持軸54の第4落下供給位置31dの部分に第4支持軸欠如部55dがあり、番号4で区別される苗収容体22がこの部分を通過するときに、第4開閉規制板部56dの支持が解放されて、底蓋27が開いて苗が下方へ落下する。
従って、苗収容体22の配列順を変更しても、各開閉規制板部56a〜56dに対応する各落下供給位置31a〜31dのみで底蓋27が開いて苗が落下する。
本実施の形態では、図3に示すとおり、苗収容体22に番号1〜4で区別した各別の苗収容体22を1個ずつ備えて周回移動経路で隣接させた4個の苗収容体22からなる苗収容ユニット25を構成し、移動機構23により苗収容ユニット25を同一の周回移動経路で複数組(6組)周回移動させる構成とし、計24個の苗収容体22を周回移動させる。そして、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dのそれぞれに対応する4箇所の第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dを、苗収容体22の同一の周回移動経路上に設定している。
尚、上記において、底蓋27、内側上支持軸51、内側下支持軸52、外側上支持軸53、外側下支持軸54、第1支持軸欠如部55a、第2支持軸欠如部55b、第3支持軸欠如部55c、第4支持軸欠如部55d、第1開閉規制板部56a、第2開閉規制板部56b、第3開閉規制板部56c及び第4開閉規制板部56dで構成される苗落下機構24が、本発明の移植物落下機構の一例にあたる。
又、苗収容体が、本発明の収容体の一例にあたり、苗収容ユニット25が、本発明の区画の一例にあたる。
図6に、苗供給装置43における苗収容体22の移動動作を説明する、上から見た模式図を示す。
本実施の形態の苗供給装置43は、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dを上下動させる上下動機構21が1周期作動する間に、苗収容ユニットが1個分移動、すなわち苗収容体22が4個分移動する構成で、移動機構23作動周期が、上下動機構21の作動周期に同期する設定にされている。従って、上下動機構21が半周期作動する間に、苗収容体22は、周回移動経路を2個分移動する。
図6では、各苗収容体22に、苗を落下供給する各植付具20a〜20dに対応する苗収容体22を区別する番号1〜4を示し、苗収容体22の周回移動経路の内側に、上下動機構21が半周期作動した後の位置にある苗収容体22を区別する番号を記載している。従って、苗収容体22の周回移動経路の内側に記載の番号は、各苗収容体22に記載した番号をそれぞれ周回方向に2個分ずれた数字となっている。
機体左側の2体の第1植付具20a及び第2植付具20bが上下動機構21により上死点付近まで移動してきたとき、第1植付具20a及び第2植付具20bに対応して苗を落下供給する苗収容体22、すなわち図3の番号1及び番号3で区別する苗収容体22が、第1落下供給位置31a及び第2落下供給位置31bに同時に到達する構成となっている。そして、その後、上下動機構21が半周期作動して右側の2体の第3植付具20c及び第4植付具20dが上死点付近まで移動してきたとき、第3植付具20c及び第4植付具20dに対応して苗を落下供給する苗収容体22、すなわち図3の番号2及び番号4で区別する苗収容体22が、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dに同時に到達する構成となっている。
この構成により、苗収容体22が4箇所の落下供給位置31a〜31dを直列的に通過しながら、4体の植付具20a〜20dに対応して苗供給漏れが生じることなく苗を供給出来、且つ4箇所の落下供給位置31a〜31dを通過した後に苗が供給されなかった苗収容体22が生じないよう、余すことなく4体の植付具20a〜20dに対応して苗を供給出来るものとなり、苗供給作業が余裕をもって行え、且つ4体の植付具20a〜20dに対応して確実に苗を供給出来る。
各苗収容ユニット25は、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dに対応して、周回移動方向上手側から順に番号1〜番号4で区別される苗収容体22が配列されている。
又、苗収容体22の周回移動経路における、隣接する第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dの互いの間隔は、周回移動方向上手側から順に苗収容体22の配列の2ピッチ、5ピッチ、2ピッチに設定されている。
又、第2落下供給位置31b及び第3落下供給位置31cは、周回移動経路の直線状部分28に位置し、第1落下供給位置31a及び第4落下供給位置31dは、周回移動経路の円弧状部分29に位置している。これにより、隣接する第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dの周回移動経路に沿う互いの配列間隔を異ならせると共に、これらの互いの配列間隔のうち広い配列間隔が直線状部分28となる構成に設定されている。
尚、第2落下供給位置31bと第3落下供給位置31cとの間の周回移動経路に沿った長さが、本発明の直線状部分の長さの一例にあたり、第1落下供給位置31aと第2落下供給位置31bとの間の周回移動経路に沿った長さ、及び第3落下供給位置31cと第4落下供給位置31dとの間の周回移動経路に沿った長さが、それぞれ本発明の曲がっている部分の長さの一例にあたる。
第2落下供給位置31b及び第3落下供給位置31c間の周回移動経路に沿った長さを広くすることにより、これらの落下供給位置に対応する植付具20bと植付具20cとの間も広くなるので、内側条間に苗を植え付ける植付具20b及び植付具20cのメンテナンスがし易くなる。
ここでは、隣接する第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dの互いの間隔を、周回移動方向上手側から順に苗収容体22の配列の2ピッチ、5ピッチ、2ピッチに設定したが、左右両外側部のそれぞれの間隔、すなわち第1落下供給位置31aと第2落下供給位置31bの間隔をXピッチとし、左右中央部の間隔、すなわち第2落下供給位置31bと第3落下供給位置31cの間隔をYピッチとすると、X=2+4n、Y=1+4m(n、mは0以上の整数とする)であれば、各落下供給位置31a〜31dで、それぞれ対応する苗収容体22から各植付具20a〜20dへ苗を供給する構成とすることが出来る。
直列的に配置された4箇所の落下供給位置から、各落下供給位置に対応する苗収容体22の苗を落下させ、これらの4箇所の落下供給位置を通過する間に、余すことなく全ての苗収容体22の苗を落下させるには、上記したXピッチ及びYピッチの組み合わせ以外に、X=3+4nとY=1+4mの組み合わせ、X=1+4nとY=3+4mの組み合わせ、又はX=2+4nとY=3+4mの組み合わせで実現することが出来る。
但し、図6に示すとおり、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dにおいて、それぞれ番号1、3、2及び4で区別される苗収容体22の苗が落下する条件では、各落下供給位置31a〜31dの位置を、このとおりのXピッチ及びYピッチの組み合わせの位置に変更しただけでは、これらの4箇所の落下供給位置を通過する間に、余すことなく全ての苗収容体22の苗を落下させることが出来ない。
本実施の形態の玉葱苗移植機10では、苗収容ユニット25内の苗収容体22の配列順を変更することにより、Xピッチ及びYピッチの組み合わせの変更を実現した。
図7及び図8に、それぞれ、隣接する落下供給位置間の間隔を変更するときの、苗収容体22の配列順及び移動動作を説明する図を示す。それぞれ、図6に対応する図で、苗供給装置43を上から見た模式図を示している。
図7では、隣接する第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dの互いの間隔を、周回移動方向上手側から順に苗収容体22の配列の3ピッチ、5ピッチ、3ピッチと変更している。すなわち、X=3+4nとY=1+4mの組み合わせに変更した構成を示している。
図6の構成に比べて、第1落下供給位置31aと第2落下供給位置31bの間隔、及び第3落下供給位置31cと第4落下供給位置31dの間隔が、それぞれ1ピッチずつ大きくなっているので、第1落下供給位置31a及び第4落下供給位置31dを、図6の構成よりもそれぞれ外側に移動している。
図7に示すとおり、苗収容ユニット25内の苗収容体22の配列を、周回移動方向上手側から順に番号4、2、3、1で区別される苗収容体22の順番としている。すなわち、図6に示す苗収容体22の配列を基準として、番号1及び番号4で区別される苗収容体22の順番を入れ替えている。
移動機構23によって番号1で区別される苗収容体22が、第1落下供給位置31aに到達した際に、第1植付具20a及び第2植付具20bが上死点付近に到達する構成で上下動機構21を動作させることにより、このとき同時に、第2落下供給位置31bに番号3で区別される苗収容体22が到達して、第2植付具20bへ苗が落下供給される。
そして、その後上下動機構21が半周期作動して右側の2体の第3植付具20c及び第4植付具20dが上死点付近まで移動してきたとき、第3植付具20c及び第4植付具20dに対応して苗を落下供給する苗収容体22、すなわち番号2及び番号4で区別される苗収容体22が、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dに同時に到達し、苗が落下供給される。
このとおり、番号1及び番号4で区別される苗収容体22の順番を入れ替えることにより、X=3+4nとY=1+4mの組み合わせに変更することが出来る。
図8では、隣接する第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dの互いの間隔を、周回移動方向上手側から順に苗収容体22の配列の5ピッチ、3ピッチ、5ピッチと変更している。すなわち、X=1+4nとY=3+4mの組み合わせに変更した構成を示している。
図6の構成に比べて、第2落下供給位置31bと第3落下供給位置31cの間隔が2ピッチ分小さくなるとともに、第1落下供給位置31aと第2落下供給位置31bの間隔、及び第3落下供給位置31cと第4落下供給位置31dの間隔が、それぞれ3ピッチずつ大きくなっているので、第2落下供給位置31bと第3落下供給位置31cを、図6の構成よりも内側に移動し、第1落下供給位置31a及び第4落下供給位置31dを、図6の構成よりも外側に移動している。
図8に示すとおり、苗収容ユニット25内の苗収容体22の配列を、周回移動方向上手側から順に番号1、3、2、4で区別される苗収容体22の順番としている。すなわち、図6に示す苗収容体22の配列を基準として、番号2及び番号3で区別される苗収容体22の順番を入れ替えている。
移動機構23によって番号1で区別される苗収容体22が、第1落下供給位置31aに到達した際に、第1植付具20a及び第2植付具20bが上死点付近に到達する構成で上下動機構21を動作させることにより、このとき同時に、第2落下供給位置31bに番号3で区別される苗収容体22が到達して、第2植付具20bへ苗が落下供給される。
そして、その後上下動機構21が半周期作動して右側の2体の第3植付具20c及び第4植付具20dが上死点付近まで移動してきたとき、第3植付具20c及び第4植付具20dに対応して苗を落下供給する苗収容体22、すなわち番号2及び番号4で区別される苗収容体22が、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dに同時に到達し、苗が落下供給される。
このとおり、番号2及び番号3で区別される苗収容体22の順番を入れ替えることにより、X=1+4nとY=3+4mの組み合わせに変更することが出来る。
同様にして、図6に示す苗収容体22の配列を基準として、番号1及び番号4で区別される苗収容体22の順番を入れ替えるとともに、番号2及び番号3で区別される苗収容体22の順番も入れ替えることにより、X=2+4nとY=3+4mの組み合わせに変更することも出来る。
尚、上記で、苗収容体22の順番を入れ替えるとは、苗収容体22が筒状部分と底蓋27に分離出来る構成では、底蓋27の位置を組み替えればよい。
尚、上記において、第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dを変更するときには、これらの変更位置に合わせて、第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dの左右方向の位置、第1支持軸欠如部55a、第2支持軸欠如部55b、第3支持軸欠如部55c及び第4支持軸欠如部55dの位置も変更する。
隣接する第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dのそれぞれの左右方向の間隔は、植え付け条間の距離に対応しているので、上記のとおり、隣接する第1落下供給位置31a、第2落下供給位置31b、第3落下供給位置31c及び第4落下供給位置31dの互いの間隔を変更することにより、所望の植え付け条間に変更することが出来る。
本実施の形態の玉葱苗移植機10は、各植付具20a〜20dが植付けた苗に合わせて覆土鎮圧することに利用される覆土鎮圧輪37を各植付具20a〜20dの苗植付け個所の各後方左右両側近傍位置に設けている。
又、苗供給装置43に苗を補給する作業者が乗車して苗補給作業が行えるよう、作業者が座る作業者用座席46を設けている。具体的には、苗供給装置43の前側となる機体左右中央位置に後向きに作業者用座席46を配置している。作業者用座席46に座る作業者は、苗供給装置43の前側部に向って後側向き姿勢で着座して、苗供給装置43の前側部、特に苗収容体22の周回移動経路における前側の直線状部分28に対応して苗補給作業を行う。
作業者用座席46の左右両側で機体側面視で後輪44の後輪車軸12の上方位置に、苗供給装置43に補給する苗を収容可能な苗載台50を設けている。
次に、本実施の形態の玉葱苗移植機10の上下動機構21の構成及び動作について説明する。
図9に、第1植付具20a及び第2植付具20bへの苗供給時の上下動機構21部分の斜視図を示し、図10に、第1植付具20a及び第2植付具20bの苗植付け時の上下動機構21部分の斜視図を示す。図9及び図10は、機体の左斜め後方から見た斜視図を示している。
又、図11に、機体左側の上下動機構21への第1植付具20a及び第2植付具20bの取り付け構成を示す平面図を示す。
伝動ケース26の左側に設けた上下動機構21には、第1植付具20a及び第2植付具20bが装着されている。同様に、伝動ケース26の右側に設けた上下動機構21には、第3植付具20c及び第4植付具20dが装着されている。
ここでは、機体左側に配置される上下動機構21について説明する。第3植付具20c及び第4植付具20dを上下動させる機体右側に配置される上下動機構21も、同様の構成である。
第1植付具20a及び第2植付具20bの上方には、それぞれ苗ガイド65が設けられている。苗ガイド65は、苗供給装置43から供給された苗を第1植付具20a及び第2植付具20b内に案内する。苗ガイド65は、苗の供給口(上側)が広く、苗の案内口(下側)が狭くなった筒状体であり、苗供給装置43から落下供給される苗を受け入れて、適確に第1植付具20a及び第2植付具20b内に苗を案内し供給することが出来る。
機体左側の上下動機構21は、伝動ケース26の左側方に突出した回動支点軸63及び従動支点軸69に、それぞれ前部を上下回動自在に装着し、後部を第2植付具20bに連結した上リンク61及び下リンク62を備える。
上リンク61及び下リンク62の回動先端部(後端部)は、それぞれ上連結軸67及び下連結軸68によって、右側植付具支持プレート66が連結している。そして、右側植付具支持プレート66に第2植付具20bが取り付けられている。
又、図9及び図10では図示していないが、図11に示すとおり上連結軸67及び下連結軸68の左側にも左側植付具支持プレート57が取り付けられており、左側植付具支持プレート57に第1植付具20aが取り付けられている。
すなわち、上リンク61及び下リンク62の右側に第2植付具20bが取り付けられ、左側に第1植付具20aが取り付けられている。
伝動ケース26側方に突出する駆動軸と一体回転する構成で取付けられた駆動アーム64の回転外周側端部に、下リンク62に回動自在に連結する連結アームの他端が回動自在に連結している。駆動アーム64が駆動回転すると、上リンク61及び下リンク62が上下動して、左右に取り付けられた第1植付具20a及び第2植付具20bが上下動する。
又、上リンク61の前端が連結する回動支点軸63は、伝動ケース26から突出して回転駆動する植付出力軸の先端部に、植付出力軸の中心軸心より偏心させた位置に設けられている。回動支点軸63は、植付出力軸の回転によって植付出力軸の軸芯を中心として偏心量(回動支点軸63と植付出力軸の軸芯との間隔)を半径として回転しながら移動する。従って、上リンク61及び下リンク62の上下動中に回動支点軸63が前後に移動することにより、第1植付具20a及び第2植付具20bをその昇降動中に前後に傾け、第1植付具20a及び第2植付具20bの先端部を側面視ループ状の作動軌跡15で上下動させる構成となっている。
図9に示す作動軌跡15は、玉葱苗移植機10が走行を停止しているときの、第1植付具20a及び第2植付具20bの先端部の静軌跡を示している。
作動軌跡15でわかるとおり、第1植付具20a及び第2植付具20bの先端部の位置が、植え付ける位置となる下死点よりも苗が供給される上死点における位置の方が前方の位置となる構成で、第1植付具20a及び第2植付具20bは上下動する。
第1植付具20a及び第2植付具20bによって苗を植え付けた後に、嘴状の先端部が閉じるが、作動軌跡15を描く構成で上下動することにより、先端部が閉じる際に、植え付けた後の苗をその先端部によって摘むことを防止することが出来る。又、苗収容体22からの苗の引継ぎ位置が前方になるので、機体の前後長さを小さくすることが出来る。
又、図10に示すとおり、第1植付具20a及び第2植付具20bの上下動の下死点又は下死点付近の位置となる植え付け時において、上リンク61及び下リンク62は略水平な状態となる。
これにより、玉葱苗移植機10が走行して植え付ける際の、第1植付具20a及び第2植付具20bの各先端の動軌跡が垂直になり、きれいに苗を植え付けることが出来る。
又、図10に示すとおり、植え付け時において、第1植付具20a及び第2植付具20bは略垂直な状態となる。
植え付け時に、第1植付具20a及び第2植付具のホッパー部分が垂直なので、苗を真っ直ぐに植え付けることが出来、前後の位置が異なる2つの第1植付具20a及び第2植付具20bによる苗の植え付け深さを略同じにすることが出来る。
又、図9及び図10に示すとおり、上リンク61よりも下リンク62の方が長い。
これにより、第1植付具20a及び第2植付具20bの姿勢を、植え付け時には垂直にするとともに、苗が供給される上死点付近では、大きく前方に傾けることが出来る。
又、図9に示すとおり、第1植付具20a及び第2植付具20bに苗が供給される上死点付近において、第1植付具20a及び第2植付具20bは前方に傾いている。
これにより、苗が供給される上死点付近では、苗ガイド65の上端部がより前方まで達するので、植付装置42を基準として苗供給装置43を前方に配置することが出来、機体の前後長さを小さくすることが出来る。
又、図9及び図10に示すとおり、苗ガイド65は、側面視で後方へ向かって低くなる形状となっている。
このとおりの形状としたことにより、第1植付具20a及び第2植付具20bへ苗が供給される面積が大きくなり、苗の供給がし易くなる。
図11に示すとおり、上リンク61及び下リンク62の左右両側に取り付けられた第1植付具20a及び第2植付具20bは、第1植付具20aの方が前方に位置する構成で配置されている。
第1植付具20a及び第2植付具20bの前後の位置をずらすことにより、図2に示すとおり前後の位置が異なる第1落下供給位置31a及び第2落下供給位置31bから落下する苗の位置に、各植付具20a、20bの位置を合わせることが出来る。
又、第1植付具20a及び第2植付具20bを、直線状部分28に限らず苗収容体22の周回移動経路に沿って配置することが出来るので、機体の前後長さを小さく出来る。
作動軌跡15に示すとおり、第1植付具20a及び第2植付具20bの前後方向の距離(植付具前後間隔70)を、第1植付具20a及び第2植付具20bの上下方向の移動距離よりも小さくすることにより、第1植付具20a及び第2植付具20bによって植え付けられる苗の深さを略同じにすることが出来る。
第1植付具20a及び第2植付具20bによって同時に植え付けが行なわれるので、植付具前後間隔70を、p×株間+株間/2(pは、0以上の整数)とすることにより、4体の第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dによって千鳥植えを行なうことが出来る。
又、植付具前後間隔70を、p×株間とすることにより、4体の第1植付具20a、第2植付具20b、第3植付具20c及び第4植付具20dによって並木植えを行なうことが出来る。
機体の左端に位置する第1植付具20aについては、第1植付具20aが上死点に達した後、下がり工程になったタイミングで苗収容体22から苗が落下供給される構成に設定することにより、より確実に第1植付具20aへ苗を供給することが出来る。
第1植付具20aは、図3の第1落下供給位置31aで苗が供給されるので、苗収容体22が後方へ移動しながら苗を落下供給することになり、苗が後方に振れながら第1植付具20aへ供給される。
一方、第1植付具20aは、作動軌跡15を描く構成で上下動するので、上死点に達する直前の上がり工程では前方に移動し、上死点を過ぎた下がり工程では後方に移動する。
第1植付具20aが下がり工程になったタイミングで苗を供給させる構成とすることにより、落下する苗が振れる後方への向きと同じ向きに第1植付具20aが移動しながら苗が供給されることになるので、第1植付具20aへの苗の供給がし易くなる。
又、機体の右端に位置する第4植付具20dについては、第4植付具20dが上死点に達する前の、まだ上がり工程のタイミングで苗収容体22から苗が落下供給される構成に設定することにより、より確実に第4植付具20dへ苗を供給することが出来る。
第4植付具20dは、図3の第4落下供給位置31dで苗が供給されるので、苗収容体22が前方へ移動しながら苗を落下供給することになり、苗が前方に振れながら第4植付具20dへ供給される。
第4植付具20dは、作動軌跡15を描く構成で上下動するので、第4植付具20dが上死点に達する前の上がり工程のタイミングで苗を供給させる構成とすることにより、落下する苗が振れる前方への向きと同じ向きに第4植付具20dが移動しながら苗が供給されることになるので、第4植付具20dへの苗の供給がし易くなる。
尚、上記では、玉葱苗移植機10の、接地して駆動回転する走行駆動部を、前後車輪を備えた四輪式の走行駆動部の構成としたものであるが、クローラー式の走行駆動部の構成としてもよい。
図12に、クローラー式の走行駆動部とした構成の、クローラー走行装置部分の側面図を示す。又、図13に、クローラー式の走行駆動部とした構成の、油圧回路を説明する平面図を示す。図1及び図2と同じ機能構成部分には、同じ符号を用いている。
図12及び図13を用いて、クローラー式の走行駆動部の構成及び動作について説明する。
ミッションケース39の左右側面から突出する左右回動筒部87内に左右クローラー駆動軸73をミッションケース39の左右に突出して設け、左右クローラー駆動軸73により左右クローラ走行装置の前輪である駆動輪75を駆動する。
駆動輪75のクローラー駆動軸73には後輪アーム74の前端部が回動自在に設けられ、後輪アーム74の後部には、側面視で略三角形状の第1転輪支持プレート77が連結している。第1転輪支持プレート77に設けた長孔にピンを挿入して後輪アーム74と第1転輪支持プレート77が遊動自在に連結している。
そして、第1転輪支持プレート77の後端部(三角形状の後方角部)には、左右クローラー走行装置の後輪である従動転輪76の従動回転軸80が回動自在に連結しており、後輪アーム74と連結するピンが第1転輪支持プレート77の長孔内を前後に動くことで、後輪アーム74が長手方向に進退可能である。又、後輪アーム74と連結するピンをきつく閉めることで、後輪アーム74と第1転輪支持プレート77が一体となり、固定される。
このとおり、後輪アーム74が長手方向に進退調節して固定自在に設けられることで、駆動輪75と従動転輪76間の距離を調節して、クローラー72を緩みが無く張る構成である。
そして、第1転輪支持プレート77の前方下端部(三角形状の前方下部の頂点部)には前方遊転輪79aが回動自在に連結している。尚、複数個の遊転輪を第1転輪支持プレート77に支持させて設けても良い。
第1転輪支持プレート77の下部には、側面視で三角形状の第2転輪支持プレート78が前後方向に揺動自在に連結している。第2転輪支持プレート78の上端部(上方頂点部)が第1転輪支持プレート77の後方下部にピンを介して連結し、第2転輪支持プレート78の下端部(下方頂点部)に、2つの遊転輪79b、79cが回動自在に連結している。これらの2つの遊転輪を、中央遊転輪及び後方遊転輪と呼ぶことにする。
そして、合成ゴムよりなる外周面にラグが一体形成されたクローラー72が、駆動輪75、従動転輪76、前方遊転輪79a、中央遊転輪79b及び後方遊転輪79cの外側に巻き掛けられて左右クローラー走行装置を構成している。
このとおり、左右クローラー走行装置の3つの前方遊転輪79a、中央遊転輪79b及び後方遊転輪79cがクローラー72を接地させるので、クローラー72の接地面積が広くなって、滑り難くなる。
又、機体を旋回させるときには、左右クローラー走行装置の後部を下動させて機体を上昇させて旋回するが、この旋回時には、左右クローラー走行装置の後方側の後方遊転輪79cの最も設置面積が少ない部分が接地するので、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。
走行部には、機体を基準として左右クローラー走行装置の後部を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構が設けられている。
この機体制御機構(上下動機構)は、図13に示すとおり、ミッションケース39の上に配置した油圧バルブユニット82から後方に向けて昇降用油圧シリンダー83が設けられ、昇降用油圧シリンダー83のピストンロッドの先端部に連結体85が上下方向の軸回りに回動自在に取り付けられている。ピストンロッドは、前後両端が前後方向に摺動する構成としている。連結体85の左右両端部と、左右回動筒部87に固着した左右スイングアーム88とが、左右連結ロッド86を介して連結されている。左側の連結ロッド86は、左右水平制御用油圧シリンダー81が組み込まれており、左右水平制御用油圧シリンダー81を伸縮作動させることにより長さを変えられる構成としている。
昇降用油圧シリンダー83のピストンロッドが機体後方に突出すると、アーム13が後方へ回動し、左右クローラー走行装置の後部が下動する。
昇降用油圧シリンダー83及び左右水平制御用油圧シリンダー81は、油圧ポンプ84から供給される作動油を油圧バルブユニット82内の第1制御バルブ89a及び第2制御バルブ89bで制御して作動させられる。
昇降用油圧シリンダー83を伸縮作動させると、左右のクローラー走行装置が同方向に同量だけ機体を基準として上下動し、機体が昇降する。又、左右水平制御用油圧シリンダー81を伸縮作動させると、左右のクローラー走行装置が逆方向に同量だけ機体を基準として上下動し、機体が左右に傾斜する。
又、油圧バルブユニット82内の第1制御バルブ89a及び第2制御バルブ89bは左右傾斜検出用の振り子90の動きに連動して切り替わる構成としている。機体が左右に傾斜すると振り子90が傾斜を検出して、第1制御バルブ89a及び第2制御バルブ89bを切替えて左右水平制御用油圧シリンダー81が適宜作動し、機体を左右水平に戻す制御をする。
そして、このとおり、前方遊転輪79aと従動転輪76は第1転輪支持プレート77に支持されて、その間に位置する中央遊転輪79b及び後方遊転輪79cは第1転輪支持プレート77の下部に連結した第2転輪支持プレート78によって支持されているので、前方遊転輪79aと従動転輪76は中央遊転輪79bと後方遊転輪79cよりも上方に位置することになる。従って、4つの転輪のうち、両端の転輪(前方遊転輪79aと従動転輪76)と中央部の転輪(中央遊転輪79bと後方遊転輪79c)の上下位置が異なる配置になっているので、圃場面に段差があっても上り易く、走行性能が良い。
本実施の形態のクローラー走行装置では、クローラー72の上下動に連動して、前輪45を支持している前輪アーム91も上下動して、前輪45を基準としても機体が上下動する構造となっている。
図14に、クローラー72と前輪45の連動上下動作を説明する側面図を示す。又、図15に、クローラー72及び前輪45部分の平面図を示す。
前輪アーム支点軸98が、機体フレーム19に固定され機体の左右方向に配置されている。後端が前輪アーム支点軸98に回動自在に固定された前輪アーム91の前端に前輪車軸18が固定されており、前輪45は、前輪車軸18に回動自在に支持されている。
図14に示すとおり、前輪アーム支点軸98は、後輪アーム74を駆動するクローラー駆動軸73よりも後部に設けられており、側面視で、前輪アーム91が後輪アーム74と交差する構成となっている。
前輪アーム支点軸98には、前輪アーム91とともに回動する連動ローラーアーム96が固定されており、連動ローラーアーム96の端部に、連動ローラー95が回動自在に取り付けられている。
クローラー駆動軸73には、連動カム94の周囲部分が連動ローラー95に接触する位置となる構成で連動カム94が固定されている。
従って、後輪アーム74がクローラー駆動軸73を中心に回動すると、連動カム94も回動する。連動ローラー95は、連動カム94の周囲部分の形状に沿って上下に移動し、その連動ローラー95の上下動に対応して、連動ローラーアーム96が前輪アーム支点軸98を中心に回動するので、連動ローラーアーム96と一体回転する前輪アーム91も回動する。
例えば、クローラー72が下動するとき、すなわち、図14に示す状態からクローラー72がクローラー駆動軸73を中心に右回りに回動するときには、クローラー72が回動するとともに、連動カム94によって連動ローラー95が押し下げられ、連動ローラーアーム96が前輪アーム支点軸98を中心に左回りに回動する。従って、前輪アーム91も、前輪アーム支点軸98を中心に左回りに回動して、前輪アーム91の前端の前輪45が機体を基準として下動することになる。すなわち、クローラー72が下動するのに連動して前輪45も下動する。
クローラー72が上動するときは、上記と逆に回動し、連動して前輪45も上動する。
このとおり、後輪アーム74と前輪アーム91が、側面視でハの字形状を形成しながら、クローラー72と前輪45の上下動が連動して、機体を昇降させる。
このとおりの構造としたことにより、作業時は前後に長いホイールベースとなり安定し、機体リフト時には、ホイールベースが小さくなって旋回し易くなる。
連動カム94と連動ローラー95の接触により、前輪アーム91の回動動作を後輪アーム74の回動動作に連動させる構成なので、連動カム94の周囲形状に対応して、連動ローラー95の移動方向や移動速度を変化させることが出来るので、後輪アーム74に対する前輪アーム91の移動量を変化させることが出来る。従って、連動カム94の周囲形状によって、後輪アーム74の回動動作に対応させて、前輪45を任意の高さに上下動させることが出来る。
図14に示すとおり、前輪アーム支点軸98から前輪車軸18までの距離L2は、クローラー駆動軸73から、中央遊転輪79bまでの距離L1と略同じ距離である。又、前輪アーム支点軸98の高さは、クローラー駆動軸73と略同じ高さである。
この構成により、機体を平行な状態のまま昇降させることが出来る。
前輪アーム91が短い構成のとき、すなわち前輪アーム支点軸98から前輪車軸18までの距離L2が小さいと、前側のリフト量が後側のリフト量に比べて少なくなり、機体を平行な状態で昇降出来ない。
又、前輪アーム支点軸98をクローラー駆動軸73よりも後方に配置しているので、機体の前後方向の長さを小さく出来、機体をコンパクトに出来るとともに、機体を平行に昇降させることが出来る。又、クローラー駆動軸73から機体前端までの長さが小さくなるので、畝の端まで苗を植え付けることが出来る。
又、連動カム94の周囲部分の一部に切り欠き97を設けている。この切り欠き97は、機体を最上位置にしたときに、連動ローラー95が接触する位置に設けられている。
機体を最上位置にリフトした際、連動ローラー95が連動カム94の切り欠き97部分に入るので、前輪アーム支点軸98が右回りに回動して前輪45が上がり、旋回がし易くなる。
図15に示すとおり、前輪アーム支点軸98及び後輪アーム支点軸99は、前輪45及びクローラー72の左右方向の位置を調整出来る構成であり、スライド軸となっている。
そして、連動カム94と連動ローラー95は、図15に示すとおり、このスライド軸の根元部分に配置している。
これにより、前輪45及びクローラー72のスライド軸を独立してスライドさせることが出来るので、前輪45及びクローラー72の左右方向の位置を独立して変更することが出来る。
又、図15に示すとおり、前輪アーム91は、クローラー72の内側に配置している。
これにより、クローラー72は、前輪アーム91と干渉することなく、作動出来る。
又、機体の下降時に前輪アーム91が後輪アーム支点軸99に当たり、ストッパーの代わりとなる。すなわち、ストッパーを設けなくても、前輪45及びクローラー72をロックすることが出来る。
又、図14に示すとおり、前輪アーム支点軸98には、スプリングアーム92が固定されており、スプリングアーム92の端部とアーム13との間にスプリング93が設けられている。スプリング93によって、スプリングアーム92がアーム13に引き寄せられ、機体を上昇させる際の補助となる。
そして、機体を最上位置に上げた際には、スプリングアーム92がアーム13に当たり、その位置で前輪アーム91の左回りの回動が止まり、それ以上は左回りに回動しない。すなわち、前輪45の下動が、その位置で止まり、前輪45はそれ以上、下動しない。従って、前輪45の吊り上げ機構を設ける必要がない。
上記では、連動カム94と連動ローラー95の接触により、前輪アーム91の回動動作を後輪アーム74の回動動作に連動させたが、これ以外の構成により、前輪アーム91の回動動作を連動させてもよい。例えば、ギヤの噛み合わせを用いて、前輪アーム91の回動動作を連動させてもよい。
図16に、ギヤの噛み合わせ構造を用いるときの、前輪アーム91と後輪アーム74の接続部分の構造例の側面図を示す。
図16に示す構成では、クローラー駆動軸73に第1連動ギヤ101を固定している。第1連動ギヤ101は、後輪アーム74とともに回動する。
一方、前輪アーム支点軸98に、第2連動ギヤ102を固定している。第2連動ギヤ102は、第1連動ギヤ101に噛み合う位置に配置されており、第2連動ギヤ102は、第1連動ギヤ101の回動に伴って、第1連動ギヤ101とは反対回りに回動する。
例えば、クローラー72が下動するとき、すなわち、図16においてクローラー72がローラー駆動軸73を中心に右回りに回動するときには、クローラー72が回動するとともに、第1連動ギヤ101も右回りに回動する。そして、第1連動ギヤ101と噛み合う第2連動ギヤ102は、左回りに回動するので、前輪アーム支点軸98が左回りに回転し、前輪アーム91も、前輪アーム支点軸98を中心に左回りに回動する。その結果、前輪アーム91の前端の前輪45が機体を基準として下動することになる。すなわち、クローラー72が下動するのに連動して前輪45も下動する。
このとおり、ギアで噛み合わせて連動させる構成にしたときには、アーム比が同じなので、機体を完全に平行な状態で昇降させることが出来る。
尚、各実施の形態では、本発明の移植対象物として玉葱苗を例に説明したが、本発明の植付装置は、玉葱苗以外の移植対象物を植え付ける植付装置としても適用出来る。例えば、植付装置を利用する種芋用の植付装置としても適用出来る。