以下、図面を参照しながら、本発明における移植機の一例である本実施の形態の苗移植機の構成及び動作について具体的に説明する。
なお、本願の苗移植機は、長ネギや接木用の台木(例えば、カラタチや柚子、サザンカ等)のような、丈が長い苗を移植するものを念頭に置く。丈の長い苗とは、植付作動機構900による昇降動作で後述する苗植付ホッパ310,320の下端部が描く植付軌跡の上下幅よりも長いものが一例として挙げられる。
上記の丈の長い苗は、圃場に深く植え付けても上部側が苗植付ホッパ310,320の内部に位置するので、苗植付ホッパ310,320を圃場面から上方に退避させる際、植え付けた苗に接触せず、且つ苗を挟み込んで持ち上げることのない構成が必要になる。
図1は本発明における実施の形態の苗移植機の左側面図であり、図2は本発明における実施の形態の苗移植機の平面図である。
本実施の形態の苗移植機は、エンジン20、ミッションケース21、操作ユニット60、植付深さ調節機構100、苗供給テーブル200、苗植付装置300、及び鎮圧機構400などを備える。
車体10の前部には、エンジン20を設け、該エンジン20の左右両側に、左右の接地輪40を上下高さ調節可能に配置する。操作ユニット60は、作業者が車体10の後方を歩きながら車体操向操作を行う操縦ハンドル70の中央部に配置され、副変速レバー61等を有する。
植付深さ調節機構100は、車高を調節することにより長ネギや接木用の台木の苗の植付深さを一定に保つためのセンサ板110等を有する。該センサ板110は、図1、図6に示すとおり、前後方向に長い板体で構成し、圃場面の凹凸に合わせて上下回動する。また、センサ板110は、左右の苗植付ホッパ310,320のうち、機体右側の苗植付ホッパ320の前方に配置する。
一方、前記センサ板110の左側方には、運搬時や格納時に機体をその場に固定したり、メンテナンス時に機体の後部側を上昇させたりするスタンド111を設ける。該スタンド111は、回動基部をセンサ板110の回動基部よりも後側に配置すると共に、平面視で接地部111aがセンサ板110の後端部よりも機体後側に位置する構成とし、スタンド111の回動軌跡がスタンド板110の後端部を回避する円弧軌跡になる構成とする。
これにより、スタンド111を上下回動させるとき、センサ板110の位置を気にすることなく上下回動させることができるので、作業能率が向上する。
また、スタンド111とセンサ板110の接触により、センサ板110の後端部が変形して接地範囲が変化することを防止できるので、センサ板110の検知による植付深さ調節機構100の作動精度が安定する。
なお、前記スタンド111は、機体左右方向の中央に位置する構成とし、スタンド111の接地部111aを接地させた際、機体の姿勢が左右に傾きにくい構成とする。
苗供給テーブル200は、無端チェーンにより車体左右方向に延びるループ状に連結されて周回移動させられる、作業者により補給された苗を収容する二十八個の苗収容カップ210などを有する。なお、前記苗収容カップ210の個数は一例であり、植え付ける苗の種類等により苗収容カップ210のサイズや装着間隔を変更すると、その数は増減される。
また、該苗供給テーブル200の下部には、図9(a)(b)に示すとおり、苗供給テーブル200に駆動力を伝動するテーブル伝動機構230を設ける。該テーブル伝動機構230は、駆動スプロケットと従動スプロケットに伝動チェーンを巻回して構成し、テーブル伝動ケース260で周囲を覆う構成とする。該テーブル伝動ケース260の下方は開放状態とする。
これにより、作業者が苗供給テーブル200の苗収容カップ210に苗を投入するときに苗から零れ落ちる土がテーブル伝動機構230に付着することを防止できるので、テーブル伝動機構230の作動不良や破損が防止される。
また、テーブル伝動ケース260の下方を開放したことにより、テーブル伝動ケース260内に軸部等の隙間から土が入り込んでも下方に抜け落ちるので、
泥土が溜まることが防止され、掃除に要する労力が軽減される。
そして、図9(a)(b)に示すとおり、前記苗供給テーブル200の機体左右両側から機体後部に亘って、苗収容カップ210や無端チェーンに作業者が接触することを防止する、テーブル防護カバー250を設ける。
これにより、作業位置Wに立って苗の供給を行う作業者の手や胴が苗収容カップ210や無端チェーンに接触することを防止できるので、苗供給テーブル200の回転が妨げられ、苗植付ホッパ310,320への苗の供給タイミングがずれ、苗の植付間隔に乱れが生じたり、苗の植付が行われない位置の発生が防止される。
また、作業者が無端チェーン等に触れて怪我をすることを防止できるので、作業の安全性が向上する。
車体10の後部には、車体側面視において8の字状の植付ホッパ移動静軌跡に沿って上下移動させられる、苗供給テーブル200により落下供給された苗を植え付ける苗植付装置300、及び植え付けられた苗の周辺の土壌に鎮圧荷重を負荷する鎮圧機構400などが、左右一対の駆動後輪50とともに配置されている。
つぎに、図1から図13を主として参照しながら、本実施の形態の苗移植機の構成及び動作についてより具体的に説明する。
図3は本発明における実施の形態の苗移植機の背面図であり、図4は本発明における実施の形態の苗移植機の苗植付装置300近傍の部分背面図であり、図5(a)(b)は本発明における実施の形態の苗移植機の鎮圧機構400近傍の模式的な部分斜視図(その一及び二)である。
図3、図4においては、以下の説明がより理解しやすくなるように、内側鎮圧輪フレーム450などは透視的に図示されている。
そして、図3及び4においては、水タンク600、及び水タンクステー700などは図示されていない。
苗供給テーブル200は、長ネギ、あるいは接木用の台木となる柑橘類や椿類の苗を供給する装置であり、機体後上部に設けるテーブルフレーム220上に形成する。左右の苗植付ホッパ310,320は、苗供給テーブル200により供給された苗を受入れて植え付ける、二本の植付条にそれぞれ対応するものである。
左右一側の該苗植付ホッパ310は、苗供給テーブル200により供給された苗を案内する苗ガイド311と、苗ガイド311により受入れられた苗を植え付ける、苗ガイド311の下方に設けられた苗植付体312,313で構成する。左右他側の苗植付ホッパ320は、苗供給テーブル200により供給された苗を受入れる苗ガイド321と、苗ガイド321により受入れられた苗を植え付ける、苗ガイド321の下方に設けられた苗植付体322,323で構成する。
なお、前記左右の苗植付ホッパ310,320は、車体左右方向を基準として並んで配置される。
そして、左右一側の前記苗ガイド311は、平面視で不等辺六角形状に形成した左右のガイド構成体314,315で構成し、左右他側の前記苗ガイド321は、平面視で不等辺六角形状に形成した左右のガイド構成体324,325で構成する。
前記左右の苗植付ホッパ310,320及び左右の苗ガイド311,321について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図10から図13において、苗植付ホッパ310,320を動作させる植付作動機構900を示す。該植付作動機構900は、前記ミッションケース21から伝動される駆動力を左右に分岐する分岐ケース22を前記テーブルフレーム220の下方に設け、該分岐ケース22の左右両側に前記左右の苗植付ホッパ310,320に対応する左右の植付伝動ケース910,910を装着し、該左右の植付伝動ケース910,910の下部を機体フレーム2の左右後部で支持する。前記テーブルフレーム220は、前記分岐ケース22と連結する左右の装着プレート221,221を有する。
前記左右の植付伝動ケース910,910の機体前側には、左右の苗植付ホッパ310,320を昇降させると共に前後揺動させる植付カム920を設ける。該植付カム920は、植付伝動ケース910寄りに設ける左右の苗植付ホッパ310,320を前後揺動させる揺動カム921と、植付伝動ケース910から機体外側に離間する側に設ける左右の苗植付ホッパ310,320を昇降させる昇降カム922で構成する。該揺動カム921と昇降カム922は、植付伝動ケース910から機体外側に突出する伝動軸923に各々設けるものであり、不等円形状とするか、または偏心させて装着するものとする。
なお、揺動カム921と昇降カム922は、形状または偏心位置の異なるものに取替可能とすると、苗植付ホッパ310,320の植付軌跡を揺動カム921と昇降カム922の交換のみで変更することができる。
そして、図11(a)(b)で示すとおり、前記植付伝動ケース910,910の上部に、前記左右の苗植付ホッパ310,320を前後揺動させる側面視でL字形状の植付揺動アーム970,970を各々設け、該植付揺動アーム970の下部側端部に前記揺動カム921と接触する揺動ローラ971を回転可能に設ける。
また、前記植付揺動アーム970の屈曲部には、左右の苗植付ホッパ310,320を昇降させる植付昇降アーム930の上端部を装着する。さらに、該植付昇降アーム930は、上下中央部に設ける回動支軸931を介して前記装着プレート221に回動可能に装着する。該回動支軸931には、前記昇降カム922に接触する昇降ローラ932を回転可能に設ける。
そして、前記植付揺動アーム970の屈曲部で、前記植付昇降アーム930よりも機体外側には、前記左右の苗植付ホッパ310,320を昇降させる昇降リンク機構960を構成する上側リンクアーム940の前端部を装着する。また、前記植付昇降アーム930の下端部には、下側リンクアーム950の前端部を装着する。該下側リンクアーム950の前後間には、機体内側に向かう連結突起951を形成し、該連結突起951には、前記植付伝動ケース910の後部から伝動される揺動クランク980を装着し、下側リンクアーム950を揺動させる構成とする。
なお、該上側リンクアーム940と下側リンクアーム950で構成する昇降リンク機構960は、平行リンクとして構成しないものとする。
前記上側リンクアーム940及び下側リンクアーム950の後端部は、前記苗植付ホッパ310,320を支持する植付具ホルダ316,326に連結する。該植付具ホルダ316,326は、機体側方で上下方向に延びるリンク受けプレート316a,326aと、苗植付ホッパ310,320を左右位置を調節可能に装着する左右方向の植付装着プレート316b,326bと、該植付装着プレート316b,326bから機体後方に突出してガイド構成体314,315、324,325を装着する前後方向のガイド装着プレート316c,326cで構成する。
前記リンク受けプレート316a,326aの上端部に前記上側リンクアーム940の後端部を装着すると共に、下部側に前記下側リンクアーム950の後端部を装着する。なお、上側リンクアーム940の取付位置は、前記苗ガイド311,321の上端部よりも機体上方とする。
上記構成では、昇降リンク機構960が昇降動作すると、植付昇降アーム930と植付具ホルダ316,326が連動して回動するので、左右の苗植付ホッパ310,320が昇降する際、上部側が下部側よりも機体後側に位置する傾斜姿勢から、圃場面に対して略垂直となる姿勢を取るように回動する。
なお、前記苗植付ホッパ310,320が上昇する際には、前記植付昇降アーム930及び植付具ホルダ316,326の上部側が後方に移動し、下降する際には前記植付昇降アーム930及び植付具ホルダ316,326の下部側が後方に移動する構成とすると、左右の苗植付ホッパ310,320は、圃場に苗を植え付けるべく下方移動する際、下死点Uに近付くほど垂直に近い姿勢となり、苗を植え付けて圃場から退避する際、上死点Tに近付くほど後上がり傾斜姿勢の角度が大きくなる。
このとき、左右の植付ホッパ310,320の下端部が描く移動軌跡は、上死点Tと下死点Uの上下方向の中心点Mよりも下方では側面視でU字形状の円弧を描き、中心点Mよりも上方では、機体前側上方に向かいつつ上死点Tでターンして機体後側下方に向かう前傾姿勢の円弧を描くものとする。
前記植付装着プレート316b,326bは、機体左右方向の長孔(図示省略)を形成し、この長孔にボルト・ナット等の固定部材を緩めると左右方向に摺動し、締めると位置決めされる条間調節ステー319,329を設ける。そして、該条間調節ステー319,329に、前記苗植付体312,313、322,323の機体前側に設ける上下方向の回動軸312a,313a、322a,323aを差し込み、前記苗植付ホッパ310,320が苗を圃場に植え付ける際、苗植付ホッパ310,320の機体後側が開く構成とする。
なお、前記苗植付ホッパ310,320は、回動軸312a,313a、322a,323aに対して機体後側に傾斜する姿勢で配置される。
この構成により、苗植付ホッパ310,320が開いた時の苗植付体312,313、322,323の下部側の左右間隔を広くすることができるので、苗の根部側が苗植付ホッパ310,320に引っ掛かり、植付姿勢が乱れることが防止される。
一方、移植作業を行う作物が、例えば長ネギ等の根部側の軸径が小さく、葉部側が四方に広がり得る作物については、苗植付ホッパ310,320の内部に葉部が接触して苗の植付姿勢が乱れることや、苗植付ホッパ310,320から苗が離れず、苗が植え付けられない箇所が発生することがある。これは、苗植付ホッパ310,320の下部側の左右間隔よりも、上部側の左右間隔が狭いことにより生じやすい問題である。
これを防止すべく、前記苗植付ホッパ310,320と回動軸312a,313a、322a,323aは、各垂線が平行になる姿勢で配置する。
これにより、苗植付ホッパ310,320が開いた時の苗植付体312,313、322,323の上部側の左右間隔を広くすることができるので、苗の葉部側が苗植付ホッパ310,320に引っ掛かり、植付姿勢が乱れることや、苗が植え付けられない箇所が発生することが防止される。
また、前記回動軸312a,313a、322a,323aには、前記苗植付体312,313、322,323を支持する左右の植付装着具317,317、327,327を設け、該植付装着具317,317、327,327を開閉スプリング317a,327aで連結することで、該前記昇降リンク機構960,960の昇降に連動して苗植付体312,313、322,323を回動させ、苗植付ホッパ310,320の開閉を切り替える開閉装置990を構成する。
さらに、前記ガイド装着プレート316c,326cの後端部には、前記左右のガイド構成体314,315、324,325を支持するガイド装着具318,318、328,328を各々設ける。
なお、該ガイド装着具318,318、328,328と前記植付装着具317,317、327,327は同一の形状とすると共に、機体左右位置を同じ位置に配置する。
上記構成により、苗植付ホッパ310,320を構成する苗植付体312,313、322,323が機体前側を回動中心として開閉することにより、苗植付ホッパ310,320の後方を開放空間とすることができるので、植え付ける苗の丈が苗植付ホッパ310,320の上下長さ、及び植付軌跡の上下長さよりも長くても、苗植付ホッパ310,320が苗に干渉することなく上方に移動できる。これにより、苗の植付姿勢が傾くことが防止され、苗の生育が安定する。
そして、植付昇降アーム930と植付揺動アーム970を植付カム920で揺動させ、平行リンクでない昇降リンク機構960で植付ホッパ310,320を昇降及び前後回動させることにより、植付軌跡を
また、左右の苗植付ホッパ310,320が下死点Uに近付くほど垂直に近い姿勢になることにより、圃場に植え付ける苗が傾くことを防止できるので、植付姿勢の悪い苗を手作業で植え直す必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
また、苗植付ホッパ310,320が上昇する際、下部側が上部側よりも機体前側に位置する傾斜姿勢となることにより、苗植付ホッパ310,320の後部側が閉じる位置を苗の植付位置から離間させることができるので、苗植付ホッパ310,320が植え付けた苗を抜き取ることが防止され、苗が植え付けられない箇所の発生が防止される。
さらに、左右の苗植付ホッパ310,320を、左右方向に摺動させて位置調節する条間調節ステー319,329に装着したことにより、苗植付ホッパ310,320の左右間隔、所謂条間を調節することができるので、移植する苗の種類や圃場環境に適した条間を設定しやすく、作物の生育スペースの確保や圃場内の風の通り道が確保され、作物が生育しやすくなると共に、病害虫の発生が軽減される。
また、植付伝動ケース910や昇降リンク機構960の左右位置を変更することなく条間調節ができるので、植付伝動ケース910や昇降リンク機構960の取付強度が向上すると共に、位置調節しても伝動が確保される構成とする必要が無く、構成の簡略化や部品点数の削減が図られる。
そして、上側リンクアーム940の前端部を植付昇降アーム930の上部に連結し、苗ガイド311,321よりも上方位置で上側リンクアーム940の後端部を植付具ホルダ316,326の上部側に連結したことにより、植付具ホルダ316,326の上部側、ひいては苗植付ホッパ310,320の上部側の回動による姿勢の変化を、下部側に対して小さくすることができるので、苗供給テーブル200の落下供給位置の下方に苗ガイド311,321が位置しない状態になることが防止され、苗が圃場に落下することが防止される。
さらに、ガイド装着具318,318、328,328と植付装着具317,317、327,327は同一の形状とすると共に、機体左右位置を同じ位置に配置したことにより、左右の苗植付ホッパ310,320の条間を調節して左右の苗ガイド311,321が苗供給テーブル200の落下供給位置から落下する苗を受け止めにくくなっても、左右のガイド構成体314,315、324,325を入れ替えることで、苗を苗植付ホッパ310,320内に案内しやすい配置に簡単に入れ替えることができるので、苗確実に苗の供給が受けられ、苗の植付が行われない箇所の発生が防止される。
前記左右のガイド構成体314,315、324,325は、左右どちらか一方の内側の面積が他方よりも大きくなる構成とする。
また、図13(a)(b)で示すとおり、背面視において、前記左右の苗植付体312,313、322,323は、閉じたときの接触面同士が描く線が、上下方向の直線となる構成とする。一方、前記左右のガイド構成体314,315、324,325は、閉じたときの接触面同士が描く線が、機体内側下部から機体外側上部に向かう傾斜方向の直線となる構成とする。
上記構成により、苗供給テーブル200の落下供給位置と苗植付ホッパ310,320の左右位置が多少ずれていても苗を苗植付ホッパ310,320内に確実に案内することができるので、苗を受け損ない、苗が植え付けられない箇所が発生することが防止される。
なお、苗植付ホッパ310,320の左右位置が苗供給テーブル200の落下供給位置からずれるのは、苗植付ホッパ310,320の条間を調節したときに生じ得る。
また、左右のガイド構成体314,315、324,325の接触面が、背面視において機体内側下部から機体外側上部に向かう傾斜方向の直線となることにより、左右の苗植付体312,313、322,323が開く方に回動した際、左右一方のガイド構成体314,324の前側端部が左右他方のガイド構成体315,325の前側端部よりも機体後側に位置するので、左右のガイド構成体314,315、324,325同士が干渉し合わない。
これにより、苗植付ホッパ310,320及び苗ガイド311,321の後方に丈の長い苗が通過する開放空間を確実に発生させることができるので、苗の植付姿勢が傾斜することが防止される。
前記操縦ハンドル70は、前記左右の苗植付ホッパ310,320よりも機体後側上方に設けるが、この操縦ハンドル70よりも機体前側に、左右方向のハンドル受けフレーム340を設ける。そして、該ハンドル受けフレーム340の左右両側に、前記左右の後輪伝動ケース30,30の軸部カバー30a,30aに基部を装着する左右のハンドルフレーム350,350を連結する。該左右のハンドルフレーム350,350は、前記昇降リンク機構960,960の上方を通過させて配置する。なお、昇降リンク機構960,960が最大限上昇しても接触しない上下位置に、左右のハンドルフレーム350,350を設けるものとする。
そして、前記ハンドル受けフレーム340の左右両側に下方に向かうスプリングステー360,360を設け、該左右のスプリングステー360,360と前記リンク受けプレート316a,326aに亘って、機体後側に向かって付勢する吊りスプリング370,370を設ける。
左右の苗植付ホッパ310,320の上部側を機体後方に引っ張ることにより、上死点Tに向かう上昇時に苗植付ホッパ310,320の傾斜角度を早い段階から大きくすることができるので、苗植付ホッパ310,320が植え付けた苗を挟んで引き抜くことを防止でき、苗の植付が行われない箇所の発生が防止される。
また、左右のハンドルフレーム350,350とハンドル受けフレーム340を連結したことにより、旋回時に操縦者が押し下げる際に操縦ハンドル70にかかる負荷に耐え得る強度が確保される。
次に、苗を植え付ける際、苗植付ホッパ310,320が持ち上げた土砂を踏み均す鎮圧装置410及び420について説明する。
鎮圧装置410及び420は、植え付けられた苗の周辺の土壌を鎮圧する、苗植付ホッパ310,320にそれぞれ対応する鎮圧装置である。
鎮圧装置410は、苗植付ホッパ310を挟むように車体左右方向を基準として並んで設けられた鎮圧輪411及び412を有する。鎮圧装置420は、苗植付ホッパ320を挟むように車体左右方向を基準として並んで設けられた鎮圧輪421及び422を有する。
鎮圧輪411及び412の鉛直面に対する傾斜度は、互いに異なる。鎮圧輪421及び422の鉛直面に対する傾斜度は、互いに異なる。
鎮圧輪411、412、421及び422の内、苗植付ホッパ310,320の間の鎮圧輪411及び421の傾斜度は、残る鎮圧輪412及び422の傾斜度より小さい。
本実施の形態においては、鎮圧輪411及び412の鎮圧輪ステー461及び462は車体背面視においてV字状であるように苗植付ホッパ310に沿って傾斜させられており、鎮圧輪421及び422の鎮圧輪ステー463及び464は車体背面視においてV字状であるように苗植付ホッパ320に沿って傾斜させられている。たとえば、鎮圧輪411及び412の鉛直面に対する傾斜度は10度であり、鎮圧輪421及び422の鉛直面に対する傾斜度は27度である。そして、鎮圧輪411、412、421及び422の接地箇所は同じ高さの水平面に含まれているが、苗植付ホッパ310,320の間の鎮圧輪411及び421の独立回転可能な鎮圧輪回転軸が鎮圧輪ステー461及び463にそれぞれ取付けられる上下方向を基準とした取付位置は、残る鎮圧輪412及び422の独立回転可能な鎮圧輪回転軸が鎮圧輪ステー461及び463にそれぞれ取付けられる上下方向を基準とした取付位置とは、鎮圧輪412及び422が鎮圧輪411及び421に比べて大きく倒れているように異なる。
このため、苗植付体312,313,322の下端部同士の間の距離δ2が小さくても、植付ホッパ移動静軌跡に沿って上下移動させられる苗植付装置300と、鎮圧装置410と、の間の干渉が発生して苗植付が妨げられる恐れがほとんどないのみならず、植え付けられた苗の周辺の土壌が確実に鎮圧される鎮圧輪レイアウトが実現される。
スクレーパ511、512、521及び522は、鎮圧輪411、412、421及び422に付着した泥土を掻落とす、鎮圧輪411、412、421及び422にそれぞれ対応するスクレーパである。
苗植付ホッパ310,320の間の鎮圧輪411及び421にそれぞれ対応するスクレーパ511及び521の上下方向を基準とした取付位置は、互いに異なる。
本実施の形態においては、スクレーパ511、512、521及び522は鎮圧輪ステー461〜464にそれぞれ取付けられるが、スクレーパ521が鎮圧輪ステー463に取付けられる上下方向を基準とした取付位置は、スクレーパ511、512及び522が鎮圧輪ステー461、462及び464にそれぞれ取付けられる上下方向を基準とした取付位置より低い。
このため、スクレーパ511及び521の間には段差が生じるので、泥土がスクレーパ511及び521に溜まりにくい。そして、苗植付体312,313,322の下端部同士の間の距離δ2が小さくても、苗植付ホッパ310,320の間の鎮圧輪411及び421にそれぞれ対応するスクレーパ511及び521の間の干渉が発生する恐れはほとんどないので、前述の如き望ましい鎮圧輪レイアウトの実現が妨げられない。
左外側鎮圧輪フレーム430は、車体左側に設けられた鎮圧輪フレームである。
右外側鎮圧輪フレーム440は、車体右側に設けられた鎮圧輪フレームである。
内側鎮圧輪フレーム450は、左外側鎮圧輪フレーム430と、右外側鎮圧輪フレーム440と、の間に設けられた鎮圧輪フレームである。
鎮圧輪411、412、421及び422の内、苗植付ホッパ310,320の間の鎮圧輪411及び421は内側鎮圧輪フレーム450に取付けられており、残る鎮圧輪412及び422の内、車体左側の鎮圧輪412は左外側鎮圧輪フレーム430に取付けられており、車体右側の鎮圧輪422は右外側鎮圧輪フレーム440に取付けられている。
本実施の形態においては、鎮圧輪ステー461及び463は内側鎮圧輪フレーム450に取付けられており、車体左側の鎮圧輪ステー462は苗植付ホッパ310の左外側面よりも外側に設けられた左外側鎮圧輪フレーム430に取付けられており、車体右側の鎮圧輪ステー464は苗植付ホッパ320の右外側面よりも外側に設けられた右外側鎮圧輪フレーム440に取付けられている。そして、左外側鎮圧輪フレーム430、右外側鎮圧輪フレーム440、及び内側鎮圧輪フレーム450は、車体左右方向に延びる、鎮圧輪411、412、421及び422よりも前方に設けられた鎮圧輪フレーム回動シャフト部材491へ接続されており、車体左右方向に延びる、鎮圧輪411、412、421及び422よりも後方に設けられた鎮圧輪フレーム連結アーム部材492へ接続されているが、より具体的には、内側鎮圧輪フレーム450が、一体的に形成された、左外側鎮圧輪フレーム430、右外側鎮圧輪フレーム440、及び鎮圧輪フレーム連結アーム部材492に溶接を利用して接続されている。さらに、左外側鎮圧輪フレーム430、右外側鎮圧輪フレーム440、内側鎮圧輪フレーム450、及び鎮圧輪フレーム回動シャフト部材491は、苗植付装置300に動力を伝達する植付装置伝動ケースなどよりも下方に設けられている。
このため、植付ホッパ移動静軌跡に沿って上下移動させられる苗植付装置300と、左外側鎮圧輪フレーム430、右外側鎮圧輪フレーム440、内側鎮圧輪フレーム450、及び鎮圧輪フレーム回動シャフト部材491と、の間の干渉が発生して苗植付が妨げられる恐れがほとんどないのみならず、前述の如き望ましい鎮圧輪レイアウトの実現が妨げられない。
苗植付ホッパ310,320の間の鎮圧輪411及び421の車体前後方向を基準とした取付位置は、互いに異なる。
本実施の形態においては、鎮圧輪ステー461及び464が、鎮圧輪ステー462及び463よりも車体前後方向を基準として前方に設けられている。そして、内側鎮圧輪フレーム450の右外側面の側から取付けられた、車体左側の鎮圧輪ステー461の取付基部は、内側鎮圧輪フレーム450の左外側面の側から取付けられた、車体右側の鎮圧輪ステー463の取付基部よりも前方に設けられており、鎮圧輪ステー461は鎮圧輪ステー463と車体背面視において狭小な植付条間距離に応じたコンパクトな配置関係で互いに交差する。
このため、苗植付体312,313,322の下端部同士の間の距離δ2が小さくても、苗植付ホッパ310,320の間の鎮圧輪411及び421の間の干渉が発生する恐れはほとんどないので、前述の如き望ましい鎮圧輪レイアウトの実現が妨げられない。
鎮圧装置付勢ロッド470及び480は、鎮圧装置410及び420を下方に付勢する、鎮圧装置410及び420にそれぞれ対応するロッドである。
本実施の形態においては、下方への付勢力を印加するための鎮圧装置付勢スプリング471及び481がそれぞれ取付けられた鎮圧装置付勢ロッド470及び480の下端部が、鎮圧輪フレーム連結アーム部材492へ接続されている。
鎮圧装置付勢ロッド470及び480の車体左右方向を基準とした中心は、それぞれ、苗ガイド311,321の車体左右方向を基準とした中心と車体背面視において一致する。
このため、鎮圧装置410が有する鎮圧輪411及び412は鎮圧装置付勢ロッド470により均等に付勢され、鎮圧装置420が有する鎮圧輪421及び422は鎮圧装置付勢ロッド480により均等に付勢されるので、圃場面の凹凸などにより上下移動する鎮圧輪411、412、421及び422の間の相互作用に起因する鎮圧荷重の大きな変動が発生する恐れはほとんどない。
もちろん、鎮圧装置付勢ロッドの個数は、本実施の形態においては2であるが、1であってもよいし、3以上であってもよい。
鎮圧装置付勢ロッドの個数が1である変形例の実施の形態においては、鎮圧装置付勢スプリングの個数も削減されて1であるが、鎮圧輪411、412、421及び422の間の相互作用に起因する鎮圧荷重の大きな変動が発生しにくいように、このような単一の鎮圧装置付勢スプリングが取付けられた鎮圧装置付勢ロッドの車体左右方向を基準とした中心は車体10の車体左右方向を基準とした中心と車体背面視において一致することが望ましい。
もちろん、苗植付ホッパの個数は、本実施の形態においては2であるが、3以上であってもよい。
要するに、複数本の植付条にそれぞれ対応する複数個の苗植付ホッパの内、所定の隣接する二個の苗植付ホッパは、対になっており、対になっている二個の苗植付ホッパが有する苗植付部の下端部同士の間の距離は、対になっている二個の苗植付ホッパが有する苗受入部の中心部同士の間の距離より小さければよい。
なお、対になっている二個の苗植付ホッパにそれぞれ対応する二個の鎮圧装置の各々が有する二個の鎮圧輪の鉛直面に対する傾斜度は、互いに異なることが望ましい。
また、対になっている二個の苗植付ホッパにそれぞれ対応する二個の鎮圧装置が有する四個の鎮圧輪の内、対になっている二個の苗植付ホッパの間の二個の鎮圧輪の傾斜度は、残る二個の鎮圧輪の傾斜度より小さいことが望ましい。
また、対になっている二個の苗植付ホッパの間の二個の鎮圧輪にそれぞれ対応する二個のスクレーパの上下方向を基準とした取付位置は、互いに異なることが望ましい。
また、複数個の鎮圧装置付勢ロッドの車体左右方向を基準とした中心は、それぞれ、複数個の苗受入部の車体左右方向を基準とした中心と車体背面視において一致することが望ましい。
前記左右の苗植付ホッパ310,320の植付深さは、植え付ける苗の品種や育苗の段階、畝の高さなどの条件に合わせて変更する必要がある。この植付深さを調節する植付深さレバー330の基部を、側面視で前記苗供給テーブル200の前端部の下方に配置すると共に、植付深さレバー330の端部を苗供給テーブル200の後下部に配置し、機体後部の作業者がレバーグリップ331を持ちやすい位置に配置する。
また、該植付深さレバー330は、平面視で車体10の後部右側に基部を取り付け、右側の駆動後輪50の上方に向かって突出させると共に、右側の駆動後輪50と後輪伝動ケース30の左右間で機体後方に向かって屈曲させる構成とする。この植付深さレバー330の後端部に、前記レバーグリップ331を装着する。このとき、植付深さレバー330の屈曲部は、右側の後輪伝動ケース30や水タンクステー700と干渉しない配置とする。
前記植付深さレバー330は、上下方向に回動操作することによって左右の苗植付ホッパ310,320の植付深さを調節する部材であるが、端部を苗供給テーブル200の後下部に臨ませる構成であるので、真っ直ぐな形状では上方操作時にテーブル伝動機構230に接触する可能性がある。
これを防止すべく、前記植付深さレバー330を車体カバー11の下端部付近で機体後側に向かって屈曲させ、標準的な植付深さを設定する位置で、レバーグリップ331が圃場面と略水平姿勢になる形状とする。具体的には、一本の棒体を屈曲部で約90度曲げるか、あるいは二本の棒体を組み合わせて構成する。
これにより、植付深さレバー330を上下方向に回動操作してもテーブル伝動機構230等に接触することを防止できるので、苗植付ホッパ310,320の植付深さを確実に調節することができる。
また、植付深さレバー330を後輪伝動ケース30と車体カバー11の下部附近の上下間に収めることができるので、植付深さレバー330が機体の前後幅内及び上下幅内からはみ出すことが防止され、作業者が植付深さレバー330に接触し、植付深さが変更され、適切に苗が植え付けられなくなることが防止される
そして、植付深さレバー330のレバーグリップ331が機体右側の後部側に位置することにより、一般的に苗を苗供給テーブル200に投入する作業者の作業位置Wに植付深さレバー330を近付けることができるので、作業者が操作しやすく、作業能率が向上すると共に、植付深さの調節を手早く行なうことができ、植付精度が向上する。
さらに、植付深さレバー330を右側の駆動後輪50と後輪伝動ケース30の左右間で機体後方に向かって屈曲させることにより、植付深さレバー330が後輪伝動ケース30や水タンクステー700に接触することを防止できるので、後輪伝動ケース30の上下動によって植付深さレバー330が移動し、植付深さが変化することが防止される。
なお、前記植付深さレバー330は機体右側から操作しやすい配置としているが、機体左側から操作しやすい配置構成として、機体左側に左右対称に配置してもよい。さらに、作業者の作業位置Wが機体の左右どちら側であっても植付深さレバー330を容易に操作可能とすべく、左右両側に各々設けてもよい。
次に、本願の苗移植機の構成及び動作について、より具体的に説明する。
図1及び図6を主として参照しながら、水タンク600に関連する構成及び動作について具体的に説明する。
ここに、図6は、本発明における実施の形態の苗移植機の水タンク600近傍の部分左側面図である。
水タンク600は、植え付けられた苗の周辺の土壌に供給される水を貯留するタンクである。
水タンクステー700は、水タンク600を載置するステーである。
水タンクステー700は、車体左右方向を基準として苗供給テーブル200の左右外側面よりも内側に設けられている。
このため、水タンクステー700の車体左右方向を基準とした幅は苗供給テーブル200の車体左右方向を基準とした幅と同様に大きくなりすぎないので、水タンクステー700の収納性が向上され、水タンクステー700と植え付けられた苗または障害物などとの間の干渉が発生する恐れはほとんどない。
もちろん、水タンクステーは、本実施の形態においては車体左側に設けられているが、車体右側に設けられていてもよいし、車体左側及び車体右側に設けられていてもよい。
後輪伝動ケース30は、後輪回転軸51に動力を伝達する伝動ケースである。
本発明における実施の形態の苗移植機の水タンクステー700近傍の模式的な部分斜視図である図7などに示されているように、水タンクステー700は、第一水平プレート部材710と、第二水平プレート部材720と、を有する。
第一水平プレート部材710は、車体左右方向に延びる、後輪伝動ケース30の外側面へ接続されたプレート部材である。
本実施の形態においては、第一水平プレート部材710は、左側立上がり部710aと、本体水平部710bと、右側立上がり部710cと、脚部710dと、を有するが、より厳密には、本体水平部710bは僅かに後下がりである。そして、脚部710dの下端部は後輪伝動ケース30よりも内側に設けられている組付けプレート部材に締結部材を利用して接続されており、第一水平プレート部材710は前述の如く後輪伝動ケース30の外側面へ接続されている。
このため、チェーンケースとも呼ばれる後輪伝動ケース30は堅牢であるので、水タンクステー700の取付け強度が十分に確保される。
第二水平プレート部材720は、車体前後方向に延びる、第一水平プレート部材710に直交するように第一水平プレート部材710へ接続されたプレート部材である。
本実施の形態においては、第二水平プレート部材720は、前側立上がり部720aと、本体水平部720bと、後側立上がり部720cと、を有するが、より厳密には、本体水平部720bは僅かに後下がりである。
第二水平プレート部材720は、車体前後方向を基準としてスライド可能に第一水平プレート部材710へ接続されている。
本実施の形態においては、本体水平部720bが本体水平部710bの下側面に設けられた車体前後方向に延びるスライドガイド溝に嵌込まれており、第二水平プレート部材720は前述の如くスライド可能に第一水平プレート部材710へ接続されている。
このため、作業者は、第二水平プレート部材720をスライドさせて、水タンクステー700に水タンク600を容易に載置することができる。そして、作業者は、車体前後方向を基準として水タンク600の重心位置を調節することができる。
載置された水タンク600の後部は、車体前後方向を基準として後輪回転軸51よりも後方にある。
このため、第二水平プレート部材720が前方にスライドされている場合でも、水タンク600の重心位置は旋回支点を与える後輪回転軸51よりも大きく前方にはこないので、車体10の後方を歩きながら車体操向操作を行う作業者に要求される旋回時の車体上げ力が軽減される。
もちろん、水タンク600は、本実施の形態においては後部が後輪回転軸51よりも後方にあるが、中心部が後輪回転軸51よりも後方にあってもよいし、前部が後輪回転軸51よりも後方にあってもよい。
プラスチック製ホース部材を利用して構成された水ホース610は、水がポンプ装置により供給されるように、水出口端部の側が苗植付体312,313,322の上端部近傍へ接続されている。
なお、図1、図2及び図6に示すとおり、前記左右の水タンクステー700の後部の後側立上がり部720cの下端部に、左右の後輪伝動ケース30の後方に突出する側面視Z字形状のステッププレート730を各々設けてもよい。該ステッププレート730の下端部は後輪伝動ケース30の上下幅内とし、後輪伝動ケース30が下方回動する際にステッププレート730が圃場面に接触せず、下降が規制されない構成とする。
左右のステッププレート730を設けることにより、後述するコンテナ載置台800に載置するコンテナ(収容容器)から苗を取り出す際、作業者は機体後側からコンテナ載置台800に近付くことができるので、機体側方まで移動する必要がなく、作業能率の向上や作業者の労力の軽減が図られる。
次に、補充用の苗を収容する苗コンテナを載置する、コンテナ載置台800について説明する。
図1、図2及び図8に示すとおり、左右の後輪伝動ケース30に駆動力を伝動する入力軸31の後方に、車体10のメインフレームと左右の後輪伝動ケース30を連結するブラケットベース801を各々設け、該左右のブラケットベース801にコンテナ載置台800の基部を各々装着する。該コンテナ載置台800は、前記左右の後輪伝動ケース30の左右間で、且つ車体カバー11の情報を跨いで設けられる。
前記コンテナ載置台800は、左右の下端部が前記左右のブラケットベース801に各々装着される、正面視でU字形状の載置台支持フレーム802と、該載置台支持フレーム802の左右の上部屈曲部に各々立設する側部支持プレート803と、該左右の側部支持プレート803の左右間に所定間隔を空けて設ける側面視でコの字形状の一対の前後部支持プレート804で構成する。前記左右の側部支持プレート803と前後部支持プレート804は、前記載置台支持フレーム802に溶接して設け、苗コンテナや苗の重量の影響で破損しにくい構成とする。
前記載置台支持フレーム802は、ブラケットベース801から機体後側傾斜姿勢で配置し、苗コンテナが前記苗供給テーブル200に接近する構成とする。但し、前記左右の側部支持プレート803と前後部支持プレート804は、圃場面を基準として略水平姿勢で前記載置台支持フレーム802に取り付ける。
これにより、苗を収容したコンテナが苗供給テーブル200の前方に位置するので、機体後側の左右どちらか一側に立って苗を投入する作業者が苗を取りやすく、作業能率の向上が図られると共に、供給の遅れにより苗が植え付けられない箇所、即ち欠株の発生が防止できる。
また、コンテナ及びコンテナ載置台800が苗供給テーブル200に接していないことにより、コンテナ及びコンテナ載置台800の重量によって苗供給テーブル200が機体前側に傾斜することを防止できるので、苗供給テーブル200の回転による苗送り動作が妨げられない。これにより、苗供給テーブル200から左右の苗植付ホッパ310,320に苗が供給されるタイミングが安定し、苗の植付位置や植付姿勢が安定する。
さらに、苗を収容するコンテナが機体前側寄りに配置されることにより、機体前側に重心を寄せることができるので、機体後側に配置される苗供給テーブル200や苗植付ホッパ310,320の重量によって機体前側が浮き上がることを防止できる。これにより、走行軌跡が乱れたり、左右の苗植付ホッパ310,320の植付深さが変化することが防止され、苗の植付精度が向上する。
そして、正面視でU字形状の載置台支持フレーム802の基部を左右のブラケットベール801に装着することにより、連結により載置台支持フレーム802が車体10の強度メンバーとなるので、機体の耐久性が向上する。
また、左右の側部支持プレート803と前後部支持プレート804を圃場面を基準として略水平姿勢で設けることにより、機体が前後傾斜してコンテナが機体前方または後方に大きく傾斜しても、収容する苗が落下しにくくなるので、落下した苗を拾う作業が不要となり、作業の労力が軽減される。
なお、前記左右の側部支持プレート803と前後部支持プレート804の上端部は略同じ高さとし、苗コンテナに形成する把持空間部を塞がず、且つ苗コンテナの上下長さの下から約半分を抑え、安定的に苗コンテナを支持可能な構成とする。
前記コンテナ載置台800の前端部、即ち左右の前後部支持プレート804の前端部は、前記車体カバー11に設ける給油キャップ11aの後端部よりも機体後側に位置する。該給油キャップ11aは、エンジン20が消費する燃料を貯留する燃料タンク21の給油口(図示省略)を覆う部材であり、作業者は給油キャップ11aを外して燃料タンク21に燃料を給油する。
前記車体カバー11は、車体10側に設ける取付フック(図示省略)に引っ掛けており、取付フックに引っ掛けた状態を解除した後、上方に移動させると取り外す構成である。そして、前記車体カバー11の前後方向中央部から後端部までの上下長さは、前後方向中央部から前端部までの上下長さよりも短く構成する。
これにより、車体カバー11を取り外すとき、車体カバー11を前斜め上方に向かって引き出すと、車体カバー11がコンテナ載置台800に接触しないので、機体の整備を行うときにコンテナ載置台800を左右のブラケットフレーム801から取り外す作業が不要になり、メンテナンス性や作業能率が向上する。
そして、前記コンテナ載置部800の前端部が給油キャップ11aの後端部よりも機体後側に位置することにより、給油作業時に給油キャップ11aを外すとき、コンテナ載置台800が作業者の手や腕の動きを妨げることを防止できるので、作業能率が向上する。
これに加えて、前記左右の前後部支持プレート804は左右方向に間隔を空けて載置台支持フレーム802に設け、この左右間隔を前記給油キャップ11aの上方に配置する。
これにより、コンテナを載置していなければ、作業者は前後部支持プレート804の左右間隔を利用して給油キャップ11aの着脱を行うことができるので、作業能率が向上する。
そして、作業者がコンテナをコンテナ載置台800から取り外すとき、左右間隔部からコンテナに手を伸ばすことができるので、コンテナの取り外し作業の能率が向上する。
また、前記載置台支持フレーム802の基部は、平面視で前記左右の後輪伝動ケース30の左右間で、且つ左右の駆動後輪50よりも機体前側に配置する。
前記左右の後輪伝動ケース30は各々回動可能に設け、操作ユニット60に設ける昇降レバー63を操作すると、左右同時に上下回動して機体の上下高さを変更する構成とする。これに加えて、左右の駆動後輪50が各々通過する圃場面の凹凸に合わせて一方の後輪伝動ケース30が上下回動すると、他方の後輪伝動ケース30が反対方向に回動することで、機体を圃場面と略水平姿勢に維持するローリング機構(図示省略)を設ける。
これにより、機体の左右どちらか一方が上昇して左右方向の傾斜姿勢になり、左右の苗植付ホッパ310,320の植付深さが異なることを防止できるので、苗の植付深さが安定する。
前記昇降レバー63を操作する、またはローリング機構が作動すると、左右の後輪伝動ケース30の上下回動に伴い、左右の水タンクステー700に載置された水タンク600の上下位置が変化するが、左右の水タンクステー700は左右の後輪伝動ケース30の機体外側に突出する配置としているので、載置台支持フレーム802と干渉することが防止できる。
なお、前記左右の後輪伝動ケース30は機体前側の車軸を回動支点として上下動するので、機体後側、即ち駆動後輪50を装着する側は円弧状の軌跡を描く。前記水タンクステー700に載置する水タンク600は、昇降レバー63の操作、またはローリング機構により左右の後輪伝動ケース30が上昇するとき、前記苗供給テーブル200に接触しない大きさ、及び形状のものとする。
前記コンテナ載置台800に載置するコンテナは、機体左右方向の中央部付近に配置されるので、コンテナ及び収容する苗の重量が機体の左右方向のバランスを乱すことを防止できる。
次に、図2を主として参照しながら、ガイドパイプ80に関連する構成及び動作について具体的に説明する。
車体10のメインフレームよりも後側に設けられたガイドパイプ80には、車体10の後方を歩きながら車体操向操作を行う作業者が姿勢を保持するために把持するガイドパイプグリップ81が接続されている。
本実施の形態においては、二個のガイドパイプグリップ81がガイドパイプ80の車体左右方向を基準とした両端部にそれぞれ接続されているので、作業者が何れの側を歩いている場合でも、ガイドパイプグリップ81は把持しやすい。 図1及び図2を主として参照しながら、車体バランサー12に関連する構成及び動作について具体的に説明する。
車体前後方向に延びる仮想的な軸の周りの横揺れである車体10のローリングは、天秤式センサ13により検知される。そして、天秤式センサ13による検知の結果に基づいた車体バランス調節が車体バランサー12の姿勢変更を利用して行われ、走行時の車体ふらつきの発生が抑制される。
左右水平振り子機構である天秤式センサ13による車体バランス調節の機能を旋回時などにロックするための天秤式センサロックレバー62は、テーブルフレーム220などを利用して構成された副変速レバー取付プレート61aに取付けられており、操縦ハンドル70の中央部に配置されている。
本実施の形態においては、天秤式センサロックレバー62は、空きスペースが存在する、副変速レバー取付プレート61aの右外側面の側から取付けられており、副変速レバー取付プレート61aの左外側面の側に設けられた副変速レバー61のレバー操作域と、天秤式センサロックレバー62のレバー操作域の間の干渉が発生する恐れはほとんどない。そして、チェンジレバーとも呼ばれる副変速レバー61はいつも天秤式センサロックレバー62と反対に位置するので、作業者が車体右側を歩いている場合でも、作業者の身体が天秤式センサロックレバー62に接触しにくい配置となり、天秤式センサロックレバー62のレバー操作が副変速レバー61のレバー操作にともない誤操作されることが防止され、作業者の意図しない走行伝動に切り替わることが防止される。
なお、前記センサ板110は、曲げ加工により形成した板体を回動可能に装着し、上下回動量をポテンショメータ等で検知するものである。
しかしながら、このセンサ板110が接地する圃場の土が柔らかく、凹凸がセンサ板110に押される条件の圃場では、センサ板110の前側に土砂が溜まり、凹凸があっても回動せず、畝に対する機体の上下高さが不適切になる問題がある。また、センサ板110の左右幅が畝幅より狭く、畝の左右端部付近に高さが異なる場所があると、畝高さの変化が検知されない問題がある。
この問題を解消すべく、図14に示すとおり、前記センサ板110に代えて、左右の畝面検知ローラ1100,1100を用いる。該左右の畝面検知ローラ1100,1100は、平面視で門型のローラ支持アーム1110,1110の後部側に設ける横軸に回転可能に装着する。そして、該左右のローラ支持アーム1110,1110を上下回動可能に支持する回動支持フレーム1120を、前記天秤式センサ13の下方に設ける。
なお、前記左右のローラ支持アーム1110,1110は、回動支持フレーム1120に沿って左右方向に摺動可能とし、検知位置を変更可能に構成する。この回動支持フレーム1120の外周面には左右で対象となる第1螺子溝(図示省略)を形成すると共に、左右のローラ支持アーム1110,1110には該第1螺子溝と噛み合う第2螺子溝を形成すると、左右の畝面検知ローラ1100,1100が接地抵抗により左右に動こうとしても動かないので、検知位置が作業者の意図しない位置に変わることが防止される。