以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
図1及び2を参照しながら、本発明における移植機の一例である本実施の形態の苗移植機の構成及び動作について具体的に説明する。
図1は本発明における実施の形態の苗移植機の左側面図であり、図2は本発明における実施の形態の苗移植機の平面図である。
本実施の形態の苗移植機は、エンジン20、操作ユニット60、植付深さ調節機構100、苗供給テーブル200、苗植付装置300、及び鎮圧機構400などを備える。
車体10の前部には、エンジン20などが、左右一対の従動前輪40とともに配置されている。
操作ユニット60は、作業者が車体10の後方を歩きながら車体操向操作を行うための操縦ハンドル70の中央部に配置されており、副変速レバー61などを有する。
植付深さ調節機構100は、車高を調節することによりタマネギ等の苗の植付深さを一定に保つためのセンサ板110などを有する。該センサ板110は、図1、図6に示すとおり、前後方向に長い板体で構成し、圃場面の凹凸に合わせて上下回動する。また、センサ板110は、左右の苗植付ホッパ310,320のうち、機体右側の苗植付ホッパ320の前方に配置する。
一方、前記センサ板110の左側方には、機体を運搬時や格納時にその場に固定したり、メンテナンス時に機体の後部側を上昇させたりするスタンド111を設ける。該スタンド111は、回動基部をセンサ板110の回動基部よりも後側に配置すると共に、平面視で接地部111aがセンサ板110の後端部よりも機体後側に位置する構成とし、スタンド111の回動軌跡がスタンド板110の後端部を回避する円弧軌跡になる構成とする。
これにより、スタンド111を上下回動させるとき、センサ板110の位置を気にすることなく上下回動させることができるので、作業能率が向上する。
また、スタンド111とセンサ板110の接触により、センサ板110の後端部が変形して接地範囲が変化することを防止できるので、センサ板110の検知による植付深さ調節機構100の作動精度が安定する。
なお、前記スタンド111は、機体左右方向の中央に位置する構成とし、スタンド111の接地部111aを接地させた際、機体の姿勢が左右に傾きにくい構成とする。
苗供給テーブル200は、無端チェーンにより車体左右方向に延びるループ状に連結されて周回移動させられる、作業者により補給されたタマネギ苗を収容する二十八個の苗収容カップ210などを有する。また、該苗供給テーブル200の下部には、図22、図23に示すとおり、苗供給テーブル200に駆動力を伝動するテーブル伝動機構230を設ける。該テーブル伝動機構230は、駆動スプロケットと従動スプロケットに伝動チェーンを巻回して構成し、テーブル伝動ケース260で周囲を覆う構成とする。該テーブル伝動ケース260の下方は開放状態とする。
これにより、作業者が苗供給テーブル200の苗収容カップ210に苗を投入するときに苗から零れ落ちる土がテーブル伝動機構230に付着することを防止できるので、テーブル伝動機構230の作動不良や破損が防止される。
また、テーブル伝動ケース260の下方を開放したことにより、テーブル伝動ケース260内に軸部等の隙間から土が入り込んでも下方に抜け落ちるので、泥土が溜まることが防止され、掃除に要する労力が軽減される。
そして、図22、図23に示すとおり、前記苗供給テーブル200の機体左右両側から機体後部に亘って、苗収容カップ210や無端チェーンに作業者が接触することを防止する、テーブル防護カバー250を設ける。
これにより、作業位置Wに立って苗の供給を行う作業者の手や胴が苗収容カップ210や無端チェーンに接触することを防止できるので、苗供給テーブル200の回転が妨げられ、苗植付ホッパ310,320への苗の供給タイミングがずれ、苗の植付間隔に乱れが生じたり、苗の植付が行われない位置の発生が防止される。
また、作業者が無端チェーン等に触れて怪我をすることを防止できるので、作業の安全性が向上する。
車体10の後部には、車体側面視において8の字状の植付ホッパ移動静軌跡に沿って上下移動させられる、苗供給テーブル200により落下供給されたタマネギ苗を植え付ける苗植付装置300、及び植え付けられたタマネギ苗の周辺の土壌に鎮圧荷重を負荷する鎮圧機構400などが、左右一対の駆動後輪50とともに配置されている。
つぎに、図1〜図5を主として参照しながら、本実施の形態の苗移植機の構成及び動作についてより具体的に説明する。
ここに、図3は本発明における実施の形態の苗移植機の背面図であり、図4は本発明における実施の形態の苗移植機の苗植付装置300近傍の部分背面図であり、図5(a)及び(b)は本発明における実施の形態の苗移植機の鎮圧機構400近傍の模式的な部分斜視図(その一及び二)である。
図3及び4においては、以下の説明がより理解しやすくなるように、内側鎮圧輪フレーム450などは透視的に図示されている。
そして、図3及び4においては、水タンク600、及び水タンクステー700などは図示されていない。
苗供給テーブル200は、タマネギ苗を供給する供給テーブルである。タマネギ苗は、本発明における移植物の一例である。苗供給テーブル200は、本発明における移植物供給装置の一例である。
苗植付ホッパ310及び320は、苗供給テーブル200により供給されたタマネギ苗を受入れて植え付ける、二本の植付条にそれぞれ対応する植付ホッパである。苗植付ホッパ310及び320は、本発明における移植物植付具の一例である。
苗植付ホッパ310は、苗供給テーブル200により供給されたタマネギ苗を受入れるタマネギ苗受入部311と、タマネギ苗受入部311により受入れられたタマネギ苗を植え付ける、タマネギ苗受入部311の下方に設けられたタマネギ苗植付部312と、を有する。苗植付ホッパ320は、苗供給テーブル200により供給されたタマネギ苗を受入れるタマネギ苗受入部321と、タマネギ苗受入部321により受入れられたタマネギ苗を植え付ける、タマネギ苗受入部321の下方に設けられたタマネギ苗植付部322と、を有する。タマネギ苗受入部311及び321は、本発明における移植物受入部の一例である。タマネギ苗植付部312及び322は、本発明における移植物植付部の一例である。
苗植付ホッパ310及び320は、車体左右方向を基準として並んで配置されている。
タマネギ苗植付部312及び322の下端部同士の間の距離δ2は、タマネギ苗受入部311及び321の中心部同士の間の距離δ1より小さい。
本実施の形態においては、苗植付装置300の全体的な外観形状は、距離δ2が距離δ
1より小さくなるように車体左右方向を基準とした中心に向かって下窄まりな形状である。たとえば、距離δ1は25センチメートルであり、距離δ2は17センチメートルである。
このため、苗供給テーブル200により供給されたタマネギ苗を確実に受入れるための微妙な設計寸法が必要とされるタマネギ苗受入部311及び321の中心部同士の間の距離δ1、及び苗収容カップ210の配置レイアウト及び形状などは従来通りに踏襲されるが、タマネギ苗植付部312及び322の下端部同士の間の距離δ2は小さくされるので、狭小な植付条間距離に応じた植付装置設計寸法が容易に実現される。
鎮圧装置410及び420は、植え付けられたタマネギ苗の周辺の土壌を鎮圧する、苗植付ホッパ310及び320にそれぞれ対応する鎮圧装置である。
鎮圧装置410は、苗植付ホッパ310を挟むように車体左右方向を基準として並んで設けられた鎮圧輪411及び412(第1内側鎮圧輪と第1外側鎮圧輪)を有する。鎮圧装置420は、苗植付ホッパ320を挟むように車体左右方向を基準として並んで設けられた鎮圧輪421及び422(第2内側鎮圧輪と第2外側鎮圧輪)を有する。
鎮圧輪411及び412の鉛直面に対する傾斜度は、互いに異なる。鎮圧輪421及び422の鉛直面に対する傾斜度は、互いに異なる。
鎮圧輪411、412、421及び422の内、苗植付ホッパ310及び320の間の鎮圧輪411及び421の傾斜度は、残る鎮圧輪412及び422の傾斜度より小さい。
本実施の形態においては、鎮圧輪411及び412の鎮圧輪ステー461及び462は車体背面視においてV字状であるように苗植付ホッパ310に沿って傾斜させられており、鎮圧輪421及び422の鎮圧輪ステー463及び464は車体背面視においてV字状であるように苗植付ホッパ320に沿って傾斜させられている。たとえば、鎮圧輪411及び412の鉛直面に対する傾斜度は10度であり、鎮圧輪421及び422の鉛直面に対する傾斜度は27度である。そして、鎮圧輪411、412、421及び422の接地箇所は同じ高さの水平面に含まれているが、苗植付ホッパ310及び320の間の鎮圧輪411及び421の独立回転可能な鎮圧輪回転軸が鎮圧輪ステー461及び463にそれぞれ取付けられる上下方向を基準とした取付位置は、残る鎮圧輪412及び422の独立回転可能な鎮圧輪回転軸が鎮圧輪ステー461及び463にそれぞれ取付けられる上下方向を基準とした取付位置とは、鎮圧輪412及び422が鎮圧輪411及び421に比べて大きく倒れているように異なる。
このため、タマネギ苗植付部312及び322の下端部同士の間の距離δ2が小さくても、植付ホッパ移動静軌跡に沿って上下移動させられる苗植付装置300と、鎮圧装置410と、の間の干渉が発生してタマネギ苗植付が妨げられる恐れがほとんどないのみならず、植え付けられたタマネギ苗の周辺の土壌が確実に鎮圧される鎮圧輪レイアウトが実現される。
スクレーパ511、512、521及び522は、鎮圧輪411、412、421及び422に付着した泥土を掻落とす、鎮圧輪411、412、421及び422にそれぞれ対応するスクレーパである。
苗植付ホッパ310及び320の間の鎮圧輪411及び421にそれぞれ対応するスクレーパ511及び521の上下方向を基準とした取付位置は、互いに異なる。
本実施の形態においては、スクレーパ511、512、521及び522は鎮圧輪ステー461〜464にそれぞれ取付けられるが、スクレーパ521が鎮圧輪ステー463に取付けられる上下方向を基準とした取付位置は、スクレーパ511、512及び522が鎮圧輪ステー461、462及び464にそれぞれ取付けられる上下方向を基準とした取付位置より低い。
このため、スクレーパ511及び521の間には段差が生じるので、泥土がスクレーパ511及び521に溜まりにくい。そして、タマネギ苗植付部312及び322の下端部同士の間の距離δ2が小さくても、苗植付ホッパ310及び320の間の鎮圧輪411及び421にそれぞれ対応するスクレーパ511及び521の間の干渉が発生する恐れはほとんどないので、前述の如き望ましい鎮圧輪レイアウトの実現が妨げられない。
左外側鎮圧輪フレーム430は、車体左側に設けられた鎮圧輪フレームである。
右外側鎮圧輪フレーム440は、車体右側に設けられた鎮圧輪フレームである。
内側鎮圧輪フレーム450は、左外側鎮圧輪フレーム430と、右外側鎮圧輪フレーム440と、の間に設けられた鎮圧輪フレームである。
鎮圧輪411、412、421及び422の内、苗植付ホッパ310及び320の間の鎮圧輪411及び421は内側鎮圧輪フレーム450に取付けられており、残る鎮圧輪412及び422の内、車体左側の鎮圧輪412は左外側鎮圧輪フレーム430に取付けられており、車体右側の鎮圧輪422は右外側鎮圧輪フレーム440に取付けられている。
本実施の形態においては、鎮圧輪ステー461及び463は内側鎮圧輪フレーム450に取付けられており、車体左側の鎮圧輪ステー462は苗植付ホッパ310の左外側面よりも外側に設けられた左外側鎮圧輪フレーム430に取付けられており、車体右側の鎮圧輪ステー464は苗植付ホッパ320の右外側面よりも外側に設けられた右外側鎮圧輪フレーム440に取付けられている。そして、左外側鎮圧輪フレーム430、右外側鎮圧輪フレーム440、及び内側鎮圧輪フレーム450は、車体左右方向に延びる、鎮圧輪411、412、421及び422よりも前方に設けられた鎮圧輪フレーム回動シャフト部材491へ接続されており、車体左右方向に延びる、鎮圧輪411、412、421及び422よりも後方に設けられた鎮圧輪フレーム連結アーム部材492へ接続されているが、より具体的には、内側鎮圧輪フレーム450が、一体的に形成された、左外側鎮圧輪フレーム430、右外側鎮圧輪フレーム440、及び鎮圧輪フレーム連結アーム部材492に溶接を利用して接続されている。さらに、左外側鎮圧輪フレーム430、右外側鎮圧輪フレーム440、内側鎮圧輪フレーム450、及び鎮圧輪フレーム回動シャフト部材491は、苗植付装置300に動力を伝達する植付装置伝動ケースなどよりも下方に設けられている。
このため、植付ホッパ移動静軌跡に沿って上下移動させられる苗植付装置300と、左外側鎮圧輪フレーム430、右外側鎮圧輪フレーム440、内側鎮圧輪フレーム450、及び鎮圧輪フレーム回動シャフト部材491と、の間の干渉が発生してタマネギ苗植付が妨げられる恐れがほとんどないのみならず、前述の如き望ましい鎮圧輪レイアウトの実現が妨げられない。
苗植付ホッパ310及び320の間の鎮圧輪411及び421の車体前後方向を基準とした取付位置は、互いに異なる。
本実施の形態においては、鎮圧輪ステー461及び464が、鎮圧輪ステー462及び463よりも車体前後方向を基準として前方に設けられている。そして、内側鎮圧輪フレーム450の右外側面の側から取付けられた、車体左側の鎮圧輪ステー461の取付基部は、内側鎮圧輪フレーム450の左外側面の側から取付けられた、車体右側の鎮圧輪ステー463の取付基部よりも前方に設けられており、鎮圧輪ステー461は鎮圧輪ステー463と車体背面視において狭小な植付条間距離に応じたコンパクトな配置関係で互いに交差する。
このため、タマネギ苗植付部312及び322の下端部同士の間の距離δ2が小さくても、苗植付ホッパ310及び320の間の鎮圧輪411及び421の間の干渉が発生する恐れはほとんどないので、前述の如き望ましい鎮圧輪レイアウトの実現が妨げられない。
鎮圧装置付勢ロッド470及び480は、鎮圧装置410及び420を下方に付勢する、鎮圧装置410及び420にそれぞれ対応するロッドである。
本実施の形態においては、下方への付勢力を印加するための鎮圧装置付勢スプリング471及び481がそれぞれ取付けられた鎮圧装置付勢ロッド470及び480の下端部が、鎮圧輪フレーム連結アーム部材492へ接続されている。
鎮圧装置付勢ロッド470及び480の車体左右方向を基準とした中心は、それぞれ、タマネギ苗受入部311及び321の車体左右方向を基準とした中心と車体背面視において一致する。
このため、鎮圧装置410が有する鎮圧輪411及び412は鎮圧装置付勢ロッド470により均等に付勢され、鎮圧装置420が有する鎮圧輪421及び422は鎮圧装置付勢ロッド480により均等に付勢されるので、圃場面の凹凸などにより上下移動する鎮圧輪411、412、421及び422の間の相互作用に起因する鎮圧荷重の大きな変動が発生する恐れはほとんどない。
もちろん、鎮圧装置付勢ロッドの個数は、本実施の形態においては2であるが、1であってもよいし、3以上であってもよい。
鎮圧装置付勢ロッドの個数が1である変形例の実施の形態においては、鎮圧装置付勢スプリングの個数も削減されて1であるが、鎮圧輪411、412、421及び422の間の相互作用に起因する鎮圧荷重の大きな変動が発生しにくいように、このような単一の鎮圧装置付勢スプリングが取付けられた鎮圧装置付勢ロッドの車体左右方向を基準とした中心は車体10の車体左右方向を基準とした中心と車体背面視において一致することが望ましい。
もちろん、苗植付ホッパの個数は、本実施の形態においては2であるが、3以上であってもよい。
要するに、複数本の植付条にそれぞれ対応する複数個の苗植付ホッパの内、所定の隣接する二個の苗植付ホッパは、対になっており、対になっている二個の苗植付ホッパが有するタマネギ苗植付部の下端部同士の間の距離は、対になっている二個の苗植付ホッパが有するタマネギ苗受入部の中心部同士の間の距離より小さければよい。
なお、対になっている二個の苗植付ホッパにそれぞれ対応する二個の鎮圧装置の各々が有する二個の鎮圧輪の鉛直面に対する傾斜度は、互いに異なることが望ましい。
また、対になっている二個の苗植付ホッパにそれぞれ対応する二個の鎮圧装置が有する四個の鎮圧輪の内、対になっている二個の苗植付ホッパの間の二個の鎮圧輪の傾斜度は、残る二個の鎮圧輪の傾斜度より小さいことが望ましい。
また、対になっている二個の苗植付ホッパの間の二個の鎮圧輪にそれぞれ対応する二個のスクレーパの上下方向を基準とした取付位置は、互いに異なることが望ましい。
また、複数個の鎮圧装置付勢ロッドの車体左右方向を基準とした中心は、それぞれ、複数個のタマネギ苗受入部の車体左右方向を基準とした中心と車体背面視において一致することが望ましい。
前記左右の苗植付ホッパ310,320の植付深さは、植え付ける苗の品種や育苗の段階、畝の高さなどの条件に合わせて変更する必要がある。この植付深さを調節する植付深さレバー330の基部を、側面視で前記苗供給テーブル200の前端部の下方に配置すると共に、植付深さレバー330の端部を苗供給テーブル200の後下部に配置し、機体後部の作業者がレバーグリップ331を持ちやすい位置に配置する。
また、該植付深さレバー330は、平面視で車体10の後部右側に基部を取り付け、右側の駆動後輪50の上方に向かって突出させると共に、右側の駆動後輪50と後輪伝動ケース30の左右間で機体後方に向かって屈曲させる構成とする。この植付深さレバー330の後端部に、前記レバーグリップ331を装着する。このとき、植付深さレバー330の屈曲部は、右側の後輪伝動ケース30や水タンクステー700と干渉しない配置とする。
前記植付深さレバー330は、上下方向に回動操作することによって左右の苗植付ホッパ310,320の植付深さを調節する部材であるが、端部を苗供給テーブル200の後下部に臨ませる構成であるので、真っ直ぐな形状では上方操作時にテーブル伝動機構230に接触する可能性がある。
これを防止すべく、前記植付深さレバー330を車体カバー11の下端部付近で機体後側に向かって屈曲させ、標準的な植付深さを設定する位置で、レバーグリップ331が圃場面と略水平姿勢になる形状とする。具体的には、一本の棒体を屈曲部で約90度曲げるか、あるいは二本の棒体を組み合わせて構成する。
これにより、植付深さレバー330を上下方向に回動操作してもテーブル伝動機構230等に接触することを防止できるので、苗植付ホッパ310,320の植付深さを確実に調節することができる。
また、植付深さレバー330を後輪伝動ケース30と車体カバー11の下部附近の上下間に収めることができるので、植付深さレバー330が機体の前後幅内及び上下幅内からはみ出すことが防止され、作業者が植付深さレバー330に接触し、植付深さが変更され、適切に苗が植え付けられなくなることが防止される そして、植付深さレバー330のレバーグリップ331が機体右側の後部側に位置することにより、一般的に苗を苗供給テーブル200に投入する作業者の作業位置Wに植付深さレバー330を近付けることができるので、作業者が操作しやすく、作業能率が向上すると共に、植付深さの調節を手早く行なうことができ、植付精度が向上する。
さらに、植付深さレバー330を右側の駆動後輪50と後輪伝動ケース30の左右間で機体後方に向かって屈曲させることにより、植付深さレバー330が後輪伝動ケース30や水タンクステー700に接触することを防止できるので、後輪伝動ケース30の上下動によって植付深さレバー330が移動し、植付深さが変化することが防止される。
なお、前記植付深さレバー330は機体右側から操作しやすい配置としているが、機体左側から操作しやすい配置構成として、機体左側に左右対称に配置してもよい。さらに、
作業者の作業位置Wが機体の左右どちら側であっても植付深さレバー330を容易に操作可能とすべく、左右両側に各々設けてもよい。
次に、本願の苗移植機の構成及び動作について、より具体的に説明する。
(A1)図1及び6を主として参照しながら、水タンク600に関連する構成及び動作について具体的に説明する。
ここに、図6は、本発明における実施の形態の苗移植機の水タンク600近傍の部分左側面図である。
水タンク600は、植え付けられたタマネギ苗の周辺の土壌に供給される水を貯留するタンクである。
水タンクステー700は、水タンク600を載置するステーである。
水タンクステー700は、車体左右方向を基準として苗供給テーブル200の左右外側面よりも内側に設けられている。
このため、水タンクステー700の車体左右方向を基準とした幅は苗供給テーブル200の車体左右方向を基準とした幅と同様に大きくなりすぎないので、水タンクステー700の収納性が向上され、水タンクステー700と植え付けられたタマネギ苗または障害物などとの間の干渉が発生する恐れはほとんどない。
もちろん、水タンクステーは、本実施の形態においては車体左側に設けられているが、車体右側に設けられていてもよいし、車体左側及び車体右側に設けられていてもよい。
後輪伝動ケース30は、後輪回転軸51に動力を伝達する伝動ケースである。
本発明における実施の形態の苗移植機の水タンクステー700近傍の模式的な部分斜視図である図7などに示されているように、水タンクステー700は、第一水平プレート部材710と、第二水平プレート部材720と、を有する。
第一水平プレート部材710は、車体左右方向に延びる、後輪伝動ケース30の外側面へ接続されたプレート部材である。
本実施の形態においては、第一水平プレート部材710は、左側立上がり部710aと、本体水平部710bと、右側立上がり部710cと、脚部710dと、を有するが、より厳密には、本体水平部710bは僅かに後下がりである。そして、脚部710dの下端部は後輪伝動ケース30よりも内側に設けられている組付けプレート部材に締結部材を利用して接続されており、第一水平プレート部材710は前述の如く後輪伝動ケース30の外側面へ接続されている。
このため、チェーンケースとも呼ばれる後輪伝動ケース30は堅牢であるので、水タンクステー700の取付け強度が十分に確保される。
第二水平プレート部材720は、車体前後方向に延びる、第一水平プレート部材710に直交するように第一水平プレート部材710へ接続されたプレート部材である。
本実施の形態においては、第二水平プレート部材720は、前側立上がり部720aと、本体水平部720bと、後側立上がり部720cと、を有するが、より厳密には、本体水平部720bは僅かに後下がりである。
第二水平プレート部材720は、車体前後方向を基準としてスライド可能に第一水平プレート部材710へ接続されている。
本実施の形態においては、本体水平部720bが本体水平部710bの下側面に設けられた車体前後方向に延びるスライドガイド溝に嵌込まれており、第二水平プレート部材720は前述の如くスライド可能に第一水平プレート部材710へ接続されている。
このため、作業者は、第二水平プレート部材720をスライドさせて、水タンクステー700に水タンク600を容易に載置することができる。そして、作業者は、車体前後方向を基準として水タンク600の重心位置を調節することができる。
載置された水タンク600の後部は、車体前後方向を基準として後輪回転軸51よりも後方にある。
このため、第二水平プレート部材720が前方にスライドされている場合でも、水タンク600の重心位置は旋回支点を与える後輪回転軸51よりも大きく前方にはこないので、車体10の後方を歩きながら車体操向操作を行う作業者に要求される旋回時の車体上げ力が軽減される。
もちろん、水タンク600は、本実施の形態においては後部が後輪回転軸51よりも後方にあるが、中心部が後輪回転軸51よりも後方にあってもよいし、前部が後輪回転軸51よりも後方にあってもよい。
プラスチック製ホース部材を利用して構成された水ホース610は、水がポンプ装置により供給されるように、水出口端部の側がタマネギ苗植付部312及び322の上端部近傍へ接続されている。
なお、図1、図2及び図6に示すとおり、前記左右の水タンクステー700の後部の後側立上がり部720cの下端部に、左右の後輪伝動ケース30の後方に突出する側面視Z字形状のステッププレート730を各々設けてもよい。該ステッププレート730の下端部は後輪伝動ケース30の上下幅内とし、後輪伝動ケース30が下方回動する際にステッププレート730が圃場面に接触せず、下降が規制されない構成とする。
左右のステッププレート730を設けることにより、後述するコンテナ載置台800に載置するコンテナ(収容容器)から苗を取り出す際、作業者は機体後側からコンテナ載置台800に近付くことができるので、機体側方まで移動する必要がなく、作業能率の向上や作業者の労力の軽減が図られる。
次に、補充用の苗を収容する苗コンテナを載置する、コンテナ載置台800について説明する。
図1、図2及び図8に示すとおり、左右の後輪伝動ケース30に駆動力を伝動する入力軸31の後方に、車体10のメインフレームと左右の後輪伝動ケース30を連結するブラケットベース801を各々設け、該左右のブラケットベース801にコンテナ載置台800の基部を各々装着する。該コンテナ載置台800は、前記左右の後輪伝動ケース30の左右間で、且つ車体カバー11の情報を跨いで設けられる。
前記コンテナ載置台800は、左右の下端部が前記左右のブラケットベース801に各々装着される、正面視でU字形状の載置台支持フレーム802と、該載置台支持フレーム802の左右の上部屈曲部に各々立設する側部支持プレート803と、該左右の側部支持プレート803の左右間に所定間隔を空けて設ける側面視でコの字形状の一対の前後部支持プレート804で構成する。前記左右の側部支持プレート803と前後部支持プレート804は、前記載置台支持フレーム802に溶接して設け、苗コンテナや苗の重量の影響で破損しにくい構成とする。
前記載置台支持フレーム802は、ブラケットベース801から機体後側傾斜姿勢で配置し、苗コンテナが前記苗供給テーブル200に接近する構成とする。但し、前記左右の側部支持プレート803と前後部支持プレート804は、圃場面を基準として略水平姿勢で前記載置台支持フレーム802に取り付ける。
これにより、苗を収容したコンテナが苗供給テーブル200の前方に位置するので、機体後側の左右どちらか一側に立って苗を投入する作業者が苗を取りやすく、作業能率の向上が図られると共に、供給の遅れにより苗が植え付けられない箇所、即ち欠株の発生が防止できる。
また、コンテナ及びコンテナ載置台800が苗供給テーブル200に接していないことにより、コンテナ及びコンテナ載置台800の重量によって苗供給テーブル200が機体前側に傾斜することを防止できるので、苗供給テーブル200の回転による苗送り動作が妨げられない。これにより、苗供給テーブル200から左右の苗植付ホッパ310,320に苗が供給されるタイミングが安定し、苗の植付位置や植付姿勢が安定する。
さらに、苗を収容するコンテナが機体前側寄りに配置されることにより、機体前側に重心を寄せることができるので、機体後側に配置される苗供給テーブル200や苗植付ホッパ310,320の重量によって機体前側が浮き上がることを防止できる。これにより、走行軌跡が乱れたり、左右の苗植付ホッパ310,320の植付深さが変化することが防止され、苗の植付精度が向上する。
そして、正面視でU字形状の載置台支持フレーム802の基部を左右のブラケットベール801に装着することにより、連結により載置台支持フレーム802が車体10の強度メンバーとなるので、機体の耐久性が向上する。
また、左右の側部支持プレート803と前後部支持プレート804を圃場面を基準として略水平姿勢で設けることにより、機体が前後傾斜してコンテナが機体前方または後方に大きく傾斜しても、収容する苗が落下しにくくなるので、落下した苗を拾う作業が不要となり、作業の労力が軽減される。
なお、前記左右の側部支持プレート803と前後部支持プレート804の上端部は略同じ高さとし、苗コンテナに形成する把持空間部を塞がず、且つ苗コンテナの上下長さの下から約半分を抑え、安定的に苗コンテナを支持可能な構成とする。
前記コンテナ載置台800の前端部、即ち左右の前後部支持プレート804の前端部は、前記車体カバー11に設ける給油キャップ11aの後端部よりも機体後側に位置する。
該給油キャップ11aは、エンジン20が消費する燃料を貯留する燃料タンク21の給油口(図示省略)を覆う部材であり、作業者は給油キャップ11aを外して燃料タンク21に燃料を給油する。
前記車体カバー11は、車体10側に設ける取付フック(図示省略)に引っ掛けており、取付フックに引っ掛けた状態を解除した後、上方に移動させると取り外す構成である。
そして、前記車体カバー11の前後方向中央部から後端部までの上下長さは、前後方向中央部から前端部までの上下長さよりも短く構成する。
これにより、車体カバー11を取り外すとき、車体カバー11を前斜め上方に向かって引き出すと、車体カバー11がコンテナ載置台800に接触しないので、機体の整備を行うときにコンテナ載置台800を左右のブラケットフレーム801から取り外す作業が不要になり、メンテナンス性や作業能率が向上する。
そして、前記コンテナ載置部800の前端部が給油キャップ11aの後端部よりも機体後側に位置することにより、給油作業時に給油キャップ11aを外すとき、コンテナ載置台800が作業者の手や腕の動きを妨げることを防止できるので、作業能率が向上する。
これに加えて、前記左右の前後部支持プレート804は左右方向に間隔を空けて載置台支持フレーム802に設け、この左右間隔を前記給油キャップ11aの上方に配置する。
これにより、コンテナを載置していなければ、作業者は前後部支持プレート804の左右間隔を利用して給油キャップ11aの着脱を行うことができるので、作業能率が向上する。
そして、作業者がコンテナをコンテナ載置台800から取り外すとき、左右間隔部からコンテナに手を伸ばすことができるので、コンテナの取り外し作業の能率が向上する。
また、前記載置台支持フレーム802の基部は、平面視で前記左右の後輪伝動ケース30の左右間で、且つ左右の駆動後輪50よりも機体前側に配置する。
前記左右の後輪伝動ケース30は各々回動可能に設け、操作ユニット60に設ける昇降レバー63を操作すると、左右同時に上下回動して機体の上下高さを変更する構成とする。これに加えて、左右の駆動後輪50が各々通過する圃場面の凹凸に合わせて一方の後輪伝動ケース30が上下回動すると、他方の後輪伝動ケース30が反対方向に回動することで、機体を圃場面と略水平姿勢に維持するローリング機構(図示省略)を設ける。
これにより、機体の左右どちらか一方が上昇して左右方向の傾斜姿勢になり、左右の苗植付ホッパ310,320の植付深さが異なることを防止できるので、苗の植付深さが安定する。
前記昇降レバー63を操作する、またはローリング機構が作動すると、左右の後輪伝動ケース30の上下回動に伴い、左右の水タンクステー700に載置された水タンク600の上下位置が変化するが、左右の水タンクステー700は左右の後輪伝動ケース30の機体外側に突出する配置としているので、載置台支持フレーム802と干渉することが防止できる。
なお、前記左右の後輪伝動ケース30は機体前側の車軸を回動支点として上下動するので、機体後側、即ち駆動後輪50を装着する側は円弧状の軌跡を描く。前記水タンクステー700に載置する水タンク600は、昇降レバー63の操作、またはローリング機構により左右の後輪伝動ケース30が上昇するとき、前記苗供給テーブル200に接触しない大きさ、及び形状のものとする。
前記コンテナ載置台800に載置するコンテナは、機体左右方向の中央部付近に配置されるので、コンテナ及び収容する苗の重量が機体の左右方向のバランスを乱すことを防止できる。
しかしながら、上述のとおり作業者の作業位置Wは苗供給テーブル200の右側後方であることが多く、作業者は苗を取り出すとき、コンテナ載置台800の側方まで移動する、または、苗供給テーブル200の上方に身を乗り出す必要があり、苗の取り出し作業に余分な時間と労力を要する問題がある。なお、ここでいう苗の取り出しとは、苗を育てた育苗ポットを複数個収容した苗箱をコンテナから取り出す作業であり、取り出した苗箱は苗供給テーブル200の搬送域内である苗置きテーブル240に設置し、作業者は苗箱から苗がなくなると、次の苗箱を取り出す。
上記の問題を解消すべく、図9、図10に示すとおり、前記左右の側部支持プレート803の下部側の前後長さを前後部支持プレート804の前後長さと同じとする。そして、前記左右の前後部支持プレート804の前後の下部側を、前記左右の水タンクステー700の左右間隔と同じ長さの支持プレート805で各々連結する。
なお、前記側部支持プレート803の下部側と、左右の前後部支持プレート804の前後の下部側とは、一例として、上下方向の中央部から下端部までを示す。
そして、前記前後の支持プレート805の前後間には、載置したコンテナと接触する摩擦抵抗で回転する搬送補助ローラ806…を装着する。該搬送補助ローラ806…は前後の支持プレート805の左右幅方向に複数個配置し、載置したコンテナをコンテナ載置台800の左右両方の端部に向かって移動可能に構成する。
なお、前記搬送補助ローラ806…は、コンテナが機体の左右方向の傾斜や振動によって左右に自由に移動することを防止すべく、搬送補助ローラ806の前後端部と前後の支持プレート805の間に樹脂や金属で構成する摩擦体806aを設け、作業者がコンテナを押す力がかかることで回転する構成とする。
上記の構成により、作業者は作業位置Wからコンテナに手を伸ばし、コンテナを左右方向に押すと左右の水タンクステー700の上方まで移動させることができるので、作業位置Wから前方に数歩移動するだけでコンテナから苗を取り出すことができ、作業に要する労力や時間の軽減が図られる。
また、圃場搬送ローラ806…がある程度の力がかからないと回転しないことにより、植付作業中にコンテナが左右に移動して重心が頻繁に変更されることが防止され、走行軌跡や植付位置の乱れが防止される。
これに加えて、機体が左右方向に傾斜したときにコンテナがコンテナ載置台800の端部まで移動し、移動した勢いで機外に落下することを防止できるので、圃場に落ちた苗を拾う作業が不要になり、作業能率が向上する。
なお、上記の構成では、ローリング機構により左右の後輪伝動ケース30が上下回動するとき、水タンク600がコンテナ載置台800に接触しない構成とする。一例として、載置台支持フレーム802の上下長さを長くすることが考えられる。
あるいは、図11、図12に示すとおり、前記載置台支持フレーム802の代わりに、前記左右のブラケットベース801に機体外側で且つ上方に向かう第2載置台支持フレーム807を各々設け、該左右の第2載置台支持フレーム807の上部に上下方向の回転軸を中心に回動可能な回動アーム808を各々設ける。該左右の回動アーム808の基部側で且つ機体後側には、作業者が該左右の回動アーム808を回動操作する回動レバー809を各々設ける。そして、前記左右の回動アーム808の上部には、コンテナの把持孔に差し込むことでコンテナを支持する支持フォーク810を各々設けて、左右のコンテナ載置台800を構成する。
前記左右のコンテナ載置台800は、植付作業時は左右の回動アーム808を機体内側に向かって回動させ、左右の後輪伝動ケース30の前側上部にコンテナを各々位置させる。このとき、コンテナは機体前側を向く。そして、苗の補充時には回動アーム808を機体外側に向かって回動させ、左右の後輪伝動ケース30よりも機体外側に突出させる。このとき、コンテナは機体後側を向く。
上記構成により、回動レバー809を操作してコンテナ載置台800を回動させると、コンテナを作業位置Wに立つ作業者に近付けることができるので、作業位置Wから前方に数歩移動するだけでコンテナから苗を取り出すことができ、作業に要する労力や時間の軽減が図られる。
また、作業時は左右のコンテナ載置台800が車体10の中央部寄りに各々配置されるので、重心が機体左右中央寄りとなり、走行姿勢や植付姿勢の安定化が図られる。
さらに、左右一対のコンテナ載置台800を設けることにより、コンテナを二つ積載することができるので、苗の積載量が単純計算では二倍になり、圃場端などで苗を補充する頻度が抑えられ、作業能率が向上する。
なお、作業者が機体左右一側の作業位置Wに立つとき、左右他側のコンテナ載置台800までは距離があるので、左右他側のコンテナ載置台800に載置するコンテナは、左右一側のコンテナに収容する苗がなくなったとき、左右一側のコンテナ補充する苗を収容する予備コンテナとして用いるとよい。このとき、機体左右他側のコンテナ載置台800は機体外側に向かって回動する必要はないので、回動アーム808は機体内側を向いた状態で回動しない構成としたり、回動レバー809を設けない構成とし、部品点数の削減を図ってもよい。
あるいは、苗をコンテナから苗供給テーブル200に直接移動可能にする構成が考えられる。図13から図15に示すとおり、前記左右のブラケットベース801に載置台支持フレーム802と同じ後上り傾斜姿勢で第3載置台支持フレーム811を各々設け、該左右の第3載置台支持フレーム811の上部にボス812を各々溶接する。
そして、該左右のボス812の中空部に左右方向の回動パイプ813を差し込み、該回動パイプ813に前記左右の前後部支持プレート804を左右方向に間隔を空けて設ける。さらに、前記左右の前後部支持プレート804の前後方向中央部の上面に左右部支持プレート814を設ける。該左右部支持プレート814は、左右両側を上方に屈曲させてコンテナ支持部を形成しており、正面視でコの字形状である。また、該左右部支持プレート814の少なくとも左右一側には、回動操作用の回動レバー815を機体後方に突出する姿勢で設ける。
さらに、前記ボス812の少なくとも左右一側の下部には、下部側を機体内側に向けて屈曲させたストッパプレート816を設けると共に、前記回動パイプ813には、回動軌跡上で該ストッパプレート816に接触するストッパピン817を前後に各々設けて、コンテナ載置台800を構成してもよい。
該前後のストッパピン817は、ストッパプレート816の前部または後部に接触することで回動パイプ813の回動範囲を規制するものであり、機体前側のストッパピン817がストッパプレート816の前部に接触する位置では、コンテナ載置台800が圃場面と略水平姿勢になる位置で回動を停止させる。一方、機体後側のストッパピン817がストッパプレート816の後部に接触する位置では、コンテナ載置台800に載置するコンテナの開口部が前記苗供給テーブル200側を向いた傾斜姿勢となる位置で回動を停止させる。即ち、前後のストッパピン817は、回動パイプ813の前側と後側で取付位置が線対称ではない。
これにより、回動パイプ813が回動し過ぎて、コンテナ載置台800に積載したコンテナが落下することを防止できるので、苗を拾い集める作業が不要になり、作業に要する時間と労力が軽減される。
また、コンテナの開口部が苗供給テーブル200を向く姿勢で回動を停止させることができるので、作業者の作業位置Wとコンテナの開口部の前後間隔が狭くなり、作業者は手を大幅に伸ばすことなく苗の入った苗箱を取り出し、苗置きテーブル240に載置することができ、作業者の労力の軽減や、作業能率の向上が図られる。
なお、前記回動パイプ813は、回動レバー815を操作したときのみ回動する構成とし、機体の前後傾斜や振動によってコンテナ載置台800が前後回動することを規制すると、収容した苗がコンテナから飛び出し、圃場に落下することを防止できる。
あるいは、補充頻度の高い苗を収容するコンテナを、作業位置Wの作業者から近い位置に配置し、補充頻度の低い水を収容する水タンクを作業位置Wの作業者から遠い位置に配置する構成としてもよい。
図16に示すとおり、車体カバー11の上方を跨ぐ水タンク載置フレーム820を左右のブラケットベース801に各々取り付け、該水タンク載置フレーム820の上部に上部が開口した箱形状の水タンクケース821を設ける。該水タンクケース821の開口部の内部の面積は、長手方向が前後を向く姿勢で水タンク600を左右に並べて配置すると、隙間が殆ど生じることなく収まる面積とし、作業時に水タンク600が移動し、機体の重心が前後左右で変化することを防止する。
そして、前記左右の後輪伝動ケース30の後側上部に第4載置台支持フレーム818を各々設け、該左右の第4載置台支持フレーム818の上部側を車体カバー11の上部付近で各々機体外側に向けて屈曲させる。さらに、該左右の第4載置台支持フレーム818の機体外側端部の上部に、前後部支持プレート804を設けると共に、前記前後部支持プレート804の前後方向中央部に左右部支持プレート814を設けて、左右のコンテナ載置台800を構成してもよい。
上記構成により、左右のコンテナ載置台800が苗供給テーブル200の斜め前側に配置されるので、作業位置Wの作業者は数歩前に出ればコンテナから苗を取り出すことができるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
また、水が入った状態では重量物である水タンク600を機体左右方向及び前後方向の中央に配置することができるので、機体の重心が移動しにくくなり、走行姿勢や植付姿勢が安定する。
さらに、左右の第4載置台支持フレーム818を左右の後輪伝動ケース30の後部に各々設けたことにより、ローリング機構の作動にコンテナ載置台800が左右独立して上下動するので、ローリング範囲が規制されることがなく、植付深さが左右方向で安定する。
あるいは、コンテナの開口部が機体左右方向に向く姿勢でコンテナ載置台800を傾斜させることができる構成としてもよい。
図17、図18で示すとおり、前記載置台支持フレーム802の左右中央部から機体後側に向かって第2回動パイプ822を設け、該第2回動パイプ822を支点として前記左右部支持プレート814を回動可能に設ける。そして、前記左右部支持プレート814に前記左右一対の前後部支持プレート804を左右間隔を空けて設ける。
さらに、前記第2回動パイプ822の左右下側には、左右支持プレート814が所定角度(例:30〜60度)傾斜する姿勢になると接触して回動を規制する回動規制ピン823を各々設ける。また、前記左右部支持プレート814の少なくとも左右一側には、左右部支持プレート814を回動操作する回動レバー824を機体外側に突出する姿勢で設け、コンテナ載置台800を構成する。
なお、上記コンテナ載置台800は、回動レバー824を操作すると操作方向に合わせて傾斜姿勢となる構成とし、回動レバー824の操作が無ければ姿勢が変更されない構成とする。
上記構成により、コンテナから苗を取り出すとき、作業者は回動レバー824を操作してコンテナの開口部を機体外側の左右一方に向けることにより、作業位置Wにコンテナの開口位置を近付けることができるので、苗を取り出すときに作業者が移動する距離が抑えられ、作業能率の向上や作業者の労力の軽減が図られる。
また、回動レバー824を操作しないとコンテナ載置台800の姿勢が変更されないことにより、作業中の機体の振動や傾斜によってコンテナ載置台800が傾き、収容した苗が飛び出すことを防止できるので、苗を拾い集める作業が不要になり、作業に要する時間と労力が軽減される。
そして、左右の回動規制ピン823でコンテナ載置台800の回動角度を規制することにより、誤ってコンテナ載置台800を回動させ過ぎてコンテナに収容した苗を圃場に落下させることを防止できるので、苗を拾い集める作業が不要になり、作業に要する時間と労力が軽減される。
あるいは、コンテナ載置台800が回転し、コンテナを苗を取り出しやすい向きに変更可能に構成してもよい。
図19、図20に示すとおり、前記載置台支持フレーム802の左右中央部に上下方向の支点軸825を設け、該支点軸825に前後方向及び左右方向の取付孔826,827を各々形成する。また、前記左右部支持プレート814の下部に中空の回動突起828を形成し、該回動突起828に前後方向及び左右方向の連結孔829,830を各々形成する。なお、前記左右部支持プレート814には、前記左右一対の前後部支持プレート804を左右間隔を空けて設ける。
そして、前記支点軸825に回動突起828を挿し込み、前後方向の取付孔と826と連結孔829、または左右方向の取付孔827と連結孔830の位置を合わせて、連結ピン831を挿し込む。
前記前後方向及び左右方向の取付孔826,827は、支点軸825に90度ごとに形成し、前記前後方向及び左右方向の連結孔829,830は、回動突起828に90度ごとに形成し、コンテナ載置台800を構成してもよい。
前記取付孔826,827と左右方向の連結孔829,830のうち、一方の90度ずらして取り付けることにより、コンテナ載置台800は、長手方向が機体左右方向を向く姿勢と、機体前後方向を向く姿勢に切り替えることができる構成になる。
これにより、植付作業時や移動走行時にはコンテナ載置台800の長手方向が前後方向になる姿勢とすることで、左右方向に重心が移動することを抑え、走行姿勢や植付姿勢を安定させることができる。
また、苗をコンテナから取り出すときは、コンテナ載置台800の長手方向が左右方向になる姿勢とすることで、コンテナと作業者の前後間隔を短くすることができるので、作業能率が向上する。
あるいは、コンテナ載置台800を、機体の前後バランスを向上させる位置に配置してもよい。
図21に示すとおり、車体10の前端部に位置するフロントフレーム14の上部に、第5載置台支持フレーム832を設け、該第5載置台支持フレーム832の上部に左右部支持プレート814を設けると共に、該左右部支持プレート814に左右の前後部支持プレート804を左右間隔を空けて設け、コンテナ載置台800を構成してもよい。
なお、コンテナを載置するときの安定性を確保すべく、第5載置台支持フレーム832は左右方向に二本以上並べて配置してもよい。
上記構成により、機体前側にコンテナ載置台800と、コンテナに収容する苗の重量を加えることができるので、機体後部に設ける苗供給テーブル200や苗植付装置300の重量や、植付時の反動で機体前側が浮き上がることを防止できるので、左右の苗植付ホッパ310,320の植付深さが変わることが防止され、植付精度が向上する。
上記効果を向上させるべく、コンテナを金属で形成すると、コンテナ自体の重量が増大するので、苗を取り出しても機体前側の重量の減少幅が抑えられ、機体の前後バランスの安定化が図られる。
あるいは、前記第5載置台支持フレーム832をより重量が重くなる素材で構成したり、中空でなく中実の部材を用いて重量を重くしてもよい。
図2を主として参照しながら、ガイドパイプ80に関連する構成及び動作について具体的に説明する。
車体10のメインフレームよりも後側に設けられたガイドパイプ80には、車体10の後方を歩きながら車体操向操作を行う作業者が姿勢を保持するために把持するガイドパイプグリップ81が接続されている。
本実施の形態においては、二個のガイドパイプグリップ81がガイドパイプ80の車体左右方向を基準とした両端部にそれぞれ接続されているので、作業者が何れの側を歩いている場合でも、ガイドパイプグリップ81は把持しやすい。
(B2)図1及び2を主として参照しながら、車体バランサー12に関連する構成及び動作について具体的に説明する。
車体前後方向に延びる仮想的な軸の周りの横揺れである車体10のローリングは、振り子センサー13により検知される。そして、振り子センサー13による検知の結果に基づいた車体バランス調節が車体バランサー12の姿勢変更を利用して行われ、走行時の車体ふらつきの発生が抑制される。
左右水平振り子機構である振り子センサー13による車体バランス調節の機能を旋回時などにロックするための振り子センサーロックレバー62は、テーブルフレーム220などを利用して構成された副変速レバー取付プレート61aに取付けられており、操縦ハンドル70の中央部に配置されている。
本実施の形態においては、振り子センサーロックレバー62は、空きスペースが存在する、副変速レバー取付プレート61aの右外側面の側から取付けられており、副変速レバー取付プレート61aの左外側面の側に設けられた副変速レバー61のレバー操作域と、振り子センサーロックレバー62のレバー操作域と、の間の干渉が発生する恐れはほとんどない。そして、チェンジレバーとも呼ばれる副変速レバー61はいつも振り子センサーロックレバー62と反対に位置するので、作業者が車体右側を歩いている場合でも、作業者の身体が振り子センサーロックレバー62に接触しにくい配置となり、振り子センサーロックレバー62のレバー操作が副変速レバー61のレバー操作にともない誤操作されることが防止され、作業者の意図しない走行伝動に切り替わることが防止される。
上記の苗移植機は、左右の従動前輪40及び駆動後輪50の間隔が一定であり、調節機構を有していない。しかしながら、苗を栽培する畝は、作物や土質等の条件によって左右幅が異なることがあり、畝幅に左右の従動前輪40及び駆動後輪50の間隔を合わせなければ、苗の植付位置や植付深さに影響が生じる。
上記の問題を解消するには、前記左右の後輪伝動ケース30のうち、少なくとも左右一側を左右方向に摺動可能に構成し、駆動後輪50の左右間隔、所謂トレッドを調節するトレッド調節機構900を設ける。
該トレッド調節機構900を設ける機体の前側に、左右の従動前輪40が設けられているときは、該左右の従動転輪40の左右位置も合わせて調節可能に構成する必要がある。
図24から図27に示すとおり、前記車体10にミッションケース910を設け、該ミッションケース910の後部には駆動力を出力する出力軸911を左右一対設ける。該左右の出力軸911は、ミッションケース910に装着される固定軸912と、該固定軸912に沿って左右方向に摺動する摺動軸913で構成する。該固定軸912の外周面と摺動軸913の内周面には各々スプライン加工を施し、固定軸912の回転により摺動軸913が回転する際、回転数に差が生じない構成とする。
そして、前記左右の出力軸911の外周には、回転しない出力軸ケース914を各々設け、前記左右の出力軸911はベアリング915…を介して出力軸ケース914内で回転する構成とする。さらに、前記左右の出力軸911の外側端部に、左右の後輪伝動ケース30を回動可能に装着する。
前記左右の出力軸ケース914及びミッションケース910の後部は、左右方向の補強板916で連結し、走行時やトレッド調節時の負荷を受ける構成とする。
このとき、左右方向に移動する側の後輪伝動ケース30を装着する出力軸911は、固定側の出力軸911よりも左右に長く構成すると共に、機体外側端部は出力軸ケース914の外側端部から突出する構成とする。
そして、前記スタンド111を接地させ、左右の従動前輪40及び駆動後輪50を圃場面から浮き上がらせてから、後輪伝動ケース30を機体左右方向に移動させることにより、左右の駆動後輪50のトレッド調節が可能になる。
一方、前記左右の出力軸911よりも機体前側には、左右の摺動支持ロッド921を機体外側に突出させて設け、該左右の摺動支持ロッド921には、左右の従動前輪40を支持する前輪アーム922を各々機体前側に向かう下方傾斜姿勢で設ける。
該前輪アーム922は、前記摺動支持ロッド921に沿って左右方向に移動する摺動ボス923と、該摺動ボス923の左右一側寄りに設ける基部アーム924と、該基部アーム924にボルト等の締結部材を介して装着する保持アーム925で構成する。
該摺動ボス923には、左右一側に装着孔(図示省略)が形成されており、摺動支持ロッド921に装着する向きを変えることで、従動前輪40の左右位置を変更可能に構成する。これに加えて、該基部アーム924の前端部と保持アーム925の後端部は、左右一側に偏倚させて取付板924a,925aを各々設けており、該保持アーム925を装着する向きを反転させると従動前輪40の左右位置が変更可能に構成する。
前記従動前輪40は、保持アーム925の前端部に設ける車軸926に回転自在に装着するものであり、従動前輪40と保持アーム925の左右間には、この左右間隔と略同じ左右長さのカラー927を設ける。図28に示すとおり、前記従動前輪40を車軸926に装着するとき、該カラー927を従動前輪40よりも機体外側に配置することにより、従動前輪40の左右位置を微細に調節することができる。
前記摺動支持ロッド921は、出力軸911と同じく、左右方向に後輪伝動ケース30が移動する側を固定側よりも左右に長く構成する。
そして、出力軸ケース914と摺動支持ロッド921は、左右方向の複数箇所で前後方向の連動プレート930…を介して連結する。このうち、移動する側の後輪伝動ケース30と同じ側の前輪アーム922の機体内側付近に設ける連動プレート930は、内部にブッシュを装着したホルダ933を介して摺動支持ロッド921に装着し、後輪伝動ケース30の移動と共に前輪アーム922を左右方向に移動させると共に、強度を向上させる構成とする。
これにより、左右の駆動後輪50と従動前輪40を別々に左右位置調節する必要がなく、作業能率が向上する。
また、前記連結プレート930は、出力軸ケース914側に装着する第1リンクプレート931と、摺動支持ロッド921側に設ける第2リンクプレート932で構成し、互いに回動自在に連結して構成する。
これにより、後輪伝動ケース30を回動させて機体の上下高さ、即ち植付深さを変更するとき、機体の高さを高くするときは駆動後輪50と従動前輪40の前後間隔を狭くすることができると共に、機体の高さを低くするときは駆動後輪50と従動前輪40の前後間隔を広くすることができるので、機体の前後バランスが安定し、走行姿勢や植付姿勢が安定する。
なお、前記複数の連動プレート930…の後部側は、前記補強板916と連結し、トレッド調節機構900の強度をいっそう向上させる構成とする。
前記トレッド調節機構900を備える苗移植機は、図1から図23に示す本願の機体に加えて、図24及び図25に示す、車体10に左右の従動前輪40と、左右の駆動後輪50と、積載した苗トレイを左右(横)方向に移動させると共に所定間隔毎に下(縦)方向に移動させる苗トレイ搬送装置940と、該苗トレイ搬送装置940が移動させる苗トレイから所定間隔毎に苗を取る苗取り装置950と、該苗取り装置950が取った苗を受けて圃場に植え付けるホッパ式の苗植付装置960と、苗植付装置960が苗を植え付けた位置の周囲の土を鎮圧して根部の露出を防止する鎮圧装置970を備えるものに適用することもできる。
このとき、苗トレイ搬送装置940は、前記左右の後輪伝動ケース30の左右方向の略中央位置ではなく、左右方向に移動しない側の後輪伝動ケース30寄りに配置し、機体左右方向の中央位置に配置される構成とする。
これにより、トレッド調節を行っても、苗トレイ搬送装置940の近傍に立って機体の操縦や苗トレイの投入を行う作業者の立ち位置は変わらないので、作業能率が向上する。
前記出力軸ケース914の外側端部上側と後輪伝動ケース30の内側端部上側には、駆動後輪50の左右間隔が最大になる位置まで後輪伝動ケース30が移動すると最大限伸張し、それ以上後輪伝動ケース30が移動できないことを作業者に把握させる抜け止めワイヤ980を設ける。
これにより、移動する側の後輪伝動ケース30が外れる位置まで移動することを防止できるので、後輪伝動ケース30を取り付け直す作業が不要となり、作業に要する時間と労力の軽減が図られる。
なお、固定側の後輪伝動ケース30の内側端部上側と出力軸ケース914の外側端部上側に亘って抜け止めワイヤ980を張り状態で設けてもよい。これにより、後輪伝動ケース30を機体内側に引き寄せることができるので、駆動後輪50が傾斜することが防止される。