JP6074853B2 - 駐輪機 - Google Patents

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Description

本発明は、無人の駐輪場等で適用され、所定位置に二輪車が載置されることよって、その車輪を施錠し、料金支払い又は所定入力によって車輪を解錠する駐輪機に関し、故障等を極力少なくすることのできる駐輪機に関する。
オートバイや自転車等の二輪車を駐輪する無人の駐輪場等では、所定位置に二輪車が載置されることよってその車輪を施錠し、料金支払い又は暗証番号等の所定入力によって車輪を解錠する駐輪機が活用されている。例えば、下記特許文献1では、大型化することなく自転車を施錠することのできる駐輪機が提案されている。また、下記特許文献2では、ガイド枠に搭載した二輪車の自重を利用し、その車輪をスムースにアームで抱えることができ、ソレノイドの動作に基づく簡単な構造で施錠/解錠ができる有料駐輪システムにおける施錠装置が提案されている。
特開平11−334663号公報 特許第4148924号公報
ここで、特許文献2で提案され、特に第2の実施形態として開示された有料駐輪システムにおける施錠装置の施錠/解錠の仕組みは、一端を車輪の荷重によって一方に傾動可能に軸支させ、且つ自転車の車輪が搭載できる長さに形成したガイド枠上に自転車の車輪が搭載されると、該車輪の自重によって生ずるガイド枠の下方向への押圧力によって可動アームが左右垂直方向から車輪の一部を抱えてロックすると共に、感知スイッチが駐輪されたことを感知してソレノイドと課金手段を同時にON信号で作動させ、ソレノイドの可動鉄芯が突出して係止片の係止爪部をガイド枠の先端に引っ掛けてロックし、一定駐輪料金の支払いまたは暗証番号の入力によって課金手段がOFF信号を発すると、ソレノイドの可動鉄芯が元の位置に復帰し、係止片の係止爪部が自重で後方に回動して掛止片から抜けてガイド枠をアンロックし、さらに、ガイド枠から車輪の負荷を抜くと該ガイド枠が上昇回動すると共に、可動アームに取付けたばねの弾発力によって可動アームが開いて車輪をフリーにして解錠する、というものである。
そうすると、このような施錠装置では、例えば、車輪がガイド枠から乗り上げて駐輪された場合に、車輪が一旦、ガイド枠に載ってガイド枠が回動降下しさえすれば施錠されることになる。この場合、ガイド枠に車輪の荷重が加わっていないので、解錠の際に、ソレノイドの可動鉄芯が元の位置に復帰し、係止片の係止爪部が自重で後方に回動してガイド枠の掛止片から抜けてガイド枠をアンロックするのと同時に、該ガイド枠が上昇回動するため、係止片の係止爪部とガイド枠の先端の掛止片との係合が維持されて正常に解錠されなかったり、掛止片の衝突によって係止片が破壊されたりする等の故障が数多く発生してしまう恐れがあった。
本発明は、上記実情を鑑み提案され、ソレノイドによる解錠のタイミングと、車輪が載置されるガイド枠が回動上昇するタイミングとをずらす仕組みを構築し、例えば、車輪がガイド枠から乗り上げているにもかかわらず施錠された場合にも、係止片とガイド枠の先端との係合が維持されないで正常に解除することができ、また、係止片等が破壊されたりすることがなく、故障の発生を極力少なくすることのできる駐輪機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、所定位置に二輪車の車輪が載置されることよって前記車輪を施錠し、料金支払い又は所定入力によって前記車輪を解錠する駐輪機において、上方が開口したケースと、このケース内に収容され、前記車輪が載置されるとその荷重によって一端部が傾動降下するように他端部が軸支されている車輪受け枠と、この車輪受け枠の前記車輪が載置される側と反対側の面に端部が当接し、前記車輪受け枠の一端部の傾動降下によって生じる押圧力により回動させられて前記車輪を左右から抱え、この回動と逆方向の逆回動により、前記車輪を解放するとともに前記端部で前記車輪受け枠の一端部を傾動上昇させる一対の可動アームと、傾動降下した前記車輪受け枠の一端部を係止する係止部を有し、自重により前記係止部が前記車輪受け枠の一端部から離れる方向に回動するように軸支されている鉤体と、前記車輪受け枠の一端部が傾動降下したことを感知するセンサーと、前記鉤体を前記車輪受け枠の一端部へ向けて押圧し、前記係止部に前記車輪受け枠の一端部を係止させる可動鉄芯を備えるソレノイドと、から構成され、前記車輪受け枠の前記車輪が載置される側と反対側の面に、前記ケース内の底面へ向けて突出する係合部を設けるとともに、前記ケース内の底面に、前記車輪受け枠の一端部が傾動降下すると前記係合部が係合する被係合体を設け、前記被係合体は、前記係合部と係合した状態で前記車輪受け枠を前記ケースの底面へ向けて付勢し、前記係合部と係合した状態が解除されると前記係合部を押圧し、前記車輪受け枠を前記ケースの開口へ向けて付勢する弾性を有することを特徴とする。
特に、上記被係合体は、一枚の板材が鋭角に対向するまで屈曲させられて弾性を備えつつ、前記ケースの底面に固定される第1板状部と、この第1板状部に鋭角に対向する第2板状部とが形成されて構成された板バネであり、前記第2板状部に段部が設けられ、この段部に前記係合部が係合することを特徴とする。
さらに、上記ケースが、隙間を有し、この隙間に応力吸収部材が取り付けられている所定の固定箇所に固定されて構成され、前記ケースが傾いた状態で前記二輪車の車輪が載置される際に発生する応力を、前記応力吸収部材に吸収させたことを特徴とする。
本発明に係る駐輪機は、車輪受け枠の車輪が載置される側と反対側の面に、ケース内の底面へ向けて突出する係合部を設けるとともに、ケース内の底面に、車輪受け枠の一端部が傾動降下すると係合部が係合する被係合体を設けて構成されている。この被係合体は、係合部と係合した状態で車輪受け枠をケースの底面へ向けて付勢する弾性を有している。したがって、本発明では、突出していたソレノイドの可動鉄芯が元の位置に復帰し、鉤体が自重により回動して車輪受け枠を解錠したとき、被係合体が係合部と係合している状態にあって車輪受け枠をケースの底面へ向けて付勢しているので、車輪受け枠が傾動上昇することが抑止される。そうすると、ソレノイドによる解錠のタイミングと、車輪受け枠が傾動上昇するタイミングとがずれることになるので、鉤体と車輪受け枠の一端部との係止が維持されないで、正常に車輪受け枠を解錠することができるとともに、鉤体が車輪受け枠と衝合して破壊される等の故障の発生を防ぐことができる。さらに、被係合体が係合部と係合した状態が解除されると、被係合体は係合部を押圧し、車輪受け枠をケースの開口へ向けて付勢する弾性を有する構成であるので、一対の可動アームの逆回動の動作を促すことができ、一対の可動アームからの車輪の解放をスムースに進めることができる。
特に、本発明において、被係合体を、一枚の板材が鋭角に対向するまで屈曲させられて弾性を備えつつ、ケースの底面に固定される第1板状部と、この第1板状部に鋭角に対向する第2板状部とが形成されて構成された板バネとし、第2板状部に段部を設けて、この段部に係合部が係合する構成とすれば、板バネの付勢力と係合部の段部での係合によって、ソレノイドによる解錠のタイミングと、車輪受け枠が傾動上昇するタイミングとを確実にずらすことができる。したがって、鉤体と車輪受け枠の一端部との係止を確実に解除することができ、鉤体が車輪受け枠と衝合して破壊される等の故障の発生も効果的に防ぐことができる。
また、駐輪機のケースが、隙間を有し、この隙間に応力吸収部材が取り付けられている所定の固定箇所に固定されて構成され、ケースが傾いた状態で二輪車の車輪が載置される際に発生する応力を、応力吸収部材に吸収させる構成とすれば、ケースが傾く等といった構成部品に負荷がかかった状態で二輪車が駐輪される場合であっても、その応力を応力吸収部材で吸収し、ケース及びその他の構成部品を破損から守ることができる。そうすると、本発明は益々、故障の少ない駐輪機として提供することができる。そして、ケースを傾けて駐輪可能とすることで、駐輪時における二輪車同士のハンドル部の重畳を防ぎ、ほぼ満車状態といった二輪車で混雑する駐輪場においても、容易な駐輪が実現される。このほか、隣り合う二輪車を収容しているケースを傾ける一方、その弾発力により、出し入れしようとする二輪車を収容しているケースを傾かない定位置に復帰させることが応力吸収部材によって可能となるので、ほぼ満車状態といった混雑する場面においても本発明に係る駐輪機は、容易な二輪車の出し入れを維持することができる。
本発明に係る駐輪機の概略構成を示し、二輪車が駐輪され、施錠されている状態を示す概略側面図である。 本発明に係る駐輪機の要部について説明するため、ケース、車輪受け枠等の一部を破断して示す一部破断要部説明斜視図である。 本発明に係る駐輪機における解錠機構に関し、二輪車が駐輪され、施錠されている状態にある解錠機構を説明する概略説明図である。 本発明に係る駐輪機における解錠機構に関し、解錠された瞬間であって二輪車がいまだ駐輪されている状態にある解錠機構を説明する概略説明図である。 本発明に係る駐輪機における解錠機構に関し、二輪車の車輪を車輪受け枠から脱しようとしている途中の状態にある解錠機構を説明する概略説明図である。 本発明に係る駐輪機における解錠機構に関し、二輪車の車輪が完全に車輪受け枠から脱した状態にある解錠機構を説明する概略説明図である。 本発明に係る駐輪機の他の要部を説明する一部断面説明図であり、(a)は通常の状態を説明し、(b)は二輪車の乱暴な駐輪によってケースが傾いた状態を説明している。
以下、本発明に関する一実施形態を、図面を参照しつつ詳述する。この一実施形態は本発明を説明するために取り上げた例示であって、本発明の範囲が当該実施形態のみに限定されることはない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
本発明は、図1に示すように、誘導路Iを通じて所定位置に二輪車Bの車輪Wが載置されることよって、この車輪Wを施錠し、図示を省略した課金手段又は暗証番号入力手段において料金が支払われ、又は所定の暗証番号が入力されることによって、車輪Wを解錠する駐輪機Aに係る。
駐輪機Aは、具体的には、図2に示すように、上方が開口したケース1と、このケース1内に収容され、車輪Wが載置されるとその荷重によって一端部21が傾動降下するように他端部22が軸支されている車輪受け枠2と、この車輪受け枠2の車輪Wが載置される側と反対側の面に端部としての腕部31が当接し、この車輪受け枠2の一端部21の傾動降下によって生じる押圧力により回動させられて車輪Wを左右から抱え、この回動と逆方向の逆回動により、車輪Wを解放するとともに一端部21を傾動上昇させる一対の可動アーム3とを具備している。また、傾動降下した車輪受け枠2の一端部21を係止する係止部41を有し、自重により係止部41が一端部21から離れる方向に回動するように軸支されている鉤体4、一端部21が傾動降下したことを感知するセンサー5及び、鉤体4を傾動降下した一端部21へ向けて押圧し、係止部41に一端部21を係止させる可動鉄芯61を備えるソレノイド6を具備している。
さらに、駐輪機Aは、車輪受け枠2の車輪Wが載置される側と反対側の面に、ケース1内の底面へ向けて突出する係合部23が設けられている。ケース1内の底面には、一端部21が傾動降下すると係合部23が係合する被係合体が設けられている。この被係合体は、本実施形態において、係合部23と係合した状態で車輪受け枠2をケース1の底面へ向けて付勢し、係合部23と係合した状態が解除されると係合部23を押圧し、車輪受け枠2をケース1の開口へ向けて付勢する弾性を有する弾性部材としての板バネ11からなる構成を例示している。以下、駐輪機Aを構成する各構成部品について、引き続き図2を参照しつつ詳述していく。
ケース1は、上方が開口された外枠であり、金属製、合成樹脂製の材質のものが採用され得る。車輪受け枠2等の駐輪機Aに必要な構成部材は、このケース1内の長手方向に沿って収容されている。また、ケース1の長手方向略中央に、一対の可動アーム3が設置され、その動作をするための切り欠き部12が形成されるとともに、この切り欠き部12を覆って、設置される一対の可動アーム3を収納可能なアーム保護枠13が設けられている。ケース1の底面に設けられる板バネ11は、一枚の板材が鋭角に対向するまで屈曲させられることで弾性を備え、ケース1の底面に固定される第1板状部111と、この第1板状部111に鋭角に対向する第2板状部112とが形成され、かつ、第2板状部112には段部112aが設けられて構成されている。
車輪受け枠2は、上方が開口された溝状の枠体であって、金属製、合成樹脂製の材質のものが採用され得る。車輪受け枠2は、車輪Wが載置されるとその荷重によって一端部21が傾動降下するように他端部22が支持軸22aを通じ、ケース1に枢動可能に軸支されている。一端部21には、鉤体4の係止部41へ係止される係止片211が、車輪受け枠2の一端部21から外側(車輪Wの進入方向)に突出させて設けられている。この係止片211は、車輪受け枠2から突出する突出片部と、鉤体4の係止部41に下方から当接して係止される係止片部とから側面視略L字状に形成されている。また、車輪受け枠2の一端部21には、傾動降下したときにセンサー5と接触する接触片212が、係止片211の突出片部と並行させて設けられている。このほか、一端部21には、進入してきた車輪Wを止めるための車止片213が設けられている。
車輪受け枠2の車輪Wが載置される側と反対側の面に設けられている係合部23は、板バネ11の第2板状部112に設けられている段部112aに係合可能な構成であり、本実施形態において例えば、ローラーにより構成することができる。なお、係合部23は、板バネ11の段部112aに係合可能な構成であれば、ローラー以外の他の部材を採用し得る。そして、一端部21が傾動降下すると係合部23としてのローラーが、板バネ11の第2板状部112の段部112aに係合し、板バネ11よりケース1の底面へ向けた付勢を受ける。また、ローラーは、段部112aと係合した状態が解除されると、板バネ11の第2板状部112から押圧され、ケース1の開口へ向けた付勢として、一端部21が傾動上昇する向きの付勢を受けることとなる。
また、ケース1内の車輪受け枠2の一端部21側に、車輪受け枠2よりも進入し過ぎた車輪Wを載せる車載部7(図3〜6参照)が設けられている。そして、この車載部7よりもケース1の底面側に、鉤体4、センサー5及びソレノイド6が収容されている。
一対の可動アーム3は、上下方向の一方に、車輪受け枠2の車輪Wが載置される側と反対側の面に当接させられている腕部31が、上下方向の他方に、車輪Wを抱える車輪ロック部32がそれぞれ設けられ、この腕部31及び車輪ロック部32が接続部33により接続されて側面視略コ字形に形成されている。一対の可動アーム3は、車輪受け枠2の車輪Wが載置される側と反対側の面に腕部31が当接させられた状態で、ケース1の長手方向略中央の切り欠き部12に設置され、この切り欠き部12を覆うアーム保護枠13内に収納されてケース1に収容される。また、一対の可動アーム3は、接続部33の腕部31側に設けられている支持軸33aを通じて枢動可能に、アーム保護枠13に対して軸支されている。なお、一対の可動アーム3が回動し過ぎることを防ぐストッパー13aを、アーム保護枠13に設けることが、駐輪機Aの故障を更に少なくする観点から好ましい。
一対の可動アーム3は、車輪受け枠2の一端部21の傾動降下によって腕部31が押圧され、この押圧によって支持軸33aで接続部33が軸支されていることを通じて車輪ロック部32が左右方向から回動し、この車輪ロック部32で車輪Wの一部を抱える。また、車輪ロック部32を左右に開こうとすると、車輪Wの一部を抱える回動と逆方向の逆回動が起こり、一対の可動アーム3は、車輪Wを解放するとともに、支持軸33aで接続部33が軸支されていることを通じて腕部31が車輪受け枠2を押圧し、その一端部21を傾動上昇させることになる。さらに、可動アーム3は、その自重により左右に開く方向に回動するように、アーム保護枠13に対して軸支される支持軸33aとずらした位置に重心を設けて構成することが、車輪Wの解放時におけるスムースな動作を実現する観点から好ましい形態となる。
鉤体4は、一側面に凹凸が形成され、上部が水平方向に突出する鉤型の係止部41を有して構成されている。鉤体4は、自重により係止部41が車輪受け枠2の一端部21から離れる方向(凹凸が形成されていない他側面側)に回動するように支持軸4a(図3〜6参照)で軸支されている。また、車輪受け枠2の一端部21側と逆側である他側面側で、ソレノイド6の可動鉄芯61に当接されている。係止部41は、車輪受け枠2の一端部21の延長線上に位置している。そして、鉤体4は、車輪受け枠2が傾動して最下端位置まで降下し、かつ、ソレノイド6によって他側面側で押圧されたとき、車輪受け枠2の一端部21に設けられた係止片211の上端が係止部41で係止される。
センサー5は、例えば、接触センサーであり、車輪受け枠2の一端部21が傾動降下したときに接触片212に接触されるセンス部51を有して、二輪車Bの車輪Wが車輪受け枠2上に載置(駐車)されたことを感知し、ソレノイド6に対して通電し、励磁して可動鉄芯61を突出させるための信号を発する。また、課金手段又は暗証番号入力手段(図示省略)に二輪車Bが車輪受け枠2上に載置(駐車)された旨の信号を発し、課金等の機能をスタートさせる役割を担っている。センサー5は、車輪Wが車輪受け枠2上に載置(駐車)されたことを感知してから、所定時間後にソレノイド6に信号を発する等、ソレノイド6の可動鉄芯61を作動させるタイミングを調整することが可能である。また、接触センサーのほか各種のセンシング手段を使って構成することも可能である。
ソレノイド6は、可動鉄芯61を突出させて鉤体4を車輪受け部2の一端部21側へ押圧し、鉤体4の係止部41に車輪受け部2の係止片211を係止させる。これにより、車輪受け部2は鉤体4によってロックされる。また、ソレノイド6は、課金手段又は暗証番号入力手段において料金が支払われ、又は所定の暗証番号が入力されると、その旨の信号を受け取って、可動鉄芯61を元の位置に復帰させる。これにより、鉤体4が自身の自重で車輪受け部2の一端部21側から離れる方向に回動し、係止部41での係止片211の係止を解除することで、車輪受け部2がアンロックされる。なお、ソレノイド6は、通電により磁界が発生し、その磁界により可動鉄芯61を動かすものであるが、例えば、駐輪される数時間という長時間にわたり通電を継続するのは熱の発生の観点、経済性の観点等から好ましくない。このため可動鉄芯61を動かす必要のあるときだけ通電し、通電しないときには、例えば、突出した状態の可動鉄芯61をコイルスプリングで保持し、元の位置に復帰した可動鉄芯61を永久磁石により保持したりする形態とすることが好ましい。
以下、本発明に係る駐輪機Aの動作について、図3〜図6を参照しつつ説明していく。
図3は、駐輪機Aにおいて二輪車Bの車輪Wが車輪受け枠2上に載置され、施錠されている状態を示している。このとき、駐輪機Aでは、車輪受け枠2の一端部21が載置された車輪Wの自重により傾動降下させられ、可動アーム3の車輪ロック部32が車輪Wの一部を抱えるとともに、ソレノイド6の可動鉄芯61の突出によって押圧されている鉤体4の係止部41に、一端部21の係止片211が係止されている。また、一端部21の接触片212はセンサー5のセンス部51に接触している。図示を省略した課金手段又は暗証番号入力手段は、課金等の動作をスタートさせている。さらに、車輪受け枠2の車輪Wが載置される側と反対側の面に設けられる係合部23としてのローラーは、板バネ11の第2板状部112の段部112aに係合し、板バネ11からケース1の底面へ向けた付勢を受けている。
そして、二輪車Bの持ち主等によって課金手段又は暗証番号入力手段において料金が支払われ、又は所定の暗証番号が入力されることにより、ソレノイド6の可動鉄芯61が元の位置に復帰し、図4に示すような解錠機構の動作が駐輪機Aで始まる。図4は、駐輪機Aにおいて解錠された瞬間であって、二輪車Bの車輪Wがいまだ車輪受け枠2上に載置されている状態を示している。
すなわち、駐輪機Aでは、図4に示すように、ソレノイド6の可動鉄芯61が元の位置に復帰すると同時に、鉤体4が自重で車輪受け枠2の一端部21から離れる方向に回動し、係止部41と係止片211との係止を解除し、車輪受け枠2がアンロックされる。その一方で、車輪受け枠2の車輪Wが載置される側と反対側の面に設けられている係合部23(ローラー)は、いまだ板バネ11の第2板状部112の段部112aに係合した状態にあるので、板バネ11よりケース1の底面へ向けた付勢を受けている。そうするとローラーは、段部112aへの係合によって車輪受け枠2が傾動上昇するのを抑止していることになる。
さらに、二輪車Bの持ち主等が車輪受け枠2から車輪Wを脱し、駐輪機Aから二輪車Bを除くのに伴い、図5に示すような動作が駐輪機Aで進む。図5は、駐輪機Aにおいて二輪車Bの車輪Wを車輪受け枠2から脱している途中の状態を示している。
図5に示すように、駐輪機Aでは、可動アーム3の車輪ロック部32に車輪Wの一部が当接することを起因とし、可動アーム3の自重による回動に支援されて車輪ロック部32が左右に開き、車輪Wの一部を抱えるための回動とは逆方向の逆回動が起こり、これに連動して腕部31が車輪受け枠2を押圧し、一端部21が傾動上昇し始める。そして、車輪受け枠2の車輪Wが載置される側と反対側の面に設けられている係合部23(ローラー)が、板バネ11の第2板状部112の段部112aとの係合した状態から解除され、続いて、板バネ11の第2板状部112から押圧され、ケース1の開口へ向けた付勢を受けることとなって、一端部21が傾動上昇するのを促すようになる。
このとき、車輪受け枠2がアンロックされ、車輪Wによる負荷も減っているので、車輪受け枠2の一端部21が傾動上昇するのに対して妨害するものがない。したがって、一端部21の傾動上昇が促されれば、可動アーム3は逆回動を更に進めて車輪Wを完全に解放する。そして、二輪車Bの持ち主等が駐輪機Aから二輪車Bを完全に脱するのに伴い、駐輪機Aは図6に示すような状態となり、車輪受け枠2の車輪Wが載置される側と反対側の面に設けられている係合部23(ローラー)が引き続き、板バネ11の第2板状部112の先端に押圧され、ケース1の開口へ向けた付勢を受けて、この付勢力に勝る荷重が車輪受け枠2に掛からない限り、可動アーム3が回動することがなく車輪受け枠2が鉤体4でロックされることもなくなる。
したがって、本発明に係る駐輪機Aでは、ソレノイド6の可動鉄芯61が元の位置に復帰し、車輪受け枠2をアンロックする一方で、車輪受け枠2の車輪Wが載置される側と反対側の面に設けられている係合部23(ローラー)が、板バネ11の第2板状部112の段部112aに係合した状態にある限り、板バネ11よりケース1の底面へ向けた付勢を受けて車輪受け枠2が傾動上昇するのを抑止する構成が構築されている。本発明では、このような解錠機構を構築したことにより、ソレノイド6による車輪受け枠2の解錠のタイミングと、車輪受け枠2が傾動上昇するタイミングとを確実にずらすことができる。これにより、解錠操作したにもかかわらず鉤体4と車輪受け枠2の一端部21(係止片211)との係止が維持されるということがなくなって、正常に車輪受け枠2を解錠することができ、鉤体4に係止片211が衝合して相互に破壊される等の故障の発生を防ぐこともできる。特に、車輪Wが車輪受け枠2から乗り上げて駐輪されているにもかかわらず、車輪Wの荷重によって車輪受け枠2が傾動降下し、鉤体4によって施錠された場合にも、ソレノイド6による車輪受け枠2の解錠のタイミングと、車輪受け枠2が傾動上昇するタイミングとが確実にずれるため、上述したような故障の発生を効果的に防ぐことができる。
また、本発明では、板バネ11と係合部23とが係合した状態が解除されると、係合部23を板バネ11で押圧し、車輪受け枠2をケース1の開口へ向けて付勢し、一対の可動アーム3の逆回動を促すことができ、車輪Wの解放をスムースに進めて、車輪W及び可動アーム3が相互に衝合して破損する等の事象も防ぐことができる。
ここで、本発明に係る駐輪機Aは、図7(a)に示すように、ケース1が、隙間Xを有し、この隙間Xに応力吸収部材としての、例えば、ウエーブワッシャー8aが取り付けられている固定箇所に固定されて構成され、ケース1が傾いた状態で二輪車Bの車輪Wが載置される際に発生する応力を、ウエーブワッシャー8aに吸収させる構成とすることが好ましい。そうすると、図7(b)に示すようにケース1が傾き、ケース1及びその他の構成部品に負荷がかかった状態で駐輪される場合であっても、その応力をウエーブワッシャー8で吸収し、これらを破損から守ることができる。そして、例えば、駐輪場が二輪車で混雑し、ほぼ満車状態である際にも、ケース1を傾けて駐輪可能とすることで、駐輪時における二輪車B同士のハンドル部の重畳を防いで、二輪車Bの容易な駐輪を実現することができる。
具体的には、形成されている隙間Xにウエーブワッシャー8aを取り付け、ボルト81及びナット82を通じて、ケース1の底面を固定するようにした所定箇所に、ケース1を固定して駐輪機Aを構成する。なお、形成された隙間に取り付ける応力吸収部材はウエーブワッシャー8aに限られず、ケース1の傾きにより発生する応力を吸収できるものであれば適用可能である。例えば、スポンジのような海綿状の応力吸収部材等を適用し得る。また、ウエーブワッシャー8aをはじめとする応力吸収部材は、その弾発力に基づいて定位置復帰作用を発揮することにより、隣り合う二輪車Bを収容しているケース1を離れる方向に傾けることで、出し入れしようとする二輪車Bを収容しているケース1を、定位置(図7(a)の傾いていない状態)に復帰させることができる。ケース1が傾いていない状態に復帰すれば、二輪車Bの出し入れが容易となるため、本発明に係る駐輪機は混雑した場面での出し入れの容易性という効果も有している。
以上、本発明の実施形態の一つを詳述したが、本発明は、これに限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、板バネの段部に係合可能な係合部の構成として、段部に引っ掛かって係合する爪形状の部材を採用しえる。また、被係合体は、係合部と係合した状態で車輪受け枠をケースの底面へ向けて付勢し、係合部と係合した状態が解除されると係合部を押圧し、車輪受け枠をケースの開口へ向けて付勢する弾性を有する限り、板バネ以外の弾性部材を採用し得る。このため、本発明で取り上げた課題を解決する可能な被係合体と係合部との組み合わせは多数存在し、これらから選択して本発明を構成することができる。
A・・・・駐輪機(本発明)
B・・・・二輪車
W・・・・車輪
I・・・・誘導路
1・・・・ケース
11・・・板バネ
111・・第1板状部
112・・第2板状部
112a・段部
12・・・切り欠き部
13・・・アーム保護枠
13a・・ストッパー
2・・・・車輪受け枠
21・・・一端部
211・・係止片
212・・接触片
213・・車止片
22・・・他端部
22a・・支持軸
3・・・・可動アーム
31・・・腕部
32・・・車輪ロック部
33・・・接続部
33a・・支持軸
4・・・・鉤体
41・・・係止部
4a・・・支持軸
5・・・・センサー
51・・・センス部
6・・・・ソレノイド
61・・・可動鉄芯
7・・・・車載部
8a・・・ウエーブワッシャー(弾性部材)
81・・・ボルト
82・・・ナット
X・・・・隙間

Claims (3)

  1. 所定位置に二輪車の車輪が載置されることよって前記車輪を施錠し、料金支払い又は所定入力によって前記車輪を解錠する駐輪機において、
    上方が開口したケースと、
    このケース内に収容され、前記車輪が載置されるとその荷重によって一端部が傾動降下するように他端部が軸支されている車輪受け枠と、
    この車輪受け枠の前記車輪が載置される側と反対側の面に端部が当接し、前記車輪受け枠の一端部の傾動降下によって生じる押圧力により回動させられて前記車輪を左右から抱え、この回動と逆方向の逆回動により、前記車輪を解放するとともに前記端部で前記車輪受け枠の一端部を傾動上昇させる一対の可動アームと、
    傾動降下した前記車輪受け枠の一端部を係止する係止部を有し、自重により前記係止部が前記車輪受け枠の一端部から離れる方向に回動するように軸支されている鉤体と、
    前記車輪受け枠の一端部が傾動降下したことを感知するセンサーと、
    前記鉤体を前記車輪受け枠の一端部へ向けて押圧し、前記係止部に前記車輪受け枠の一端部を係止させる可動鉄芯を備えるソレノイドと、から構成され、
    前記車輪受け枠の前記車輪が載置される側と反対側の面に、前記ケース内の底面へ向けて突出する係合部を設けるとともに、前記ケース内の底面に、前記車輪受け枠の一端部が傾動降下すると前記係合部が係合する被係合体を設け、
    前記被係合体は、前記係合部と係合した状態で前記車輪受け枠を前記ケースの底面へ向けて付勢し、前記係合部と係合した状態が解除されると前記係合部を押圧し、前記車輪受け枠を前記ケースの開口へ向けて付勢する弾性を有する、
    ことを特徴とする駐輪機。
  2. 前記被係合体は、一枚の板材が鋭角に対向するまで屈曲させられて弾性を備えつつ、前記ケースの底面に固定される第1板状部と、この第1板状部に鋭角に対向する第2板状部とが形成され、前記第2板状部に段部が設けられて構成された板バネであり、
    前記係合部は、前記段部に係合するローラーである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の駐輪機。
  3. 前記ケースが、隙間を有し、この隙間に応力吸収部材が取り付けられている所定の固定箇所に固定されて構成され、
    前記ケースが傾いた状態で前記二輪車の車輪が載置される際に発生する応力を、前記応力吸収部材に吸収させた、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の駐輪機。
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