JP6072668B2 - 伝動システム - Google Patents
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(第1実施形態)
このように、本実施形態では、特定補機11は、複数の機能を統合した補機、例えばISG(Integrated Starter Generator)である。
テンショナプーリ21は、円板状に形成され、ベルト9の駆動プーリ4と特定補機プーリ5との間に当接可能に設けられている。
上本体41は、有底筒状に形成されている。下本体42は、有底筒状に形成され、底部とは反対側の端部の外壁が上本体41の内壁に当接するよう、かつ、上本体41に対し軸方向に相対移動可能なよう設けられている。延伸部43は、上本体41の底部から下本体42とは反対側へ延びるよう形成されている。延伸部44は、下本体42の底部から上本体41とは反対側へ延びるよう形成されている。
第1流体室51は、下本体42の筒部47の内側に、下本体42の底部と筒部47とピストン部48とに囲まれるようにして形成されている。そのため、第1流体室51は、テンショナ本体40が収縮するのに従い容積が減少し、テンショナ本体40が伸長するのに従い容積が増大する。
流体53は、例えばオイルまたはガス等の流体であり、第1流体室51および第2流体室52に封入されている。
固定子61は、例えば鉄等の金属により筒状に形成され、軸が連通路55に重なるよう、下本体42の底部近傍に設けられている。コイル62は、固定子61に巻き回されるようにして設けられている。可動子63は、例えば鉄等の金属により柱状に形成され、固定子61の内側において軸方向に往復移動可能に設けられている。スプリング64は、例えばコイルスプリングであり、可動子63の下本体42とは反対側に設けられている。スプリング64は、可動子63を下本体42側に付勢している。弁部材65は、球状に形成され、弁座部57に着座、および、弁座部57から離座可能なよう連通路55に設けられている。接続部66は、可動子63と弁部材65とが相対移動不能となるよう可動子63と弁部材65とを接続している。ここで、可動子63がスプリング64により下本体42に押し付けられているとき、弁部材65は、弁座部57から離座した状態である(図2参照)。
このように、制御弁60は、コイル62への通電により、連通路55における第1流体室51と第2流体室52との連通を遮断することによって、テンショナ本体40の収縮を規制することができる。
気筒80の開口端は、エンジンヘッド90により塞がれている。これにより、気筒80内のピストン81とエンジンヘッド90との間に燃焼室82が形成されている。
吸気通路92には、回転することで吸気通路92を開閉可能なスロットルバルブ94が設けられている。スロットルバルブ94は、アクチュエータ95により回転駆動されることにより吸気通路92を開閉する。
また、ECU70は、各種センサからの信号等に基づき、特定補機11および制御弁60の作動を制御する。
逆回転制御ステップでは、エンジン2の停止条件の成立時または成立後、特定補機11が力行作動時の回転方向とは反対方向に回転、すなわち、逆回転することでベルト9が伸び、駆動プーリ4と特定補機プーリ5との間でベルト9が緩むことによってテンショナ本体40が軸方向に伸長するよう特定補機11の作動を制御する。ここで、本実施形態では、「エンジン2の停止条件」は、例えば「車両の走行が停止し、回転センサ71により駆動プーリ4(駆動軸3)の回転数が所定値以下となったことを検出した場合」が設定されている。
始動ステップでは、特定補機11を力行作動させることによりエンジン2を始動させる。
規制解除ステップでは、規制手段50の制御弁60の作動を制御することによりテンショナ本体40の収縮の規制を解除する。
本実施形態では、ECU70は、4つの気筒80のうちのある気筒80の吸気弁83が閉じて所定期間経過後にエンジン2(駆動軸3)が停止するよう特定補機11の作動を制御する。ここで、前記所定期間は、時間的に極短い期間である。すなわち、ECU70は、4つの気筒80のうちのある気筒80の吸気弁83が閉じた直後にエンジン2が停止するよう特定補機11の作動を制御する。例えば、図5にL1で示すように、ECU70は、第1(#1)の気筒80が圧縮行程に入った直後にエンジン2が停止するよう特定補機11の作動を制御する。これにより、第1(#1)の気筒80およびその近傍は、図4に示す状態となる。ここで、吸気カム86は、カム山が吸気弁83の端部を乗り越えた直後の状態で停止している。これにより、駆動軸3(エンジン2)が逆回転する場合、吸気カム86は通常とは反対方向に回転しカム山が吸気弁83の端部を乗り越える必要があるため、カム反力が増大する。その結果、駆動軸3が逆回転する方向の力に抗する力である抗力が増大する。
なお、ECU70は、回転センサ71からの信号に基づき、各気筒80の行程、および、各ピストン81の気筒80内における位置を判別することができる。
時刻t0で車両の運転者がブレーキペダルを踏み込むと、ブレーキスイッチ72がオンになる。これにより、車速が低減し、時刻t1で車両が停止する。時刻t2で駆動軸3の回転数が所定値以下になると、エンジン2の停止条件が成立し、ECU70は、インジェクタ96からの燃料の噴射を停止する。これにより、駆動軸3の回転数がさらに低下し、時刻t3で駆動軸3の回転が停止する。
比較例による伝動システムは、物理的な構成は本実施形態と同じであるものの、逆回転制御ステップにおいて抗力増大手段により前記抗力を増大しない点が本実施形態と異なる。比較例では、抗力増大手段により前記抗力を増大しないため、「駆動軸3が逆回転し始める程度のトルク」(図6に一点鎖線で示すT2)が、本実施形態での「駆動軸3が逆回転し始める程度のトルク」(図6に一点鎖線で示すT1)と比べ、小さい。そのため、図6に破線で示すように、比較例の場合、逆回転制御ステップ(時刻t2以降)における特定補機11から出力する逆回転方向のトルクの大きさが本実施形態と比べ小さく、時刻t4においてテンショナ本体40の伸長が完了する。このように、本実施形態では、比較例と比べ、より早くテンショナ本体40の伸長が完了する。
本発明の第2実施形態による伝動システムを図7に基づき説明する。第2実施形態は、ECU70が抗力増大手段として機能するときの作動が第1実施形態と異なる。
本発明の第3実施形態による伝動システムを図8に基づき説明する。第3実施形態は、ECU70が抗力増大手段として機能するときの作動が第1実施形態と異なる。
本発明の第4実施形態による伝動システムを図8に基づき説明する。第4実施形態は、ECU70が抗力増大手段として機能するときの作動が第3実施形態と異なる。
また、(7)本実施形態では、バルブタイミング調整装置98は、エンジン2の停止時においても吸気弁83と排気弁84との開閉作動に関する位相差を変更可能、すなわち、駆動軸3と吸気カムシャフト85との相対的な回転位置を変更可能である。
本発明の第5実施形態による伝動システムを図3に基づき説明する。第5実施形態は、ECU70が抗力増大手段として機能するときの作動が第1実施形態と異なる。
上述の実施形態では、規制手段50が第1流体室51、第2流体室52、流体53および制御弁60を有し、ECU70が制御弁60の作動を制御することによりテンショナ本体40の収縮を規制する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、規制手段は、ECU70により制御されることによりテンショナ本体40の収縮を規制可能であれば、どのように構成されていてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、その他補機、および、補機プーリは、それぞれ、2個に限らず、いくつ設けられていてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、無端伝動部材として、ゴム製のベルトの代わりに、例えば金属製のチェーン等を採用してもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
4 ・・・・駆動プーリ
5 ・・・・特定補機プーリ
6、7 ・・・補機プーリ
9 ・・・・ベルト(無端伝動部材)
20 ・・・オートテンショナ
21 ・・・テンショナプーリ
25 ・・・付勢手段
40 ・・・テンショナ本体
50 ・・・規制手段
70 ・・・ECU(電子制御ユニット、制御部、抗力増大手段)
Claims (8)
- 内燃機関(2)の動力を特定補機(11)、および、前記特定補機以外のその他補機(13、15)に伝達する伝動システム(1)であって、
前記内燃機関の駆動軸(3)に取り付けられ、前記駆動軸とともに回転可能な駆動プーリ(4)と、
力行作動または回生作動可能な前記特定補機の軸(12)に取り付けられ、前記特定補機の軸とともに回転可能な特定補機プーリ(5)と、
前記その他補機の軸(14、16)に取り付けられ、前記その他補機の軸とともに回転可能な補機プーリ(6、7)と、
前記駆動プーリ、前記特定補機プーリおよび前記補機プーリに掛け回される無端伝動部材(9)と、
前記無端伝動部材の前記駆動プーリと前記特定補機プーリまたは前記補機プーリとの間に当接しながら回転可能、かつ、前記内燃機関に対し相対移動可能に設けられるテンショナプーリ(21)、
所定方向に伸縮することにより前記テンショナプーリが前記内燃機関に対し相対移動するよう前記テンショナプーリを駆動可能なテンショナ本体(40)、
前記テンショナ本体が前記所定方向に伸長するよう前記テンショナ本体を付勢する付勢手段(25)、および、
前記テンショナ本体の収縮を規制可能な規制手段(50)を有し、
前記テンショナ本体が伸縮することにより前記テンショナプーリが前記内燃機関に対し相対移動することで前記無端伝動部材の張力を調整可能なオートテンショナ(20)と、
前記特定補機および前記規制手段の作動を制御可能な制御部(70)と、を備え、
前記制御部は、
前記内燃機関の停止条件の成立時または成立後、前記特定補機が力行作動時の回転方向とは反対方向に回転することで前記無端伝動部材が伸び、前記駆動プーリと前記特定補機プーリとの間で前記無端伝動部材が緩むことによって前記テンショナ本体が前記所定方向に伸長するよう前記特定補機の作動を制御する逆回転制御ステップ、
前記規制手段の作動を制御することにより前記テンショナ本体の収縮を規制する規制ステップ、
前記特定補機を力行作動させることにより前記内燃機関を始動させる始動ステップ、および、
前記規制手段の作動を制御することにより前記テンショナ本体の収縮の規制を解除する規制解除ステップを含み、
前記逆回転制御ステップにおいて、前記駆動軸が逆回転する方向の力に抗する力である抗力を増大させる抗力増大手段(70)を有し、
前記逆回転制御ステップにおいて、前記抗力増大手段により前記抗力を増大させた状態で前記特定補機の作動を制御することを特徴とする伝動システム。 - 前記規制手段は、
前記テンショナ本体が収縮するのに従い容積が減少し、前記テンショナ本体が伸長するのに従い容積が増大するよう前記テンショナ本体内に形成される第1流体室(51)、
前記第1流体室に連通するよう前記テンショナ本体内に形成される第2流体室(52)、
前記第1流体室および前記第2流体室に封入される流体(53)、および、
前記制御部に制御されることにより、前記第1流体室と前記第2流体室との連通を許容または遮断可能な制御弁(60)を有し、
前記制御部は、前記規制ステップにおいて、前記第1流体室と前記第2流体室との連通が遮断されるよう前記制御弁の作動を制御することにより前記テンショナ本体の収縮を規制することを特徴とする請求項1に記載の伝動システム。 - 前記抗力増大手段は、前記内燃機関の気筒(80)の吸気弁(83)が閉じて所定期間経過後に前記内燃機関が停止するよう前記特定補機の作動を制御することにより、前記駆動軸が逆回転する場合のカム反力を増大させることで前記抗力を増大させることを特徴とする請求項1または2に記載の伝動システム。
- 前記抗力増大手段は、前記内燃機関の気筒(80)の吸気弁(83)および排気弁(84)が閉じた状態で前記気筒のピストン(81)が上死点と下死点との中間位置近傍に位置するとき前記内燃機関が停止するよう前記特定補機の作動を制御することにより、前記駆動軸が逆回転する場合の前記気筒内の圧力を増大させることで前記抗力を増大させることを特徴とする請求項1または2に記載の伝動システム。
- 前記制御部に制御されることにより、前記内燃機関に吸気を導く吸気通路(92)を開閉可能なスロットルバルブ(94)をさらに備え、
前記抗力増大手段は、前記内燃機関の気筒(80)の排気弁(84)が閉じた状態、かつ、前記気筒の吸気弁(83)が開いた状態、かつ、前記スロットルバルブが前記吸気通路を開いた状態で前記気筒のピストン(81)が下死点に向かって移動しているとき前記内燃機関が停止するよう前記特定補機の作動を制御し、前記内燃機関が停止して所定期間経過後に前記吸気通路を閉じるよう前記スロットルバルブを制御することにより、前記駆動軸が逆回転する場合の前記気筒内の圧力を増大させることで前記抗力を増大させることを特徴とする請求項1または2に記載の伝動システム。 - 前記制御部に制御されることにより、前記吸気弁と前記排気弁との開閉作動に関する位相差を変更することで前記吸気弁および前記排気弁の開閉タイミングを調整可能なバルブタイミング調整装置(98)をさらに備え、
前記抗力増大手段は、前記排気弁が閉じた状態、かつ、前記吸気弁が開いた状態、かつ、前記スロットルバルブが前記吸気通路を開いた状態で前記ピストンが下死点に向かって移動しているとき前記内燃機関が停止するよう前記特定補機の作動を制御し、前記内燃機関が停止して所定期間経過後に前記吸気通路を閉じるよう前記スロットルバルブを制御し、さらに前記気筒の前記吸気弁が閉じるよう前記バルブタイミング調整装置を制御することにより、前記駆動軸が逆回転する場合の前記気筒内の圧力を増大させることで前記抗力を増大させることを特徴とする請求項5に記載の伝動システム。 - 前記バルブタイミング調整装置は、前記内燃機関の停止時においても前記吸気弁と前記排気弁との開閉作動に関する位相差を変更可能であることを特徴とする請求項6に記載の伝動システム。
- 前記制御部に制御されることにより、前記駆動軸と前記駆動軸により駆動される駆動対象(32)との接続を許容または遮断可能なクラッチ手段(30)をさらに備え、
前記抗力増大手段は、前記駆動軸と前記駆動対象との接続状態が許容されるよう前記クラッチ手段を制御することにより、前記駆動軸が逆回転する場合に前記駆動対象から前記駆動軸に作用する力を増大させることで前記抗力を増大させることを特徴とする請求項1または2に記載の伝動システム。
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