JP3544364B2 - ベルト伝動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンの始動時、及びエンジンによる補機駆動時の回転力をベルトを用いて伝動するベルト伝動装置の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平8−14145号公報には、エンジンのクランク軸に取付けられたクランクプーリと、エンジンの周辺に配された各補機にそれぞれ取付けられたプーリと、始動用電動機に取付けられたプーリとをベルトで連結して、始動用電動機によりベルトを介してエンジンを始動させるとともに、エンジン始動後はエンジンのクランク軸に取付けられたクランクプーリによって、ベルトを介して各補機を駆動するベルト伝動装置が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のベルト伝動装置は以上のように構成されているので、始動用電動機によりベルトを介してエンジンを始動するときには、大きな伝達トルクを必要とする為、ベルトに高い張力を掛ける必要があるが、エンジン始動後も必要以上に高い張力がベルトに継続してかかることになるので、ベルト寿命が著しく低下するという問題点があった。
また、そのベルト張力が他の補機に取付けられたプーリにもかかってしまうため、補機の軸及び軸受、並びにその支持構造の強度を増加させることが必要になり、補機の大型化及び高コスト化を招くという問題点もあった。
【0004】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、オートテンショナの設定張力をエンジンの始動時と、始動後の補機駆動時においてそれぞれ最適な張力に可変し得るベルト伝動装置を容易に構成することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係るベルト伝動装置は、エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力をエンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して補機を駆動する補機用プーリと、回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧して、ベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたものであって、ベルト張力調整装置は、ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、テンションプーリを移動させる推力シャフトと、この推力シャフトと一体に設けられたシリンダと、推力シャフトのリヤ側に設けられたストッパーと、このストッパーのリヤ側ブラケットとの当接部に設けられた緩衝部材と、シリンダにおけるフランジ部とフロント側ブラケットとの当接部に設けられた緩衝部材とから構成されたものである。
【0006】
この発明の請求項2に係るベルト伝動装置は、エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力をエンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して補機を駆動する補機用プーリと、回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧してベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたものであって、ベルト張力調整装置は、ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、テンションプーリを移動させる推力シャフトと、この推力シャフトにトルクを伝達する電動機の回転シャフトとから構成され、更に回転シャフトの内周円筒部と推力シャフトのフロント側円柱部が摺動可能に構成されるとともに、回転シャフトのリヤ側内周に圧入されたメタルの内周円筒部と、推力シャフトのリヤ側円柱部が摺動可能に構成されたものである。
【0007】
この発明の請求項3に係るベルト伝動装置は、エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力をエンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して補機を駆動する補機用プーリと、回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧してベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたものであって、ベルト張力調整装置は、ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、テンションプーリを移動させる推力シャフトと、この推力シャフトにトルクを伝達する電動機の回転シャフトとから構成され、回転シャフトと推力シャフトの共回りを防止するためのガイド棒が、電動機を締付け組立てるためのボルトと一体に構成されたものである。
【0008】
この発明の請求項4に係るベルト伝動装置は、エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力をエンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して補機を駆動する補機用プーリと、回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧してベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたものであって、ベルト張力調整装置は、ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、テンションプーリを移動させる推力シャフトと、推力シャフトと一体に設けられるとともに、ピンガイドを備えたシリンダと、このシリンダ内を摺動するとともに、ピンガイド内を移動するピンが圧入されたピストンとから構成され、更にシリンダにはピンガイドとは円周方向にずれた位置にキー溝を設けるとともに、ピンガイドとキー溝とを連通させる連通孔を設けたものである。
【0009】
この発明の請求項5に係るベルト伝動装置は、エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力をエンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して補機を駆動する補機用プーリと、回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧してベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたものであって、ベルト張力調整装置は、ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、テンションプーリを移動させる推力シャフトと、この推力シャフトにトルクを伝達する電動機の回転シャフトと、電動機の外周を全周に亘って均一に締付け固定するとともに、電動機の固定位置を軸方向に調整できる取付けブラケットとから構成されたものである。
【0010】
この発明の請求項6に係るベルト伝動装置は、ベルト張力調整装置に備えられたベアリングボックスの内周側にリング溝を設け、このリング溝に弾性リングを装着したものである。
【0011】
この発明の請求項7に係るベルト伝動装置は、エンジンとして、車両用エンジンを用いたものである。
【0012】
この発明の請求項8に係るベルト伝動装置は、回転電機として、電動発電機を用いたものである。
【0013】
この発明の請求項9に係るベルト伝動装置は、始動時には回転電機のベルト張り側、始動後にはエンジン用プーリのベルト緩み側になる位置にベルト張力調整装置を設置したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の一実施形態を図に基づいて説明する。
図1はこの発明の実施の形態1によるエンジンを中心としたベルト伝動装置全体を示す平面図、図2はテンションプーリユニットが最も突き出た状態のベルト伝動装置におけるベルト張力調整装置を示す側面断面図、図3は同じく平面図、図4はテンションプーリユニットが最も戻った状態のベルト張力調整装置を示す側面断面図、図5は同じく平面図、図6はピンを圧入した状態のピストンを、シリンダに組み込む方法を示すためのベルト張力調整装置を示す一部平面図、図7は図6のA−A線断面図、図8は電動機を締付け固定している取付けブラケットの締付け固定状態を示すためのベルト張力調整装置を示す正面断面図である。
【0015】
図において、1はエンジン、2はエンジンlのクランク軸に取付けられたエンジン用プーリであるクランクプーリ、3,4は補機A、補機Bにそれぞれ取付けられた補機用プーリ、5,6は各プーリのベルト巻き角を調整してベルトスリップを抑制するための固定テンショナプーリ、7は回転電機である始動電動発電機に取付けられた回転電機用プーリ、8はベルト張力調整装置9に設けられ、ベルト10が巻かれるテンションプーリユニットであり、ベルト10はクランクプーリ2から反時計回りに、固定テンショナプーリ5、補機用プーリ3、補機用プーリ4、固定テンショナプーリ6、回転電機用プーリ7、ベルト張力調整装置9に設けられたテンションプーリユニット8の順に巻き掛けられており、このベルト張力調整装置9は、ベルト10の張力を連続的に可変することができるように構成されている。
【0016】
固定テンショナプーリ5,6は、クランクプーリ2、補機用プーリ3,4、回転電機用プーリ7に掛かるベルト10のベルト巻き角を大きくして、ベルトスリップが発生しないように設定されている。
また、ベルト張力調整装置9も同様に、回転電機用プーリ7及びクランクプーリ2のベルト巻き角を大きくして、ベルトスリップが発生しないようにしているとともに、ベルト10の張力を予め設定した一定張力に維持するように動作している。
【0017】
テンションプーリユニット8は、外周にベルト10が掛けられる円筒状のテンションプーリ11と、この内周側に嵌合固定されたベアリング12と、このベアリング12の内径側に圧入嵌合されたブッシユ13と、ブッシユ13に挿入されるとともに、ベアリング12の内輪端面に当接するスペーサ14と、テンションプーリllに嵌合したベアリング12をブッシユ13とスペーサ14を介して保持するとともに、その両側をボルト15で挟持締結したコの字状のアームプレート16から構成されている。
テンションプーリ11は、ベアリング12によってブッシユ13あるいはボルト15と同軸的に回転自在に構成されている。
【0018】
17は上記アームプレート16と溶接、カシメなどの結合手段によって結合固定されたピストン、18はその内径円筒部でピストン17と滑らかに摺動するシリンダ、19はピストン17に嵌合圧入されるとともに、ピンガイド18a内を移動することによりシリンダ18との相対回転を規制するピン、18bはシリンダ18の端部に構成されたフランジ部であり、このフランジ部18bとアームプレート16の間に装着された第1のスプリング20a、第2のスプリング20bと、これらを連結する連結プレート21とによって、オートテンショナ機能を有する多段階のスプリング弾性力発生部を構成している。シリンダ18の底部を構成する弾性部材22は、ピストン17の動きを規制すると同時に緩衝機能をも有するゴム系の材料などから成る。
【0019】
上記シリンダ18及びフランジ部18bは推力シャフト23の一部分を構成しており、この推力シャフト23のフロント側円柱部23aは、電動機24の回転シャフト25の内周円筒部25aと滑らかに摺動可能であり、かつ回転シャフト25のネジ部25bと推力シャフト23のネジ部23bはネジ結合されており、回転シャフト25からの回転トルクを軸方向の力に変換して、推力シャフト23に伝達することにより、シリンダ18の左右方向の移動を可能にしている。
【0020】
次に、電動機24の構成について説明する。26は永久磁石などにより構成され、磁束を作る働きをする界磁磁極、27は磁路を構成するヨーク、28は磁路を構成するコア部、29は図示していない電機子スロット部に巻回されている電機子コイル、30はこの電機子コイル29に通電する電流を切り換えるコンミテータであり、これらの部品と回転シャフト25とから電機子31が構成されている。
【0021】
さらに、32は回転シャフト25を止め輪33との共同で軸方向に固定するとともに、挿嵌支持しているフロント側ベアリング、34はこのフロント側ベアリング32を嵌合支持しているフロント側ブラケット、35は回転シャフト25のリヤ側を挿嵌支持しているリヤ側ベアリング、36はこのリヤ側ベアリング35を嵌合支持しているリヤ側ブラケット、37はコンミテータ30と摺動して給電するブラシ、38はブラシ37を保持するブラシホルダーである。
【0022】
本実施形態においては、ピン19とピンガイド18aは、ピストン17とシリンダ18が相対回転しないように設けられたものであり、ガイド棒39とフランジ部18bの一端に設けられたスリット18cは、ネジ部25bとネジ部23bとの摩擦力によって、回転シャフト25と推力シャフト23が共回りしないように設けられたものである。
【0023】
次に、上記構成のベルト伝動装置の動作について説明する。
図1において、エンジン1が停止した状態からエンジン1を始動させる時、車のキースイッチか、あるいは所定の始動条件下で図示していない始動電動発電機によって回転電機用プーリ7が時計回りに回転させられ、この回転駆動力がベルト10を介してクランクプーリ2に伝達され、クランクプーリ2が回転してエンジン1が始動する。
【0024】
この時、ベルト10を介して回転電機用プーリ7からクランクプーリ2に大きな伝達トルクをベルトスリップが生じない状態で伝達させる必要があるので、回転電機用プーリ7とクランクプーリ2との間のベルト張り側領域に設置したベルト張力調整装置9によって、エンジン始動前にベルト10の張力を予め高めの設定張力に切り換えておく。
そして、エンジン1の始動後は、ベルト張力調整装置9によって、エンジン1が補機を駆動する時の通常のベルト10の張力に設定張力が切り換えられる。ここで、ベルト張力調整装置9は、始動前は回転電機用プーリ7のベルト張り側にあり、始動後はクランクプーリ2のベルト緩み側に位置することになる。
【0025】
ベルト10の設定張力の切り換え制御は、次のようにして実施される。
まず、外部信号であるエンジン回転数信号、エンジン始動信号、車速信号、電動機回転数信号、補機負荷レベル信号、ブレーキペダル位置信号(図示せず)、アクセルペダル位置信号(図示せず)、ベルト張力値信号(図示せず)あるいはテンションプーリ11の位置信号などがCPUに伝えられる。CPUでは信号処理、演算処理され、処理された制御信号が電動機制御回路に伝えられる。
次に、電動機制御回路から電動機制御信号が電動機駆動回路に伝えられ、その制御信号に基づき電動機駆動回路により電動機の通電制御が行われる。
【0026】
次に、ベルト張力調整装置9の動作について説明する。
まず、図lにおいて、ベルト張力調整装置9のテンションプーリユニット8がベルト10を右斜め上方向に押圧することにより、ベルト10の張力は調整されている。
図2、図3は始動電動発電機によってエンジンを始動させる場合のベルト張力調整装置9の状態を示しており、ベルト張力調整装置9のテンションプーリユニット8が最も押し出された時のベルト張力調整装置9の内部状態を示している。
【0027】
エンジン始動時に必要な大きなベルト張力に調整するために、テンションプーリユニット8を押し出す方向に電動機24を回転させるように、電動機駆動回路からブラシ37、コンミテータ30を介して電機子コイル29に通電される。
電機子31に回転力が発生すると、回転シャフト25のネジ部25bと推力シャフト23のネジ部23bのネジ締結部で、電機子31の回転力が推力シャフト23を押し出す力に変換されて、推力シャフト23はフロント側に押し出される。
【0028】
推力シャフト23が押し出されると、フランジ部18b、第2のスプリング20b、連結プレート21及び第lのスプリング20aを介して、テンションプーリユニット8が第1及び第2のスプリング20a,20bのバネ特性で設定される弾性力でベルト10を押圧する。
この場合、推力シャフト23が押し出され、第l及び第2のスプリング20a,20bは大きく圧縮されるので、バネ弾性力も大きく、テンションプーリユニット8がベルト10を押圧する力も大きくなり、ベルト10の張力も増加し、始動に必要な張力に調整される。この時、ピストン17の先端はシリンダ18の底に装着されている弾性部材22にわずかな距離まで近づく位置に調整される。
【0029】
次に、始動電動発電機が始動されると、ベルト張力調整装置9側のベルト10は、ベルト張り側となる為、さらに張力が増加し、テンションプーリ11がベルト10からの反力で押し戻されようとするが、前記ピストン17の先端と弾性部材22が当接して、テンションプーリユニット8が押し戻されるのをブロックするので、通常のオートテンショナの如くテンションプーリ11が押し戻されて、張力が低下してしまい、負荷に駆動力を伝達できないというような不具合は発生しない。
【0030】
尚、図3のピン19とピンガイド18aは、ピストン17とシリンダ18が相対回転しないように設けられたものであり、ガイド棒39とフランジ18bのスリット18cは、ネジ部25bとネジ部23bの摩擦力によって、回転シャフト25と推力シャフト23が共回りしないように設けられたものである。
図4,図5は、エンジン始動後、ベルト張力調整装置9のテンションプーリユニット8が最大まで戻されて、通常の補機駆動時の位置に達したときの状態を示している。
【0031】
本実施形態においては、更に推力シャフト23の移動量を規制するストッパー40をリヤ側ネジ部23cを介して設けるとともに、このストッパー40のリヤ側ブラケット36との当接部に緩衝部材41を設け、更にフロント側ブラケット34とフランジ部18bとの当接部には緩衝部材42を設けている。
以上のように構成することにより、推力シャフト23が電動機24の方に戻された場合、推力シャフト23に一体に圧入されたフランジ部18bが緩衝部材42に当接して、それ以上に戻らなくなる。
即ち、従来においては、勢いよく回転している回転シャフト25の端面に、推力シャフト23が当接して強く締め込まれてしまい、推力シャフト23を押し出す方向の動作が困難になるという不具合が発生することがあるが、フロント側ブラケット34の端面に緩衝部材42を設けることにより、回転シャフト25の端面と推力シャフト23の端面が当接する前に、推力シャフト23に一体に設けられたフランジ部18bと緩衝部材42が当接して規制されるので、上記不具合の発生を防止できる。
【0032】
さらに、推力シャフト23が押し出される方向に動く時、何らかの電動機制御の不具合によって、推力シャフト23が所定の位置で止まらなかった場合でも、推力シャフト23のリヤ側に設けたストッパー40を、リヤ側ブラケット36の端面に設けた緩衝部材41に当接させて止めることにより、ベルト10を張り過ぎたり、推力シャフト23が回転シャフト25から飛び出して脱落してしまうという不具合も回避できる。また、ストッパー40が緩衝部材41と当接するので、衝突音が発生しないという効果もある。
【0033】
又、本実施形態においては、回転シャフト25の内周円筒部25aと推力シャフト23のフロント側円柱部23aが、摺動可能に構成されるとともに、回転シャフト25のリヤ側内周に圧入されたメタル43の内周円筒部と、推力シャフト23のリヤ側円柱部23dが摺動可能に構成されている。
以上のように構成することにより、フロント側とリヤ側で、回転シャフト25が推力シャフト23を摺動可能に構成しているので、フロントとリヤの中間で結合している回転シャフト25のネジ部25bと推力シャフト23のネジ部23bには、こじり等が発生しにくくなり、回転トルクを推力に変換する時に発生するロスを低減できる。
【0034】
又、電動機24の回転シャフト25と推力シャフト23が共回りをしないように、フランジ部18bのスリット18cを案内するようにガイド棒39を設けているが、このガイド棒39を電動機24を締付け組立てているボルト44の後端部に一体に構成するものである。
このように構成することにより、ガイド棒39をフロント側ブラケット34に固定する為の構成を省けるとともに、部品点数及び組立て工数を減らすことができる。
【0035】
更に、図6、図7に示すように、ピンガイド18aとは円周方向にずれた位置にキー溝18dを設けるとともに、ピンガイド18aとキー溝18bとを連通させる連通孔18eを設ける。
即ち、ピストン17に予めピン19を圧入した状態で、キー溝18dをピン19のガイドにさせて、シリンダ18にピストン17を挿入し組立てることができるとともに、分解もできるので、組立て、分解が容易になる。
【0036】
又、図3、図8に示すように、電動機24の外周を全周に亘って均一に締付け固定するとともに、固定位置を軸方向に調整できる取付けブラケット45を設ける。
尚、45aは締付け具合を調整するためのスリット、46はボルト、47は取付ボルトである。
このように構成することにより、取付け位置の調整が可能になるとともに、ヨーク27の外周を均一に締付けることができるので、ヨーク27の局部的ひずみの増大が少なくなり、電磁音の低減が図れる。
【0037】
更に、ベアリングボックス36aの内周側にリング溝36bを設けるとともに、このリング溝36bに弾性リング48を装着する。
尚、図2においては、リヤ側ベアリング35側に弾性リング48を設けた例を示したが、フロント側ベアリング32側に弾性リングを設けてもよい。
このように、弾性リング48をベアリングボックス36aの内周に設けたことによって、ベアリング35とベアリングボックス36aとのクリープ現象を防止できるとともに、ベアリング35外周とベアリングボックス36aのわずかな隙間によって発生する回転振動を防止できる。
【0038】
実施の形態2.
エンジン1として、車両用エンジンを用いることができる。
即ち、エンジン1は車両用エンジンであるので、車両用ベルトの寿命向上が図られるとともに、車両用補機の軸、軸受並びにその支持構造の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0039】
更に、回転電機として、電動発電機を使用したので、エンジン1に始動用動力を安定、確実に供給することができるとともに、エンジン始動後には発電機機能により補機あるいはバッテリに電力を供給することができる。
【0040】
又、始動時には回転電機のベルト張り側、始動後にはクランクプーリ2のベルト緩み側になる位置にベルト張力調整装置9を配置する。
即ち、エンジン始動後は、クランクプーリ2のベルト緩み側に位置するので、ベルトスリップ防止に最も効果があり、ベルト寿命の向上を図ることができる。
【0041】
【発明の効果】
この発明の請求項1に係るベルト伝動装置によれば、エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力をエンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して補機を駆動する補機用プーリと、回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧して、ベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたものであって、ベルト張力調整装置は、ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、テンションプーリを移動させる推力シャフトと、この推力シャフトと一体に設けられたシリンダと、推力シャフトのリヤ側に設けられたストッパーと、このストッパーのリヤ側ブラケットとの当接部に設けられた緩衝部材と、シリンダにおけるフランジ部とフロント側ブラケットとの当接部に設けられた緩衝部材とから構成されたので、推力シャフトと回転シャフトとの整合性を保つことができるとともに、衝突音を低減することができる。
【0042】
この発明の請求項2に係るベルト伝動装置によれば、エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力をエンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して補機を駆動する補機用プーリと、回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧してベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたものであって、ベルト張力調整装置は、ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、テンションプーリを移動させる推力シャフトと、この推力シャフトにトルクを伝達する電動機の回転シャフトとから構成され、更に回転シャフトの内周円筒部と推力シャフトのフロント側円柱部が摺動可能に構成されるとともに、回転シャフトのリヤ側内周に圧入されたメタルの内周円筒部と、推力シャフトのリヤ側円柱部が摺動可能に構成されたので、回転シャフトのネジ部と推力シャフトのネジ部には、こじり等が発生し難くなり、回転トルクを推力に変換する時に発生するロスを低減できる。
【0043】
この発明の請求項3に係るベルト伝動装置によれば、エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力をエンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して補機を駆動する補機用プーリと、回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧してベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたものであって、ベルト張力調整装置は、ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、テンションプーリを移動させる推力シャフトと、この推力シャフトにトルクを伝達する電動機の回転シャフトとから構成され、回転シャフトと推力シャフトの共回りを防止するためのガイド棒が、電動機を締付け組立てるためのボルトと一体に構成されたので、部品点数及び組立て工数を減らすことができる。
【0044】
この発明の請求項4に係るベルト伝動装置によれば、エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力をエンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して補機を駆動する補機用プーリと、回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧してベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたものであって、ベルト張力調整装置は、ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、テンションプーリを移動させる推力シャフトと、推力シャフトと一体に設けられるとともに、ピンガイドを備えたシリンダと、このシリンダ内を摺動するとともに、ピンガイド内を移動するピンが圧入されたピストンとから構成され、更にシリンダにはピンガイドとは円周方向にずれた位置にキー溝を設けるとともに、ピンガイドとキー溝とを連通させる連通孔を設けたので、シリンダとピストンの組立て並びに分解が容易となる。
【0045】
この発明の請求項5に係るベルト伝動装置によれば、エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力をエンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して補機を駆動する補機用プーリと、回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧してベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたものであって、ベルト張力調整装置は、ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、テンションプーリを移動させる推力シャフトと、この推力シャフトにトルクを伝達する電動機の回転シャフトと、電動機の外周を全周に亘って均一に締付け固定するとともに、電動機の固定位置を軸方向に調整できる取付けブラケットとから構成されたので、電動機の取付け位置の調整が可能になるとともに、電磁音の低減を図ることができる。
【0046】
この発明の請求項6に係るベルト伝動装置によれば、ベルト張力調整装置に備えられたベアリングボックスの内周側にリング溝を設け、このリング溝に弾性リングを装着したので、ベアリングとベアリングボックスとのクリープ現象を防止できるとともに、ベアリング外周とベアリングボックスのわずかな隙間によって発生する回転振動を防止できる。
【0047】
この発明の請求項7に係るベルト伝動装置によれば、エンジンとして、車両用エンジンを用いたので、車両用ベルトの寿命向上が図られるとともに、車両用補機の軸、軸受並びにその支持構造の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0048】
この発明の請求項8に係るベルト伝動装置によれば、回転電機として、電動発電機を用いたので、エンジンに始動用電力を安定、確実に供給することができるとともに、エンジン始動後には発電機機能により補機あるいはバッテリに電力を供給することができる。
【0049】
この発明の請求項9に係るベルト伝動装置によれば、始動時には回転電機のベルト張り側、始動後にはエンジン用プーリのベルト緩み側になる位置にベルト張力調整装置を配置したので、ベルトスリップ防止に最も効果があり、ベルト寿命の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるエンジンを中心としたベルト伝動装置全体を示す平面図である。
【図2】テンションプーリユニットが最も突き出た状態のベルト伝動装置におけるベルト張力調整装置を示す側面断面図である。
【図3】テンションプーリユニットが最も突き出た状態のベルト伝動装置におけるベルト張力調整装置を示す平面図である。
【図4】テンションプーリユニットが最も戻った状態のベルト伝動装置におけるベルト張力調整装置を示す側面断面図である。
【図5】テンションプーリユニットが最も戻った状態のベルト伝動装置におけるベルト張力調整装置を示す平面図である。
【図6】ピンを圧入した状態のピストンをシリンダに組み込む方法を示すためのベルト張力調整装置を示す一部平面図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【図8】電動機を締付け固定している取付けブラケットの締付け固定状態を示すためのベルト張力調整装置を示す平面断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン、2 エンジン用プーリ、3,4 補機用プーリ、7 回転電機用プーリ、9 ベルト張力調整装置、10 ベルト、11 テンションプーリ、17 ピストン、18 シリンダ、18a ピンガイド、18b フランジ部、18d キー溝、18e 連通孔、19 ピン、20 スプリング、23 推力シャフト、23a フロント側円柱部、23d リヤ側円柱部、24 電動機、25 回転シャフト、25a 内周円筒部、34 フロント側ブラケット、36リヤ側ブラケット、36a ベアリングボックス、36b リング溝、39 ガイド棒、40 ストッパー、41,42 緩衝部材、43 メタル、44 ボルト、45 取付けブラケット、48 弾性リング。
Claims (9)
- エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力を上記エンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して上記補機を駆動する補機用プーリと、上記回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧して、ベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたベルト伝動装置において、上記ベルト張力調整装置は、上記ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、上記テンションプーリを移動させる推力シャフトと、この推力シャフトと一体に設けられたシリンダと、上記推力シャフトのリヤ側に設けられたストッパーと、このストッパーのリヤ側ブラケットとの当接部に設けられた緩衝部材と、上記シリンダにおけるフランジ部とフロント側ブラケットとの当接部に設けられた緩衝部材とから構成されたことを特徴とするベルト伝動装置。
- エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力を上記エンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して上記補機を駆動する補機用プーリと、上記回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧してベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたベルト伝動装置において、上記ベルト張力調整装置は、上記ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、上記テンションプーリを移動させる推力シャフトと、この推力シャフトにトルクを伝達する電動機の回転シャフトとから構成され、更に上記回転シャフトの内周円筒部と上記推力シャフトのフロント側円柱部が摺動可能に構成されるとともに、上記回転シャフトのリヤ側内周に圧入されたメタルの内周円筒部と、上記推力シャフトのリヤ側円柱部が摺動可能に構成されたことを特徴とするベルト伝動装置。
- エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力を上記エンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して上記補機を駆動する補機用プーリと、上記回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧してベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたベルト伝動装置において、上記ベルト張力調整装置は、上記ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、上記テンションプーリを移動させる推力シャフトと、この推力シャフトにトルクを伝達する電動機の回転シャフトとから構成され、上記回転シャフトと上記推力シャフトの共回りを防止するためのガイド棒が、上記電動機を締付け組立てるためのボルトと一体に構成されたことを特徴とするベルト伝動装置。
- エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力を上記エンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して上記補機を駆動する補機用プーリと、上記回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧してベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたベルト伝動装置において、上記ベルト張力調整装置は、上記ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、上記テンションプーリを移動させる推力シャフトと、上記推力シャフトと一体に設けられるとともに、ピンガイドを備えたシリンダと、このシリンダ内を摺動するとともに、上記ピンガイド内を移動するピンが圧入されたピストンとから構成され、更に上記シリンダには上記ピンガイドとは円周方向にずれた位置にキー溝を設けるとともに、上記ピンガイドと上記キー溝とを連通させる連通孔を設けたことを特徴とするベルト伝動装置。
- エンジンに始動用動力を伝達する回転電機に取付けられた回転電機用プーリと、始動用動力を上記エンジンに伝達するとともに、エンジンの回転動力を補機に伝達するエンジン用プーリと、このエンジン用プーリからの動力で回転して上記補機を駆動する補機用プーリと、上記回転電機用プーリ、エンジン用プーリ及び補機用プーリに連続して巻き掛けられたベルトと、このベルトを押圧してベルト張力を調整するベルト張力調整装置を備えたベルト伝動装置において、上記ベルト張力調整装置は、上記ベルトが掛けられるとともに回転自在に支持されたテンションプーリと、このテンションプーリを押圧するスプリングと、上記テンションプーリを移動させる推力シャフトと、この推力シャフトにトルクを伝達する電動機の回転シャフトと、上記電動機の外周を全周に亘って均一に締付け固定するとともに、上記電動機の固定位置を軸方向に調整できる取付けブラケットとから構成されたことを特徴とするベルト伝動装置。
- ベルト張力調整装置に備えられたベアリングボックスの内周側にリング溝を設け、このリング溝に弾性リングを装着したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のベルト伝動装置。
- エンジンとして、車両用エンジンを用いたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のベルト伝動装置。
- 回転電機として、電動発電機を用いたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のベルト伝動装置。
- 始動時には回転電機のベルト張り側、始動後にはエンジン用プーリのベルト緩み側になる位置にベルト張力調整装置を設置したことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のベルト伝動装置。
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