JP6072134B2 - 酸化ジルコニウム粒子と(メタ)アクリレート類を含む重合性組成物とその製造方法 - Google Patents

酸化ジルコニウム粒子と(メタ)アクリレート類を含む重合性組成物とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は酸化ジルコニウム粒子と(メタ)アクリレート類を含む重合性組成物とその製造方法に関する。詳しくは、本発明は、酸化ジルコニウム粒子と(メタ)アクリレート類を含む高透明性と高屈折率と高流動性を有する重合性組成物であって、重合開始剤の存在下に光や熱によって高透明性と高屈折率を有する硬化物を与える重合性組成物とその製造方法に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)のようなプラスチック基板、発光ダイオード(LED)における半導体素子の封止用樹脂材料、光学レンズ等の光学材料用の透明樹脂材料や接着剤等として、近年、屈折率の高い微細な酸化ジルコニウム粒子を(メタ)アクリレート類からなる分散媒に分散させてなる高透明性と高屈折率を有する重合性組成物が種々、提案され、また、実用化されている。
上記重合性組成物は、これを用途に応じて、適宜の基材上に塗布し、又は成形用の金型内に注入した後、加熱し、又は紫外線等の光を照射して、上記(メタ)アクリレート類を重合、硬化させることによって、高透明性と高屈折率を有する樹脂被膜や樹脂成形体を得ることができる。
しかし、酸化ジルコニウム粒子は、表面にヒドロキシ基を有して、本来、親水性であるので、これを有機溶媒や(メタ)アクリレート類に分散させる場合に、その有機溶媒や(メタ)アクリレートに十分な親和性をもたないときは、酸化ジルコニウム粒子が容易に凝集したり、また、得られた混合物が白濁したり、時には、著しく増粘して、流動性を失うことさえある。
そこで、酸化ジルコニウム粒子は、通常、有機溶媒や(メタ)アクリレート類に親和性を有するように表面処理して、有機溶媒や(メタ)アクリレート類に分散させることが提案されている。
例えば、酸化ジルコニウム粒子を有機酸にて表面処理して、酸化ジルコニウム粒子の表面のヒドロキシ基と有機酸を水素結合させて、有機酸を酸化ジルコニウム粒子の表面に吸着させ、このように、表面修飾した酸化ジルコニウム粒子を有機溶媒や(メタ)アクリレートに分散させて、酸化ジルコニウム粒子を含む重合性組成物を得ることが提案されている(特許文献1参照)。
酸化ジルコニウム粒子をシランカップリング剤で表面処理する方法もよく知られている。例えば、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液にシランカップリング剤を加え、酸化ジルコニウム粒子を表面処理し、分散媒を除去した後、(メタ)アクリレート類を加えて、酸化ジルコニウム粒子を含む重合性組成物を得ることが提案されている(特許文献2参照)。
更に、シランカップリング剤と界面活性剤を併用する酸化ジルコニウム粒子の表面処理も提案されている。例えば、酸化ジルコニウム粒子を湿式粉砕攪拌機を用いて、有機溶媒中、リン酸エステル系界面活性剤とシランカップリング剤にて順次に湿式分散処理した後、これに(メタ)アクリレート類を加え、上記有機溶媒を除去して、酸化ジルコニウム粒子を含む重合性組成物を得ることが提案されている(特許文献3参照)。
本発明者らは、酸化ジルコニウム粒子と(メタ)アクリレート類を含む重合性組成物の上述した状況の下、シランカップリング剤とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤の所定割合の組み合わせを分散剤とし、これを酸化ジルコニウム粒子に対して所定の割合で用いることによって、分散媒である(メタ)アクリレート類中に分散質として酸化ジルコニウム粒子を高濃度で含み、高屈折率を有しながら、高透明性と高流動性を有する重合性組成物を得ることができ、好ましい態様によれば、上記分散剤を少量を用いることによって、平均粒子径10nm以下の酸化ジルコニウム粒子を高濃度で含みながら、それでいて、高透明性と高流動性と高屈折率を有する重合性組成物を得ることができることを見出して本発明を完成したものである。
特開2009−191167号公報 特開2011−201740号公報 特開2010−189506号公報
従って、本発明は、分散媒である(メタ)アクリレート類中に分散質として酸化ジルコニウム粒子を好ましくは高濃度で含み、従って、高屈折率を有しながら、高透明性と高流動性を有する重合性組成物を提供することを目的とし、好ましい態様によれば、平均粒子径10nm以下、特に、好ましい態様によれば、平均粒子径1〜10nmの範囲の酸化ジルコニウム粒子を高濃度で含みながら、高透明性と高流動性と高屈折率を有する重合性組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、そのような重合性組成物を容易に得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、
(a)酸化ジルコニウム粒子10〜70重量%と、
(b)上記酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して8〜40重量部の分散剤と、
(c)(メタ)アクリレート類と
を含む重合性組成物であって、
上記分散剤がシランカップリング剤とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤の組み合わせからなり、上記分散剤において、シランカップリング剤のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤に対する重量比が85/15〜30/70の範囲にある重合性組成物が提供される。
本発明において、上記重合性組成物は、酸化ジルコニウム粒子と分散剤と(メタ)アクリレート類を必須成分として含み、その他の成分を10重量%以下の範囲で、好ましくは、5重量%以下の範囲で含んでよく、すべての成分は合計で100重量%を構成する。
本発明において、上記重合性組成物は、最も好ましくは、酸化ジルコニウム粒子と分散剤と残余(メタ)アクリレート類からなり、これらの成分が合計で100重量%を構成する。
本発明による重合性組成物において、酸化ジルコニウム粒子は、通常、平均粒子径が100nm以下であり、好ましくは、1〜10nmの範囲である。
本発明による重合性組成物は、好ましくは、上記分散剤を酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して10〜30重量部の範囲で含む。
また、本発明によれば、上記重合性組成物の製造方法が提供される。即ち、本発明によれば、
(a)酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液に
(b)分散剤と
(c)(メタ)アクリレート類を加え、
得られた混合物を攪拌下に加熱して、この混合物から上記有機溶媒を除去して、上記酸化ジルコニウム粒子10〜70重量%と、分散剤と、(メタ)アクリレート類とを含む重合性組成物の製造方法であって、
上記分散剤がシランカップリング剤とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤の組み合わせからなり、
上記分散剤において、シランカップリング剤のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤に対する重量比が85/15〜30/70の範囲にあり、
上記分散剤を酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して8〜40重量部の範囲で用いる重合性組成物の製造方法が提供される。
本発明の方法においては、用いる酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液における酸化ジルコニウム粒子の平均粒子径は、通常、100nm以下であり、好ましくは、1〜10nmの範囲である。
また、本発明の方法においては、好ましくは、上記分散剤を上記酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して10〜30重量部の範囲で用いる。
本発明による重合性組成物は、酸化ジルコニウム粒子10〜70重量%と分散剤と(メタ)アクリレート類を含み、上記酸化ジルコニウム粒子は、好ましくは、平均粒子径100nm以下、特に、好ましくは、1〜10nmの範囲であり、高屈折率を有しながら、高透明性と高流動性を有している。
特に、本発明の好ましい態様によれば、平均粒子径1〜10nmの範囲の微細な酸化ジルコニウム粒子を30重量%以上の濃度で含み、高屈折率を有しながら、高透明性と高流動性を有し、種々の光学材料用の透明樹脂材料や接着剤等として好適に用いることができる。
また、本発明の方法によれば、酸化ジルコニウム粒子が微細であっても、また、酸化ジルコニウム粒子濃度が高くとも、酸化ジルコニウム粒子の凝集、白濁、ゲル化等なしに、上述した高透明性と高屈折率と高流動性を有する重合性組成物を容易に且つ安定して得ることができる。
本発明による重合性組成物は、
(a)酸化ジルコニウム粒子10〜70重量%と、
(b)上記酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して8〜40重量部の分散剤と、
(c)(メタ)アクリレート類と
を含む重合性組成物であって、
上記分散剤がシランカップリング剤とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤の組み合わせからなり、上記分散剤において、シランカップリング剤のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤に対する重量比が85/15〜30/70の範囲にあるものである。
本発明による重合性組成物において、上記酸化ジルコニウム粒子の平均粒子径は、通常、100nm以下であり、好ましくは、10nm以下であり、より好ましくは、1〜10nmの範囲であり、最も好ましくは、1〜5nmの範囲である。ここに、重合性組成物における酸化ジルコニウム粒子の平均粒子径は、重合性組成物を希釈し、得られた希釈物について動的光散乱法にて測定した値である。
また、後述するように、本発明による重合性組成物の製造において用いる酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液における酸化ジルコニウム粒子の平均粒子径も、上記酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液について動的光散乱法にて測定した値である。
本発明による重合性組成物においては、上記酸化ジルコニウム粒子は、アルミニウム、マグネシウム、チタンのほか例えば、イットリウムのような希土類元素を安定化元素として含んでいてもよい。
また、本発明による重合性組成物において、上記酸化ジルコニウム粒子は、適宜の溶媒中でジルコニウム塩をアルカリで中和して得られたものでもよく、このような方法によれば、好ましい態様によれば、平均粒子径10nm以下の酸化ジルコニウム粒子を得ることができる。しかし、本発明においては、上記酸化ジルコニウム粒子は、所謂トップダウン方式によって製造されたものでもよい。即ち、粗大な酸化ジルコニウム粒子を機械的に粉砕して、平均粒子径100nm以下としたものでもよい。
本発明による重合性組成物においては、酸化ジルコニウム粒子と共に、分散剤としてシランカップリング剤とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤の組み合わせを含み、この分散剤において、上記シランカップリング剤の上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤に対する重量比、即ち、シランカップリング剤/ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤重量比は85/15〜30/70の範囲であり、好ましくは、75/25〜40/60の範囲であり、しかも、本発明による重合性組成物は、このような分散剤を上記酸化ジルコニウム粒子100重量部に対する割合が8〜40重量部の範囲、好ましくは、10〜30重量部の範囲、より好ましくは、10〜20重量部の範囲で含むことによって、上記酸化ジルコニウム粒子が分散媒である(メタ)アクリレート類において、白濁、凝集、ゲル化等を起こすことなく、微細且つ安定に分散しており、重合性組成物は、高透明性と高流動性を有している。
本発明による重合性組成物は、酸化ジルコニウム粒子を10〜70重量%の範囲で含む。本発明において、重合性組成物における酸化ジルコニウム粒子の割合が10重量%よりも少ないときは、高屈折率を有する重合性組成物を得ることが困難である。しかし、重合性組成物における酸化ジルコニウム粒子の割合が70重量%よりも多いときは、重合性組成物の安定性が損なわれるのみならず、流動性が低下して、所要の被膜や成形物を得ることが困難になる。
本発明による重合性組成物において、酸化ジルコニウム粒子濃度の下限値は、上述したように、10重量%であり、好ましくは、20重量%であり、より好ましくは、25重量%であり、特に好ましくは、30重量%である。
一方、本発明による重合性組成物において、酸化ジルコニウム粒子濃度の上限値は、上述したように、70重量%であり、好ましくは、65重量%であり、より好ましくは、60重量%であり、特に好ましくは、55重量%である。
本発明による重合性組成物は、好ましくは、このように酸化ジルコニウム粒子を高濃度で含みながら、それでいて、酸化ジルコニウム粒子が(メタ)アクリレート類中において、凝集、白濁、ゲル化することなしに、安定に分散していると共に、高透明性と高流動性を有している。
特に、本発明によれば、重合性組成物は、その安定性、透明性、流動性及び屈折率を考慮すれば、酸化ジルコニウム粒子濃度は、好ましくは、20〜65重量%の範囲であり、より好ましくは、25〜60重量%の範囲であり、最も好ましくは、30〜55重量%の範囲である。
本発明において用いるシランカップリング剤は、通常、次の一般式(I)
n−Si−X4-n
(I)
(式中、Rは非反応性基又は反応性官能基を含む基を示し、Xは加水分解性基又はヒドロキシ基を示し、nは1、2又は3である。)
で表される。
上記非反応性基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基等を挙げることができ、上記反応性官能基を含む基としては、例えば、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基、ハロゲン原子、(メタ)アクリロイル基等を含む基を挙げることができる。
従って、非反応性基を有する所謂非反応性シランカップリング剤の具体例として、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ジメチルメトキシヒドロキシシラン等を挙げることができる。
反応性官能基を含む基を有する所謂反応性シランカップリング剤の具体例としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン等を挙げることができる。
本発明においては、特に、高屈折率を有する重合性組成物を得る場合には、同様に、高屈折率 、例えば、1.45以上を有するシランカップリング剤が用いられる。そのような高屈折率を有するシランカップリング剤としては、例えば、p−スチリルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等を挙げることができる。これらのシランカップリング剤は必要に応じて、2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明において用いるポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤は、好ましくは、次の一般式(II)
Figure 0006072134
(式中、Rは炭素原子数4〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、Mは水素原子又は金属イオン、アンモニウムイオン又は有機塩基イオンであり、nは1〜20の範囲の数であり、kは1又は2である。)
で表されるモノエステル、ジエステル又はこれらの混合物である。
上記金属イオンは、好ましくは、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオンであり、有機塩基イオンは、例えば、トリエタノールアミンイオンのようなアルカノールアミンイオンを含むアミンイオンである。
このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤としては、例えば、東邦化学工業(株)から入手し得るフォスファノールRA−600、ML−220、ML−240、RD−510Y、RS−410、RS−610、RS−710等を挙げることができる。
本発明による重合性組成物は、酸化ジルコニウム粒子のための分散剤として上記シランカップリング剤と上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤の組み合わせを含み、この分散剤において、シランカップリング剤/ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤重量比は85/15〜30/70の範囲であり、好ましくは、75/25〜40/60の範囲であり、しかも、このような分散剤を酸化ジルコニウム粒子100重量部に対する割合が8〜40重量部の範囲、好ましくは、10〜30重量部の範囲、より好ましくは、10〜20重量部の範囲にて含み、重合性成分として(メタ)アクリレート類を含む。
本発明において、上記(メタ)アクリレート類とは、光又は熱による重合性を有するメタアクリレート類及び/又はアクリレート類を意味する。
そのような(メタ)アクリレート類としては、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレート類と分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート類を挙げることができる。
上記単官能メタクリレート類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等を挙げることができる。
また、多官能(メタ)アクリレート類としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチレンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート等を挙げることができる。
本発明による重合性組成物は、前述した酸化ジルコニウム粒子と共に、このような(メタ)アクリレート類を含み、熱重合させるときは熱重合開始剤の存在下に加熱し、また、光重合させるときは、光重合開始剤の存在下に光、例えば、紫外線や電子線を照射することによって、上記単官能及び/又は多官能(メタ)アクリレート類が重合し、かくして、高透明性と高屈折率を有する熱又は光硬化物を与える。
本発明において、硬化物とは、本発明による重合性組成物が(メタ)アクリレート類として単官能(メタ)アクリレート類のみを含むときは、酸化ジルコニウムを含む単官能(メタ)アクリレート類のポリマーからなる固化物をいい、本発明による重合性組成物が(メタ)アクリレート類として多官能(メタ)アクリレート類と(単官能(メタ)アクリレート類)を含むときは、酸化ジルコニウムを含む多官能(メタ)アクリレート類(と単官能(メタ)アクリレート類)が(共)重合してなる架橋構造を有する(通常、不溶不融の)固化物をいう。
本発明による重合性組成物は、前述したように、酸化ジルコニウム粒子と分散剤と(メタ)アクリレート類を必須成分として含み、その他の成分を10重量%以下の範囲で、好ましくは、5重量%以下の範囲で含んでよく、この場合、酸化ジルコニウム粒子、分散剤、(メタ)アクリレート類及びその他の成分の合計量が100重量%を構成する。
最も好ましくは、本発明による重合性組成物は、酸化ジルコニウム粒子と分散剤と残余(メタ)アクリレート類からなり、この場合、これらの成分で100重量%を構成する。
本発明による重合性組成物において、(メタ)アクリレート類の量は、好ましくは、10〜89重量%の範囲であり、好ましくは、15〜75重量%の範囲であり、より好ましくは、20〜70重量%の範囲であり、特に好ましくは、25〜65重量%の範囲である。
かくして、本発明によれば、重合性組成物は、好ましくは、酸化ジルコニウム粒子10〜70重量%と分散剤と(メタ)アクリレート類10〜89重量%を含み、より好ましくは、酸化ジルコニウム粒子20〜65重量%と分散剤と(メタ)アクリレート類15〜75重量%を含み、更に好ましくは、酸化ジルコニウム粒子25〜60重量%と分散剤と(メタ)アクリレート類20〜70重量%を含み、最も好ましくは、酸化ジルコニウム粒子30〜55重量%と分散剤と(メタ)アクリレート類25〜65重量%を含む。上記のいずれにおいても、分散剤は、酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して、8〜40重量部の範囲であり、好ましくは、10〜30重量部の範囲であり、より好ましくは、10〜20重量部の範囲である。
本発明による重合性組成物は、酸化ジルコニウム粒子を高濃度に含む場合であっても、安定性と透明性にすぐれているのみならず、粘度が低く、流動性にもすぐれている。
即ち、本発明による重合性組成物の粘度は、酸化ジルコニウム粒子の濃度にもよるが、25℃において、100〜40000mPa・sの範囲であり、好ましくは、150〜30000mPa・sの範囲である。
また、本発明による重合性組成物は、用いるシランカップリング剤や(メタ)アクリレート類の屈折率にもよるが、通常、1.55〜1.75の範囲の屈折率を有し、好ましい態様によれば、1.60以上、より好ましい態様によれば、1.65以上の屈折率を有する硬化物を与える。
かくして、本発明による重合性組成物は、高い透明性と高い屈折率を有する光学樹脂材料として好適に用いることができる。
本発明による上述した重合性組成物は、本発明による下記の製造方法によって得ることができる。
即ち、本発明による重合性組成物の製造方法は、
(a)酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液に
(b)分散剤と
(c)(メタ)アクリレート類を加え、
得られた混合物を攪拌下に加熱して、この混合物から上記有機溶媒を除去して、酸化ジルコニウム粒子10〜70重量%と、分散剤と、重合性(メタ)アクリレート類とを含む重合性組成物の製造方法であって、
上記分散剤がシランカップリング剤とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤の組み合わせからなり、
上記分散剤において、シランカップリング剤のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤に対する重量比が85/15〜30/70の範囲にあり、
上記分散剤を酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して8〜40重量部の範囲で用いるものである。
本発明において用いる酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液は、好ましくは、酸化ジルコニウム粒子の平均粒径が100nm以下であり、好ましくは、10nm以下であり、より好ましくは、1〜10nmの範囲であり、最も好ましくは、1〜5nmの範囲である。
本発明において、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液における分散媒、即ち、上記有機溶媒は、常圧下、加熱によって除去し得る程度の沸点、例えば、60〜200℃程度の沸点を有するものが好ましい。後述するように、例えば、メタノール、メチルエチルケトン、トルエン等がその代表的な例である。
即ち、例えば、平均粒子径が10nm以下の微粒子の酸化ジルコニウム粒子の分散液は、最初、分散媒を水とした分散液として製造されることが多く、分散媒が有機溶媒である酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液は、このような分散媒が水である酸化ジルコニウム粒子分散液の分散媒である水を水混和性又は親水性有機溶媒で置換し、更に、必要に応じて、この水混和性又は親水性有機溶媒を疎水性乃至親油性有機溶媒に置換して製造されることが多い。
本発明においても、分散媒が水である酸化ジルコニウム粒子分散液の分散媒である水を水混和性有機溶媒、例えば、メタノールで置換して製造されたメタノール分散液を好ましく用いることができる。また、本発明においては、このメタノールをメチルエチルケトンやトルエンで置換した分散液も好ましく用いることができる。但し、メチルエチルケトンはメタノールよりは親油性であるが、親水性も親油性も相対的なものであるので、本発明においては、便宜上、メチルエチルケトンも親水性有機溶媒に含めている。
しかし、本発明による重合性組成物の製造においては、用いる酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液は、前述したように、トップダウン方式によるものでもよい。即ち、粗大な酸化ジルコニウム粒子を粉砕し、適宜の有機溶媒中に微粒子として分散させてなるものでもよい。
従って、本発明においては、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液における分散媒である有機溶媒は、特に限定されるものではないが、上記水混和性又は親水性有機溶媒である場合、そのような水混和性有機溶媒は、特に限定されるものではなく、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール等の脂肪族アルコール類、酢酸エチル、ギ酸メチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類や、これらの2種以上の混合物であるが、特に、好ましくは、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はこれらの混合物である。
本発明においては、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液は、例えば、方法としてはそれ自体、既によく知られている蒸留置換法や限外濾過置換法によって、上記親水性有機溶媒を親油性有機溶媒に置換した酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液であってもよい。
従って、本発明においては、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液は、例えば、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等のエステル類、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の炭化水素類、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭素水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のカルボン酸アミドを挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
更に、本発明においては、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液は、当初の分散媒が、例えば、メタノ−ルである場合、重合性(メタ)アクリレート類の酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液への溶解を助けるために、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液に重合性(メタ)アクリレート類を加える前に、酸化ジルコニウム粒子のメタノール分散液にメタノールと混和性を有すると共にメタノールよりも親油性である有機溶媒、例えば、メチルエチルケトンを加えてもよい。
上述した酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液は、その製造方法にもよるが、当初から、種々の添加剤、例えば、酸や塩基類、シランカップリング剤や界面活性剤等の分散剤を含んでいてもよい。しかし、このように、本発明において用いる酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液が当初からこれらの添加剤を含んでいる場合、これらの添加剤は、本発明における分散剤に含めない。即ち、これらの添加剤は、本発明において、分散剤として、その量を計算に含めない。
本発明による重合性組成物の製造においては、上述した酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液に分散剤としてシランカップリング剤と上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤の組み合わせ用いる。この分散剤において、シランカップリング剤/ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤重量比は85/15〜30/70の範囲にあり、しかも、このような分散剤を酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液における酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して8〜40重量部の範囲で含み、好ましくは、10〜30重量部の範囲で含み、より好ましくは、10〜20重量部の範囲で含むように用いる。
上記シランカップリング剤及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤については、前述したとおりである。
前述したように、特に、高屈折率を有する重合性組成物を得る場合には、同様に、高屈折率を有するシランカップリング剤が好ましく用いられる。
また、本発明による重合性組成物の製造に用いる(メタ)アクリレート類についても、前述したとおりであり、単官能(メタ)アクリレート類及び/又は多官能(メタ)アクリレート類が用いられる。
本発明によれば、このようにして、平均粒子径が100nm以下、好ましくは、10nm以下である酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液に(メタ)アクリレート類と共に、分散剤として上述したシランカップリング剤とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤の組み合わせを上記酸化ジルコニウム粒子に対して所定の割合にて加え、得られた混合物を加熱して、上記有機溶媒を混合物から除去することによって、上記酸化ジルコニウム粒子が(メタ)アクリレート類中において白濁、凝集、ゲル化等を起こすことなく、安定に分散していると共に、高透明性と高流動性を有する重合性組成物を得ることができる。
好ましい態様によれば、本発明によれば、上記酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液に先ず、シランカップリング剤とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤の組み合わせを加え、次いで、重合性(メタ)アクリレート類を加え、かくして、得られた混合物を攪拌しながら、上記酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液の分散媒の沸点以上の温度に加熱して、上記有機溶媒を混合物から除去することによって、本発明による重合性組成物を得ることができる。
上記混合物を加熱して、上記有機溶媒を混合物から除去する際の温度は、用いる分散媒である上記有機溶媒の沸点によるが、通常、40〜100℃の範囲であり、好ましくは、50〜70℃の範囲である。また、上記混合物を加熱して、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液の分散媒を混合物から除去する際に、必要に応じて、混合物を減圧下に加熱してもよい。
本発明による重合性組成物は、上述したように、その製造に際して、出発物質として、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液を用いるので、得られる重合性組成物が10重量%以下の範囲、即ち、0〜10重量%の範囲の上記有機溶媒を含むことは許容される。即ち、本発明による重合性組成物は、酸化ジルコニウム粒子10〜70重量%と前記分散剤と前記(メタ)アクリレート類を含み、上記有機溶媒を0〜10重量%の範囲、好ましくは、0〜5重量%の範囲で含んでいてもよい。
このように、本発明による重合性組成物は、酸化ジルコニウム粒子を10重量%以上の範囲で含み、好ましい態様によれば、酸化ジルコニウム粒子を30重量%以上の範囲で含みながら、それでいて、酸化ジルコニウム粒子が重合性(メタ)アクリレート類中において、安定に分散していると共に、高透明性と高流動性を有している。
従って、本発明によれば、好ましい態様においては、酸化ジルコニウム粒子に対して、少量の分散剤を用いることによって、透明性と流動性にすぐれる重合性組成物を得ることができる。
このようにして得られる重合性組成物は、前述したように、用いるシランカップリング剤の屈折率にもよるが、通常、1.55〜1.75の範囲の屈折率を有し、従って、好ましい場合には、1.60以上、より好ましい場合には、1.65以上の屈折率を有する硬化物を与える。
本発明による重合性組成物は、これに紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する光重合開始剤又は加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤を適量、配合すれば、(メタ)アクリレート類がそのような重合開始剤の作用によって重合するので、それぞれ光重合性組成物又は熱重合性組成物を与える。
本発明においては、そのような光重合開始剤及び熱重合開始剤としてはいずれも、従来から知られているものを適宜に用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は、単独で、又は2種以上を混合して用いられる。
熱重合開始剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジt−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等のパーオキシエステル類、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキサイド類、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート類、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等の過酸化物を挙げることができる。これらの重合開始剤も、単独で、又は2種以上を混合して用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、「部」は特に断りのない限り、「重量部」を意味する。また、以下において、酸化ジルコニウムのメタノール分散体、シランカップリング剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤及び(メタ)アクリレート類は下記のものを用いた。
酸化ジルコニウム粒子メタノール分散体
堺化学工業(株)製酸化ジルコニウム粒子メタノール分散体、SZR−M、酸化ジルコニウム粒子濃度30重量%、動的光散乱法による酸化ジルコニウムの平均粒子径3nm
シランカップリング剤A
信越化学工業(株)製p−スチリルトリメトキシシラン、KBM−1403
シランカップリング剤B
信越化学工業(株)製フェニルトリメトキシシラン、KBM−103
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤A
東邦化学工業(株)製フォスファノール、RS−710
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤B
東邦化学工業(株)製フォスファノール、RA−600
(メタ)アクリレート
日本化薬(株)製o−フェニルフェノールモノエトキシアクリレート、KAYARAD OPP−1
また、以下の実施例及び比較例において、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液と重合性組成物の物性は下記のようにして測定した。
(酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液における酸化ジルコニウム粒子の平均粒子径)
日機装(株)製粒度分布測定装置UPA−EX150を用いて、動的光散乱法にて測定した。
(重合性組成物における酸化ジルコニウム粒子の平均粒子径)
重合性組成物をメチルエチルケトンにて希釈し、得られた希釈物について、日機装(株)製粒度分布測定装置UPA−EX150を用いて、動的光散乱法にて測定した。
(重合性組成物の透明性)
重合性組成物を透明な容器に入れ、目視して、透明であるときを○、白濁しているときを×とした。
(流動性)
重合性組成物を透明な容器に入れ、傾けたとき、流れが認められたときを○、流れが認められなかったときを×とした。
(粘度)
E型回転粘度計(東機産業(株)製TV−20)を用いて、液温25℃、ローターの角度3°、半径9.7mm、回転数60rpmにて測定した。
(屈折率)
アッベ屈折計((株)アタゴ製RX−7000i)によって、光源としてナトリウムスペクトルのD線を用いて、液温20℃にて測定した。
以下の実施例及び比較例において、重合性組成物を調製するために用いた成分の仕込み組成と共に、得られた重合性組成物の成分組成と物性を表1及び表2に示す。
実施例1
酸化ジルコニウムメタノール分散体(堺化学工業(株)製酸化ジルコニウムメタノール分散体、SZR−M、酸化ジルコニウム濃度30重量%、動的光散乱法による酸化ジルコニウムの平均粒子径3nm、以下、同じ)100部にp−スチリルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製p−スチリルトリメトキシシラン、KBM−1403、以下、同じ)4.20部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤(東邦化学工業(株)製フォスファノールRS−710、以下、同じ)1.05部及びo−フェニルフェノールモノエトキシアクリレート(日本化薬(株)製KAYARAD OPP−1)24.75部を加えて混合物を調製した。この混合物を攪拌しながら、温度55〜70℃に加熱し、メタノールを除去して、その組成を表1に示すように、酸化ジルコニウム50.0部、p−スチリルトリメトキシシラン7.00部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤1.75部及びo−フェニルフェノールモノエトキシアクリレート41.25部からなる重合性組成物を得た。
実施例2〜19
表1から表3に示す仕込む組成にて混合物を調製し、実施例1と同様にして、表1から表3に示す組成を有する重合性組成物を得た。
比較例1
酸化ジルコニウムメタノール分散体100部にp−スチリルトリメトキシシラン4.50部及びo−フェニルフェノールモノエトキシアクリレート25.50部を加えて、混合物を調製し、この混合物を攪拌しながら、温度55〜70℃に加熱したところ、酸化ジルコニウム粒子が凝集して、得られた混合物が白濁すると共に、粘度が上昇した。その結果、得られた重合性組成物は流動性を有しなかった。
比較例2〜4
表3に示す仕込む組成にて混合物を調製し、実施例1と同様にして、表3に示す組成を有する重合性組成物を得た。
上記実施例1〜19において得られた重合性組成物の成分組成(部)と共に、透明性、流動性、粘度及び動的光散乱法による平均粒子径を表1から表3に示す。一部の重合性組成物については屈折率を示す。また、上記比較例1〜4において得られた重合性組成物の成分組成(部)と共に、透明性、流動性、粘度及び動的光散乱法による平均粒子径を表3に示す。
Figure 0006072134
Figure 0006072134
Figure 0006072134
表1から表3に示す結果から明らかなように、微細な酸化ジルコニウム粒子が(メタ)アクリレート類中において、凝集、白濁、ゲル化等することなしに、安定に分散していると共に、高透明性と高屈折率と高流動性を有する重合性組成物を得ることができる。
これに対して、比較例1によれば、分散剤としてシランカップリング剤のみを用いて、酸化ジルコニウムの有機溶媒分散液に(メタ)アクリレートであるo−フェニルフェノールモノエトキシアクリレートを加え、攪拌しながら加熱下にメタノールを除去したので、酸化ジルコニウム粒子が凝集して、得られた混合物は白濁し、更に、粘度も上昇した。その結果、流動性を有する組成物を得ることはできなかった。
比較例2及び3においては、シランカップリング剤とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤の組み合わせからなる分散剤を用いたものの、シランカップリング剤の上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤に対する重量比が本発明において規定する範囲外にあるために、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液に重合性(メタ)アクリレートを加え、加熱下にメタノールを除去している間に、得られた混合物は増粘して、その結果、流動性を有する組成物を得ることはできなかった。
比較例4においては、分散剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤のみを用いたので、酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液に重合性(メタ)アクリレートを加え、加熱下にメタノールを除去している間に、得られた混合物は著しく増粘し、その結果、流動性を有する組成物を得ることはできなかった。

Claims (7)

  1. (a)酸化ジルコニウム粒子10〜70重量%と、
    (b)上記酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して8〜40重量部の分散剤と、
    (c)(メタ)アクリレート類と
    を含む重合性組成物であって、
    上記分散剤がシランカップリング剤とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤の組み合わせからなり、上記分散剤において、シランカップリング剤のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤に対する重量比が85/15〜30/70の範囲にある重合性組成物。
  2. 上記酸化ジルコニウム粒子が平均粒子径100nm以下のものである請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 上記分散剤を酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して10〜30重量部の範囲で含む請求項1に記載の重合性組成物。
  4. 1.55〜1.75の範囲の屈折率を有する請求項1から3のいずれかに記載の重合性組成物。
  5. (a)酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液に
    (b)分散剤と
    (c)(メタ)アクリレート類を加え、
    得られた混合物を攪拌下に加熱して、この混合物から上記有機溶媒を除去して、上記酸化ジルコニウム粒子10〜70重量%と、上記分散剤と、上記(メタ)アクリレート類とを含む重合性組成物の製造方法であって、
    上記分散剤がシランカップリング剤とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤の組み合わせからなり、
    上記分散剤において、シランカップリング剤のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルアニオン界面活性剤に対する重量比が85/15〜30/70の範囲にあり、
    上記分散剤を酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して8〜40重量部の範囲で用いる重合性組成物の製造方法。
  6. 上記酸化ジルコニウム粒子の有機溶媒分散液における上記酸化ジルコニウム粒子が平均粒子径100nm以下のものである請求項5に記載の重合性組成物の製造方法。
  7. 上記分散剤を酸化ジルコニウム粒子100重量部に対して10〜30重量部の範囲で用いる請求項5に記載の重合性組成物の製造方法。

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