JP6070582B2 - トランスアクスルのケース構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載されるトランスアクスルのケース構造に関し、車両用動力伝達装置の技術分野に属する。
一般的に、フロントエンジン・フロントドライブ方式(FF式)又はリヤエンジン・リヤドライブ方式(RR式)の車両には、エンジン等の駆動源に連結されたクラッチ又はトルクコンバータ等の発進装置と、該発進装置に連結された変速機と、該変速機と車軸を連結するディファレンシャル装置とをユニット化した横置き式のトランスアクスルが搭載される。
特許文献1には、FF式車両用のトランスアクスルが開示されている。このトランスアクスルは、エンジンに連結されたクラッチと、該クラッチに連結された手動変速機と、該手動変速機と車軸を連結するディファレンシャル装置とで構成されており、エンジンからの動力は、クラッチ、手動変速機及びディファレンシャル装置を介して車軸に伝達される。該トランスアクスルのケースは、前記クラッチを収容するクラッチハウジングと、前記手動変速機を収容するミッションケースとで構成されており、クラッチハウジングの一方の端面はエンジンのシリンダブロックに結合され、他方の端面はミッションケースの端面に結合されている。また、前記ディファレンシャル装置は、クラッチハウジングとミッションケースとで構成された収容部に収容されている。
一般に、トランスアクスルケースには、加速又は減速時に受ける荷重に対する剛性や、曲げに対する剛性を高めるために、多数のリブが設けられる。特に、前進低変速段又は後退段の加速又は減速時に、変速機の出力によって車軸を駆動するときの大きな反力がディファレンシャル装置を介してトランスアクスルケースにかかるため、この反力による荷重に対する剛性を高めるようなリブを設ける必要がある。
例えば、特許文献1のトランスアクスルケースの上部には、一対のリブがクラッチハウジングからミッションケースにかけて連続するように軸方向に延設されており、これにより、トランスアクスルケースの曲げに対する剛性が高められている。
また、このトランスアクスルケースのミッションケースには、ベアリングを介してディファレンシャル装置を支持するための支持穴の周囲部分において、放射状に延びる複数のリブ、支持穴と同心円の円弧状に延びるリブ、及び、一対の箱型リブが突設されており、これにより、ディファレンシャル装置を介して車軸から受ける荷重に対するミッションケースの剛性が高められている。
特開2012−026459号公報
しかしながら、特許文献1のトランスアクスルケースにおいて、クラッチハウジングとミッションケースとの間で連係が図られた上記一対のリブは、車軸から遠い位置において車軸に略平行に配設されたものであり、加速又は減速時に車軸から受ける大きな反力に対処するものではない。
上述したように、特許文献1のトランスアクスルケースにおいて、車軸から受ける反力に対するミッションケースの剛性は、放射状リブ、同心円状リブ及び箱型リブによって確保されており、クラッチハウジングについては、図示されていないが、ミッションケースとは個別に設けられたリブによって上記反力に対する剛性が確保されているものと考えられる。つまり、車軸から受ける反力に対する剛性の確保に関して、従来は、特許文献1の構成を含めて、トランスアクスルケースを構成するケース毎に個別に図られているため、各ケースにおいて、リブの個数が多くなったり、リブが大型化したりする傾向があり、ケースの重量の増大を招く問題がある。
そこで、本発明は、車軸が駆動されるときにディファレンシャル装置を介してトランスアクスルケースに作用する反力を解析し、この反力に対して所要の剛性を確保するためのリブ構造を鋭意研究し、極力簡素で効率的なリブ構造を実現することにより、トランスアクスルケースの軽量化、ひいては、トランスアクスル及び該トランスアクスルが搭載される車両の軽量化を図ることを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係るトランスアクスルのケース構造は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
エンジンに連結された発進装置を収容する発進装置ケースと、前記発進装置に連結された変速機構を収容する変速機ケースとを備え、前記発進装置ケースの一方の端面は前記エンジンに結合され、前記発進装置ケースの他方の端面は前記変速機ケースの端面に結合され、該発進装置ケースと変速機ケースとで構成された収容部に、前記変速機構の出力を車軸に伝達するディファレンシャル装置が収容されたトランスアクスルのケース構造であって、
前記発進装置ケースと前記エンジンとの合わせ面に、該発進装置ケースとエンジンとを締結する第1エンジン締結部及び第2エンジン締結部が、エンジン回転軸を挟んで互いに反対側に設けられ、
前記発進装置ケース及び前記変速機ケースに、前記ディファレンシャル装置を介して前記車軸を支持する支持穴がそれぞれ設けられ、
前記発進装置ケースにおける前記第1エンジン締結部から該発進装置ケースと前記変速機ケースとの合わせ面を越えて該変速機ケース側へ連続して延び、該変速機ケースにおける前記支持穴の周囲の領域のうち、前記変速機構の軸心から遠い側の領域を通って、該変速機ケースと前記発進装置ケースとの合わせ面を越えて該発進装置ケース側へ連続して延び、且つ、該発進装置ケースにおいて前記第2エンジン締結部まで連続して延びるように、リブが設けられたことを特徴とする。
ここで、「変速機構の軸心」とは、変速機構の出力部が設けられた軸の軸心を意味し、例えば、入力軸であるプライマリ軸と出力軸であるセカンダリ軸とを備えた変速機構においては、セカンダリ軸の軸心を「変速機構の軸心」という。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記発進装置ケースと前記変速機ケースとの合わせ面に、該両ケースを締結する複数の変速機ケース締結部が設けられ、
前記リブは、前記発進装置ケースと前記変速機ケースとの合わせ面を跨ぐ各部分において、前記複数の変速機ケース締結部のいずれか1つを通るように設けられていることを特徴とする。
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の発明において、
前記複数の変速機ケース締結部には、一部の変速機ケース締結部を除いて、所定の基準径を有するボルトが用いられ、
前記リブが通る変速機ケース締結部には、前記基準径よりも大径のボルトが用いられることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、
前記リブは、前記変速機ケースを通る部分において、前記支持穴の周縁における前記変速機構の軸心から遠い側の部分に沿うように弓形に湾曲した形状を有することを特徴とする。
さらに、請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、
前記リブにおける前記発進装置ケースを通る各部分は、該発進装置ケースと前記変速機ケースとの合わせ面に対して、該リブの前記弓形部分の端部の傾きに続くような傾きで延設されていることを特徴とする。
さらにまた、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、
前記変速機ケースは、前記支持穴の周縁部から該変速機ケースと前記発進装置ケースとの合わせ面の縁部まで拡がる支持面部を備え、
前記リブは、前記支持面部を通るように設けられていることを特徴とする。
まず、請求項1に記載の発明によれば、変速機ケースと発進装置ケースとに跨がって連続して延びるリブが、変速機ケースにおける支持穴の周囲の領域のうち、変速機構の軸心から遠い側の領域を通るとともに、該リブの両端は発進装置ケースとエンジンとの締結部に位置するため、ディファレンシャル装置を介して支持穴に支持された車軸が駆動されるときにトランスアクスルケースに作用する反力は、前記リブを介して、発進装置ケースとエンジンとの締結部によって効率的に受けられる。したがって、前記反力に対するトランスアクスルケースの剛性が1本の前記リブによって効果的に高められるため、その他のリブを削減ないし縮小することができ、これにより、極力簡素で効率的なリブ構造を実現することができる。よって、トランスアクスルケースの重量を効果的に低減することができ、これにより、トランスアクスル及び該トランスアクスルが搭載される車両の軽量化を図ることができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、上記のリブが2つの変速機ケース締結部を通るように設けられることで該リブの剛性が高められるため、請求項1の発明の効果を高めることができる。
さらに、請求項3に記載の発明を請求項2に記載の発明に適用すれば、所定の基準径よりも大径のボルトが用いられる変速機ケース締結部を通るように上記リブが設けられるため、該リブの剛性を更に高めることができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、変速機ケースを通る部分においてリブが折れ曲がることなく弓形に湾曲して形成されることにより、該リブの強度が高められるため、請求項1の発明の効果を更に高めることができる。さらに、このリブの弓形部分は、支持穴の周縁における変速機構の軸心から遠い側の部分に沿うように設けられるため、支持穴の径方向外側に向かって作用する反力をリブの弓形部分で確実に受けることができる。
さらに、請求項5に記載の発明によれば、発進装置ケースを通るリブ部分が、該発進装置ケースと前記変速機ケースとの合わせ面に対して、該変速機ケースを通るリブの弓形部分の端部の傾きに続くような傾きで延設されていることにより、リブの弓形部分で受けた駆動力の反力が、発進装置ケースを通るリブ部分へ効率よく伝達されて、この反力を発進装置ケースとエンジンとの締結部において効率的に受けることができる。
さらにまた、請求項6に記載の発明によれば、変速機ケースにおける支持穴の周縁部から発進装置ケースとの合わせ面の縁部まで拡がる部分を面状の支持面部で構成することで、変速機ケースの軽量化を図りつつ、該支持面部にかかる駆動力の反力がリブによって受けられるため、支持面部の剛性を良好に確保することができる。
本発明の一実施形態に係るトランスアクスルのケース構造を斜め上方から見た斜視図である。 同ケース構造を斜め下方から見た斜視図である。 同ケース構造を構成するクラッチハウジングとエンジンとの締結部を軸方向エンジン側から見た側面図である。 同ケース構造を軸方向反エンジン側から見た側面図である。 同ケース構造の底面図である。 図1のA−A線断面図である。 図2のB−B線断面図である。 図4のC−C線断面図である。 図4のD−D線断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るケース構造が適用されるトランスアクスル4を車両後方側の斜め上方から見た斜視図であり、図2は、同トランスアクスル4を車両前方側の斜め下方から見た斜視図である。
図1及び図2に示すように、トランスアクスル4は、フロントエンジン・フロントドライブ方式(FF式)のエンジン自動車用の横置き式のトランスアクスルであり、車幅方向に延びるエンジン回転軸3(図3参照)を有するエンジン1に車幅方向に並設されている。トランスアクスル4は、エンジン回転軸3に連結されたクラッチ(発進装置)5と、該クラッチ5に連結された手動変速機(変速機構)6と、該手動変速機6の出力を車軸(図示せず)に伝達するディファレンシャル装置7とで構成されている。
ただし、本発明は、トランスアクスルの変速機構が手動変速機で構成される場合に限られず、例えば自動変速機または無段変速機で構成される場合にも適用される。また、本発明は、トランスアクスルの発進装置がクラッチで構成される場合に限られず、例えばトルクコンバータで構成される場合にも適用される。
トランスアクスル4のケース(トランスアクスルケース)10は、クラッチ5を収容するクラッチハウジング(発進装置ケース)11と、手動変速機6を収容するミッションケース(変速機ケース)12とで構成されている。
クラッチハウジング11は、軸方向両端部が開口した概略筒状のケースである。ミッションケース12は、軸方向においてクラッチハウジング11を挟んでエンジン1とは反対側に配設されており、該ミッションケース12の軸方向エンジン側の端部は開口している。ミッションケース12は、手動変速機6を収容する変速機構収容部34を備え、該変速機構収容部34の反エンジン側端面には、ベアリングを介して手動変速機6の入力軸であるプライマリ軸(図示せず)を支持するプライマリ軸支持部32と、ベアリングを介して手動変速機6の出力軸であるセカンダリ軸(図示せず)を支持するセカンダリ軸支持部33とが設けられている。
クラッチハウジング11の一方の端面21はエンジン1のシリンダブロック2にボルトの締結により結合され、クラッチハウジング11の他方の端面22はミッションケース12のエンジン側端面31にボルトの締結により結合されている。
図3は、クラッチハウジング11とシリンダブロック2との合わせ面に設けられた複数の締結部E1〜E8を軸方向エンジン側から見た側面図である。なお、図3において、シリンダブロック2は、その輪郭及びエンジン回転軸3のみが図示されている。
図3に示すように、クラッチハウジング11とシリンダブロック2とを締結する上記複数の締結部E1〜E8には、ボルト51が用いられる第1エンジン締結部E1と、ボルト52が用いられる第2エンジン締結部E2とが含まれる。なお、図3において、上記複数の締結部E1〜E8のうち、第1エンジン締結部E1及び第2エンジン締結部E2以外の締結部E3〜E8に用いられるボルトの図示は省略されている。
第1エンジン締結部E1は、エンジン回転軸3の斜め後上方に配置され、第2エンジン締結部E2は、エンジン回転軸3の斜め前下方に配置されている。すなわち、第1エンジン締結部E1及び第2エンジン締結部E2は、エンジン回転軸3を挟んで互いに反対側に設けられている。
図3及び図6に示すように、第1エンジン締結部E1において、ボルト51はエンジン側から差し込まれ、該ボルト51の先端側がクラッチハウジング11の端面21に設けられたねじ穴80にねじ込まれることで、このボルト51によって、クラッチハウジング11とシリンダブロック2とが例えばプレート部材90を介して締結される。
図3及び図7に示すように、第2エンジン締結部E2において、ボルト52はエンジン側から差し込まれ、該ボルト52の先端側がクラッチハウジング11の端面21に設けられたねじ穴81にねじ込まれることで、このボルト52によって、クラッチハウジング11とシリンダブロック2とが例えばプレート部材91を介して締結される。
図4は、トランスアクスル4を軸方向反エンジン側から見た側面図であり、図5はトランスアクスル4の底面図である。
図4及び図5に示すように、クラッチハウジング11とミッションケース12とは、これらの合わせ面に設けられた複数のミッションケース締結部において、ミッションケース12側から差し込まれる複数のボルト61〜64,66を用いて締結される。
クラッチハウジング11とミッションケース12との締結に用いられるボルト66は、一部のボルト61〜64を除いて、所定の基準径を有する比較的小径のボルトであり、残りのボルト61〜64は、基準径よりも大径のボルトである。具体的には、基準径を有するボルト66として、例えばM8ボルトが用いられ、基準径よりも大径のボルト61〜64として、例えばM10ボルトが用いられる。
図8は、クラッチハウジング11において基準径よりも大径のボルト61によってミッションケース12に締結される第1ミッションケース締結部T1、及びその周辺部を示す断面図である。図8に示すように、第1ミッションケース締結部T1では、ミッションケース12側から差し込まれたボルト61の先端側が、クラッチハウジング11の端面22に設けられたねじ穴92にねじ込まれることで、このボルト61によって、クラッチハウジング11とミッションケース12とが締結される。
図9は、クラッチハウジング11において基準径よりも大径のボルト62によってミッションケース12に締結される第2ミッションケース締結部T2、及びその周辺部を示す断面図である。図9に示すように、第2ミッションケース締結部T2では、ミッションケース12側から差し込まれたボルト62の先端側が、クラッチハウジング11の端面22に設けられたねじ穴93にねじ込まれることで、このボルト62によって、クラッチハウジング11とミッションケース12とが締結される。
図1〜図5に示すように、ディファレンシャル装置7は、クラッチハウジング11とミッションケース12とで構成されたデフ収容部40に収容されている。具体的に、デフ収容部40は、ミッションケース12に設けられたデフ支持面部36と、該デフ支持面部36に結合されるようにクラッチハウジング11に設けられた例えば椀状のデフ支持部26とで構成されている。
ミッションケース12のデフ支持面部36は、軸方向に略直角な面に沿って配置されており、デフ支持面部36の輪郭は半楕円形となっている。ミッションケース12には、デフ支持面部36から軸方向外側に突出した筒状突出部38が設けられ、該筒状突出部38の内側に、ディファレンシャル装置7のデフケース(図示せず)及びベアリング(図示せず)を介して車軸(図示せず)を支持する支持穴37が形成されている。すなわち、デフ支持面部36は、支持穴37の周縁からクラッチハウジング11のデフ支持部26との合わせ面の縁部まで面状に拡がるように形成されている。なお、図3に示すように、クラッチハウジング11のデフ支持部26にも、デフ支持面部36の支持穴37と同様に車軸(図示せず)を支持する支持穴27が形成されている。
ところで、デフ支持面部36には、加速又は減速時に車軸から前記デフケース及びベアリングを介して反力がかかるため、この反力に対する剛性を確保し得るリブ構造が必要となる。具体的に、デフ支持面部36には、低変速段の加速時において斜め前下方への大きな反力がかかり、低変速段の減速時または後退段の加速時において斜め後上方への大きな反力がかかる。そこで、本願発明者は、かかる反力の具体的な方向や大きさを解析するとともに、CAE技術を用いた位相最適化手法により、クラッチハウジング11とミッションケース12とが一体の部品であると仮定した場合に、前記反力に対する該一体部品の剛性を効率的に高め得る以下のリブ構造を見出した。
以下、本実施形態に係るトランスアクスルケース10のリブ構造について具体的に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態において、車軸からデフ支持面部36にかかる反力に対する剛性は、クラッチハウジング11とミッションケース12とに跨がって連続して延びる1本のリブ70によって効率的に確保されている。
具体的に、リブ70は、クラッチハウジング11における第1エンジン締結部E1から該クラッチハウジング11とミッションケース12との合わせ面22,31を越えてミッションケース12側へ連続して延び、該ミッションケース12における支持穴37の周囲の領域のうち、手動変速機6のセカンダリ軸(図示せず)の軸心から遠い側の領域を通って、再び、ミッションケース12とクラッチハウジング11との合わせ面22,31を越えてクラッチハウジング11側へ連続して延び、且つ、該クラッチハウジング11において第2エンジン締結部E2まで連続して延びるように設けられている。
このような形状を有するリブ70は、第1エンジン締結部E1から合わせ面22,31まで延びるようにクラッチハウジング11の外側の面を通る第1リブ部L1と、合わせ面22,31から第2エンジン締結部E2まで延びるようにクラッチハウジング11の外側の面を通る第2リブ部L2と、第1リブ部L1と第2リブ部L2とを繋ぐようにミッションケース12の外側の面を通る第3リブ部L3とを備えている。
図1及び図4に示すように、第1リブ部L1は、第1エンジン締結部E1から第1ミッションケース締結部T1まで車幅方向反エンジン側且つ後下方に向かって斜めに直線的に延設されている。また、図2及び図5に示すように、第2リブ部L2は、第2ミッションケース締結部T2から車幅方向エンジン側且つ前方に向かって斜めに直線的に延設されて、エンジン側の端面21を構成する厚肉のフランジ28に合流し、該フランジ28と第2リブ部L2とが一体化されることで、リブ機能を兼ね備えたフランジ部28aが、前記合流部から第2エンジン締結部E2まで延びるように形成されている。
このように、第1リブ部L1の一端が第1ミッションケース締結部T1に配置され、第2リブ部L2の一端が第2ミッションケース締結部T2に配置されていることにより、リブ70は、クラッチハウジング11とミッションケース12との合わせ面22,31を跨ぐ各部分において、第1ミッションケース締結部T1及び第2ミッションケース締結部T2を通る構成となっている。このように2つのミッションケース締結部T1,T2を通るように設けられることで、リブ70の剛性が高められている。しかも、これらのミッションケース締結部T1,T2では、基準径よりも大径のボルト61,62が用いられることにより強固に締結されているため、これらの締結部T1,T2を通るリブ70の剛性は、より効果的に高められている。
図1及び図4に示すように、第3リブ部L3は、ミッションケース12のデフ支持面部36を通るように設けられ、該デフ支持面部36において支持穴37の周縁における前記セカンダリ軸の軸心から遠い側の部分に沿うように弓形に湾曲した形状を有する。このように折れ曲がることなく弓形に湾曲して形成されていることにより、第3リブ部L3は高い強度を有する。
第3リブ部L3は、支持穴37の近傍を通る小曲率部L3aと、該小曲率部L3aよりも大きな曲率半径を有し該小曲率部L3aと第1ミッションケース締結部T1とを繋ぐ第1大曲率部L3bと、小曲率部L3aよりも大きな曲率半径を有し該小曲率部L3aと第2ミッションケース締結部T2とを繋ぐ第2大曲率部L3cとを備えている。
なお、デフ支持面部36には、リブ70の第3リブ部L3以外にも、膜振動防止用のリブや、剛性を更に高めるためのリブ等が設けられてもよい。
図4に示すように、車両側面視において、第1大曲率部L3bは、第1リブ部L1に連続するような緩やかな円弧状に形成されている。また、図2及び図5に示すように、下方から見て、第2大曲率部L3cは、第2リブ部L2に連続するような緩やかな円弧状に形成されている。逆に言えば、第1リブ部L1及び第2リブ部L2は、クラッチハウジング11とミッションケース12との合わせ面22,31に対して、第3リブ部L3の端部を構成する第1大曲率部L3b及び第2大曲率部L3cの傾きに続くような傾きで延設されている。
以上のようなリブ構造によれば、クラッチハウジング11とミッションケース12とに跨がって連続して延びるリブ70が、ミッションケース12における支持穴37の周囲の領域のうち、手動変速機6のセカンダリ軸の軸心から遠い側の領域を通るとともに、該リブ70の両端はクラッチハウジング11とシリンダブロック2との締結部E1,E2に位置するため、ディファレンシャル装置7を介して支持穴37に支持された車軸が駆動されるときにミッションケース12に作用する反力は、前記リブ70を介して、前記締結部E1,E2によって効率的に受けられる。したがって、前記反力に対するトランスアクスルケース10の剛性が1本の前記リブ70によって効果的に高められるため、その他のリブを削減ないし縮小することができ、これにより、極力簡素で効率的なリブ構造を実現することができる。よって、トランスアクスルケース10の重量を効果的に低減することができ、これにより、トランスアクスル4の軽量化、ひいては車両の軽量化を図ることができる。
また、リブ70における弓形の第3リブ部L3は、支持穴37の周縁におけるセカンダリ軸の軸心から遠い側の部分に沿うように設けられるため、加速または減速時に支持穴37の径方向外側に向かって斜め上後方または前下方に作用する反力を第3リブ部L3で確実に受けることができる。
さらに、第1リブ部L1及び第2リブ部L2が、クラッチハウジング11とミッションケース12との合わせ面22,31に対して、第3リブ部L3の端部の傾きに続くような傾きで延設されていることにより、第3リブ部L3で受けた駆動力の反力が、第1リブ部L1及び第2リブ部L2へ効率よく伝達されて、この反力を2つのエンジン締結部E1,E2において効率的に受けることができる。
また、本実施形態によれば、ミッションケース12における支持穴37の周縁部からクラッチハウジング11との合わせ面31の縁部まで拡がる部分が面状のデフ支持面部36で構成されていることにより、ミッションケース12の軽量化を図ることができる。しかも、このように面状に形成されたデフ支持面部36の剛性は、以上のように構成されたリブ70によって良好に確保されている。したがって、支持穴37の周囲において、従来設けられていたような放射状、同心円状または箱型のリブ等を省略または削減することができ、ミッションケース12の軽量化を有効に実現することができる。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
以上のように、本発明によれば、2つのケースを結合してなるトランスアクスルケースの軽量化、ひいては、トランスアクスル及び該トランスアクスルが搭載される車両の軽量化を図ることが可能となるから、トランスアクスルの製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
1 エンジン
2 シリンダブロック
3 エンジン回転軸
4 トランスアクスル
10 トランスアクスルケース
11 クラッチハウジング(発進装置ケース)
12 ミッションケース(変速機ケース)
21 クラッチハウジングにおけるエンジンとの合わせ面
22 クラッチハウジングにおけるミッションケースとの合わせ面
26 クラッチハウジングにおけるデフ支持部
27 クラッチハウジングの支持穴
31 ミッションケースにおけるクラッチハウジングとの合わせ面
32 プライマリ軸支持部
33 セカンダリ軸支持部
36 デフ支持面部
37 ミッションケースの支持穴
61〜64 大径のボルト
66 基準径のボルト
70 リブ
E1 第1エンジン締結部
E2 第2エンジン締結部
L1 第1リブ部
L2 第2リブ部
L3 第3リブ部
T1 第1ミッションケース締結部
T2 第2ミッションケース締結部

Claims (6)

  1. エンジンに連結された発進装置を収容する発進装置ケースと、前記発進装置に連結された変速機構を収容する変速機ケースとを備え、前記発進装置ケースの一方の端面は前記エンジンに結合され、前記発進装置ケースの他方の端面は前記変速機ケースの端面に結合され、該発進装置ケースと変速機ケースとで構成された収容部に、前記変速機構の出力を車軸に伝達するディファレンシャル装置が収容されたトランスアクスルのケース構造であって、
    前記発進装置ケースと前記エンジンとの合わせ面に、該発進装置ケースとエンジンとを締結する第1エンジン締結部及び第2エンジン締結部が、エンジン回転軸を挟んで互いに反対側に設けられ、
    前記発進装置ケース及び前記変速機ケースに、前記ディファレンシャル装置を介して前記車軸を支持する支持穴がそれぞれ設けられ、
    前記発進装置ケースにおける前記第1エンジン締結部から該発進装置ケースと前記変速機ケースとの合わせ面を越えて該変速機ケース側へ連続して延び、該変速機ケースにおける前記支持穴の周囲の領域のうち、前記変速機構の軸心から遠い側の領域を通って、該変速機ケースと前記発進装置ケースとの合わせ面を越えて該発進装置ケース側へ連続して延び、且つ、該発進装置ケースにおいて前記第2エンジン締結部まで連続して延びるように、リブが設けられたことを特徴とするトランスアクスルのケース構造。
  2. 前記発進装置ケースと前記変速機ケースとの合わせ面に、該両ケースを締結する複数の変速機ケース締結部が設けられ、
    前記リブは、前記発進装置ケースと前記変速機ケースとの合わせ面を跨ぐ各部分において、前記複数の変速機ケース締結部のいずれか1つを通るように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のトランスアクスルのケース構造。
  3. 前記複数の変速機ケース締結部には、一部の変速機ケース締結部を除いて、所定の基準径を有するボルトが用いられ、
    前記リブが通る変速機ケース締結部には、前記基準径よりも大径のボルトが用いられることを特徴とする請求項2に記載のトランスアクスルのケース構造。
  4. 前記リブは、前記変速機ケースを通る部分において、前記支持穴の周縁における前記変速機構の軸心から遠い側の部分に沿うように弓形に湾曲した形状を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のトランスアクスルのケース構造。
  5. 前記リブにおける前記発進装置ケースを通る各部分は、該発進装置ケースと前記変速機ケースとの合わせ面に対して、該リブの前記弓形部分の端部の傾きに続くような傾きで延設されていることを特徴とする請求項4に記載のトランスアクスルのケース構造。
  6. 前記変速機ケースは、前記支持穴の周縁部から該変速機ケースと前記発進装置ケースとの合わせ面の縁部まで拡がる支持面部を備え、
    前記リブは、前記支持面部を通るように設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のトランスアクスルのケース構造。
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