JP6069450B1 - 車両用保護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】対応可能な衝突形態を増やす。【解決手段】車両保護装置2は、エアバッグ51およびインフレータ52を有するエアバッグモジュール50と、エアバッグモジュール50を、所定の軌道に沿って移動可能に車体に取り付けるアクチュエータ61と、を有する。エアバッグモジュール50は、アクチュエータ61により移動された状態で展開できる、【選択図】図2

Description

本発明は、車両用保護装置に関する。
自動車といった車両には、各種の車両用保護装置が設けられる。
たとえば特許文献1は、シートに着座した乗員の前側で展開されるフロントエアバッグ、乗員の外側で展開されるカーテンエアバッグを開示する。
これにより、たとえば自動車が他の自動車などと衝突する際に、シートに着座した乗員の前側でフロントエアバッグを展開させ、展開したフロントエアバッグに対して前へ倒れた乗員を支えることができる。乗員を保護することが可能である。
特開2014−151676号公報
しかしながら、このように車両において複数のエアバッグを展開させるようにしたとしても、想定外の衝突が発生した場合には、倒れる乗員がエアバッグに当たらなかったり、エアバックが乗員の荷重を十分に受け止めることができなかったりする可能性がある。
そして、このように想定外の衝突形態に対応しようとする場合、さらにエアバッグを追加することが考えられる。しかしながら、車両には既に、上述したようにフロントエアバッグやカーテンエアバッグが設けられており、追加したエアバッグを展開させるスペースが確保できない可能性もある。
このように、車両用保護装置では、エアバッグを追加しなくとも、対応可能な衝突形態を増やすことが求められている。
本発明に係る第一の車両用保護装置は、エアバッグおよび前記エアバッグを展開させるインフレータを有するエアバッグモジュールと、車体に設けられるベンチシートの上側において車体幅方向に沿って設けられ、前記エアバッグモジュールが長手方向に沿って移動可能に取り付けられる長尺レールと、前記エアバッグモジュールを、前記長尺レールに沿って移動可能に車体に取り付けるアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御部と、を有し、前記エアバッグモジュールは、前記アクチュエータにより移動された状態で展開できる。
好適には、前記制御部は、前記ベンチシートに三人の乗員が乗車している場合には、前記エアバッグを展開する前に前記エアバッグモジュールを車体幅方向の端部から1/3の位置となるように前記アクチュエータを制御し、前記ベンチシートの外側のみに小柄の乗員が乗車している場合には、前記エアバッグモジュールを乗員の体格に応じた位置となるように前記アクチュエータを制御し、前記エアバッグモジュールは、前記アクチュエータにより移動された状態で展開できる、とよい。
本発明に係る第二の車両用保護装置は、エアバッグおよび前記エアバッグを展開させるインフレータを有するエアバッグモジュールと、車体のステアリングサポートビームに車体幅方向に沿って延在するように設けられ、前記エアバッグモジュールが長手方向に沿って移動可能に取り付けられる長尺レールと、前記エアバッグモジュールを、前記長尺レールに沿って移動可能に車体に取り付けるアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御部と、を有し、前記エアバッグモジュールは、前記アクチュエータにより移動された状態で展開できる。
好適には、前記制御部は、フルラップ衝突を予想した場合には、前記エアバッグモジュールをシートの正面の位置となるように前記アクチュエータを制御し、オフセット衝突またはオブリーク衝突を予想した場合には、衝突予定角度である衝撃入力方向または乗員が倒れる方向に前記エアバッグが展開されるように前記アクチュエータを制御し、前記エアバッグモジュールは、前記アクチュエータにより移動された状態で展開できる、とよい。
好適には、前記制御部は、衝撃による乗員の倒れ方向と前記エアバッグの初期展開方向との一致度を予測し、衝突予定角度である衝撃入力方向または乗員が倒れる方向に前記エアバッグが展開するように、前記アクチュエータによる前記エアバッグモジュールの移動量を調整する、とよい。
本発明に係る第三の車両用保護装置は、エアバッグおよび前記エアバッグを展開させるインフレータを有するエアバッグモジュールと、前記エアバッグモジュールを、所定の軌道に沿って移動可能に車体に取り付けるアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御部と、を有し、前記制御部は、衝撃による乗員の倒れ方向と前記エアバッグの初期展開方向との一致度を予測し、衝突予定角度である衝撃入力方向または乗員が倒れる方向に前記エアバッグが展開するように、前記アクチュエータによる前記エアバッグモジュールの移動量を調整し、前記エアバッグモジュールは、前記アクチュエータにより移動された状態で展開できる。
好適には、前記エアバッグを展開する際に前記エアバッグモジュールの移動をロックするロック機構、を有し、前記エアバッグモジュールは、前記アクチュエータにより移動されて前記ロック機構によりロックされた状態で展開できる、とよい。
好適には、前記制御部は、衝突形態の予測に用いる入力情報、衝突時の入力情報、または車内状況の入力情報に基づいて、衝突形態を判断し、前記車体の内外状況を示す入力情報に基づいて、衝突予想、衝突前の車内状況、衝突中の衝突状態、および衝突中の車内状況、の中の少なくとも1つの衝突形態を判断し、前記衝突形態の判断結果に基づいて、前記エアバッグモジュールの移動要否または移動量を判断し、前記エアバッグモジュールの移動が必要である場合に、前記アクチュエータにより前記エアバッグモジュールを移動駆動させる、とよい。
好適には、前記制御部は、衝突予測時に、または乗員の着座位置を判断した時に、前記エアバッグモジュールを移動駆動させる、とよい。
好適には、前記制御部は、乗員の特定部位に対して前記エアバッグが展開するように、前記エアバッグモジュールを移動駆動させる、とよい。
好適には、前記アクチュエータは、前記車体に設けられたシートへの着座により変位する変位部材と、前記変位部材の変位を入力として前記エアバッグモジュールを移動させるワイヤ又はリンク機構と、を有する、とよい。
本発明では、エアバッグモジュールは、アクチュエータにより移動された状態で展開できる。よって、移動することにより、1つのエアバッグモジュールで複数の衝突形態に好適に対応することが可能になる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両保護装置が適用される自動車の構造を模式的に示す説明図である。 図2は、第1実施形態に係る車両保護装置の基本構成の説明図である。 図3は、図2の車両保護装置の構成要素の配置の説明図である。 図4は、図2の制御部によるエアバッグモジュールの移動駆動処理の流れを示すフローチャートである。 図5は、第2実施形態の車両保護装置の構成要素の配置の説明図である。 図6は、第3実施形態に係る車両保護装置の基本構成の説明図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両保護装置2が適用される自動車1の構造を模式的に示す説明図である。
自動車1は、車両の一種である。自動車1の車体の前後方向中央部には、乗員が乗車する乗員室が形成される。車体の前部には、燃料エンジンなどを配置するための前室が形成される。車体の後部には、荷室などとして用いることができる後室が形成される。
乗員室は、略四角形のフロアパネル11、フロアパネル11の前角に立設される一対のAピラー12、フロアパネル11の前後方向中央に立設される一対のBピラー13、フロアパネル11の後角に立設される一対のCピラー14、を有する。Aピラー12の上端とCピラー14の上端とは、ルーフレール15により連結される。Bピラー13の上端は、ルーフレール15の前後方向中央に接合される。左右一対のルーフレール15の間には、略四角形のルーフパネル16が接合される。
フロアパネル11の前縁と一対のAピラー12の下部との間にはトーボード17が配置され、トーボード17の上側にはダッシュボード18が配置される。ダッシュボード18、一対のAピラー12の上部、およびルーフパネル16の前縁に囲われるように、フロントガラス19が嵌め込まれる。一対のCピラー14の上部の間には、リアガラス20が嵌め込まれる。
前後方向に並ぶAピラー12とBピラー13との間には、Aピラー12に回転可能に支持される前ドアが配置される。Bピラー13とCピラー14との間には、Bピラー13に回転可能に支持される後ドアが配置される。フロアパネル11の左右幅方向両縁には、一対のサイドシル21が接合される。
このように、自動車1の乗員室は、略立方体形状の箱型の空間となる。
また、フロアパネル11の左右幅方向中央には、乗員室内へ突出するように前後方向へ延在するセンタートンネル22が形成される。センタートンネル22の下側には、たとえば燃料エンジンの駆動力を後輪へ伝達するためのドライブシャフトが配置される。
フロアパネル11の前部には、フロントシートとして、ドライバが着座するドライバシート23、ナビゲータが着座するナビゲーションシート24が左右幅方向に並べて取り付けられる。ドライバシート23は、座部41と背部42とを有する。ナビゲーションシート24は、座部41と背部42とを有する。ドライバシート23の座部41とナビゲーションシート24の座部41との間にセンタートンネル22が位置する。センタートンネル22の上には、シフトレバー25、サイドブレーキレバー、内装部材としてのコンソールボックス26などが取り付けられる。
ドライバシート23およびナビゲーションシート24の前には、左右幅方向へ延在するダッシュボード18が位置する。ドライバシート23の前には、ダッシュボード18から後向きに突出して設けられたステアリングホイール27が位置する。
フロアパネル11の後部には、リアシートとして、複数の乗員が着座できるベンチシート28が取り付けられる。ベンチシート28は、座部41と背部42とを有する。ベンチシート28は、フロアパネル11と同等の左右幅を有する。ベンチシート28には、通常3名までの乗員が着座することが可能である。
ところで、自動車1では、衝突時に乗員等を保護するための車両保護装置2が用いられる。
図2は、第1実施形態に係る車両保護装置2の基本構成の説明図である。
車両保護装置2は、エアバッグモジュール50、アクチュエータ61、制御部71、を有する。
エアバッグモジュール50は、エアバッグ51、インフレータ52、モジュールベース53、を有する。
エアバッグ51は、たとえば布を袋状に縫製したものである。
インフレータ52は、火薬および高圧ガスを収容する小型のタンクである。インフレータ52は、エアバッグ51と連結される。
モジュールベース53は、たとえば金属板である。モジュールベース53に、エアバッグ51、インフレータ52が固定される。
そして、エアバッグ51は、モジュールベース53から所定の展開方向へ展開する。
アクチュエータ61は、移動機構62、駆動モータ66、リンク機構67、ロック機構68、を有する。
移動機構62は、車体に対してエアバッグモジュール50を移動可能に取り付ける。移動機構62は、たとえば車体に固定される長尺レール63を有する。エアバッグモジュール50は、長尺レール63に対して、長尺レール63の長手方向に沿って移動可能に取り付けられる。
駆動モータ66は、たとえば直流モータである。駆動モータ66は、たとえば車体に取り付けられる。
リンク機構67は、たとえばワイヤとボビンである。ボビンは、駆動モータ66に取り付けられる。ワイヤは、一端がエアバッグモジュール50のモジュールベース53に固定され、他端がボビンに固定される。これにより、駆動モータ66の駆動力によりエアバッグモジュール50は長尺レール63に沿って移動駆動される。なお、リンク機構67は、複数のギア等で構成されてもよい。
ロック機構68は、エアバッグ51を展開する際にエアバッグモジュール50の移動をロックする機構である。ロック機構68は、たとえばエアバッグモジュール50のモジュールベース53に設けられたフックであり、エアバッグ51を展開する前にこのフックを長尺レール63に掛けてエアバッグモジュール50の移動を阻止する。これにより、エアバッグモジュール50は、駆動モータ66により移動駆動された位置において、エアバッグ51を展開することができる。
図3は、図2の車両保護装置2の構成要素の配置の説明図である。
アクチュエータ61の長尺レール63は、ベンチシート28の上側において車体幅方向に沿って延在するルーフクロスメンバ30
に固定される。ルーフクロスメンバ30の両端は、一対のルーフレール15に固定される。そして、エアバッグモジュール50は、下向き取り付けられる。エアバッグモジュール50の初期位置は、たとえばルーフクロスメンバ30の車体幅方向の端部から、車体幅方向の長さの1/3の位置である。この初期位置で、エアバッグモジュール50は、ベンチシート28の中央の着座位置と、外側の着座位置との間の上方に位置する。また、エアバッグモジュール50は、駆動モータ66に駆動されることで、初期位置から車体幅方向へ移動できる。
エアバッグ51は、上下方向に長い略立方体形状を有する。立方体形状のエアバッグ51は、エアバッグモジュール50が初期位置から左方向または右方向へ移動された場合でも、ベンチシート28に向かって展開することができる。
また、天井のルーフカバー31には、複数の破断部81が設けられる。複数の破断部81は、エアバッグモジュール50の移動方向に沿って、車体幅方向に並べで設けられる。これにより、ルーフカバー31の内側で展開されるエアバッグ51は、ルーフカバー31の破断部81を選択的に突き破って、ルーフカバー31から下へ展開することができる。
以下、この本実施形態のエアバッグ51をルーフエアバッグ51ともよぶ。ルーフエアバッグ51は、乗員のたとえば肩といった特定部位に対して展開するものである。
制御部71は、たとえばマイクロコンピュータ装置である。マイクロコンピュータ装置は、CPU、ROM、RAM、入出力ポート、これらを接続するシステムバスを有する。ROMは、車両保護装置2の動作を制御するためのプログラムを記憶する。CPUは、このプログラムをRAMに読み込み、実行する。これにより、マイクロコンピュータ装置は、車両保護装置2の制御部71として機能する。
入出力ポートには、インフレータ52、駆動モータ66、ロック機構68、各種の検出部、が接続される。検出部には、たとえば乗員室から車体の前方といった車外を撮像する車外カメラ72、車内を撮像する車内カメラ73、加速度センサ74、車速センサ75、操舵角センサ76、がある。制御部71は、これら検出部からの入力情報に基づいて、車両保護装置2の動作を制御する。制御部71は、たとえばアクチュエータ61によるエアバッグモジュール50の移動駆動を制御する。
次に、車両保護装置2の動作について説明する。
図4は、図2の制御部71によるエアバッグモジュール50の移動駆動処理の流れを示すフローチャートである。制御部71は、図4の処理を周期的に実施する。
制御部71は、衝突前に、入出力ポートに入力される車体の内外状況を示す入力情報に基づいて、衝突形態を予測判断する(ステップST1)。
ここで、車体の内外状況を示す入力情報には、たとえば車外の撮像画像といった衝突形態の予測に用いる入力情報、衝突時の入力情報、車内の撮像画像といった車内状況の入力情報がある。
また、衝突形態としては、たとえばフルラップ衝突、オフセット衝突、オブリーク衝突、側面衝突、がある。フルラップ衝突は、たとえば対向車と車幅全体で正面衝突することである。オフセット衝突は、たとえば対向車とずれた状態で正面衝突することである。オブリーク衝突は、さらにずれた状態で対向車と正面衝突することである。側面衝突は、車体の側面に他の自動車1が衝突することである。そして、衝突形態の違いにより、衝突時の車体の挙動および乗員の挙動が変化する。
このため、衝突前の衝突形態の予測判断において、制御部71は、まず、車体の内外状況を示す入力情報に基づいて、衝突形態を予測判断する。
たとえば、制御部71は、車外の撮像画像から、先行車、対向車、構造物との相対位置および相対速度を予測し、さらにエアバッグ51の初期展開方向と衝撃入力方向との一致度、衝撃値の大きさ、を予測する。
また、制御部71は、車内の撮像画像から、乗員の着座位置、乗員の体格若しくは体重を予測し、さらに衝撃による乗員の倒れ方向とエアバッグ51の初期展開方向との一致度、乗員と車体の内装部材との距離、を予測する。
このように、制御部71は、衝突形態を予測判断する。
なお、制御部71は、衝突前の通常時だけでなく、衝突中にもこれらの衝突形態の予測判断を実施してよい。
次に、制御部71は、予測した衝突形態に基づいて、エアバッグモジュール50の移動の要否および移動量を判断する(ステップST2)。ここで、移動量は、離散的な値であっても、連続的な値であってもよい。
たとえば予測した衝突形態が側面衝突である場合、制御部71は、ルーフエアバッグ51を有するエアバッグモジュール50の移動駆動の要否および移動量を判断する。
この場合、制御部71は、たとえばベンチシート28への乗員の乗車位置に基づいて、エアバッグモジュール50の移動駆動の要否および移動量を判断する。
たとえばベンチシート28に三人の乗員が乗車している場合、制御部71は、エアバッグモジュール50の移動を不要と判断する。
また、ベンチシート28の外側のみに小柄の乗員が乗車している場合、制御部71は、エアバッグモジュール50を移動させる必要があると判断する。制御部71は、乗員の体格に応じて、乗員の傍でエアバッグ51が展開するように移動量を判断する。
そして、エアバッグモジュール50の移動が必要である場合、制御部71は、ロック機構68を解除し、アクチュエータ61によりエアバッグモジュール50を駆動量で駆動させる(ステップST3)。これにより、たとえばベンチシート28に着座した乗員との間に隙間が形成されないようにエアバッグ51を展開できる。その後、制御部71は、ロック機構68を作動させる。これにより、エアバッグモジュール50は移動できない状態にロックされる。
エアバッグモジュール50の移動が必要でない場合、制御部71は、アクチュエータ61を駆動させることなく、処理を終了する。
このように衝突前にエアバッグモジュール50を適宜移動駆動するとともに、制御部71は、図4とは別の衝突判断処理により、衝突の発生を判断する。
衝突判断処理において、制御部71は、入出力ポートに入力される各種の検出情報に基づいて、衝突の発生を判断する。
そして、衝突が発生する場合、制御部71は、インフレータ52へ点火信号を出力する。制御部71は、エアバッグ51が最大サイズに展開するタイミングまたはその直前または直後のタイミングで乗員がエアバックに対して突入するように、インフレータ52へ点火信号を出力するタイミングを調整する。
エアバッグモジュール50は、インフレータ52に点火信号が入力されると、火薬を発火させ、高圧ガスをエアバッグ51へ吹き出す。これにより、エアバックが展開する。エアバッグ51は、高圧ガスの流入開始により展開を開始し、シートカバー43の破断部81を突き破り、その後に最大サイズに達し、さらに内圧が高まると、ガスの放出を開始してしぼむ。この展開したエアバッグ51に対して乗員が当たることにより、乗員が内装部品などに当たる場合と比べて、乗員を保護することができる。
また、衝突前にエアバッグモジュール50を適宜移動駆動し、乗員の体格に応じて乗員の傍でエアバッグ51を展開できる。
そして、たとえばベンチシート28に三人の乗員が乗車している場合、エアバッグ51は初期状態のままで展開される。よって、隣り合う二人の乗員の間にエアバッグ51を展開することができる。乗員同士が直接に当たらないようにできる。
また、ベンチシート28の外側のみに小柄の乗員が乗車している場合、エアバッグ51は移動駆動された状態で展開される。これにより、ベンチシート28の外側に着座する小柄の乗員と展開したエアバックとの隙間を減らしてエアバッグ51を展開できる。
以上のように、本実施形態では、ベンチシート28の上から展開するエアバッグ51を、乗員の体格などに応じて移動駆動する。よって、たとえばベンチシート28に着座している乗員の体格、人数および着座位置によらずに、乗員を支えることができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態の車両保護装置2は、ナビゲーションシート24の前で展開するエアバッグ51を有する。第2実施形態の車両保護装置2の基本構成は、第1実施形態の図2と同様である。以下の説明では、第1実施形態のものと対応する構成要素には、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図5は、第2実施形態の車両保護装置2の構成要素の配置の説明図である。
移動機構62の長尺レール63は、ダッシュボード18内のステアリングサポートビーム29に、車体幅方向に沿って延在するように設けられる。ステアリングサポートビーム29は、一対のAピラー12の間に橋渡すように固定される。
また、エアバッグ51は、前後方向に長い略立方体形状を有する。また、モジュールベース53は、立方体形状のエアバッグ51が、後向きに展開するように取り付けられる。立方体形状のエアバッグ51は、モジュールベース53から後へ展開する。初期状態では、エアバッグ51は、ナビゲーションシート24の正面の位置から、ナビゲーションシート24へ向かって展開される。また、初期位置から車体幅方向へ移動された状態では、ナビゲーションシート24から左右へ少しずれた状態で展開される。
また、ダッシュボード18には、複数の破断部81が設けられる。複数の破断部81は、回転軸の周囲で、所定の回転角毎に並べて設けられる。これにより、ダッシュボード18の内側で展開されるエアバッグ51は、ダッシュボード18の破断部81を突き破って、ダッシュボード18から後へ展開することができる。
以下、この本実施形態のエアバッグ51をフロントエアバッグ51ともよぶ。
次に、車両保護装置2の動作について説明する。
本実施形態の制御部71によるエアバッグモジュール50の移動駆動処理の全体的な流れは、図4と同様である。
制御部71は、衝突前に、入出力ポートに入力される車体の内外状況を示す入力情報に基づいて、衝突形態を予測判断する(ステップST1)。
次に、制御部71は、予測した衝突形態に基づいて、エアバッグモジュール50の移動の要否および移動量を判断する(ステップST2)。ここで、移動量は、離散的な値であっても、連続的な値であってもよい。
たとえば予測した衝突形態がフルラップ衝突である場合、制御部71は、フロントエアバッグ51を有するエアバッグモジュール50の移動駆動の要否および移動量を判断する。そして、制御部71は、エアバッグモジュール50の移動を不要と判断する。
また、予測した衝突形態がオブリーク衝突である場合、制御部71は、フロントエアバッグ51を有するエアバッグモジュール50の移動駆動の要否および移動量を判断する。そして、制御部71は、エアバッグモジュール50の移動を必要と判断する。また、制御部71は、衝突予定角度である衝撃入力方向または乗員が倒れる方向にエアバッグ51が展開されるように、エアバッグモジュール50の移動量を判断する。また、制御部71は、乗員の体格または体重および衝突予定角度に基づいて、エアバッグ51により乗員を支えることができるように、エアバッグモジュール50の移動量を微調整する。
そして、エアバッグモジュール50の移動が必要である場合、制御部71は、ロック機構68を解除し、アクチュエータ61によりエアバッグモジュール50を駆動させる(ステップST3)。これにより、たとえばナビゲーションシート24に着座した乗員が倒れる方向に、エアバッグ51を展開することができる。その後、制御部71は、ロック機構68を作動させ、エアバッグモジュール50を移動できない状態にロックする。
エアバッグモジュール50の駆動が必要でない場合、制御部71は、アクチュエータ61を駆動させることなく、処理を終了する。
以上のように、本実施形態では、ナビゲーションシート24に着座した乗員が倒れる方向に、エアバッグ51を移動させて展開する。よって、乗員は、展開したエアバッグ51に対して当たるように倒れる。その結果、衝突形態によらず、エアバッグ51に乗員が当たるようになる。また、予めエアバッグ51を移動させているので、乗員が斜めに倒れることによる荷重により、エアバッグ51が倒れ難くなる。フルラップ衝突時だけでなく、オフセット衝突時またはオブリーク衝突時においても、エアバッグ51により乗員を支えることができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態の車両保護装置2は、ナビゲーションシート24の上で展開するフロントエアバッグ51を有する。以下の説明では、第1実施形態のものと対応する構成要素には、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図6は、第3実施形態に係る車両保護装置2の基本構成の説明図である。
車両保護装置2のアクチュエータ61は、移動機構62、変位部材91、ワイヤ92、を有する。
変位部材91は、ナビゲーションシート24の外側の着座位置の下に埋設される。変位部材91は、該着座位置における着座した乗員の荷重に応じて変位する。
ワイヤ92は、変位部材91とモジュールベース53とを直接に連結する。
本実施形態では、ナビゲーションシート24の着座位置に乗員が着座している場合、変位部材91は、変位しない。
これに対して、ナビゲーションシート24の着座位置において外側に偏って荷重が作用する場合、変位部材91は、変位する。ワイヤ92は、変位部材91の変位を入力としてモジュールベース53を外方向へ移動させる。
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
1…自動車(車両)、2…車両保護装置、11…フロアパネル、12…Aピラー、13…Bピラー、14…Cピラー、15…ルーフレール、16…ルーフパネル、17…トーボード、18…ダッシュボード、19…フロントガラス、20…リアガラス、21…サイドシル、22…センタートンネル、23…ドライバシート、24…ナビゲーションシート、25…シフトレバー、26…コンソールボックス、27…ステアリングホイール、28…ベンチシート、29…ステアリングサポートビーム、30…ルーフクロスメンバ、31…ルーフカバー、41…座部、42…背部、43…シートカバー、50…エアバッグモジュール、51…エアバッグ、52…インフレータ、53…モジュールベース、61…アクチュエータ、62…移動機構、63…長尺レール、66…駆動モータ、67…リンク機構、68…ロック機構、71…制御部、72…車外カメラ、73…車内カメラ、74…加速度センサ、75…車速センサ、76…操舵角センサ、81…破断部、91…変位部材、92…ワイヤ

Claims (11)

  1. エアバッグおよび前記エアバッグを展開させるインフレータを有するエアバッグモジュールと、
    車体に設けられるベンチシートの上側において車体幅方向に沿って設けられ、前記エアバッグモジュールが長手方向に沿って移動可能に取り付けられる長尺レールと、
    前記エアバッグモジュールを、前記長尺レールに沿って移動可能に車体に取り付けるアクチュエータと、
    前記アクチュエータを制御する制御部と、
    を有し、
    前記エアバッグモジュールは、前記アクチュエータにより移動された状態で展開できる、
    車両用保護装置。
  2. 前記制御部は、
    前記ベンチシートに三人の乗員が乗車している場合には、前記エアバッグを展開する前に前記エアバッグモジュールを車体幅方向の端部から1/3の位置となるように前記アクチュエータを制御し、
    前記ベンチシートの外側のみに小柄の乗員が乗車している場合には、前記エアバッグモジュールを乗員の体格に応じた位置となるように前記アクチュエータを制御し、
    前記エアバッグモジュールは、前記アクチュエータにより移動された状態で展開できる、
    請求項1記載の車両用保護装置。
  3. エアバッグおよび前記エアバッグを展開させるインフレータを有するエアバッグモジュールと、
    車体のステアリングサポートビームに車体幅方向に沿って延在するように設けられ、前記エアバッグモジュールが長手方向に沿って移動可能に取り付けられる長尺レールと、
    前記エアバッグモジュールを、前記長尺レールに沿って移動可能に車体に取り付けるアクチュエータと、
    前記アクチュエータを制御する制御部と、
    を有し、
    前記エアバッグモジュールは、前記アクチュエータにより移動された状態で展開できる、
    車両用保護装置。
  4. 前記制御部は、
    フルラップ衝突を予想した場合には、前記エアバッグモジュールをシートの正面の位置となるように前記アクチュエータを制御し、
    オフセット衝突またはオブリーク衝突を予想した場合には、衝突予定角度である衝撃入力方向または乗員が倒れる方向に前記エアバッグが展開されるように前記アクチュエータを制御し、
    前記エアバッグモジュールは、前記アクチュエータにより移動された状態で展開できる、
    請求項3記載の車両用保護装置。
  5. 前記制御部は、
    衝撃による乗員の倒れ方向と前記エアバッグの初期展開方向との一致度を予測し、
    衝突予定角度である衝撃入力方向または乗員が倒れる方向に前記エアバッグが展開するように、前記アクチュエータによる前記エアバッグモジュールの移動量を調整する、
    請求項1から4のいずれか一項記載の車両用保護装置。
  6. エアバッグおよび前記エアバッグを展開させるインフレータを有するエアバッグモジュールと、
    前記エアバッグモジュールを、所定の軌道に沿って移動可能に車体に取り付けるアクチュエータと、
    前記アクチュエータを制御する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、
    衝撃による乗員の倒れ方向と前記エアバッグの初期展開方向との一致度を予測し、
    衝突予定角度である衝撃入力方向または乗員が倒れる方向に前記エアバッグが展開するように、前記アクチュエータによる前記エアバッグモジュールの移動量を調整し、
    前記エアバッグモジュールは、前記アクチュエータにより移動された状態で展開できる、
    車両用保護装置。
  7. 前記エアバッグを展開する際に前記エアバッグモジュールの移動をロックするロック機構、を有し、
    前記エアバッグモジュールは、前記アクチュエータにより移動されて前記ロック機構によりロックされた状態で展開できる、
    請求項1から6のいずれか一項記載の車両用保護装置。
  8. 記制御部は、
    衝突形態の予測に用いる入力情報、衝突時の入力情報、または車内状況の入力情報に基づいて、衝突形態を判断し、
    前記車体の内外状況を示す入力情報に基づいて、衝突予想、衝突前の車内状況、衝突中の衝突状態、および衝突中の車内状況、の中の少なくとも1つの衝突形態を判断し、
    前記衝突形態の判断結果に基づいて、前記エアバッグモジュールの移動要否または移動量を判断し、
    前記エアバッグモジュールの移動が必要である場合に、前記アクチュエータにより前記エアバッグモジュールを移動駆動させる、
    請求項1から7のいずれか一項記載の車両用保護装置。
  9. 前記制御部は、衝突予測時に、または乗員の着座位置を判断した時に、前記エアバッグモジュールを移動駆動させる、
    請求項1から8のいずれか一項記載の車両用保護装置。
  10. 前記制御部は、乗員の特定部位に対して前記エアバッグが展開するように、前記エアバッグモジュールを移動駆動させる、
    請求項1から9のいずれか一項記載の車両用保護装置。
  11. 前記アクチュエータは、
    前記車体に設けられたシートへの着座により変位する変位部材と、
    前記変位部材の変位を入力として前記エアバッグモジュールを移動させるワイヤ又はリンク機構と、
    を有する、
    請求項1から10のいずれか一項記載の車両用保護装置。
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